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天祥地瑞
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第43巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 狂風怪猿
01 烈風
〔1152〕
02 懐谷
〔1153〕
03 失明
〔1154〕
04 玉眼開
〔1155〕
05 感謝歌
〔1156〕
第2篇 月下の古祠
06 祠前
〔1157〕
07 森議
〔1158〕
08 噴飯
〔1159〕
09 輸入品
〔1160〕
第3篇 河鹿の霊嵐
10 夜の昼
〔1161〕
11 帰馬
〔1162〕
12 双遇
〔1163〕
第4篇 愛縁義情
13 軍談
〔1164〕
14 忍び涙
〔1165〕
15 温愛
〔1166〕
第5篇 清松懐春
16 鰌鍋
〔1167〕
17 反歌
〔1168〕
18 石室
〔1169〕
余白歌
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第一八章
石室
(
いはむろ
)
〔一一六九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第43巻 舎身活躍 午の巻
篇:
第5篇 清松懐春
よみ(新仮名遣い):
せいしょうかいしゅん
章:
第18章 石室
よみ(新仮名遣い):
いわむろ
通し章番号:
1169
口述日:
1922(大正11)年11月28日(旧10月10日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-13 11:40:24
OBC :
rm4318
愛善世界社版:
284頁
八幡書店版:
第8輯 131頁
修補版:
校定版:
295頁
普及版:
122頁
初版:
ページ備考:
001
谷
(
たに
)
の
下
(
くだ
)
り
道
(
みち
)
、
002
半分
(
はんぶん
)
許
(
ばか
)
りの
所
(
ところ
)
に
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
這入
(
はい
)
れる
石室
(
いはむろ
)
が
穿
(
うが
)
たれてあつた。
003
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
山颪
(
やまおろし
)
、
004
大粒
(
おほつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
さへ
混
(
まじ
)
つてゐる。
005
松公
(
まつこう
)
は、
006
松公
『オイ、
007
伊太公
(
いたこう
)
さま、
008
其
(
その
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
の
者
(
もの
)
、
009
かう
雨風
(
あめかぜ
)
が
一度
(
いちど
)
に
襲来
(
しふらい
)
しては
下
(
お
)
りる
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ない。
010
幸
(
さいは
)
ひ
此
(
この
)
石室
(
いはむろ
)
で
雨風
(
あめかぜ
)
の
過
(
す
)
ぐるを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしようではないか』
011
竜公
(
たつこう
)
『そりや
結構
(
けつこう
)
だなア、
012
皆
(
みな
)
さま、
013
一服
(
いつぷく
)
しませうかい』
014
伊太公
(
いたこう
)
『
大変
(
たいへん
)
に
気
(
き
)
もせきますが、
015
仰
(
あふ
)
せに
随
(
したが
)
つて
雨
(
あめ
)
をまつ
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう、
016
別
(
べつ
)
に
吾々
(
われわれ
)
の
体
(
からだ
)
は
紙
(
かみ
)
で
拵
(
こしら
)
へたのではないから、
017
少々
(
せうせう
)
の
雨
(
あめ
)
位
(
くらゐ
)
構
(
かま
)
ひませぬが、
018
皆様
(
みなさま
)
がお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だからおつきあひに
憩
(
やす
)
ませて
貰
(
もら
)
ひませう』
019
入口
(
いりぐち
)
の
戸
(
と
)
もない
石室
(
いはむろ
)
に
侵入
(
しんにふ
)
し、
020
天然
(
てんねん
)
の
岩椅子
(
いはいす
)
に
各自
(
めいめい
)
腰
(
こし
)
をかけ、
021
暫
(
しばら
)
く
足
(
あし
)
をやすめて
居
(
ゐ
)
た。
022
竜公
(
たつこう
)
は
俄
(
にはか
)
に
顔色
(
かほいろ
)
蒼
(
あをざ
)
め、
023
冷汗
(
ひやあせ
)
をかき、
024
ブルブルと
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
した。
025
一同
(
いちどう
)
は
驚
(
おどろ
)
いて『ヤア
何
(
なん
)
だ
何
(
なん
)
だ
竜公
(
たつこう
)
確
(
しつか
)
りせぬか』と
周囲
(
ぐるり
)
からよつて
集
(
たか
)
つて
撫
(
な
)
でさする。
026
竜公
(
たつこう
)
は
汗
(
あせ
)
を
滲
(
にじ
)
ませながら
歯
(
は
)
をガチガチ
云
(
い
)
はせ、
027
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
むき
出
(
だ
)
した。
028
松公
(
まつこう
)
『ヤアこいつは
困
(
こま
)
つた、
029
とうとう
瘧
(
おこり
)
に
襲
(
おそ
)
はれやがつたなア、
030
モシモシ
伊太公
(
いたこう
)
さま、
031
どうしたらよろしからう』
032
伊太公
(
いたこう
)
『
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になつたものだ、
033
こりや
瘧
(
おこり
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
034
途中
(
とちう
)
の
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
ひ、
035
どうも
仕方
(
しかた
)
がない。
036
瘧
(
おこり
)
をおとすには
病人
(
びやうにん
)
の
頭
(
あたま
)
へ
擂鉢
(
すりばち
)
をかぶせ、
037
艾
(
もぐさ
)
を
一
(
ひと
)
つかみ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
にのせて
灸
(
きう
)
を
据
(
す
)
ゑると
直
(
すぐ
)
落
(
お
)
ちるのだけれど、
038
擂鉢
(
すりばち
)
もなし、
039
艾
(
もぐさ
)
もなし
困
(
こま
)
つたものだ』
040
松公
(
まつこう
)
『
一体
(
いつたい
)
瘧
(
おこり
)
と
云
(
い
)
ふのは
何神
(
なにがみ
)
の
仕業
(
しわざ
)
でせうかなア』
041
伊太公
(
いたこう
)
『
瘧
(
おこり
)
は
皆
(
みな
)
死霊
(
しりやう
)
の
業
(
わざ
)
だ。
042
谷川
(
たにがは
)
へ
陥
(
はま
)
つたり、
043
池
(
いけ
)
や
沼
(
ぬま
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
んだ
奴
(
やつ
)
の
亡霊
(
ばうれい
)
が
憑依
(
ひようい
)
するのだ。
044
硫黄
(
いわう
)
温泉
(
をんせん
)
でもあれば、
045
そこへ
突込
(
つつこ
)
んでやれば
直
(
すぐ
)
退散
(
たいさん
)
するのだけれど、
046
困
(
こま
)
つたところで
瘧
(
おこり
)
をふるつたものだわい』
047
松公
(
まつこう
)
『
温泉
(
をんせん
)
へ
入
(
い
)
れたら
瘧
(
おこり
)
が
落
(
お
)
ちますか、
048
ヤアそりや
聞
(
き
)
き
初
(
はじ
)
めだ。
049
幸
(
さいは
)
ひこの
谷道
(
たにみち
)
を
一丁
(
いつちやう
)
ばかり
右
(
みぎ
)
へ
下
(
お
)
りると、
050
昔
(
むかし
)
から
硫黄
(
いわう
)
温泉
(
をんせん
)
が
湧
(
わ
)
いて
居
(
を
)
るとの
事
(
こと
)
です、
051
そこへ
浴
(
い
)
れてやつたら
何
(
ど
)
うでせうなア。
052
貴方
(
あなた
)
もお
急
(
せ
)
きでせうが、
053
どうせ
玉国別
(
たまくにわけ
)
さまも
治国別
(
はるくにわけ
)
さまも
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
をお
離
(
はな
)
れなさる
気遣
(
きづか
)
ひはないから、
054
一寸
(
ちよつと
)
そこ
迄
(
まで
)
廻
(
まは
)
つて
貰
(
もら
)
へますまいかなア』
055
伊太公
(
いたこう
)
『そりやお
易
(
やす
)
い
事
(
こと
)
です、
056
人
(
ひと
)
の
苦
(
くる
)
しんで
居
(
を
)
るのを
見捨
(
みす
)
てて
行
(
ゆ
)
く
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
きませぬから』
057
松公
(
まつこう
)
『そりや
有難
(
ありがた
)
い、
058
そんなら
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
になりませうかなア』
059
竜公
(
たつこう
)
は
歯
(
は
)
をキリキリと
云
(
い
)
はせながら
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らせ、
060
竜公
『オヽ
俺
(
おれ
)
は
決
(
けつ
)
して
死霊
(
しりやう
)
ではないぞ、
061
瘧
(
おこり
)
でもないぞ、
062
大黒主
(
おほくろぬし
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
る
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
片割
(
かたわれ
)
だ。
063
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
不届者
(
ふとどきもの
)
奴
(
め
)
、
064
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
仲間
(
なかま
)
を
滅
(
ほろぼ
)
さむと
計
(
はか
)
る、
065
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
手下
(
てした
)
、
066
玉国別
(
たまくにわけ
)
や
治国別
(
はるくにわけ
)
に
甲
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
吾々
(
われわれ
)
に
背
(
そむ
)
くやつ、
067
決
(
けつ
)
して
許
(
ゆる
)
しは
致
(
いた
)
さぬぞ。
068
此
(
この
)
竜公
(
たつこう
)
が
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
り、
069
次
(
つぎ
)
には
松公
(
まつこう
)
が
命
(
いのち
)
をとり、
070
イル、
071
イク、
072
サール
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
073
伊太公
(
いたこう
)
迄
(
まで
)
もとり
殺
(
ころ
)
してやるのだから、
074
其
(
その
)
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
したらよからう』
075
松公
(
まつこう
)
は
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
076
松公
『
伊太公
(
いたこう
)
さま、
077
あんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひますわ、
078
これでは
温泉
(
をんせん
)
も
駄目
(
だめ
)
でせう、
079
何
(
なん
)
とか
工夫
(
くふう
)
はありますまいかな』
080
伊太公
(
いたこう
)
『
瘧
(
おこり
)
でないと
分
(
わか
)
れば、
081
又
(
また
)
方法
(
はうはふ
)
もあります。
082
サアこれから
三五教
(
あななひけう
)
独特
(
どくとく
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
を
以
(
もつ
)
て
悪魔
(
あくま
)
を
見事
(
みごと
)
退散
(
たいさん
)
さして
見
(
み
)
ませう』
083
松公
(
まつこう
)
『どうぞ
宜
(
よろ
)
しう
願
(
ねが
)
ひます。
084
オイ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のもの
貴様
(
きさま
)
も
一
(
ひと
)
つ
祈
(
いの
)
つて
呉
(
く
)
れい』
085
茲
(
ここ
)
に
伊太公
(
いたこう
)
、
086
外
(
ほか
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
087
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
を
十回
(
じつくわい
)
許
(
ばか
)
り
唱
(
とな
)
へた
後
(
のち
)
、
088
伊太公
(
いたこう
)
はポンポンと
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
つて
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
二三回
(
にさんくわい
)
唱
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
089
大蛇
(
をろち
)
の
憑霊
(
ひようれい
)
は、
090
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
に
怯
(
お
)
ぢ
恐
(
おそ
)
れ、
091
竜公
(
たつこう
)
を
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
して
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
092
竜公
(
たつこう
)
は
けろり
として
汗
(
あせ
)
をふきながら、
093
竜公
『ヤア
苦
(
くる
)
しい
事
(
こと
)
だつた。
094
ようマア
伊太公
(
いたこう
)
さま
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつた、
095
何
(
なん
)
とマア
三五教
(
あななひけう
)
のお
経
(
きやう
)
はよく
利
(
き
)
きますねえ』
096
伊太公
(
いたこう
)
『マア
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
でした。
097
三五教
(
あななひけう
)
ではお
経
(
きやう
)
とは
申
(
まを
)
しませぬ、
098
これは
重要
(
ぢうえう
)
なる
讃美歌
(
さんびか
)
で、
099
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
と
云
(
い
)
ひます。
100
皆
(
みな
)
さまもこれから
間
(
ま
)
があれば、
101
この
数歌
(
かずうた
)
をお
唱
(
うた
)
ひなさい』
102
松公
(
まつこう
)
『イヤもう
義弟
(
おとうと
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
き、
103
此
(
こ
)
の
御恩
(
ごおん
)
は
忘
(
わす
)
れませぬ。
104
サア
雨
(
あめ
)
も
余程
(
よほど
)
小降
(
こぶ
)
りになり、
105
風
(
かぜ
)
も
熄
(
や
)
んだやうです。
106
も
一気張
(
ひときば
)
りですから、
107
ポツポツ
下
(
くだ
)
りませうか』
108
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
109
又
(
また
)
もや
足拍子
(
あしびやうし
)
をとつて
歌
(
うた
)
ふ。
110
松公
『
清春山
(
きよはるやま
)
の
下
(
くだ
)
り
路
(
みち
)
111
天下
(
てんか
)
にまれなる
難関所
(
なんくわんじよ
)
112
下
(
くだ
)
る
折
(
をり
)
しも
竜公
(
たつこう
)
が
113
石室中
(
いはむろなか
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
114
ガタガタ ブルブル
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
す
115
これぞ
正
(
まさ
)
しく「ウントコシヨ」
116
「ヤツトコドツコイ
六
(
む
)
つかしい
117
足
(
あし
)
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
れる
所
(
とこ
)
もない」
118
瘧
(
おこり
)
のやつに
違
(
ちが
)
ひないと
119
心
(
こころ
)
をいため
谷間
(
たにあひ
)
に
120
滾々
(
こんこん
)
湧
(
わ
)
き
出
(
で
)
る
硫黄
(
いわう
)
の
湯
(
ゆ
)
121
そいつへ
入
(
い
)
れて
助
(
たす
)
けよと
122
評定
(
ひやうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
る
最中
(
さいちう
)
に
123
竜公
(
たつこう
)
のやつが
口
(
くち
)
をきり
124
俺
(
おれ
)
は
死霊
(
しりやう
)
ぢやない
程
(
ほど
)
に
125
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
片割
(
かたわれ
)
ぢや
126
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
の
仲間
(
なかま
)
を
倒
(
たふ
)
さうと
127
企
(
たく
)
んで
居
(
ゐ
)
よる
素盞嗚
(
すさのを
)
の
128
神
(
かみ
)
の
手下
(
てした
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
129
「ヤツトコドツコイ」
怪
(
け
)
しからぬ
130
事
(
こと
)
をするから
竜公
(
たつこう
)
の
131
命
(
いのち
)
を
先
(
さき
)
に
奪
(
うば
)
ひとり
132
松公
(
まつこう
)
さまや
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
133
大事
(
だいじ
)
の
大事
(
だいじ
)
の
命
(
いのち
)
まで
134
取
(
と
)
つてやらうと
嚇
(
おど
)
しよる
135
俺
(
おれ
)
も
些
(
ち
)
つとは「ドツコイシヨ」
136
吃驚
(
びつくり
)
せずには
居
(
を
)
られない
137
狼狽
(
うろた
)
へ
騒
(
さわ
)
ぎ
居
(
を
)
る
中
(
うち
)
に
138
三五教
(
あななひけう
)
の
伊太公
(
いたこう
)
は
139
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
と
140
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
ツ
四
(
よ
)
ツ
五
(
いつ
)
ツ
六
(
む
)
ツ
141
七
(
なな
)
八
(
や
)
ツ
九
(
ここの
)
ツ
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
142
万
(
よろづ
)
の
曲
(
まが
)
を
払
(
はら
)
はむと
143
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく「ドツコイシヨ」
144
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
歌
(
うた
)
ひあげ
145
雄建
(
をたけ
)
びませば
悪神
(
わるがみ
)
は
146
其
(
その
)
神力
(
しんりき
)
に
怯
(
お
)
ぢ
恐
(
おそ
)
れ
147
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げよつた
148
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
149
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
150
俺
(
おれ
)
もこれからバラモンの
151
醜
(
しこ
)
の
教
(
をしへ
)
を
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
り
152
神徳
(
しんとく
)
高
(
たか
)
き
三五
(
あななひ
)
の
153
神
(
かみ
)
の
御教
(
みのり
)
に
従
(
したが
)
ひて
154
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
修業
(
しうげふ
)
なし
155
名
(
な
)
さへ
目出度
(
めでた
)
き
神司
(
かむづかさ
)
156
松公別
(
まつこうわけ
)
と
名乗
(
なの
)
りつつ
157
普
(
あまね
)
く
世人
(
よびと
)
の
悩
(
なや
)
みをば
158
助
(
たす
)
けにや
置
(
お
)
かぬ
惟神
(
かむながら
)
159
兄
(
あに
)
の
命
(
みこと
)
とあれませる
160
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
161
同
(
おな
)
じ
腹
(
はら
)
から
生
(
うま
)
れたる
162
「ウントコドツコイ」
俺
(
おれ
)
の
身
(
み
)
は
163
兄貴
(
あにき
)
の
真似
(
まね
)
が
出来
(
でき
)
ないと
164
云
(
い
)
ふよな
理屈
(
りくつ
)
はあるまいぞ
165
あゝ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
166
前途
(
ぜんと
)
の
光明
(
くわうみやう
)
が
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た
167
神徳
(
しんとく
)
高
(
たか
)
き
素盞嗚
(
すさのを
)
の
168
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
に
刃向
(
はむか
)
ふは
169
命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずのする
事
(
こと
)
だ
170
俺
(
おれ
)
はこれから
心境
(
しんきやう
)
を
171
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に
改良
(
かいりやう
)
し
172
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れたる
173
其
(
その
)
天職
(
てんしよく
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
174
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
尽
(
つく
)
すべし
175
竜公
(
たつこう
)
お
前
(
まへ
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
176
苦
(
くる
)
しい
所
(
ところ
)
を
助
(
たす
)
けられ
177
尊
(
たふと
)
き
事
(
こと
)
が「ドツコイシヨ」
178
漸
(
やうや
)
く
分
(
わか
)
つたであらうぞや
179
何程
(
なにほど
)
人
(
ひと
)
が
偉
(
えら
)
いとて
180
蠅
(
はひ
)
一匹
(
いつぴき
)
の
寿命
(
じゆみやう
)
さへ
181
一秒
(
いちべう
)
時間
(
じかん
)
延
(
の
)
ばす
事
(
こと
)
182
出来
(
でき
)
ないやうな
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
183
神
(
かみ
)
に
刃向
(
はむか
)
ひなるものか
184
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
人間
(
にんげん
)
は
185
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
186
塵
(
ちり
)
か
芥
(
あくた
)
の
如
(
ごと
)
きもの
187
もうこれからは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
188
体
(
からだ
)
も
魂
(
たま
)
も
打
(
う
)
ち
任
(
まか
)
せ
189
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
善道
(
ぜんだう
)
を
190
進
(
すす
)
んで
道
(
みち
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
191
力限
(
ちからかぎ
)
りに
尽
(
つく
)
さうか
192
あゝ
勇
(
いさ
)
ましし
勇
(
いさ
)
ましし
193
長
(
なが
)
い
坂
(
さか
)
でもドンドンと
194
一足
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
下
(
くだ
)
りなば
195
遂
(
つひ
)
には
麓
(
ふもと
)
につく
如
(
ごと
)
く
196
如何
(
いか
)
に
小
(
ちひ
)
さい
信仰
(
しんかう
)
も
197
積
(
つも
)
れば
遂
(
つひ
)
に
山
(
やま
)
となる
198
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
く
海
(
うみ
)
よりも
199
深
(
ふか
)
き
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
200
報
(
むく
)
いまつらで
置
(
お
)
くべきか
201
此
(
この
)
世
(
よ
)
計
(
ばか
)
りか
神界
(
しんかい
)
へ
202
国替
(
くにが
)
へしても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
203
矢張
(
やは
)
り
構
(
かま
)
うて
下
(
くだ
)
される
204
真
(
まこと
)
の
親
(
おや
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だ
205
恋
(
こひ
)
しい
親
(
おや
)
に
死別
(
しにわか
)
れ
206
今迄
(
いままで
)
悔
(
くや
)
んで
居
(
ゐ
)
たけれど
207
それは
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
親様
(
おやさま
)
だ
208
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
変
(
かは
)
らない
209
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
救
(
すく
)
ふ
親様
(
おやさま
)
は
210
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よりは
外
(
ほか
)
に
無
(
な
)
い
211
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
有難
(
ありがた
)
や
212
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
213
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
214
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
215
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せた
其
(
その
)
上
(
うへ
)
は
216
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
か
恐
(
おそ
)
れむや
217
地震
(
ぢしん
)
雷
(
かみなり
)
火
(
ひ
)
の
車
(
くるま
)
218
大洪水
(
だいこうずゐ
)
の
来
(
きた
)
るとも
219
一旦
(
いつたん
)
覚悟
(
かくご
)
をした
上
(
うへ
)
は
220
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
立
(
た
)
てませる
221
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
おん
)
道
(
みち
)
は
222
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
捨
(
す
)
てはせぬ
223
「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
224
大分
(
だいぶん
)
坂
(
さか
)
も
下
(
お
)
りて
来
(
き
)
た
225
もう
一気張
(
ひときば
)
りだ
皆
(
みな
)
さまよ
226
足許
(
あしもと
)
用心
(
ようじん
)
するがよい
227
ここは
悪魔
(
あくま
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
だ
228
うかうかしとると
大蛇
(
をろち
)
奴
(
め
)
が
229
何時
(
なんどき
)
憑
(
つ
)
くか
分
(
わか
)
らない
230
竜公
(
たつこう
)
の
奴
(
やつ
)
が
好
(
よ
)
い
手本
(
てほん
)
231
御魂
(
みたま
)
に
気
(
き
)
をつけ
足許
(
あしもと
)
に
232
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
つて
下
(
くだ
)
りませ
233
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
234
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはひ
)
ましませよ』
235
と
節
(
ふし
)
面白
(
おもしろ
)
く
歌
(
うた
)
ひつつ、
236
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
休息
(
きうそく
)
して
居
(
を
)
る
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
をさして
急
(
いそ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く。
237
(
大正一一・一一・二八
旧一〇・一〇
加藤明子
録)
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