霊界物語.ネット
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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第6巻(巳の巻)
序歌
松葉の塵
総説
第1篇 山陰の雪
第1章 宇宙太元
第2章 瀑布の涙
第3章 頓智奇珍
第4章 立春到達
第5章 抔盤狼藉
第6章 暗雲消散
第7章 旭光照波
第2篇 常世の波
第8章 春の海面
第9章 埠頭の名残
第10章 四鳥の別れ
第11章 山中の邂逅
第12章 起死回生
第13章 谷間の囁
第14章 黒竜赤竜
第3篇 大峠
第15章 大洪水(一)
第16章 大洪水(二)
第17章 極仁極徳
第18章 天の瓊矛
第4篇 立花の小戸
第19章 祓戸四柱
第20章 善悪不測
第21章 真木柱
第22章 神業無辺
第23章 諸教同根
第24章 富士鳴戸
第5篇 一霊四魂
第25章 金勝要大神
第26章 体五霊五
第27章 神生み
第28章 身変定
第29章 泣沢女
第30章 罔象神
第6篇 百舌鳥の囁
第31章 襤褸の錦
第32章 瓔珞の河越
第33章 五大教
第34章 三大教
第35章 北光開眼
第36章 三五教
第7篇 黄金の玉
第37章 雲掴み
第38章 黄金の宮
第39章 石仏の入水
第40章 琴平橋
第41章 桶伏山
第8篇 五伴緒神
第42章 途上の邂逅
第43章 猫の手
第44章 俄百姓
第45章 大歳神
第46章 若年神
第47章 二王と観音
第48章 鈿女命
第49章 膝栗毛
第50章 大戸惑
余白歌
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霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第6巻(巳の巻)
> 第8篇 五伴緒神 > 第47章 二王と観音
<<< 若年神
(B)
(N)
鈿女命 >>>
第四七章
二王
(
にわう
)
と
観音
(
くわんのん
)
〔二九七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第6巻 霊主体従 巳の巻
篇:
第8篇 五伴緒神
よみ(新仮名遣い):
いつとものおのかみ
章:
第47章 二王と観音
よみ(新仮名遣い):
におうとかんのん
通し章番号:
297
口述日:
1922(大正11)年01月24日(旧12月27日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
広道別天使は、虎公に岩彦という名を与えて、宣伝歌を歌いながらローマの都の中心に進んでいった。今日はローマを治める元照別天使の誕生日祭で、家々に紅、白、青の旗を掲げて祝意を表していた。
群集は祭の出で立ちで、ワッショワッショと鐘やブリキ缶のようなものをたたきながら、練り歩く。そうして、ウラル教の宣伝歌を歌っている。
広道別は三五教の宣伝歌を歌いながら進んでいる。すると、群衆の中の祭頭らしき男が、広道別に拳固を固めて殴りかかった。
岩彦はこの様子に地団駄を踏みつつ、三五教の教えを守り、歯を食いしばって仁王立ちになって我慢している。祭の群集は、岩彦の仁王立ちに行く手をふさがれて、遅れだした。
広道別は、殴られながら小声に宣伝歌、天津祝詞を奏上する。すると殴りかかった男はたちまち、拳を振り上げたまま全身強直してしまった。
ローマの十字街頭には、岩彦とこの殴りかかった男と、二人が仁王のように立ちふさがってしまった。そこへ美しい女宣伝使が宣伝歌を歌いながらやってきた。群衆はこの様に野次馬のように集まってきた。
中には罵詈雑言を浴びせる群集もいたが、女宣伝使が手を左右左に振ると、そうした群集はたちまち強直してしまった。(霊縛をかけられた)
そこへ、ローマの主・元照別の行列がやってきた。誕生祭にあわせて、地中海の一つ島へ参拝に出かけるのである。しかし二人の仁王が十字街頭をふさいで立っており、行列の先触れの男たちは恐々と立ち止まってしまった。
行列の後ろからは、進め進め、と声がする。と、岩彦の仁王は、『通ること罷りならぬ』と怒鳴りつけた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
章題は、御校正本・普及版・愛善世界社版では「二王と観音」と表記されているが、校定版・八幡書店版では「仁王と観音」と表記されている。霊界物語ネットでは2020/5/1より「二王と観音」に変更。
データ最終更新日:
2020-05-01 17:59:18
OBC :
rm0647
愛善世界社版:
283頁
八幡書店版:
第1輯 727頁
修補版:
校定版:
284頁
普及版:
118頁
初版:
ページ備考:
001
広道別
(
ひろみちわけの
)
天使
(
かみ
)
は、
002
この
大男
(
おほをとこ
)
に
岩彦
(
いはひこ
)
といふ
名
(
な
)
を
与
(
あた
)
へ、
003
例
(
れい
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひながら、
004
ローマの
都
(
みやこ
)
の
中心
(
ちうしん
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
つた。
005
今日
(
けふ
)
は
元照別
(
もとてるわけの
)
天使
(
かみ
)
の
誕生祭
(
たんじやうさい
)
とかで、
006
家々
(
いへいへ
)
に
紅
(
あか
)
や、
007
白
(
しろ
)
や、
008
青
(
あを
)
の
旗
(
はた
)
を
掲
(
かか
)
げ、
009
祝意
(
しゆくい
)
を
表
(
へう
)
しゐたりける。
010
而
(
しかし
)
て
数千
(
すうせん
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
は、
011
白
(
しろ
)
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
に
紫
(
むらさき
)
の
襷
(
たすき
)
を
十文字
(
じふもんじ
)
に
綾取
(
あやど
)
り、
012
石
(
いし
)
や
茶碗
(
ちやわん
)
や、
013
鉦
(
かね
)
や
錻力鑵
(
ぶりきくわん
)
のやうなものを
叩
(
たた
)
いて、
014
ワツシヨワツシヨと
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
つて
走
(
はし
)
つてくる。
015
さうして
一同
(
いちどう
)
はウラル
彦
(
ひこ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひながら、
016
勢
(
いきほひ
)
凄
(
すさま
)
じく
海嘯
(
つなみ
)
のやうに
此方
(
こちら
)
を
目
(
め
)
がけて
突進
(
とつしん
)
しきたる。
017
広道別
(
ひろみちわけの
)
天使
(
かみ
)
は、
018
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける』
019
と
謡
(
うた
)
ひながら
進
(
すす
)
まむとするを、
020
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
の
頭
(
かしら
)
らしき
男
(
をとこ
)
は、
021
この
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
つてゐる
宣伝使
(
せんでんし
)
の
横面
(
よこづら
)
めがけて
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
め、
022
首
(
くび
)
も
飛
(
と
)
べよと
言
(
い
)
はぬばかりに
擲
(
なぐ
)
りつけた。
023
宣伝使
(
せんでんし
)
は
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して、
024
又
(
また
)
もや
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ひはじめたり。
025
男
(
をとこ
)
『こいつしぶとい
奴
(
やつ
)
。
026
未
(
ま
)
だほざくか』
027
と
蠑螺
(
さざえ
)
のやうな
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて、
028
処
(
ところ
)
かまはず
打
(
う
)
ち
伏
(
ふ
)
せた。
029
岩彦
(
いはひこ
)
は
仁王
(
にわう
)
のやうな
体躯
(
たいく
)
を
控
(
ひか
)
へ、
030
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
歯
(
は
)
を
食
(
く
)
ひしばり、
031
地団太
(
ぢだんだ
)
を
踏
(
ふ
)
んだ。
032
されど
宣伝歌
(
せんでんか
)
の「
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ、
033
詔
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ」といふ
神言
(
かみごと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
034
かつ
宣伝使
(
せんでんし
)
の
命令
(
めいれい
)
が
無
(
な
)
いので
大道
(
だいだう
)
に
仁王
(
にわう
)
立
(
だ
)
ちとなりしまま、
035
歯
(
は
)
を
食
(
く
)
ひしばるのみなりき。
036
群集
(
ぐんしふ
)
はこの
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
驚
(
おどろ
)
きしか、
037
途中
(
とちう
)
に
立
(
た
)
ち
止
(
とどま
)
りて
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
まず
居
(
ゐ
)
る。
038
後列
(
こうれつ
)
の
弥次馬
(
やじうま
)
は、
039
『ヤーヤイ。
040
どうしてるのだ。
041
進
(
すす
)
まぬか
進
(
すす
)
まぬか』
042
と
呶鳴
(
どな
)
りゐる。
043
宣伝使
(
せんでんし
)
は
打
(
う
)
ち
据
(
す
)
ゑられ
叩
(
たた
)
かれながら、
044
悠々
(
いういう
)
として
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
小声
(
こごゑ
)
で
謡
(
うた
)
ひ、
045
かつ
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
046
たちまち
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
は
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り
頭上
(
づじやう
)
に
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げた
刹那
(
せつな
)
、
047
全身
(
ぜんしん
)
強直
(
きやうちよく
)
して
銅像
(
どうざう
)
のやうになつてしまひ、
048
目
(
め
)
ばかりギヨロギヨロと
廻転
(
くわいてん
)
させるのみであつた。
049
こちらは
岩彦
(
いはひこ
)
の
大男
(
おほをとこ
)
が、
050
眼
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らし、
051
面
(
つら
)
をふくらし、
052
口
(
くち
)
をへの
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
んで
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げたまま、
053
直立
(
ちよくりつ
)
不動
(
ふどう
)
の
態
(
てい
)
である。
054
一方
(
いつぱう
)
は
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
め
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げたまま、
055
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けたまま
強直
(
きやうちよく
)
して、
056
たちまちローマの
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
には、
057
阿吽
(
あうん
)
の
仁王
(
にわう
)
様
(
さま
)
が
現
(
あら
)
はれたる
如
(
ごと
)
くなりき。
058
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
からは、
059
『
仁王
(
にわう
)
さまぢや
仁王
(
にわう
)
さまぢや』
060
と
叫
(
さけ
)
ぶものあり、
061
それに
続
(
つづ
)
いて
群集
(
ぐんしふ
)
は
又
(
また
)
もや
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
062
『
仁王
(
にわう
)
ぢや
仁王
(
にわう
)
ぢや、
063
ようマア
似合
(
にあ
)
うた
仁王
(
にわう
)
さまぢや』
064
と
無駄口
(
むだぐち
)
を
叩
(
たた
)
きはじめたり。
065
このとき
横合
(
よこあひ
)
より
美
(
うるは
)
しい
女
(
をんな
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
066
又
(
また
)
もや、
067
『この
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
御霊
(
みたま
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
068
ただ
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ』
069
と
謡
(
うた
)
ひながら、
070
この
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれたり。
071
群集
(
ぐんしふ
)
は
口々
(
くちぐち
)
に、
072
『オーイ、
073
見
(
み
)
よ
見
(
み
)
よ、
074
立派
(
りつぱ
)
な
仁王
(
にわう
)
さまができたと
思
(
おも
)
ふたら、
075
今度
(
こんど
)
は
三十三
(
さんじふさん
)
相
(
さう
)
揃
(
そろ
)
うた
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
観世音
(
くわんぜおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
だ。
076
拝
(
をが
)
め
拝
(
をが
)
め』
077
と
異口
(
いく
)
同音
(
どうおん
)
に
叫
(
さけ
)
び
出
(
い
)
だしたり。
078
『ヨーヨー』
079
と
数千
(
すうせん
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
は、
080
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
を
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
き、
081
さしもに
広
(
ひろ
)
き
都
(
みやこ
)
大路
(
おほぢ
)
の
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
も、
082
すし
詰
(
づめ
)
となつて、
083
風
(
かぜ
)
の
通
(
とほ
)
る
隙間
(
すきま
)
も
無
(
な
)
いやうになつて
来
(
き
)
た。
084
女
(
をんな
)
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
085
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
謡
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したるに、
086
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
には
罵詈
(
ばり
)
雑言
(
ざふごん
)
を
逞
(
たくま
)
しうする
弥次馬
(
やじうま
)
さえ、
087
沢山
(
たくさん
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たりぬ。
088
女
(
をんな
)
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
089
細
(
ほそ
)
き、
090
白
(
しろ
)
き
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げて、
091
左右左
(
さいうさ
)
に
振
(
ふ
)
つた。
092
悪口
(
あくこう
)
雑言
(
ざふごん
)
をほざいた
群集
(
ぐんしふ
)
は、
093
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
いたなり、
094
閉
(
と
)
ぢることもできず
強直
(
きやうちよく
)
して、
095
アーアと
言
(
い
)
ひながら
涎
(
よだれ
)
を
垂
(
た
)
らすもの、
096
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
に
現
(
あら
)
はれたり。
097
このとき
前方
(
ぜんぱう
)
より、
098
行列
(
ぎやうれつ
)
厳
(
いか
)
めしく
立派
(
りつぱ
)
な
乗物
(
のりもの
)
に
乗
(
の
)
り
来
(
く
)
るものあり。
099
乗物
(
のりもの
)
の
前後
(
ぜんご
)
には、
100
沢山
(
たくさん
)
の
伴人
(
とも
)
が
警護
(
けいご
)
して
人払
(
ひとはら
)
ひしながら、
101
おひおひと
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
るあり。
102
これはローマの
城主
(
じやうしゆ
)
元照別
(
もとてるわけの
)
天使
(
かみ
)
が、
103
誕生
(
たんじやう
)
の
祝
(
いは
)
ひを
兼
(
か
)
ね、
104
地中海
(
ちちうかい
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
参拝
(
さんぱい
)
する
途中
(
とちう
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
なりける。
105
群集
(
ぐんしふ
)
は
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
散
(
ち
)
つて
了
(
しま
)
つた。
106
仁王
(
にわう
)
さまは、
107
依然
(
いぜん
)
として
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
に
二柱
(
ふたはしら
)
相並
(
あひなら
)
んで、
108
阿吽
(
あうん
)
の
息
(
いき
)
を
凝
(
こ
)
らして
佇立
(
ちよりつ
)
してゐる。
109
先払
(
さきばら
)
ひは
仁王
(
にわう
)
にむかひ、
110
『
右
(
みぎ
)
へ
右
(
みぎ
)
へ』
111
と
声
(
こゑ
)
をかけた。
112
仁王
(
にわう
)
は
ウン
とも、
113
スン
とも
言
(
い
)
はず、
114
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
に
鯱虎
(
しちやこ
)
張
(
ば
)
つてゐる。
115
広道別
(
ひろみちわけの
)
天使
(
かみ
)
は
路傍
(
ろばう
)
の
或
(
ある
)
家
(
いへ
)
の
軒先
(
のきさき
)
に
立
(
た
)
つて、
116
この
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
めゐたり。
117
先払
(
さきばらい
)
『この
無礼者
(
ぶれいもの
)
。
118
右
(
みぎ
)
へと
言
(
い
)
つたら、
119
なぜ
右
(
みぎ
)
へ
行
(
ゆ
)
かぬか。
120
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
ゐるか。
121
勿体
(
もつたい
)
なくもローマの
城主
(
じやうしゆ
)
元照別
(
もとてるわけの
)
天使
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
通行
(
つうかう
)
だ。
122
速
(
すみや
)
かに
右
(
みぎ
)
へ
寄
(
よ
)
れ』
123
といひつつ、
124
あまり
巨大
(
きよだい
)
なる
男
(
をとこ
)
の
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るに、
125
やや
驚
(
おどろ
)
きしと
見
(
み
)
え
慄
(
ふる
)
ひ
声
(
ごゑ
)
で
呶鳴
(
どな
)
りをる。
126
輿
(
こし
)
は
段々
(
だんだん
)
と
進
(
すす
)
んでくる。
127
仁王
(
にわう
)
はどうしても
微躯
(
びく
)
ともせぬ。
128
先払
(
さきばら
)
ひの
甲乙丙
(
かふおつへい
)
は、
129
恐々
(
こはごは
)
前
(
まへ
)
に
寄
(
よ
)
つてこの
大男
(
おほをとこ
)
を
仰
(
あふ
)
ぎ
視
(
み
)
た。
130
見
(
み
)
れば
動
(
うご
)
いてゐるものは
目
(
め
)
ばかりなり。
131
甲
(
かふ
)
『ハヽーこいつは
造
(
つく
)
り
物
(
もの
)
だな。
132
ローマの
人民
(
じんみん
)
は
今日
(
けふ
)
は
御
(
ご
)
城主
(
じやうしゆ
)
の
御
(
お
)
通
(
とほ
)
りだと
思
(
おも
)
つて、
133
アーチの
代
(
かは
)
りにこんな
所
(
ところ
)
に、
134
仁王立
(
にわうだ
)
ちを
拵
(
こしら
)
へて
立
(
た
)
てときよつたらしい。
135
しかしもつと
距離
(
きより
)
を
開
(
あ
)
けとかぬと、
136
これでは
通
(
とほ
)
れはせぬワイ。
137
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
だな』
138
乙
(
おつ
)
『イヤ、
139
此奴
(
こいつ
)
は
人間
(
にんげん
)
だぞ。
140
それ
見
(
み
)
い、
141
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いてらア。
142
ど
偉
(
えら
)
い
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
きよつて
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
を
嚇
(
おど
)
かさうといふ
駄洒落
(
だじやれ
)
だな。
143
ヤイ、
144
退
(
ど
)
かぬか。
145
どかぬと
目
(
め
)
を
突
(
つ
)
いてやるぞ』
146
丙
(
へい
)
『
無茶
(
むちや
)
するない、
147
もし
神
(
かみ
)
さまが
化
(
ば
)
けとるのぢやつたら、
148
如何
(
どう
)
する、
149
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
るぞ』
150
甲
(
かふ
)
『
神
(
かみ
)
さまなら、
151
一
(
ひと
)
つ
頼
(
たの
)
んで
見
(
み
)
ようかい。
152
モシモシ
渋紙
(
しぶがみ
)
さま』
153
乙
(
おつ
)
『
渋紙
(
しぶかみ
)
さまてあるものかい』
154
甲
(
かふ
)
『それでも
渋紙
(
しぶかみ
)
見
(
み
)
たやうな
色
(
いろ
)
してるぢやないかい』
155
乙
(
おつ
)
『
渋紙
(
しぶかみ
)
さまなら
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だい。
156
食
(
くら
)
ひものに
渋
(
しぶ
)
い、
157
仕事
(
しごと
)
に
鈍
(
にぶ
)
い、
158
そこで
死
(
し
)
に
損
(
ぞこ
)
なひの
合
(
あは
)
せて
六分
(
ろくぶ
)
を
除
(
のぞ
)
つて、
159
後
(
あと
)
の
残
(
のこ
)
りの
渋紙
(
しぶがみ
)
の
貧乏神
(
びんばふがみ
)
つたら、
160
貴様
(
きさま
)
のことだ。
161
この
間
(
あひだ
)
も
貴様
(
きさま
)
のとこの
嬶
(
かか
)
に
貧乏神
(
びんばふがみ
)
と、
162
ぼや
かられよつて、
163
猿
(
さる
)
が
渋柿
(
しぶがき
)
喰
(
く
)
つたやうな
顔
(
かほ
)
をさらして、
164
渋々
(
しぶしぶ
)
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
きよつたぢやないか』
165
甲
(
かふ
)
『しぶとい
奴
(
やつ
)
ぢや。
166
こんな
大道
(
だいだう
)
の
真中
(
まんなか
)
で、
167
他人
(
ひと
)
の
所
(
ところ
)
の
内
(
うち
)
の
棚卸
(
たなおろ
)
しまで
止
(
や
)
めて
貰
(
もら
)
はふかい。
168
そんなこと
吐
(
ぬ
)
かすと
仁王
(
にわう
)
さまに
取掴
(
とつつか
)
まるぞ。
169
それそれあのお
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
い、
170
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
斜
(
ななめ
)
なりだ。
171
あの
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げた
鉄拳
(
てつけん
)
が、
172
今
(
いま
)
貴様
(
きさま
)
の
頭上
(
づじやう
)
にくるぞ』
173
乙
(
おつ
)
『
馬鹿
(
ばか
)
言
(
い
)
へ、
174
造
(
つく
)
り
物
(
もの
)
だ、
175
造
(
つく
)
り
物
(
もの
)
だ』
176
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
よりは、
177
『
進
(
すす
)
め、
178
進
(
すす
)
め』
179
と
号令
(
がうれい
)
がかかる。
180
このとき
一方
(
いつぱう
)
の
仁王
(
にわう
)
は
大手
(
おほで
)
を
拡
(
ひろ
)
げて、
181
『
通
(
とほ
)
ること
罷
(
まか
)
りならぬ』
182
と
怒鳴
(
どな
)
りゐる。
183
丙
(
へい
)
『オー
化物
(
ばけもの
)
が
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
うた。
184
ヤイ
貴様
(
きさま
)
は
昼
(
ひる
)
の
白昼
(
はくちう
)
に、
185
こンな
所
(
ところ
)
へ
出
(
で
)
て
化
(
ば
)
けたつてあかぬぞー。
186
仁王
(
にわう
)
の
幽霊
(
いうれい
)
奴
(
め
)
が』
187
又
(
また
)
もや
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
より、
188
『
進
(
すす
)
め、
189
進
(
すす
)
め』
190
の
声
(
こゑ
)
が
頻
(
しき
)
りに
聞
(
きこ
)
えきたる。
191
(
大正一一・一・二四
旧大正一〇・一二・二七
外山豊二
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
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