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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第5巻(辰の巻)
序文
凡例
総説嵐の跡
第1篇 動天驚地
第1章 栄華の夢
第2章 松竹梅
第3章 臭黄の鼻
第4章 奇縁万状
第5章 盲亀の浮木
第6章 南天王
第7章 三拍子
第8章 顕恩郷
第9章 鶴の温泉
第2篇 中軸移動
第10章 奇々怪々
第11章 蜃気楼
第12章 不食不飲
第13章 神憑の段
第14章 審神者
第15章 石搗歌
第16章 霊夢
第3篇 予言と警告
第17章 勢力二分
第18章 宣伝使
第19章 旭日出暗
第20章 猿蟹合戦
第21章 小天国
第22章 神示の方舟
第4篇 救世の神示
第23章 神の御綱
第24章 天の浮橋
第25章 姫神の宣示
第26章 艮坤の二霊
第27章 唖の対面
第28章 地教山の垂示
第5篇 宇宙精神
第29章 神慮洪遠
第30章 真帆片帆
第31章 万波洋々
第32章 波瀾重畳
第33章 暗夜の光明
第34章 水魚の情交
第6篇 聖地の憧憬
第35章 波上の宣伝
第36章 言霊の響
第37章 片輪車
第38章 回春の歓
第39章 海辺の雑話
第40章 紅葉山
第41章 道神不二
第42章 神玉両純
第7篇 宣伝又宣伝
第43章 長恨歌
第44章 夜光の頭
第45章 魂脱問答
第46章 油断大敵
第47章 改言改過
第48章 弥勒塔
第49章 水魚の煩悶
第50章 磐樟船
余白歌
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霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第5巻(辰の巻)
> 第6篇 聖地の憧憬 > 第39章 海辺の雑話
<<< 回春の歓
(B)
(N)
紅葉山 >>>
第三九章
海辺
(
うみべ
)
の
雑話
(
ざつわ
)
〔二三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
篇:
第6篇 聖地の憧憬
よみ(新仮名遣い):
せいちのどうけい
章:
第39章 海辺の雑話
よみ(新仮名遣い):
うみべのざつわ
通し章番号:
239
口述日:
1922(大正11)年01月13日(旧12月16日)
口述場所:
筆録者:
井上留五郎
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年4月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
西に高山、東に万里の海を控えた浜辺に立って、怒涛のごとく荒れ狂う波を眺めながら、雑談にふける四五人の男たちがあった。
男たちは、宣伝使が最近あちこちに現れては、三千世界一度に開く梅の花、大地が沈むとも真の神は世を救う、という福音を宣伝していることについて、あれこれと品評をしていた。
そんなことがあるものか、といって互いにけなしあいながら、おかしな話をしていた。乙はウラル教の教えこそ天国の福音だ、と言う者もいた。
そこへはるか前方から三人の宣伝使が、予言の宣伝歌を歌いながらやってくると、ウラル教を賛美していた乙は、顔をしかめてしゃがみこんでしまった。暴風はますます激しくなり、一同は山へ逃げ込んでしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-04-04 11:56:38
OBC :
rm0539
愛善世界社版:
234頁
八幡書店版:
第1輯 600頁
修補版:
校定版:
238頁
普及版:
99頁
初版:
ページ備考:
001
西
(
にし
)
に
高山
(
かうざん
)
を
控
(
ひか
)
へ
東
(
ひがし
)
に
縹渺
(
へうべう
)
たる
万里
(
ばんり
)
の
海
(
うみ
)
を
控
(
ひか
)
へたる
浜辺
(
はまべ
)
に
立
(
た
)
ち、
002
山嶽
(
さんがく
)
のごとき
怒濤
(
どたう
)
の
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ふ
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
めて
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
四五
(
しご
)
の
男
(
をとこ
)
があつた。
003
甲
(
かふ
)
『あゝ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
変
(
へん
)
になつて
来
(
き
)
たではないか、
004
あの
濤
(
なみ
)
を
見
(
み
)
よ。
005
海
(
うみ
)
か
山
(
やま
)
か
判
(
わか
)
らぬではないか。
006
この
間
(
あひだ
)
も
宣伝使
(
せんでんし
)
とやらが
遣
(
や
)
つてきて、
007
海
(
うみ
)
は
変
(
へん
)
じて
山
(
やま
)
となり、
008
山
(
やま
)
は
変
(
へん
)
じて
海
(
うみ
)
となると、
009
大声
(
おほごゑ
)
に
叫
(
さけ
)
んで
吾々
(
われわれ
)
の
度胆
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
いた。
010
されど「
馬鹿
(
ばか
)
いへ、
011
この
深
(
ふか
)
い
海
(
うみ
)
が
山
(
やま
)
になつてたまるものか」と
冷笑
(
れいせう
)
してゐた。
012
それにあの
濤
(
なみ
)
は
爺
(
ぢぢ
)
の
代
(
だい
)
からまだ
見
(
み
)
たこともない。
013
この
間
(
あひだ
)
もタコマ
山
(
やま
)
の
半腹
(
はんぷく
)
まで
海嘯
(
つなみ
)
が
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せると
云
(
い
)
つて、
014
宣伝使
(
せんでんし
)
が
呶鳴
(
どな
)
つてゐたよ。
015
この
辺
(
へん
)
も
今
(
いま
)
に
海嘯
(
つなみ
)
で
浚
(
さら
)
はれるかも
知
(
し
)
れない。
016
汝
(
おまへ
)
らも
一
(
ひと
)
つ
思案
(
しあん
)
して、
017
タコマ
山
(
やま
)
の
頂辺
(
てつぺん
)
か、
018
地教山
(
ちけうざん
)
へでも
避難
(
ひなん
)
したら
どう
だらうね』
019
と
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
思案顔
(
しあんがほ
)
に
言
(
い
)
つた。
020
乙
(
おつ
)
は
冷笑
(
れいせう
)
を
浮
(
うか
)
べながら、
021
『
なに
、
022
ソンナ
馬鹿
(
ばか
)
なことがあつてたまるかい。
023
この
間
(
あひだ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
といふ
奴
(
やつ
)
は、
024
ありや
気違
(
きちが
)
ひだよ、
025
星
(
ほし
)
が
降
(
ふ
)
るとか、
026
洪水
(
こうずゐ
)
が
出
(
で
)
るとか、
027
人
(
ひと
)
が
三分
(
さんぶ
)
になるとか、
028
訳
(
わけ
)
の
判
(
わか
)
らぬ、
029
舁
(
か
)
いて
走
(
はし
)
るやうな
法螺
(
ほら
)
ばかり
吹
(
ふ
)
きよつて、
030
吾々
(
われわれ
)
を
びつくり
させて
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのよ。
031
この
世
(
よ
)
に
神
(
かみ
)
もなければ、
032
又
(
また
)
ソンナ
大変動
(
だいへんどう
)
があつてたまるものぢやない、
033
万々一
(
まんまんいち
)
ソンナ
事
(
こと
)
があれば
世間並
(
せけんなみ
)
ぢやないか。
034
この
世
(
よ
)
の
神人
(
かみがみ
)
が
全部
(
ぜんぶ
)
死
(
し
)
んで
了
(
しま
)
つて、
035
僅
(
わづか
)
に
二分
(
にぶ
)
や
三分
(
さんぶ
)
残
(
のこ
)
つたつて
淋
(
さび
)
しくて
仕様
(
しやう
)
がない。
036
ソンナことを
云
(
い
)
つてくれな、
037
それよりもこの
前
(
まへ
)
に
来
(
き
)
た
宣伝使
(
せんでんし
)
のいふことあ
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たよ』
038
丙
(
へい
)
『
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
るつて、
039
ドンナことを
云
(
い
)
つたのだい』
040
乙
(
おつ
)
『ドンナ
事
(
こと
)
をいつたつて、
041
そりや
大変
(
たいへん
)
な
結構
(
けつこう
)
なことだよ。
042
天来
(
てんらい
)
の
福音
(
ふくいん
)
といつたら、
043
まあアンナことをいふのだらう』
044
甲
(
かふ
)
『
天来
(
てんらい
)
の
福音
(
ふくいん
)
て
何
(
なに
)
か、
045
「
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
」とか、
046
「たとへ
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも、
047
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ」と
云
(
い
)
ふことだらう』
048
乙
(
おつ
)
[
※
ここから章末まで乙が九箇所、丙が一箇所あるが、校正本では乙と丙が入れ替わっているようだ。入れ替わっていると考えないと文脈がおかしくなる。校定版も愛世版も乙と丙を入れ替えている。霊界物語ネットも入れ替えた。
]
『
馬鹿
(
ばか
)
いふない、
049
この
天地
(
てんち
)
は
自然
(
しぜん
)
に
出来
(
でき
)
たのだ。
050
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るのも
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くのも
浪
(
なみ
)
が
高
(
たか
)
くなるのも
海嘯
(
つなみ
)
も、
051
みな
時節
(
じせつ
)
だよ。
052
この
世
(
よ
)
は
浮世
(
うきよ
)
といつて
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
いてゐるのだ。
053
ソンナ
けち
臭
(
くさ
)
い
恐怖心
(
きようふしん
)
を
起
(
おこ
)
すやうな、
054
たとへ
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むともなぞと、
055
吾々
(
われわれ
)
はちつと
気
(
き
)
に
喰
(
く
)
わないよ。
056
アンナ
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
くと、
057
吾々
(
われわれ
)
の
頭
(
あたま
)
はガンガンいつて、
058
今
(
いま
)
の
彼
(
あ
)
の
浪
(
なみ
)
よりも
業腹
(
ごふばら
)
が
立
(
た
)
つよ。
059
吾々
(
われわれ
)
の
聞
(
き
)
いた
福音
(
ふくいん
)
といふのは、
060
ソンナ
けち
臭
(
くさ
)
い
白痴
(
こけ
)
おどしの
腐
(
くさ
)
れ
文句
(
もんく
)
ぢやない。
061
古今
(
ここん
)
独歩
(
どつぽ
)
、
062
珍無類
(
ちんむるい
)
、
063
奇妙
(
きめう
)
奇天烈
(
きてれつ
)
の
福音
(
ふくいん
)
だ。
064
まあコンナ
大事
(
だいじ
)
なことはとつとこうかい。
065
汝
(
おまへ
)
らに
聞
(
き
)
かしたら
吃驚
(
びつくり
)
して
癲癇
(
てんかん
)
でも
起
(
おこ
)
すと
迷惑
(
めいわく
)
だからな』
066
丙
(
へい
)
『
何
(
なん
)
だい、
067
貴
(
き
)
さまの
云
(
い
)
ふことあ
一体
(
いつたい
)
訳
(
わけ
)
が
判
(
わか
)
らぬぢやないかい、
068
偉
(
えら
)
さうに
人
(
ひと
)
の
受売
(
うけうり
)
を
勿体
(
もつたい
)
ぶつて
天来
(
てんらい
)
の
福音
(
ふくいん
)
だなぞと、
069
おほかた
駄法螺
(
だぼら
)
でも
吹音
(
ふくいん
)
だらう、
070
癲癇
(
てんかん
)
の
泡吹音
(
あわふくいん
)
くらゐが
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
だ』
071
乙
(
おつ
)
『だまつて
聞
(
き
)
いてゐろよ、
072
たとへ
大地
(
だいち
)
が
沈
(
しづ
)
むとも
間男
(
まをとこ
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふのだ。
073
弱蟲
(
よわむし
)
や
腰抜蟲
(
こしぬけむし
)
の
前
(
まへ
)
でコンナことを
云
(
い
)
つたら、
074
冥加
(
みやうが
)
に
盡
(
つき
)
て
天罰
(
てんばつ
)
が
当
(
あた
)
るかも
知
(
し
)
れぬ。
075
やつぱり
却
(
かへ
)
つて
汝
(
おまへ
)
らの
迷惑
(
めいわく
)
になるから
止
(
や
)
めておこかい』
076
丁
(
てい
)
『あまり
勿体
(
もつたい
)
ぶるない、
077
三文
(
さんもん
)
の
大神楽
(
だいかぐら
)
で
口
(
くち
)
ばつかりだよ、
078
こいつな、
079
この
間
(
あひだ
)
も
自分
(
じぶん
)
の
小忰
(
こせがれ
)
が
井戸
(
ゐど
)
へはまりよつただ。
080
その
時
(
とき
)
に
狼狽
(
うろた
)
へよつて
矢庭
(
やには
)
に
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せて「お
天
(
てん
)
とさま、
081
お
天
(
てん
)
とさま」と
吐
(
ぬ
)
かしてな、
082
吠面
(
ほえづら
)
かわきよつて
拝
(
をが
)
み
仆
(
たふ
)
してゐたのよ。
083
その
間
(
あひだ
)
にその
小忰
(
こせがれ
)
がぶくぶくと
泡
(
あわ
)
をふきよつて
沈
(
しづ
)
んでしまつたのだ。
084
その
時
(
とき
)
に
自暴糞
(
やけくそ
)
になりよつてな、
085
この
世
(
よ
)
に
神
(
かみ
)
も
糞
(
くそ
)
もあるものか。
086
全智
(
ぜんち
)
全能
(
ぜんのう
)
の
神
(
かみ
)
だつて、
087
尻
(
しり
)
が
呆
(
あき
)
れて
雪隠
(
せつちん
)
が
踊
(
おど
)
る、
088
小便壺
(
せうべんつぼ
)
がお
出
(
い
)
で、
089
お
出
(
い
)
でをすると
吐
(
ぬ
)
かして
怨
(
うら
)
んでゐたよ』
090
乙
(
おつ
)
『
要
(
い
)
らぬことをいふない、
091
人
(
ひと
)
の
欠点
(
あら
)
までコンナとこで
曝
(
さら
)
け
出
(
だ
)
しよつて、
092
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かかあ
)
が
死
(
し
)
んだ
時
(
とき
)
どうだつたい。
093
男
(
をとこ
)
らしくもない、
094
冷
(
つめ
)
たうなつて
踏
(
ふ
)
ん
伸
(
の
)
びて、
095
石
(
いし
)
の
様
(
やう
)
に
硬
(
かた
)
うなつた
奴
(
やつ
)
を……こら
女房
(
にようばう
)
、
096
お
前
(
まへ
)
は
儂
(
わし
)
を
後
(
あと
)
に
遺
(
のこ
)
してなぜ
先
(
さき
)
に
死
(
し
)
んだ、
097
も
一度
(
いちど
)
夫
(
をつと
)
といつてくれ……ナンテ
死
(
し
)
んだ
奴
(
やつ
)
に
物
(
もの
)
をいへと
吐
(
ぬ
)
かすやうな
没暁漢
(
わからずや
)
だからね』
098
丁
(
てい
)
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
へ、
099
俺
(
おれ
)
の
嬶
(
かかあ
)
、
100
神
(
かみ
)
さまだ。
101
貴様
(
きさま
)
の
嬶
(
かかあ
)
のやうな
蜴
(
とかげ
)
の
欠伸
(
あくび
)
したやうな
変
(
へん
)
な
面付
(
つらつき
)
した
嬶
(
かかあ
)
とは
種
(
たね
)
が
違
(
ちが
)
ふだよ。
102
死
(
し
)
んでからでも
毎晩
(
まいばん
)
々々
(
まいばん
)
おれの
枕許
(
まくらもと
)
へきて
介抱
(
かいほう
)
する、
103
そりやホントに
親切
(
しんせつ
)
だよ。
104
そして
天人
(
てんにん
)
の
天降
(
あまくだ
)
つたやうな
立派
(
りつぱ
)
な
装束
(
しやうぞく
)
を
着
(
き
)
てゐるよ』
105
乙
(
おつ
)
『
一遍
(
いつぺん
)
手水
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
うて
来
(
こ
)
い、
106
そりや
幻
(
まぼろし
)
だよ、
107
すべた
嬶
(
かかあ
)
にうつつ
三太郎
(
さんたらう
)
になりよつて、
108
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
息
(
いき
)
のある
間
(
あひだ
)
はお
嬶
(
かか
)
大明神
(
だいみやうじん
)
と
崇
(
あが
)
めよつて、
109
朝晩
(
あさばん
)
に
屁
(
へ
)
つぴり
腰
(
ごし
)
をしよつて、
110
嬶
(
かかあ
)
のお
給仕
(
きふじ
)
に
涎
(
よだれ
)
を
垂
(
た
)
らしてをつたお
目出度
(
めでた
)
い
奴
(
やつ
)
だからね』
111
一同
(
いちどう
)
転
(
ころ
)
げて
笑
(
わら
)
ふ。
112
このとき
海鳴
(
うみなり
)
ますます
激
(
はげ
)
しく
浪
(
なみ
)
は
脚下
(
あしもと
)
まで
襲
(
おそ
)
うてきた。
113
これは
大変
(
たいへん
)
と
真蒼
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
して
一丁
(
いつちやう
)
ばかり
山
(
やま
)
へかけ
登
(
のぼ
)
つた。
114
丁
(
てい
)
『
偉
(
えら
)
さうに
太平楽
(
たいへいらく
)
のへらず
口
(
ぐち
)
ばかり
並
(
なら
)
べよつたが、
115
そのざま
何
(
なん
)
だい。
116
浪
(
なみ
)
が
来
(
き
)
たつて
真蒼
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
しやがつて、
117
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かさぬ
許
(
ばか
)
りに
山
(
やま
)
へ
駆登
(
かけのぼ
)
つたその
ぶざま
つたらないぢやないか。
118
見
(
み
)
られた
ざま
でないよ、
119
ソンナ
ざま
して
天来
(
てんらい
)
の
福音
(
ふくいん
)
なんて
福音
(
ふくいん
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れらあ、
120
呆
(
あき
)
れ
入谷
(
いりや
)
の
鬼子
(
きし
)
母神
(
もじん
)
だ。
121
それもつと
早
(
はや
)
く
意茶
(
いちや
)
つかさずに
癲癇
(
てんかん
)
の
泡吹音
(
あわふくいん
)
とやらを、
122
吾々
(
われわれ
)
御
(
ご
)
一統
(
いつとう
)
の
前
(
まへ
)
に
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
奏聞
(
そうもん
)
仕
(
つかまつ
)
るが
後生
(
ごしやう
)
のためだよ』
123
乙
(
おつ
)
『その
後生
(
ごしやう
)
で
思
(
おも
)
ひだした、
124
この
間
(
あひだ
)
もな、
125
ウラル
彦
(
ひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だと
云
(
い
)
つて
五升樽
(
ごしやうだる
)
を
供
(
とも
)
に
担
(
かつ
)
がして
大道
(
だいだう
)
を
呶鳴
(
どな
)
つて
来
(
き
)
たのだ。
126
それだ、
127
天国
(
てんごく
)
の
福音
(
ふくいん
)
といふのは』
128
丁
(
てい
)
『
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい、
129
べらべらと
序文
(
じよぶん
)
ばつかり
並
(
なら
)
べよつて、
130
おほかた
酒
(
さけ
)
を
喰
(
くら
)
ふことだらう。
131
まあ
こいつ
らの
福音
(
ふくいん
)
といふのは
樽
(
たる
)
さへ
見
(
み
)
せたらよいのだ。
132
口
(
くち
)
に
唾
(
つばき
)
一
(
いつ
)
ぱい
溜
(
た
)
めよつて、
133
蟹
(
かに
)
のやうな
泡
(
あわ
)
をふきよつてな、
134
喉
(
のど
)
をぢりぢり
焦
(
こ
)
げつかして、
135
餓鬼
(
がき
)
が
飲
(
の
)
みたい
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
まれぬ
時
(
とき
)
のやうな
憐
(
あは
)
れな
面付
(
つらつき
)
をして、
136
その
宣伝使
(
せんでんし
)
の
後
(
あと
)
から
跟
(
つ
)
きまはつて、
137
犬
(
いぬ
)
が
猪
(
しし
)
の
後
(
あと
)
をつけるやうに
鼻
(
はな
)
ばかりぴこつかして
歩
(
ある
)
いていつたということだ。
138
こいつ
等
(
ら
)
の
福音
(
ふくいん
)
といふことは、
139
酒
(
さけ
)
の
匂
(
にほ
)
ひを
嗅
(
か
)
ぎつけて、
140
よう
飲
(
の
)
みもせず、
141
けなり
さうに
指
(
ゆび
)
をくはへて、
142
宣伝使
(
せんでんし
)
の
臭
(
くさ
)
い
尻
(
しり
)
からついて
歩
(
ある
)
きよつて、
143
宣伝使
(
せんでんし
)
が
厠
(
かはや
)
へでも
這入
(
はい
)
つてゐるまに、
144
樽
(
たる
)
のつめをポンと
抜
(
ぬ
)
いて、
145
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
を
樽
(
たる
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れべそべそやつて
居
(
を
)
ると、
146
雪隠
(
せつちん
)
の
窓
(
まど
)
から
宣伝使
(
せんでんし
)
に
見
(
み
)
つけられて
平謝
(
ひらあやま
)
りに
謝
(
あやま
)
つて、
147
その
代償
(
だいしやう
)
として
立派
(
りつぱ
)
な
美
(
うつく
)
しいお
尻
(
けつ
)
を
拭
(
ふ
)
かしてもらつた
臭
(
くさ
)
い
奴
(
やつ
)
があるといふ
評判
(
ひやうばん
)
だつた。
148
大方
(
おほかた
)
こいつ
等
(
ら
)
のことだらうよ。
149
天国
(
てんごく
)
の
福音
(
ふくいん
)
でなくつて
糞放
(
くそこき
)
の
尻拭音
(
しりふくいん
)
だよ。
150
馬鹿
(
ばか
)
々々
(
ばか
)
しい、
151
糞
(
くそ
)
が
呆
(
あき
)
れらあ』
152
乙
(
おつ
)
は
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り、
153
むつとした
顔付
(
かほつ
)
きで、
154
『
貴様
(
きさま
)
アよい
頬桁
(
ほほげた
)
だなあ』
155
丁
(
てい
)
『
頬桁
(
ほほげた
)
より
桐下駄
(
きりげた
)
がよいのだ、
156
あまり
穿
(
は
)
きちがひするなよ』
157
乙
(
おつ
)
『
穿
(
は
)
きちがひは
貴様
(
きさま
)
のこつた、
158
人
(
ひと
)
の
下駄
(
げた
)
で
人
(
ひと
)
を
踏
(
ふ
)
みつけやうとしよつて、
159
泥足
(
どろあし
)
で
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
泥
(
どろ
)
の
海
(
うみ
)
なんて、
160
泥棒
(
どろばう
)
の
言
(
い
)
ひ
草
(
ぐさ
)
みたいなことを
吐
(
ぬか
)
してな、
161
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
162
それよりも
酒
(
さけ
)
の
代
(
かは
)
りに
泥水
(
どろみづ
)
でも
飲
(
の
)
んだら、
163
ちつと
天来
(
てんらい
)
の
福音
(
ふくいん
)
が
聞
(
き
)
けるだらう。
164
飲
(
の
)
めよ
騒
(
さわ
)
げよ
一寸先
(
いつすんさき
)
や
暗
(
やみ
)
よ
165
暗
(
やみ
)
のあとには
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
る
166
ヨイトサ、
167
ヨイトサ』
168
丁
(
てい
)
『
酒
(
さけ
)
もないのに
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
んだ
気
(
き
)
になりよつて、
169
踊
(
をど
)
る
奴
(
やつ
)
があるものかい』
170
乙
(
おつ
)
『
ごてごて
いふない、
171
早
(
はや
)
う
帰
(
かへ
)
つて
嬶
(
かかあ
)
の
幽霊
(
いうれい
)
になと
会
(
あ
)
つてこい、
172
かまふない』
173
とたがひに
腕
(
うで
)
を
捲
(
まく
)
りあげ
格闘
(
かくとう
)
を
初
(
はじ
)
めたとたんに、
174
はるか
前方
(
ぜんぱう
)
より
三柱
(
みはしら
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
175
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
、
176
開
(
ひら
)
いて
散
(
ち
)
りて
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ』
177
と
謡
(
うた
)
つてくる。
178
乙
(
おつ
)
は
矢庭
(
やには
)
に
眼
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
179
顔
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
め、
180
両手
(
りやうて
)
に
頭
(
あたま
)
を
抑
(
おさ
)
へながら、
181
『こいつはたまらぬ』
182
と
大地
(
だいち
)
にしやがんだ。
183
折
(
をり
)
しも
暴風
(
ばうふう
)
ますます
激
(
はげ
)
しく、
184
浪
(
なみ
)
は
脚下
(
あしもと
)
へ
襲
(
おそ
)
うてくる。
185
一同
(
いちどう
)
は
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて
又
(
また
)
もや
山上
(
さんじやう
)
めがけて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
186
(
大正一一・一・一三
旧大正一〇・一二・一六
井上留五郎
録)
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(N)
紅葉山 >>>
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