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虫(むし)の触角(しよくかく)と鳴(な)き声(ごゑ)

インフォメーション
鏡：水鏡 題名：虫の触角と鳴き声 よみ： 著者：出口王仁三郎
神の国掲載号：1927（昭和2）年07月号 八幡書店版：432頁 愛善世界社版：174頁 著作集：171頁 第五版：232頁 第三版：232頁 全集： 初版：225頁
概要： 備考： タグ： データ凡例： データ最終更新日： OBC ：kg198
001　鈴虫(すずむし)や松虫(まつむし)には長(なが)い触角(しよくかく)があるが、002あれは面白(おもしろ)い働(はたら)きをするものである。003即(すなは)ちあの長(なが)い触角(しよくかく)は、004ラヂオのアンテナと、005拡声器(くわくせいき)とを兼(か)ね備(そな)へたやうな働(はたら)きをするのである。006今(いま)一匹(いつぴき)の松虫(まつむし)の雄虫(をす)が鳴(な)いたとすると、007其(その)声(こゑ)は触角(しよくかく)に伝(つた)はつて強(つよ)められ、008高(たか)められて数丁(すうちやう)乃至(ないし)数里先(すうりさき)の雌虫(めす)に達(たつ)する。009幾何(いくら)松虫(まつむし)の声(こゑ)が高(たか)いからと云(い)ふて、010マサカ数里先(すうりさき)の雌虫(めす)にまで達(たつ)すると云(い)ふのは信(しん)ぜられない話(はなし)であるが、011そこは神様(かみさま)の深(ふか)い思召(おぼしめし)があつて、012雌虫(めす)の頭(あたま)には、013ちやんと触角(しよくかく)のアンテナが用意(ようい)してあるのであつて、014この触角(しよくかく)のアンテナに感応(かんおう)して、015数里先(すうりさき)の雄虫(をす)の鳴(な)き声(ごゑ)がハツキリと聞(き)き取(と)れるので、016呼(よ)び出(だ)しをかけられた雌虫(めす)は大喜(おほよろこ)びで声(こゑ)を便(たよ)りに飛(と)んで行(ゆ)く。017勿論(もちろん)恋(こひ)しい自分(じぶん)の雄虫(をす)の鳴声(なきごゑ)を、018外(ほか)の雄虫(をす)の鳴(な)き声(ごゑ)と混同(こんどう)するやうな事(こと)は決(けつ)してない、019ちやんと各自(かくじ)の雄虫(をす)の所(ところ)へ飛(と)んで行(い)つて、020甘(あま)い恋(こひ)を囁(ささや)きつづけるのである。021彼等(かれら)の鳴(な)き声(ごゑ)は決(けつ)して人間(にんげん)を慰(なぐさ)むる為(た)めではなく、022種属(しゆぞく)繁栄(はんゑい)の為(ため)の本能(ほんのう)の叫(さけ)びである事(こと)は、023人(ひと)皆(みな)がよく知(し)つて居(ゐ)る通(とほ)りである。024鶏(にはとり)のトサカの如(ごと)きも同(おな)じ働(はたら)きをするもので、025鳥(とり)や虫(むし)が一足(ひとあし)お先(さき)にラヂオを実際(じつさい)に使用(しよう)して居(ゐ)るのは面白(おもしろ)い現象(げんしやう)である。
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