霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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総説(そうせつ) (あらし)(あと)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:前付 よみ(新仮名遣い):
章:総説嵐の跡 よみ(新仮名遣い):そうせつ あらしのあと 通し章番号:
口述日:1922(大正11)年01月03日(旧12月06日) 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国祖・国治立命は、逆神・常世彦(初代常世彦の息子)の反逆に対しても、天地の律法を遵守した。
邪神に憑かれた常世彦は、国祖が強い態度に出ないことにつけこんだ。国祖の部下の神々が変幻自在の奇策で邪神の企みを破ったことを、律法違反として告発したのである。
国祖は仁慈の心を持って、部下諸神人の罪悪を一身に受けて千座の置戸を負い、根底の国にご隠退されたのであった。
最初はしかるべき神司を得て善神の世であったが、数百年を経て年とともに神々は悪化してしまった。国祖の大目的は破滅してしまったのである。
しかしついに時節を待って国祖大神が再臨されたように、たとえ何度失敗を重ねようとも、最善の努力を尽くすことである。
わが身の失敗の原因は、得てして自己の責任でもある。地上天国の実現のためには、各人がまず、自己の魂を磨いて水晶の魂に建て替える、ということがなければ、とうてい実現できないのである。
しかしこれも、暗黒の中で前途の光明を見出すべし、という大神の御仁慈なのかもしれない。いかなる困窮も勇んで神の鞭として甘受するときは、もはやとらわれていない。むしろ執着心が苦痛の原因となるのである。
果たして今日の末法の世に、オレゴン星座から現れたキリストはどこに再誕再臨し、いつ衆生に安息を与えるのであろうか。
さて、八王大神を襲名した常世彦は、天津神の命によって塩長彦を奉じて地上神界の実権を握った。しかし聖地エルサレムには自己の神政に都合が悪いため、アーメニヤに神都を遷した。
一方、常世城の大鷹別は、大自在天大国彦を奉じてアーメニヤの塩長彦・常世彦に反抗を始めた。地上神界はまたしても混乱に混乱を重ね、ついには諾冊二神が降臨して、修理固成を行うに至るのである。
第一巻で金や銀の棒が変化して天地万物となった、というくだりに難癖をつける学者があるそうだが、宇宙間の森羅万象、金銀銅鉄などの鉱物を含まない存在はない。人間をはじめ動植物も、剛体すなわち玉留魂(たまつめむすび)の守護を受けているのである。
人間の小智をもって広大無辺の神界の経綸を計るべきではない。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:オリオン(オレゴン) データ凡例: データ最終更新日:2020-04-30 15:06:05 OBC :rm050003
愛善世界社版:1頁 八幡書店版:第1輯 515頁 修補版: 校定版:3頁 普及版:1頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第一巻 皇道編 > 第七篇 高天原 > 第六章 嵐の跡
001 (かしこ)くも国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)は、002逆神(ぎやくしん)常世彦(とこよひこ)以下(いか)不従(ふじゆう)(せい)するにも、003天地(てんち)律法(りつぱふ)厳守(げんしゆ)し、004仁慈(じんじ)(ほこ)(ふる)ひて奇策(きさく)神謀(しんぼう)(もち)ひたまはず、005後世(こうせい)湯王(たうわう)(けつ)(はな)ち、006武王(ぶわう)(ちう)征誅(せいちう)するごとき殺伐(さつばつ)兵法(へいはふ)をもつて、007乱虐(らんぎやく)鎮定(ちんてい)することを(この)みたまはなかつた。
008 これに(はん)常世彦(とこよひこの)(みこと)らは、009邪神(じやしん)使役(しえき)され、010後世(こうせい)いはゆる八門(はちもん)遁甲(とんかふ)(ぢん)()り、011国祖(こくそ)をして弁疏(べんそ)するの余地(よち)なからしめ、012つひに()隠退(いんたい)()むなきに(いた)らしめた。
013 狼獺(らうだつ)不仁(ふじん)なるも、014また(とき)としては神恩(しんおん)感謝(かんしや)して獣魚(じうぎよ)(そな)へ、015天神(てんしん)(まつ)り、016雛鴉(すうあ)悪食(あくしよく)なるも()反哺(はんぽ)(かう)あり、017しかるに永年(ながねん)国祖(こくそ)大神(おほかみ)仁慈(じんじ)(よく)し、018殊恩(しゆおん)(かうむ)りたる諸神(しよしん)神恩(しんおん)()て、019邪神(じやしん)六韜(りくたう)三略(さんりやく)奸計(かんけい)()せられ、020旗色(はたいろ)()なる(はう)にむかつて怒濤(どたう)のごとく(なが)(したが)ひ、021国祖(こくそ)をして所謂(いはゆる)独神而(すになりまして)隠身(すみきり)(なり)』の悲境(ひきやう)(おちい)らしめた。
022 常世城(とこよじやう)会議(くわいぎ)における森鷹彦(もりたかひこ)変装(へんさう)せる大江山(たいかうざん)鬼武彦(おにたけひこ)をはじめ、023大道別(おほみちわけ)024行成彦(ゆきなりひこ)および高倉(たかくら)025(あさひ)奇策(きさく)(ろう)し、026邪神(じやしん)奸策(かんさく)根底(こんてい)より(くつが)へしたるごとき変現(へんげん)出没(しゆつぼつ)自在(じざい)活動(くわつどう)は、027(けつ)して国祖(こくそ)関知(くわんち)したまふところに(あら)ずして、028聖地(せいち)神人(かみがみ)(てき)にたいする臨機(りんき)応変(おうへん)(てき)妙案(めうあん)奇策(きさく)にして、029よくその(こう)(そう)したりといへども、030天地(てんち)律法(りつぱふ)には『(あざむ)(なか)れ』の厳戒(げんかい)あり、031神聖(しんせい)至厳(しげん)なる神人(かみ)(もち)ふべからざる行為(かうゐ)なれば、032その(せめ)はひいて国祖(こくそ)大神(おほかみ)()位置(ゐち)神格(しんかく)(きず)つけた。033(げん)大道別(おほみちわけ)034森鷹彦(もりたかひこ)035鬼武彦(おにたけひこ)らの神策(しんさく)鬼謀(きぼう)は、036国祖(こくそ)直命(ちよくめい)にあらず、037国祖(こくそ)至仁(しじん)至直(しちよく)言霊(ことたま)をもつて邪神(じやしん)らを()(あらた)めしめ、038言向和(ことむけやは)さむとの()聖意(せいい)より(ほか)なかつた。039しかるに血気(けつき)(はや)り、040忠義(ちうぎ)(あつ)聖地(せいち)神々(かみがみ)は、041律法(りつぱふ)如何(いかん)(かへり)みるに(いとま)なく、042(ばう)(たい)するに(ばう)(もつ)てし、043(ぎやく)(たい)するに(ぎやく)(もつ)てし、044不知(しらず)不識(しらず)のあひだに各自(かくじ)神格(しんかく)(そこな)ひ、045国祖(こくそ)大御心(おほみこころ)忖度(そんたく)()なかつたためである。046アヽされど国祖(こくそ)仁愛(じんあい)無限(むげん)にして責任(せきにん)観念(かんねん)強大(きやうだい)なる、047部下(ぶか)諸神(しよしん)罪悪(ざいあく)一身(いつしん)引受(ひきう)け、048一言(いちごん)半句(はんく)弁解(べんかい)がましきことをなし(たま)はず、049雄々(をを)しくも(みづか)顕要(けんえう)地位(ちゐ)()て、050隠退(いんたい)せられたるは、051(じつ)(たふと)さのかぎりである。052吾人(ごじん)国祖(こくそ)大御心(おほみこころ)平素(へいそ)奉戴(ほうたい)して、053ある人々(ひとびと)言行(げんかう)不穏(ふおん)誤解(ごかい)結果(けつくわ)054(わが)()災厄(さいやく)遭遇(さうぐう)することしばしばである。055されど、056(こころ)(つね)洋々(やうやう)として(うみ)のごとく、057毅然(きぜん)として(やま)のごとく、058(うご)かず(さわ)がず、059すべての罪責(ざいせき)一身(いつしん)引受(ひきう)け、060もつて本懐(ほんくわい)としてゐるのである。061すべて(ひと)(しやう)たるものは、062よく(ひと)()り、063(ひと)(しん)じ、064(ひと)(にん)じ、065その正邪(せいじや)賢愚(けんぐ)推知(すゐち)して各自(かくじ)その(ところ)()せしめねばならぬのである。066しかるに部下(ぶか)選任(せんにん)余儀(よぎ)なくして、067(あやま)らしめられたるは、068自己(じこ)無知識(むちしき)薄志(はくし)弱行(じやくかう)欠点(けつてん)たるを(かへり)み、069一言(いちごん)もつぶやかず、070大神(おほかみ)仁慈(じんじ)(しもと)として感謝(かんしや)する次第(しだい)である。
071 アヽ(たふと)きかな、072千座(ちくら)置戸(おきど)()ひ、073十字架(じふじか)贖罪(しよくざい)(てき)犠牲(ぎせい)行動(かうどう)(おい)てをや。074吾人(ごじん)(つね)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)口唱(こうしやう)す。075無明(むみやう)暗黒(あんこく)現代(げんだい)(すく)ふの愉快(ゆくわい)なる神業(しんげふ)(おい)てをやである。076天下(てんか)()難事(なんじ)あり、077その(いつ)(てん)(のぼ)ること、078その()(ひと)(もと)むることである。079アヽ国祖(こくそ)大神(おほかみ)天国(てんごく)地上(ちじやう)建設(けんせつ)したまはむとして艱難(かんなん)辛苦(しんく)をつくされ、080神人(しんじん)()むとして、081その棟梁(とうりやう)最適任(さいてきにん)(かみ)()たまはざりしごとく、082吾人(ごじん)またその(れい)()れないのである。083国祖(こくそ)大神(おほかみ)は、084聖地(せいち)(きよ)(たか)(うる)はしき宮殿(きうでん)(つく)り、085至治(しち)太平(たいへい)神政(しんせい)樹立(じゆりつ)し、086天下(てんか)八百万(やほよろづ)神人(しんじん)安住(あんぢう)する祥代(しやうだい)をながめて、087歓喜(くわんき)()せたまうたのも(わづか)数百(すうひやく)(ねん)088つひに善神(ぜんしん)(とし)(とも)悪化(あくくわ)して邪神(じやしん)容器(ようき)となり、089国祖(こくそ)最初(さいしよ)大目(だいもく)(てき)破滅(はめつ)せしめたるは、090たとへば小高(こだか)山上(さんじやう)(うる)はしき(いへ)をたて、091その座敷(ざしき)から四方(しはう)風景(ふうけい)(なが)めて、092その雄大(ゆうだい)にして雅趣(がしゆ)()めるを(よろこ)びつつありしを、093家屋(かをく)周辺(しうへん)樹木(じゆもく)(すくな)く、094(かぜ)あたりの(はげ)しきを(ふせ)がむために、095種々(しゆじゆ)必要(ひつえう)なる()(うゑ)()けたるに、096(いち)()()(みじか)くして、097風景(ふうけい)眺望(てうばう)(すこ)しも障害(しやうがい)なかりしもの、098(とし)()るにしたがひ、099追々(おひおひ)成長(せいちやう)して枝葉(しえう)繁茂(はんも)し、100何時(いつ)しか遠景(ゑんけい)()()らぬやうになつたのみならず、101つひにはその大木(たいぼく)(かぜ)をふくんで、102その()屋上(をくじやう)(たふ)れ、103(いへ)(こは)し、104主人(しゆじん)までも(きず)つけたやうなものである。105()成功者(せいこうしや)といはるる人々(ひとびと)にも、106これに酷似(こくじ)した事実(じじつ)沢山(たくさん)にあらうと(おも)ふ。107(げん)吾人(ごじん)は、108(いへ)周囲(しうゐ)(うゑ)()けられた種々(しゆじゆ)樹木(じゆもく)のために、109遠望(ゑんばう)(さまた)げられ、110暗黒(あんこく)につつまれ、111つひにはその(いへ)もろともに(たふ)されて重傷(ぢうしやう)()うたやうな(ゆめ)()たのである。112されどふたたび悪夢(あくむ)()めて、113さらに立派(りつぱ)家屋(かをく)平地(へいち)()(なほ)機会(きくわい)到来(たうらい)することを確信(かくしん)するものである。114国祖(こくそ)大神(おほかみ)時節(じせつ)()つて再臨(さいりん)されしごとく、115たとへ三度(みたび)五度(ごたび)失敗(しつぱい)(かさ)ぬるとも、116機会(きくわい)(いつ)するとも、117七転(ななころび)八起(やおき)は、118(かみ)または(ひと)たるものの通常(つうじやう)わたるべき道程(だうてい)であるから、119(いく)たび失敗(しつぱい)したつて(けつ)して機会(きくわい)(いつ)したとは(おも)はない。120至誠(しせい)神明(しんめい)祈願(きぐわん)し、121天下(てんか)国家(こくか)のために最善(さいぜん)努力(どりよく)をつくすまでである。122現代(げんだい)人々(ひとびと)は、123吾身(わがみ)失敗(しつぱい)をことごとく(たな)(うへ)(まつ)りこみ、124惟神(かむながら)だとか、125社会(しやくわい)組織(そしき)欠陥(けつかん)そのものの(しか)らしむる、126自然(しぜん)結果(けつくわ)なりと(おも)ふなぞの詭弁(きべん)依帰(いき)してしまつて、127自己(じこ)責任(せきにん)については、128(すこ)しも反省(はんせい)自覚(じかく)するものがない。129宗教家(しうけうか)(なか)には『御国(みくに)(きた)らせたまへ」とか「神国(しんこく)成就(じやうじゆ)五六七(みろく)神政(しんせい)』とかいふことを、130地上(ちじやう)立派(りつぱ)形体(けいたい)完備(くわんび)せる天国(てんごく)()てることだとのみ(かんが)へてゐるものが(おほ)い。131そして地上(ちじやう)天国(てんごく)は、132各人(かくじん)がまづ自己(じこ)霊魂(れいこん)(みが)き、133水晶(すゐしやう)(みたま)建替(たてかへ)るといふことを()らぬものが沢山(たくさん)にある。134各自(かくじ)霊魂中(れいこんちう)天国(てんごく)()て、御校正本・愛世版では「天国を建てるのは」だが、それでは前後の文脈がおかしくなる。霊界物語ネットでは校定版・八幡版と同様に「るのは」を外して「天国を建て」に直した。135天国(てんごく)住民(ぢうみん)として(はづ)かしからぬ(きよ)き、136(ただ)しき、137雄々(をを)しき人間(にんげん)ばかりとならねば、138地上(ちじやう)立派(りつぱ)霊体(れいたい)一致(いつち)完全(くわんぜん)天国(てんごく)樹立(じゆりつ)せないのである。
139 アヽされど一方(いつぱう)より(かんが)ふれば、140これまた神界(しんかい)()経綸(けいりん)一端(いつたん)とも(かんが)へられる。141暗黒(あんこく)もまた清明(せいめい)光輝(くわうき)(むか)ふの径路(けいろ)である。142雛鳥(ひなどり)(うた)(をし)へるには、143(くら)(はこ)(なか)()れておき、144外面(ぐわいめん)より(こゑ)(うる)はしき親鳥(おやどり)(うた)(こゑ)()かしめると同様(どうやう)に、145(いち)()大本(おほもと)経綸(けいりん)も、146雛鳥(ひなどり)(くら)(はこ)()れて、147(そと)より親鳥(おやどり)のうるはしき(こゑ)()かしむる大神(おほかみ)()仕組(しぐみ)かとも(おも)はれぬこともないのである。148ゆゑに吾人(ごじん)大逆境(だいぎやくきやう)(おちい)つて暗黒(あんこく)(うち)にある(おも)ひをするとき、149かならず前途(ぜんと)光明(くわうみやう)(みと)()るのは、150まつたく(かみ)(たふと)()仁慈(じんじ)であると(おも)ふ。151いかなる苦痛(くつう)も、152困窮(こんきう)も、153(いさ)んで神明(しんめい)聖慮(せいりよ)仁恵(じんけい)(しもと)として甘受(かんじゆ)するときは、154神霊(しんれい)ここに活気(くわつき)凛々(りんりん)として(われ)にきたり、155苦痛(くつう)困窮(こんきう)も、156(かへつ)(かみ)恩寵(おんちよう)となつてしまふ。157たとへば(かご)(なか)()れられてゐる(とり)でも、158平気(へいき)(うた)つてゐる(とり)は、159最早(もはや)とらはれてゐるのではない。160暢気(のんき)天国(てんごく)楽園(らくゑん)(はる)(むか)へたやうなものである。161これに(はん)して、162天地(てんち)自由(じいう)翺翔(かうしやう)する百鳥(ひやくてう)も、163日々(にちにち)餌食(ゑじき)(くる)しみ、164かつ(てき)襲来(しふらい)にたいして寸時(すんじ)油断(ゆだん)することができないのは、165(かご)(とり)の、166(ひと)()はれて(しよく)(もと)むるの心労(しんらう)なく、167(てき)襲来(しふらい)(そな)ふる苦心(くしん)なきは、168()(ちう)(らく)あり(らく)(ちう)()ありてふ苦楽(くらく)不二(ふじ)真理(しんり)である。169牢獄(らうごく)囚人(しうじん)苦痛(くつう)()して、170自由人(じいうじん)(かへつ)(これ)数倍(すうばい)せる苦痛(くつう)あるも、171みな執着心(しふちやくしん)(つよ)きに()るのである。172名誉(めいよ)に、173財産(ざいさん)に、174地位(ちゐ)情欲(じやうよく)(とう)執着(しふちやく)して、175修羅(しゆら)争闘(そうとう)日夜(にちや)(しのぎ)をけづる人間(にんげん)境遇(きやうぐう)も、176(かみ)公平(こうへい)なる()より()たまへば、177(じつ)(あは)れなものである。
178 神諭(しんゆ)にも、
179(ひと)(こころ)()ちやう(ひと)つで、180その()からどんな(くる)しいことでも、181(よろこ)(いさ)んで(くら)される』
182(しめ)されたのは、183じつに至言(しげん)であると(おも)ふ。184一点(いつてん)心燈(しんとう)(くら)ければ、185天地(てんち)万有(ばんいう)一切(いつさい)(くら)く、186心天(しんてん)(あきら)けく真如(しんによ)日月(じつげつ)(かがや)(とき)は、187宇宙(うちう)万有(ばんいう)一切(いつさい)清明(せいめい)である。188吾人(ごじん)平素(へいそ)心天(しんてん)光明(くわうみやう)()らされ、189()くとして(うた)あらざるはない。190吾人(ごじん)心魂(しんこん)神恩(しんおん)(うた)ふとき、191万物(ばんぶつ)みな(うた)ひ、192あたかも天国(てんごく)浄土(じやうど)(おも)ひに(たの)しむ。193アヽ『天国(てんごく)(ちか)づけり、194()(あらた)めよ』の聖者(せいじや)教示(けうじ)195(いま)さらのごとく、196さながら基督(キリスト)肉身(にくしん)接侍(せつじ)するがごとく、197崇敬(すうけい)畏愛(ゐあい)(ねん)()へない。
198 アヽ末世(まつせ)澆季(げうき)今日(こんにち)199オレゴン星座(せいざ)より(あら)はれきたるキリストは、200(いま)何処(いづこ)出現(しゆつげん)せむとするか。201その再誕(さいたん)再臨(さいりん)聖地(せいち)は、202はたして何処(いづこ)(さだ)められしぞ。203左右(さいう)掌指(しやうし)節々(ふしぶし)に、204(くぎ)(あと)(しる)し、205背部(はいぶ)にオレゴン星座(せいざ)移写(いしや)(てき)印点(いんてん)(いう)して降誕(かうたん)したる救世主(きうせいしゆ)出現(しゆつげん)して、206衆生(しゆじやう)安息(あんそく)(あた)ふる()は、207はたして(いづ)れの()ぞ。208金剛石(こんがうせき)汚穢(をわい)身体(しんたい)(いう)する蟇蛙(ひきがへる)頭部(とうぶ)より()づることあり、209金銀(きんぎん)いかに尊貴(そんき)なりとて、210糞尿(ふんねう)植物(しよくぶつ)(こや)すに(およ)ばむや。211高山(かうざん)(いただき)かならずしも良材(りやうざい)なく、212渓間(けいかん)(ひく)(くら)きところ、213かへつて良材(りやうざい)(さん)するものである。214平地(へいち)軟土(なんど)成長(せいちやう)したる大樹(だいじゆ)215またいかに合抱(がふはう)長直(ちやうちよく)なりと(いへど)も、216(すこ)しの(かぜ)(たわ)みやすく、217()れやすし。218宇宙間(うちうかん)万物(ばんぶつ)(いつ)として苦闘(くとう)()らずして、219尊貴(そんき)位置(ゐち)(すす)むものはない。220しかるに、221天地(てんち)経綸(けいりん)大司宰(だいしさい)たる天職(てんしよく)天地(てんち)()へる人間(にんげん)にして、222(けつ)して例外(れいぐわい)たることを()ない。223アヽ人生(じんせい)における、224すべての(うる)はしきもの、225(たふと)きものは、226千辛(せんしん)万苦(ばんく)227至善(しぜん)のために苦闘(くとう)して()なくてはならぬと(おも)ふ。
228 神諭(しんゆ)()ふ、
229苦労(くらう)(かたまり)(はな)()大本(おほもと)であるぞよ、230苦労(くらう)なしには真正(まこと)(はな)()かぬから、231苦労(くらう)いたす(ほど)232(たふと)いことはないぞよ云々(うんぬん)
233 吾人(ごじん)はこの神諭(しんゆ)(はい)する(ごと)に、234国祖(こくそ)永年(ながねん)()艱苦(かんく)(かへり)み、235慙愧(ざんき)(じやう)()へないのである。
236 ここに八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこの)(みこと)は、237多年(たねん)宿望(しゆくばう)成就(じやうじゆ)して、238天津(あまつ)(かみ)(めい)()け、239盤古(ばんこ)大神(だいじん)塩長彦(しほながひこ)(ほう)じて、240地上(ちじやう)神界(しんかい)総統神(そうとうしん)(あふ)ぎ、241(みづか)らは八王(やつわう)大神(だいじん)として、242地上(ちじやう)神人(しんじん)指揮(しき)することになつた。243しかるに聖地(せいち)ヱルサレムは、244(あらた)自己(じこ)神政(しんせい)()くについては、245種々(しゆじゆ)困難(こんなん)なる事情(じじやう)あるを(おもんぱか)り、246常世姫(とこよひめ)をして竜宮城(りうぐうじやう)主管者(しゆくわんしや)として(まも)らしめ、247聖地(せいち)()て、248アーメニヤに神都(しんと)(うつ)し、249天下(てんか)諸神人(しよしん)(ひき)ゐて()(をさ)めむとした。250一方(いつぱう)常世城(とこよじやう)(まも)れる大鷹別(おほたかわけ)は、251大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)(ほう)じて総統神(そうとうしん)となし、252アーメニヤの神都(しんと)にたいして反抗(はんかう)(こころ)み、253またもや地上(ちじやう)神界(しんかい)混乱(こんらん)混乱(こんらん)をかさね、254邪神(じやしん)横行(わうかう)はなはだしく、255()むを()ず、256諾冊(なぎなみ)二神(にしん)自転倒(おのころ)(じま)(くだ)りたまひて、257海月(くらげ)()(ただよ)へる(くに)修理(しうり)固成(こせい)せむとして、258国生(くにう)み、259嶋生(しまう)み、260神生(かみう)みの神業(みわざ)(はじ)めたまひし神代(かみよ)物語(ものがたり)は、261本巻(ほんくわん)によつて(あき)らかになることと(おも)ふ。
262(かむ)ながら宇宙(うちう)(そと)()をおきて
263()()(つき)物語(ものがたり)する
264 王仁(おに)は、265第一(だいいつ)(くわん)において天地(てんち)剖判(ぼうはん)(しやう)(いた)り、266(きん)(ぎん)(ぼう)表現(へうげん)して云々(うんぬん)()べたるにたいし、267(ひと)馬鹿(ばか)にすると()つて、268コンナ馬鹿(ばか)(せつ)()くだけの価値(かち)なきものだと、269一笑(いつせう)()して(かへり)みないのみならず、270他人(たにん)研究(けんきう)までも中止(ちゆうし)せしめむとしてゐる立派(りつぱ)学者(がくしや)があるさうだ。
271 神諭(しんゆ)にも、
272図抜(づぬ)けた学者(がくしや)でないと、273途中(とちう)鼻高(はなだか)には、274(かみ)(まを)(こと)はお()()らぬぞよ云々(うんぬん)
275(しめ)されてある。276宇宙間(うちうかん)森羅(しんら)万象(ばんしやう)277(いつ)として形体(けいたい)(そな)ふるもの、278(きん)279(ぎん)280(どう)281(てつ)(とう)鉱物(くわうぶつ)包含(はうがん)せないものはない。282人間(にんげん)(はじ)め、283動植物(どうしよくぶつ)(いへ)ども、284剛体(がうたい)すなはち玉留魂(たまつめむすび)守護(しゆご)によらぬはない。285金銀(きんぎん)(とう)金気(きんき)大徳(だいとく)によつて現出(げんしゆつ)したる宇宙間(うちうかん)森羅(しんら)万象(ばんしやう)は、286悉皆(しつかい)287鉱物(くわうぶつ)玉留魂(たまつめむすび)神力(しんりき)保持(ほぢ)してゐるのであるから、288(きん)(ぼう)(ぎん)(ぼう)から天地(てんち)万物(ばんぶつ)発生(はつせい)凝固(ぎようこ)したと()つたとて、289(べつ)非科学(ひくわがく)(てき)でも(なん)でもない。290(かみ)(げん)には俗人(ぞくじん)のごとき七面倒(しちめんだう)くさきことは(あふ)せられぬ。291すべて抽象(ちうしやう)(てき)292表徴(へうちよう)(てき)で、293一二言(いちにごん)にて宇宙(うちう)真理(しんり)()らされるものである。
294 それで神諭(しんゆ)にも、
295(いち)()いて(じふ)(ひやく)(さと)身魂(みたま)でないと、296(まこと)(かみ)御用(ごよう)(つと)まらぬぞよ』
297(しめ)されてある。298半可通(はんかつう)(てき)学者(がくしや)鈍才(どんさい)浅智(せんち)をもつて、299無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)神界(しんかい)事柄(ことがら)にたいして喃々(なんなん)するは、300竿(さを)(もつ)蒼空(あをぞら)(ほし)がらち(おと)さむとする(やう)なものである。301洪大(こうだい)無限(むげん)(かみ)(ちから)(くら)べては、302(しらみ)眉毛(まゆげ)()くふ(むし)303その(むし)のまた眉毛(まゆげ)()くふ(むし)304そのまた(むし)眉毛(まゆげ)()くふ(むし)()つた(くそ)()いた(むし)が、305またその()つた(くそ)()いた(むし)の、306またその(むし)()つた(くそ)()いた(むし)(くそ)(なか)(むし)よりも、307(ちひ)さいものである。
308 ソンナ比較(ひかく)にもならぬ(むし)分際(ぶんざい)として、309洪大(こうだい)無辺(むへん)神界(しんかい)大経綸(だいけいりん)(わか)つて(たま)るものでない。310それでも人間(にんげん)万物(ばんぶつ)(ちやう)であつて、311天地(てんち)経綸(けいりん)司宰者(しさいしや)だとは、312どこで勘定(かんぢやう)()ふであらうか。313されど、314(かみ)容器(ようき)たるべき活動力(くわつどうりよく)(いう)する万物(ばんぶつ)(ちやう)たる人間(にんげん)が、315宇宙間(うちうかん)絶無(ぜつむ)とは(かみ)(あふ)せられぬのは、316いはゆる神界(しんかい)にては無形(むけい)()317無声(むせい)()き、318無算(むさん)(かぞ)へたまふてふ、319(みち)大原(たいげん)聖句(せいく)()るのであらうと(おも)ふ。
320 (のみ)(しらみ)()にもひとしき(ひと)()
321  (かみ)()すわざ(あらそ)()めや
322      大正十一年一月三日 旧十年十二月六日
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