霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一三章 盲嫌(まうけん)〔一三〇七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第3篇 神意と人情 よみ(新仮名遣い):しんいとにんじょう
章:第13章 盲嫌 よみ(新仮名遣い):もうけん 通し章番号:1307
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
初稚姫と楓は、火鉢を囲んでお道の話をしていた。いつしか話は高姫の話になり、さまざまな悪霊に魅入られている高姫を、二人で協力してなんとか救いたいものだと語り合っていた。
そこへ高姫がふすまをけ破って闖入してきた。二人をにらみつけて怒りに声を震わせながら、初稚姫と楓が、自分を害する相談をしていたと非難した。そして自分の足を後ろからさらえた楓を怒鳴りつけた。
楓は高姫に詫びを入れ、初稚姫もなだめようとしたが、高姫は逆にスマートに加えられたことに怒りだし、初稚姫を棍棒で打ち据えようとした。するとまたしてもスマートが駆けこんできて、高姫を引き倒した。初稚姫はスマートをおとなしくさせたが、高姫はスマートを一つ殴りつけ、怒鳴り散らして狂乱の態であった。
初稚姫、楓はスマートと共に珍彦の館をさして出て行った。高姫が火鉢を投げつけ、戸棚の膳や椀を投げつけて荒れ狂っていると、腹の中から声がして、自分たちは初稚姫と楓の生霊で、高姫の肉体を亡ぼすために取り憑いたのだ、と言い出した。
これは高姫自身の悪霊が、高姫が初稚姫・楓をますます憎むように仕向けるための策略であった。すべて悪霊が人を傷つけ苦しめようとするときは、このような手段を取って人間同士を憎しみ合わせるものである。大本の役員たり信者たるものは、十分に霊界の消息に通じて、彼らの詐言に迷わされてはならない。
高姫が怒りだすと、腹の中の声は、高姫の霊格の高さに往生したように芝居を打って、ますます高姫を増長させた。高姫は棍棒を抱えて珍彦の館を指して荒れる勢いすさまじく進んで行った。
高姫は、初稚姫と楓が話しているところに現れて、二人に向かって棍棒を振りかざした。またもやスマートが駆けてきて、高姫をその場に押し倒した。高姫は怖気づいて自分の居間に逃げ帰り、夜具をかぶって震えていた。
スマートは高姫の後を追ってきて、扉を引っ掻きながら唸りたてている。高姫も、高姫の体内の悪霊も、スマートの声に縮み上がって固まり、ふるえていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-07-20 21:04:47 OBC :rm5013
愛善世界社版:175頁 八幡書店版:第9輯 214頁 修補版: 校定版:182頁 普及版:89頁 初版: ページ備考:
001 初稚姫(はつわかひめ)居間(ゐま)には初稚姫(はつわかひめ)002楓姫(かへでひめ)二人(ふたり)丸火鉢(まるひばち)(なか)()いて、003やさしい(こゑ)談話(だんわ)(はじ)まつてゐる。
004初稚姫(かへで)さま、005(はら)()つでせうけど、006そこを(しの)ぶのが勇者(ゆうしや)()ふものですよ。007なる勘忍(かんにん)(たれ)もする、008ならぬ勘忍(かんにん)するが勘忍(かんにん)(まを)しまして、009忍耐(にんたい)(くらゐ)善徳(ぜんとく)はありませぬ。010()(なか)一切(いつさい)(こと)忍耐(にんたい)によつて平和(へいわ)(をさ)まり、011(また)忍耐(にんたい)せざるによつて騒動(さうだう)(おこ)るのです。012(しの)ぶと()()(やいば)(した)(こころ)()()()きませうがな。013(むね)(やいば)()(やう)(くる)しさ残念(ざんねん)さも、014(これ)()()るのが(これ)(しの)ぶです。015国祖(こくそ)大神(おほかみ)(さま)(この)広大(くわうだい)世界(せかい)をお(つく)(あそ)ばし数多(あまた)神人(しんじん)安住(あんぢゆう)させ、016サアこれで一息(ひといき)()(ところ)で、017金毛(きんまう)九尾(きうび)(その)()悪神(あくがみ)(ため)に、018反対(はんたい)国治立(くにはるたちの)(みこと)悪神(あくがみ)だ、019(たた)(がみ)だと八百万(やほよろづ)(かみ)(さま)にまで(ののし)られ、020(また)千座(ちくら)置戸(おきど)()はされて、021あるにあられぬ苦労(くらう)(あそ)ばし、022口惜(くや)残念(ざんねん)(こば)りつめて(ただ)一言(ひとこと)()不足(ふそく)らしい(こと)仰有(おつしや)らなかつたのですよ。023斎苑(いそ)(やかた)生神(いきがみ)(さま)024素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)も、025あるにあられぬ無実(むじつ)(つみ)をきせられ、026(あたま)()一本(いつぽん)一本(いつぽん)()きとられ、027手足(てあし)(つめ)()がれ、028(ひげ)()り、029(その)(うへ)(たふと)(おん)()漂浪人(さすらひびと)として高天原(たかあまはら)より放逐(はうちく)され(たま)ひながら、030(すこ)しもお(うら)(あそ)ばさず、031天下(てんか)万民(ばんみん)(つみ)一身(いつしん)引受(ひきう)けて、032(みづ)御霊(みたま)顕現(けんげん)(たま)ひ、033(いま)不心得(ふこころえ)千万(せんばん)人間(にんげん)善道(ぜんだう)(みちび)き、034天国(てんごく)生涯(しやうがい)をいや永久(とこしへ)(うれ)しく(たの)しく、035一人(ひとり)もツツボに(おと)さず(たす)けてやらうとの思召(おぼしめし)で、036三五教(あななひけう)天下(てんか)にお(ひら)(あそ)ばし、037(わらは)(その)手足(てあし)となつて天下(てんか)(その)宣伝(せんでん)をしてゐるので(ござ)ります。038貴女(あなた)(また)(この)(たふと)大神(おほかみ)(さま)にお(つか)(あそ)ばす珍彦(うづひこ)(さま)のお娘子(むすめご)039そして貴女(あなた)三五教(あななひけう)(きよ)(たふと)信者(しんじや)なれば、040何程(なにほど)高姫(たかひめ)さまが無理(むり)難題(なんだい)仰有(おつしや)つても、041一言(ひとこと)(うら)んではなりませぬぞえ。042人間(にんげん)はチツとでも(はら)()てたり(いた)しますと、043悪魔(あくま)(その)(きよ)(じやう)じて(その)(みたま)(ほろ)ぼし、044(つひ)には肉体(にくたい)(まで)(ほろ)ぼしますから、045(はら)()てる(くらゐ)(おそ)ろしいものの、046(そん)なものは(ござ)りませぬよ』
047『ハイ、048有難(ありがた)(ござ)ります。049(わたし)(ちち)から忍耐(にんたい)(もつと)必要(ひつえう)なること(およ)忍耐(にんたい)万事(ばんじ)成功(せいこう)(もとゐ)であり、050人格(じんかく)基礎(きそ)であると()(こと)()かされて()りますが、051何分(なにぶん)はしたない(をんな)ですから、052つひ(こころ)(うみ)荒波(あらなみ)()ちまして、053柔順(じうじゆん)なるべき(をんな)()として高姫(たかひめ)(さま)(たい)暴言(ばうげん)()きました。054(いま)になつて(おも)へば本当(ほんたう)(はづ)かしう(ござ)ります。055(かみ)(さま)(わたし)我情(がじやう)我慢(がまん)をさぞお(にく)しみ(あそ)ばすで(ござ)んせうな』
056初稚姫『いえいえ、057(けつ)してお(あん)じなさいますな。058貴女(あなた)(その)()がついて今後(こんご)忍耐(にんたい)(とく)をお(やしな)ひなさいますれば、059(けつ)して(かみ)(さま)はお(とが)(あそ)ばす(どころ)か、060大変(たいへん)にお(よろこ)(あそ)ばし、061貴女(あなた)(みたま)にも(にく)にも(あい)光明(くわうみやう)()(あた)(たま)ひ、062(この)()(おい)(もつと)(きよ)(うる)はしき(おほ)いなるものと()さしめ(たま)ふもので(ござ)ります』
063『いろいろの()教訓(けうくん)064()()(わた)つて(うれ)(なみだ)(おも)はず(こぼ)れて(まゐ)ります。065()初稚姫(はつわかひめ)(さま)066高姫(たかひめ)(さま)(いま)悪心(あくしん)改良(かいりやう)して(くだ)さいますでせうか。067さうでなくては吾々(われわれ)父母(ふぼ)両親(りやうしん)()(うへ)(あん)じられてなりませぬがな』
068初稚姫御尤(ごもつと)もで(ござ)ります。069貴女(あなた)()として()両親(りやうしん)をそこ(まで)(おも)(あそ)ばすのは(じつ)(かん)()つた()心掛(こころが)けで(ござ)ります。070(しか)しながら高姫(たかひめ)(さま)には()()(どく)ながら、071いろいろの悪霊(あくれい)体内(たいない)群居(ぐんきよ)して()りますから、072到底(たうてい)吾々(われわれ)(ちから)では(およ)びませぬ。073それだと(まを)して高姫(たかひめ)(さま)魔道(まだう)(おと)したくはありませぬ。074(あく)まで仁慈(じんじ)忍耐(にんたい)とを(もつ)立派(りつぱ)なお(かた)にして()げなくては、075吾々(われわれ)三五教(あななひけう)(つか)ふるものの(かみ)(さま)(たい)する(やく)(つと)まりませぬからな』
076如何(どう)(いた)しましたら、077高姫(たかひめ)(さま)(すく)(こと)出来(でき)ませうかな』
078初稚姫『この(うへ)(かみ)(さま)()神力(ちから)()るより(ほか)(みち)(ござ)りませぬ。079そして(なん)仰有(おつしや)つても、080此方(こちら)(まこと)親切(しんせつ)実意(じつい)忍耐(にんたい)とを(もつ)相対(あひたい)する(とき)は、081(かみ)(さま)のお(めぐみ)によりまして屹度(きつと)よいお(かた)になつて(くだ)さるでせう。082吾々(われわれ)(かみ)(さま)から試験(しけん)問題(もんだい)(あた)へられた(やう)なものですからな。083高姫(たかひめ)(さま)改心(かいしん)させる(こと)出来(でき)ない(やう)だつたら、084(わらは)宣伝使(せんでんし)(など)()つて(ある)(こと)出来(でき)ませぬ』
085本当(ほんたう)()苦労(くらう)(さま)(ござ)りますな。086(わたし)もこれから忍耐(にんたい)第一(だいいち)とし、087高姫(たかひめ)(さま)をわが父母(ちちはは)同様(どうやう)(うやま)(あい)する(こと)(いた)しませう』
088初稚姫『ああよう()うて(くだ)さいました。089有難(ありがた)(ござ)ります。090サア(かへで)さま、091(とう)さまやお(かあ)さまがお()()ねで(ござ)りませうから、092()()てた(やう)()みませぬが一先(ひとま)づお(かへ)(くだ)さつて、093(また)(あらた)めて(あそ)びにおいで(くだ)さいませ。094高姫(たかひめ)さまが(いま)スマートに()きずられ、095大変(たいへん)逆上(ぎやくじやう)して()られますから、096貴女(あなた)のお(かほ)()られたら、097何時(いつ)もの病気(びやうき)(また)再発(さいはつ)するかも()れませぬからな』
098左様(さやう)なれば御免(ごめん)(かうむ)ります。099貴女(あなた)(わたし)(こころ)(あは)せて高姫(たかひめ)(さま)を、100ねー、101……』
102言葉(ことば)(をは)らぬに、103高姫(たかひめ)(ふすま)蹴破(けやぶ)夜叉(やしや)(ごと)(いきほひ)にて、104闖入(ちんにふ)(きた)り、105(いか)りの面色(めんしよく)物凄(ものすご)く、106二人(ふたり)をハツタと()めつけ、107(こゑ)(ふる)はせながら、
108高姫(かく)れたるより(あら)はるるはなしとかや。109(まへ)(たち)両人(りやうにん)(なに)相談(さうだん)して(ござ)つた。110貴女(あなた)(わたし)(こころ)(あは)して高姫(たかひめ)を、111ねー……とか(ねら)ふとか(げん)(いま)()つて()ただらう。112(その)(やう)(わる)(たく)みを(いた)して()ると、113天罰(てんばつ)(たちま)(あら)はれませうがな。114(たれ)()らぬかと(おも)うても(てん)()る、115()()る、116(ひと)()る、117(われ)()る、118サア二人(ふたり)(かた)119もう、120了簡(れうけん)がなりませぬ。121(なに)(たく)んで(ござ)つた、122サア、123キツパリと白状(はくじやう)なさいませ。124これ(かへで)125(まへ)(だい)それた義理(ぎり)天上(てんじやう)生宮(いきみや)騙討(だましうち)(いた)して、126(うしろ)から小股(こまた)(さら)へ、127(わし)前栽(ぜんさい)へおつ()()し、128これ(この)(とほ)向脛(むかふずね)()()かせ、129膝頭(ひざがしら)から()()さしたぢやないか。130サア如何(どう)して(くだ)さる。131もう了簡(れうけん)はしませぬぞや』
132(まこと)()まない(こと)(いた)しました。133何卒(どうぞ)()了簡(れうけん)して(くだ)さいませ。134(わたし)(わる)(ござ)りました』
135高姫『ヘン、136よう仰有(おつしや)いますわい。137(わたし)(わる)(ござ)いました」とは、138それは(なん)(こと)だい。139(わる)いと()つて(あやま)つて(こと)()むのなら()(なか)(あく)仕放題(しはうだい)だ。140売言葉(うりことば)買言葉(かひことば)141(もら)つたものは(かなら)返礼(へんれい)せなくちやならない。142(まへ)さまも、143(あり)一匹(いつぴき)とまつてもならぬと()大切(たいせつ)向脛(むかふずね)()()かして(くだ)さつたのだから、144(わし)(この)(まま)()いちや(まこと)義理(ぎり)()みませぬ。145(これ)から返礼(へんれい)(おも)存分(ぞんぶん)こついて()げるから向脛(むかふずね)()しなさい。146()(なか)義理(ぎり)大切(たいせつ)だ。147(この)義理(ぎり)天上(てんじやう)充分(じうぶん)にお(れい)(まを)しますぞや』
148(ふる)(ごゑ)(いか)りを()び、149涙交(なみだまじ)りに(わめ)()てる。
150初稚姫『もし、151(かあ)(さま)152何卒(どうぞ)(ゆる)してあげて(くだ)さいませ。153まだお(とし)()かぬなり、154何卒(どうぞ)神直日(かむなほひ)155大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、156以後(いご)(つつし)みなさるやうに(わたし)からも()注意(ちゆうい)申上(まをしあ)げますから』
157高姫『ヘン、158これ初稚(はつわか)159ようまあツベコベとそんな白々(しらじら)しい(こと)()はれますな。160(まへ)さまは(いま)(かへで)二人(ふたり)で、161(げん)(この)高姫(たかひめ)二人(ふたり)(こころ)(あは)して(ねら)うてやらうと()つて()つたぢやありませぬか。162そんな(こと)誤魔化(ごまくわ)される義理(ぎり)天上(てんじやう)ぢやありませぬぞや。163(まへ)杢助(もくすけ)さまの命令(めいれい)()くと()つて、164あの(わる)(いぬ)()(かへ)したと()うたのぢやないか。165それに何処(どこ)かへ(かく)して()いて、166(わし)をあんな非道(ひど)()()はし、167(もり)(おく)まで引張(ひつぱ)つてやらしたのも、168(まへ)さまの(たく)みだらう。169イル、170イク、171サールやハル、172テルが()()れなかつたら(わし)(ころ)されて()(ところ)だ。173大悪人(だいあくにん)()が、174(うつく)しい(かほ)して、175(こころ)(はり)(つつ)んでをるお(まへ)悪魔(あくま)だ。176もう今日(けふ)から(ひま)をやります。177アタ(けが)らはしい、178(かあ)さま(など)仰有(おつしや)つて(くだ)さいますな。179人殺(ひとごろし)張本人(ちやうほんにん)()が、180鬼娘(おにむすめ)()が、181(この)義理(ぎり)天上(てんじやう)はもう承知(しようち)しませぬぞや』
182初稚姫『お(かあ)さま、183さう無息(むいき)(おこ)つて(くだ)さいますな。184何卒(どうぞ)一通(ひととほ)()いて(くだ)さいませ』
185 高姫(たかひめ)はニユツと(した)()し、186(あか)ベイをしながら(あご)()()つシヤくつて()せ、187冷笑(れいせう)(うか)べて、188(あざけ)るやうな口吻(くちぶり)で、
189高姫『ヘン、190仰有(おつしや)りますわい。191中々(なかなか)(ごふ)()(たぬき)だな。192ここへ()(とき)から(ただ)(たぬき)ぢやないと(おも)うてゐたのだ。193けれど、194(こひ)しい(こひ)しい杢助(もくすけ)さまの(むすめ)だと(おも)つて、195(いま)まで可愛(かあい)がつてやれば増長(ぞうちよう)しよつて、196(だい)それた(こと)(たく)むとは、197言語(ごんご)道断(だうだん)大悪党(だいあくたう)ではないか。198それ(ほど)(まへ)さまが親切(しんせつ)さうに()ふのなら、199何故(なぜ)(わし)があの犬畜生(いぬちくしやう)引張(ひつぱ)られてゐた(とき)(たす)けに()なかつたのだ。200(まへ)仮令(たとへ)名義(めいぎ)(じやう)から()つても(わし)(むすめ)ぢやないか。201チツと(くらゐ)(まこと)があれば義理(ぎり)人情(にんじやう)(わきま)へて()(はず)だ。202イル、203イク、204サールのやうな(わけ)(わか)らぬヤンチヤでさへも、205マサカの(とき)(わし)(たす)けに()たぢやないか。206それに何事(なにごと)ぢやい。207ヌツケリコと、208現在(げんざい)(はは)(わし)大怪我(おほけが)さした(かへで)阿魔(あま)自分(じぶん)部屋(へや)引張(ひつぱ)()み、209気楽(きらく)さうに(わし)を○○しよう(など)と、210(だい)それた陰謀(いんぼう)(くはだ)てて()つたぢやないか。211エー、212グヅグヅしておればお(まへ)(たち)にしてやられるかも()れぬ、213(さき)んずれば(ひと)(せい)すだ。214覚悟(かくご)なされ』
215()ひながら棍棒(こんぼう)打振(うちふ)り、216初稚姫(はつわかひめ)打伸(うちの)めさうとする一刹那(いつせつな)217(にはか)()()んで()たスマートは「ワン」と一声(ひとこゑ)218高姫(たかひめ)(すそ)()はへて(また)もや(うしろ)引倒(ひきたふ)した。219初稚姫(はつわかひめ)はスマートに(むか)ひ、
220初稚姫『これ、221(まへ)222(なん)()乱暴(らんばう)(こと)をなさるのだい。223(はや)くお(はな)しなさらぬか』
224とたしなめた。225スマートはビリビリと腹立(はらだ)たしさうに(ふる)うてゐた。226けれども主人(しゆじん)命令(めいれい)には(そむ)(がた)く、227素直(すなほ)にパツと(すそ)(はな)した。228高姫(たかひめ)はツと立上(たちあが)り、229棕櫚箒(しゆろばうき)(もつ)てスマートの(あたま)をガンと(なぐ)つた。230スマートは(いか)つて()びつかうとするのを初稚姫(はつわかひめ)は「これ」と一声(ひとこゑ)かくれば、231スマートは残念(ざんねん)さうにして俯向(うつむ)いて(しま)つた。
232初稚姫『これ、233スマートや、234(けつ)してお(かあ)さまに(たい)し、235(おど)かしちやなりませぬよ。236(しか)しお(まへ)(かしこ)(いぬ)だから、237(かあ)さまを()きずつて()つても、238何処(どこ)()まなかつた(こと)だけは(えら)かつたね』
239(あたま)(くび)()でスマートの(こころ)(なご)めて()る。240高姫(たかひめ)(こゑ)(あら)らげて、
241高姫『エー、242(けが)らわしい(はつ)243(かへで)阿魔(あま)244畜生(ちくしやう)をつれて、245其方(そつち)()つてくれ。246グヅグヅしてゐると義理(ぎり)天上(てんじやう)死物狂(しにものぐるひ)だ。247どんな(こと)(いた)すか()りませぬぞや』
248(ほとん)発狂(はつきやう)(てい)である。249初稚姫(はつわかひめ)(あま)(おこ)らしては(かへ)つて()(どく)(おも)言葉(ことば)(やさ)しく両手(りやうて)をついて、
250初稚姫『お(かあ)さま、251えらい()まない(こと)(ござ)りました。252左様(さやう)なれば(おほ)せに(したが)ひ、253彼方(あちら)(ひか)へてゐますから、254御用(ごよう)(ござ)りますれば何卒(どうぞ)()をお()(くだ)さいませ』
255高姫『ヘン、256そんな、257(へつら)言葉(ことば)()ふやうな(わし)ぢや(ござ)りませぬわいの。258さアさア(はや)珍彦(うづひこ)さまの(ところ)へでも()つて、259シツポリと高姫(たかひめ)征伐(せいばつ)相談会(さうだんくわい)でも(ひら)いたがよいわいのう。260シーツ シーツ シーツこん畜生(ちくしやう)
261()ひながら()()けた(くち)から啖唾(たんつば)()きかけ、262(はうき)()(まは)し、263掃出(はきだ)さうとした。
264 初稚姫(はつわかひめ)265(かへで)はスマートと(とも)に、
266初稚姫、楓御免(ごめん)なさいませ』
267()()て、268匆々(さうさう)(この)()()珍彦(うづひこ)(やかた)をさして()でて()く。
269 (あと)高姫(たかひめ)無念(むねん)()をかみしめ、270虎狼(こらう)(ごと)蛮声(ばんせい)張上(はりあ)げて、
271高姫『エー、272残念(ざんねん)や、273口惜(くちを)しやな。274悪神(あくがみ)(ども)計略(けいりやく)にかかり、275肝腎(かんじん)杢助(もくすけ)(さま)怪我(けが)(あそ)ばし何処(どこ)かへお()でになり、276(この)義理(ぎり)天上(てんじやう)(かみ)生宮(いきみや)()ひながら、277珍彦(うづひこ)魔法使(まはふづかひ)のために()をこつかれ、278(こし)(くじ)かれ、279(その)(うへ)あんな(かへで)(やう)阿魔(あま)ツチヨに()げつけられ、280ドン畜生(ちくしやう)には()きずられ、281(ほん)(これ)(だま)つて辛抱(しんばう)出来(でき)ようか』
282()ひながら火鉢(ひばち)()げつけ、283戸棚(とだな)(ぜん)(わん)(はち)(など)()()()しては戸外(こぐわい)()げつけ、284「ガタンビシヤン、285ガチヤガチヤ」と神楽舞(かぐらまひ)遺憾(ゐかん)なく(えん)(をは)り、286(ふたた)座敷(ざしき)中央(まんなか)にドツカと(すわ)り、287(くび)上下(じやうげ)左右(さいう)()り、288()きしやくつてゐる。289(たちま)高姫(たかひめ)腹中(ふくちう)より、
290(高姫の腹中より)『ワツハハハハハ、291(おれ)初稚姫(はつわかひめ)守護神(しゆごじん)だ。292初稚姫(はつわかひめ)(たの)まれて(この)肉体(にくたい)(ほろ)ぼすべく()()んだのだぞよ。293もう一人(ひとり)(かへで)守護神(しゆごじん)だ。294(なん)小気味(こぎみ)のよいことだわいのう、295ウフフフフフ』
296ひとりでに(わら)()した。297(しか)(この)(こゑ)(けつ)して初稚姫(はつわかひめ)(たの)まれて這入(はい)つた守護神(しゆごじん)でもない、298(また)(かへで)守護神(しゆごじん)でもなかつた。299依然(いぜん)として高姫(たかひめ)体内(たいない)潜居(せんきよ)してゐる悪狐(あくこ)(こゑ)である。300されど高姫(たかひめ)(まつた)両人(りやうにん)高姫(たかひめ)肉体(にくたい)(ほろ)ぼすべく、301(わが)肉体(にくたい)(すき)(うかが)うて侵入(しんにふ)して()たものと(おも)うてゐるから(たま)らない。302これから両人(りやうにん)(にく)(こと)蛇蝎(だかつ)(ごと)く、303(すき)さへあれば両人(りやうにん)(こら)してやらねばおかぬと決心(けつしん)したのである。304(すべ)悪霊(あくれい)(ひと)(きず)つけ(また)(ひと)(くる)しましめむとする(とき)は、305(みぎ)(ごと)手段(しゆだん)()るものである。306(たと)へば大本教(おほもとけう)破壊(はくわい)せむとする悪霊(あくれい)は、307(ある)社会(しやくわい)(てき)勢力(せいりよく)(いう)する人間(にんげん)体内(たいない)にソツと()り、308内部(ないぶ)より大本教(おほもとけう)(たい)する悪口(あくこう)(ささや)き、309(これ)()()によつて破壊(はくわい)せむとするものも()(なか)には沢山(たくさん)あるのである。310(また)(やや)(せう)なる()(いた)つては病人(びやうにん)(たい)()()み「(この)(はう)大本(おほもと)から(たの)まれて(その)(はう)(いのち)()りに()たものだ」(など)口走(くちばし)り、311()(わる)くせむと(たく)むものである。312(かく)(ごと)悪魔(あくま)何時(いつ)()にも頻々(ひんぴん)として(あら)はれ(きた)るものである。313(ゆゑ)役員(やくゐん)たり信者(しんじや)たりするものは、314充分(じうぶん)霊界(れいかい)消息(せうそく)(つう)じ、315(かれ)()詐言(さげん)(まよ)はされてはならぬのである。
316 ()高姫(たかひめ)自分(じぶん)(はら)(れい)(ごと)(にぎ)(こぶし)()()打叩(うちたた)きながら、317狂乱(きやうらん)(ごと)(いか)りの(こゑ)()()げて、
318高姫『こりや、319悪神(あくがみ)張本(ちやうほん)320初稚姫(はつわかひめ)321楓姫(かへでひめ)生霊(いきりやう)()322(なん)心得(こころえ)てる。323そんな(こと)往生(わうじやう)(いた)常世姫(とこよひめ)身魂(みたま)324義理(ぎり)天上(てんじやう)日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)ではないぞよ。325サア(その)(はう)(たく)みの次第(しだい)逐一(ちくいち)白状(はくじやう)(いた)せばよし、326(いた)さぬに(おい)ては(この)(はう)にも了簡(れうけん)があるぞよ。327どうだ、328返答(へんたふ)(いた)せ』
329(わめ)()てる。330腹中(ふくちう)より、
331(高姫の腹中より)『はい、332(まこと)()まない(こと)(いた)しました。333(わたし)初稚姫(はつわかひめ)生霊(いきりやう)(ござ)ります。334そしても一人(ひとり)楓姫(かへでひめ)生霊(いきりやう)(ござ)ります。335どうかして吾々(われわれ)二人(ふたり)(ちから)(あは)せ、336日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)(ほろ)ぼしてやらうと(たく)んで這入(はい)りました。337(しか)しながら貴女(あなた)()神徳(しんとく)があまり(つよ)いので、338如何(どう)する(こと)出来(でき)ませぬ。339ああ(くる)しい(くる)しい(ゆる)して(くだ)さいませな(ゆる)して(くだ)さいませな』
340初稚姫(はつわかひめ)341楓姫(かへでひめ)声色(こわいろ)使(つか)つて(はら)(なか)から()()した。342(しか)(その)(じつ)依然(いぜん)として、343もとの兇霊(きようれい)言葉(ことば)であり、344(その)兇霊(きようれい)初稚姫(はつわかひめ)威光(ゐくわう)(おそ)れ、345(なん)とかして高姫(たかひめ)肉体(にくたい)喧嘩(けんくわ)をさせ、346ここを両人(りやうにん)とも()()し、347悠々(いういう)閑々(かんかん)として高姫(たかひめ)体内(たいない)()み、348わが目的(もくてき)(たつ)せむと(たく)んだのである。349高姫(たかひめ)(これ)()くより、
350高姫『うん、351よし、352悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)四足(よつあし)身魂(みたま)353了簡(れうけん)ならぬ』
354(わめ)きながら棍棒(こんぼう)小脇(こわき)()()み、355珍彦(うづひこ)(やかた)をさして阿修羅(あしゆら)(わう)()れたる(ごと)(いきほひ)(すさま)じく、356火焔(くわえん)(ねつ)()きながら頭髪(とうはつ)逆立(さかだ)(すす)()く。357初稚姫(はつわかひめ)358(かへで)二人(ふたり)はヒソビソと(はなし)をしてゐた。359そこへ高姫(たかひめ)(あら)はれ(きた)り、
360高姫悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)四足(よつあし)361(おも)()れ』
362(かし)棍棒(こんぼう)真向(まつかう)にふり(かざ)し、363(いま)打下(うちおろ)さむとする一刹那(いつせつな)364何処(どこ)ともなくスマートは(ちう)(かけ)りて()んで(きた)り、365強力(がうりき)(まか)せて高姫(たかひめ)をトンと(その)()押倒(おしたふ)した。366高姫(たかひめ)はこの猛犬(まうけん)()怖気(おぢけ)づき、367(ほそ)くなつて(ふたた)びわが居間(ゐま)()(かへ)り、368(なか)から戸障子(としやうじ)突張(つつぱ)りをして、369夜具(やぐ)をひつ(かぶ)つて(ふる)へてゐた。370スマートは高姫(たかひめ)(あと)()()(きた)り、371()(そと)足掻(あが)きをしながら、
372スマート『ウーウ ウーウ、373ワウワウワウ』
374(しき)りに(うな)()ててゐる。375高姫(たかひめ)体内(たいない)悪霊(あくれい)(この)(こゑ)(ちぢ)(あが)り、376(ちひ)さくなつて(こずゑ)(のこ)つた柴栗(しばぐり)(やう)(かた)まつて(ふる)うてゐる。
377大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 北村隆光録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki