霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第43巻
> 第4篇 愛縁義情 > 第15章 温愛
<<< 忍び涙
(B)
(N)
鰌鍋 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一五章
温愛
(
をんあい
)
〔一一六六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第4篇 愛縁義情
よみ(新仮名遣い):
あいえんぎじょう
章:
第15章 温愛
よみ(新仮名遣い):
おんあい
通し章番号:
1166
口述日:
1922(大正11)年11月28日(旧10月10日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-11 12:06:38
OBC :
rm4315
愛善世界社版:
239頁
八幡書店版:
第8輯 115頁
修補版:
校定版:
248頁
普及版:
104頁
初版:
ページ備考:
001
治国別
(
はるくにわけ
)
は
儼然
(
げんぜん
)
としてマツ
公
(
こう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
002
治国別
『
何処
(
いづこ
)
の
何人
(
なにびと
)
の
弟
(
おとうと
)
か
知
(
し
)
らぬが、
003
まづまづ
無事
(
ぶじ
)
で
目出
(
めで
)
たいなア。
004
随分
(
ずゐぶん
)
苦労
(
くらう
)
をしたと
見
(
み
)
えて
年
(
とし
)
の
割
(
わ
)
りには
窶
(
やつ
)
れて
居
(
ゐ
)
るぢやないか』
005
マツ
公
(
こう
)
は
飛
(
と
)
びつくやうにして
膝
(
ひざ
)
をにじり
寄
(
よ
)
せ、
006
マツ公
『
貴方
(
あなた
)
は
私
(
わたし
)
の
兄
(
にい
)
様
(
さま
)
、
007
亀彦
(
かめひこ
)
さまで
厶
(
ござ
)
いませう。
008
ようマア
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
009
嬉
(
うれ
)
しう
厶
(
ござ
)
います』
010
と
早
(
はや
)
くも
涙
(
なみだ
)
をハラハラと
垂
(
た
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
011
治国別
(
はるくにわけ
)
『ヨウ、
012
これは
近頃
(
ちかごろ
)
迷惑
(
めいわく
)
、
013
この
治国別
(
はるくにわけ
)
は
其方
(
そなた
)
のやうな
弟
(
おとうと
)
は
持
(
も
)
つた
覚
(
おぼ
)
えがない。
014
何
(
なに
)
かの
間違
(
まちが
)
ひではあるまいか』
015
マツ
公
(
こう
)
『それはあまり
胴欲
(
どうよく
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
016
よく
此
(
この
)
顔
(
かほ
)
を
御覧
(
ごらん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
017
治国別
(
はるくにわけ
)
『ちつとも
覚
(
おぼ
)
えがない』
018
タツ
公
(
こう
)
『モシ
亀彦
(
かめひこ
)
様
(
さま
)
、
019
否
(
いや
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
020
私
(
わたくし
)
はマツ
公
(
こう
)
の
女房
(
にようばう
)
の
弟
(
おとうと
)
、
021
タツと
申
(
まを
)
します。
022
縦
(
たて
)
から
見
(
み
)
ても
横
(
よこ
)
から
見
(
み
)
ても
瓜二
(
うりふた
)
つ、
023
御
(
ご
)
兄弟
(
きやうだい
)
に
間違
(
まちが
)
ひはありますまい。
024
そんなに
じら
さずに
早
(
はや
)
く
名乗
(
なの
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
025
義兄
(
ぎけい
)
も
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んで
居
(
ゐ
)
ますから』
026
治国別
(
はるくにわけ
)
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
供
(
とも
)
を
虜
(
とりこ
)
にし
剰
(
あま
)
つさへ
畏
(
おそれおほ
)
くも
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
を
攻
(
せ
)
め
滅
(
ほろ
)
ぼさむと
致
(
いた
)
す、
027
バラモン
教
(
けう
)
の
悪神
(
あくがみ
)
の
手先
(
てさき
)
となるやうな
弟
(
おとうと
)
は
持
(
も
)
つた
覚
(
おぼ
)
えがない……かく
申
(
まを
)
す
治国別
(
はるくにわけ
)
の
胸中
(
きようちう
)
は
千万
(
せんまん
)
無量
(
むりやう
)
、
028
推量
(
すゐりやう
)
致
(
いた
)
せよ。
029
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
030
否
(
いや
)
軍人
(
いくさびと
)
』
031
マツ
公
(
こう
)
『イヤ、
032
兄
(
にい
)
様
(
さま
)
ではない
治国別
(
はるくにわけの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
033
軽率
(
けいそつ
)
に
兄弟
(
きやうだい
)
呼
(
よば
)
はりを
致
(
いた
)
しまして、
034
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
035
何卒
(
どうぞ
)
お
咎
(
とが
)
めなくお
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
しを
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げます』
036
玉国別
(
たまくにわけ
)
『イヤ
治国別
(
はるくにわけ
)
さま、
037
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
には
及
(
およ
)
びませぬ。
038
折角
(
せつかく
)
の
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
……』
039
と
云
(
い
)
はむとするを、
040
治国別
(
はるくにわけ
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
口元
(
くちもと
)
を
押
(
おさ
)
へるやうな
手
(
て
)
つきして、
041
治国別
『
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますが、
042
是
(
これ
)
が
如何
(
どう
)
して
名乗
(
なの
)
られませうか。
043
決
(
けつ
)
して
治国別
(
はるくにわけ
)
は
兄弟
(
きやうだい
)
は
持
(
も
)
ちませぬ。
044
マツ
公
(
こう
)
とやら
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
三五
(
あななひ
)
の
誠
(
まこと
)
を
現
(
あらは
)
す
気
(
き
)
はないか』
045
マツ
公
(
こう
)
『ハイ
然
(
しか
)
らば
是
(
これ
)
より
私
(
わたし
)
の
真心
(
まごころ
)
を
御覧
(
ごらん
)
に
入
(
い
)
れます。
046
其
(
その
)
上
(
うへ
)
にて
兄弟
(
きやうだい
)
の
名乗
(
なの
)
りをお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
047
と
又
(
また
)
もや
泣
(
な
)
き
崩
(
くづ
)
るる
可憐
(
しほ
)
らしさ。
048
治国別
(
はるくにわけ
)
は
目
(
め
)
を
繁叩
(
しばたた
)
き、
049
悲
(
かな
)
しさを
耐
(
こら
)
へ
黙然
(
もくねん
)
として
居
(
ゐ
)
る。
050
タツ
公
(
こう
)
『サア
兄貴
(
あにき
)
往
(
ゆ
)
かう、
051
到底
(
たうてい
)
誠
(
まこと
)
を
表
(
あら
)
はさねば
何程
(
なにほど
)
実
(
じつ
)
の
兄
(
にい
)
様
(
さま
)
だつて
名乗
(
なの
)
つて
下
(
くだ
)
さる
筈
(
はず
)
がない』
052
と
涙声
(
なみだごゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
りながら
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
る。
053
マツ
公
(
こう
)
も
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
054
マツ公
『
宣伝使
(
せんでんし
)
其
(
その
)
他
(
た
)
のお
方々
(
かたがた
)
、
055
暫時
(
しばらく
)
お
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
します。
056
明日
(
みやうにち
)
はきつと
此処
(
ここ
)
でお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
りませう。
057
此
(
この
)
山口
(
やまぐち
)
にはランチ
将軍
(
しやうぐん
)
、
058
片彦
(
かたひこ
)
、
059
久米彦
(
くめひこ
)
初
(
はじ
)
め
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
大将
(
たいしやう
)
が
勢揃
(
せいぞろひ
)
をして
居
(
を
)
りますれば、
060
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
用心
(
ようじん
)
なさいませ。
061
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
をお
立
(
た
)
ちなされては、
062
如何
(
いか
)
に
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
なればとて、
063
剣呑
(
けんのん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
064
左様
(
さやう
)
ならば』
065
と
立
(
た
)
ち
別
(
わか
)
れ、
066
両人
(
りやうにん
)
は
急坂
(
きふはん
)
を
南
(
みなみ
)
へ
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
067
後
(
あと
)
見送
(
みおく
)
つて
治国別
(
はるくにわけ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
押隠
(
おしかく
)
し、
068
治国別
『
焦
(
こ
)
がれたる
人
(
ひと
)
に
相見
(
あひみ
)
し
今日
(
けふ
)
の
身
(
み
)
は
069
昔
(
むかし
)
にましていとも
苦
(
くる
)
しき。
070
走
(
はし
)
り
往
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
むれば
071
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
涙
(
なみだ
)
ぐまるる。
072
過
(
あやまち
)
を
改
(
あらた
)
め
直
(
なほ
)
し
大神
(
おほかみ
)
の
073
道
(
みち
)
にかへれよ
二人
(
ふたり
)
往
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
。
074
秋
(
あき
)
の
日
(
ひ
)
の
淋
(
さび
)
しさ
吾
(
われ
)
に
迫
(
せま
)
りけり
075
思
(
おも
)
はぬ
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
るにつけても。
076
懐
(
なつか
)
しき
恋
(
こひ
)
しき
人
(
ひと
)
は
曲津見
(
まがつみ
)
の
077
醜
(
しこ
)
の
司
(
つかさ
)
となり
下
(
さが
)
りける。
078
吾
(
われ
)
とても
心
(
こころ
)
は
鬼
(
おに
)
にあらねども
079
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
を
外
(
はづ
)
すよしなし。
080
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
如何
(
いか
)
なる
罪
(
つみ
)
を
造
(
つく
)
りしか
081
淋
(
さび
)
しさ
身
(
み
)
に
沁
(
し
)
む
秋
(
あき
)
の
山路
(
やまみち
)
。
082
不意
(
ゆくり
)
なくめぐり
遭
(
あ
)
ひたる
愛人
(
うづひと
)
は
083
神
(
かみ
)
の
仇
(
あだ
)
とぞ
聞
(
き
)
きし
悲
(
かな
)
しさ』
084
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
治国別
(
はるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
思
(
おも
)
ひやり
085
吾
(
われ
)
も
思
(
おも
)
はず
涙
(
なみだ
)
おとしぬ。
086
やがて
又
(
また
)
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
も
来
(
きた
)
るらむ
087
冬籠
(
ふゆごも
)
りして
待
(
ま
)
つ
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は。
088
霜
(
しも
)
を
踏
(
ふ
)
み
雪
(
ゆき
)
をかぶりて
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
は
089
香
(
かをり
)
めでたき
庭
(
には
)
の
白梅
(
しらうめ
)
』
090
治国別
(
はるくにわけ
)
『
有難
(
ありがた
)
し
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
よ
091
三月
(
やよひ
)
の
木々
(
きぎ
)
の
心地
(
ここち
)
なしぬる。
092
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
悲
(
かな
)
しきヂレンマにかかりけり
093
誠
(
まこと
)
と
愛
(
あい
)
の
枷
(
かせ
)
に
責
(
せ
)
められ』
094
道公
(
みちこう
)
『
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
任
(
まか
)
しませ
095
やがて
晴
(
は
)
れゆく
秋
(
あき
)
の
大空
(
おほぞら
)
』
096
万公
(
まんこう
)
『
親
(
おや
)
となり
子
(
こ
)
となり
又
(
また
)
も
兄弟
(
きやうだい
)
と
097
生
(
うま
)
るも
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
なるらむ。
098
さりながら
生者
(
しやうじや
)
必滅
(
ひつめつ
)
会者
(
ゑしや
)
定離
(
ぢやうり
)
099
浮世
(
うきよ
)
の
様
(
さま
)
を
如何
(
いか
)
にとやせむ』
100
晴公
(
はるこう
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
深
(
ふか
)
き
心
(
こころ
)
を
思
(
おも
)
ひやり
101
晴
(
はる
)
の
心
(
こころ
)
も
曇
(
くも
)
りけるかな』
102
五三公
(
いそこう
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
よ
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
思召
(
おぼしめ
)
せ
103
頼
(
たよ
)
りまつ
身
(
み
)
の
花
(
はな
)
や
開
(
ひら
)
かむ。
104
清春
(
きよはる
)
の
山
(
やま
)
に
潜
(
ひそ
)
みし
伊太公
(
いたこう
)
を
105
伴
(
ともな
)
ひ
帰
(
かへ
)
るマツ タツ
二人
(
ふたり
)
。
106
マツ タツの
二人
(
ふたり
)
の
友
(
とも
)
はやがて
此処
(
ここ
)
に
107
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
るらむ』
108
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
最前
(
さいぜん
)
マツ
公
(
こう
)
の
話
(
はなし
)
に
聞
(
き
)
けば、
109
此
(
この
)
山道
(
やまみち
)
には
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
が
数多
(
あまた
)
待
(
ま
)
ち
伏
(
ぶ
)
せ
居
(
を
)
る
様子
(
やうす
)
、
110
吾々
(
われわれ
)
は
別
(
べつ
)
に
急
(
いそ
)
ぐ
必要
(
ひつえう
)
も、
111
かうなつてはありますまい。
112
暫
(
しばら
)
く
敵軍
(
てきぐん
)
の
此
(
この
)
山道
(
やまみち
)
を
通過
(
つうくわ
)
する
迄
(
まで
)
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませうか』
113
治国別
(
はるくにわけ
)
『それも
一
(
ひと
)
つの
神策
(
しんさく
)
でせう。
114
仮令
(
たとへ
)
幾万
(
いくまん
)
の
敵軍
(
てきぐん
)
ありとも
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せた
吾々
(
われわれ
)
、
115
些
(
すこ
)
しも
驚
(
おどろ
)
きは
致
(
いた
)
しませぬが、
116
敵
(
てき
)
を
四方
(
しはう
)
に
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らした
処
(
ところ
)
が、
117
飯
(
めし
)
の
上
(
うへ
)
の
蠅
(
はへ
)
を
追
(
お
)
ふやうなもの、
118
再
(
ふたた
)
び
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
へ
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るは
必然
(
ひつぜん
)
でせう。
119
どうしても
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
帰順
(
きじゆん
)
さすか、
120
但
(
ただし
)
は
此
(
この
)
難所
(
なんしよ
)
を
扼
(
やく
)
して
其
(
その
)
進路
(
しんろ
)
を
遮
(
さへぎ
)
り
留
(
とめ
)
るより
外
(
ほか
)
、
121
名案
(
めいあん
)
もありますまい』
122
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
私
(
わたくし
)
は
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
で
暫
(
しばら
)
く
眼痛
(
がんつう
)
の
軽減
(
けいげん
)
する
迄
(
まで
)
祈
(
いの
)
りませう。
123
何卒
(
どうぞ
)
貴方
(
あなた
)
はもとの
場所
(
ばしよ
)
へお
出
(
いで
)
なさつて
英気
(
えいき
)
を
養
(
やしな
)
ひ
捲土
(
けんど
)
重来
(
じうらい
)
の
敵
(
てき
)
に
備
(
そな
)
へて
下
(
くだ
)
さいませ』
124
治国別
(
はるくにわけ
)
『
左様
(
さやう
)
ならば
暫
(
しばら
)
く
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう。
125
サアサア
万公
(
まんこう
)
、
126
晴公
(
はるこう
)
、
127
往
(
ゆ
)
かう』
128
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つ。
129
後
(
あと
)
には
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
130
道公
(
みちこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
131
五三公
(
いそこう
)
、
132
純公
(
すみこう
)
も
治国別
(
はるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
つて
森蔭
(
もりかげ
)
に
身
(
み
)
を
没
(
ぼつ
)
した。
133
晩秋
(
ばんしう
)
の
風
(
かぜ
)
は
又
(
また
)
もや
烈
(
はげ
)
しく
吹
(
ふ
)
いて
来
(
き
)
た。
134
半
(
なかば
)
毀
(
こは
)
れし
祠
(
ほこら
)
はギクギクと
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
て、
135
鳴
(
な
)
き
出
(
だ
)
した。
136
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
はヒウヒウと
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
く。
137
バラバラバラと
枯葉
(
かれは
)
が
落
(
お
)
ちる。
138
冷
(
つめ
)
たき
雨
(
あめ
)
さへ
混
(
まじ
)
つて、
139
無雑作
(
むざふさ
)
に
目
(
め
)
の
悪
(
わる
)
い
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
く。
140
二人
(
ふたり
)
は
手早
(
てばや
)
く
蓑
(
みの
)
を
被
(
かぶ
)
り、
141
笠
(
かさ
)
を
確
(
しつか
)
と
結
(
むす
)
びつけ、
142
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
に
雨
(
あめ
)
と
風
(
かぜ
)
とを
辛
(
から
)
うじて
避
(
さ
)
ける
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
143
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
いて、
144
塒
(
ねぐら
)
定
(
さだ
)
むる
鳥
(
とり
)
の
声
(
こゑ
)
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
の
谷間
(
たにま
)
より
喧
(
かまびす
)
しく
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
145
薄衣
(
うすぎぬ
)
の
肌
(
はだ
)
を
冷
(
ひ
)
やす
風
(
かぜ
)
、
146
時々
(
ときどき
)
降
(
ふ
)
り
来
(
きた
)
る
村時雨
(
むらしぐれ
)
、
147
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れると
共
(
とも
)
に
寂寥
(
せきれう
)
益々
(
ますます
)
身
(
み
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
る。
148
道公
(
みちこう
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
身体
(
からだ
)
を
後
(
うしろ
)
よりグツと
抱
(
だ
)
いて
体
(
からだ
)
の
暖
(
だん
)
を
保
(
たも
)
つべく、
149
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
寒
(
さむ
)
さを
忘
(
わす
)
れて
労
(
いたは
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
150
発作
(
ほつさ
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
てくる
頭
(
あたま
)
の
痛
(
いた
)
み、
151
間歇
(
かんけつ
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
眼
(
め
)
の
痛
(
いた
)
み、
152
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
苦
(
くる
)
しみである。
153
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
私
(
ひそ
)
かに
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
り、
154
且
(
か
)
つ
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
謝罪
(
しやざい
)
して
居
(
ゐ
)
た。
155
此
(
この
)
時
(
とき
)
夕
(
ゆふべ
)
の
谷間
(
たにま
)
を
圧
(
あつ
)
して
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
156
(五十子姫)
『
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
157
大御心
(
おほみこころ
)
になりませる
158
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
159
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
瑞穂国
(
みづほくに
)
160
くまなく
開
(
ひら
)
き
照
(
て
)
らさむと
161
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
162
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
出
(
い
)
でませる
163
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
音彦
(
おとひこ
)
は
164
今
(
いま
)
や
何処
(
いづこ
)
にましますか
165
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
神殿
(
かむどの
)
に
166
額
(
ぬかづ
)
きまつり
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
167
功
(
いさを
)
をたてさせ
給
(
たま
)
へよと
168
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
しも
摩訶
(
まか
)
不思議
(
ふしぎ
)
169
吾
(
わが
)
目
(
め
)
にうつりし
光景
(
くわうけい
)
は
170
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
171
懐谷
(
ふところだに
)
に
現
(
あ
)
れまして
172
子猿
(
こざる
)
の
群
(
むれ
)
に
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
173
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
まれし
其
(
その
)
揚句
(
あげく
)
174
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
を
失
(
うしな
)
ひて
175
苦
(
くる
)
しみたまふ
有様
(
ありさま
)
を
176
窺
(
うかが
)
ひまつりし
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
177
何
(
なん
)
に
譬
(
たと
)
へむすべもなし
178
心
(
こころ
)
を
定
(
さだ
)
め
肝
(
きも
)
を
練
(
ね
)
り
179
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
額
(
ぬか
)
づきて
180
大神勅
(
だいしんちよく
)
を
伺
(
うかが
)
へば
181
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
に
182
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
183
夫
(
をつと
)
の
難
(
なん
)
を
救
(
すく
)
ふべく
184
今子
(
いまこ
)
の
姫
(
ひめ
)
を
従
(
したが
)
へて
185
片時
(
へんじ
)
も
早
(
はや
)
く
出
(
い
)
でませと
186
詔
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひし
有難
(
ありがた
)
さ
187
天
(
てん
)
にも
登
(
のぼ
)
る
心地
(
ここち
)
して
188
心
(
こころ
)
いそいそ
河鹿山
(
かじかやま
)
189
渉
(
わた
)
りて
此処
(
ここ
)
まで
来
(
きた
)
りけり
190
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
191
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
192
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
遭難
(
さうなん
)
を
193
救
(
すく
)
ひたまひて
三五
(
あななひ
)
の
194
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
を
195
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
成
(
な
)
し
遂
(
と
)
げる
196
御稜威
(
みいづ
)
を
与
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
へかし
197
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
198
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
199
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
200
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へし
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
201
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
は
失
(
う
)
するとも
202
如何
(
いか
)
でかひるみ
給
(
たま
)
はむや
203
遠
(
とほ
)
き
山野
(
さんや
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
204
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
205
其
(
その
)
神業
(
しんげふ
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
206
補
(
おぎな
)
ひまつり
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
207
今子
(
いまこ
)
の
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
208
此
(
この
)
神業
(
しんげふ
)
を
果
(
はた
)
さねば
209
仮令
(
たとへ
)
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
かかるとも
210
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
らじと
211
盟
(
ちか
)
ひまつりし
悲
(
かな
)
しさよ
212
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
213
此
(
この
)
急坂
(
きふはん
)
を
吹
(
ふ
)
きつける
214
醜
(
しこ
)
の
嵐
(
あらし
)
の
一時
(
いつとき
)
も
215
早
(
はや
)
く
静
(
しづ
)
まり
冬
(
ふゆ
)
も
過
(
す
)
ぎ
216
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
の
来
(
きた
)
るごと
217
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
眼病
(
がんびやう
)
を
218
開
(
ひら
)
かせたまへ
惟神
(
かむながら
)
219
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる』
220
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
るのは
歌
(
うた
)
の
文句
(
もんく
)
に
現
(
あら
)
はれた
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
妻
(
つま
)
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
であつた。
221
今子姫
『
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
妻神
(
つまがみ
)
と
222
仕
(
つか
)
へたまひし
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
223
夫
(
をつと
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
はむと
224
神
(
かみ
)
の
御許
(
みゆる
)
し
受
(
う
)
けたまひ
225
孱弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
をもつて
226
荒風
(
あらかぜ
)
すさぶ
荒野原
(
あらのはら
)
227
漸
(
やうや
)
く
越
(
こ
)
えて
河鹿山
(
かじかやま
)
228
淋
(
さび
)
しき
山野
(
やまの
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
229
又
(
また
)
もや
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
烈風
(
れつぷう
)
に
230
髪
(
かみ
)
梳
(
くしけづ
)
り
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れ
231
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
に
躓
(
つまづ
)
き
足
(
あし
)
破
(
やぶ
)
り
232
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
艱苦
(
かんく
)
して
233
尋
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
ますぞ
雄々
(
をを
)
しけれ
234
今子
(
いまこ
)
の
姫
(
ひめ
)
は
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
235
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
236
女
(
をんな
)
ながらも
皇神
(
すめかみ
)
の
237
道
(
みち
)
にさやれる
曲津見
(
まがつみ
)
を
238
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
打
(
う
)
ち
出
(
だ
)
して
239
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
240
四方
(
よも
)
にさやれる
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
241
醜神司
(
しこがみつかさ
)
を
払
(
はら
)
はむと
242
岩
(
いは
)
の
根
(
ね
)
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
踏
(
ふ
)
みさくみ
243
足
(
あし
)
にまかして
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
244
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
245
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
の
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ちを
246
憐
(
あは
)
れみたまひ
逸早
(
いちはや
)
く
247
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
248
進
(
すす
)
ませたまへ
惟神
(
かむながら
)
249
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
今子姫
(
いまこひめ
)
250
誠心
(
まごころ
)
捧
(
ささ
)
げ
願
(
ね
)
ぎまつる
251
獅子
(
しし
)
狼
(
おほかみ
)
は
猛
(
たけ
)
るとも
252
如何
(
いか
)
に
木枯
(
こがらし
)
強
(
つよ
)
くとも
253
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
は
嶮
(
けは
)
しとも
254
などか
恐
(
おそ
)
れむ
皇神
(
すめかみ
)
の
255
恵
(
めぐみ
)
を
受
(
う
)
けし
此
(
この
)
体
(
からだ
)
256
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
何処
(
どこ
)
までも
257
往
(
ゆ
)
かねばおかぬ
吾
(
わが
)
思
(
おも
)
ひ
258
遂
(
と
)
げさせたまへ
天地
(
あめつち
)
の
259
御親
(
みおや
)
とまします
大御神
(
おほみかみ
)
260
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大御神
(
おほみかみ
)
261
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
や
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
の
262
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
263
頸根突
(
うなねつ
)
き
抜
(
ぬ
)
き
願
(
ね
)
ぎまつる』
264
と
歌
(
うた
)
つて
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
前
(
まへ
)
に
向
(
むか
)
つて
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
るのが
今子姫
(
いまこひめ
)
であつた。
265
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
、
266
今子姫
(
いまこひめ
)
は、
267
玉国別
(
たまくにわけ
)
が
此
(
この
)
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
に
雨風
(
あめかぜ
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
居
(
ゐ
)
るとは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず、
268
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『アヽ
今子
(
いまこ
)
さま、
269
やうやう
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました。
270
お
蔭
(
かげ
)
で
風
(
かぜ
)
も
静
(
しづ
)
まり
雨
(
あめ
)
もやみましたから、
271
此処
(
ここ
)
で
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
をして
暫
(
しばら
)
く
足
(
あし
)
をやすめる
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう。
272
かうスツポリと
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れては
坂道
(
さかみち
)
は
剣呑
(
けんのん
)
で
厶
(
ござ
)
いますからなア』
273
今子姫
(
いまこひめ
)
『ハイさう
致
(
いた
)
しませう。
274
何
(
なん
)
だか
床
(
ゆか
)
しい
森
(
もり
)
で
厶
(
ござ
)
います。
275
私
(
わたし
)
はどうしても
此
(
この
)
森
(
もり
)
に
玉国別
(
たまくにわけ
)
さまが
居
(
を
)
られるやうな
気
(
き
)
がしてなりませぬわ』
276
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『
貴女
(
あなた
)
もさう
思
(
おも
)
ひますか。
277
私
(
わたし
)
も
何
(
なん
)
となく、
278
なつかしい
森
(
もり
)
だと
思
(
おも
)
ひます。
279
サア
此処
(
ここ
)
で
一服
(
いつぷく
)
致
(
いた
)
しませう』
280
両人
(
りやうにん
)
は
拍手
(
はくしゆ
)
再拝
(
さいはい
)
、
281
半
(
なかば
)
破
(
やぶ
)
れし
祠
(
ほこら
)
に
向
(
むか
)
つて
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
282
此
(
この
)
時
(
とき
)
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
道公
(
みちこう
)
に
抱
(
いだ
)
かれ
心地
(
ここち
)
よく
睡
(
ねむり
)
について
居
(
ゐ
)
たがフト
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし、
283
玉国別
『ヤア
道公
(
みちこう
)
、
284
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だつた。
285
吾
(
われ
)
を
抱
(
かか
)
へて
居
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れたのだなア。
286
お
蔭
(
かげ
)
で
温
(
あたた
)
かく
睡
(
ねむ
)
らして
貰
(
もら
)
つた。
287
頭
(
あたま
)
の
痛
(
いた
)
みも
癒
(
なほ
)
つた。
288
眼
(
め
)
の
痛
(
いた
)
みも
忘
(
わす
)
れたやうな
気
(
き
)
がする。
289
アヽ
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
い、
290
此
(
この
)
嬉
(
うれ
)
しさは
何時
(
いつ
)
までも
忘
(
わす
)
れはせぬぞ』
291
道公
(
みちこう
)
『
先生
(
せんせい
)
、
292
そりや
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
293
弟子
(
でし
)
に
礼
(
れい
)
を
言
(
い
)
ふといふ
事
(
こと
)
がありますか。
294
私
(
わたし
)
だつて
貴方
(
あなた
)
を
抱
(
かか
)
へさして
頂
(
いただ
)
いたお
蔭
(
かげ
)
で、
295
真
(
まこと
)
に
暖
(
あたた
)
かく
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らず
安眠
(
あんみん
)
致
(
いた
)
しました。
296
これも
先生
(
せんせい
)
の
御
(
ご
)
余光
(
よくわう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
297
礼
(
れい
)
を
言
(
い
)
はれては
困
(
こま
)
ります。
298
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
からお
礼
(
れい
)
を
申上
(
まをしあ
)
げねばなりませぬ』
299
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
惟神
(
かむながら
)
なれが
情
(
なさけ
)
のあつ
衣
(
ごろも
)
300
冷
(
つめ
)
たき
風
(
かぜ
)
を
凌
(
しの
)
ぎけるかな』
301
道公
(
みちこう
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
身
(
み
)
の
温
(
ぬく
)
み
身
(
み
)
にうけて
302
蘇
(
よみが
)
へりけり
吾
(
われ
)
の
魂
(
たましひ
)
』
303
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
旅
(
たび
)
に
出
(
で
)
て
人
(
ひと
)
の
情
(
なさけ
)
を
悟
(
さと
)
りけり
304
神
(
かみ
)
と
道
(
みち
)
とに
仕
(
つか
)
へゆく
身
(
み
)
は』
305
道公
(
みちこう
)
『
毀
(
こは
)
れたる
古宮
(
ふるみや
)
なれど
新
(
あたら
)
しき
306
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
を
下
(
くだ
)
したまひぬ』
307
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
治国
(
はるくに
)
の
別
(
わけ
)
の
命
(
みこと
)
の
神司
(
かむつかさ
)
308
夜風
(
よかぜ
)
にさぞや
苦
(
くる
)
しみたまはむ。
309
吾
(
わが
)
宿
(
やど
)
に
残
(
のこ
)
せし
妻
(
つま
)
は
嘸
(
さぞ
)
やさぞ
310
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
行
(
ゆ
)
く
方
(
へ
)
尋
(
たづ
)
ね
居
(
を
)
るらむ』
311
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
、
312
今子姫
(
いまこひめ
)
は
敏
(
さと
)
くも、
313
祠
(
ほこら
)
の
後
(
うしろ
)
より
幽
(
かす
)
かに
漏
(
も
)
れ
来
(
く
)
る
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
きて、
314
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
るばかり
打
(
う
)
ち
悦
(
よろこ
)
び「
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
はここにましませしか」と
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
をぢつと
抑
(
おさ
)
へ、
315
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『
懐
(
なつか
)
しき
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
き
)
きて
316
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
りけり
胸
(
むね
)
の
月影
(
つきかげ
)
』
317
今子姫
(
いまこひめ
)
『
懐
(
なつか
)
しき
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
や
皇神
(
すめかみ
)
の
318
影
(
かげ
)
に
包
(
つつ
)
まれ
安
(
やす
)
くいませる』
319
道公
(
みちこう
)
は
小声
(
こごゑ
)
になり、
320
道公
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
321
あの
歌
(
うた
)
をお
聞
(
き
)
きになりましたか、
322
どうやら
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のやうで
御座
(
ござ
)
いますなア』
323
玉国別
(
たまくにわけ
)
『ウン
確
(
たしか
)
に
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
だ。
324
一人
(
ひとり
)
は
今子姫
(
いまこひめ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからう』
325
道公
(
みちこう
)
『そんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
らずに、
326
早
(
はや
)
くお
会
(
あ
)
ひになつたらどうでせうか。
327
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
は
遥々
(
はるばる
)
此処迄
(
ここまで
)
お
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
つてお
出
(
いで
)
なさつたので
厶
(
ござ
)
います』
328
玉国別
(
たまくにわけ
)
『ウン、
329
会
(
あ
)
うてやり
度
(
た
)
いは
山々
(
やまやま
)
だが、
330
今
(
いま
)
会
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
331
不愍
(
ふびん
)
ながら
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
へ
追
(
お
)
つ
帰
(
かへ
)
さねばなるまい』
332
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『モシ
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
られますのは、
333
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
334
貴方
(
あなた
)
は
大変
(
たいへん
)
な
怪我
(
けが
)
をなされましたと、
335
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
承
(
うけたま
)
はり
心
(
こころ
)
も
心
(
こころ
)
ならず、
336
今子
(
いまこ
)
さまとお
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
337
御
(
ご
)
容態
(
ようだい
)
は
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
338
どうぞお
知
(
し
)
らせ
下
(
くだ
)
さいませ』
339
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
盲目
(
めしひ
)
たる
心
(
こころ
)
の
眼
(
まなこ
)
開
(
ひら
)
けけり
340
右
(
みぎ
)
りの
目
(
め
)
をば
猿
(
さる
)
にとられて』
341
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『
情
(
なさけ
)
なや
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
眼
(
まなこ
)
342
剔
(
えぐ
)
り
取
(
と
)
りたる
猿
(
さる
)
ぞ
恨
(
うら
)
めし』
343
今子姫
(
いまこひめ
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
御
(
おん
)
君
(
きみ
)
出
(
い
)
でませよ
344
五十子
(
いそこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
あはれみて』
345
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
妻
(
つま
)
の
君
(
きみ
)
に
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
ひたく
欲
(
ほり
)
すれど
346
神
(
かみ
)
の
使命
(
しめい
)
はおろそかならねば。
347
玉国
(
たまくに
)
の
別
(
わけ
)
の
司
(
つかさ
)
は
妻神
(
つまがみ
)
に
348
助
(
たす
)
けられしと
人
(
ひと
)
に
云
(
い
)
はれむ。
349
恥
(
はづ
)
かしき
吾
(
わが
)
眼
(
まなこ
)
をば
若草
(
わかぐさ
)
の
350
妻
(
つま
)
の
命
(
みこと
)
に
如何
(
いか
)
でか
会
(
あ
)
はさむ』
351
道公
(
みちこう
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
、
352
そんな
几帳面
(
きちやうめん
)
の
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
らいでも
宜
(
よろ
)
しいぢやありませぬか。
353
奥様
(
おくさま
)
がお
出
(
いで
)
になつて
居
(
ゐ
)
るのですから、
354
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
しませう。
355
そこが
夫婦
(
ふうふ
)
の
情愛
(
じやうあい
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
356
サア
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りませう』
357
玉国別
(
たまくにわけ
)
『そんなら
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ようかなア』
358
と
道公
(
みちこう
)
に
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
かれ、
359
杖
(
つゑ
)
を
力
(
ちから
)
に
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つた。
360
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
は
十七夜
(
じふしちや
)
の
月
(
つき
)
の
漸
(
やうや
)
く
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
に
上
(
のぼ
)
つた
光
(
ひかり
)
に
夫
(
をつと
)
の
顔
(
かほ
)
を
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
め、
361
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『ヤア
思
(
おも
)
つたよりも
酷
(
ひど
)
い
掻
(
か
)
き
創
(
きづ
)
、
362
マアどうしたら
宜
(
よろ
)
しからうなア、
363
今子姫
(
いまこひめ
)
さま』
364
今子姫
(
いまこひめ
)
『お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います、
365
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げて
宜
(
よろ
)
しいやら、
366
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
も
出
(
で
)
ませぬ。
367
併
(
しか
)
し
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな、
368
キツト
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
癒
(
なほ
)
して
下
(
くだ
)
さいませう』
369
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
『モシ
吾
(
わが
)
夫様
(
つまさま
)
、
370
余
(
あま
)
り
痛
(
いた
)
みは
致
(
いた
)
しませぬか』
371
玉国別
(
たまくにわけ
)
『ウン
些
(
ちつと
)
ばかり
痛
(
いた
)
むやうだ』
372
(
大正一一・一一・二八
旧一〇・一〇
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 忍び涙
(B)
(N)
鰌鍋 >>>
霊界物語
>
第43巻
> 第4篇 愛縁義情 > 第15章 温愛
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【15 温愛|第43巻(午の巻)|霊界物語/rm4315】
合言葉「みろく」を入力して下さい→