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第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
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> 第1篇 狂風怪猿 > 第3章 失明
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第三章
失明
(
しつめい
)
〔一一五四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第1篇 狂風怪猿
よみ(新仮名遣い):
きょうふうかいえん
章:
第3章 失明
よみ(新仮名遣い):
しつめい
通し章番号:
1154
口述日:
1922(大正11)年11月26日(旧10月8日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
猿たちは時々刻々に数をまし、じりじりと押し寄せてくる。伊太公や道公はどうにもできずに掛け合いをしている。玉国別は訓戒を始めた。
押し迫ってくる猿の一匹を、伊太公が押し倒した。すると猿たちは四方から四人に対して掻きついてきた。いっそう大きな白毛の猿は、玉国別の後ろから不意に目のあたりをかきむしった。
玉国別はあっと叫んでその場に打ち倒れた。三人は猿に向かって金剛杖を打ち振り防ぎ戦ったが、数万の猿は入れ替わり立ち替わり押し寄せ、力尽きてきた。
すると山岳が崩れるばかりの獅子の唸り声が響き渡り、猿たちは悲鳴を上げて一目散に逃げうせた。
杢助宣伝使が獅子を率いて助けてくれたのであった。杢助は宣伝歌に、風に肝を冷やして谷間に隠れ、しばらくの安きを盗んだ愚かさによって、玉国別は天罰を被ったのだ、と厳しく一行を諭した。
一同は、巨大な獅子に乗った時置師神の雄姿を伏し拝んで涙を流した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-05-05 00:59:00
OBC :
rm4303
愛善世界社版:
34頁
八幡書店版:
第8輯 41頁
修補版:
校定版:
36頁
普及版:
14頁
初版:
ページ備考:
001
伊太公
(
いたこう
)
の
膏汗
(
あぶらあせ
)
を
流
(
なが
)
しての
飛
(
と
)
び
切
(
き
)
り
上等
(
じやうとう
)
舶来
(
はくらい
)
と
称
(
しよう
)
する
宣伝歌
(
せんでんか
)
も
寸効
(
すんかう
)
なく
尾長猿
(
をながざる
)
、
002
手長猿
(
てながざる
)
の
群
(
むれ
)
は
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
其
(
その
)
数
(
すう
)
を
増
(
ま
)
し、
003
チクリチクリと
一行
(
いつかう
)
の
身辺
(
しんぺん
)
に
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る。
004
道公
(
みちこう
)
『オイ
俄
(
にはか
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
伊太公
(
いたこう
)
、
005
偉
(
えら
)
さうに
仰有
(
おつしや
)
つたが、
006
根
(
ね
)
つから
言霊
(
ことたま
)
は
利
(
き
)
いたやうにないぢやありませぬか。
007
猿
(
さる
)
の
人真似
(
ひとまね
)
をして
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
すものだからサツパリ
猿公
(
ゑんこう
)
、
008
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
る
気配
(
けはい
)
も
トン
とないぢやないか、
009
猿智慧
(
さるぢゑ
)
奴
(
やつこ
)
さん』
010
伊太公
(
いたこう
)
『
暫
(
しばら
)
く
吾輩
(
わがはい
)
に
与
(
あた
)
ふるに
時
(
とき
)
をもつてせよぢや……「
猿冠者
(
さるくわんじや
)
の
猿智慧
(
さるぢゑ
)
と
聞
(
き
)
きしに
勝
(
まさ
)
る
真柴
(
ましば
)
久吉
(
ひさよし
)
」だ……おれや
太閤
(
たいかう
)
さまぢやぞ、
011
「
大功
(
たいこう
)
は
細瑾
(
さいきん
)
を
顧
(
かへり
)
みず」だ、
012
なんぼ
猿公
(
ゑんこう
)
が
最近
(
さいきん
)
へ
寄
(
よ
)
せて
来
(
き
)
ても
顧
(
かへり
)
みないと
云
(
い
)
ふのが
英雄
(
えいゆう
)
豪傑
(
がうけつ
)
の
心事
(
しんじ
)
だ』
013
道公
(
みちこう
)
『どれ
此
(
こ
)
の
道公
(
みちこう
)
が
一
(
ひと
)
つ
猿
(
さる
)
に
道
(
みち
)
を
伝
(
つた
)
へ
血路
(
けつろ
)
を
開
(
ひら
)
かしてやらう。
014
貴様
(
きさま
)
のやり
方
(
かた
)
とは
些
(
ちつ
)
と
製造法
(
せいざうはふ
)
が
違
(
ちが
)
ふのだからよく
聞
(
き
)
いたらよからう、
015
猿
(
さる
)
とは
猿
(
さる
)
とは
困
(
こま
)
つた
代者
(
しろもの
)
だな。
016
今年
(
ことし
)
は
庚申
(
かうしん
)
の
年
(
とし
)
だから、
017
さう
猿
(
さる
)
をボロクソに
云
(
い
)
つては
猿公
(
さるこう
)
だつて
承知
(
しようち
)
しないぞ。
018
今年
(
ことし
)
は
吾々
(
われわれ
)
も
猿公
(
さるこう
)
さまの
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
るのぢやからなア。
019
さうして
俺
(
おれ
)
も
申
(
さる
)
の
年
(
とし
)
の
申
(
さる
)
の
月
(
つき
)
の
申
(
さる
)
の
日
(
ひ
)
の
申
(
さる
)
の
刻
(
こく
)
に
生
(
うま
)
れたのだからなア、
020
四輪
(
しりん
)
揃
(
そろ
)
うた
道公
(
みちこう
)
ぢや、
021
三輪
(
さんりん
)
揃
(
そろ
)
うたら
天下
(
てんか
)
の
長者
(
ちやうじや
)
になると
云
(
い
)
ふ
位
(
くらゐ
)
だのに、
022
此
(
この
)
方
(
はう
)
は
猿
(
さる
)
が
四
(
よつ
)
つも
揃
(
そろ
)
うて、
023
「サル
者
(
もの
)
あり」と
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
た
俺
(
おれ
)
ぢやから、
024
猿
(
さる
)
だつて
全然
(
ぜんぜん
)
他人
(
たにん
)
ぢやない。
025
きつと
降服
(
かうふく
)
して
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
る
にきまつて
居
(
ゐ
)
るわい。
026
ナア
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
あんな
仕様
(
しやう
)
もない
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つたつて、
027
如何
(
いか
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
だつて
去
(
さ
)
る
ものですか、
028
どうぞ
私
(
わたし
)
に
一
(
ひと
)
つ
特別製
(
とくべつせい
)
の
意匠
(
いしやう
)
登録
(
とうろく
)
を
得
(
え
)
た
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
はして
下
(
くだ
)
さいな』
029
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て、
030
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
猿智慧
(
さるぢゑ
)
だから
困
(
こま
)
る。
031
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
此処
(
ここ
)
で
訓戒
(
くんかい
)
をするから、
032
それをよく
腹
(
はら
)
へ
入
(
い
)
れて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
何
(
なん
)
とか
考
(
かんが
)
へたら
宜
(
よ
)
からう。
033
第一
(
だいいち
)
、
034
未申
(
ひつじさる
)
の
金神
(
こんじん
)
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
忘
(
わす
)
れ
ざる
事
(
こと
)
035
一
(
ひとつ
)
、
036
汝
(
なんぢ
)
が
心
(
こころ
)
の
垢
(
あか
)
を
さる
事
(
こと
)
037
一
(
ひとつ
)
、
038
邪悪
(
じやあく
)
分子
(
ぶんし
)
を
根底
(
こんてい
)
より
さる
事
(
こと
)
039
一
(
ひとつ
)
、
040
総
(
すべ
)
ての
悪事
(
あくじ
)
災難
(
さいなん
)
を
払
(
はら
)
ひ
さる
については
大
(
おほい
)
に
神心
(
かみごころ
)
に
帰
(
かへ
)
ら
ざる
可
(
べ
)
から
ざる
事
(
こと
)
041
一
(
ひとつ
)
、
042
一糸
(
いつし
)
みだれ
ざる
底
(
てい
)
の
信仰心
(
しんかうしん
)
をもつて
奮起
(
ふんき
)
せ
ざる
可
(
べ
)
から
ざる
事
(
こと
)
043
一
(
ひとつ
)
、
044
天地
(
てんち
)
人道
(
じんだう
)
に
背
(
そむ
)
か
ざる
事
(
こと
)
045
一
(
ひとつ
)
、
046
外
(
はづ
)
れ
ざる
事
(
こと
)
047
一
(
ひとつ
)
、
048
違
(
たが
)
は
ざる
事
(
こと
)
049
一
(
ひとつ
)
、
050
至誠
(
しせい
)
一貫
(
いつくわん
)
万世
(
ばんせい
)
朽
(
く
)
ち
ざる
香
(
かんば
)
しき
名
(
な
)
を
伝
(
つた
)
ふる
事
(
こと
)
051
一
(
ひとつ
)
、
052
天下
(
てんか
)
の
為
(
ため
)
には
地位
(
ちゐ
)
、
053
名望
(
めいばう
)
、
054
財産
(
ざいさん
)
、
055
生命
(
せいめい
)
も
敢
(
あへ
)
て
惜
(
をし
)
ま
ざる
事
(
こと
)
056
一
(
ひとつ
)
、
057
至誠
(
しせい
)
天地
(
てんち
)
に
恥
(
は
)
ぢ
ざる
行
(
おこな
)
ひを
為
(
な
)
す
事
(
こと
)
058
一
(
ひとつ
)
、
059
善
(
ぜん
)
をなす
為
(
た
)
めには
如何
(
いか
)
なる
妨害
(
ばうがい
)
にも
屈
(
くつ
)
せ
ざる
事
(
こと
)
060
一
(
ひとつ
)
、
061
肉体
(
にくたい
)
は
仮令
(
たとへ
)
死
(
し
)
すとも
霊魂
(
れいこん
)
は
永遠
(
ゑいゑん
)
に
死
(
し
)
せ
ざる
真理
(
しんり
)
を
悟
(
さと
)
る
事
(
こと
)
062
一
(
ひとつ
)
、
063
大業
(
たいげふ
)
を
成
(
な
)
すに
当
(
あた
)
つては
千苦
(
せんく
)
万難
(
ばんなん
)
に
撓
(
たゆ
)
ま
ざる
事
(
こと
)
064
一
(
ひとつ
)
、
065
道
(
みち
)
のためには
屈
(
くつ
)
せ
ざる
事
(
こと
)
066
一
(
ひとつ
)
、
067
勁敵
(
けいてき
)
に
遇
(
あ
)
ふとも
退却
(
たいきやく
)
せ
ざる
事
(
こと
)
068
一
(
ひとつ
)
、
069
弱
(
よわ
)
ら
ざる
事
(
こと
)
070
一
(
ひとつ
)
、
071
決
(
けつ
)
して
何事
(
なにごと
)
にも
悲観
(
ひくわん
)
せ
ざる
事
(
こと
)
072
一
(
ひとつ
)
、
073
勇気
(
ゆうき
)
を
鼓
(
こ
)
して
如何
(
いか
)
なる
失敗
(
しつぱい
)
をも
挽回
(
ばんくわい
)
せ
ざる
可
(
べ
)
から
ざる
事
(
こと
)
074
一
(
ひとつ
)
、
075
人欲
(
じんよく
)
のために
心
(
こころ
)
を
乱
(
みだ
)
さ
ざる
事
(
こと
)
076
一
(
ひとつ
)
、
077
総
(
すべ
)
ての
生物
(
せいぶつ
)
を
苦
(
くる
)
しめ
ざる
事
(
こと
)
078
一
(
ひとつ
)
、
079
佯
(
いつは
)
ら
ざる
事
(
こと
)
080
一
(
ひとつ
)
、
081
罵
(
ののし
)
ら
ざる
事
(
こと
)
082
一
(
ひとつ
)
、
083
欺
(
あざむ
)
か
ざる
事
(
こと
)
084
一
(
ひとつ
)
、
085
人
(
ひと
)
の
成功
(
せいこう
)
を
嫉
(
ねた
)
ま
ざる
事
(
こと
)
086
一
(
ひとつ
)
、
087
人
(
ひと
)
の
業
(
げふ
)
を
妨
(
さまた
)
げ
ざる
事
(
こと
)
088
一
(
ひとつ
)
、
089
奪
(
うば
)
は
ざる
事
(
こと
)
090
一
(
ひとつ
)
、
091
傷
(
きず
)
つけ
ざる
事
(
こと
)
092
一
(
ひとつ
)
、
093
殺
(
ころ
)
さ
ざる
事
(
こと
)
094
一
(
ひとつ
)
、
095
媚
(
こ
)
び
諂
(
へつら
)
は
ざる
事
(
こと
)
096
一
(
ひとつ
)
、
097
酒色
(
しゆしよく
)
を
好
(
この
)
ま
ざる
事
(
こと
)
098
一
(
ひとつ
)
、
099
道
(
みち
)
に
外
(
はづ
)
れ
ざる
事
(
こと
)
100
一
(
ひとつ
)
、
101
世界
(
せかい
)
の
進運
(
しんうん
)
に
後
(
おく
)
れ
ざる
事
(
こと
)
102
一
(
ひとつ
)
、
103
何事
(
なにごと
)
にも
成功
(
せいこう
)
を
急
(
いそ
)
が
ざる
事
(
こと
)
104
一
(
ひとつ
)
、
105
暴富
(
ばうふ
)
を
望
(
のぞ
)
ま
ざる
事
(
こと
)
106
一
(
ひとつ
)
、
107
貧乏
(
びんばふ
)
を
憂
(
うれ
)
へ
ざる
事
(
こと
)
108
一
(
ひとつ
)
、
109
漫
(
みだり
)
に
竹木
(
ちくぼく
)
を
伐
(
き
)
ら
ざる
事
(
こと
)
110
一
(
ひとつ
)
、
111
軽挙
(
けいきよ
)
妄動
(
もうどう
)
せ
ざる
事
(
こと
)
112
一
(
ひとつ
)
、
113
人
(
ひと
)
を
攻撃
(
こうげき
)
せ
ざる
事
(
こと
)
114
一
(
ひとつ
)
、
115
悪所
(
あくしよ
)
に
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
れ
ざる
事
(
こと
)
116
一
(
ひとつ
)
、
117
日々
(
ひび
)
の
職務
(
しよくむ
)
を
怠
(
おこた
)
ら
ざる
事
(
こと
)
118
一
(
ひとつ
)
、
119
四恩
(
しおん
)
を
忘
(
わす
)
れ
ざる
事
(
こと
)
120
一
(
ひとつ
)
、
121
衣食
(
いしよく
)
に
驕
(
おご
)
ら
ざる
事
(
こと
)
122
一
(
ひとつ
)
、
123
何事
(
なにごと
)
にも
怒
(
おこ
)
ら
ざる
事
(
こと
)
124
一
(
ひとつ
)
、
125
物
(
もの
)
に
動
(
どう
)
ぜ
ざる
やう
常
(
つね
)
に
心胆
(
しんたん
)
を
錬磨
(
れんま
)
する
事
(
こと
)
126
一
(
ひとつ
)
、
127
欲
(
よく
)
のため
危
(
あやふ
)
きに
近寄
(
ちかよ
)
ら
ざる
事
(
こと
)
128
一
(
ひとつ
)
、
129
敵
(
てき
)
を
恨
(
うら
)
ま
ざる
事
(
こと
)
130
一
(
ひとつ
)
、
131
迷信
(
めいしん
)
に
陥
(
おちい
)
ら
ざる
事
(
こと
)
132
一
(
ひとつ
)
、
133
神明
(
しんめい
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
る
身
(
み
)
は
常
(
つね
)
に
清潔
(
せいけつ
)
を
尊
(
たふと
)
び、
134
汚
(
けが
)
れ
ざる
やう
注意
(
ちうい
)
せ
ざる
べから
ざる
事
(
こと
)
135
一
(
ひとつ
)
、
136
終始
(
しうし
)
一貫
(
いつくわん
)
初一念
(
しよいちねん
)
を
変
(
へん
)
ぜ
ざる
事
(
こと
)
137
一
(
ひとつ
)
、
138
異端
(
いたん
)
邪説
(
じやせつ
)
に
惑
(
まど
)
は
ざる
事
(
こと
)
139
一
(
ひとつ
)
、
140
現代
(
げんだい
)
の
悪思想
(
あくしさう
)
に
染
(
そ
)
ま
ざる
事
(
こと
)
141
一
(
ひとつ
)
、
142
吾
(
わが
)
良心
(
りやうしん
)
を
欺
(
あざむ
)
か
ざる
事
(
こと
)
143
一
(
ひとつ
)
、
144
物
(
もの
)
云
(
い
)
ふ
花
(
はな
)
に
狂
(
くる
)
は
ざる
事
(
こと
)
145
一
(
ひとつ
)
、
146
惟神
(
かむながら
)
の
大道
(
おほみち
)
を
外
(
はづ
)
さ
ざる
事
(
こと
)
147
一
(
ひとつ
)
、
148
総
(
すべ
)
ての
事
(
こと
)
に
騒
(
さわ
)
が
ざる
事
(
こと
)
149
一
(
ひとつ
)
、
150
人
(
ひと
)
の
悪事
(
あくじ
)
を
摘発
(
てきはつ
)
せ
ざる
事
(
こと
)
151
一
(
ひとつ
)
、
152
義理
(
ぎり
)
人情
(
にんじやう
)
を
捨
(
す
)
て
ざる
事
(
こと
)
153
一
(
ひとつ
)
、
154
長上
(
ちやうじやう
)
に
対
(
たい
)
し
反感
(
はんかん
)
の
念
(
ねん
)
をもた
ざる
事
(
こと
)
155
一
(
ひとつ
)
、
156
産土
(
うぶすな
)
神社
(
じんしや
)
へ
信仰
(
しんかう
)
を
怠
(
をこた
)
ら
ざる
事
(
こと
)
157
一
(
ひとつ
)
、
158
衛生
(
ゑいせい
)
に
注意
(
ちうい
)
し
病
(
やまひ
)
にかから
ざる
やう
注意
(
ちうい
)
すべき
事
(
こと
)
159
一
(
ひとつ
)
、
160
如何
(
いか
)
なる
憂目
(
うきめ
)
に
遇
(
あ
)
ふとも
決
(
けつ
)
して
泣
(
な
)
き
悲
(
かな
)
しま
ざる
事
(
こと
)
161
一
(
ひとつ
)
、
162
禽獣
(
きんじう
)
の
精神
(
せいしん
)
に
劣
(
おと
)
ら
ざる
やう
身魂
(
みたま
)
をみがく
事
(
こと
)
163
一
(
ひとつ
)
、
164
交際
(
かうさい
)
に
貴賤
(
きせん
)
貧富
(
ひんぷ
)
の
別
(
べつ
)
を
立
(
た
)
て
ざる
事
(
こと
)
165
一
(
ひとつ
)
、
166
猿
(
さる
)
共
(
ども
)
に
揶揄
(
からか
)
は
ざる
事
(
こと
)
167
一
(
ひとつ
)
、
168
何事
(
なにごと
)
も
見
(
み
)
ざる
、
169
聞
(
き
)
か
ざる
、
170
云
(
い
)
は
ざる
の
三猿
(
さんゑん
)
主義
(
しゆぎ
)
を
取
(
と
)
る
事
(
こと
)
171
マアざつと
如上
(
じよじやう
)
の
条項
(
でうかう
)
を
守
(
まも
)
り、
172
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
かず、
173
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
かず、
174
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
り、
175
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
の
末
(
すゑ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
176
其
(
その
)
徳
(
とく
)
に
悦服
(
えつぷく
)
するやう
注意
(
ちうい
)
をせなくてはなりませぬぞ』
177
伊太公
(
いたこう
)
『
何
(
なん
)
とまあ
サル
だの
ザル
だのと、
178
ザル
籠
(
かご
)
に
這入
(
はい
)
らぬ
程
(
ほど
)
陳列
(
ちんれつ
)
なさいましたなア。
179
さう
云
(
い
)
はれて
仕舞
(
しま
)
へばモウこれからは
吾々
(
われわれ
)
は
唖
(
おし
)
とならなくては
仕方
(
しかた
)
がありませぬワ。
180
ほんとに
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますわい』
181
道公
(
みちこう
)
『それ
見
(
み
)
たか
伊太公
(
いたこう
)
、
182
偉
(
えら
)
さうに
云
(
い
)
つても
忽
(
たちま
)
ち
箝口令
(
かんこうれい
)
を
布
(
し
)
かれて
仕舞
(
しま
)
へば、
183
チウ
の
声
(
こゑ
)
も
揚
(
あが
)
らぬぢやないか、
184
本当
(
ほんたう
)
に
困
(
こま
)
つたものぢやのう』
185
伊太公
(
いたこう
)
『コリヤコリヤ
道公
(
みちこう
)
、
186
今
(
いま
)
宣伝使
(
せんでんし
)
が「
罵
(
ののし
)
らざる
事
(
こと
)
」と
仰有
(
おつしや
)
つたぢやないか。
187
あれ
見
(
み
)
よ
猿
(
さる
)
の
奴
(
やつ
)
あまりに
宣伝使
(
せんでんし
)
がサルだのザルだのと
仰有
(
おつしや
)
るものだから
得意
(
とくい
)
になつて
益々
(
ますます
)
接近
(
せつきん
)
して
来
(
く
)
るぢやないか』
188
道公
(
みちこう
)
『
何
(
なあ
)
に
猿
(
さる
)
はサルとしての、
189
一
(
ひと
)
つの
考案
(
かうあん
)
があつて
押寄
(
おしよ
)
せて
来
(
く
)
るのだ。
190
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
道公
(
みちこう
)
の
様
(
やう
)
な
好男子
(
かうだんし
)
が
厶
(
ござ
)
るものだからなア。
191
あの
猿
(
さる
)
は
決
(
けつ
)
して
雄
(
をす
)
ばかりぢやない、
192
雌
(
めす
)
だつて
沢山
(
たくさん
)
居
(
を
)
るからなア』
193
伊太公
(
いたこう
)
『アハヽヽヽ、
194
好男子
(
かうだんし
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れるわい。
195
「
講談師
(
かうだんし
)
見
(
み
)
て
来
(
き
)
たやうな
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
ひ」と
云
(
い
)
つて
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えた
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
ふぢやないか。
196
貴様
(
きさま
)
の
顔
(
かほ
)
は
猿
(
さる
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
るから
自分
(
じぶん
)
達
(
たち
)
の
仲間
(
なかま
)
ぢやと
思
(
おも
)
つて
寄
(
よ
)
つて
来
(
く
)
るのだよ』
197
道公
(
みちこう
)
『
何
(
なに
)
、
198
俺
(
おれ
)
が
猿
(
さる
)
に
似
(
に
)
とるのぢやない、
199
猿
(
さる
)
の
方
(
はう
)
から
俺
(
おれ
)
に
似
(
に
)
てけつかるのだ。
200
アハヽヽ』
201
伊太公
(
いたこう
)
『どつちから
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
ても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
ぢやないかそれそれ、
202
身動
(
みうご
)
きもならぬ
程
(
ほど
)
近
(
ちか
)
くへやつて
来
(
き
)
やがつた。
203
えゝコン
畜生
(
ちくしやう
)
、
204
ちつとそつちへ
行
(
ゆ
)
かぬかい』
205
と
伊太公
(
いたこう
)
は
力
(
ちから
)
に
任
(
まか
)
して
間近
(
まぢか
)
にやつて
来
(
き
)
た
猿
(
さる
)
を
押倒
(
おしたふ
)
した。
206
猿
(
さる
)
の
群
(
むれ
)
は
俄
(
にはか
)
にキヤツキヤツと
叫
(
さけ
)
び
出
(
だ
)
し、
207
彼方
(
あちら
)
の
山
(
やま
)
の
端
(
はし
)
からも
此方
(
こちら
)
の
山
(
やま
)
の
端
(
はし
)
からも
幾万
(
いくまん
)
とも
知
(
し
)
れない
猿
(
さる
)
の
数
(
かず
)
となり
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
向
(
むか
)
ひ
金切声
(
かなきりごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
掻
(
か
)
きつく、
208
武者振
(
むしやぶり
)
つく、
209
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
の
猿
(
さる
)
は
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
巧
(
たくみ
)
になげつける。
210
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
衆寡
(
しうくわ
)
敵
(
てき
)
せず、
211
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
正当
(
せいたう
)
防衛
(
ばうゑい
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
212
ノソリノソリと
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
からやつて
来
(
き
)
た、
213
一層
(
いつそう
)
大
(
おほ
)
きな
白毛
(
はくまう
)
の
猿
(
さる
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
後
(
うしろ
)
より
不意
(
ふい
)
に
目
(
め
)
のあたりをかき
むし
つた。
214
玉国別
(
たまくにわけ
)
はアツと
叫
(
さけ
)
んで
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打倒
(
うちたふ
)
れた。
215
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
猿
(
さる
)
に
向
(
むか
)
つて
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
を
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
り
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
へど、
216
数万
(
すうまん
)
の
猿
(
さる
)
は
入
(
い
)
り
替
(
か
)
はり
立
(
た
)
ち
替
(
か
)
はり
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
るに
力
(
ちから
)
尽
(
つ
)
き
今
(
いま
)
や
危
(
あやふ
)
くなつて
来
(
き
)
た。
217
時
(
とき
)
しもあれ
山岳
(
さんがく
)
も
崩
(
くづ
)
るる
許
(
ばか
)
りの
獅子
(
しし
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
、
218
ウーウーと
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
る。
219
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
数万
(
すうまん
)
の
猿群
(
ゑんぐん
)
はキヤツキヤツと
悲鳴
(
ひめい
)
をあげ
一目散
(
いちもくさん
)
に
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せて
仕舞
(
しま
)
つた。
220
いづくともなく
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
爽
(
さはや
)
かに
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る。
221
(時置師神)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
222
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
223
尊
(
たふと
)
き
使命
(
しめい
)
を
忘却
(
ばうきやく
)
し
224
尾上
(
をのへ
)
を
渡
(
わた
)
る
荒風
(
あらかぜ
)
に
225
肝
(
きも
)
を
冷
(
ひや
)
してぶるぶると
226
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
き
懐
(
ふところ
)
の
227
谷間
(
たにま
)
に
隠
(
かく
)
れ
暫
(
しばら
)
くの
228
安
(
やす
)
きを
盗
(
ぬす
)
みし
愚
(
おろ
)
かさよ
229
天罰
(
てんばつ
)
忽
(
たちま
)
ち
報
(
むく
)
い
来
(
き
)
て
230
人
(
ひと
)
にもあらぬ
猿
(
さる
)
の
群
(
むれ
)
231
責
(
せ
)
めなやまされ
両眼
(
りやうがん
)
を
232
掻
(
か
)
きやぶられし
浅
(
あさ
)
はかさ
233
吾
(
われ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
234
汝
(
なんぢ
)
一行
(
いつかう
)
の
旅立
(
たびだち
)
を
235
心
(
こころ
)
に
案
(
あん
)
じわづらひつ
236
獅子
(
しし
)
の
背中
(
せなか
)
に
跨
(
またが
)
りて
237
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
り
眺
(
なが
)
むれば
238
悲惨
(
ひさん
)
至極
(
しごく
)
のていたらく
239
三五教
(
あななひけう
)
の
面汚
(
つらよご
)
し
240
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
に
如何
(
いか
)
にして
241
此
(
この
)
失策
(
しつさく
)
を
謝罪
(
しやざい
)
する
242
月日
(
つきひ
)
にたとへし
両眼
(
りやうがん
)
を
243
掻
(
か
)
きやぶられし
宣伝使
(
せんでんし
)
244
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
くらみなば
245
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
も
知
(
し
)
らぬ
火
(
ひ
)
の
246
浪間
(
なみま
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ
如
(
ごと
)
くなり
247
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
248
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
249
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
の
手綱
(
たづな
)
をば
250
引
(
ひ
)
きしめ
引
(
ひ
)
きしめ
大神
(
おほかみ
)
の
251
勅
(
みこと
)
のままに
逸早
(
いちはや
)
く
252
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
に
猛進
(
まうしん
)
し
253
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
を
254
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
くなし
遂
(
と
)
げよ
255
たとへ
眼
(
まなこ
)
はやぶるとも
256
神
(
かみ
)
の
御守
(
みまも
)
りある
上
(
うへ
)
は
257
霊
(
たま
)
は
開
(
ひら
)
けて
天国
(
てんごく
)
の
258
救
(
すく
)
ひの
道
(
みち
)
を
安々
(
やすやす
)
と
259
此
(
この
)
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
開設
(
かいせつ
)
し
260
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
経綸
(
けいりん
)
の
261
司
(
つかさ
)
と
仕
(
つか
)
へ
得
(
え
)
らるべし
262
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
263
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
264
星
(
ほし
)
は
天
(
てん
)
より
落
(
お
)
つるとも
265
浜
(
はま
)
の
真砂
(
まさご
)
は
尽
(
つ
)
くるとも
266
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
は
267
決
(
けつ
)
して
背
(
そむ
)
く
事
(
こと
)
なかれ
268
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
269
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
270
直日
(
なほひ
)
の
霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちは
)
ひて
271
曇
(
くも
)
りし
汝
(
なれ
)
が
魂
(
たましひ
)
の
272
眼
(
まなこ
)
を
開
(
ひら
)
き
助
(
たす
)
くべし
273
いざいざさらば いざさらば
274
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
も
恐
(
おそ
)
れなく
275
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
襲来
(
しふらい
)
も
276
臆
(
おく
)
せず
屈
(
くつ
)
せず
道
(
みち
)
のため
277
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
進
(
すす
)
めかし
278
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
279
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
280
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
281
忽然
(
こつぜん
)
として
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれたのは、
282
巨大
(
きよだい
)
なるライオンに
跨
(
またが
)
つた
時置師
(
ときおかし
)
の
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
であつた。
283
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
両眼
(
りやうがん
)
を
潰
(
つぶ
)
され、
284
打
(
う
)
ち
伏
(
ふ
)
して
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
のみを
謹聴
(
きんちやう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
285
道公
(
みちこう
)
、
286
伊太公
(
いたこう
)
、
287
純公
(
すみこう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
の
雄姿
(
ゆうし
)
を
伏拝
(
ふしをが
)
み、
288
滂沱
(
ばうだ
)
たる
涙
(
なみだ
)
を
腮辺
(
しへん
)
に
漂
(
ただよ
)
はして
居
(
ゐ
)
る。
289
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
は
疾風
(
しつぷう
)
迅雷
(
じんらい
)
の
如
(
ごと
)
く、
290
獅子
(
しし
)
に
跨
(
またが
)
り
嶮
(
けは
)
しき
山
(
やま
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えていづこともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
291
(
大正一一・一一・二六
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