霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第41巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 天空地平
01 入那の野辺
〔1105〕
02 入那城
〔1106〕
03 偽恋
〔1107〕
04 右守館
〔1108〕
05 急告
〔1109〕
06 誤解
〔1110〕
07 忍術使
〔1111〕
第2篇 神機赫灼
08 無理往生
〔1112〕
09 蓮の川辺
〔1113〕
10 狼の岩窟
〔1114〕
11 麓の邂逅
〔1115〕
12 都入り
〔1116〕
第3篇 北光神助
13 夜の駒
〔1117〕
14 慈訓
〔1118〕
15 難問題
〔1119〕
16 三番叟
〔1120〕
第4篇 神出鬼没
17 宵企み
〔1121〕
18 替へ玉
〔1122〕
19 当て飲み
〔1123〕
20 誘惑
〔1124〕
21 長舌
〔1125〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第41巻
> 第3篇 北光神助 > 第16章 三番叟
<<< 難問題
(B)
(N)
宵企み >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一六章
三番叟
(
さんばそう
)
〔一一二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第41巻 舎身活躍 辰の巻
篇:
第3篇 北光神助
よみ(新仮名遣い):
きたてるしんじょ
章:
第16章 三番叟
よみ(新仮名遣い):
さんばそう
通し章番号:
1120
口述日:
1922(大正11)年11月12日(旧09月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
いざ二人きりになると、ヤスダラ姫は思いのたけを王にぶつけ、自分とサマリー姫のどちらを取るか、王に迫った。
王は当惑して、ヤスダラ姫の誘惑が北光神の耳に入っていないかとあたりをうかがおうとしたとき、ヤスダラ姫は王の手を引いた。王は不意をつかれて倒れ、人事不省になってしまった。
ヤスダラ姫は狂気に陥り、懐剣を抜いて自害しようとした。リーダーはとっさに室内に入り、姫の剣を奪い、姫を叱咤して正気付かせた。その間に王は呻きながら蘇生した。
王とヤスダラ姫は、北光神は二人の心を見透かしていると観念し、何事も北光神の指示に任せることにした。王と姫は北光神への面会を依頼すべくリーダーを使者に立てた。
リーダーは王と姫の仲を茶化しながら、北光神の居間へ進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-15 11:51:29
OBC :
rm4116
愛善世界社版:
224頁
八幡書店版:
第7輯 612頁
修補版:
校定版:
235頁
普及版:
105頁
初版:
ページ備考:
001
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
は
竹野姫
(
たけのひめ
)
、
002
竜雲
(
りううん
)
、
003
テームス、
004
リーダー
等
(
たち
)
を
引
(
ひ
)
きつれ、
005
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かして
一間
(
ひとま
)
に
引上
(
ひきあ
)
げて
了
(
しま
)
つた。
006
後
(
あと
)
にセーラン
王
(
わう
)
、
007
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
暫
(
しば
)
し
沈黙
(
ちんもく
)
の
幕
(
まく
)
をつづけてゐた。
008
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
心臓
(
しんざう
)
の
鼓動
(
こどう
)
を
金剛力
(
こんがうりき
)
を
出
(
だ
)
して
鎮静
(
ちんせい
)
しながら、
009
顔
(
かほ
)
にパツと
紅葉
(
もみぢ
)
を
散
(
ち
)
らし、
010
覚束
(
おぼつか
)
な
口調
(
くてう
)
にて、
011
ヤスダラ姫
『セーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
012
お
久
(
ひさ
)
しう
厶
(
ござ
)
いました。
013
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
なお
顔
(
かほ
)
を
拝
(
はい
)
し
嬉
(
うれ
)
しう
存
(
ぞん
)
じます』
014
と
纔
(
わづか
)
に
言
(
い
)
つたきり、
015
恥
(
はづか
)
しさうに
俯
(
うつ
)
むいて
顔
(
かほ
)
をかくす。
016
セーラン
王
(
わう
)
は
目
(
め
)
をしばたたきながら、
017
セーラン王
『
貴女
(
あなた
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
辛
(
つら
)
い
思
(
おも
)
ひをしたでせうなア。
018
私
(
わたし
)
もテルマンの
国
(
くに
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めて、
019
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く
雁
(
かり
)
に
思
(
おも
)
ひを
送
(
おく
)
つたことは
幾度
(
いくたび
)
か
知
(
し
)
れませぬ。
020
私
(
わたし
)
の
真心
(
まごころ
)
は
貴女
(
あなた
)
の
精霊
(
せいれい
)
に
通
(
つう
)
じたでせうなア』
021
ヤスダラ姫
『ハイ、
022
一夜
(
ひとよ
)
さも
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
ないことはありませぬ。
023
今日
(
けふ
)
ここで
貴方
(
あなた
)
にお
目
(
め
)
にかかるのは
夢
(
ゆめ
)
の
様
(
やう
)
に
厶
(
ござ
)
います。
024
夢
(
ゆめ
)
を
両人
(
ふたり
)
が
見
(
み
)
て
居
(
を
)
るのではありますまいか。
025
夢
(
ゆめ
)
なら
夢
(
ゆめ
)
で、
026
どこまでも
醒
(
さ
)
めない
様
(
やう
)
にあつて
欲
(
ほ
)
しいものですワ』
027
セーラン王
『
決
(
けつ
)
して
夢
(
ゆめ
)
ではありますまい、
028
現実
(
げんじつ
)
でせう、
029
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
は
夢
(
ゆめ
)
より
果敢
(
はか
)
ないもので
厶
(
ござ
)
いました。
030
今
(
いま
)
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
からいろいろと
御
(
ご
)
理解
(
りかい
)
を
承
(
うけたま
)
はり、
031
今後
(
こんご
)
どうしたらよからうかと
思案
(
しあん
)
にくれてゐる
所
(
ところ
)
です』
032
ヤスダラ姫
『
仮令
(
たとへ
)
天律
(
てんりつ
)
を
破
(
やぶ
)
つてもかまはぬぢやありませぬか。
033
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
でも
自分
(
じぶん
)
の
本能
(
ほんのう
)
を
満足
(
まんぞく
)
させることが
出来
(
でき
)
れば、
034
死
(
し
)
んでも
朽
(
く
)
ちても
構
(
かま
)
ひませぬ。
035
二人
(
ふたり
)
が
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へおとされようとも、
036
貴方
(
あなた
)
と
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き
合
(
あ
)
うてゆくのならば、
037
構
(
かま
)
はぬぢやありませぬか』
038
とマサカの
時
(
とき
)
になれば、
039
大胆
(
だいたん
)
なは
女
(
をんな
)
である。
040
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
最早
(
もはや
)
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
も
何
(
なに
)
も
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
ひ、
041
捨鉢
(
すてばち
)
気味
(
ぎみ
)
になつて、
042
王
(
わう
)
の
決心
(
けつしん
)
を
煽動
(
せんどう
)
したり
促
(
うなが
)
したりしてゐる。
043
セーラン王
『
成程
(
なるほど
)
、
044
貴女
(
あなた
)
の
心
(
こころ
)
としてはさう
思
(
おも
)
はれるのも
尤
(
もつと
)
もです。
045
私
(
わたし
)
だつて
貴女
(
あなた
)
を
思
(
おも
)
ふ
心
(
こころ
)
は
決
(
けつ
)
して
劣
(
おと
)
りませぬ。
046
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
047
そこを
耐
(
こら
)
へ
忍
(
しの
)
ぶのが
人間
(
にんげん
)
の
務
(
つと
)
めだ。
048
月
(
つき
)
に
村雲
(
むらくも
)
花
(
はな
)
に
嵐
(
あらし
)
、
049
思
(
おも
)
ふやうにゆかぬは
浮世
(
うきよ
)
の
常
(
つね
)
、
050
如何
(
どう
)
なりゆくも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
摂理
(
せつり
)
、
051
かうして
半時
(
はんとき
)
の
間
(
ま
)
でも、
052
一生
(
いつしやう
)
会
(
あ
)
はれないと
思
(
おも
)
つてゐた
相思
(
さうし
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
会
(
あ
)
うて、
053
心
(
こころ
)
のたけを
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
うのも、
054
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
深
(
ふか
)
きお
情
(
なさけ
)
、
055
私
(
わたし
)
はこれで
最早
(
もはや
)
一生
(
いつしやう
)
会
(
あ
)
ふことが
出来
(
でき
)
なくても、
056
決
(
けつ
)
して
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
恨
(
うら
)
んだり、
057
世
(
よ
)
を
歎
(
なげ
)
いたりは
致
(
いた
)
しますまい』
058
ヤスダラ姫
『
貴方
(
あなた
)
の
恋
(
こひ
)
は
実
(
じつ
)
に
淡白
(
たんぱく
)
なものですなア。
059
それで
貴方
(
あなた
)
は
最早
(
もはや
)
満足
(
まんぞく
)
なされましたか。
060
エヽ
情
(
なさけ
)
ない、
061
そんな
御
(
お
)
心
(
こころ
)
とは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず、
062
何
(
なん
)
とかして
貴方
(
あなた
)
に
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ、
063
海山
(
うみやま
)
の
話
(
はなし
)
を
互
(
たがひ
)
に
打明
(
うちあ
)
け、
064
凡
(
あら
)
ゆる
艱難
(
かんなん
)
や
妨害
(
ばうがい
)
に
堪
(
た
)
へ、
065
仮令
(
たとへ
)
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
吼
(
ほ
)
え
猛
(
たけ
)
る
深山
(
みやま
)
の
奥
(
おく
)
でも、
066
夫婦
(
ふうふ
)
となつて
恋
(
こひ
)
の
本望
(
ほんまう
)
を
遂
(
と
)
げねばおかぬと、
067
矢竹心
(
やたけごころ
)
に
励
(
はげ
)
まされ、
068
剣呑
(
けんのん
)
な
荒野原
(
あらのはら
)
をわたり、
069
イルナの
都
(
みやこ
)
に
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
る
途中
(
とちう
)
、
070
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せにてここに
助
(
たす
)
けられたので
厶
(
ござ
)
います。
071
どうぞそんな
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
いことを
仰有
(
おつしや
)
らずに
金剛
(
こんごう
)
不壊
(
ふゑ
)
的
(
てき
)
の
大度胸
(
だいどきよう
)
を
出
(
だ
)
して、
072
両人
(
りやうにん
)
が
目的
(
もくてき
)
の
貫徹
(
くわんてつ
)
を
計
(
はか
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
073
貴方
(
あなた
)
にはサマリー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
といふ
最愛
(
さいあい
)
の
奥様
(
おくさま
)
がお
控
(
ひか
)
へ
遊
(
あそ
)
ばして
厶
(
ござ
)
るのですから、
074
無理
(
むり
)
も
厶
(
ござ
)
いますまい。
075
イヤ
妾
(
わたし
)
も
迷
(
まよ
)
うて
居
(
を
)
りました。
076
最早
(
もはや
)
貴方
(
あなた
)
の
心
(
こころ
)
は
昔日
(
せきじつ
)
の
心
(
こころ
)
では
厶
(
ござ
)
いますまい。
077
誠
(
まこと
)
にすまないことを
申上
(
まをしあ
)
げました。
078
どうぞサマリー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
と
幾久
(
いくひさ
)
しく
偕老
(
かいらう
)
同穴
(
どうけつ
)
をお
契
(
ちぎ
)
りなさいませ。
079
妾
(
わたし
)
は
幽界
(
あのよ
)
とやらへ
参
(
まゐ
)
つて、
080
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
のお
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
守
(
まも
)
りませう』
081
と
言
(
い
)
ひ
放
(
はな
)
ち、
082
ワツとばかりに
王
(
わう
)
の
膝
(
ひざ
)
に
泣
(
な
)
き
崩
(
くづ
)
れる。
083
王
(
わう
)
はハタと
当惑
(
たうわく
)
し、
084
今
(
いま
)
の
泣声
(
なきごゑ
)
がもしや
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
つては
居
(
ゐ
)
ないであらうかと、
085
ツと
立
(
た
)
つて
隔
(
へだ
)
ての
戸
(
と
)
を
押開
(
おしひら
)
き、
086
あたりに
人
(
ひと
)
のあるか、
087
なきかを
査
(
しら
)
べむとするを、
088
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
王
(
わう
)
の
吾
(
われ
)
を
見捨
(
みす
)
てて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し
給
(
たま
)
ふならむと
早合点
(
はやがつてん
)
し、
089
力
(
ちから
)
に
任
(
まか
)
せて
王
(
わう
)
の
手
(
て
)
をグツと
後
(
うしろ
)
へ
引
(
ひ
)
いた。
090
王
(
わう
)
は
不意
(
ふい
)
に
姫
(
ひめ
)
に
手
(
て
)
をひかれた
途端
(
とたん
)
に、
091
タヂタヂと
二足
(
ふたあし
)
三足
(
みあし
)
後
(
あと
)
しざりし、
092
姫
(
ひめ
)
の
膝
(
ひざ
)
に
躓
(
つまづ
)
き、
093
パタリと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
094
岩壁
(
がんぺき
)
に
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ち、
095
ウンと
一声
(
ひとこゑ
)
、
096
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
097
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
此
(
この
)
態
(
さま
)
を
見
(
み
)
るより、
098
ヤスダラ姫
『あゝ
如何
(
どう
)
しよう
如何
(
どう
)
しよう』
099
と
狂気
(
きやうき
)
の
如
(
ごと
)
く
室内
(
しつない
)
を
駆
(
か
)
け
巡
(
めぐ
)
り、
100
王
(
わう
)
の
頭
(
かしら
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
て、
101
ヤスダラ姫
『モシ、
102
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
103
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
104
決
(
けつ
)
して
貴方
(
あなた
)
をこかさうと
思
(
おも
)
つたのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
105
怪我
(
けが
)
で
厶
(
ござ
)
います。
106
貴方
(
あなた
)
ばかり
決
(
けつ
)
して
殺
(
ころ
)
しは
致
(
いた
)
しませぬ。
107
妾
(
わたし
)
もキツトお
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひます』
108
と
言
(
い
)
ひながら、
109
スラリと
懐剣
(
くわいけん
)
の
鞘
(
さや
)
を
払
(
はら
)
ひ、
110
つくづくと
打眺
(
うちなが
)
め、
111
ヤスダラ姫
『
果敢
(
はか
)
なきは
夢
(
ゆめ
)
の
浮世
(
うきよ
)
と
知
(
し
)
りながら
112
かかるなげきは
思
(
おも
)
はざりけり。
113
恋慕
(
こひした
)
ふ
君
(
きみ
)
に
会
(
あ
)
ひしと
思
(
おも
)
ふ
間
(
ま
)
も
114
泣
(
な
)
く
泣
(
な
)
く
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
別
(
わか
)
れとなるか。
115
悲
(
かな
)
しさは
小
(
ちひ
)
さき
胸
(
むね
)
に
充
(
み
)
ちあふれ
116
泣
(
な
)
く
涙
(
なみだ
)
さへ
出
(
い
)
でぬ
吾
(
われ
)
なり。
117
ゆるしませセーラン
王
(
わう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
118
やがてはわれも
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へむ。
119
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
よヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
120
心
(
こころ
)
卑
(
いや
)
しとさげすみ
給
(
たま
)
ふな』
121
と
云
(
い
)
ひながら、
122
アワヤ
吾
(
わが
)
喉
(
のど
)
につき
立
(
た
)
てむとするを、
123
此
(
この
)
時
(
とき
)
戸外
(
こがい
)
に
立
(
た
)
つて
様子
(
やうす
)
を
伺
(
うかが
)
ひゐたるリーダーは
慌
(
あわただ
)
しく
飛込
(
とびこ
)
み
来
(
きた
)
り、
124
矢庭
(
やには
)
に
姫
(
ひめ
)
の
懐剣
(
くわいけん
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
り、
125
声
(
こゑ
)
を
励
(
はげ
)
まし、
126
リーダー
『ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
、
127
狂気
(
きやうき
)
召
(
め
)
されたか、
128
かかる
神聖
(
しんせい
)
なる
霊場
(
れいぢやう
)
に
於
(
おい
)
て、
129
無理
(
むり
)
心中
(
しんぢう
)
とは
何
(
なん
)
のこと、
130
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
大罪
(
だいざい
)
となる
事
(
こと
)
をお
弁
(
わきま
)
へなさらぬか。
131
そんな
御
(
お
)
心
(
こころ
)
とは
知
(
し
)
らず、
132
貴女
(
あなた
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
保護
(
ほご
)
し、
133
テルマン
国
(
ごく
)
を
命
(
いのち
)
カラガラ
逃出
(
にげだ
)
し、
134
猛獣
(
まうじう
)
の
猛
(
たけ
)
び
狂
(
くる
)
ふ
荒野原
(
あらのはら
)
をやうやう
越
(
こ
)
えて
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
お
供
(
とも
)
をしながら、
135
勿体
(
もつたい
)
なや
王
(
わう
)
様
(
さま
)
を
殺
(
ころ
)
し、
136
貴女
(
あなた
)
も
亦
(
また
)
ここで
御
(
ご
)
自害
(
じがい
)
をなさるとは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
情
(
なさけ
)
ないお
心
(
こころ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
137
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
か
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
に
憑依
(
ひようい
)
され、
138
そんな
悪心
(
あくしん
)
をお
出
(
だ
)
しなさつたのでせう。
139
モウかうなる
上
(
うへ
)
は
此
(
この
)
リーダーが
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しませぬ。
140
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
仇
(
かたき
)
を
討
(
う
)
たねばおきませぬ』
141
と
声
(
こゑ
)
を
震
(
ふる
)
はせ、
142
叱
(
しか
)
りつける
様
(
やう
)
に
言
(
い
)
ふ。
143
王
(
わう
)
は「ウンウン」と
呻
(
うめ
)
きながら、
144
頭
(
あたま
)
をかかへて
起上
(
おきあが
)
り、
145
セーラン王
『あゝヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
146
そこに
居
(
ゐ
)
たか、
147
何
(
なに
)
を
泣
(
な
)
いてゐる。
148
ヤア
汝
(
なんぢ
)
は
何者
(
なにもの
)
だ、
149
凶器
(
きやうき
)
を
以
(
もつ
)
て
姫
(
ひめ
)
を
脅迫
(
けうはく
)
せむとするか。
150
不届
(
ふとど
)
き
至極
(
しごく
)
な
痴者
(
しれもの
)
、
151
許
(
ゆる
)
しは
致
(
いた
)
さぬぞ。
152
そこ
動
(
うご
)
くな』
153
と
声
(
こゑ
)
を
尖
(
とが
)
らせ
睨
(
ね
)
めつければ、
154
リーダーは
王
(
わう
)
の
蘇生
(
そせい
)
の
嬉
(
うれ
)
しさと
誤解
(
ごかい
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさに、
155
狼狽
(
うろた
)
へながら、
156
リーダー
『メヽ
滅相
(
めつさう
)
な、
157
ここ
迄
(
まで
)
お
供
(
とも
)
して
来
(
き
)
た
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
何
(
なに
)
しに
殺
(
ころ
)
しませう。
158
そんな
誤解
(
ごかい
)
をして
貰
(
もら
)
つちや、
159
此
(
この
)
リーダーの
立場
(
たちば
)
が
厶
(
ござ
)
いませぬ。
160
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
狂気
(
きやうき
)
遊
(
あそ
)
ばして
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
を
殺
(
ころ
)
し、
161
自分
(
じぶん
)
も
自害
(
じがい
)
なさる
覚悟
(
かくご
)
だと
思
(
おも
)
ひ
飛込
(
とびこ
)
んで、
162
たつた
今
(
いま
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
短刀
(
たんたう
)
を
奪
(
うば
)
ひ、
163
お
意見
(
いけん
)
を
申上
(
まをしあ
)
げてゐた
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います』
164
ヤスダラ姫
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
165
嬉
(
うれ
)
しや
気
(
き
)
がつきましたか、
166
此
(
この
)
リーダーは
決
(
けつ
)
して
悪人
(
あくにん
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
167
どうぞ
許
(
ゆる
)
してやつて
下
(
くだ
)
さいませ』
168
セーラン王
『あゝさうであつたか、
169
真
(
まこと
)
にすまなかつた。
170
リーダーとやら
全
(
まつた
)
く
誤解
(
ごかい
)
だから
許
(
ゆる
)
してくれ』
171
リーダー
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
172
お
分
(
わか
)
りになればこんな
結構
(
けつこう
)
なことは
厶
(
ござ
)
いませぬ』
173
セーラン王
『こんな
騒
(
さわ
)
ぎは
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
知
(
し
)
れたら
大変
(
たいへん
)
だが、
174
もしやお
分
(
わか
)
りになつては
居
(
ゐ
)
なからうかなア』
175
リーダー
『ヘーヘー、
176
スツカリと
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
ります。
177
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
竹野姫
(
たけのひめ
)
さまも
竜雲
(
りううん
)
さまも、
178
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
で
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
二人
(
ふたり
)
のお
話
(
はなし
)
を
耳
(
みみ
)
をすましてお
聞
(
き
)
きになつてゐる……とは
申
(
まを
)
しませぬ……だらうと
考
(
かんが
)
へます』
179
セーラン王
『
立聞
(
たちぎ
)
きは
不道徳
(
ふだうとく
)
の
極
(
きは
)
みだ。
180
あれ
位
(
くらゐ
)
の
神人
(
しんじん
)
がどうしてそんなことを
遊
(
あそ
)
ばすものか。
181
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
182
安心
(
あんしん
)
をしたがよからうよ』
183
ヤスダラ姫
『
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
天眼通
(
てんがんつう
)
力
(
りき
)
を
得
(
え
)
たる
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
、
184
何程
(
なにほど
)
遠
(
とほ
)
く
隔
(
へだ
)
たつて
居
(
を
)
りましても、
185
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
くに
御覧
(
ごらん
)
になつて
居
(
を
)
ります。
186
又
(
また
)
吾々
(
われわれ
)
の
言
(
げん
)
も
得意
(
とくい
)
の
天耳通
(
てんじつう
)
で
一言
(
ひとこと
)
も
洩
(
も
)
らさず、
187
お
聞
(
き
)
きになつてをるでせう。
188
あゝ
恥
(
はづか
)
しいことになつて
来
(
き
)
ました』
189
セーラン王
『
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
天耳通
(
てんじつう
)
、
190
天眼通
(
てんがんつう
)
が
分
(
わか
)
つてゐるのなら、
191
なぜ
其方
(
そなた
)
はあの
様
(
やう
)
な
大胆
(
だいたん
)
なことを
言
(
い
)
つたのだ』
192
ヤスダラ姫
『
妾
(
わたし
)
が
言
(
い
)
はなくても、
193
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
心
(
こころ
)
のドン
底
(
ぞこ
)
まで
見
(
み
)
すかしてゐられますから、
194
言
(
い
)
つても
云
(
い
)
はいでも
同
(
おな
)
じことですワ』
195
セーラン王
『
恥
(
はづか
)
しいことだなア。
196
イルナの
国王
(
こくわう
)
も
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
へ
出
(
で
)
ては
象
(
ざう
)
に
対
(
たい
)
する
鼠
(
ねづみ
)
のやうなものだ。
197
いかにもこんなことでは、
198
あの
小
(
ちひ
)
さい
国
(
くに
)
でさへも
治
(
をさ
)
まりさうなことがない。
199
国王
(
こくわう
)
だと
云
(
い
)
つても
僅
(
わづ
)
かに
五万
(
ごまん
)
や
六万
(
ろくまん
)
の
人間
(
にんげん
)
の
頭
(
かしら
)
だから
小
(
ちひ
)
さいものだ。
200
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
諸王
(
しよわう
)
に
超越
(
てうゑつ
)
し、
201
天地
(
てんち
)
の
意志
(
いし
)
を
代表
(
だいへう
)
なさる
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
だから
大
(
たい
)
したものだ。
202
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
恥
(
はぢ
)
も
外聞
(
ぐわいぶん
)
もいつたものでない、
203
何事
(
なにごと
)
も
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
に
任
(
まか
)
さうではないか』
204
ヤスダラ姫
『ハイ、
205
さう
致
(
いた
)
しませう、
206
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
を
都合
(
つがふ
)
よく
添
(
そ
)
はして
下
(
くだ
)
さるでせうか』
207
セーラン王
『
又
(
また
)
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つてはいけませぬ。
208
リーダーが
聞
(
き
)
いてゐるぢやありませぬか』
209
リーダー
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
210
此
(
この
)
リーダーは
血
(
ち
)
もあれば
涙
(
なみだ
)
もあり、
211
情
(
なさけ
)
も
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る
円満
(
ゑんまん
)
具足
(
ぐそく
)
な
下僕
(
しもべ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
212
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
ならどんな
事
(
こと
)
でも
厭
(
いと
)
ひませぬ。
213
何
(
なん
)
なと
仰有
(
おつしや
)
いませ、
214
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
だつて
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
洩
(
も
)
らすやうな
野呂馬
(
のろま
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
215
シヤールの
主人
(
しゆじん
)
に
背
(
そむ
)
き、
216
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意志
(
いし
)
に
賛成
(
さんせい
)
して、
217
命
(
いのち
)
がけの
仕事
(
しごと
)
をやつて
来
(
き
)
た
位
(
くらゐ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
218
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
219
なア
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
220
貴女
(
あなた
)
は
私
(
わたし
)
の
心
(
こころ
)
をよく
御存
(
ごぞん
)
じで
厶
(
ござ
)
いませう』
221
ヤスダラ姫
『ハア、
222
能
(
よ
)
く
分
(
わか
)
つてゐる。
223
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の、
224
お
前
(
まへ
)
は
一
(
ひと
)
つ
都合
(
つがふ
)
を
伺
(
うかが
)
つて
来
(
き
)
てくれないか、
225
之
(
これ
)
から
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
がしたいから……』
226
リーダー
『ハイ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
227
とニタリと
笑
(
わら
)
ひ、
228
此
(
この
)
間
(
ま
)
を
立出
(
たちい
)
で、
229
二三間
(
にさんげん
)
ばかり
行
(
い
)
つた
所
(
ところ
)
で、
230
一寸
(
ちよつと
)
立
(
た
)
ち
止
(
ど
)
まり、
231
リーダー
『
何
(
なん
)
と
甘
(
うま
)
くおまき
遊
(
あそ
)
ばしますワイ。
232
久
(
ひさ
)
しぶりにお
二人
(
ふたり
)
が
対面
(
たいめん
)
遊
(
あそ
)
ばし、
233
余
(
あま
)
り
仲
(
なか
)
がよすぎて
死
(
し
)
ぬの
走
(
はし
)
るの
暇
(
ひま
)
をくれのと、
234
恋仲
(
こひなか
)
にはありがちの
痴話
(
ちわ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
を、
235
面白
(
おもしろ
)
半分
(
はんぶん
)
にやつて
厶
(
ござ
)
つた
真最中
(
まつさいちう
)
に、
236
俺
(
おれ
)
が
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かないものだから、
237
本当
(
ほんたう
)
の
喧嘩
(
けんくわ
)
だと
思
(
おも
)
つて
飛込
(
とびこ
)
んだのが
間違
(
まちが
)
ひだ。
238
甘
(
うま
)
く
俺
(
おれ
)
をまいて、
239
意茶
(
いちや
)
つきをやらうといふのだなア。
240
ヨシ
合点
(
がつてん
)
だ。
241
そんなことの
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬリーダーぢやない。
242
そんな
頭
(
あたま
)
の
悪
(
わる
)
い
呑込
(
のみこ
)
みの
悪
(
わる
)
い
粗製
(
そせい
)
濫造
(
らんざう
)
の
頭脳
(
づなう
)
とは
違
(
ちが
)
ひますワイ。
243
イヒヽヽヽ、
244
さぞ
別
(
わか
)
れて
久
(
ひさ
)
しき
二人
(
ふたり
)
の
逢瀬
(
あふせ
)
、
245
泣
(
な
)
いつ
口説
(
くど
)
いつ、
246
抱
(
いだ
)
いたり、
247
跳
(
は
)
ねたり、
248
つめつたり、
249
叩
(
たた
)
いたり、
250
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
久
(
ひさ
)
しぶりでイチヤつかして
上
(
あ
)
げようかい。
251
早
(
はや
)
く
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
伺
(
うかが
)
つて
来
(
こ
)
いなんて、
252
甘
(
うま
)
い
辞令
(
じれい
)
で
遠
(
とほ
)
ざけようといふ
賢明
(
けんめい
)
な
行方
(
やりかた
)
だ。
253
コリヤあわてて
正直
(
しやうぢき
)
に
行
(
ゆ
)
くと
却
(
かへ
)
つて
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になるかも
知
(
し
)
れぬ、
254
三足
(
みあし
)
往
(
い
)
つては
二足
(
ふたあし
)
戻
(
もど
)
り、
255
二足
(
ふたあし
)
往
(
い
)
つては
三足
(
みあし
)
戻
(
もど
)
り、
256
オツトヽヽそんな
事
(
こと
)
して
居
(
ゐ
)
ては、
257
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
に
居
(
を
)
らねばなるまい。
258
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
259
そこが
粋
(
すゐ
)
といふものだ。
260
さぞ
楽
(
たの
)
しい
嬉
(
うれ
)
しいことだらうなア。
261
俺
(
おれ
)
も
何
(
なん
)
だか
嬉
(
うれ
)
しうなつて
来
(
き
)
た。
262
ウツフヽヽヽ』
263
と
隧道
(
すゐだう
)
に
停立
(
ていりつ
)
して、
264
独
(
ひと
)
り
囁
(
ささや
)
いてゐる。
265
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
気
(
き
)
が
咎
(
とが
)
めたか、
266
リーダーが
立聞
(
たちぎき
)
して
居
(
を
)
つては
恥
(
はづか
)
しいと
気
(
き
)
をまはし、
267
戸
(
と
)
をガラリとあけて
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
けば、
268
リーダーは
二三間
(
にさんげん
)
離
(
はな
)
れた
所
(
ところ
)
に
停立
(
ていりつ
)
して、
269
頻
(
しき
)
りに
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
にふり、
270
横
(
よこ
)
にふり、
271
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
したり、
272
眉毛
(
まゆげ
)
を
撫
(
な
)
でたりやつてゐる。
273
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
細
(
ほそ
)
い
声
(
こゑ
)
で、
274
ヤスダラ姫
『コレコレ、
275
リーダー、
276
何
(
なに
)
をしてゐるのだい。
277
早
(
はや
)
くお
使
(
つか
)
ひに
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さらぬか。
278
困
(
こま
)
るぢやありませぬか、
279
王
(
わう
)
様
(
さま
)
がお
待兼
(
まちかね
)
ぢやのに』
280
リーダー
『ハイ、
281
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
282
急
(
せ
)
いては
事
(
こと
)
を
仕損
(
しそん
)
ずる。
283
急
(
せ
)
かねば
事
(
こと
)
が
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はぬ。
284
あちら
立
(
た
)
てればこちらが
立
(
た
)
たぬ。
285
両方
(
りやうはう
)
立
(
た
)
てれば
身
(
み
)
が
立
(
た
)
たぬといふ、
286
誠
(
まこと
)
と
情
(
なさけ
)
との
締木
(
しめぎ
)
にかかり、
287
稍
(
やや
)
思案
(
しあん
)
にくれにけり……といふ
為体
(
ていたらく
)
で
厶
(
ござ
)
います。
288
本当
(
ほんたう
)
に
急
(
いそ
)
いで
行
(
い
)
つてもいいのですか、
289
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
290
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になりは
致
(
いた
)
しませぬか。
291
正直
(
しやうぢき
)
も
結構
(
けつこう
)
ですが、
292
余
(
あま
)
り
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
かぬ
正直
(
しやうぢき
)
は
却
(
かへつ
)
て
迷惑
(
めいわく
)
をするものですからなア』
293
ヤスダラ姫
『コレ、
294
リーダー、
295
そんな
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
はやめて
下
(
くだ
)
さい。
296
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
の
下司
(
げす
)
の
恋
(
こひ
)
とは
行方
(
やりかた
)
が
違
(
ちが
)
ひますぞや。
297
阿呆
(
あはう
)
らしい、
298
仕方
(
しかた
)
のない
男
(
をとこ
)
だなア』
299
リーダー
『ヘン
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
300
下司
(
げす
)
の
恋
(
こひ
)
だと……
コヒ
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れますワイ。
301
恋
(
こひ
)
所
(
どころ
)
か
腰
(
こし
)
まで
鮒々
(
ふなふな
)
になつてゐるくせに、
302
恋
(
こひ
)
に
上下
(
じやうげ
)
の
隔
(
へだ
)
てなしといふぢやないか。
303
上司
(
じやうす
)
の
恋
(
こひ
)
も
下司
(
げす
)
の
恋
(
こひ
)
もあつたものか、
304
恋
(
こひ
)
はヤツパリ
恋
(
こひ
)
だ。
305
リーダーはヤツパリ、
306
リーダーだ』
307
ヤスダラ姫
『コレコレ、
308
早
(
はや
)
う
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さらぬか、
309
何
(
なに
)
をブツブツ
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだい』
310
リーダー
『ハイ、
311
何分
(
なにぶん
)
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
で
水
(
みづ
)
が
切
(
き
)
れて
居
(
ゐ
)
るものですから、
312
鯉
(
こひ
)
も
鮒
(
ふな
)
も
泳
(
およ
)
ぎにくうて
早速
(
さつそく
)
游泳
(
いうえい
)
が
出来
(
でき
)
ませぬワイ。
313
恋
(
こひ
)
の
海
(
うみ
)
に
游泳術
(
いうえいじゆつ
)
の
上手
(
じやうづ
)
な
貴女
(
あなた
)
ならば
知
(
し
)
らぬこと、
314
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
怪体
(
けつたい
)
な
気
(
き
)
になつて、
315
私
(
わたし
)
の
腰
(
こし
)
迄
(
まで
)
が……ドツ
コイ
……シヨのドツコイシヨ、
316
フナフナになつて、
317
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
に
歩
(
ある
)
けませぬがなア』
318
ヤスダラ姫
『エヽ
勝手
(
かつて
)
にしなさい、
319
モウ
宜
(
よろ
)
しい、
320
大方
(
おほかた
)
法界
(
ほふかい
)
悋気
(
りんき
)
でもしてゐるのであらう』
321
とピシヤツと
岩戸
(
いはと
)
を
閉
(
し
)
めて
了
(
しま
)
つた。
322
リーダー
『アハヽヽヽ、
323
今頃
(
いまごろ
)
は
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
き
尉
(
じやう
)
どのと
白
(
しろ
)
き
姥
(
うば
)
どのが、
324
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
るとも、
325
曇
(
くも
)
るとも、
326
鳴
(
な
)
アるは
滝
(
たき
)
の
水
(
みづ
)
滝
(
たき
)
の
水
(
みづ
)
、
327
たアきを
上
(
のぼ
)
りゆく
恋
(
こひ
)
のみち、
328
恋
(
こひ
)
に
上下
(
じやうげ
)
の
隔
(
へだ
)
てなし、
329
法界
(
ほふかい
)
悋気
(
りんき
)
をするぢやないが、
330
お
前
(
まへ
)
と
私
(
わたし
)
と
二人
(
ふたり
)
の
喜
(
よろこ
)
びは、
331
ほうかいへはやらじ、
332
おんはカタカタ、
333
エンはカタカタと
三番叟
(
さんばそう
)
の
最中
(
さいちう
)
だらう。
334
エヘヽヽヽ、
335
イヒヽヽヽ、
336
ウフヽヽヽ』
337
と
妙
(
めう
)
に
腰
(
こし
)
をブカつかせながら、
338
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
居間
(
ゐま
)
をさして、
339
チヨコチヨコ
走
(
ばし
)
りに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
340
(
大正一一・一一・一二
旧九・二四
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 難問題
(B)
(N)
宵企み >>>
霊界物語
>
第41巻
> 第3篇 北光神助 > 第16章 三番叟
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【16 三番叟|第41巻(辰の巻)|霊界物語/rm4116】
合言葉「みろく」を入力して下さい→