霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一二章 (はな)(はな)〔六二三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第17巻 如意宝珠 辰の巻 篇:第3篇 鬼ケ城山 よみ(新仮名遣い):おにがじょうざん
章:第12章 花と花 よみ(新仮名遣い):はなとはな 通し章番号:623
口述日:1922(大正11)年04月23日(旧03月27日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年1月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
悦子姫は、音彦と加米彦を供として三嶽山に差し掛かった。そこで、谷川で血にまみれた衣をすすぐ一人の美しい女がいた。
音彦が話を聞くと、女は真名井ケ原へ参詣の途中、鬼雲彦の一味である荒鷹・鬼鷹によって、二人の僕と共にさらわれてきたのだ、という。僕の二人は、バラモン教の手下によって殺され、その供養の為に衣を洗っているのだ、と明かした。
女は紫姫と名乗った。加米彦は、心当たりがある様子を見せるが、滑稽なことを言ってごまかす。その様子に紫姫は一行に心を許して行く。
悦子姫ら一行は、荒鷹・鬼鷹らを言向け和すために、一味の隠れ家に案内するように、と提案する。ちょうど荒鷹・鬼鷹は不在で、手下たちだけが留守を守っているというので、紫姫に付いて岩窟に向かう。
加米彦は一味の掘った落とし穴に落ちてしまうが、悦子姫と紫姫が縄梯子を編んで助け出し、一行は岩窟に乗り込んでいく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-02-14 00:42:12 OBC :rm1712
愛善世界社版:185頁 八幡書店版:第3輯 592頁 修補版: 校定版:191頁 普及版:82頁 初版: ページ備考:
001メソポタミヤの瑞穂国(みづほくに)
002世界(せかい)楽土(らくど)(きこ)えたる
003顕恩郷(けんおんきやう)()りすてて
004自転倒(おのころ)(じま)()(きた)
005(しこ)曲津(まがつ)大江山(おほえやま)
006山寨(とりで)(かま)へて神国(かみくに)
007蹂躙(じうりん)せむと千万(ちよろづ)
008(こころ)(つく)鬼雲彦(おにくもひこ)
009(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
010(つか)へまつれる鬼武彦(おにたけひこ)
011()退(やら)はれて中空(ちうくう)
012(かけ)つて伊吹(いぶき)(やま)()
013(くも)(かすみ)()()れど
014鬼雲彦(おにくもひこ)(ちから)(たの)
015剛力(がうりき)無双(むさう)曲司(まがつかさ)
016()(おそ)ろしき鬼熊別(おにくまわけ)
017八岐(やまた)大蛇(をろち)(しこ)(みたま)(あやつ)られ
018荒鷹(あらたか)鬼鷹(おにたか)諸共(もろとも)
019大江(おほえ)(やま)(みね)つづき
020(おに)(じやう)にと第二(だいに)(とりで)(かま)
021(とき)(はか)らひ捲土(けんど)重来(ぢうらい)
022秘策(ひさく)()らし
023一挙(いつきよ)聖地(せいち)()()せて
024(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
025国武彦(くにたけひこ)大神(おほかみ)
026神政(しんせい)成就(じやうじゆ)経綸地(けいりんち)
027桶伏山(をけふせやま)蓮華台(れんげだい)
028(つづ)いて四尾(よつを)神山(かみやま)
029力限(ちからかぎ)りに占領(せんりやう)せむと
030(こころ)(くだ)くぞ(はか)()けれ。
031 三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)032悦子姫(よしこひめ)音彦(おとひこ)033加米彦(かめひこ)(ともな)真名井(まなゐ)(はら)(あと)にして三嶽山(みたけやま)(さし)かかる。034(とき)しもあれや谷川(たにがは)に、035()(まみ)れたる(ころも)(すす)一人(ひとり)美人(びじん)036(さん)(にん)姿(すがた)(なが)めて(あき)(がほ)
037音彦(おとひこ)『モシモシ悦子姫(よしこひめ)(さま)038(この)深山(しんざん)幽谷(いうこく)()らるる(ごと)妙齢(めうれい)美人(びじん)(ただ)一人(ひとり)039()(まみ)れたる(きぬ)(あら)ひ、040吾々(われわれ)姿(すがた)(なが)めて(なに)思案顔(しあんがほ)041これには(ふか)様子(やうす)のある(こと)御座(ござ)いませう。042(ひと)つあの(をんな)引捉(ひつとら)まへて詰問(きつもん)して()ませうか』
043悦子姫(よしこひめ)(なに)()うても人里(ひとざと)(はな)れし(この)谷川(たにがは)044合点(がてん)()かぬ(こと)である。045貴方(あなた)()苦労(くらう)だが(おと)なしくあの(をんな)()いて()(くだ)さい』
046音彦(おとひこ)承知(しようち)(いた)しました、047加米彦(かめひこ)048(まへ)悦子姫(よしこひめ)(さま)此処(ここ)()つて()()れ、049(おれ)(この)谷川(たにがは)(わた)つて(あや)しの(をんな)(ひと)質問(しつもん)をやつて()る、050大抵(たいてい)この(やま)様子(やうす)(わか)らうから』
051()ふより(はや)(すそ)をからげ谷川(たにがは)向岸(むかう)(わた)つた。
052音彦(おとひこ)『コレヤコレヤ、053人里(ひとざと)(はな)れしこの深山(しんざん)幽谷(いうこく)浦若(うらわか)(をんな)一人(ひとり)054()(まみ)れたる衣服(いふく)洗濯(せんたく)(いた)()るは如何(いか)なる理由(りいう)あつてか、055(さだ)めて(この)(へん)には悪神(あくがみ)巣窟(さうくつ)があつて、056(ひと)()(くら)うと(さつ)せらるる、057サアつぶさ委細(ゐさい)物語(ものがた)れよ』
058 (をんな)(なみだ)をはらはらと(なが)しながら、
059女(紫姫)『ハイ(わたくし)(みやこ)(をんな)御座(ござ)います、060大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)一味(いちみ)悪神(あくがみ)061荒鷹(あらたか)062鬼鷹(おにたか)両人(りやうにん)が、063真名井(まなゐ)(はら)(かみ)(さま)二人(ふたり)(しもべ)(したが)参詣(さんけい)途中(とちう)064言葉(ことば)(たくみ)計略(けいりやく)をもつて(わらは)主従(しゆじゆう)()(きた)り、065二人(ふたり)下僕(しもべ)種々(いろいろ)苦役(くえき)(めい)ぜられ、066身体(しんたい)疲労(ひらう)結果(けつくわ)067もはや手足(てあし)(うご)けなくなりまして、068(くる)しみ(もだ)える(ところ)を、069慈悲(じひ)(なさけ)荒鷹(あらたか)鬼鷹(おにたか)両人(りやうにん)指揮(しき)(もと)に、070()つて(たか)つて二人(ふたり)下僕(しもべ)嬲殺(なぶりごろ)し、071手足(てあし)をもぎ()り、072真裸(まつぱだか)となし土中(どちう)()めましたさうです。073さうして(わらは)(なさけ)ない荒鷹(あらたか)074鬼鷹(おにたか)両人(りやうにん)(しいた)げられ、075あるにあられぬ(かな)しい月日(つきひ)(おく)つて()ります。076今日(けふ)(さいは)両人(りやうにん)(おに)(じやう)鬼熊別(おにくまわけ)大将(たいしやう)(もと)()されて(まゐ)りました。077(あと)には四五(しご)下僕(しもべ)(ども)078二人(ふたり)留守(るす)(さいは)ひお(さけ)()ませ()はして()いて、079下僕(しもべ)二人(ふたり)着衣(ちやくい)(さが)(もと)め、080(この)谷水(たにみづ)(あら)(きよ)天日(てんぴ)()し、081これを夜具(やぐ)(つく)()へて、082せめては下僕(しもべ)遺物(かたみ)(かれ)菩提(ぼだい)(とむら)うため、083(わらは)肌身(はだみ)につけ(その)(れい)(なぐさ)めやらむと(いま)此処(ここ)に、084(すき)(うかが)洗濯(せんたく)(まゐ)りました』
085と、086ワツと(ばか)りに()()りぬ。087音彦(おとひこ)両手(りやうて)()太息(ふといき)()きながら、
088音彦嗚呼(ああ)飽迄(あくまで)悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)大自在天(だいじざいてん)089バラモン(けう)奴輩(やつばら)惨虐(ざんぎやく)さ』
090音彦(おとひこ)(なみだ)腮辺(しへん)にハラハラと(なが)し、091黙念(もくねん)としてうつむき()る。
092(をんな)(紫姫)貴方(あなた)(さま)(いづ)れの(かた)かは(ぞん)じませぬが、093一寸(ちよつと)見受(みう)(まを)せば(ちから)(つよ)さうな()姿(すがた)094(うつく)しき()婦人(ふじん)()れて(いづ)れへお()(あそ)ばしますか。095(この)三嶽山(みたけやま)は、096大江山(おほえやま)峰続(みねつづ)き、097(おに)(じやう)との中心点(ちうしんてん)聳立(そばだ)つ、098(おそ)ろしき()(やま)御座(ござ)います。099これから(さき)には沢山(たくさん)魔神(まがみ)()みて()りますれば、100これより(さき)剣呑(けんのん)千万(せんばん)101どうぞ(この)()よりお()(かへ)(くだ)さいませ、102(また)(わらは)(ごと)憂目(うきめ)にお()ひなされてはお()(どく)御座(ござ)います』
103 音彦(おとひこ)()をしばたたきながら、
104音彦『オヽお女中(ぢよちう)105()親切(しんせつ)()()うて(くだ)さいました。106(しか)しながら吾々(われわれ)は、107(ひと)(たす)ける(かみ)取次(とりつぎ)108如何(いか)なる悪魔(あくま)言向(ことむ)(やは)さねばならぬ神界(しんかい)使命(しめい)()びて(まゐ)つたもの、109仮令(たとへ)如何(いか)なる(おに)大蛇(をろち)110魔神(まがみ)襲来(しふらい)(いた)すとも、111一歩(いつぽ)たりとも退却(たいきやく)(いた)(こと)出来(でき)ませぬ。112どうぞ荒鷹(あらたか)113鬼鷹(おにたか)住家(すみか)()案内(あんない)(くだ)さいませ』
114(をんな)(紫姫)左様(さやう)では御座(ござ)いませうが貴方(あなた)()一行(いつかう)(さん)(にん)115一方(いつぱう)(かず)(かぎ)りのない悪魔(あくま)集団(しふだん)116何程(なにほど)貴方(あなた)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)でも多数(たすう)少数(せうすう)117勝敗(しようはい)(すう)(たたか)はずして(わか)つて()ります。118サアサアどうぞ(はや)くお(かへ)(あそ)ばせ』
119音彦(おとひこ)()親切(しんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)います。120(しか)しながら先刻(せんこく)(うけたま)はれば貴方(あなた)(みやこ)(をんな)(あふ)せられましたが、121(なん)()ふお(かた)御座(ござ)います』
122(をんな)(紫姫)『ハイ、123()()かれては(はづ)かしう御座(ござ)いますが、124(わらは)紫姫(むらさきひめ)(まを)不恙(ふつつか)(をんな)御座(ござ)います』
125 谷川(たにがは)(むかう)より加米彦(かめひこ)126(おほ)きな(こゑ)で、
127加米彦『オーイオーイ、128音彦(おとひこ)129美人(びじん)(とら)へて(なに)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()つて()るのだ。130吾々(われわれ)()たして()いて密約(みつやく)締結(ていけつ)でもやつて()るのか、131ソンナ陽気(やうき)場合(ばあひ)ぢやないぞ、132コンナ谷底(たにそこ)でいちやつく(やつ)があるか、133()加減(かげん)談判(だんぱん)()()げて敵情(てきじやう)大本営(だいほんえい)報告(はうこく)しないか、134悦子姫(よしこひめ)女王(ぢよわう)(さま)顔色(がんしよく)()へて()機嫌斜(きげんななめ)なりだ。135アハヽヽヽ』
136 悦子姫(よしこひめ)()(とが)め、
137悦子姫『これこれ加米彦(かめひこ)さま、138悦子姫(よしこひめ)()機嫌斜(きげんななめ)なりとは(なに)仰有(おつしや)る』
139加米彦(かめひこ)『アア()みませぬ、140(わたくし)言葉(ことば)意味(いみ)深長(しんちやう)(きこ)えたでせう、141どうぞ見直(みなほ)聞直(ききなほ)して(くだ)さいませ、142(とき)(きよう)(じやう)じつい洒落気(しやれき)になつて音彦(おとひこ)揶揄(からかつ)()たのですよ。143谷川(たにがは)此方(こちら)には(はな)(あざむ)悦子姫(よしこひめ)(さま)144そして加米彦(かめひこ)配合(はいがふ)145(かは)対岸(むこう)には妙齢(めうれい)のナイス、146音彦(おとひこ)大丈夫(ますらを)147(たに)(へだ)てて一対(いつつい)若夫婦(わかふうふ)(ぜん)とした(この)光景(くわうけい)148()にあるやうなスタイルぢやありませぬか。149樹木(じゆもく)(あひだ)(ゆき)はチラチラと(のこ)り、150淙々(そうそう)たる渓流(けいりう)(こと)(だん)じ、151幽邃(いうすゐ)閑雅(かんが)深谷川(ふかたにがは)152上手(じやうず)画工(ぐわこう)にでも写生(しやせい)させたら随分(ずゐぶん)立派(りつぱ)なものが出来(でき)ませう、153アハヽヽヽ』
154悦子姫(よしこひめ)加米彦(かめひこ)さま、155此処(ここ)(もつと)危険(きけん)区域(くゐき)ですよ、156(ちつ)緊張(きんちやう)しなさらぬか』
157加米彦(かめひこ)(じう)()(がう)(せい)す、158(がう)(ちう)(じう)あり(じう)(ちう)(がう)あり、159敵地(てきち)(のぞ)んで悠々(いういう)閑々(かんかん)綽々(しやくしやく)として余裕(よゆう)(ぞん)するは、160ヒーロー豪傑(がうけつ)心事(しんじ)御座(ござ)る、161アハヽヽヽ』
162 川向(かはむか)ふより音彦(おとひこ)
163音彦『オーイオーイ加米彦(かめひこ)164悦子姫(よしこひめ)(さま)のお(とも)をして此地(こつち)(わた)つて()い、165(みみ)よりの(はなし)がある』
166加米彦(かめひこ)『ヨシヨシ、167悦子姫(よしこひめ)さま、168サア(まゐ)りませう、169(この)(ふか)谷川(たにがは)170貴方(あなた)()婦人(ふじん)()171(こま)りでせう、172(なん)なら加米彦(かめひこ)()被負(おぶさ)つて(くだ)さい』
173悦子姫(よしこひめ)()親切(しんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)います、174(しか)(なが)加米彦(かめひこ)さま、175自分(じぶん)(こと)自分(じぶん)処置(しよち)をつけねばならぬぢやありませぬか、176(かみ)(さま)(をしへ)には(かなら)(ひと)(つゑ)につくなと御座(ござ)います』
177加米彦(かめひこ)(その)言葉(ことば)(もつと)もながら(なん)だか(あん)じられてなりませぬ、178(しか)らばお()()つて()げませう、179サア(まゐ)りませう』
180(すそ)をからげ、181谷川(たにがは)()りたちぬ。
182悦子姫(よしこひめ)加米彦(かめひこ)さま、183(わらは)貴方(あなた)()()いて()げませう、184大変(たいへん)危険(きけん)激流(げきりう)御座(ござ)いますから』
185(たがひ)(とも)危難(きなん)気遣(きづか)殊勝(しゆしよう)さ。
186加米彦(かめひこ)『アア有難(ありがた)有難(ありがた)い、187この谷川(たにがは)()くば悦子姫(よしこひめ)(さま)握手(あくしゆ)したり提携(ていけい)したりすると()(こと)出来(でき)ない、188南無(なむ)谷川(たにがは)大明神(だいみやうじん)
189悦子姫(よしこひめ)『ホヽヽヽ、190冗談(ぜうだん)()加減(かげん)になされませ』
191加米彦(かめひこ)冗談(ぜうだん)から(ひま)()る、192瓢箪(へうたん)から(こま)()る、193三嶽山(みたけやま)から古今(ここん)無双(むさう)のナイスが(あら)はれる、194大江山(おほえやま)から(おに)()る、195(おに)(じやう)から大蛇(をろち)()る、196(わたし)(くち)から(よだれ)()る、197(あま)(うれ)しうて(なみだ)()る、198アハヽヽヽ』
199悦子姫(よしこひめ)『ホヽヽヽ、200これこれ加米彦(かめひこ)さま(しつか)りしなさらぬか、201(すべ)つたら大変(たいへん)ぢやありませぬか』
202加米彦(かめひこ)(すべ)つても(ころ)げても(かま)ひますものか、203貴女(あなた)(わたし)(この)谷川(たにがは)(よろこ)びて(ころ)こンで寝転(ねころ)ンで(すべ)()ンで心中(しんぢう)したら一寸(ちよつと)(おつ)でせう、204美男(びなん)美人(びじん)心中(しんぢう)物語(ものがたり)205いつの()にか稗田(ひえだ)阿礼(あれい)二代目(にだいめ)(あら)はれて、206霊界(れいかい)物語(ものがたり)(この)ローマンスを針小(しんせう)棒大(ぼうだい)()()て、207()竹帛(ちくはく)()末代(まつだい)(かた)(ぐさ)にして()れるかも()れませぬよ、208アハヽヽヽ』
209悦子姫(よしこひめ)加米彦(かめひこ)さま、210()うやらお(かげ)無難(ぶなん)(わた)つて()ました』
211加米彦(かめひこ)『アヽ()りとは(せま)(かは)だ、212貴女(あなた)一緒(いつしよ)握手(あくしゆ)提携(ていけい)して(ある)くなら、213仮令(たとへ)河幅(かははば)(さん)()あつても()()あつても、214(すこ)しも、215(とほ)いとは(おも)ひませぬワ』
216悦子姫(よしこひめ)『ホヽヽヽ、217加米(かめ)さま、218()加減(かげん)惚気(のろけ)()きなさい』
219とポンと(たた)く。220加米(かめ)221(くび)をすくめ()(ほそ)うし、222(した)一寸(ちよつと)()して、
223加米彦『ヤア()めた()めた、224(いで)たな、225もつともつと(たた)いて(くだ)さいな』
226悦子姫(よしこひめ)『アヽ加米(かめ)さまの()かぬたらしいお(かた)227ホヽヽヽ』
228音彦(おとひこ)『オーイオーイ、229加米彦(かめひこ)230(なん)だか()らぬが()機嫌斜(きげんななめ)ならずだなア、231要領(えうりやう)()たのか、232密約(みつやく)成立(せいりつ)したか』
233悦子姫(よしこひめ)『ホヽヽヽ』
234加米彦(かめひこ)(なに)235条約(でうやく)不成立(ふせいりつ)不得(ふとく)要領(えうりやう)だ』
236音彦(おとひこ)不得(ふとく)要領(えうりやう)(うち)要領(えうりやう)()るのが戦術家(せんじゆつか)智略(ちりやく)だ、237アハヽヽヽ』
238紫姫(むらさきひめ)『ホヽヽヽ、239貴方(あなた)(がた)気楽(きらく)なお(かた)ですねえ、240最前(さいぜん)からの皆様(みなさま)のお(はなし)(わたくし)(こころ)憂愁(いうしう)何処(どこ)へやら煙散(えんさん)霧消(むせう)して仕舞(しま)ひましたワ』
241 悦子姫(よしこひめ)242加米彦(かめひこ)(やうや)二人(ふたり)(まへ)辿(たど)()きぬ。
243音彦(おとひこ)『モシモシ悦子姫(よしこひめ)(さま)244(この)(かた)紫姫(むらさきひめ)()つて(みやこ)(かた)ぢやさうです、245二人(ふたり)下僕(しもべ)(したが)真名井(まなゐ)(はら)参詣(さんけい)途中(とちう)246荒鷹(あらたか)247鬼鷹(おにたか)両人(りやうにん)誘拐(かどはか)され、248二人(ふたり)下僕(しもべ)嬲殺(なぶりごろ)しに()はされたさうです、249()(どく)ぢやありませぬか』
250悦子姫(よしこひめ)『………』
251加米彦(かめひこ)『ナニ、252二人(ふたり)下僕(しもべ)嬲殺(なぶりごろ)しに()つたと、253ヨシ(おれ)にも(かんが)へがある、254サア音彦(おとひこ)255(その)荒鷹(あらたか)鬼鷹(おにたか)()(やつ)256これから(ひと)(おに)(じやう)征伐(せいばつ)門出(かどで)血祭(ちまつり)にしやうではないか、257モシモシ紫姫(むらさきひめ)(さま)258(なが)らくお()(かか)りませぬ、259()機嫌(きげん)宜敷(よろし)う、260(まこと)()無沙汰(ぶさた)(いた)しまして』
261紫姫(むらさきひめ)貴方(あなた)何方(どなた)御座(ござ)いましたか、262記憶(きおく)()かびませぬ』
263加米彦(かめひこ)『アヽさうでした、264(はじ)めてお()にぶら(さが)つたのですよ、265(わたくし)(わか)(とき)のスヰートハートしたナイスに、266何処(どこ)やら()()まして御座(ござ)るものだから、267つい(かんが)(ちが)ひを(いた)しました、268アハヽヽヽ』
269音彦(おとひこ)『ワハヽヽヽ』
270紫姫(むらさきひめ)『ホヽヽヽヽ』
271 紫姫(むらさきひめ)272(はじ)めてニタリと(わら)ふ。
273音彦(おとひこ)紫姫(むらさきひめ)さま、274貴女(あなた)(とら)はれて()巌窟(がんくつ)案内(あんない)して(くだ)さい、275これから()つて悪神(あくがみ)(やつ)276(かた)(ぱし)から粉砕(ふんさい)して()れませう、277ヤア面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、278(うで)()つて(たま)らないワ、279この(にぎ)(こぶし)のやり(どころ)()い、280サア(はや)案内(あんない)して(くだ)さいナ』
281紫姫(むらさきひめ)『ヤアそれはお見合(みあは)(あそ)ばせ、282大変(たいへん)御座(ござ)いますよ、283ならう(こと)なら(わらは)一緒(いつしよ)()れて()げて(くだ)さいませぬか』
284加米彦(かめひこ)『エヽ()(よわ)(こと)仰有(おつしや)るな、285吾々(われわれ)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)()守護(しゆご)がある、286(かなら)(かなら)()心配(しんぱい)なさいますな、287サア案内(あんない)して(くだ)さい、288悦子姫(よしこひめ)さま、289音彦(おとひこ)殿(どの)290サア()きませう』
291紫姫(むらさきひめ)左様(さやう)なら(わらは)()案内(あんない)(いた)します、292荊棘(けいきよく)(しげ)難路(なんろ)御座(ござ)います、293(のこ)ンの(ゆき)(たま)つて()りますれば足許(あしもと)()をつけて(くだ)さいや』
294(さき)()つ。295一行(いつかう)(ゆき)坂道(さかみち)辿(たど)つて紫姫(むらさきひめ)(あと)について()く。296紫姫(むらさきひめ)(みちび)かれ二三丁(にさんちやう)羊腸(やうちやう)小道(こみち)辿(たど)()く。297前方(ぜんぱう)見上(みあぐ)(ばか)りの大岩石(だいがんせき)(ひろ)左右(さいう)二三丁(にさんちやう)(ばか)展開(てんかい)()たり。
298 紫姫(むらさきひめ)中央(まんなか)岩石(がんせき)()し、
299紫姫皆様(みなさま)300あの(いはほ)(した)巨大(きよだい)なる(あな)()いて()ります、301今日(けふ)荒鷹(あらたか)302鬼鷹(おにたか)大将株(たいしやうかぶ)(おに)(じやう)(まゐ)りまして不在(ふざい)御座(ござ)います。303四五(しご)(にん)小鬼(こおに)(ども)(みな)(さけ)()(つぶ)れて(やす)みて()りますから大丈夫(だいぢやうぶ)304()安心(あんしん)して(くだ)さいませ』
305加米彦(かめひこ)『ヤア思惑(おもわく)とは洒落(しやれ)(こと)悪神(あくがみ)(やつ)やつて()(わい)306(やま)(また)(やま)(つつ)まれたこの高山(かうざん)幽谷(いうこく)307難攻(なんこう)不落(ふらく)金城(きんじやう)鉄壁(てつぺき)とは(この)(こと)だ。308(さすが)悪神(あくがみ)だけあつて()地利(ちり)(えら)ンだものだ。309一卒(いつそつ)(みち)(あた)れば万軍(ばんぐん)(すす)(あた)はずと()要害(えうがい)堅固(けんご)絶所(ぜつしよ)だなア』
310(くび)(かたむ)(あき)れて(した)()いて()る。
311音彦(おとひこ)『よく感心(かんしん)する(をとこ)だなア、312加米(かめ)さま()()つたかな』
313加米彦(かめひこ)()()るの()らないのつて、314いやもうずつと()()りました、315風景(ふうけい)()要害(えうがい)()天下(てんか)(ちん)だ、316サアサア()きませう、317巌窟(がんくつ)探険(たんけん)退屈(たいくつ)ざましに面白(おもしろ)からう』
318(さき)()つて(はし)()すを、319紫姫(むらさきひめ)()()げて、
320紫姫『モシモシ貴方(あなた)321(わらは)()案内(あんない)(いた)しませう、322其処(そこ)には(ふか)(ふか)陥穽(おとしあな)御座(ござ)います、323滅多(めつた)矢鱈(やたら)にお(いで)なさつては剣呑(けんのん)御座(ござ)いますから』
324 加米彦(かめひこ)(みみ)にもかけず巌窟(がんくつ)目蒐(めが)けて一目散(いちもくさん)駆出(かけだ)したるが、325(たちま)ちドサツと(おと)して陥穽(おとしあな)()()みにける。
326紫姫(むらさきひめ)『アヽ大変(たいへん)大変(たいへん)327皆様(みなさま)どうぞ(たす)けて()げて(くだ)さいませ』
328音彦(おとひこ)慌者(あわてもの)だなア、329仕方(しかた)()い』
330(はし)()かむとするを紫姫(むらさきひめ)は、
331紫姫『モシモシ(あわて)(くだ)さるな、332沢山(たくさん)陥穽(おとしあな)333(わらは)()案内(あんない)(いた)します、334(あと)からついて()(くだ)さい』
335音彦(おとひこ)『アヽさうかなア、336何処迄(どこまで)注意(ちうい)周到(しうたう)なものだ、337ソンナラ先頭(せんとう)(たの)みませう、338悦子姫(よしこひめ)(さま)339失礼(しつれい)ながらお(さき)(まゐ)ります、340(わたくし)足跡(あしあと)()みて()(くだ)さい、341危険(きけん)ですから』
342悦子姫(よしこひめ)『ハイ有難(ありがた)う』
343 加米彦(かめひこ)二三丈(にさんぢやう)もある(ふか)陥穽(おとしあな)()()みしが、344(さいは)(すこ)しの怪我(けが)もなく井戸(ゐど)(そこ)突立(つつた)ちながら、
345加米彦『ヤア悪神(わるがみ)(やつ)346エライ(こと)をしよつた。347紫姫(むらさきひめ)とやら、348彼奴(あいつ)鬼熊別(おにくまわけ)一味(いちみ)(やつ)相違(さうゐ)ない、349愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると悦子姫(よしこひめ)さまも音彦(おとひこ)(おな)じやうに、350空中(くうちう)滑走(かつそう)井底(せいてい)着陸(ちやくりく)とやられるか()れやしないぞ、351かうして井底(せいてい)佇立(ちよりつ)して()(あたま)(うへ)から岩石(がんせき)でも(おと)されやうものなら、352それこそお(たま)小坊子(こぼし)()いワイ、353嗚呼(ああ)縮尻(しくじつ)たりな縮尻(しくじつ)たりな、354三五教(あななひけう)(あな)()くて安心(あんしん)だが、355(いま)()(なか)どこ(あな)だらけだ。356(あな)(おそ)ろしの娑婆(しやば)世界(せかい)
357(つぶや)()たりしが、358足許(あしもと)水溜(みづたま)りにパツと(うつ)つた悦子姫(よしこひめ)(かほ)
359加米彦(かめひこ)『ヤア(また)()やがつたな、360()谷川(たにがは)(わた)(とき)361悦子姫(よしこひめ)さまに揶揄(からか)つたものだから、362紫姫(むらさきひめ)(やつ)363加米彦(かめひこ)悦子姫(よしこひめ)(うつつ)()かしてゐると早合点(はやがつてん)しよつて、364()(そこ)(ひめ)(かほ)(あら)はしよつたのだな、365どつこい(その)()()はぬぞ、366(すべ)悪神(あくがみ)(いろ)をもつて、367男子(だんし)死地(しち)陥入(おとしい)るると()く、368オイ化物(ばけもの)369悦子姫(よしこひめ)姿(すがた)()せた(ところ)(その)()()るものかい、370道心(だうしん)堅固(けんご)三五教(あななひけう)加米彦(かめひこ)だ、371馬鹿(ばか)にするない』
372 頭上(づじやう)から悦子姫(よしこひめ)は、
373悦子姫『モシモシ加米彦(かめひこ)さま大変(たいへん)なお(あぶ)ない(こと)御座(ござ)いました。374怪我(けが)御座(ござ)いませぬか』
375加米彦(かめひこ)『ヤア悦子姫(よしこひめ)さまか、376ようマア無事(ぶじ)陥穽(おとしあな)へもはまらないで()(くだ)さつた。377音彦(おとひこ)さまはどうなりました。378()無事(ぶじ)ですかなア』
379悦子姫(よしこひめ)『ハイ有難(ありがた)う、380此処(ここ)紫姫(むらさきひめ)さまと()()られます、381貴方(あなた)をお(たす)けしやうと(おも)つて(つな)()みて()るところで御座(ござ)います、382(しばら)くお()(くだ)さいませ』
383加米彦(かめひこ)『ヤア有難(ありがた)う、384(かみ)(すく)ひの()(つな)385(この)(かみ)(この)(ひと)(おも)うて(つな)をかけたら(はな)さぬぞよと()()神勅(しんちよく)実現(じつげん)だナア。386アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
387 音彦(おとひこ)388紫姫(むらさきひめ)二人(ふたり)手早(てばや)縄梯子(なはばしご)()み、389()()ろせば、390加米彦(かめひこ)は、
391加米彦『ヤア有難(ありがた)い』
392()(あは)しゐる。
393音彦(おとひこ)『サア加米彦(かめひこ)さま、394この(つな)(しつか)(つか)まつた。395(さん)(にん)(ちから)(あは)して()()げませう、396(いち)()(さん)
397(さん)(にん)一度(いちど)手繰(たぐ)()げたり。
398加米彦(かめひこ)『アヽ有難(ありがた)う、399(かげ)(いのち)(たす)かりました。400井戸(ゐど)()()うところだつた、401アヽハヽヽ』
402紫姫(むらさきひめ)加米(かめ)(さま)とやら、403怪我(けが)()くてお目出度(めでた)御座(ござ)います。404サアこれから巌窟(がんくつ)(まゐ)りませう』
405(さき)()(ほそ)(あな)(くぐ)()る。406一行(いつかう)(つづ)いて巌窟(がんくつ)姿(すがた)(かく)しける。
407大正一一・四・二三 旧三・二七 加藤明子録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki