霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 (もつ)(がみ)〔七二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第23巻 如意宝珠 戌の巻 篇:第2篇 恩愛の涙 よみ(新仮名遣い):おんあいのなみだ
章:第8章 縺れ髪 よみ(新仮名遣い):もつれがみ 通し章番号:720
口述日:1922(大正11)年06月11日(旧05月16日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年4月19日
概要: 舞台:熊野の滝 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一方、熊野に向かった木山彦夫婦は、熊野の滝にて息子の鹿に会わせてくれるようにと願をかけて行を行っていた。
二十一日の水行を終えた夜中に、馬のひずめの音と共に中空を駆けて、七八人の神人が現れた。そして夫婦に向かい、熱誠に免じて息子に会わせてやるが、夫婦共に前非を悔いて天則違反の罪を自白せよ、と告げた。
木山彦は、壮年のころにひとりの女と夫婦の約束をし子供をもうけたが、振り捨てて今の女房をもったことを懺悔した。そのため秋彦は継母が来たので六歳の頃に家を飛び出してしまったことを明かした。
一方木山姫は、嫁ぐ前に親の許さぬ仲の男の子を産んだが、子を男に預けてそのまま身を隠したことを懺悔した。
神人は、親子の対面を許すほどに信仰に励むように、と二人に言い渡して姿を消した。そこへ常楠夫婦、駒彦、秋彦、虻公、蜂公がやってきて、滝で禊を始めた。夜陰のことで、木山彦夫婦はただ、熱心な信仰者がやってきたものと思って夜を明かした。
夜が明けると、木山彦は常楠夫婦と駒彦、秋彦の姿を見つけて声をかけた。そして、秋彦が自分の子供であることを明かして親子の対面を果たした。常楠は涙を流して祝意を表した。一同は無言のまま滝に手を合わせて熊野大神に感謝の祈願を祈っている。
このとき麗しい雲が起こり、一柱の女神が現れた。女神は、駒彦は常楠とお久の子であり、秋彦は木山彦とお久の子であり、虻公は常楠と木山姫の子であり、蜂公は木山彦とお久の子であることを告げた。
女神は、いずれも天則違反から生まれたため、神界の罪により今日まで親子の対面を果たすことができなかったが、信仰の力によって罪が許されたのだ、と明かした。そして自分は天教山の木花姫命であると明かすと、姿を消した。
一同は神恩に感謝しながら、若彦の館を指して進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-06-28 21:21:01 OBC :rm2308
愛善世界社版:131頁 八幡書店版:第4輯 541頁 修補版: 校定版:134頁 普及版:60頁 初版: ページ備考:
001 木山彦(きやまひこ)一行(いつかう)(やうや)くにして熊野(くまの)(たき)(ふもと)衣類(いるゐ)()ぎすて、002夫婦(ふうふ)此処(ここ)何事(なにごと)祈願(きぐわん)()らし七日(なぬか)七夜(ななや)(おく)つた。003従者(じゆうしや)助公(すけこう)木山彦(きやまひこ)(めい)()(ただ)ちに帰郷(ききやう)し、004木山彦(きやまひこ)不在(るす)(まも)(こと)となりぬ。
005 此処(ここ)夫婦(ふうふ)一心(いつしん)不乱(ふらん)になつて、006(いま)一度(いちど)(わが)()鹿公(しかこう)()はせ(たま)へと(いの)つて()る。007三七(さんしち)二十一(にじふいち)(にち)水行(すゐぎやう)()へた夜半頃(よなかごろ)008何処(いづく)ともなく山奥(やまおく)(たに)(ひび)かせ(うま)(ひづめ)(おと)(いさ)ましく、009此方(こなた)(むか)つて中空(ちうくう)駆来(かけきた)異様(いやう)神人(しんじん)010七八(しちはち)(にん)(この)()(あら)はれ、011夫婦(ふうふ)(むか)ひ、
012神人(なんぢ)日高(ひだか)(しやう)酋長(しうちやう)にて木山彦(きやまひこ)夫婦(ふうふ)なるべし。013(なんぢ)熱誠(ねつせい)なる祈願(きぐわん)()(とど)け、014一人子(ひとりご)鹿公(しかこう)()はしてやらう(ほど)に、015夫婦(ふうふ)(とも)前非(ぜんぴ)()い、016今迄(いままで)なし(きた)りし天則(てんそく)違反(ゐはん)(つみ)(わが)(まへ)自白(じはく)せよ』
017言葉(ことば)(きび)しく()(わた)し、018(かがみ)(ごと)()(ひか)らし、019白馬(はくば)(またが)つた(まま)両人(りやうにん)(かほ)睥睨(へいげい)して()る。020扈従(こじゆう)(かみ)()えて六七(ろくしち)(にん)(やや)(ちひ)さき(うま)(またが)(おのおの)手槍(てやり)(たづさ)へて()る。021夫婦(ふうふ)戦慄(をのの)(おそ)れ『ハイ』と(ばか)りに平伏(へいふく)したり。
022木山彦(きやまひこ)(わたくし)壮年(さうねん)(ころ)(ある)一人(ひとり)(をんな)夫婦(ふうふ)約束(やくそく)(むす)び、023()(まで)()したる(なか)無惨(むざん)にも()()てて、024(いま)女房(にようばう)()ちました。025(わる)(こと)(まを)せば(わたくし)一代(いちだい)(これ)により(ほか)(おぼ)えは御座(ござ)いませぬ。026(その)(むく)いにや、027二人(ふたり)(むすめ)人身(ひとみ)御供(ごく)()られ、028一人(ひとり)(せがれ)継母(ままはは)()たので何時(いつ)()にか、029幼少(えうせう)(ころ)(わが)()()()して行方(ゆくへ)(さら)(わか)らず、030(とし)追々(おひおひ)()つて()る、031()(なか)寂寥(せきれう)(かん)じ、032面白(おもしろ)からぬ()年月(としつき)(おく)(をり)しも(その)(せがれ)邂逅(めぐりあ)ひ、033半時(はんとき)()()たず言葉(ことば)(ひと)()(かは)さず、034(また)もや竜神(りうじん)(みや)犠牲(いけにへ)()られて仕舞(しま)ひましたのも、035(まつた)(かみ)(さま)冥罰(めいばつ)(あた)つたので御座(ござ)いませう。036何卒(どうぞ)(その)()()はして(くだ)さるやうと、037夫婦(ふうふ)(もの)がお(ねが)ひに(まゐ)つたので御座(ござ)います。038(いま)では女房(にようばう)(とし)()り、039継子(ままこ)(かへ)つたとても(あま)(つら)くは(あた)りますまいから、040一度(いちど)()()御座(ござ)います。041(うけたま)はれば、042(わが)()宣伝使(せんでんし)となつて竜神(りうじん)(みや)悪神(わるがみ)(たひら)げ、043世界(せかい)遍歴(へんれき)して()るさうで御座(ござ)います。044何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)今迄(いままで)(ふか)(つみ)をお(ゆる)(くだ)さいまして、045(あは)れな老夫婦(らうふうふ)(いま)一度(いちど)面会(めんくわい)をさせて(くだ)さいませ』
046(なみだ)ぐむ。047異様(いやう)神人(しんじん)言葉(ことば)(さわや)かに、
048神人如何(いか)にも(なんぢ)(まを)(とほ)寸分(すんぶん)間違(まちが)ひはない。049(なんぢ)女房(にようばう)木山姫(きやまひめ)随分(ずゐぶん)継子(ままこ)(きつ)(あた)つたものぢや。050(しか)(なが)最早(もはや)今日(こんにち)余程(よほど)(こころ)(やはら)()れば、051親子(おやこ)再会(さいくわい)(ゆる)して(つか)はす。052(かなら)(かなら)神信仰(かみしんかう)(おこた)るな』
053 木山姫(きやまひめ)はハツと平伏(ひれふ)し、054(なみだ)(とも)(いに)(むかし)懺悔話(ざんげばなし)(かた)()したり。
055木山姫今日(けふ)(まで)(をつと)にも(かく)して()りましたが、056(かみ)(さま)(なに)()もよく御存(ごぞん)じで御座(ござ)いますから、057(つつ)(かく)さず一伍(いちぶ)一什(しじふ)(かみ)(さま)(おん)(まへ)058(をつと)(まへ)白状(はくじやう)(いた)します。059(わたし)若気(わかげ)いたづらから一人(ひとり)(をとこ)(こしら)(はら)(ふく)れ、060(つひ)には(おや)(ゆる)さぬ()(まう)け、061(たね)()(をとこ)産子(うぶこ)(わた)(その)(まま)姿(すがた)(かく)し、062(いま)(をつと)(めと)られたもので御座(ござ)います。063アヽ(その)()(いま)()うして()りませうか、064もし(この)()成人(せいじん)して()ますなら、065(かみ)(さま)のお慈悲(じひ)一目(ひとめ)()はして(いただ)きたう御座(ござ)います』
066(なみだ)(とも)(たの)()る。067木山彦(きやまひこ)(つま)物語(ものがたり)()いて今更(いまさら)(ごと)(あき)()(ばか)りなりき。068馬上(ばじやう)神人(しんじん)はニコニコしながら、
069神人(なんぢ)()()しと(おも)()は、070(いま)()はしてやらう。071(かなら)信仰(しんかう)(おこた)るな』
072言葉(ことば)(をは)ると(とも)に、073一同(いちどう)(かみ)姿(すがた)()()(ごと)()()せにけり。
074 (かか)(ところ)常楠(つねくす)夫婦(ふうふ)(はじ)秋彦(あきひこ)075駒彦(こまひこ)076虻公(あぶこう)077蜂公(はちこう)六人(ろくにん)(づれ)は、078(この)(たき)()(きよ)めむと夜中(やちう)(やみ)(をか)して()(きた)り、079(たちま)真裸(まつぱだか)となり滝水(たきみづ)()(きよ)め、080天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)した。081木山彦(きやまひこ)夜陰(やいん)(こと)とて一行(いつかう)何人(なんびと)なるか()()かなかつた。082(ただ)熱心(ねつしん)なる信仰者(しんかうしや)とのみ(おも)ひつめ、083夫婦(ふうふ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)祝詞(のりと)()()くる(まで)084大地(だいち)平伏(ひれふ)して奏上(そうじやう)して()た。
085 ()漸々(やうやう)()(はな)れ、086一同(いちどう)(かほ)はハツキリとして()た。
087木山彦(きやまひこ)『オヽ其方(そなた)常楠(つねくす)夫婦(ふうふ)では御座(ござ)らぬか、088ヤア、089秋彦(あきひこ)090駒彦(こまひこ)宣伝使(せんでんし)殿(どの)091これはこれはよい(ところ)でお()(かか)りました。092突然(とつぜん)ながら、093秋彦(あきひこ)宣伝使(せんでんし)(わたくし)(せがれ)御座(ござ)る。094ようまア無事(ぶじ)()()れた。095竜神(りうじん)(みや)(かみ)征服(たひら)げると()神力(しんりき)(そな)へて()るとは(じつ)(えら)いものだ』
096(なみだ)をホロリと(こぼ)す。097秋彦(あきひこ)(やぶ)から(ぼう)(この)言葉(ことば)(すこ)しも(いぶ)かる(いろ)なく、
098秋彦(あきひこ)『アヽ貴方(あなた)父上(ちちうへ)御座(ござ)いましたか、099ようまあ達者(たつしや)()(くだ)さいました』
100人目(ひとめ)(かま)はず木山彦(きやまひこ)(いだ)きつき、101(うれ)(なみだ)()()れて()る。
102常楠(つねくす)(この)(あひだ)から合点(がてん)()かぬ(こと)のみ突発(とつぱつ)して、103彼方(あちら)からも此方(こちら)からも親子(おやこ)対面(たいめん)ばかり、104吾々(われわれ)夫婦(ふうふ)(さん)(にん)()発見(はつけん)(いた)しました。105(これ)(まつた)大神(おほかみ)(さま)のお()(あは)せ、106酋長(しうちやう)殿(どの)大切(たいせつ)なお息子(むすこ)()面会(めんくわい)(あそ)ばして、107こんな大慶(たいけい)(こと)御座(ござ)いませぬ』
108(なみだ)(なが)祝意(しゆくい)(へう)する。109秋彦(あきひこ)110駒彦(こまひこ)111虻公(あぶこう)112蜂公(はちこう)()(にん)無言(むごん)(まま)()(あは)せ、113滝水(たきみづ)(むか)つて『熊野(くまの)大神(おほかみ)(さま)114()(がた)()(れい)申上(まをしあ)げます』と(こころ)(なか)祈願(きぐわん)()めて()る。
115 (この)(とき)何処(いづく)ともなく(うる)はしき(くも)(おこ)りて四辺(あたり)(つつ)み、116忽然(こつぜん)として(あら)はれた一柱(ひとはしら)女神(めがみ)117言葉(ことば)(しと)やかに()(たま)ふやう、
118女神秋彦(あきひこ)119駒彦(こまひこ)両人(りやうにん)至誠(しせい)(めん)じ、120神界(しんかい)より親子(おやこ)対面(たいめん)(ゆる)したのであるぞよ。121(いま)(あらた)めて(なんぢ)()()げむ。122駒彦(こまひこ)常楠(つねくす)123(ひさ)二人(ふたり)(なか)より(うま)れた()である。124(また)秋彦(あきひこ)木山彦(きやまひこ)とお(ひさ)との(あひだ)(うま)れた()である。125(つぎ)虻公(あぶこう)常楠(つねくす)木山姫(きやまひめ)との(なか)(うま)れた()である。126(つぎ)蜂公(はちこう)木山彦(きやまひこ)とお(ひさ)との(なか)(うま)れた()である。127(いづ)れも(みな)天則(てんそく)違反(ゐはん)いたづらより(うま)()でし御子(みこ)なれば、128神界(しんかい)(つみ)()りて今日(けふ)(まで)親子(おやこ)(たがひ)(かほ)()らず、129(おや)()(たづ)ね、130()(おや)(たづ)ねつつあつた。131されど(なんぢ)()信仰(しんかう)(ちから)()つて(おのおの)(つみ)(ゆる)され親子(おやこ)対面(たいめん)をなす(こと)()たのである。132夢々(ゆめゆめ)(うたが)(こと)(なか)れ。133(われ)天教山(てんけうざん)より(くだ)(きた)れる木花姫(このはなひめの)(みこと)なるぞ』
134()()(たま)ひて、135微妙(びめう)音楽(おんがく)(おく)られ崇高(すうかう)なる御姿(みすがた)(けぶり)(ごと)()(たま)ふ。
136 四辺(あたり)(つつ)みし(うる)はしき(くも)はさつと()れて、137さしもに(たか)那智(なち)(たき)()つる(おと)138滔々(たうたう)(とどろ)(わた)り、139(たき)飛沫(ひまつ)(おのおの)日光(につくわう)(えい)じ、140()()はれぬ(うる)はしき光景(くわうけい)となつた。141一同(いちどう)神恩(しんおん)感謝(かんしや)し、142(ここ)(みづ)()らさぬ親子(おやこ)(えん)(よろこ)びつつ、143若彦館(わかひこやかた)()して(すす)()く。
144 惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
145付記(ふき)
146木山彦(きやまひこ)──お(ひさ)……秋彦(あきひこ)鹿(しか)遁児(とんじ)147(ろく)(さい)148継母(ままはは)
149常楠(つねくす)(たね))──お(ひさ)……駒彦(こまひこ)(うま)失児(しつじ)150(さん)(さい)151天狗(てんぐ)
152常楠(つねくす)──木山姫(きやまひめ)(おたつ)……(あぶ)153捨子(すてご)154水児(みづご)155(いつ)(さい)
156木山彦(きやまひこ)──お(ひさ)……(はち)157水児(みづご)158(いつ)(さい)
159大正一一・六・一一 旧五・一六 加藤明子録)
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