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第75巻(寅の巻)
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第50巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 和光同塵
01 至善至悪
〔1295〕
02 照魔燈
〔1296〕
03 高魔腹
〔1297〕
04 御意犬
〔1298〕
第2篇 兇党擡頭
05 霊肉問答
〔1299〕
06 玉茸
〔1300〕
07 負傷負傷
〔1301〕
08 常世闇
〔1302〕
09 真理方便
〔1303〕
第3篇 神意と人情
10 据置貯金
〔1304〕
11 鸚鵡返
〔1305〕
12 敵愾心
〔1306〕
13 盲嫌
〔1307〕
14 虬の盃
〔1308〕
第4篇 神犬の言霊
15 妖幻坊
〔1309〕
16 鷹鷲掴
〔1310〕
17 偽筆
〔1311〕
18 安国使
〔1312〕
19 逆語
〔1313〕
20 悪魔払
〔1314〕
21 犬嘩
〔1315〕
余白歌
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第二一章
犬嘩
(
けんくわ
)
〔一三一五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻
篇:
第4篇 神犬の言霊
よみ(新仮名遣い):
しんけんのことたま
章:
第21章 犬嘩
よみ(新仮名遣い):
けんか
通し章番号:
1315
口述日:
1923(大正12)年01月23日(旧12月7日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年12月7日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
イクとサールの二人は高姫が逃げるのを追って、河鹿峠の急坂を下って行く。二人は妖怪の正体が割れた妖幻坊と高姫を捕えて懲らしめようと追いかけていたのであった。
サールは先に入っていたイクが怪我をして倒れているところに追いついた。イクは石につまずいて血を流して倒れていた。二人はこれ以上追うことができず、神に祈り始めた。
すると間近の茂みから妖幻坊の杢助と高姫が現れた。妖幻坊はイクとサールを殺すと脅しをかけ、高姫はそれがいやなら自分の手下になれと呼び掛けた。
イクとサールは高姫の提案を拒絶した。高姫は樫の棒を振りかざし、杢助は巨岩を持ち上げ、投げつけて二人を害そうとした。イクとサールは進退窮まり、眼をつぶって一生懸命に大神を念じていた。
たちまち、足許からスマートの唸り声が聞こえてきた。妖幻坊と高姫は強直してしまい、そのまま駆け出した。妖幻坊はパタリと転び、後に高姫がつまずいて樫の棒で妖幻坊の後頭部を打った。
妖幻坊は怪しい声で鳴き声を上げた。あたりに暗の幕が下りてきた。後にはただ、谷川の水の音のみが聞こえるのみであった。イクの傷は、スマートの声と共に一時に全快した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-07-28 01:01:47
OBC :
rm5021
愛善世界社版:
289頁
八幡書店版:
第9輯 256頁
修補版:
校定版:
295頁
普及版:
144頁
初版:
ページ備考:
001
イク、
002
サールの
両人
(
りやうにん
)
は、
003
高姫
(
たかひめ
)
の
逃
(
に
)
ぐるを
追
(
お
)
うて、
004
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
下
(
くだ
)
りながら
歌
(
うた
)
ひゆく。
005
イク『
大雲山
(
たいうんざん
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
006
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
のドツコイシヨ
007
其
(
その
)
眷属
(
けんぞく
)
と
現
(
あら
)
はれし
008
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
009
ウントコドツコイきつい
坂
(
さか
)
010
オイオイ サール
気
(
き
)
をつけよ
011
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
の
肉宮
(
にくみや
)
と
012
佯
(
いつは
)
る
高姫婆
(
たかひめばば
)
の
奴
(
やつ
)
013
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
に
014
蔓
(
つる
)
を
引
(
ひ
)
つかけ
吾々
(
われわれ
)
を
015
すつてんころりとドツコイシヨ
016
ひつくりかへそと
企
(
たく
)
らみて
017
ウントコドツコイ
往
(
ゆ
)
きやがつた
018
アイタタタツタ、アイタタタ
019
矢張
(
やつぱり
)
此奴
(
こいつ
)
は
石
(
いし
)
だつた
020
何程
(
なにほど
)
高姫司
(
たかひめつかさ
)
でも
021
そんな
事
(
こと
)
する
間
(
ま
)
がなかろ
022
さうぢやと
云
(
い
)
つてドツコイシヨ
023
サールの
司
(
つかさ
)
油断
(
ゆだん
)
すな
024
敵
(
てき
)
は
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ふ
妖幻坊
(
えうげんばう
)
025
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
026
一
(
ひと
)
すぢ
縄
(
なは
)
ではゆかぬ
奴
(
やつ
)
027
又
(
また
)
もや
此処
(
ここ
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
028
どつかの
聖場
(
せいぢやう
)
に
巣
(
す
)
を
構
(
かま
)
へ
029
鉄面皮
(
てつめんぴ
)
にも しやあ しやあと
030
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
を
振
(
ふ
)
りまはし
031
納
(
をさ
)
まりかへつて
居
(
を
)
るだらう
032
かうなる
上
(
うへ
)
は
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
033
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
をば
034
面
(
つら
)
ひん
剥
(
む
)
いてやらなけりや
035
世界
(
せかい
)
の
害
(
がい
)
は
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
か
036
分
(
わか
)
つたものぢやない
程
(
ほど
)
に
037
アイタタタツタ
躓
(
つまづ
)
いた
038
余
(
あんま
)
り
先
(
さき
)
に
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られ
039
足許
(
あしもと
)
お
留守
(
るす
)
になつたのか
040
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
の
祀
(
まつ
)
りたる
041
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
へぬつけりと
042
神
(
かみ
)
さま
面
(
づら
)
を
提
(
さ
)
げよつて
043
やつて
来
(
く
)
るとは
太
(
ふと
)
い
奴
(
やつ
)
044
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
かない
045
強
(
したた
)
か
者
(
もの
)
をスマートが
046
厳
(
いづ
)
の
雄健
(
をたけ
)
び
踏
(
ふ
)
み
健
(
たけ
)
び
047
ウウウウワンと
吠
(
ほ
)
え
猛
(
たけ
)
る
048
其
(
その
)
猛声
(
まうせい
)
に
肝
(
きも
)
つぶし
049
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
すやうな
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
050
何程
(
なにほど
)
口
(
くち
)
が
達者
(
たつしや
)
でも
051
直接
(
ちよくせつ
)
行動
(
かうどう
)
にや
叶
(
かな
)
ふまい
052
サアサア
急
(
いそ
)
げ
早
(
はや
)
急
(
いそ
)
げ
053
グヅグヅしとると
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れる
054
もしも
夜分
(
やぶん
)
になつたなら
055
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
を
見失
(
みうしな
)
ひ
056
残念
(
ざんねん
)
至極
(
しごく
)
口惜
(
くちを
)
しと
057
臍
(
ほぞ
)
を
噛
(
か
)
むとも
及
(
およ
)
ぶまい
058
急
(
いそ
)
げよ
急
(
いそ
)
げ、いざ
急
(
いそ
)
げ
059
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
道
(
みち
)
のため
060
仮令
(
たとへ
)
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
曲神
(
まがかみ
)
に
061
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らるる
事
(
こと
)
あるも
062
何
(
なに
)
かは
惜
(
を
)
しまむドツコイシヨ
063
ウントコドツコイアイタタツタ
064
ほんとに
危
(
あぶ
)
ない
坂道
(
さかみち
)
だ
065
女
(
をんな
)
の
癖
(
くせ
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
066
大
(
おほ
)
きな
尻
(
しり
)
を
振
(
ふ
)
りながら
067
中々
(
なかなか
)
足
(
あし
)
の
早
(
はや
)
い
奴
(
やつ
)
068
これも
矢張
(
やつぱ
)
り
杢助
(
もくすけ
)
を
069
思
(
おも
)
ひつめたる
一心
(
いつしん
)
が
070
恋
(
こひ
)
の
矢玉
(
やだま
)
となり
果
(
は
)
てて
071
宙
(
ちう
)
をば
飛
(
と
)
んで
往
(
ゆ
)
くのだろ
072
何程
(
なにほど
)
俺
(
おれ
)
が
走
(
はし
)
つても
073
向
(
むか
)
ふも
矢張
(
やつぱ
)
り
走
(
はし
)
る
故
(
ゆゑ
)
074
ドツコイドツコイ コンパスに
075
よつぽど
撚
(
より
)
をかけなくちや
076
追
(
お
)
ひつく
事
(
こと
)
は
難
(
むつか
)
しい
077
こりやこりやサール
何
(
なに
)
しとる
078
もちつと
早
(
はや
)
う
走
(
はし
)
らぬか
079
ウントコドツコイドツコイシヨ
080
谷
(
たに
)
の
流
(
なが
)
れが
囂々
(
がうがう
)
と
081
伊猛
(
いたけ
)
り
狂
(
くる
)
ふ
其
(
その
)
音
(
おと
)
に
082
紛
(
まぎ
)
れて
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
083
お
前
(
まへ
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
らぬのか
084
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へばジレツたい
085
いざいざ
来
(
きた
)
れ いざ
来
(
きた
)
れ
086
敵
(
てき
)
は
早
(
はや
)
くも
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せた
087
こいつ
遁
(
のが
)
しちや
一大事
(
いちだいじ
)
088
又
(
また
)
もや
小北
(
こぎた
)
の
神殿
(
しんでん
)
で
089
主人面
(
しゆじんづら
)
をば
晒
(
さら
)
しつつ
090
何
(
なに
)
を
致
(
いた
)
すか
分
(
わか
)
らない
091
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
は
早
(
はや
)
く
追
(
お
)
つ
付
(
つ
)
いて
092
途中
(
とちう
)
で
二人
(
ふたり
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み
093
河鹿
(
かじか
)
の
流
(
なが
)
れに
打
(
ぶ
)
ち
込
(
こ
)
んで
094
三五教
(
あななひけう
)
の
妨害
(
ばうがい
)
を
095
根絶
(
こんぜつ
)
しなくちや
済
(
す
)
むまいぞ
096
お
前
(
まへ
)
も
俺
(
おれ
)
もバラモンの
097
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
098
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をば
遺憾
(
ゐかん
)
なく
099
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
たものだ
100
ウントコドツコイ
其
(
その
)
深
(
ふか
)
き
101
罪
(
つみ
)
を
贖
(
あがな
)
ひ
天国
(
てんごく
)
の
102
死後
(
しご
)
の
生涯
(
しやうがい
)
送
(
おく
)
るべく
103
改心
(
かいしん
)
したる
其
(
その
)
上
(
うへ
)
は
104
何
(
なに
)
か
一
(
ひと
)
つの
功名
(
こうみやう
)
を
105
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
立
(
た
)
てなくちや
106
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
107
一
(
ひと
)
つも
土産
(
みやげ
)
がなからうぞ
108
後
(
あと
)
ふり
返
(
かへ
)
り
眺
(
なが
)
むれば
109
サールの
奴
(
やつ
)
は
何
(
ど
)
うしてる
110
来
(
く
)
れば
来
(
く
)
る
程
(
ほど
)
後
(
おく
)
れよる
111
ほんにお
前
(
まへ
)
はヤツトコシヨ
112
ドツコイドツコイ
辛気臭
(
しんきくさ
)
い
113
なぜ
又
(
また
)
足
(
あし
)
が
遅
(
おそ
)
いのか
114
アイタタタツタ パツタリコ
115
とうとう
向脛
(
むかふづね
)
打
(
う
)
ちました
116
これを
思
(
おも
)
へば
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
117
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ふなと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
か
118
いやいやさうではあるまいぞ
119
一旦
(
いつたん
)
思
(
おも
)
ひ
立
(
た
)
つた
上
(
うへ
)
は
120
どこどこ
迄
(
まで
)
も
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
121
彼
(
かれ
)
が
先途
(
せんど
)
を
見届
(
みとど
)
けて
122
喉首
(
のどくび
)
グツとひん
握
(
にぎ
)
り
123
もう
是
(
これ
)
からは
高姫
(
たかひめ
)
は
124
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
自転倒
(
おのころ
)
の
125
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
に
帰
(
かへ
)
りますと
126
云
(
い
)
はさにやおかぬ
俺
(
おれ
)
の
胸
(
むね
)
127
心
(
こころ
)
は
千々
(
ちぢ
)
にはやれども
128
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
向脛
(
むかふづね
)
129
強
(
したた
)
か
打
(
う
)
つた
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
130
心
(
こころ
)
ばかりは
急
(
いそ
)
げども
131
何
(
なん
)
だか
体
(
からだ
)
が
動
(
うご
)
かない
132
アイタタタツタ アイタタツタ
133
サールの
奴
(
やつ
)
は
何
(
なに
)
してる
134
もうそろそろと
追付
(
おひつ
)
いて
135
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
さうなものぢやなア
136
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
137
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
正念場
(
しやうねんば
)
138
何卒
(
なにとぞ
)
足
(
あし
)
の
痛
(
いた
)
みをば
139
止
(
と
)
めさせ
給
(
たま
)
へ
逸早
(
いちはや
)
く
140
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
此
(
この
)
イクが
141
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る』
142
斯
(
か
)
く
坂道
(
さかみち
)
に
倒
(
たふ
)
れながら、
143
尚
(
なほ
)
も
歌
(
うた
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
144
此処
(
ここ
)
へトントントンと
足許
(
あしもと
)
覚束
(
おぼつか
)
なげにやつて
来
(
き
)
たのはサールであつた。
145
サールはイクの
足
(
あし
)
から
血
(
ち
)
を
出
(
だ
)
して
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
るのに
吃驚
(
びつくり
)
し、
146
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
147
サール
『ヤア、
148
お
前
(
まへ
)
はイクぢやないか。
149
どうした どうした』
150
イク
『
何
(
ど
)
うも
斯
(
か
)
うもあつたものかい。
151
あまり
貴様
(
きさま
)
がグヅグヅして
居
(
ゐ
)
るものだから、
152
早
(
はや
)
う
来
(
こ
)
ぬか
早
(
はや
)
う
来
(
こ
)
ぬかと、
153
後
(
あと
)
を
見
(
み
)
もつて
走
(
はし
)
つたものだから、
154
大
(
おほ
)
きな
石
(
いし
)
に
躓
(
つまづ
)
いて
倒
(
たふ
)
れたのだ。
155
オイ、
156
サール、
157
俺
(
おれ
)
には
構
(
かま
)
はずに
早
(
はや
)
く
走
(
はし
)
つて
呉
(
く
)
れ。
158
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
二人
(
ふたり
)
の
奴
(
やつ
)
、
159
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れたら
分
(
わか
)
らぬやうになつて
仕舞
(
しま
)
ふぞ。
160
俺
(
おれ
)
は
後
(
あと
)
から
足
(
あし
)
が
直
(
なほ
)
り
次第
(
しだい
)
追駆
(
おひか
)
けて
往
(
ゆ
)
くからなア』
161
サール
『さうだといつて、
162
お
前
(
まへ
)
がこんな
怪我
(
けが
)
をして
居
(
を
)
るのに、
163
これが
何
(
ど
)
うして
見捨
(
みす
)
てて
行
(
ゆ
)
かりようか。
164
此処
(
ここ
)
は
狼
(
おほかみ
)
が
沢山
(
たくさん
)
出
(
で
)
る
所
(
ところ
)
だから、
165
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れるのに
間
(
ま
)
がないから、
166
剣呑
(
けんのん
)
で
耐
(
たま
)
らないわ。
167
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
はずに
俺
(
おれ
)
に
介抱
(
かいほう
)
さして
呉
(
く
)
れ。
168
何
(
なん
)
とまアえらい
怪我
(
けが
)
だのう』
169
イク
『
俺
(
おれ
)
は
何
(
ど
)
うでもよいから、
170
早
(
はや
)
く
往
(
ゆ
)
かないと
取
(
と
)
り
逃
(
にが
)
すぢやないか。
171
俺
(
おれ
)
が
大事
(
だいじ
)
か、
172
お
道
(
みち
)
が
大事
(
だいじ
)
か、
173
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ。
174
俺
(
おれ
)
の
足
(
あし
)
が
一本
(
いつぽん
)
位
(
くらゐ
)
なくなつたつて
構
(
かま
)
ふものか、
175
なくなつたら
義足
(
ぎそく
)
でもつけたらいいぢやないか。
176
さア
早
(
はや
)
く
往
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ
往
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ』
177
サール
『
何
(
なん
)
ぼなんでも
友人
(
いうじん
)
として
俺
(
おれ
)
は
此処
(
ここ
)
を
見捨
(
みす
)
てて
去
(
さ
)
るには
忍
(
しの
)
びない。
178
どうも
貴様
(
きさま
)
の
顔色
(
かほいろ
)
が
悪
(
わる
)
いぞ』
179
イク
『ああ
貴様
(
きさま
)
も
臆病
(
おくびやう
)
だなア。
180
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて
彼奴
(
あいつ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
が
怖
(
おそ
)
ろしいのぢやないか』
181
サール
『そりやさうだ。
182
貴様
(
きさま
)
と
二人
(
ふたり
)
行
(
ゆ
)
くのなら
力強
(
ちからづよ
)
いが、
183
あんな
化物
(
ばけもの
)
や
婆
(
ばば
)
アの
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つ
駆
(
か
)
けて
行
(
い
)
つても、
184
一人
(
ひとり
)
ぢや
反対
(
あべこべ
)
にやられて
仕舞
(
しま
)
ふからな。
185
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
貴様
(
きさま
)
を
先
(
さき
)
へやつて
俺
(
おれ
)
が
応援
(
おうゑん
)
にいく
積
(
つもり
)
だつた。
186
肝心
(
かんじん
)
のイクが
倒
(
たふ
)
れて
俺
(
おれ
)
だけ
行
(
い
)
つてみても、
187
完全
(
くわんぜん
)
なイクサールは
出来
(
でき
)
ぬからのう。
188
負
(
ま
)
けるのは
定
(
きま
)
つて
居
(
を
)
るから、
189
そんな
敗戦
(
まけいくさ
)
なら、
190
行
(
い
)
かない
方
(
はう
)
が
余程
(
よつぽど
)
利口
(
りこう
)
だぞ』
191
イク
『
貴様
(
きさま
)
は
人
(
ひと
)
を
当
(
あて
)
にするからいかぬのだ。
192
人間
(
にんげん
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
や
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
居
(
を
)
つたつて
何
(
なに
)
にならう。
193
神力
(
しんりき
)
無辺
(
むへん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
頼
(
たの
)
んで
行
(
ゆ
)
けば、
194
きつと
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
の
鼻柱
(
はなばしら
)
を
挫
(
くじ
)
き、
195
きつと
御用
(
ごよう
)
が
出来
(
でき
)
るのだ。
196
さア、
197
行
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ
行
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れ。
198
アイタタタタ、
199
どうも
俺
(
おれ
)
は
息
(
いき
)
が
切
(
き
)
れさうだ。
200
到底
(
たうてい
)
回復
(
くわいふく
)
は
覚束
(
おぼつか
)
ないかも
知
(
し
)
れないぞ』
201
サール
『
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
奴
(
やつ
)
だなア、
202
貴様
(
きさま
)
こそ、
203
なぜ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祈
(
いの
)
らぬのだ』
204
イクは
細
(
ほそ
)
い
声
(
こゑ
)
で、
205
イク
『ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
206
誠
(
まこと
)
に
無調法
(
ぶてうはふ
)
致
(
いた
)
しました。
207
併
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
はどんなになつても
構
(
かま
)
ひませぬ。
208
何卒
(
どうぞ
)
サールに
神力
(
しんりき
)
を
与
(
あた
)
へて
下
(
くだ
)
さいまして、
209
臆病風
(
おくびやうかぜ
)
を
追
(
お
)
ひ
払
(
はら
)
ひ、
210
勇気
(
ゆうき
)
を
出
(
だ
)
して
猪突
(
ちよとつ
)
猛進
(
まうしん
)
するやうにお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します。
211
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
212
と
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
しも、
213
間近
(
まぢか
)
の
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みから
破鐘
(
われがね
)
のやうな
声
(
こゑ
)
で、
214
妖幻坊の杢助
『アハハハハ、
215
態
(
ざま
)
を
見
(
み
)
よ。
216
杢助
(
もくすけ
)
の
計略
(
けいりやく
)
にかかり
其
(
その
)
有様
(
ありさま
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
、
217
ても
扨
(
さ
)
ても
心地
(
ここち
)
よやなア、
218
アハハハハ』
219
イク
『ヤ、
220
居
(
ゐ
)
よつた
居
(
ゐ
)
よつた。
221
オイ、
222
サール、
223
取掴
(
とつつか
)
まへて
呉
(
く
)
れ、
224
俺
(
おれ
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
足
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
いのだから
動
(
うご
)
けないわ』
225
サール
『
俺
(
おれ
)
も
何
(
なん
)
だか
体
(
からだ
)
が
鯱
(
しやち
)
こ
張
(
ば
)
つて
動
(
うご
)
けないのだ。
226
アアアアどうしようかなア、
227
アイタタタタタ
何
(
なん
)
だか
腰
(
こし
)
までが
変
(
へん
)
になつて
来
(
き
)
たぞ』
228
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
から、
229
妖幻坊の杢助
『ウアハハハハ、
230
こりやイク、
231
サールの
両人
(
りやうにん
)
、
232
今
(
いま
)
杢助
(
もくすけ
)
が
其
(
その
)
方
(
はう
)
両人
(
りやうにん
)
を
荒料理
(
あられうり
)
して
喰
(
く
)
つてやらう。
233
てもさても
不愍
(
ふびん
)
なものだなア。
234
オイ
高姫
(
たかひめ
)
、
235
彼奴
(
きやつ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
を
此
(
この
)
樫
(
かし
)
の
棒
(
ぼう
)
をもつて、
236
頭
(
あたま
)
をまつ
二
(
ぷた
)
つに
割
(
わ
)
つて
参
(
まゐ
)
れ』
237
この
声
(
こゑ
)
の
下
(
した
)
よりヌツと
現
(
あら
)
はれた
高姫
(
たかひめ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
238
樫
(
かし
)
の
棒
(
ぼう
)
を
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
りながら、
239
高姫
『こりや
両人
(
りやうにん
)
、
240
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
其
(
その
)
方
(
はう
)
を
決
(
けつ
)
して
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
きたくも、
241
殺
(
ころ
)
したくもなけれども、
242
わが
夫
(
をつと
)
杢助殿
(
もくすけどの
)
のお
言葉
(
ことば
)
には
背
(
そむ
)
かれぬから、
243
これまでの
命
(
いのち
)
と
諦
(
あきら
)
めて
観念
(
くわんねん
)
致
(
いた
)
したがよからうぞ。
244
ても
扨
(
さ
)
ても
飛
(
と
)
んで
火
(
ひ
)
に
入
(
い
)
る
夏
(
なつ
)
の
虫
(
むし
)
、
245
いらざる
殺生
(
せつしやう
)
をしなくてはならないやうになつたわいなア』
246
イク
『こりや
高姫
(
たかひめ
)
、
247
俺
(
おれ
)
が
足
(
あし
)
を
傷付
(
きずつ
)
いたのを
付
(
つ
)
け
込
(
こ
)
んで
殺
(
ころ
)
さうと
致
(
いた
)
すのか。
248
ようし、
249
面白
(
おもしろ
)
い。
250
殺
(
ころ
)
されてやらう。
251
オイ、
252
サール、
253
貴様
(
きさま
)
も
一
(
ひと
)
つ
殺
(
ころ
)
して
貰
(
もら
)
へ、
254
吾々
(
われわれ
)
は
尊
(
たふと
)
き
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
があるから、
255
滅多
(
めつた
)
に
悪魔
(
あくま
)
のために
命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てるやうな
馬鹿
(
ばか
)
ではないぞよ。
256
さア
高姫
(
たかひめ
)
、
257
イヤ
妖幻坊
(
えうげんばう
)
、
258
どうなつと
致
(
いた
)
せ』
259
高姫
『それ
程
(
ほど
)
殺
(
ころ
)
して
欲
(
ほ
)
しければ
殺
(
ころ
)
してやらう。
260
併
(
しか
)
し、
261
イク、
262
サールの
両人
(
りやうにん
)
、
263
一
(
ひと
)
つ
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
御
(
お
)
供
(
とも
)
致
(
いた
)
す
気
(
き
)
はないか。
264
魚心
(
うをごころ
)
あれば
水心
(
みづごころ
)
ありだ。
265
別
(
べつ
)
に
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
は、
266
貴様
(
きさま
)
たちの
様
(
やう
)
な
蠅虫
(
はひむし
)
を
二人
(
ふたり
)
位
(
ぐらゐ
)
殺
(
ころ
)
したつて
仕方
(
しかた
)
がないのだから、
267
何
(
ど
)
うだ、
268
改心
(
かいしん
)
してお
供
(
とも
)
致
(
いた
)
す
気
(
き
)
はないか。
269
此
(
この
)
神
(
かみ
)
は
敵
(
てき
)
でも
助
(
たす
)
ける
神
(
かみ
)
だぞや』
270
イク
『ゴテゴテ
云
(
い
)
はずに
早
(
はや
)
く
殺
(
ころ
)
さぬかい。
271
オイ、
272
サール、
273
貴様
(
きさま
)
は
卑怯者
(
ひけふもの
)
だから、
274
妖幻坊
(
えうげんばう
)
や
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
に
降参
(
かうさん
)
して
命
(
いのち
)
だけ
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
へ、
275
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だなア』
276
サール
『イヤ
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
だ。
277
こりや
高姫
(
たかひめ
)
、
278
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
、
279
どうなりと
致
(
いた
)
せ。
280
貴様
(
きさま
)
の
喉首
(
のどくび
)
にでも
齧
(
かじ
)
りついて
反対
(
あべこべ
)
に
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
つてやらう。
281
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
282
高姫
『どうも、
283
阿呆
(
あはう
)
になつたら
仕方
(
しかた
)
がないものぢや。
284
さう
殺
(
ころ
)
して
欲
(
ほ
)
しけりや、
285
無益
(
むえき
)
の
殺生
(
せつしやう
)
だが
仕方
(
しかた
)
がない。
286
どうだ、
287
覚悟
(
かくご
)
はよいかな』
288
と
樫
(
かし
)
の
棒
(
ぼう
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げる。
289
イク『そりや
何
(
なに
)
さらしてけつかるのぢや。
290
蟷螂
(
かまきり
)
が
藁
(
わら
)
すべを
担
(
かつ
)
いだやうなスタイルをしよつて、
291
さア
早
(
はや
)
くすつぽりとやつて
見
(
み
)
い』
292
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へガサガサガサと
大
(
おほ
)
きな
音
(
おと
)
をさせながら、
293
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
は
巨岩
(
きよがん
)
を
両手
(
りやうて
)
に
頭上
(
づじやう
)
高
(
たか
)
く
差
(
さ
)
し
上
(
あ
)
げ、
294
今
(
いま
)
や
二人
(
ふたり
)
に
向
(
むか
)
つて
投
(
な
)
げつけむとする
勢
(
いきほひ
)
である。
295
如何
(
いか
)
に
勇猛
(
ゆうまう
)
な
二人
(
ふたり
)
も、
296
この
岩石
(
がんせき
)
をくらつては、
297
忽
(
たちま
)
ち
身体
(
しんたい
)
は
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
になるより
仕方
(
しかた
)
がなかつた。
298
二人
(
ふたり
)
は
進退
(
しんたい
)
これ
谷
(
きは
)
まり、
299
観念
(
くわんねん
)
の
眼
(
まなこ
)
をつぶつて、
300
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
大神
(
おほかみ
)
を
念
(
ねん
)
じて
居
(
ゐ
)
た。
301
忽
(
たちま
)
ち
足許
(
あしもと
)
から『ウウーウウー、
302
ウーウー、
303
ワウワウワウ』とスマートの
声
(
こゑ
)
、
304
妖幻坊
(
えうげんばう
)
並
(
ならび
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
石
(
いし
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げたまま、
305
棒
(
ぼう
)
を
振
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
したまま、
306
強直
(
きやうちよく
)
して
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
いだ
)
し、
307
岩石
(
がんせき
)
に
躓
(
つまづ
)
いて
妖幻坊
(
えうげんばう
)
はバタリと
転
(
こ
)
けた。
308
高姫
(
たかひめ
)
は
又
(
また
)
もや
躓
(
つまづ
)
いて
棍棒
(
こんぼう
)
を
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げた
儘
(
まま
)
、
309
ウンと
転
(
ころ
)
げた
拍子
(
ひやうし
)
に、
310
棍棒
(
こんぼう
)
で
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
後頭部
(
こうとうぶ
)
をパチンと
打
(
う
)
つた。
311
妖幻坊
(
えうげんばう
)
は『キヤンキヤン』と
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てて
二声
(
ふたこゑ
)
ないた。
312
何
(
ど
)
うしても
人間
(
にんげん
)
の
声
(
こゑ
)
とは
聞
(
きこ
)
えなかつた。
313
四辺
(
あたり
)
に
暗
(
やみ
)
の
幕
(
とばり
)
はおりて
咫尺
(
しせき
)
暗澹
(
あんたん
)
、
314
唯
(
ただ
)
谷川
(
たにがは
)
の
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
のみ
淙々
(
そうそう
)
と
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
315
因
(
ちなみ
)
にイクの
瘡傷
(
さうしやう
)
はスマートの
声
(
こゑ
)
と
共
(
とも
)
に
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
全快
(
ぜんくわい
)
した。
316
(
大正一二・一・二三
旧一一・一二・七
加藤明子
録)
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