霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 南天王(なんてんわう)〔二〇六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第1篇 動天驚地 よみ(新仮名遣い):どうてんきょうち
章:第6章 南天王 よみ(新仮名遣い):なんてんおう 通し章番号:206
口述日:1922(大正11)年01月05日(旧12月08日) 口述場所: 筆録者:松村仙造 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
顕恩郷の神々は、二人の女性を南天王の妃とするよう奏上した。南天王は、表面上これを許した。
塩治姫と見えたのは、実は春日姫であった。また、玉春姫と見えたのは、八島姫であった。国祖が隠退された後、国祖派の神々は、律法に遠慮することなく神術を駆使して邪神に対抗し始めていたのである。
春日姫、八島姫は、南天王が大道別であることを知って、再開を喜んだ。春日姫は恋人の鷹住別を思い出して沈んでいたが、鷹住別は清彦と名を変えて、南天王に仕えていた。二人は再会を喜んだ。
また、かつて大道別を想って故郷を飛び出した八島姫は自らの運命を嘆いていた。大道別は今は日の出の神・南天王となって国祖の神命を受けて活動中であるため、夫とすることはできなかったのである。
大道別は、そこで従者の芳彦という者を呼んだ。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:1640 OBC :rm0506
愛善世界社版:41頁 八幡書店版:第1輯 532頁 修補版: 校定版:43頁 普及版:20頁 初版: ページ備考:
001 顕恩郷(けんおんきやう)の大王神(だいわうじん)なる南天王(なんてんわう)は、002その実(じつ)大道別(おほみちわけ)の分魂(わけみたま)で、003日(ひ)の出神(でのかみ)であつた。004そして三柱(みはしら)を迎(むか)え来(きた)つた大亀(おほがめ)は琴平別(ことひらわけ)の化神(けしん)である。
005 神人(かみがみ)らは二柱(ふたはしら)の女神(めがみ)の婉麗(ゑんれい)にして神格(しんかく)の高尚(かうしやう)なるに敬服(けいふく)し、006南天王(なんてんわう)に請(こ)ふて、007二(に)女神(ぢよしん)を妃(きさき)にせむことを協議(けふぎ)した。008神人(かみがみ)らの中(なか)より蟹若(かにわか)といふ者(もの)、009推(お)されて代表(だいへう)となり、010南天王(なんてんわう)の宮殿(きうでん)に参向(さんかう)し、011衆議(しうぎ)一致(いつち)の請願(せいぐわん)をなした。012南天王(なんてんわう)は思(おも)ふところありて表面(へうめん)これを許(ゆる)した。013これより顕恩郷(けんおんきやう)は高貴(かうき)なる三柱(みはしら)の神人(しんじん)によりて統一(とういつ)さるることとなり、014南方(なんぱう)より年々(ねんねん)攻(せ)めきたる悪神(あくがみ)の襲来(しふらい)も恐(おそ)るるに足(た)らずと異口(いく)同音(どうおん)に祝(しゆく)しあうた。
015 今(いま)まで塩治姫(しほはるひめ)と見(み)えしはその実(じつ)は春日姫(かすがひめ)であつた。016春日姫(かすがひめ)には高倉(たかくら)白狐(びやくこ)が始終(しじう)守護(しゆご)してゐた。017また玉春姫(たまはるひめ)と見(み)えしは実際(じつさい)は八島姫(やしまひめ)であつて、018白狐(びやくこ)の旭(あさひ)が守護(しゆご)してゐた。
019 今(いま)まで国祖(こくそ)の御(ご)神政中(しんせいちう)は、020大江山(たいかうざん)の鬼武彦(おにたけひこ)以下(いか)正義(せいぎ)の神人(かみがみ)らは、021敵(てき)に対(たい)するその神術(かむわざ)をよほど遠慮(ひか)へてゐたのであるが、022もはや国祖(こくそ)は御(ご)退隠(たいいん)となり、023いかなる権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)に出(い)づるとも、024今日(こんにち)は累(るゐ)を国祖(こくそ)に及(およ)ぼし奉(たてまつ)る憂(うれ)ひはなくなつた。025そこで聖地(せいち)の神人(かみがみ)らは国祖(こくそ)大神(おほかみ)の御(ご)無念(むねん)を深(ふか)く察(さつ)し、026わが身(み)はたとへ天津(あまつ)神(かみ)より天則(てんそく)違反(ゐはん)に問(と)はるるとも、027至恩(しおん)ある大神(おほかみ)の敵(てき)にたいして、028極力(きよくりよく)反抗(はんかう)をこころみ、029復讐(ふくしう)をなさむとするの念慮(ねんりよ)は、030片時(かたとき)の間(ま)も忘(わす)れなかつた。
031 二柱(ふたはしら)の女神(めがみ)は、032南天王(なんてんわう)の宮殿(きうでん)深(ふか)く仕(つか)へることとなつた。033蟹若(かにわか)は大(おほい)に喜(よろこ)んで神人(かみがみ)にその旨(むね)を伝(つた)へ、034一同(いちどう)は手(て)を拍(う)つて祝杯(しゆくはい)を挙(あ)げた。
035 奥殿(おくでん)には南天王(なんてんわう)と春日姫(かすがひめ)、036八島姫(やしまひめ)の三柱(みはしら)鼎坐(ていざ)して昔語(むかしがた)りに夜(よ)を徹(てつ)した。037春日姫(かすがひめ)は思(おも)はず、038大道別(おほみちわけ)の日(ひ)の出(での)神(かみ)に面会(めんくわい)し、039うれしさのあまり涙(なみだ)を湛(たた)へ、040且(か)つ俄(にはか)に鷹住別(たかすみわけ)のことを思(おも)ひ出(だ)し、041憂(うれ)ひに沈(しづ)む面容(おももち)であつた。042南天王(なんてんわう)は、
043『貴下(きか)は何(なに)ゆゑにかくの如(ごと)く、044この目出度(めでた)き宿縁(えにし)の喜(よろこ)びにたいし鬱(ふさ)ぎたまふや』
045と言(い)つた。046春日姫(かすがひめ)はわづかに声(こゑ)を出(だ)して、
047『たかす……』
048と云(い)つた。049南天王(なんてんわう)はその声(こゑ)に春日姫(かすがひめ)の意(い)を悟(さと)り、050ただちに手(て)を拍(う)つて、
051『清彦(きよひこ)、052清彦(きよひこ)』
053と呼(よ)んだ、054声(こゑ)に応(おう)じて、055一間(ひとま)より現(あら)はれ出(い)でた神格(しんかく)の優(すぐ)れた侍神(じしん)がある。056見(み)れば、057春日姫(かすがひめ)の常世城(とこよじやう)を去(さ)りしより、058夢寐(むび)にも忘(わす)れぬ恋人(こひびと)の鷹住別(たかすみわけ)であつた。059春日姫(かすがひめ)は思(おも)はず飛付(とびつ)かむとしたが他(た)の神人(かみがみ)の前(まへ)を憚(はばか)りて、060動(うご)く心(こころ)を吾(われ)から制止(せいし)し、061耻(は)づかしげに俯(うつむ)いて啜(すす)り泣(な)きに泣(な)く。
062 南天王(なんてんわう)は粋(すゐ)をきかして、063鷹住別(たかすみわけ)、064春日姫(かすがひめ)二人(ふたり)を別殿(べつでん)に去(さ)らしめた。065あとに残(のこ)つた八島姫(やしまひめ)は南天王(なんてんわう)と二柱(ふたはしら)互(たがひ)に黙然(もくねん)として顔(かほ)見合(みあは)せ、066うれし涙(なみだ)に暮(く)れてゐた。067八島姫(やしまひめ)は思(おも)ひきつたやうに、
068『南高山(なんかうざん)において、069貴下(きか)に生命(いのち)を救(すく)はれ、070それより貴下(きか)を慕(した)ふ心(こころ)、071切(しき)りに起(おこ)りて、072つひには父母(ふぼ)を棄(す)て、073御後(みあと)を慕(した)ひまつりしも、074今(いま)は昔(むかし)の夢(ゆめ)となりたれども、075一(いつ)たん思(おも)ひつめたる最初(さいしよ)の念(ねん)は、076今(いま)に消(き)えやらず、077妾(わらは)が心(こころ)の切(せつ)なさを推量(すゐりやう)ありたし』
078と前後(ぜんご)もかまはず、079南天王(なんてんわう)の膝(ひざ)に顔(かほ)をあて、080泣(な)き叫(さけ)ぶのであつた。
081 南天王(なんてんわう)は八島姫(やしまひめ)の心情(しんじやう)を憫(あは)れみ、082いかにもして彼女(かれ)を慰(なぐさ)めむと思(おも)へども、083一(いつ)たん国祖(こくそ)より命(めい)ぜられたる大使命(だいしめい)あれば、084たとへ国祖(こくそ)は隠退(いんたい)し給(たま)ふとも、085妄(みだ)りに妻帯(さいたい)するは大神(おほかみ)の神慮(しんりよ)に反(はん)するものである。086されどこの八島姫(やしまひめ)の心情(しんじやう)を推知(すゐち)しては、087さすが道義(だうぎ)堅固(けんご)なる南天王(なんてんわう)も、088骨身(ほねみ)も砕(くだ)くるごとき切(せつ)なき思(おも)ひをしたのである。
089 八島姫(やしまひめ)は漸(やうや)くにして顔(かほ)をあげ、
090『吁(ああ)、091妾(わらは)は年(とし)老(お)いたる父母(ふぼ)二神(にしん)を棄(す)て、092山海(さんかい)の高恩(かうおん)を忘却(ばうきやく)し、093かつ忠節(ちうせつ)無比(むひ)の玉純彦(たますみひこ)を途中(とちう)に追返(おひかへ)したるは、094今(いま)になつて思(おも)へば、095実(じつ)に妾(わらは)が一生(いつしやう)の不覚(ふかく)であつた。096たとへ臣下(しんか)の身分(みぶん)たりとも、097彼(かれ)がごとき忠良(ちうりやう)なる玉純彦(たますみひこ)をして、098せめては吾(わが)夫(をつと)にもつことを得(え)ば、099いかに幸(さいは)ひならむかと夜(よ)ごとに思(おも)ひ浮(うか)ぶれども、100かれ玉純彦(たますみひこ)は常世(とこよ)の国(くに)にて、101一(ひと)たび姿(すがた)を見(み)たるきり、102今(いま)は何(いづ)れにあるや、103その居所(きよしよ)も判然(はんぜん)せず。104また父(ちち)の消息(せうそく)も聞(き)かまほしけれど、105今(いま)となりては如何(いかん)とも詮術(せんすべ)なく、106日夜(にちや)悲歎(ひたん)の涙(なみだ)に暮(く)るるのみ』
107と、108流石(さすが)女人(によにん)の愚痴(ぐち)をこぼし、109滝(たき)のごとく涙(なみだ)を流(なが)して、110その場(ば)に倒(たふ)れ伏(ふ)しにけり。
111 このとき南天王(なんてんわう)は何(なに)思(おも)ひけむ、112つと座(ざ)をたちて手(て)を拍(う)ち、
113『芳彦(よしひこ)、114芳彦(よしひこ)』
115と呼(よ)ばはつた。116芳彦(よしひこ)ははたして如何(いか)なる神人(かみ)であらうか。
117(大正一一・一・五 旧大正一〇・一二・八 松村仙造録)
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