霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四〇章 紅葉山(こうえうざん)〔二四〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第6篇 聖地の憧憬 よみ(新仮名遣い):せいちのどうけい
章:第40章 紅葉山 よみ(新仮名遣い):こうようざん 通し章番号:240
口述日:1922(大正11)年01月13日(旧12月16日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
月照彦神は、宣伝の道すがら、モスコーの道貫彦の神館を通りかかった。すると館より鷹住別・春日姫夫婦が月照彦神の前に現れた。夫婦は父の八王・道貫彦は天教山の教えに耳を傾けず、どうか諭してほしい、と月照彦神に嘆願した。
道貫彦は館で酒宴の真っ最中であったが、突然倒れ、館内は大騒ぎになってしまった。そこへ館の外では怪しい三人の宣伝使が、涼しい声を張り上げて、道貫彦に警告を与える宣伝歌を歌い始めた。
この警告の宣伝歌の文句は、道貫姫の胸に突き刺さった。そこで姫は従神に命じて宣伝使を招き、奥殿に招きいれた。宣伝使たちは遠慮もなく進みいると、天教山の教えを伝える宣伝歌を歌い始めた。
卒倒していた道貫彦はがぜん立ち上がり、一緒に踊り始めたので、神人らは驚いた。
三柱の宣伝使は身にまとった蓑笠を脱ぎ捨て、中央に鼎立した。それは、大八洲彦命(月照彦神)、鷹住別、春日姫であった。
道貫彦は悔改め、月照彦神の教示を受け入れて従者となり、一緒に諸方を遍歴することとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-04 12:04:36 文字数:1990 OBC :rm0540
愛善世界社版:242頁 八幡書店版:第1輯 603頁 修補版: 校定版:246頁 普及版:103頁 初版: ページ備考:
001 露(つゆ)の弾(たま)霜(しも)の劔(つるぎ)を幾(いく)たびか、002受(う)けて血潮(ちしほ)に染(そ)むる紅葉(もみぢば)の、003丹(あか)き心(こころ)を照(て)らしつつ、004錦(にしき)の機(はた)のこの経綸(しぐみ)、005織(お)りなす糸(いと)の小田巻(をだまき)や、006真木(まき)の柱(はしら)のいと高(たか)く、007高天原(たかあまはら)の神国(かみくに)に、008築(きづ)き上(あ)げむと神人(かみがみ)の、009四方(よも)に心(こころ)を配(くば)りつつ、010苦(くる)しき悩(なや)みを物(もの)とせず、011沐雨(もくう)櫛風(しつぷう)数(かず)かさね、012草(くさ)の枕(まくら)の悲(かな)しげに、013天津(あまつ)御空(みそら)の月星(つきほし)を、014褥(しとね)に着(き)つつ進(すす)みくる。015心(こころ)も丹(あか)き紅葉山(こうえうざん)の、016紅葉(もみじ)の大樹(おほき)のその下(もと)に、017腰(こし)うち掛(か)けて宣伝(せんでん)の、018神(かみ)の姿(すがた)の殊勝(しゆしよう)にも、019彼方(あなた)こなたの山(やま)の色(いろ)、020日々(ひび)に褪(あ)せ行(ゆ)く有様(ありさま)を、021見(み)る目(め)も憂(う)しと青息(あをいき)や、022吐息(といき)を月(つき)の大神(おほかみ)に、023祈(いの)る心(こころ)の真澄空(ますみぞら)、024忽(たちま)ち吹(ふ)きくる木枯(こがら)しの、025風(かぜ)に薄衣(うすぎ)の身体(しんたい)を、026慄(ふる)はせながら又(また)もや起(た)つて出(い)でて行(ゆ)く。027行(ゆ)くはいづくぞモスコーの、028都(みやこ)をさしてさし上(のぼ)る、029東(ひがし)の山(やま)の端(は)出(で)る月(つき)の、030影(かげ)も円(まど)かなその身魂(みたま)、031月照彦(つきてるひこ)の宣伝使(せんでんし)、032春日(かすが)の姫(ひめ)の生(うま)れたる、033道貫彦(みちつらひこ)の神館(かみやかた)、034息急(いきせ)き切(き)つて進(すす)みける。
035 折(をり)から降(ふ)りしく村雨(むらさめ)に、036草鞋(わらぢ)脚袢(きやはん)に身(み)をかため、037菅(すげ)の小笠(をがさ)や草(くさ)の蓑(みの)、038この世(よ)の末(すゑ)をはかなみて、039涙(なみだ)の雨(あめ)の古布子(ふるぬのこ)、040袖(そで)ふりあうも多生(たしやう)の縁(えん)、041つまづく石(いし)も縁(えん)のはし。
042 走(はし)つて馳(か)け来(く)る三柱(みはしら)の神人(かみがみ)は、043この宣伝使(せんでんし)の謡(うた)ふ宣伝歌(せんでんか)に引(ひ)きつけられ、044たちまち前(まへ)に現(あら)はれて、045大地(だいち)に頭(かしら)を下(さ)げながら、
046『貴下(きか)は地中海(ちちうかい)の西南岸(せいなんがん)にて御(お)目(め)にかかりし月照彦(つきてるひこの)神(かみ)にましまさずや、047吾(われ)らはそのとき天地(てんち)の神(かみ)の懲戒(ちやうかい)を受(う)け、048道(みち)踏(ふ)み外(はづ)す躄(あしなへ)の、049旅(たび)に徜徉(さまよ)ふ折(をり)からに、050天地(てんち)も動(ゆる)ぐ言霊(ことたま)の、051三千(さんぜん)世界(せかい)の梅(うめ)の花(はな)、052一度(いちど)に開(ひら)くと言挙(ことあ)げし、053東(ひがし)を指(さ)して御姿(みすがた)を、054隠(かく)したまひし現(うつ)し神(かみ)、055吾(われ)らは御後(みあと)を伏(ふ)し拝(をが)み、056その再会(さいくわい)を待(ま)つほどに、057天(てん)の時節(じせつ)の到来(たうらい)か、058思(おも)はずここに廻(めぐ)り会(あ)ひ尊顔(そんがん)を拝(はい)するは、059盲亀(まうき)の浮木(ふぼく)、060浮木(ふぼく)はまだおろか、061枯木(かれき)に花(はな)の咲(さ)きしが如(ごと)く感(かん)きはまりて言(こと)の葉(は)の、062散(ち)り布(し)く紅葉(もみぢ)顔(かほ)あからめて、063耻(はぢ)を忍(しの)びつつ出(い)で迎(むか)へ申(まを)したり。064わが父(ちち)道貫彦(みちつらひこ)は幸(さいはひ)にして今(いま)に健全(けんぜん)に月日(つきひ)を送(おく)り候(さふら)へど、065素(もと)より頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)にして、066天教山(てんけうざん)に現(あら)はれし神(かみ)の教(をしへ)をうはの空(そら)、067空吹(そらふ)く風(かぜ)と聞(き)き流(なが)し、068塞(ふさ)がる耳(みみ)は木耳(きくらげ)の、069気苦労(きぐらう)おほき吾(われ)らが夫婦(ふうふ)、070いかに教示(けうじ)を諭(さと)すとも、071ただ一言(ひとこと)も聞(き)かばこそ、072日(ひ)に夜(よ)に荒(すさ)ぶ酒(さけ)の魔(ま)の、073擒(とりこ)となりし両親(たらちね)の、074心(こころ)浅(あさ)まし常暗(とこやみ)の、075岩戸(いはと)を開(ひら)き救(すく)はむと、076朝(あさ)な夕(ゆふ)なに身(み)を尽(つ)くし、077心(こころ)を竭(つく)し諫(いさ)むれど、078馬耳(ばじ)東風(とうふう)の浅(あさ)ましさ、079鳥(とり)は歌(うた)へど花(はな)は咲(さ)けども吾(わが)心(こころ)、080父(ちち)の心(こころ)を直(なほ)さむと、081暗路(やみぢ)を辿(たど)る憐(あは)れさを、082推(お)し測(はか)られて一言(ひとこと)の、083教示(けうじ)を頼(たの)み奉(たてまつ)る』
084と涙(なみだ)と共(とも)に嘆願(たんぐわん)したりける。
085 モスコーの奥殿(おくでん)には、086道貫彦(みちつらひこ)あまたの侍者(じしや)と共(とも)に、087八尋殿(やひろどの)において大酒宴(だいしゆえん)の真最中(まつさいちう)である。088神人(かみがみ)らは一統(いつとう)に声(こゑ)を揃(そろ)へて、
089『飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ
090 暗(やみ)のあとには月(つき)が出(で)る
091 暗(やみ)のあとには月(つき)が出(で)る』
092とさうざうしく謡(うた)ひ狂(くる)ふ声(こゑ)は、093殿外(でんぐわい)に遠(とほ)く響(ひび)き渡(わた)りける。
094 たちまち道貫彦(みちつらひこ)は顔色(がんしよく)蒼白(さうはく)と変(へん)じ、095座上(ざじやう)に卒倒(そつたふ)した。096数多(あまた)の神人(かみがみ)の酔(よひ)は一(いち)時(じ)に醒(さ)め、097上(うへ)を下(した)への大騒(おほさわ)ぎとなつた。098道貫姫(みちつらひめ)は大(おほ)いに驚(おどろ)き、099鷹住別(たかすみわけ)は何処(いづこ)ぞ? 春日姫(かすがひめ)……と、100狂気(きやうき)の如(ごと)くに叫(さけ)び狂(くる)ふ。
101 神人(かみがみ)らは二神司(にしん)の所在(ありか)を探(さが)さむと、102鵜(う)の目(め)鷹(たか)の目(め)になつて、103城内(じやうない)くまなく駆(か)け廻(まは)つた。104されど何(なん)の影(かげ)もない。
105 このとき城門外(じやうもんぐわい)にどやどやと数多(あまた)の神人(かみがみ)の囁(ささや)く声(こゑ)が聞(きこ)えた。106そして三柱(みはしら)の怪(あや)しき宣伝使(せんでんし)は、107涼(すず)しき声(こゑ)を張(は)りあげて、
108『飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ
109暗(やみ)のあとには月(つき)が出(で)る
110月(つき)が出(で)るとは何事(なにごと)ぞ
111月(つき)は月(つき)ぢやがまごつきよ
112息(いき)つきばつたり力(ちから)つき
113今(いま)に命(いのち)もつきの空(そら)
114空(そら)行(ゆ)く雲(くも)を眺(なが)むれば
115東(ひがし)や西(にし)や北南(きたみなみ)
116酔(よ)うた揚句(あげく)は息(いき)つきの
117道貫彦(みちつらひこ)の憐(あは)れなる
118最後(さいご)を見(み)るは眼(ま)のあたり
119冥加(みやうが)につきし今日(けふ)の月(つき)
120曇(くも)る心(こころ)は烏羽玉(うばたま)の
121暗路(やみぢ)を照(てら)す月照彦(つきてるひこ)の
122神(かみ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
123月(つき)は御空(みそら)に鷹住別(たかすみわけ)や
124長閑(のどか)な春(はる)の春日姫(かすがひめ)
125命(いのち)の瀬戸(せと)を救(すく)はむと
126心(こころ)一(ひと)つの一(ひと)つ島(じま)
127神(かみ)の鎮(しづ)まる一(ひと)つ松(まつ)
128堅磐(かきは)常磐(ときは)の神(かみ)の法(のり)
129法(のり)を違(たが)へし天罰(てんばつ)の
130報(むく)いは忽(たちま)ちモスコーの
131道貫彦(みちつらひこ)の身(み)の果(はて)か
132果(はて)しなき世(よ)に永(なが)らへて
133果(はて)なき夢(ゆめ)を結(むす)びつつ
134心(こころ)の糸(いと)の縺(もつ)れ合(あ)ひ
135乱(みだ)れに乱(みだ)れし奇魂(くしみたま)
136照(て)れよ照(て)れてれ朝日(あさひ)の如(ごと)く
137澄(す)めよ澄(す)めすめ月照彦(つきてるひこ)の
138神(かみ)の教(をしへ)に目(め)を覚(さ)まし
139再(ふたた)び息(いき)を吹(ふ)き返(かへ)し
140救(すく)ひの司(つかさ)と現(あら)はれよ
141救(すく)ひの司(つかさ)と現(あら)はれよ』
142と門前(もんぜん)に佇(たたず)み、143数多(あまた)の神人(かみがみ)に囲(かこ)まれて大音声(だいおんじやう)に呼(よ)ばはつてゐる。
144 この声(こゑ)は胸(むね)を刺(さ)すが如(ごと)く道貫姫(みちつらひめ)の耳(みみ)に入(い)つた。145姫(ひめ)は従臣(じうしん)に命(めい)じ、146三柱(みはしら)の神司(かみ)を招(まね)いて奥殿(おくでん)に進(すす)ましめた。
147 三柱(みはしら)の神司(かみ)は簑笠(みのかさ)のまま遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく奥殿(おくでん)に進(すす)み入(い)り、148又(また)もや三千(さんぜん)世界(せかい)の宣伝歌(せんでんか)を謡(うた)ひ、149手(て)を拍(う)つて踊(をど)り始(はじ)めた。
150 息(いき)も絶(た)えだえに卒倒(そつたふ)しゐたる道貫彦(みちつらひこ)は、151俄然(がぜん)として起(た)ち上(あが)り、152両手(りやうて)を拍(う)ち踊(をど)り始(はじ)めた。153神人(かみがみ)はあまりの不思議(ふしぎ)さに、154アフンとして開(あ)いた口(くち)も塞(ふさ)がらなかつた。
155 三柱(みはしら)の神司(かみ)は目配(めくば)せしながら、156身(み)に纏(まと)へる簑笠(みのかさ)を脱(ぬ)ぎ捨(す)て、157宴席(えんせき)の中央(ちうあう)に三(み)つ巴(どもゑ)となつて鼎立(ていりつ)した。158見(み)れば大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)初(はじ)め鷹住別(たかすみわけ)、159春日姫(かすがひめ)の三柱(みはしら)である。
160 是(これ)よりさしも頑迷(ぐわんめい)なりし道貫彦(みちつらひこ)も前非(ぜんぴ)を悔(く)い、161月照彦(つきてるひこの)神(かみ)の教示(けうじ)に従(したが)ひ、162顕要(けんえう)の地位(ちゐ)を捨(す)てて、163月照彦(つきてるひこの)神(かみ)の従者(じうしや)となり、164天下(てんか)救済(きうさい)のために諸方(しよはう)を遍歴(へんれき)する事(こと)となりたり。
165(大正一一・一・一三 旧大正一〇・一二・一六 井上留五郎録)
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