霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五〇章 磐樟船(いはくすぶね)〔二五〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第7篇 宣伝又宣伝 よみ(新仮名遣い):せんでんまたせんでん
章:第50章 磐樟船 よみ(新仮名遣い):いわくすぶね 通し章番号:250
口述日:1922(大正11)年01月14日(旧12月17日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
大足彦はいまや足真彦と名前を変えて、宣伝の旅に諸方を巡っていた。常世の国の紅の郷にやってきた。この地は蓑彦という正しい神人が治めていた。
足真彦は、数十人の神人らが山林の楠の木をしきりに伐採しているのを見た。彼らの話によると、これは蓑彦が来るべき大洪水に備えて方舟を作っているとのことであった。
蓑彦は足真彦の後を追って来て、丁重に館に迎え入れた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:この第5巻第50章に「蓑彦」が8回出るが、他の章(第2巻第22章、同第27章、第29巻第4章)ではすべて「美濃彦」になっている。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-10-07 23:27:48 文字数:2335 OBC :rm0550
愛善世界社版:295頁 八幡書店版:第1輯 621頁 修補版: 校定版:300頁 普及版:125頁 初版: ページ備考:
001 生者(しやうじや)必滅(ひつめつ)、002会者(ゑしや)定離(ぢやうり)、003栄古(えいこ)盛衰(せいすゐ)は世(よ)の習(なら)ひとは云(い)ひながら、004一(いち)時(じ)は聖地(せいち)ヱルサレムの神都(しんと)において、005大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)と共(とも)に天使(てんし)の職(しよく)の就(つ)きたりし機略(きりやく)縦横(じうわう)の神人(しんじん)も、006今(いま)は配所(はいしよ)の月(つき)を見(み)る、007苦(くる)しき憂(う)きに大足彦(おほだるひこ)の、008神(かみ)の命(みこと)の成(な)れの果(はて)、009この世(よ)を忍(しの)ぶ足真彦(だるまひこ)、010神(かみ)と現(あら)はれ荒(あ)れ狂(くる)ふ、011魔神(まがみ)の荒(すさ)びを鎮(しづ)めむと、012神国(みくに)を思(おも)ふ真心(まごころ)の、013心(こころ)の駒(こま)に鞭打(むちう)ちて、014山野(さんや)河海(かかい)を駆(か)け廻(めぐ)り、015天教山(てんけうざん)の神示(しんじ)をば、016四方(よも)に伝(つた)ふる常磐木(ときはぎ)の、017松(まつ)の心(こころ)ぞ勇(いさ)ましき。018足真彦(だるまひこ)は、
019『三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)、020開(ひら)いて散(ち)りて実(み)を結(むす)ぶ。021時鳥(ほととぎす)声(こゑ)は聞(き)けども姿(すがた)は見(み)えぬ』
022と世(よ)を忍(しの)ぶ幽(かす)かな声(こゑ)に四方(しはう)を逍遙(さまよ)ひながら、023漸(やうや)うここに歩(あゆ)みくる。
024 淵瀬(ふちせ)と変(かは)る仮(かり)の世(よ)の、025昨日(きのふ)や今日(けふ)の飛鳥川(あすかがは)、026彼岸(ひがん)に渡(わた)す弥勒(みろく)の世(よ)、027弥勒(みろく)神政(しんせい)の成就(じやうじゆ)を、028深(ふか)く心(こころ)に掛巻(かけま)くも、029畏(かしこ)き神(かみ)の宣伝使(せんでんし)。
030 ここは常世(とこよ)の国(くに)の紅(くれなゐ)の郷(さと)である。031紅(くれなゐ)の館(やかた)には蓑彦(みのひこ)[※この第5巻第50章に「蓑彦」が8回出るが、他の章(第2巻第22章、同第27章、第29巻第4章)ではすべて「美濃彦」になっている。]といふこの地方(ちはう)を治(をさ)むる正(ただ)しき神人(かみ)があつた。
032 足真彦(だるまひこ)は門前(もんぜん)に立(た)ち現(あら)はれ、033この宣伝歌(せんでんか)を小声(こごゑ)に謡(うた)ひつつ、034淋(さび)しげに通(とほ)り過(す)ぎた。
035 少(すこ)し前方(ぜんぱう)に当(あた)つて、036頻(しきり)に木(き)を伐(き)る音(おと)が聞(きこ)えた。037足真彦(だるまひこ)は不知(しらず)不識(しらず)その音(おと)のする方(はう)に歩(あゆ)みを運(はこ)びつつあつた。
038 数十(すうじふ)柱(はしら)の神々(かみがみ)は一生(いつしやう)懸命(けんめい)に汗(あせ)みどろになつて、039この山林(さんりん)の樟(くす)の樹(き)の伐採(ばつさい)に余念(よねん)がなかつた。040棟梁神(とうりやうしん)と覚(おぼ)しき図体(づうたい)の長大(ちやうだい)なる色(いろ)の黒(くろ)き神(かみ)は、041神々(かみがみ)に向(むか)つて、
042『オーイ皆(みな)の神(かみ)たち、043モウ休息(きうそく)してもよいぢやないか』
044と呶鳴(どな)る。045数多(あまた)の神々(かみがみ)は鶴(つる)の一声(ひとこゑ)に、046得物(えもの)をその場(ば)に捨(す)て、047一所(いつしよ)に集(あつ)まり、048倒(たふ)した木(き)に腰(こし)を掛(か)けながら、049四方山(よもやま)の話(はなし)に花(はな)が咲(さ)いた。
050甲(かふ)『オイ皆(みな)の者(もの)、051昔(むかし)から紅(くれなゐ)の郷(さと)の名物(めいぶつ)といはれたこの樟樹山(くすのきやま)を、052毎日(まいにち)々々(まいにち)伐採(ばつさい)するなんて、053一体(いつたい)、054こりや何(なん)のためだらうな。055蓑彦(みのひこの)神(かみ)さまも、056ちつとこの頃(ごろ)はどうかして居(を)りはせぬかな』
057と辺(あた)りを憚(はばか)る様(やう)な手付(てつ)きをして、058そこらをきよろきよろ見廻(みまは)しながら口(くち)を切(き)つた。
059乙(おつ)『ナンダとー。060くすくす云(い)ふに及(およ)ばぬ、061凡夫(ぼんぶ)の分際(ぶんざい)として、062蓑彦(みのひこ)様(さま)の御(ご)精神(せいしん)が判(わか)つてたまるかい。063只(ただ)お前(まへ)たちや黙(だま)つて仰(あほせ)のまにまに俯向(うつむ)いて働(はたら)いて居(を)りやよいのだ。064大神(おほかみ)さまの為(な)さることをくすくす批評(ひひやう)するのは、065みの彦(ひこ)、066おつと、067どつこい、068身(み)の上(うへ)知(し)らずといふのだよ』
069 丙(へい)は澄(す)ました顔(かほ)をしながら起(た)ち上(あが)り、
070『そもそもこの山(やま)は遠(とほ)き神代(かみよ)の昔(むかし)より』
071丁(てい)『おいおいそらなに吐(ぬか)すのだい、072遠(とほ)きも糞(くそ)もあつたかい。073とぼけ人足(にんそく)に昔(むかし)からの事(こと)が判(わか)つてたまるかい。074俺(おれ)が真正(ほんと)の事(こと)あ知(し)つてらー。075この頃(ごろ)それ、076蟻(あり)が行列(ぎやうれつ)する様(やう)にドンドンと海(うみ)を越(こ)えて東(ひがし)の国(くに)へ渡(わた)る奴(やつ)があるだろう。077彼奴(あいつ)はな、078宣伝使(せんでんし)とやらの言(い)つたことに胆(きも)を潰(つぶ)しやがつて、079蟻(あり)のやうな小(ちひ)さい神(かみ)どもが、080ユルサレルとか、081ユルサレムとか、082何(なん)だか妙(めう)な名(な)の付(つ)いた都(みやこ)へ助(たす)けて貰(もら)ひに行(ゆ)きよるのだと云(い)う事(こと)だよ。083蟻(あり)の行列(ぎやうれつ)の様(やう)に沢山(たくさん)に並(なら)んで、084有難(ありがた)いも糞(くそ)もあつたものぢやない。085それよりも船(ふね)を沢山(たくさん)に持(も)つてをる神人(かみがみ)こそ、086沢山(たくさん)な船賃(ふなちん)を取(と)りよつて、087それをホントに有難(ありがた)がつてをるから、088蓑彦(みのひこ)さまも酢(す)でも、089蒟蒻(こんにやく)でも、090おつとどつこい誠(まこと)に立派(りつぱ)な、091お賢(かしこ)い、092知慧(ちゑ)の深(ふか)い、093利益(りえき)に敏(さと)い、094気(き)の利(き)いた、095賢明(けんめい)な、096敏捷(びんせう)な……』
097甲(かふ)『そりや何(なに)を吐(ぬ)かすのだい。098同(おんな)じことばかり並(なら)べよつて、099早(はや)く次(つ)ぎへ切(き)り上(あ)げて先(さ)きを言(い)はぬかい』
100丁(てい)『切(き)り上(あ)げて言(い)へつたつて、101コンナ大樹(たいじゆ)がさう早速(さつそく)に伐(き)り上(あ)げられるかい』
102甲(かふ)『馬鹿(ばか)、103その次(つ)ぎを早(はや)く申(まを)せと言(い)ふのだ』
104丁(てい)『その次(つ)ぎはその次(つ)ぎかい。105それでな、106蓑彦(みのひこ)さまは身(み)の得(とく)を考(かんが)へて、107沢山(たくさん)に立派(りつぱ)な船(ふね)を造(つく)つて、108蟻(あり)のやうな凡夫(ぼんぶ)を沢山(たくさん)に乗(の)せて駄賃(だちん)を吸(す)ひあげる積(つも)りだよ。109吾々(われわれ)は汗水(あせみづ)垂(た)らして毎日(まいにち)日日(ひにち)木(き)を伐(き)らされて、110ホントに気(き)が利(き)かないよ』
111戊(ぼう)『馬鹿(ばか)いへ、112蓑彦(みのひこ)はソンナ欲(よく)な神(かみ)さまぢやない。113よくも無(な)い神人(かみ)さまだよ』
114丁(てい)『欲(よく)ないから悪(わる)いのだ。115ソンナこと言(い)つてゐると、116今(いま)にそれ勝彦(かつひこ)のやうに、117またどえらい目玉(めだま)を剥(む)かれて、118縮(ちぢ)み上(あが)つて吠面(ほえづら)かわいて謝(あや)まらねばならぬ事(こと)が出来(でき)てくるワ』
119乙(おつ)『真正(ほんと)の事(こと)は、120お前(まへ)たちも確乎(しつかり)せぬと大洪水(だいこうずゐ)が出(で)るのだよ。121蓑彦(みのひこ)さまは吾々(われわれ)を助(たす)けるために、122昔(むかし)から秘蔵(ひざう)のこの山(やま)を伐(き)つて、123立派(りつぱ)に樟(くす)の船(ふね)を造(つく)つて、124サア世界(せかい)の大洪水(だいこうずゐ)といふ時(とき)に、125お前(まへ)たちも助(たす)けてやらうといふ御(ご)精神(せいしん)ぢや。126そりやもう、127ちつとも間違(まちが)ひはないよ。128吾々(われわれ)は堅(かた)くかたく信(しん)じてゐるのだ。129堅(かた)いといつたら石(いし)に証文(しようもん)、130岩(いは)に判(はん)を押(お)したやうなものだよ』
131丁(てい)『ソンナ大洪水(だいこうずゐ)が実際(じつさい)あるものだらうかな。132俺(おれ)もこの間(あひだ)から、133何(なん)だか気(き)に掛(かか)るのだ。134毎日(まいにち)日日(ひにち)、135今日(けふ)で四五十(しごじふ)日(にち)も雨(あめ)はざあざあと降(ふ)りつづくなり、136大河(おほかは)小川(をがは)の堤(どて)が切(き)れるなり、137低(ひく)いとこの家(いへ)はみな流(なが)されて了(しま)ふなり、138この調子(てうし)で二(に)年(ねん)も三(さん)年(ねん)も降(ふ)り続(つづ)くものなら、139それこそ事(こと)だ。140きつと山(やま)も何(なん)にも沈(しづ)んでしまふに違(ちが)ひない。141マア、142マア、143一生(いつしやう)懸命(けんめい)に蓑彦(みのひこ)さまの仰(あふ)せに従(したが)つて働(はたら)かうかい』
144一同(いちどう)『それが宜(よ)からう、145それが宜(よ)からう』
146といつてまた起(た)ち上(あが)り、147樟(くす)の伐採(ばつさい)に着手(ちやくしゆ)せむとする時(とき)、148低(ひく)い声(こゑ)にて宣伝歌(せんでんか)を謡(うた)ひながら出(で)て来(く)る神人(かみ)があつた。
149『朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
150常世(とこよ)の暗(やみ)は晴(は)れぬとも
151大地(だいち)は泥(どろ)に浸(ひた)るとも
152誠(まこと)の力(ちから)は世(よ)を救(すく)ふ』
153と謡(うた)ひつつ此方(こなた)に向(むか)つて進(すす)み来(く)る。154神人(かみがみ)らはこの宣伝使(せんでんし)の歌(うた)に耳(みみ)を傾(かたむ)けた。155後(あと)より又(また)もや、
156『おーい、157おーい』
158と呼(よ)ばはりながら、159宣伝使(せんでんし)の後(あと)を追(お)つかけて来(く)る威厳(ゐげん)ある男(をとこ)ありき。160即(すなは)ちこれは蓑彦(みのひこ)なりける。161一同(いちどう)は大地(だいち)に拝跪(はいき)した。
162 蓑彦(みのひこ)は宣伝使(せんでんし)にたいし、163鄭重(ていちよう)に挨拶(あいさつ)をなし、164かつ地上(ちじやう)神人(しんじん)の為(ため)に千辛(せんしん)万苦(ばんく)を排(はい)し、165世界(せかい)を遍歴(へんれき)し警告(けいこく)を与(あた)へ給(たま)ふその至誠(しせい)を感謝(かんしや)しつつ、166紅(くれなゐ)の館(やかた)に伴(ともな)ひ帰(かへ)つた。
167 足真彦(だるまひこ)は蓑彦(みのひこ)に導(みちび)かれ、168館(やかた)に立(た)ち入(い)り、169奥殿(おくでん)深(ふか)く進(すす)み入(い)りぬ。
170 そこには幾丈(いくぢやう)とも知(し)れぬ大岩石(だいがんせき)があつて、171数多(あまた)の神人(かみがみ)の姿(すがた)が天然(てんねん)に現(あら)はれて居(ゐ)た。
172 よくよく見(み)れば王仁(おに)の身(み)は、173高熊山(たかくまやま)の岩窟(がんくつ)の前(まへ)に、174何時(いつ)の間(ま)にか霊(れい)より覚(さ)めて、175両眼(りやうがん)をぱつちり開(ひら)いてその岩窟(がんくつ)を眺(なが)めいたりけり。
176(大正一一・一・一四 旧大正一〇・一二・一七 井上留五郎録)
177(昭和一〇・三・二〇 於瀬戸内海航海中 王仁校正)
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