霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第5巻(辰の巻)
序文
凡例
総説嵐の跡
第1篇 動天驚地
第1章 栄華の夢
第2章 松竹梅
第3章 臭黄の鼻
第4章 奇縁万状
第5章 盲亀の浮木
第6章 南天王
第7章 三拍子
第8章 顕恩郷
第9章 鶴の温泉
第2篇 中軸移動
第10章 奇々怪々
第11章 蜃気楼
第12章 不食不飲
第13章 神憑の段
第14章 審神者
第15章 石搗歌
第16章 霊夢
第3篇 予言と警告
第17章 勢力二分
第18章 宣伝使
第19章 旭日出暗
第20章 猿蟹合戦
第21章 小天国
第22章 神示の方舟
第4篇 救世の神示
第23章 神の御綱
第24章 天の浮橋
第25章 姫神の宣示
第26章 艮坤の二霊
第27章 唖の対面
第28章 地教山の垂示
第5篇 宇宙精神
第29章 神慮洪遠
第30章 真帆片帆
第31章 万波洋々
第32章 波瀾重畳
第33章 暗夜の光明
第34章 水魚の情交
第6篇 聖地の憧憬
第35章 波上の宣伝
第36章 言霊の響
第37章 片輪車
第38章 回春の歓
第39章 海辺の雑話
第40章 紅葉山
第41章 道神不二
第42章 神玉両純
第7篇 宣伝又宣伝
第43章 長恨歌
第44章 夜光の頭
第45章 魂脱問答
第46章 油断大敵
第47章 改言改過
第48章 弥勒塔
第49章 水魚の煩悶
第50章 磐樟船
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第5巻(辰の巻)
> 第2篇 中軸移動 > 第12章 不食不飲
<<< 蜃気楼
(B)
(N)
神憑の段 >>>
第一二章
不食
(
くはず
)
不飲
(
のまず
)
〔二一二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
篇:
第2篇 中軸移動
よみ(新仮名遣い):
ちゅうじくいどう
章:
第12章 不食不飲
よみ(新仮名遣い):
くわずのまず
通し章番号:
212
口述日:
1922(大正11)年01月06日(旧12月09日)
口述場所:
筆録者:
桜井重雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年4月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
そこへウラルの山颪が吹きまくり、神々を中天に巻き上げて釣りまわした。吊り上げられた神々らの首は、鶴のように長く伸ばされてしまった。
風が止むと全員、地上に落下して半死半生の状態で苦しんだ。中空に『八岐大蛇、八岐大蛇』という声が聞こえた。一柱の神が思わず、『八岐大蛇様、助けたまへ』と叫んだ。
すると天上よりうるわしい男女の神々が下ってきた。その中の長とおぼしき神は口を耳まで開き、ウラル山を守護する八頭八尾の大蛇である、と名乗った。そして、アーメニヤに神都を開くためには、八頭八尾の大蛇の霊を祀って百日の断食をすべし、と命じた。
神々らはウラル山に登山して、断食をなすこととした。断食を破って果物を食べた神々は、腹が裂けて苦しみを受けた。断食の違反者たちは縛られて木の枝にかけられた。空中からは、『鬼になりたい者は神命違反者を食らえ』と声がしたが、さすがに誰も応じる神は無かった。
断食五十日目には、神々らは立つ気力さえない状態となった。そこへ、東北の空から六面八臂の鬼神らが襲い掛かった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0512
愛善世界社版:
71頁
八幡書店版:
第1輯 543頁
修補版:
校定版:
73頁
普及版:
33頁
初版:
ページ備考:
001
折
(
をり
)
しもウラルの
山颪
(
やまおろし
)
、
002
地上
(
ちじやう
)
を
吹
(
ふ
)
きまくり、
003
終
(
つひ
)
には
空前
(
くうぜん
)
絶後
(
ぜつご
)
の
大旋風
(
だいせんぷう
)
となつた。
004
あらゆる
樹木
(
じゆもく
)
を
吹
(
ふ
)
き
倒
(
たふ
)
し、
005
泥田
(
どろた
)
に
落
(
お
)
ちたる
神々
(
かみがみ
)
を、
006
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
のごとく
土
(
つち
)
諸共
(
もろとも
)
、
007
中天
(
ちうてん
)
に
捲
(
ま
)
きあげ、
008
天上
(
てんじやう
)
をぐるぐると
住吉踊
(
すみよしをど
)
りの
人形
(
にんぎやう
)
のやうに
釣
(
つ
)
りまはした。
009
そのため
何
(
いづ
)
れの
神人
(
かみがみ
)
も、
010
鶴
(
つる
)
のやうに
首
(
くび
)
が
残
(
のこ
)
らず
長
(
なが
)
くなつて
了
(
しま
)
つた。
011
丁度
(
ちやうど
)
、
012
空中
(
くうちう
)
に
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなき
首吊
(
くびつ
)
りが
出来
(
でき
)
たやうなものである。
013
首吊
(
くびつ
)
りでなくて、
014
残
(
のこ
)
らず
鶴首
(
つるくび
)
になつてしまつた。
015
風
(
かぜ
)
がやむとともに、
016
一斉
(
いつせい
)
に
雨霰
(
あめあられ
)
のごとく
地上
(
ちじやう
)
に
落下
(
らくか
)
した。
017
腕
(
うで
)
を
折
(
を
)
り
足
(
あし
)
を
挫
(
くじ
)
き
腰
(
こし
)
をぬかし、
018
にはかに
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
者
(
もの
)
ばかりとなつてしまつた。
019
そのとき
何処
(
いづく
)
ともなく、
020
『
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
、
021
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
』
022
といふ
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
023
八百万
(
やほよろづ
)
の
腰抜
(
こしぬ
)
け
奴
(
やつこ
)
、
024
不具者
(
かたはもの
)
はぶるぶる
唇
(
くちびる
)
をふるはせながら、
025
『
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
様
(
さま
)
、
026
助
(
たす
)
けたまへ』
027
と
叫
(
さけ
)
んだ。
028
たちまち
天上
(
てんじやう
)
より
美
(
うる
)
はしき
八柱
(
やはしら
)
の
男女
(
だんぢよ
)
の
神人
(
かみ
)
が、
029
神人
(
かみがみ
)
らの
前
(
まへ
)
に
降
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
た。
030
さうしてその
中
(
なか
)
の
一番
(
いちばん
)
大将
(
たいしやう
)
と
思
(
おぼ
)
しき
男神
(
だんしん
)
は、
031
耳
(
みみ
)
まで
裂
(
さ
)
けた
紅
(
あか
)
い
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いて、
032
『
吾
(
われ
)
はウラル
山
(
さん
)
を
守護
(
しゆご
)
する
八頭
(
やつがしら
)
八尾
(
やつを
)
の
大蛇
(
をろち
)
である。
033
もはや
今日
(
こんにち
)
は
国祖
(
こくそ
)
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
は、
034
わが
神力
(
しんりき
)
に
恐
(
おそ
)
れて
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
に
退隠
(
たいいん
)
し、
035
その
他
(
た
)
の
神人
(
かみがみ
)
はいづれも
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
に
落
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
き、
036
無限
(
むげん
)
の
責苦
(
せめく
)
に
遭
(
あ
)
へり。
037
この
世界
(
せかい
)
はもはや
吾
(
われ
)
の
自由
(
じいう
)
なり。
038
汝
(
なんぢ
)
らこのアーメニヤの
地
(
ち
)
に
来
(
きた
)
つて
神都
(
しんと
)
を
開
(
ひら
)
き、
039
神政
(
しんせい
)
を
樹立
(
じゆりつ
)
せむと
思
(
おも
)
はば、
040
まづ
第一
(
だいいち
)
に
宮殿
(
きうでん
)
を
造
(
つく
)
り、
041
わが
霊魂
(
みたま
)
を
鎮
(
しづ
)
め、
042
朝夕
(
てうせき
)
礼拝
(
れいはい
)
を
怠
(
おこた
)
るなかれ。
043
また
盤古
(
ばんこ
)
大神
(
だいじん
)
をはじめ
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
その
他
(
た
)
の
神人
(
かみがみ
)
は、
044
ただ
今
(
いま
)
より
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
の
断水
(
だんすゐ
)
断食
(
だんじき
)
を
励
(
はげ
)
むべし』
045
と
言
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば、
046
八柱
(
やはしら
)
の
神人
(
しんじん
)
の
姿
(
すがた
)
は
烟
(
けむり
)
のごとく
消
(
き
)
え、
047
ただ
空中
(
くうちう
)
を
運行
(
うんかう
)
する
音
(
おと
)
のみ
聞
(
きこ
)
えてきた。
048
その
音
(
おと
)
も
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
らいでウラル
山
(
さん
)
目蒐
(
めが
)
けて
帰
(
かへ
)
つたやうな
気持
(
きもち
)
がした。
049
不思議
(
ふしぎ
)
にも、
050
大負傷
(
だいふしやう
)
に
悩
(
なや
)
んでゐた
神人
(
かみがみ
)
は
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
腰
(
こし
)
も
旧
(
もと
)
のごとくに
全快
(
ぜんくわい
)
し、
051
ただ
首
(
くび
)
のみは
長
(
なが
)
くなつたままである。
052
神人
(
かみがみ
)
らは
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
うて、
053
ウラル
山
(
さん
)
方面
(
はうめん
)
さして
断食
(
だんじき
)
をなさむと
駆登
(
かけのぼ
)
つた。
054
ウラル
山
(
さん
)
の
中腹
(
ちうふく
)
には、
055
非常
(
ひじやう
)
な
広
(
ひろ
)
い
平地
(
へいち
)
がある。
056
この
平地
(
へいち
)
は
南向
(
みなみむ
)
きになつて、
057
非常
(
ひじやう
)
に
香
(
かを
)
りのよい
甘
(
うま
)
さうな
果物
(
くだもの
)
が
枝
(
えだ
)
もたわむばかりになつてゐて、
058
平地
(
へいち
)
に
垂
(
た
)
れてゐる。
059
あまたの
神人
(
かみがみ
)
は、
060
やつと
此処
(
ここ
)
まで
登
(
のぼ
)
つてきたが、
061
咽喉
(
のど
)
はにはかに
渇
(
かわ
)
きだし、
062
腹
(
はら
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
空
(
す
)
いてきた。
063
されど
大蛇
(
をろち
)
の
厳命
(
げんめい
)
によつて、
064
咽喉
(
のど
)
から
手
(
て
)
が
出
(
で
)
るほど
食
(
く
)
ひたくても
食
(
く
)
ふことが
出来
(
でき
)
なかつた。
065
ちやうど
餓鬼
(
がき
)
が
河
(
かは
)
の
端
(
はた
)
に
立
(
た
)
つて、
066
その
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
むことが
出来
(
でき
)
ぬやうな
苦痛
(
くつう
)
である。
067
盤古
(
ばんこ
)
大神
(
だいじん
)
はじめ
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
は
頻
(
しき
)
りに
口
(
くち
)
なめしをなし、
068
長舌
(
ちやうぜつ
)
を
出
(
だ
)
し、
069
この
果物
(
くだもの
)
をみて
羨望
(
せんばう
)
の
念
(
ねん
)
にかられてゐた。
070
神人
(
かみがみ
)
は
咽喉
(
のど
)
は
焼
(
や
)
けるほど
渇
(
かわ
)
き、
071
腹
(
はら
)
は
空
(
す
)
いて
板
(
いた
)
のごとくなつてゐる
矢先
(
やさき
)
、
072
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にぶらついたこの
美味
(
びみ
)
を
食
(
く
)
ひたくて
堪
(
たま
)
らず、
073
見
(
み
)
るより
見
(
み
)
ぬが
薬
(
くすり
)
と、
074
いづれも
目
(
め
)
を
閉
(
つ
)
ぶつて
見
(
み
)
ぬやうに
努
(
つと
)
めてゐた。
075
さうすると
何処
(
いづこ
)
ともなしに
百雷
(
ひやくらい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
落下
(
らくか
)
したやうな
音響
(
おんきやう
)
がきこえ、
076
地響
(
ぢひびき
)
がして
身体
(
しんたい
)
を
二三尺
(
にさんじやく
)
も
中空
(
ちうくう
)
に
放
(
はふ
)
りあげた。
077
吃驚
(
びつくり
)
して
思
(
おも
)
はず
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
くと、
078
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
、
079
口
(
くち
)
の
前
(
まへ
)
に
甘
(
うま
)
さうな
果物
(
くだもの
)
が
ぶら
ついてゐる。
080
エヽ
儘
(
まま
)
の
皮
(
かは
)
よと
四五
(
しご
)
の
従者
(
じうしや
)
は、
081
そのまま
大
(
おほ
)
きな
果物
(
くだもの
)
を
鷲
(
わし
)
づかみにして
かぶ
りはじめた。
082
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へぬ
甘
(
うま
)
さである。
083
濡
(
ぬ
)
れぬうちこそ
露
(
つゆ
)
をも
厭
(
いと
)
へ、
084
毒
(
どく
)
を
食
(
く
)
うたら
皿
(
さら
)
までねぶれといふ
自棄糞
(
やけくそ
)
気味
(
ぎみ
)
になつて、
085
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
神人
(
かみがみ
)
は
舌鼓
(
したつづみ
)
をうつて
猫
(
ねこ
)
のやうに
咽喉
(
のど
)
を
ごろごろ
鳴
(
な
)
らしながら、
086
甘
(
うま
)
さうに
食
(
く
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
087
傍
(
かたはら
)
の
神人
(
かみがみ
)
はその
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
いて
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらなくなつて、
088
目
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢた
上
(
うへ
)
、
089
両方
(
りやうはう
)
の
指
(
ゆび
)
で
耳
(
みみ
)
を
塞
(
ふさ
)
いで、
090
顔
(
かほ
)
をしかめて
辛抱
(
しんばう
)
してゐた。
091
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くと、
092
果物
(
くだもの
)
の
枝
(
えだ
)
が
揺
(
ゆ
)
れて、
093
その
甘
(
うま
)
さうな
果物
(
くだもの
)
は
口
(
くち
)
のあたりに
触
(
さは
)
つてくる。
094
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
舌
(
した
)
がでる。
095
こいつは
堪
(
たま
)
らぬとまた
口
(
くち
)
を
閉
(
ふさ
)
いだ。
096
ちやうど
見
(
み
)
ざる
、
097
聞
(
き
)
か
ざる
、
098
言
(
い
)
は
ざる
の
庚申
(
かうしん
)
さまの
眷属
(
けんぞく
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
現
(
あら
)
はれた。
099
四五
(
しご
)
の
自棄糞
(
やけくそ
)
になつた
神人
(
かみがみ
)
は
腹一杯
(
はらいつぱい
)
布袋
(
ほてい
)
のやうになつて
息
(
いき
)
までも
苦
(
くる
)
しく、
100
肩
(
かた
)
で
息
(
いき
)
をするやうになつた。
101
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
は
得心
(
とくしん
)
したが、
102
まだ
舌
(
した
)
が
得心
(
とくしん
)
せぬので、
103
無理
(
むり
)
無体
(
むたい
)
に
舌
(
した
)
の
要求
(
えうきう
)
をかなへてやつた。
104
もはや
舌
(
した
)
も
得心
(
とくしん
)
をしたが、
105
肝腎
(
かんじん
)
の
眼玉
(
めだま
)
が
得心
(
とくしん
)
せぬので
無理
(
むり
)
矢理
(
やり
)
に
取
(
と
)
つては
食
(
く
)
ひ
取
(
と
)
つては
食
(
く
)
ひ、
106
大地
(
だいち
)
にドンドンと
四肢
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
107
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
まうとした。
108
そのとたんに
臍
(
へそ
)
の
括約筋
(
くわつやくきん
)
がバラバラになつて、
109
果物
(
くだもの
)
の
赤子
(
あかご
)
が
沢山
(
たくさん
)
生
(
うま
)
れた。
110
アイタヽアイタヽと
腹
(
はら
)
を
抱
(
かか
)
へて
顰
(
しか
)
み
面
(
づら
)
しながら
大地
(
だいち
)
に
七転
(
しちてん
)
八倒
(
はつたふ
)
した。
111
他
(
た
)
の
神人
(
かみがみ
)
はまた
目
(
め
)
をあけてこの
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
、
112
あり
合
(
あ
)
ふ
草
(
くさ
)
の
蔓
(
つる
)
をとつて
腹
(
はら
)
の
皮
(
かは
)
を
一処
(
ひとところ
)
へ
集
(
あつ
)
め、
113
これを
臍
(
へそ
)
の
真中
(
まんなか
)
で
堅
(
かた
)
く
括
(
くく
)
り、
114
五柱
(
いつはしら
)
の
神人
(
かみ
)
を
神命
(
しんめい
)
違反
(
ゐはん
)
の
大罪人
(
だいざいにん
)
として
棒
(
ぼう
)
にかつぎ、
115
その
果物
(
くだもの
)
の
樹
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
にかけた。
116
この
時
(
とき
)
、
117
またもや
天上
(
てんじやう
)
から
声
(
こゑ
)
がした。
118
『
腹
(
はら
)
が
空
(
す
)
いたら、
119
神命
(
しんめい
)
違反者
(
ゐはんしや
)
を
食
(
くら
)
へ』
120
と
言
(
い
)
つた。
121
神人
(
かみがみ
)
は
果物
(
くだもの
)
は
食
(
く
)
はれぬが、
122
この
五柱
(
いつはしら
)
の
神人
(
かみ
)
でも
食
(
く
)
つて
見
(
み
)
たいやうな
気
(
き
)
がした。
123
このとき
早玉彦
(
はやだまひこ
)
といふ
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
の
侍者
(
じしや
)
は、
124
天
(
てん
)
の
声
(
こゑ
)
のする
方
(
はう
)
にむかひ、
125
『
断食
(
だんじき
)
する
吾々
(
われわれ
)
、
126
この
者
(
もの
)
を
食
(
く
)
うても
神意
(
しんい
)
に
反
(
はん
)
せずや』
127
と
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
た。
128
さうすると、
129
また
空中
(
くうちう
)
に
声
(
こゑ
)
あつて、
130
『
鬼
(
おに
)
になりたき
者
(
もの
)
はこれを
食
(
くら
)
へ』
131
と
言
(
い
)
つた。
132
いづれの
神人
(
かみ
)
も
自分
(
じぶん
)
の
悪
(
あく
)
は
分
(
わか
)
らず、
133
各自
(
かくじ
)
に
至善
(
しぜん
)
至美
(
しび
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
と
自信
(
じしん
)
してゐるので、
134
流石
(
さすが
)
の
邪神
(
じやしん
)
も
鬼
(
おに
)
になることだけは
閉口
(
へいこう
)
したとみえ、
135
一柱
(
ひとはしら
)
もこれを
食
(
く
)
はうとする
者
(
もの
)
もなかつた。
136
さうかうする
中
(
うち
)
に、
137
断食
(
だんじき
)
の
行
(
ぎやう
)
も
五十
(
ごじふ
)
日
(
にち
)
を
経過
(
けいくわ
)
した。
138
何
(
いづ
)
れの
神人
(
かみがみ
)
も
声
(
こゑ
)
さへも
立
(
た
)
てる
勇気
(
ゆうき
)
は
失
(
う
)
せ、
139
目
(
め
)
は
潤
(
うる
)
み、
140
耳
(
みみ
)
はガンガン
早鐘
(
はやがね
)
をつくがごとくになり、
141
ちやうど
蛭
(
ひる
)
に
塩
(
しほ
)
したやうにただ
地上
(
ちじやう
)
に
横
(
よこ
)
たはつて、
142
虫
(
むし
)
の
息
(
いき
)
にピコピコと
身体
(
しんたい
)
の
一部
(
いちぶ
)
を
動揺
(
どうえう
)
させてゐた。
143
このとき、
144
東北
(
とうほく
)
の
空
(
そら
)
より、
145
六面
(
ろくめん
)
八臂
(
はつぴ
)
の
鬼神
(
きしん
)
、
146
あまたの
赤
(
あか
)
、
147
青
(
あを
)
、
148
黒
(
くろ
)
などの
顔
(
かほ
)
をした
幕下
(
ばくか
)
の
鬼
(
おに
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ、
149
この
場
(
ば
)
にむかつて
嬉
(
うれ
)
しさうに
降
(
くだ
)
つてくるのを
見
(
み
)
た。
150
あゝこの
結果
(
けつくわ
)
は
如何
(
どう
)
なるであらうか。
151
(
大正一一・一・六
旧大正一〇・一二・九
桜井重雄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 蜃気楼
(B)
(N)
神憑の段 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第5巻(辰の巻)
> 第2篇 中軸移動 > 第12章 不食不飲
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第12章 不食不飲|第5巻|霊主体従|霊界物語|/rm0512】
合言葉「みろく」を入力して下さい→