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第五〇章 大戸惑(おほとまどひ)〔三〇〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻 篇:第8篇 五伴緒神 よみ(新仮名遣い):いつとものおのかみ
章:第50章 大戸惑 よみ(新仮名遣い):おおとまどい 通し章番号:300
口述日:1922(大正11)年01月24日(旧12月27日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年5月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
元照別は宣伝使たちを城の高殿に招き、豪華なご馳走でもてなした。
出雲姫は、強者に搾取されている民衆の様子を思うと、もったいなくてこのようなご馳走を食べるわけにはいかない、と高殿から膳を城の堀に投げ込んでしまった。
広道別もまた同様に、元照別に戒めの言葉をかけながら、膳を投げ捨ててしまった。
元照別はただ、己の身を恥じて、うつむいて涙を流すのみであった。
岩彦と熊彦は広道別、出雲姫に遠慮しながらも、出された膳をすっかり平らげてしまった。
出雲姫は、元照別の誕生を祝す、といって歌い舞い始めた。その歌には、元照別の戒めと、神の道への立ち返りが歌い込められていた。
宣伝使たちの実地的訓戒により、心ならずもウラル彦の強圧に服していた元照別夫婦は改心し、伊弉諾大神の神政に参加することとなった。
元照別、元照姫は、誰言うとなく、大戸惑子神、大戸惑女神といわれることになった。
出雲姫の歌舞曲に広道別は知らず立ち上がり、高殿の欄干に身を預けて見とれていたが、たちまち手すりは音を立てて崩れ、眼下の堀に落下してしまった。その寒さに震えて気がつけば、王仁は高熊山の方形の岩の上に、寒風にさらされていた。
道の栞り
天帝は、瑞の霊に限りなき直日魂を与え給うた。
そして、暗い世を照らし、垢を去り、泥を清め、鬼を亡ぼさしめるために、瑞の魂を深い御心によって降し給うたのである。
天国に救われようと欲する者は救われる。
瑞霊に叛く者は、自ら亡びを招くことになるのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-07-04 13:21:35 OBC :rm0650
愛善世界社版:302頁 八幡書店版:第1輯 734頁 修補版: 校定版:303頁 普及版:126頁 初版: ページ備考:
001 宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)役人(やくにん)案内(あんない)につれ、002悠々(いういう)として奥殿(おくでん)(みちび)かれた。003元照別(もとてるわけ)愴惶(さうくわう)として出迎(でむか)へ、004(たたみ)(あたま)()りつけながら、
005(くも)()てたる(けが)らはしい身魂(みたま)の、006吾々(われわれ)(ねが)ひをよくも()(とど)(くだ)さいました。007サアサアこれへ』
008(みづか)(さき)()つて見晴(みはら)しのよい高楼(たかどの)(みちび)きけり。009宣伝使(せんでんし)二人(ふたり)大男(おほをとこ)(ともな)高楼(たかどの)(のぼ)りて()れば、010山野(さんや)河海(かかい)珍肴(ちんかう)美酒(びしゆ)所狭(ところせま)きまでに(なら)べられありき。011(しか)して元照別(もとてるわけ)二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)正座(しやうざ)(みちび)き、
012(きよ)()教示(けうじ)後刻(のちほど)ゆるゆる拝聴(はいちやう)(つかまつ)ります。013まづ()食事(しよくじ)()らせられよ』
014誠実(せいじつ)(おもて)(あら)はれて着坐(ちやくざ)(すす)める。015広道別(ひろみちわけの)天使(かみ)は、
016(しか)らば御免(ごめん)
017(まう)けの(せき)につき、018二人(ふたり)大男(おほをとこ)末座(まつざ)着席(ちやくせき)したり。019出雲姫(いづもひめ)はなまなまに(まう)けの(せき)につき、
020『コレハコレハ、021元照別(もとてるわけ)殿(どの)022随分(ずゐぶん)贅沢(ぜいたく)()馳走(ちそう)でござる。023(わらは)世界(せかい)青人草(あをひとぐさ)憂瀬(うきせ)(しづ)み、024木葉(このは)()()()()めて、025わづかにその()生活(せいくわつ)(つづ)けてゐる悲惨(ひさん)状態(じやうたい)目撃(もくげき)いたして()りますれば、026(わらは)()くの(ごと)珍味(ちんみ)(なが)年月(としつき)()たこともありませぬ。027大宜津(おほげつ)(ひめの)(かみ)()とは(まを)しながら、028(じつ)(あき)()てた次第(しだい)であります。029しかし折角(せつかく)思召(おぼしめし)なれば(よろこ)ンで頂戴(ちやうだい)いたします。030かくのごとき()馳走(ちそう)は、031吾々(われわれ)(くち)には勿体(もつたい)なくて(いただ)くことが出来(でき)ませぬから、032鳥獣(てうじう)にも(うを)にも分配(ぶんぱい)をいたします』
033といふより(はや)く、034高楼(たかどの)より眼下(がんか)深堀(ふかぼり)(むか)つて、035自分(じぶん)(あた)へられたる膳部(ぜんぶ)一切(いつさい)を、036バラバラと()()んで(しま)つた。037元照別(もとてるわけ)顔赧(かほあか)らめ、038(もの)をも()はず、039差俯(さしうつむ)(なみだ)をホロホロと(なが)すのみ。040広道別(ひろみちわけの)天使(かみ)はこの珍味(ちんみ)()ひもならず、041042(また)もや、043(われ)衆生(しゆじやう)分配(ぶんぱい)せむといひながら、044眼下(がんか)(ほり)()がけて惜気(をしげ)もなく()()てて、045元照別(もとてるわけ)にむかひ、
046『かかる珍味(ちんみ)吾々(われわれ)(いただ)くよりも、047一切(いつさい)衆生(しゆじやう)分配(ぶんぱい)いたした(はう)が、048(なに)ほど心地(ここち)がよいか(わか)りませぬ。049(うま)い、050美味(おいし)い、051(あぢ)ないは、052喉三寸(のどさんずん)(とほ)(あひだ)のこと、053(さいはひ)今日(けふ)貴下(きか)()誕生日(たんじやうび)(うけたまは)る。054一国(いつこく)一城(いちじやう)城主(じやうしゆ)()身分(みぶん)として、055一切(いつさい)衆生(しゆじやう)恩恵(おんけい)(ほどこ)したまふは、056(たみ)(しゆ)たるものの(つと)めらるべき大切(たいせつ)なる()所行(しよぎやう)(さつ)(まゐ)らす。057吾々(われわれ)もお芽出度(めでた)く、058衆生(しゆじやう)貴下(きか)誕生(たんじやう)(よろこ)(しゆく)する(こと)でありませう』
059()(をは)つて(もと)()(ふく)した。060岩彦(いはひこ)熊彦(くまひこ)はこの珍味(ちんみ)(まへ)()ゑられて、061()ふには()はれず、062()けぬ()()して自分(じぶん)眼下(がんか)(ほり)()がけて()()てむかと、063とつ064おいつ思案(しあん)はしたが、065どうしても(のど)がゴロゴロ()ふて仕方(しかた)がない、066そこで岩彦(いはひこ)一同(いちどう)(むか)ひ、
067(わたくし)一切(いつさい)衆生(しゆじやう)なりかはり、068有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)いたします』
069といふより(はや)く、070大口(おほぐち)(ひら)いて()(はじ)めた。071熊彦(くまひこ)も、
072拙者(せつしや)も、073ちよぼちよぼ』
074()ひながら、075沢山(たくさん)飲食(おんじき)ケロリ(たひら)げてしまつた。076出雲姫(いづもひめ)()つて(うた)(うた)ひ、077誕生(たんじやう)(しゆく)するためと()(はじ)めたり。
078()常闇(とこやみ)となり()てて
079御空(みそら)をかける磐船(いはふね)
080(あま)鳥船(とりぶね)()(くる)
081月日(つきひ)(そら)照妙(てるたへ)
082美々(びび)しき(ころも)()(まと)
083山野(やまぬ)海河(うみかは)(くま)もなく
084(あさ)()らしてうましもの
085横山(よこやま)のごとく()(あつ)
086(おごり)(ふか)大宜津(おほげつ)
087(ひめ)(みこと)()となりて
088手繰(たぐり)になります金山(かなやま)
089(ひこ)(みこと)金山(かなやま)
090(ひめ)(みこと)(あら)はれて
091世人(よびと)(そこ)なふ(つるぎ)太刀(たち)
092大砲(おほづつ)小銃(こづつ)(やじり)まで
093(つく)()らはし遠近(をちこち)
094(しのぎ)(けづ)(あさ)ましさ
095(あや)しき(をしへ)はびこりて
096世人(よびと)(こころ)(まよ)はせつ
097元照別(もとてるわけ)(つかさ)まで
098大戸惑子(おほとまどひ)(かみ)となり
099この()はますます(くも)()
100(くも)浮世(うきよ)()らさむと
101雲路(くもぢ)()でて出雲姫(いづもひめ)
102ここに(あら)はれ(かみ)(みち)
103(ひろ)(つた)ふる広道別(ひろみちわけ)
104(うづ)(みこと)諸共(もろとも)
105(たて)(よこ)との十字街(じふじがい)
106(あら)はれ(きた)(とき)もあれ
107(むら)がりおこる(さけ)(ごゑ)
108(みみ)(すま)して()きをれば
109ウローウローの(こゑ)ならで
110ほろふほろふと(きこ)えけり
111(ほろ)びゆく()(かな)しみて
112九山八海(はちす)(やま)()れませる
113(あめ)御柱(みはしら)大神(おほかみ)
114()(たひら)けく(やす)らけく
115(をさ)めまさむと埴安彦(はにやすひこ)
116(うづ)(みこと)埴安姫(はにやすひめ)
117(うづ)(みこと)事依(ことよ)さし
118三五教(あななひけう)(ひら)かせて
119(かみ)(をしへ)宣伝使(とりつぎ)
120四方(よも)国々(くにぐに)間配(まくば)りつ
121大御心(おほみこころ)(いた)めます
122(かみ)御恵(みめぐ)白雲(しらくも)
123(ほか)見做(みな)して大宜津(おほげつ)(ひめ)
124(かみ)捕虜(とりこ)となりおほせ
125下民草(しもたみぐさ)(くる)しみも
126()らぬが(ほとけ)(おに)(じや)
127あゝ元照別(もとてるわけ)城主(じやうしゆ)どの
128あゝ元照姫(もとてるひめ)のおかみさま
129今日(けふ)生日(いくひ)足日(たるひ)より
130身魂(みたま)立替(たてか)立直(たてなほ)
131(かみ)(うやま)民草(たみぐさ)
132妻子(つまこ)のごとく(いつく)しみ
133(あめ)(つち)との大恩(たいおん)
134(さと)りて(みち)(まも)れかし
135(ひと)審判(さば)くは(ひと)()
136なすべき(わざ)(あら)ざらめ
137(しも)審判(さば)くな(いつく)しめ
138(しも)がありての(かみ)もあり
139(かみ)がありての(しも)もある
140(かみ)(しも)とは()(そろ)
141(ちから)(あは)村肝(むらぎも)
142(こころ)(ひと)つに(かた)めつつ
143()曲事(まがこと)宣直(のりなほ)
144直日(なほひ)御霊(みたま)(かへり)みて
145(かみ)(こころ)(かな)へかし
146(きよ)(こころ)(もち)()
147(つき)(ちか)ひていと(まる)
148(をさ)めて(ここ)にミロクの()
149(かむ)伊弉諾(いざなぎ)大神(おほかみ)
150御楯(みたて)となりて真心(まごころ)
151(つく)せよ(つく)二柱(ふたはしら)
152(つく)せよ(つく)二柱(ふたはしら)
153厳粛(げんしゆく)荘重(さうちやう)(うた)つて()(をさ)()につきぬ。
154 ここに元照別(もとてるわけ)夫婦(ふうふ)は、155(いま)までウラル(ひこ)圧迫(あつぱく)によりて、156(こころ)ならずも体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)行動(かうどう)(つづ)けつつありしが、157(いま)この二柱(ふたはしら)宣伝使(せんでんし)実地(じつち)(てき)訓戒(くんかい)によつて、158自分(じぶん)薄志(はくし)弱行(じやくかう)()ぢ、159一大(いちだい)勇猛心(ゆうまうしん)振興(ふりおこ)して神政(しんせい)根本(こんぽん)(てき)改革(かいかく)し、160大御神(おほみかみ)神示(しんじ)遵奉(じゆんぽう)し、161伊弉諾(いざなぎ)大神(おほかみ)神政(しんせい)奉仕(ほうし)する(こと)となりぬ。162この二神(にしん)()遠近(をちこち)(たれ)いふとなく、163大戸惑(おほとまどひ)(この)(かみ)164大戸惑(おほとまどひ)(めの)(かみ)(とな)へられゐたりける。
165 広道別(ひろみちわけ)出雲姫(いづもひめ)(すず)しき(こゑ)とその優美(いうび)舞曲(ぶきよく)(こころ)(うば)はれ、166()らず()らず(わが)(せき)()ちて高楼(たかどの)欄干(てすり)()をかけ見惚(みと)れゐたり。167たちまち欄干(てすり)はメキメキと(おと)するよと()()に、168広道別(ひろみちわけの)天使(かみ)身体(しんたい)眼下(がんか)(ふか)(ほり)(なか)にザンブと()()みた。169その(さむ)さに(ふる)うて()がつけば、170(あに)(はか)らむや、171王仁(おに)()高熊山(たかくまやま)方形(ほうけい)(いは)(うへ)寒風(かんぷう)(さら)されゐたりけり。
172大正一一・一・二四 旧大正一〇・一二・二七 加藤明子録)
173(第四〇章~第五〇章 昭和一〇・二・一七 於奈良菊水旅館 王仁校正)
 
174(みち)(しおり)
175天帝(てんてい)(みづ)(みたま)(かぎ)()直霊魂(なほひのみたま)(たま)ひて、176(くら)()()らし、177(あか)()り、178(どろ)(きよ)め、179(おに)(ほろ)ぼさしめむ(ため)に、180(ふか)御心(みこころ)ありて(くだ)(たま)へり。181天国(てんごく)(すく)はれむと(ほつ)する(もの)(すく)はれ、182瑞霊(みづのみたま)(そむ)(もの)(みづか)(ほろ)びを(まね)くべし。
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