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第四五章 魂脱(たまぬけ)問答(もんだふ)〔二四五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第7篇 宣伝又宣伝 よみ(新仮名遣い):せんでんまたせんでん
章:第45章 魂脱問答 よみ(新仮名遣い):たまぬけもんどう 通し章番号:245
口述日:1922(大正11)年01月14日(旧12月17日) 口述場所: 筆録者:藤原勇造 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
万寿山の八王であった磐楠彦は、磐戸別の神と名を改めて、宣伝の旅に各地を回っていた。常世の国を横断し、竜宮城へと渡るために、常世の国の西岸の紅の港にやってきた。
そこには船人たちが雑談にふけっており、噂話に花を咲かせていた。海の向こうの戦争の話から、万寿山の宣伝使の宣伝の話をしていた。
そして竜宮島=冠島に秘めおかれた潮満潮干の玉をウラル彦の手下が取ろうと攻め寄せ、大海原彦神が迎え撃ったが、玉には神力がなく、奪われてしまった、という。また、沓島の玉にも力がなく、これも敵に奪われてしまった、という話をしていた。
しかし実は玉の力は厳の御魂がシナイ山に隠してしまっていた。ウラル彦の手下はシナイ山も攻めたが、守護神の貴治別が岩石を降らして撃退した、という。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-05 14:43:47 OBC :rm0545
愛善世界社版:275頁 八幡書店版:第1輯 613頁 修補版: 校定版:280頁 普及版:116頁 初版: ページ備考:
001 (まこと)(よはひ)(たも)神国(しんこく)は、002()久方(ひさかた)天津空(あまつそら)003寿(ことほ)()真鶴(まなづる)の、004(ひがし)西(にし)()()ひて、005()瑞祥(ずゐしやう)(うた)ひつつ、006(みどり)(かめ)はうれしげに、007(てん)(むか)つて()(のぼ)る、008目出度(めでた)(よはひ)万寿山(まんじゆざん)009(あるじ)(かみ)(あら)はれし、010この(うる)はしき神国(しんこく)を、011堅磐(かきは)常磐(ときは)(まも)るてふ、012()さへ目出度(めでた)磐樟彦(いはくすひこ)八洲国(やしまくに)013(かみ)(すく)ひの太祝詞(ふとのりと)014(とほ)(ちか)きの(へだ)てなく、015唐土山(もろこしやま)踏越(ふみこ)えて、016(くも)(うか)べるロッキーの、017(やま)(あらし)()かれつつ、018さも(いさ)ましき宣伝歌(せんでんか)019(こころ)(かる)簑笠(みのかさ)や、020草鞋(わらじ)脚絆(きやはん)()(かた)め、021何処(いづこ)(あて)(なが)(たび)022愈々(いよいよ)(きた)常世城(とこよじやう)023(いま)間近(まぢか)くなりにけり、024磐樟彦(いはくすひこ)宣伝使(せんでんし)025磐戸別(いはとわけ)神司(かみ)と、026()新玉(あらたま)今朝(けさ)(はる)027(ゆき)()きわけて行詰(ゆきつま)り、028(ふさ)がる(みち)(ひら)かむと、029()(くれなゐ)被面布(ひめんぷ)を、030押別(おしわ)(きた)紅葉(もみぢば)の、031(あか)(こころ)(たふと)けれ。032盤古(ばんこ)大神(だいじん)八王(やつわう)の、033(まが)暴威(ばうゐ)(ふる)ひたる、034堅磐(かきは)常磐(ときは)常世城(とこよじやう)035()のみ(のこ)りて(いま)はただ、036常世(とこよ)(しろ)大国彦(おほくにひこ)の、037(まが)醜夫(しこを)のものとなり、038(とき)めき(わた)自在天(じざいてん)039常世(とこよ)神王(しんわう)(あらた)めて、040(かがや)(わた)るその稜威(みいづ)041(くま)なく(ひか)照妙(てるたへ)の、042(しろ)(かがや)金色(こんじき)の、043十字(じふじ)紋章(もんしやう)をうち(なが)め、044溜息(ためいき)吐息(といき)()きながら、045風雨(ふうう)(やつ)れし宣伝使(せんでんし)046(いま)はなんにも磐樟(いはくす)の、047(かみ)(はて)なる磐戸別(いはとわけ)048(こころ)岩戸(いはと)(ひら)けども、049(いま)(ひら)けぬ常世国(とこよのくに)050常世(とこよ)(やみ)(ひら)かむと、051(あし)(むちう)膝栗毛(ひざくりげ)052さしもに(ひろ)大陸(たいりく)を、053やうやく(ここ)横断(わうだん)し、054浜辺(はまべ)()ちて(あめ)(した)055(あら)ぶる(なみ)立騒(たちさわ)ぎ、056ウラスの(とり)浜千鳥(はまちどり)057(さや)げる(もも)神人(しんじん)を、058(かみ)(すく)ひの方舟(はこぶね)に、059()せて竜宮(りうぐう)(わた)らむと、060(くさ)(まくら)(かず)かさね、061(いま)(みなと)()(たま)ふ。
062 磐戸別(いはとわけ)(かみ)常世(とこよ)(くに)西岸(せいがん)なる(くれなゐ)(みなと)(やうや)()いた。063ここには四五(しご)船人(ふなびと)(ふね)(つな)いで、064色々(いろいろ)雑談(ざつだん)(ふけ)つてゐた。
065(かふ)『オイ、066このごろの天気(てんき)はちつと(へん)ぢやないかい、067毎日(まいにち)毎夜(まいよ)()(つづ)けに大雨(おほあめ)()つて、068(かは)氾濫(はんらん)し、069(いへ)(なが)れ、070おまけ(なん)とも()れぬ、071ドンドンと地響(ぢひび)きが間断(かんだん)なくしてをる。072(はじ)めの(うち)は、073吾々(われわれ)(なみ)(おと)だと(おも)つてゐたが、074どうやら(なみ)でもないらしい。075地震(ぢしん)()らせかと(おも)つて心配(しんぱい)してゐたら、076今日(けふ)三十(さんじふ)(にち)()(つづ)いて、077いつかう地震(ぢしん)らしいものもない。078この(あひだ)宣伝使(せんでんし)とやらがやつて()よつて、079地震(ぢしん)(かみなり)()(あめ)()つて、080終末(しまひ)には泥海(どろうみ)になると()つて()つたが、081(ある)ひはソンナ(こと)になるかも()れないよ』
082心配(しんぱい)さうに(くび)(かたむ)けた。
083(おつ)(なに)084()(あめ)()る、085ソンナ馬鹿(ばか)なことがあるかい。086(あめ)ちう(やつ)(みな)(みづ)(てん)(あが)つて、087それが(てん)()えて、088また(もと)(みづ)になつて天降(あまくだ)つて()るのだ、089(みづ)(あめ)(むかし)からちよいちよい()るが、090()(あめ)()つた(ためし)はないぢやないか』
091『それでもこの(まへ)に、092エトナの火山(くわざん)爆発(ばくはつ)した(とき)は、093()(あめ)()つたぢやないか』
094馬鹿(ばか)()へ、095あれは()(いは)()つたのだい。096万寿山(まんじゆざん)とやらの宣伝使(せんでんし)が、097(てん)から()つた(やう)(えら)さうに宣伝(せんでん)して()つたが、098(これ)やつぱり(てん)から()つた岩戸開(いはとあ)けとか、099岩戸閉(いはとし)めとか()ふぢやないか』
100()(あめ)()らぬとも(かぎ)らぬよ。101この(あひだ)(くら)がり(まぎ)れに(はしら)行当(ゆきあた)つた途端(とたん)に、102()(あめ)()つたよ、103(たしか)()たもの、104()らぬとは()へぬ』
105『そりや貴様(きさま)106(はしら)ぶつつかつて、107眼玉(めだま)から()()しやがつたのだ。108()つたのぢやない、109()つたのだらう。110地震(ぢしん)(かみなり)()(こと)あ、111吾々(われわれ)神人(しんじん)(かみ)(さま)(すゑ)だから、112吾々(われわれ)自身(じしん)そのものが(かみ)だ。113それで自身(じしん)神也(かみなり)といふのだ、114さうして自身(じしん)神也(かみなり)といふ貴様(きさま)が、115()から()(あめ)()らしたのだ。116まあ()(なか)に、117不思議(ふしぎ)化物(ばけもの)(まこと)のものはないといつてもゑい(くらゐ)だ』
118(へい)『ソンナ(はなし)はどうでもよいが、119この(あひだ)(うみ)(むか)ふに大変(たいへん)戦争(せんそう)があつたぢやないか』
120(てい)『ウン、121ソンナことを()いたね。122(その)(とき)(おと)だらうよ、123毎日(まいにち)々々(まいにち)ドンドン()ふのは』
124(たたか)ひが()んでから、125まだドンドン(おと)(きこ)えるが、126そりや(なん)かの原因(げんいん)があるのだらう。127竜宮島(りうぐうじま)とやらには、128(あま)真澄(ますみ)(たま)とか潮満(しほみつ)潮干(しほひる)(たま)とかいふ(たから)(むかし)から(かく)してあるとかで、129ウラル(さん)のウラル(ひこ)手下(てした)(やつ)らがその(たま)()らうとして、130沢山(たくさん)(ふね)(こしら)へよつて、131(くら)がり(まぎ)れに()()けよつたさうだ。132さうすると沓島(くつじま)大海原(おほうなばら)(ひこの)(かみ)とやらが、133海原(うなばら)とか向腹(むかつぱら)とかを()ててその真澄(ますみ)(たま)(てき)(なや)まさうとした。134しかしその(たま)(なん)にもならず、135たうとう(てき)()られてしまつたさうだよ。136そして冠島(かむりじま)一名(いちめい)竜宮島(りうぐうじま)には潮満(しほみつ)潮干(しほひる)(たま)(かく)してあつたさうだ。137それもまたウラル(ひこ)手下(てした)(やつ)らが()めかけて()らうとした。138ここの守護神(しゆごじん)さまは、139(てき)襲来(しふらい)(なや)ます(つも)りで、140また潮満(しほみつ)とか潮干(しほひる)とかいふ(たま)()して(ふせ)がうとした。141これも(また)薩張(さつぱり)(やく)()たず、142とうたう冠島(かんむりじま)沓島(くつじま)も、143(てき)()られて仕舞(しま)つたと()ふぢやないか。144珠々(たまたま)というても、145なにもならぬものだね』
146『そりや()まつた(はなし)だよ、147よう(かんが)へて()よ。148真澄(ますみ)(たま)()ふぢやないか。149マスミつたら、150()()んで()(たま)だ。151それを沢山(たくさん)魔神(まがみ)()つて()()らうとするのだもの、152()うたり(かな)うたり、153()(くち)真子(しんこ)154()(くち)拍子木(ひやうしぎ)155()いた(くち)牡丹餅(ぼたもち)156(をとこ)(をんな)()うたやうなものだ。157ナンボ海原(うなばら)とか向腹立(むかつぱらだち)とかを()てた海原彦(うなばらひこの)(かみ)でも、158内外(うちそと)から(てき)をうけて、159内外(うちそと)から()められて、160(たま)(こぼ)しがあつたものぢやない。161また潮満(しほみつ)とか潮干(しほひる)とかの(たま)も、162(やく)()たなかつたと()いたが、163よう(かんが)えて()よ、164(しほ)元来(ぐわんらい)(から)いものだ、165そして(みつ)(あま)いものだ。166(から)いものと(あま)いものと一緒(いつしよ)にしたつて調和(てうわ)()れないのは当然(あたりまへ)だ。167また潮干(しほひる)(たま)とか()(やつ)は、168(しほ)(ひる)といふ(こと)だ。169ソンナ(かたき)同士(どうし)のものを()せて潮満(しほみつ)(たま)とか、170潮干(しほひる)(たま)だとか一体(いつたい)わけがわからぬぢやないかい。171()けるのは当然(あたりまへ)だよ。172その(たま)性根(しやうね)とやらを、173どつと(むかし)のその(むかし)(いづ)御霊(みたま)とかいふどえらい(かみ)があつて、174それをシナイ(ざん)とかいふ(やま)頂上(てつぺん)(かく)しておいた。175それを竹熊(たけくま)とかいふ(わる)(やつ)がをつてふんだくらうとして、176(えら)()にあうたといふこと。177しかしながら、178聖地(せいち)(かみ)(ども)勿体(もつたい)ぶつて、179一輪(いちりん)秘密(ひみつ)とか一輪(いちりん)経綸(しぐみ)とかいつて威張(ゐば)つてをつたが、180とうとうその一輪(いちりん)秘密(ひみつ)ばれて、181ウラル(ひこ)()ぎつけ、182第一番(だいいちばん)竜宮島(りうぐうじま)(たま)をふんだくつて、183(すぐ)にその(やま)()性念(しやうねん)引張(ひつぱ)()さうと一生(いつしやう)懸命(けんめい)()めかかつた。184その(とき)シナイ(ざん)とやらを(まも)つてゐた貴治別(たかはるわけ)とかいふ(かみ)が、185敵軍(てきぐん)頂辺(てつぺん)から、186その()性念(しやうねん)神徳(しんとく)(あら)はして岩石(がんせき)()らした。187ウラル(ひこ)幕下(ばくか)とうとうこれに屁古垂(へこた)れよつて、188(なん)にもしないで、189()(かへ)つたと()ふことだ。190それで攻撃(こうげき)一寸(ちよつと)もシナイ(ざん)といふのだ』
191(かふ)馬鹿(ばか)にすな、192(ひと)落話(おとしばなし)()かせよつて、193もうもう()かうかい。194コンナ(やつ)相手(あひて)になつてゐると、195()()れてしまふワイ。196それそれ、197またど(えら)(こゑ)(きこ)えてきた。198脚下(あしもと)(あか)るいうちに何処(どこ)なと()げようぢやないか』
199(おつ)()げようたつて、200吾々(われわれ)()つてゐる大地(だいち)(うご)いてをるのだもの、201何処(どこ)()げたつて(おな)じことぢやないか』
202 (あめ)益々(ますます)(はげ)しく、203地鳴(ぢな)りは刻々(こくこく)強烈(きやうれつ)になつて()た。204一同(いちどう)真青(まつさを)(かほ)して、205四方(しはう)八方(はつぱう)(まなこ)(くば)り、206(たちま)不安(ふあん)(くも)(つつ)まるる(をり)しも、207(はやし)(しげ)みを()けて、208簑笠(みのかさ)脚絆(きやはん)軽装(けいさう)をした宣伝使(せんでんし)(すず)しき(こゑ)()()げて、
209宣伝使朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも 千尋(ちひろ)(うみ)(かわ)くとも
210 世界(せかい)(どろ)(ひた)るとも (まこと)(ちから)()(すく)ふ』
211といふ宣伝歌(せんでんか)(きこ)(はじ)めたり。212一同(いちどう)(みみ)()ましてその宣伝歌(せんでんか)()()りにける。
213大正一一・一・一四 旧大正一〇・一二・一七 藤原勇造録)
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