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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第5巻(辰の巻)
序文
凡例
総説嵐の跡
第1篇 動天驚地
第1章 栄華の夢
第2章 松竹梅
第3章 臭黄の鼻
第4章 奇縁万状
第5章 盲亀の浮木
第6章 南天王
第7章 三拍子
第8章 顕恩郷
第9章 鶴の温泉
第2篇 中軸移動
第10章 奇々怪々
第11章 蜃気楼
第12章 不食不飲
第13章 神憑の段
第14章 審神者
第15章 石搗歌
第16章 霊夢
第3篇 予言と警告
第17章 勢力二分
第18章 宣伝使
第19章 旭日出暗
第20章 猿蟹合戦
第21章 小天国
第22章 神示の方舟
第4篇 救世の神示
第23章 神の御綱
第24章 天の浮橋
第25章 姫神の宣示
第26章 艮坤の二霊
第27章 唖の対面
第28章 地教山の垂示
第5篇 宇宙精神
第29章 神慮洪遠
第30章 真帆片帆
第31章 万波洋々
第32章 波瀾重畳
第33章 暗夜の光明
第34章 水魚の情交
第6篇 聖地の憧憬
第35章 波上の宣伝
第36章 言霊の響
第37章 片輪車
第38章 回春の歓
第39章 海辺の雑話
第40章 紅葉山
第41章 道神不二
第42章 神玉両純
第7篇 宣伝又宣伝
第43章 長恨歌
第44章 夜光の頭
第45章 魂脱問答
第46章 油断大敵
第47章 改言改過
第48章 弥勒塔
第49章 水魚の煩悶
第50章 磐樟船
余白歌
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霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第5巻(辰の巻)
> 第1篇 動天驚地 > 第5章 盲亀の浮木
<<< 奇縁万状
(B)
(N)
南天王 >>>
第五章
盲亀
(
もうき
)
の
浮木
(
ふぼく
)
〔二〇五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
篇:
第1篇 動天驚地
よみ(新仮名遣い):
どうてんきょうち
章:
第5章 盲亀の浮木
よみ(新仮名遣い):
もうきのふぼく
通し章番号:
205
口述日:
1922(大正11)年01月05日(旧12月08日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年4月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
エデンの大河に飛び込んだ塩治姫、常治彦、玉春姫は、大亀の背に助けられて大河を下った。両側が切り立った崖の河を降っていくと、白い洲が見えた。
亀は三人を乗せたまま、その洲の中を進んでいく。すると酒に酔った神々らが現れて、三人の周りで歓呼の声を上げた。亀はさらに進んで、この地の首長らしき立派な神の前まで進んでいった。
この地は三方を山に守られた、顕恩郷という楽園である。この地の統治者を南天王と言った。南天王は、実は大道別であった。南天王は三人を歓待させた。
顕恩郷の人々は、みな蟹のような顔をしていた。そして、この地には、角の生えた救世神が降臨して顕恩郷を守る、という伝説があった。そのため、顕恩郷のひとびとは常治彦を神輿に担ぎ上げると、東北の山向こうの切り立った立岩の上に乗せ、礼拝を始めた。
常治彦は岩の上に乗せられて降りることもできず、ただ助けを呼ばわっていたが、塩治姫、玉春姫が白いひれを降ると、顕恩郷の神々らは元の平地に帰ってしまい、常治彦はひとり岩の上に残されてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0505
愛善世界社版:
34頁
八幡書店版:
第1輯 530頁
修補版:
校定版:
36頁
普及版:
17頁
初版:
ページ備考:
001
エデンの
河中
(
かちう
)
に
投身
(
とうしん
)
したる
塩治姫
(
しほはるひめ
)
は
水中
(
すゐちう
)
をくぐり、
002
下流
(
かりう
)
の
浅瀬
(
あさせ
)
に
着
(
つ
)
いた。
003
ここに
一
(
ひと
)
つの
巨大
(
きよだい
)
なる
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
が
横
(
よこ
)
たはつてゐた。
004
姫
(
ひめ
)
は
天
(
てん
)
の
祐
(
たす
)
けとその
大木
(
たいぼく
)
の
株
(
かぶ
)
に
取
(
と
)
りつき、
005
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めつつあつた。
006
今
(
いま
)
まで
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
と
思
(
おも
)
ひしに、
007
見
(
み
)
るみる
馬
(
うま
)
のごとき
首
(
くび
)
が
現
(
あら
)
はれ、
008
つぎに
手足
(
てあし
)
が
現
(
あら
)
はれた。
009
株
(
かぶ
)
はすつかり
大
(
おほ
)
きな
亀
(
かめ
)
に
化
(
くわ
)
してしまつた。
010
姫
(
ひめ
)
はその
亀
(
かめ
)
の
背
(
せ
)
に
乗
(
の
)
り、
011
上流
(
じやうりう
)
を
眺
(
なが
)
めると、
012
飄箪
(
へうたん
)
を
括
(
くく
)
つたやうに
二人
(
ふたり
)
の
神
(
かみ
)
がぶくぶくと
頭
(
あたま
)
を
上
(
あ
)
げて
流
(
なが
)
れて
来
(
き
)
た。
013
よくよく
見
(
み
)
れば、
014
玉春姫
(
たまはるひめ
)
および
常治彦
(
とこはるひこ
)
である。
015
思
(
おも
)
はず
大声
(
おほごゑ
)
をあげて
二人
(
ふたり
)
に
声
(
こゑ
)
をかけた。
016
二人
(
ふたり
)
は
喜
(
よろこ
)
んでその
亀
(
かめ
)
に
取
(
と
)
りついた。
017
ここに
三柱
(
みはしら
)
は
大亀
(
おほがめ
)
の
背
(
せ
)
にまたがり、
018
亀
(
かめ
)
の
行
(
ゆ
)
くままにまかせて、
019
エデンの
大河
(
たいが
)
を
昼夜
(
ちうや
)
の
区別
(
くべつ
)
もなく
下
(
くだ
)
る。
020
河
(
かは
)
の
両岸
(
りやうがん
)
は
壁
(
かべ
)
のごとく
岩石
(
がんせき
)
屹立
(
きつりつ
)
して、
021
寄
(
よ
)
り
着
(
つ
)
くことが
出来
(
でき
)
ぬ。
022
やや
下方
(
かはう
)
に
白
(
しろ
)
き
洲
(
す
)
が
見
(
み
)
えた。
023
三柱
(
みはしら
)
は
亀
(
かめ
)
の
行
(
ゆ
)
くままに
任
(
まか
)
しておくと、
024
亀
(
かめ
)
はその
洲
(
す
)
に
向
(
むか
)
つてのたのたと
這
(
は
)
ひ
上
(
あが
)
つた。
025
ここに
数多
(
あまた
)
の
神人
(
かみがみ
)
は
祭
(
まつり
)
とみえて、
026
河辺
(
かはべ
)
に
出
(
い
)
で
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
み、
027
歌
(
うた
)
ひ
舞
(
ま
)
ひ、
028
種々
(
しゆじゆ
)
の
木石
(
ぼくせき
)
を
打
(
う
)
ち
叩
(
たた
)
き、
029
拍子
(
ひやうし
)
をとつて、
030
面白
(
おもしろ
)
さうに
騒
(
さわ
)
いでゐた。
031
亀
(
かめ
)
は
容赦
(
ようしや
)
なく、
032
あまたの
神人
(
かみがみ
)
の
群
(
むら
)
がるなかを
三柱
(
みはしら
)
を
載
(
の
)
せたまま
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
つた。
033
三柱
(
みはしら
)
の
着物
(
きもの
)
は
日
(
ひ
)
に
晒
(
さら
)
されていつの
間
(
ま
)
にか
乾
(
かわ
)
ききつてゐた。
034
酒
(
さけ
)
に
酔潰
(
よひつぶ
)
れたる
数多
(
あまた
)
の
神人
(
かみがみ
)
は、
035
この
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
一斉
(
いつせい
)
に
手
(
て
)
を
打
(
う
)
ちたたき、
036
ウロー、
037
ウローと
叫
(
さけ
)
ぶのである。
038
ここを
突破
(
とつぱ
)
して
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
くと、
039
またそこにも
稍
(
やや
)
上級
(
じやうきふ
)
の
神
(
かみ
)
らしき
群
(
むれ
)
がしきりに
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ、
040
手
(
て
)
を
打
(
う
)
つて
騒
(
さわ
)
いでゐる。
041
亀
(
かめ
)
はその
中
(
なか
)
を
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなくのたのたと
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
つた。
042
このとき
宴席
(
えんせき
)
の
上座
(
じやうざ
)
の
方
(
はう
)
より
金冠
(
きんくわん
)
を
着
(
つ
)
けたる
身体
(
しんたい
)
骨格
(
こつかく
)
衆
(
しう
)
に
優
(
すぐ
)
れたる
大将
(
たいしやう
)
らしき
神
(
かみ
)
が
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
043
そして
亀
(
かめ
)
の
前
(
まへ
)
に
立塞
(
たちふさ
)
がつた。
044
亀
(
かめ
)
は
何事
(
なにごと
)
かこの
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
つて
囁
(
ささや
)
くやうに
見
(
み
)
えた。
045
北
(
きた
)
には
巍峨
(
ぎが
)
たる
青山
(
せいざん
)
を
繞
(
めぐ
)
らし、
046
東西
(
とうざい
)
に
鶴
(
つる
)
の
両翼
(
りやうよく
)
を
拡
(
ひろ
)
げたるごとく
山脈
(
さんみやく
)
が
延長
(
えんちやう
)
し、
047
あたかも
蹄鉄形
(
ていてつけい
)
になつた
地勢
(
ちせい
)
である。
048
そして
南
(
みなみ
)
に
大河
(
たいが
)
を
控
(
ひか
)
へ、
049
種々
(
しゆじゆ
)
の
麗
(
うるは
)
しき
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
きみだれ、
050
珍
(
めづ
)
らしき
果物
(
くだもの
)
は
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずえ
)
に
実
(
みの
)
つてゐた。
051
ちやうどエデンの
園
(
その
)
にすこしも
違
(
ちが
)
はないやうな
楽郷
(
らくきやう
)
である。
052
ここの
統一者
(
とういつしや
)
は
南天王
(
なんてんわう
)
と
称
(
とな
)
へ、
053
数多
(
あまた
)
の
神人
(
かみがみ
)
らより
国祖
(
こくそ
)
のごとく
尊敬
(
そんけい
)
されてゐた。
054
いづれの
神々
(
かみがみ
)
も
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
喰
(
く
)
ひ、
055
清泉
(
せいせん
)
を
飲
(
の
)
み、
056
天然
(
てんねん
)
に
発生
(
はつせい
)
する
山芋
(
やまいも
)
などを
嗜食
(
ししよく
)
し、
057
衣食住
(
いしよくぢう
)
の
苦痛
(
くつう
)
をすこしも
感
(
かん
)
じないあたかも
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
のやうであつた。
058
南天王
(
なんてんわう
)
は
実
(
じつ
)
は
大道別
(
おほみちわけ
)
であつた。
059
この
地
(
ち
)
を
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
と
称
(
とな
)
へられてある。
060
南天王
(
なんてんわう
)
はあまたの
神人
(
かみがみ
)
を
集
(
あつ
)
めて、
061
亀上
(
きじやう
)
の
珍客
(
ちんきやく
)
を
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
の
瑞祥
(
ずゐしやう
)
として
歓待
(
くわんたい
)
せしめた。
062
三柱
(
みはしら
)
は
思
(
おも
)
ひがけなき
神人
(
かみがみ
)
らの
優遇
(
いうぐう
)
に
感謝
(
かんしや
)
し、
063
つひには
果実
(
このみ
)
にて
造
(
つく
)
りたる
珍
(
めづら
)
しき
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ、
064
面白
(
おもしろ
)
き
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ひはじめた。
065
この
地
(
ち
)
の
神人
(
かみがみ
)
らはいづれも
頭
(
あたま
)
の
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
く
丈
(
だけ
)
短
(
みじか
)
く、
066
ちやうど
蟹
(
かに
)
のやうな
顔
(
かほ
)
をした
者
(
もの
)
ばかりである。
067
そこへ
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
現
(
あら
)
はれたのはあたかも
塵芥場
(
ごもくば
)
に
鶴
(
つる
)
の
下
(
お
)
りたやうな
光景
(
くわうけい
)
であつた。
068
これらの
神人
(
かみがみ
)
は
南天王
(
なんてんわう
)
に
対
(
たい
)
し、
069
天上
(
てんじやう
)
より
降
(
くだ
)
りきたれる
神人
(
しんじん
)
として
畏敬
(
ゐけい
)
尊信
(
そんしん
)
服従
(
ふくじゆう
)
を
第一
(
だいいち
)
の
義務
(
ぎむ
)
としてゐる。
070
しかるに
南天王
(
なんてんわう
)
の
神品
(
しんぴん
)
骨格
(
こつかく
)
その
他
(
た
)
の
衆
(
しう
)
に
秀
(
ひい
)
でたるに
引
(
ひ
)
き
換
(
か
)
へ、
071
この
地
(
ち
)
の
神々
(
かみがみ
)
は
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
背
(
せ
)
低
(
ひく
)
く、
072
身体
(
しんたい
)
矮小
(
わいせう
)
にして
容貌
(
ようばう
)
醜悪
(
しうあく
)
なるため、
073
南天王
(
なんてんわう
)
の
妃
(
きさき
)
とすべき
神
(
かみ
)
なきに、
074
神人
(
かみがみ
)
は
挙
(
こぞ
)
つて
心痛
(
しんつう
)
してゐた
際
(
さい
)
である。
075
そこへ
天女
(
てんによ
)
のごとき
二柱
(
ふたはしら
)
の
女神
(
によしん
)
と
一柱
(
ひとはしら
)
の
男神
(
だんしん
)
の
現
(
あら
)
はれたるを
見
(
み
)
て、
076
又
(
また
)
もや
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
より
降
(
くだ
)
りきたれる
優秀
(
いうしう
)
の
神
(
かみ
)
と
残
(
のこ
)
らず
信
(
しん
)
じてしまつた。
077
そこで
神人
(
かみがみ
)
は
相談
(
さうだん
)
の
上
(
うへ
)
、
078
南天王
(
なんてんわう
)
に
奏上
(
そうじやう
)
して
彼
(
か
)
の
二神
(
にしん
)
を
王
(
わう
)
の
妃
(
きさき
)
となし、
079
一柱
(
ひとはしら
)
の
男神
(
だんしん
)
は
頭部
(
とうぶ
)
に
大
(
だい
)
なる
角
(
つの
)
発生
(
はつせい
)
しあれば、
080
まつたく
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
と
信
(
しん
)
じてゐたり。
081
それゆゑ
二柱
(
ふたはしら
)
の
女神
(
によしん
)
に
対
(
たい
)
して、
082
この
神
(
かみ
)
の
妻
(
つま
)
または
妃
(
きさき
)
たることを
少
(
すこ
)
しでも
顧慮
(
こりよ
)
する
者
(
もの
)
がなかつた。
083
常治彦
(
とこはるひこ
)
、
084
塩治姫
(
しほはるひめ
)
、
085
玉春姫
(
たまはるひめ
)
の
三柱
(
みはしら
)
は、
086
この
郷
(
さと
)
の
神人
(
かみがみ
)
らの
言霊
(
ことたま
)
に
通
(
つう
)
じないのを
幸
(
さいは
)
ひにして、
087
種々
(
しゆじゆ
)
と
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
話
(
はなし
)
することができた。
088
そこへ
数多
(
あまた
)
の
神人
(
かみがみ
)
は
集
(
あつ
)
まつて
涕泣
(
ていきふ
)
拝跪
(
はいき
)
し、
089
輿
(
こし
)
を
舁
(
かつ
)
ぎきたり、
090
無理
(
むり
)
に
常治彦
(
とこはるひこ
)
に
搭乗
(
たうじやう
)
を
手真似
(
てまね
)
をもつて
勧
(
すす
)
めた。
091
常治彦
(
とこはるひこ
)
は
吾
(
われ
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
歓待
(
くわんたい
)
するものと
思
(
おも
)
ひ、
092
心中
(
しんちゆう
)
喜悦
(
きえつ
)
の
情
(
じやう
)
をあらはし、
093
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
頷
(
うな
)
づきながら
機嫌
(
きげん
)
よく
輿
(
こし
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
はい
)
つた。
094
神人
(
かみがみ
)
らはその
輿
(
こし
)
を
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
舁
(
かつ
)
きあげた。
095
この
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
は
昔
(
むかし
)
から
角
(
つの
)
の
生
(
は
)
えたる
神
(
かみ
)
が
降臨
(
かうりん
)
して、
096
天変
(
てんぺん
)
地妖
(
ちえう
)
を
防
(
ふせ
)
ぎ、
097
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
の
寿命
(
じゆみやう
)
を
守
(
まも
)
るといふ
伝説
(
でんせつ
)
が
伝
(
つた
)
はつてゐた。
098
そこへ
南天王
(
なんてんわう
)
の
誕生
(
たんじやう
)
の
祝日
(
しゆくじつ
)
にあたつて、
099
万
(
まん
)
年
(
ねん
)
の
齢
(
よはひ
)
を
保
(
たも
)
つてふ
亀
(
かめ
)
に
乗
(
の
)
り、
100
河上
(
かはかみ
)
より
下
(
くだ
)
りきたれるは、
101
あたかも
天上
(
てんじやう
)
より
降
(
くだ
)
りきたれる
神人
(
しんじん
)
に
相違
(
さうゐ
)
なしと
心
(
こころ
)
より
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んだ。
102
神輿
(
みこし
)
はダンダンと
舁
(
かつ
)
がれて
東北
(
とうほく
)
の
山
(
やま
)
の
谷
(
たに
)
を
越
(
こ
)
え、
103
立岩
(
たちいは
)
の
上
(
うへ
)
に
神輿
(
みこし
)
もろとも
安置
(
あんち
)
された。
104
この
岩
(
いは
)
は
円柱
(
ゑんちゆう
)
を
立
(
た
)
てたるごとき
長円形
(
ちやうゑんけい
)
の
棒岩
(
ぼういは
)
である。
105
そして
神人
(
かみがみ
)
らは
遠
(
とほ
)
く
退
(
しりぞ
)
き
拍手
(
かしはで
)
を
打
(
う
)
つて、
106
ウロー、
107
ウローと
一斉
(
いつせい
)
に
讃美
(
さんび
)
しかつ
喜
(
よろこ
)
び、
108
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
拝礼
(
はいれい
)
した。
109
常治彦
(
とこはるひこ
)
は
輿
(
こし
)
の
中
(
なか
)
より
様子
(
やうす
)
怪
(
あや
)
しと
少
(
すこ
)
しく
扉
(
とびら
)
を
開
(
あ
)
け
見
(
み
)
れば、
110
吾
(
わ
)
が
乗
(
の
)
れる
輿
(
こし
)
は
天
(
てん
)
をも
貫
(
つら
)
ぬくばかり
長
(
なが
)
き
棒岩
(
ぼういは
)
の
上
(
うへ
)
に
据
(
す
)
ゑられてある。
111
出
(
で
)
るにも
出
(
で
)
られず、
112
下
(
お
)
りるにも
下
(
お
)
りられず、
113
途方
(
とはう
)
にくれ
声
(
こゑ
)
をかぎりに『オーイ、
114
オーイ』と
叫
(
さけ
)
んだ。
115
あまたの
神人
(
かみがみ
)
はその
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけ『オーイ、
116
オーイ』と、
117
呼
(
よ
)
ばはりながら
喜
(
よろこ
)
び、
118
初
(
はじ
)
めて
天
(
てん
)
の
神
(
かみ
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きたりと、
119
勇
(
いさ
)
み
狂
(
くる
)
ひ
踊
(
をど
)
り
廻
(
まは
)
つた。
120
常治彦
(
とこはるひこ
)
は、
121
『
輿
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
せ』
122
と
大声
(
おほごゑ
)
に
呼
(
よ
)
ばはつた。
123
岩
(
いは
)
の
下
(
した
)
遠
(
とほ
)
くこの
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
立
(
た
)
ち
騒
(
さわ
)
いでゐた
神人
(
かみがみ
)
らは、
124
一斉
(
いつせい
)
に
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
をおろし、
125
棒岩
(
ぼういは
)
の
神輿
(
みこし
)
をうち
眺
(
なが
)
めた。
126
常治彦
(
とこはるひこ
)
はこれを
見
(
み
)
てもどかしがり、
127
『
違
(
ちが
)
ふ
違
(
ちが
)
ふ』
128
といふた。
129
違
(
ちが
)
ふという
言葉
(
ことば
)
は、
130
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
にては
臀部
(
でんぶ
)
をまくり
握拳
(
にぎりこぶし
)
で
尻
(
しり
)
を
打
(
う
)
つと
云
(
い
)
ふことである。
131
神人
(
かみがみ
)
らは
棒岩
(
ぼういは
)
の
方
(
はう
)
へ
向
(
むか
)
つて
一斉
(
いつせい
)
に
赤黒
(
あかぐろ
)
い
尻
(
しり
)
をまくり、
132
一
(
ひい
)
二
(
ふう
)
三
(
み
)
つと、
133
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて
自分
(
じぶん
)
の
尻
(
しり
)
を
打
(
う
)
ちたたいた。
134
それがために、
135
臀部
(
でんぶ
)
は
青
(
あを
)
く
変色
(
へんしよく
)
したものさへあつた。
136
命
(
みこと
)
はこれを
見
(
み
)
て、
137
『コラコラ』
138
といつた。
139
コラコラと
云
(
い
)
ふことは、
140
この
郷
(
きやう
)
にては
尻
(
しり
)
をまくつたまま
左右
(
さいう
)
に
廻
(
まは
)
ることである。
141
棒岩
(
ぼういは
)
の
上
(
うへ
)
にある
命
(
みこと
)
は
業
(
ごふ
)
を
煮
(
に
)
やし、
142
『コラコラ
違
(
ちが
)
ふ』
143
といつた。
144
コラコラと
二
(
ふた
)
つ
重
(
かさ
)
ねていふ
時
(
とき
)
は、
145
頭
(
あたま
)
を
下
(
した
)
にし
足
(
あし
)
を
上
(
うへ
)
にして
手
(
て
)
で
歩
(
ある
)
き
廻
(
まは
)
ることである。
146
神人
(
かみがみ
)
らは
天
(
てん
)
の
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
を
固
(
かた
)
く
尊信
(
そんしん
)
し、
147
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
倒
(
さか
)
さまになり、
148
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
這
(
は
)
ひ
廻
(
まは
)
り、
149
廻
(
まは
)
り
損
(
そこ
)
なつて
谷
(
たに
)
に
落
(
お
)
ち
傷
(
きづ
)
つく
者
(
もの
)
も
出来
(
でき
)
た。
150
中
(
なか
)
には、
151
『こいつは
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
でない、
152
吾々
(
われわれ
)
を
苦
(
くる
)
しむる
悪神
(
あくがみ
)
である』
153
とつぶやく
者
(
もの
)
もあつた。
154
何処
(
いづこ
)
よりともなく
傍
(
かたはら
)
の
山
(
やま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
に
塩治姫
(
しほはるひめ
)
、
155
玉春姫
(
たまはるひめ
)
の
女神
(
めがみ
)
の
姿
(
すがた
)
が
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれた。
156
白
(
しろ
)
き
尾
(
を
)
のやうな
領巾
(
ひれ
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
つてゐた。
157
この
郷
(
きやう
)
の
神人
(
かみがみ
)
らはその
白
(
しろ
)
き
領巾
(
ひれ
)
を
振
(
ふ
)
るとともに、
158
雪崩
(
なだれ
)
をうつてもとの
平地
(
へいち
)
に
帰
(
かへ
)
つてしまつた。
159
常治彦
(
とこはるひこ
)
は
横槌
(
よこづち
)
の
柄
(
え
)
に
乗
(
の
)
せられた
亀
(
かめ
)
のやうに
手足
(
てあし
)
をもがき、
160
『
塩治姫
(
しほはるひめ
)
ヤーイ
161
玉春姫
(
たまはるひめ
)
ヤーイ』
162
と
声
(
こゑ
)
をかぎりに
叫
(
さけ
)
び、
163
つひにはその
声
(
こゑ
)
さへ
出
(
で
)
なくなつてしまつた。
164
(
大正一一・一・五
旧大正一〇・一二・八
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
南天王 >>>
霊界物語
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【第5章 盲亀の浮木|第5巻|霊主体従|霊界物語|/rm0505】
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