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第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
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第五章
感謝歌
(
かんしやうた
)
〔一一五六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第1篇 狂風怪猿
よみ(新仮名遣い):
きょうふうかいえん
章:
第5章 感謝歌
よみ(新仮名遣い):
かんしゃうた
通し章番号:
1156
口述日:
1922(大正11)年11月26日(旧10月8日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
玉国別は左目が回復した喜びを歌った。続いて道公、伊太公、純公が十回の歌を歌った。
玉国別は先に出立した照国別、黄金姫ら一行の安否を思いつつ、自らの心がけを戒める歌を歌った。
玉国別は三人を従え、神の戒めへの感謝の宣伝歌を歌いながら山を下って行く。続いて道公は足拍子を取りながら猿に囲まれて師の玉国別が片目を失い、神への懺悔によって片目を回復した経緯を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-05 18:58:57
OBC :
rm4305
愛善世界社版:
59頁
八幡書店版:
第8輯 50頁
修補版:
校定版:
63頁
普及版:
25頁
初版:
ページ備考:
001
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
大神
(
おほかみ
)
の
恵
(
めぐ
)
み
開
(
ひら
)
きぬ
詳細
(
まつぶ
)
さに
002
清
(
きよ
)
き
目
(
め
)
の
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
司
(
つかさ
)
。
003
あり
難
(
がた
)
し
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
照
(
て
)
らされて
004
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りたり。
005
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
になれとてや
006
一
(
ひと
)
つの
眼
(
まなこ
)
とらせ
給
(
たま
)
へり。
007
これからは
心
(
こころ
)
を
片眼
(
かため
)
身
(
み
)
を
片眼
(
かため
)
008
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
照
(
て
)
らし
行
(
ゆ
)
くべし。
009
盲
(
めし
)
ひたる
人
(
ひと
)
の
沢
(
さは
)
なる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
010
吾
(
われ
)
は
嬉
(
うれ
)
しき
目一箇
(
まひとつ
)
の
神
(
かみ
)
か。
011
玉国別
(
たまくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
は
今
(
いま
)
よりは
012
身魂
(
みたま
)
を
磨
(
みが
)
き
道
(
みち
)
に
尽
(
つく
)
さむ。
013
玉
(
たま
)
しひを
神
(
かみ
)
と
御
国
(
みくに
)
に
捧
(
ささ
)
げつつ
014
道
別
(
みちわけ
)
進
(
すす
)
まむ
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を。
015
常夜
(
とこよ
)
往
(
ゆ
)
く
闇夜
(
やみよ
)
も
晴
(
は
)
れて
吾
(
わが
)
眼
(
まなこ
)
016
一入
(
ひとしほ
)
清
(
きよ
)
く
光
(
ひか
)
り
初
(
そ
)
めたり。
017
山猿
(
やまざる
)
に
掻
(
か
)
きむしられし
吾
(
わが
)
眼
(
まなこ
)
018
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
魂
(
たま
)
を
救
(
すく
)
ひつ。
019
昔
(
むかし
)
より
良
(
よ
)
からぬ
事
(
こと
)
をなし
遂
(
と
)
げし
020
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
仇
(
あだ
)
を
悔
(
くや
)
しと
思
(
おも
)
ふ。
021
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
は
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
に
甦
(
よみがへ
)
り
022
不可知
(
ふかち
)
世界
(
せかい
)
の
光
(
ひかり
)
見
(
み
)
たりき。
023
肉
(
にく
)
の
眼
(
め
)
を
失
(
うしな
)
ひたりし
其
(
その
)
時
(
とき
)
ゆ
024
悟
(
さと
)
り
得
(
え
)
にけり
神
(
かみ
)
の
世界
(
せかい
)
を。
025
天ケ下
(
あめがした
)
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
隈
(
くま
)
もなく
026
照
(
て
)
らし
行
(
ゆ
)
くなり
片目司
(
かためつかさ
)
は。
027
万代
(
よろづよ
)
の
かため
と
神
(
かみ
)
は
定
(
さだ
)
めけむ
028
心
(
こころ
)
にたちし
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしら
)
。
029
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
一
(
ひと
)
つの
眼
(
まなこ
)
失
(
うしな
)
ひて
030
所存
(
しよぞん
)
の
臍
(
ほぞ
)
を
かため
たるかな。
031
逸早
(
いちはや
)
く
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむ
032
行手
(
ゆくて
)
にさやる
枉
(
まが
)
言向
(
ことむ
)
けて。
033
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
ぞ
有難
(
ありがた
)
き
034
心
(
こころ
)
の
盲目
(
めしひ
)
救
(
すく
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
』
035
道公
(
みちこう
)
『
玉国別
(
たまくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
036
弱
(
よわ
)
き
心
(
こころ
)
を
かため
ますらむ。
037
河鹿山
(
かじかやま
)
渡
(
わた
)
りて
来
(
く
)
れば
猿
(
さる
)
の
群
(
むれ
)
038
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
の
眼
(
まなこ
)
さましつ』
039
伊太公
(
いたこう
)
『いたいたし
君
(
きみ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
見
(
み
)
るにつけ
040
吾
(
わが
)
目
(
め
)
の
中
(
なか
)
に
涙
(
なみだ
)
こぼるる。
041
時置師
(
ときおかし
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
はライオンに
042
跨
(
またが
)
り
来
(
き
)
たり
吾
(
われ
)
を
救
(
すく
)
ひぬ』
043
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
目
(
め
)
の
光
(
ひかり
)
失
(
うしな
)
ひゐたる
吾
(
わが
)
身
(
み
)
には
044
神
(
かみ
)
のいでまし
悟
(
さと
)
らざりけり。
045
あな
尊
(
たふ
)
と
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
救
(
すく
)
はむと
046
現
(
あら
)
はれますか
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
。
047
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
守
(
まも
)
りまし
048
助
(
たす
)
け
給
(
たま
)
ひし
事
(
こと
)
の
尊
(
たふと
)
さ』
049
純公
(
すみこう
)
『
大空
(
おほぞら
)
の
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
りたる
秋
(
あき
)
の
日
(
ひ
)
も
050
暫
(
しば
)
しは
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まることあり。
051
水筒
(
すゐとう
)
を
道
(
みち
)
に
落
(
おと
)
して
伊太公
(
いたこう
)
が
052
狼狽
(
うろた
)
へ
騒
(
さわ
)
ぎし
事
(
こと
)
の
可笑
(
をか
)
しき。
053
谷川
(
たにがは
)
に
下
(
お
)
りて
汲
(
く
)
みとる
岩清水
(
いはしみづ
)
に
054
なやみ
去
(
さ
)
りけり
水
(
みづ
)
の
魂
(
たましひ
)
。
055
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
神徳
(
しんとく
)
は
056
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
まで
流
(
なが
)
れけるかも。
057
瑞御霊
(
みづみたま
)
幸
(
さち
)
はひまして
世
(
よ
)
の
明
(
あか
)
り
058
五六七
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
の
救
(
すく
)
ひ
尊
(
たふと
)
し』
059
道公
(
みちこう
)
『
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
く
人
(
ひと
)
に
会
(
あ
)
ふごと
三五
(
あななひ
)
の
060
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
へばや。
061
今
(
いま
)
となり
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
を
悟
(
さと
)
りけり
062
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
目
(
め
)
の
開
(
あ
)
きしより。
063
目
(
め
)
も
鼻
(
はな
)
もあかざる
事
(
こと
)
が
来
(
く
)
るぞよとの
064
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
をいまさら
悟
(
さと
)
りぬ。
065
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
には
066
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
道
(
みち
)
』
067
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
拝
(
をが
)
みてゆ
068
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
さへあかくなりぬる。
069
照国別
(
てるくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
070
大御恵
(
おほみめぐ
)
みに
安
(
やす
)
く
居
(
ゐ
)
まさむ。
071
黄金姫
(
わうごんひめ
)
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
便
(
たよ
)
りをも
072
聞
(
き
)
かま
欲
(
ほ
)
しけれ
旅
(
たび
)
なる
吾
(
われ
)
は。
073
吾
(
わが
)
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
ひし
大神
(
おほかみ
)
の
074
心
(
こころ
)
畏
(
かしこ
)
み
御世
(
みよ
)
を
教
(
をし
)
へむ。
075
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
吾
(
わが
)
身
(
み
)
なりとは
今
(
いま
)
の
今
(
いま
)
076
目
(
め
)
を
破
(
やぶ
)
るまで
悟
(
さと
)
らざりけり。
077
省
(
かへりみ
)
れば
吾
(
わが
)
身
(
み
)
は
枉
(
まが
)
の
容器
(
いれもの
)
と
078
なりゐたりしかいとも
恥
(
はづ
)
かし』
079
道公
(
みちこう
)
『
千早
(
ちはや
)
振
(
ふ
)
る
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
は
開
(
ひら
)
けたり
080
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
眼
(
まなこ
)
清
(
きよ
)
けく。
081
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
を
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せつつ
082
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くべし
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を。
083
大道
(
おほみち
)
に
迷
(
まよ
)
ひし
人
(
ひと
)
を
悉
(
ことごと
)
く
084
導
(
みちび
)
き
行
(
ゆ
)
かむ
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
へ』
085
伊太公
(
いたこう
)
『ゆくりなく
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
遭難
(
さうなん
)
に
086
伊太公
(
いたこう
)
今
(
いま
)
や
眼
(
まなこ
)
覚
(
さ
)
めたり。
087
幸
(
さいは
)
ひに
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
光
(
ひか
)
れども
088
吾
(
わが
)
心眼
(
しんがん
)
の
闇
(
くら
)
きを
悲
(
かな
)
しむ』
089
純公
(
すみこう
)
『すみ
渡
(
わた
)
り
大空
(
おほぞら
)
伝
(
つた
)
ふ
月
(
つき
)
見
(
み
)
れば
090
心
(
うら
)
恥
(
はづか
)
しくなりにけるかも。
091
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
下界
(
げかい
)
を
照
(
て
)
らし
給
(
たま
)
へども
092
時
(
とき
)
に
黒雲
(
くろくも
)
さやる
忌々
(
ゆゆ
)
しさ』
093
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
の
光
(
ひかり
)
を
得
(
え
)
たるを
打喜
(
うちよろこ
)
び、
094
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
従
(
したが
)
へ
山
(
やま
)
を
下
(
くだ
)
りて
坂道
(
さかみち
)
に
出
(
い
)
で、
095
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
096
玉国別
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
097
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
の
098
咲耶
(
さくや
)
の
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
守護
(
まもり
)
099
杢助司
(
もくすけつかさ
)
と
現
(
あら
)
はれて
100
獅子
(
しし
)
の
背中
(
せなか
)
に
跨
(
またが
)
りつ
101
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
猿
(
さる
)
の
群
(
むれ
)
102
峰
(
みね
)
の
彼方
(
あなた
)
に
追
(
お
)
ひ
散
(
ち
)
らし
103
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
盲目
(
めくら
)
の
一行
(
いつかう
)
を
104
救
(
すく
)
はせ
給
(
たま
)
ひし
有難
(
ありがた
)
さ
105
右
(
みぎ
)
の
眼
(
まなこ
)
は
失
(
う
)
せたれど
106
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
運命
(
うんめい
)
まだ
尽
(
つ
)
きず
107
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
と
選
(
えら
)
ばれて
108
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
枉神
(
まがかみ
)
を
109
言向和
(
ことむけやは
)
す
宣伝使
(
せんでんし
)
110
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
ふ
神
(
かみ
)
の
愛
(
あい
)
111
辱
(
かたじけ
)
なみて
今
(
いま
)
よりは
112
百
(
もも
)
の
艱難
(
なやみ
)
もいとひなく
113
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
た
)
めに
114
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
115
教
(
をしへ
)
を
楯
(
たて
)
に
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
116
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
開
(
ひら
)
き
行
(
ゆ
)
く
117
あゝ
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
し
118
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にあり
119
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れたる
120
青人草
(
あをひとぐさ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
121
草木
(
くさき
)
の
片葉
(
かきは
)
に
至
(
いた
)
るまで
122
恵
(
めぐ
)
みの
露
(
つゆ
)
を
施
(
ほどこ
)
しつ
123
テームス
峠
(
たうげ
)
やライオンの
124
激流
(
げきりう
)
渡
(
わた
)
り
玉山
(
たまやま
)
の
125
胸突坂
(
むなつきざか
)
も
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
126
神
(
かみ
)
の
任
(
よさ
)
しの
神業
(
かむわざ
)
に
127
仕
(
つか
)
へまつらむ
四人
(
よたり
)
連
(
づ
)
れ
128
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
129
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
130
完全
(
うまら
)
に
委細
(
つばら
)
に
神業
(
しんげふ
)
を
131
遂
(
と
)
げさせ
給
(
たま
)
へと
天地
(
あめつち
)
の
132
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
133
玉国別
(
たまくにわけ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
134
捧
(
ささ
)
げて
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
135
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
136
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
137
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
138
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
深
(
ふか
)
きをば
139
如何
(
いか
)
でか
忘
(
わす
)
れむ
敷島
(
しきしま
)
の
140
大和
(
やまと
)
男子
(
をのこ
)
の
魂
(
たましひ
)
は
141
岩
(
いは
)
をも
射
(
い
)
ぬく
桑
(
くは
)
の
弓
(
ゆみ
)
142
ひきて
返
(
かへ
)
さぬ
金剛心
(
こんがうしん
)
143
空
(
そら
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
日月
(
じつげつ
)
の
144
光
(
ひかり
)
も
清
(
きよ
)
き
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
145
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
打捨
(
うちす
)
てて
146
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
147
誠
(
まこと
)
を
筑紫
(
つくし
)
の
果
(
は
)
てまでも
148
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
149
道公
(
みちこう
)
伊太公
(
いたこう
)
純公
(
すみこう
)
よ
150
汝
(
なれ
)
も
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
151
吾
(
われ
)
に
従
(
したが
)
ひ
何処
(
どこ
)
までも
152
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
153
大御心
(
おほみこころ
)
に
神習
(
かむなら
)
ひ
154
清
(
きよ
)
き
司
(
つかさ
)
と
成
(
な
)
りおほせ
155
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
島々
(
しまじま
)
を
156
隈
(
くま
)
なく
照
(
て
)
らし
救
(
すく
)
へかし
157
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
158
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
峻坂
(
しゆんばん
)
を
159
神
(
かみ
)
に
守
(
まも
)
られ
下
(
くだ
)
りつつ
160
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
赤誠
(
まごころ
)
を
161
披瀝
(
ひれき
)
し
慎
(
つつし
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる』
162
道公
(
みちこう
)
は
足拍子
(
あしびやうし
)
をとり
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
163
道公
『
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
164
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
165
懐谷
(
ふところだに
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
166
やつと
来
(
き
)
かかる
折
(
をり
)
もあれ
167
前代
(
ぜんだい
)
未聞
(
みもん
)
の
烈風
(
れつぷう
)
に
168
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
られし
腑甲斐
(
ふがひ
)
なさ
169
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
170
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
弱虫
(
よわむし
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
171
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
に
確
(
しか
)
としがみつき
172
冷
(
つめた
)
き
風
(
かぜ
)
に
煽
(
あふ
)
られて
173
戦
(
をのの
)
き
居
(
ゐ
)
たる
浅間
(
あさま
)
しさ
174
夜
(
よ
)
は
森々
(
しんしん
)
と
更
(
ふ
)
け
渡
(
わた
)
り
175
キヤツキヤツキヤツと
猿
(
さる
)
の
声
(
こゑ
)
176
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
数千匹
(
すせんびき
)
177
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
取巻
(
とりま
)
いて
178
威喝
(
ゐかつ
)
したのが
吾々
(
われわれ
)
の
179
小癪
(
こしやく
)
にさはり
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
て
180
睨
(
にら
)
み
佇
(
たたず
)
む
折
(
をり
)
もあれ
181
猿
(
ましら
)
の
奴
(
やつ
)
め
増長
(
ぞうちやう
)
して
182
おひおひ
近
(
ちか
)
より
攻
(
せ
)
めかかる
183
伊太公
(
いたこう
)
さまが
鼻
(
はな
)
高
(
たか
)
く
184
長
(
なが
)
い
口上
(
こうじやう
)
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
185
呂律
(
ろれつ
)
も
合
(
あ
)
はぬ
宣伝歌
(
せんでんか
)
186
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す
187
流石
(
さすが
)
の
猿
(
さる
)
奴
(
め
)
も
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て
188
ザワザワザワと
騒
(
さわ
)
ぎつつ
189
チクチクチクと
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
する
190
伊太公
(
いたこう
)
の
奴
(
やつ
)
は
無謀
(
むぼう
)
にも
191
猿
(
さる
)
の
一匹
(
いつぴき
)
掴
(
つか
)
まへて
192
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて
突倒
(
つつたふ
)
す
193
サアそれからが
大変
(
たいへん
)
だ
194
小人数
(
こにんず
)
連
(
づ
)
れと
侮
(
あなど
)
つて
195
衆
(
しう
)
を
恃
(
たの
)
んで
四方
(
しはう
)
から
196
爪
(
つめ
)
を
尖
(
とが
)
らせ
迫
(
せま
)
り
来
(
く
)
る
197
中
(
なか
)
に
勝
(
すぐ
)
れた
大猿
(
おほざる
)
は
198
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
後
(
うしろ
)
より
199
キヤツとも
何
(
なん
)
とも
吐
(
ぬか
)
さずに
200
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
を
掻
(
か
)
き
潰
(
つぶ
)
し
201
勝鬨
(
かちどき
)
あげて
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
202
其
(
その
)
外
(
ほか
)
数多
(
あまた
)
の
小猿
(
こざる
)
奴
(
め
)
は
203
各自
(
てんで
)
に
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あ
)
げ
204
雨
(
あめ
)
や
霰
(
あられ
)
と
投
(
な
)
げつける
205
危険
(
きけん
)
刻々
(
こくこく
)
迫
(
せま
)
り
来
(
き
)
て
206
如何
(
いかが
)
はせむと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
207
かすかに
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
208
間
(
ま
)
もなく
獅子
(
しし
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
209
衆
(
しう
)
を
恃
(
たの
)
みし
猿
(
さる
)
共
(
ども
)
も
210
キヤツと
一声
(
ひとこゑ
)
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
けて
211
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
を
212
伝
(
つた
)
つて
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
く
面白
(
おもしろ
)
さ
213
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に
214
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
215
眼
(
まなこ
)
を
押
(
おさ
)
へ
紅
(
くれなゐ
)
の
216
血潮
(
ちしほ
)
をトボトボ
落
(
おと
)
しつつ
217
痛
(
いた
)
さを
堪
(
こら
)
へて
草
(
くさ
)
の
上
(
へ
)
に
218
蹲
(
しやが
)
みますこそ
悲
(
かな
)
しけれ
219
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
は
狼狽
(
らうばい
)
し
220
一先
(
ひとま
)
づ
伊太公
(
いたこう
)
を
谷川
(
たにがは
)
へ
221
水筒
(
すゐとう
)
を
持
(
も
)
たして
水
(
みづ
)
汲
(
く
)
みに
222
遣
(
つか
)
はしやれば
慌者
(
あわてもの
)
223
道
(
みち
)
に
水筒
(
すゐとう
)
を
遺失
(
ゐしつ
)
して
224
手持
(
てもち
)
無沙汰
(
ぶさた
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
225
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
此
(
この
)
時
(
とき
)
に
226
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はないとぼやきつつ
227
純公
(
すみこう
)
添
(
そ
)
へて
谷底
(
たにそこ
)
へ
228
再
(
ふたた
)
び
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
みにやる
229
何
(
なん
)
ぢや
彼
(
かん
)
ぢやと
大騒
(
おほさわ
)
ぎ
230
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
は
土
(
つち
)
の
上
(
へ
)
に
231
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
天地
(
あめつち
)
の
232
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
つて
詫
(
わ
)
び
玉
(
たま
)
ふ
233
神徳
(
しんとく
)
忽
(
たちま
)
ち
現
(
あら
)
はれて
234
眼
(
まなこ
)
の
痛
(
いた
)
みは
軽減
(
けいげん
)
し
235
漸
(
やうや
)
く
片目
(
かため
)
は
助
(
たす
)
かりて
236
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
明
(
あか
)
りをば
237
拝
(
をが
)
み
給
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
238
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
239
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
240
吾
(
われ
)
もそれより
皇神
(
すめかみ
)
の
241
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐみ
)
を
覚
(
さと
)
り
得
(
え
)
て
242
心境
(
しんきやう
)
たちまち
一変
(
いつぺん
)
し
243
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かない
244
信神
(
しんじん
)
堅固
(
けんご
)
の
信徒
(
まめひと
)
と
245
なり
変
(
かは
)
りたる
尊
(
たふと
)
さよ
246
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
247
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
248
尊
(
たふと
)
き
道
(
みち
)
の
御
(
おん
)
教
(
をしへ
)
249
今更
(
いまさら
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
られたり
250
如何
(
いか
)
に
罪科
(
つみとが
)
深
(
ふか
)
くとも
251
誠心
(
まことごころ
)
に
祈
(
いの
)
りなば
252
広
(
ひろ
)
き
心
(
こころ
)
に
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
253
見直
(
みなほ
)
しまして
速
(
すみや
)
けく
254
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
ふ
神
(
かみ
)
の
愛
(
あい
)
255
伊太公
(
いたこう
)
純公
(
すみこう
)
両人
(
りやうにん
)
よ
256
此処
(
ここ
)
は
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
急坂
(
きふはん
)
だ
257
足
(
あし
)
の
爪先
(
つまさき
)
気
(
き
)
をつけて
258
何卒
(
どうぞ
)
怪我
(
けが
)
などして
呉
(
く
)
れな
259
俺
(
おれ
)
もこれから
気
(
き
)
をつけて
260
板
(
いた
)
を
立
(
た
)
てた
如
(
や
)
うな
坂道
(
さかみち
)
を
261
いと
悠々
(
いういう
)
と
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く
262
これも
全
(
まつた
)
く
皇神
(
すめかみ
)
の
263
尊
(
たふと
)
き
恵
(
めぐみ
)
と
知
(
し
)
るからは
264
寸時
(
すんじ
)
も
神
(
かみ
)
を
忘
(
わす
)
れなよ
265
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
266
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
267
と
歌
(
うた
)
ひ
一行
(
いつかう
)
の
後
(
あと
)
について
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
268
(
大正一一・一一・二六
旧一〇・八
北村隆光
録)
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