霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三三章 五大教(ごだいけう)〔二八三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第6篇 百舌鳥の囁 よみ(新仮名遣い):もずのささやき
章:第33章 五大教 よみ(新仮名遣い):ごだいきょう 通し章番号:283
口述日:1922(大正11)年01月22日(旧12月25日) 口述場所: 筆録者:藤原勇造 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ウラル教の治世を恨む歌を歌いながら、エデン川の岸辺を降る漂浪人の一団があった。そこへ、『神が面に現れて 善と悪とを立て別ける』と節面白く謡い来る宣伝使があった。
これは、混乱の世をただすべく黄金山の麓に現れた、埴安彦という大神が立てられた、五大教という教えの宣伝使・東彦であった。
漂浪人たちは、宣伝使の歌う宣伝歌に興味を持ち、宣伝使を呼び止めた。宣伝使・東彦は路傍の平たい石に腰かけ、一同はその周りに座って問答を始めた。
漂浪人の一人は、今の世の中は宣伝歌にあったような、公明正大な神様が現れて善と悪とを立て別ける、といったことがあるのでしょうか、と問いかけた。
東彦はそれに答えて、今の世は神様の御用のために作られた、神の生宮であるはずの人間が汚れてしまっているので、それを清めるために、神様が諸方に宣伝使を派遣することになったのである、と答えた。
もう一人の漂浪人は、弱肉強食の世の中で一部の人間が財産を独占していることに対して、いつ神様が現れて善と悪とを立て別けてくれるのか、と質問した。
東彦は、現世的な財産はかりそめの富であり、人間が死後にも滅ぶことがない宝とは、神の御国に積む誠という宝である、と諄々と説いた。
一同は息をこらして東彦の教えに耳を傾けていた。そこへ、『ただ何事も人の世は 直日に見直せ聞き直せ 身の過ちは宣り直せ』と謡って来る宣伝使があった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-23 18:44:01 OBC :rm0633
愛善世界社版:196頁 八幡書店版:第1輯 696頁 修補版: 校定版:195頁 普及版:80頁 初版: ページ備考:
001可飲(かいん)(なが)れは()まるとも
002とめて()まらぬ(いろ)(みち)
003(さけ)博奕(ばくち)(なほ)やまぬ
004()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)
005(うま)いこといふ宣伝使(せんでんし)
006(おい)らは裸体(はだか)蓑蟲(みのむし)
007(あめ)(さら)され荒風(あらかぜ)
008()かれて深山(みやま)(しも)()
009常夜(とこよ)(つゆ)(さら)されて
010()()(さけ)もヱー()まず
011()ひたいものもヨー()はず
012(ひと)(くづ)やら(あま)りもの
013(もら)うて(その)()をひよろひよろと
014(わた)浮世(うきよ)丸木橋(まるきばし)
015(わが)()襤褸(ぼろ)(まと)へども
016肝腎要(かんじんかなめ)(たましひ)
017(にしき)(かざ)大丈夫(ますらを)
018ウラルの(ひこ)邪曲(よこしま)
019(しひた)げられて吾々(われわれ)
020昨日(きのふ)(やま)今日(けふ)(また)
021野辺(のべ)(あらし)(さら)されて
022(くさ)(いぬ)めに嗅出(かぎだ)され
023(つかま)へられて何時(いつ)()
024ウラルの(やま)()()かれ
025(した)(ねじ)られ()()かれ
026手足(てあし)(ひし)(しば)られて
027()めよ(さわ)げよ暢気(のんき)なる
028(うた)()かされ木兎(みみづく)
029()()(はて)(しの)ぶれば
030この()(おに)大蛇(をろち)(やみ)()
031(あした)(つゆ)()ゆる()
032()にも果敢(はか)なき()宿世(すぐせ)
033(すく)ひの(かみ)何時(いつ)()
034(あめ)より(くだ)(きた)るらむ
035(たす)けの(ふね)何時(いつ)()
036(うみ)(そこ)より(うか)()
037(うれ)ひに(しづ)吾々(われわれ)
038何時(いつ)()にかは(うか)ばれむ
039嗚呼(ああ)味気(あぢき)なの(やみ)()
040嗚呼(ああ)あぢきなの(やみ)()や』
041(うた)ひながら、042エデン(がは)(きし)(くだ)漂浪神(さすらいがみ)一群(ひとむれ)があつた。043このとき前方(ぜんぱう)より、
044(かみ)(おもて)(あら)はれて
045(ぜん)(あく)とを()()ける
046(たま)(みが)けよ立替(たてか)へよ
047()(おこな)ひも()(なお)
048(まこと)(ちから)()(まも)る』
049(ふし)面白(おもしろ)(うた)()宣伝使(せんでんし)ありけり。050(これ)黄金山(わうごんざん)(ふもと)に、051この混乱(こんらん)紛糾(ふんきう)()(すく)ふべく、052埴安彦(はにやすひこ)といふ大神(おほかみ)(あら)はれて、053五大教(ごだいけう)といふ(をしへ)()てられ、054その宣伝使(せんでんし)なる東彦(あづまひこ)()神人(かみ)なりき。055一行(いつかう)はこの(こゑ)()いて(みみ)(かたむ)けゐる。056宣伝使(せんでんし)(なほ)も、057宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら此方(こなた)(むか)つて(すす)()たる。
058 宣伝使(せんでんし)は、059蓑笠(みのかさ)(まと)ひ、060草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)の、061身軽(みがる)扮装(いでたち)にて宣伝歌(せんでんか)高唱(かうしやう)しながら、062一行(いつかう)()(ちが)(すす)()く。063一同(いちどう)(たがひ)(かほ)見合(みあは)せ、
064(かふ)(いま)(うた)(なん)だか、065吾々(われわれ)(みみ)にはいり()すい(やう)()がして、066何処(どこ)ともなく面白(おもしろ)いぢやないか』
067(おつ)『ウン、068さう()へばさうだ。069(かみ)(さま)御声(みこゑ)のやうにも(ひび)いた』
070(へい)()もかく()()めて、071(くは)しい(はなし)()いたらどうだ』
072(てい)()()めたつて、073吾々(われわれ)のような人間(にんげん)に、074()()いては()れはしないだらう。075(はぢ)をかくよりは、076()したらどうだ』
077(へい)馬鹿(ばか)()へ、078(ひと)(たす)けるのが宣伝使(せんでんし)だ。079そりや、080屹度(きつと)()()めたら、081()つてくれるよ』
082一同(いちどう)『それがよからう。083オーイ オーイ』
084一同(いちどう)(こゑ)(そろ)へ、085右手(みぎて)をあげてさし(まね)いた。086宣伝使(せんでんし)はあと振返(ふりかへ)りつつ、087こなたを見詰(みつ)めてゐた。088そこへ一人(ひとり)のみすぼらしい(をとこ)が、089一行(いつかう)(なか)から抜擢(ばつてき)されて(はし)つて()つた。090そして宣伝使(せんでんし)(まへ)()()き、
091貴神(あなた)()(うた)を、092吾々(われわれ)(うけたま)はりまして、093(なん)とも()れぬ(こころ)(ちから)()いた(やう)(おも)ひます。094どうぞ()面倒(めんだう)でもありませうが、095吾々(われわれ)一同(いちどう)(すく)(ため)に、096(くは)しい()(はなし)()かして(いただ)けませぬか』
097真心(まごころ)(おもて)(あら)はして(たの)()んだ。098宣伝使(せんでんし)は、
099東彦天使(われ)天下(てんか)混乱(こんらん)窮乏(きうばふ)(すく)はむために、100黄金山(わうごんさん)(ろく)(あら)はれ(たま)埴安彦(はにやすひこの)(みこと)(をしへ)(ほう)じて、101天下(てんか)宣伝(せんでん)するものであります。102吾々(われわれ)宣伝(せんでん)()()(くだ)さるならば、103(よろこ)んでこれに(おう)じます』
104といつた。105そのうちに、106一同(いちどう)宣伝使(せんでんし)(かたはら)(あつ)まり(きた)り、107一々(いちいち)鄭重(ていちよう)会釈(ゑしやく)をした。108宣伝使(せんでんし)もまた慇懃(いんぎん)(れい)(かへ)し、109(かたはら)(うる)はしき(ひら)たき(いは)(うへ)()()め、110一同(いちどう)はその周囲(しうゐ)()して、111問答(もんだふ)(はじ)めける。
112(かふ)只今(ただいま)()(うた)(なか)に、113(かみ)(おもて)(あら)はれて、114(ぜん)(あく)とを()()ける」といふ()言葉(ことば)がありましたが、115実際(じつさい)にこの()に、116吾々(われわれ)(まも)つて(くだ)さる(たふと)(かみ)()るのでせうか。117善悪(ぜんあく)公明(こうめい)正大(せいだい)審判(さば)いて(くだ)さる(まこと)(かみ)(あら)はれますのでせうか。118吾々(われわれ)はこの(こと)のみが日夜(にちや)()にかかつてなりませぬ』
119 宣伝使(せんでんし)(こた)へていふ。
120東彦天使『この世界(せかい)(まこと)(かみ)(さま)が、121()(つく)(あそ)ばしたのである。122さうして人間(にんげん)は、123御用(ごよう)(つと)める(やう)に、124(かみ)()(つく)りになつたのである。125(かみ)人間(にんげん)生宮(いきみや)として(これ)(くだ)り、126立派(りつぱ)()(ひら)かうと日夜(にちや)焦慮(せうりよ)して()られます。127あなた(がた)一同(いちどう)肉体(にくたい)もまた、128(たふと)(かみ)(さま)霊魂(みたま)(にく)とを()(あた)へられて(つく)られた人間(にんげん)である。129さうして(かみ)(さま)生宮(いきみや)となつて、130(はたら)くべき結構(けつこう)万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)である。131(しか)るに人間(にんげん)本分(ほんぶん)(わす)れて、132ただただ飲食(のみくひ)や、133(いろ)(みち)ばかりに耽溺(たんでき)するのは、134(かみ)(さま)(たい)して、135(もつと)(ふか)罪悪(ざいあく)である。136()(なか)には(ぜん)(かみ)もあれば、137(あく)(かみ)もある。138さうして(ぜん)(かみ)一人(ひとり)(たい)し、139(あく)(かみ)九百(きうひやく)九十九(きうじふきう)(にん)割合(わりあひ)に、140(いま)()はなつてしまつてゐる。141そこで(かみ)(さま)は、142この世界(せかい)(きよ)め、143(かみ)生宮(いきみや)たる人間(にんげん)身魂(みたま)(きよ)めて、144立派(りつぱ)神国(しんこく)(たて)むと思召(おぼしめ)し、145宣伝使(せんでんし)四方(しはう)派遣(はけん)され()るなり』
146と、147大略(たいりやく)物語(ものがた)りける。
148(かふ)吾々(われわれ)はどうしても、149合点(がつてん)()かぬことが沢山(たくさん)あります。150それで貴神(あなた)()(たづ)ねをしたいと(おも)つて、151()()めました。152一体(いつたい)今日(こんにち)人間(にんげん)は、153(ひろ)(やま)()独占(どくせん)し、154さうして吾々(われわれ)(はたら)(ところ)もなく、155また(はたら)かしてもくれない。156(なに)ほど(はたら)くに()()貧乏(びんばふ)なしと()つても、157(はたら)(たね)がなければ、158吾々(われわれ)乞食(こじき)でもするより、159仕方(しかた)がないではありませぬか。160勿論(もちろん)吾々(われわれ)は、161(あそ)んで(らく)()んだり()つたり、162贅沢(ぜいたく)をしようとは(おも)ひませぬ。163(ただ)(はたら)いて、164親子(おやこ)夫婦(ふうふ)が、165その()をどうなりと、166(くら)すことが出来(でき)ればそれで満足(まんぞく)するのであります。167(しか)るに吾々(われわれ)は、168この(ひろ)(あめ)(した)に、169脚踏(あしふ)()てる場所(ばしよ)()つて()りませぬ。170(みな)(つよ)(もの)171(おほ)きな(もの)に、172独占(どくせん)されて、173(はたら)くに(ところ)なく、174親子(おやこ)兄弟(きやうだい)は、175ちりぢりばらばらになり、176(あめ)(した)(くる)しみながら、177漂浪(さすら)ひつつわづかにその()(くら)してをります。178こんな()(なか)立替(たてか)へて()(ひい)(さま)()(てら)しの(やう)に、179万遍(まんべん)なく、180吾々(われわれ)にも天地(てんち)(めぐみ)()(うるほ)(こと)ができるならば、181こんな有難(ありがた)いことはなからうと(おも)ひます。182さうしてその結構(けつこう)(かみ)(さま)何時(いつ)()(あら)はれになりませうか』
183(くび)(かたむ)け、184宣伝使(せんでんし)(かほ)(のぞ)()む。185宣伝使(せんでんし)両眼(りやうがん)(なみだ)(たた)へながら、
186東彦天使(そら)()(とり)も、187野辺(のべ)()(はな)も、188みな(かみ)(さま)(あつ)(めぐみ)をうけて、189完全(くわんぜん)生活(せいくわつ)(つづ)けてをります。190(いは)んや万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)たり、191(かみ)生宮(いきみや)たる人間(にんげん)(おい)ておや。192(かみ)(さま)()(まも)りがどうして()いといふ(こと)がありませうか。193ただ何事(なにごと)(かみ)(さま)御心(みこころ)(まか)せ、194今日(けふ)只今(ただいま)を、195有難(ありがた)有難(ありがた)いで(くら)して()けば、196(かみ)(さま)(はな)()(はる)()はして(くだ)さいます。197()(なか)暗夜(やみよ)ばかりではない、198暗夜(やみよ)があつても何時(いつ)かは()()ける。199(つめ)たい(ゆき)()(ふゆ)があれば、200また長閑(のどか)(はな)()(とり)(うた)(はる)()()(やう)に、201きつと(くるし)みの(あと)には(たの)しみがあります。202あなた(がた)(はたら)場所(ばしよ)がないからといつて、203そこら(ぢう)漂浪(さまよ)ひなさるのも、204無理(むり)はありませぬが、205この世界(せかい)(みな)(かみ)(さま)のものである。206人間(にんげん)のものは、207(あし)(うら)()いて()土埃(つちほこり)(ひと)つだもありませぬ。208(いま)人間(にんげん)広大(くわうだい)山野(さんや)独占(どくせん)して、209自分(じぶん)のもののやうに(おも)つてゐるが、210命数(めいすう)()きて、211幽界(いうかい)(いた)るときは、212いかなる巨万(きよまん)財宝(ざいほう)も、213妻子(さいし)も、214眷属(けんぞく)一切(いつさい)()てて、215ただ(ひとり)トボトボと()かねばならぬのである。216(ただ)自分(じぶん)()れとなるものは(ふか)(つみ)重荷(おもに)ばかりである。217あなた(がた)も、218(かみ)(しん)じ、219(まこと)(ひと)つの(こころ)()つて、220この(ひろ)天地(てんち)(あひだ)活動(くわつどう)なさい。221きつと(かみ)(さま)(さいはひ)(あた)へて(くだ)さいます。222この()(うへ)(かたち)ある(たから)は、223(ほろ)ぶる(たから)であります。224(みづ)(なが)()()かれ、225(むし)()はれ、226錆朽(さびく)ちる、227果敢(はか)ない(たから)である。228それよりも人間(にんげん)は、229永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)()ちず、230(くづ)れず、231()けず、232(ほろ)びぬ(まこと)といふ(ひと)つの(たから)(かみ)御国(みくに)()(こと)(つと)めねばなりませぬ』
233諄々(じゆんじゆん)として五大教(ごだいけう)教理(けうり)()(すす)めたるに、234一同(いちどう)呼吸(いき)()らして、235熱心(ねつしん)宣伝使(せんでんし)教示(けうじ)()()りぬ。236この(とき)またもや、237(こゑ)()()げて、
238北光天使『この()創造(つく)りし神直日(かむなほひ)
239御魂(みたま)(ひろ)大直日(おほなほひ)
240ただ何事(なにごと)(ひと)(みな)
241直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
242()(あやまち)()(なほ)せ』
243(うた)ひつつ、244此方(こなた)(むか)つて(すす)()宣伝使(せんでんし)ありけり。
245大正一一・一・二二 旧大正一〇・一二・二五 藤原勇造録)
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