霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四四章 夜光(やくわう)の頭(あたま)〔二四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第7篇 宣伝又宣伝 よみ(新仮名遣い):せんでんまたせんでん
章:第44章 夜光の頭 よみ(新仮名遣い):やこうのあたま 通し章番号:244
口述日:1922(大正11)年01月13日(旧12月16日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
ロッキー山のふもと、スペリオル湖では、少彦名神の宣伝使が、船に乗っていた。激しい風に湖面は荒れて、すさまじい光景を見せていた。
少彦名神が言霊を唱えると、暴風はぴたりと止んだ。船内の常世の国の人々は一様に少彦名神に感謝の念を抱いた。船客のひとりが少彦名神の素性を問うたのをきっかけに、少彦名神の船内の講話が始まった。
曰く、宇宙間には無限絶対無始無終の大国治立の大神が存在し、この世のものすべては、大神の御分霊である、と。そして船客の問いに答えて、スペリオル湖にも神はおり、あらゆる場所に神が宿るがゆえに、神を汚してはならない、と教えを説いた。
船を降りると、少彦名神は宣伝歌を歌いながら西へ西へとあてもなく進んでいった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-05 16:58:18 文字数:1700 OBC :rm0544
愛善世界社版:270頁 八幡書店版:第1輯 612頁 修補版: 校定版:275頁 普及版:113頁 初版: ページ備考:
001 ロッキー山(ざん)の山颪(やまおろし)、002世(よ)を艮(うしとら)と吹(ふ)く風(かぜ)に、003スペリオル湖(こ)の水面(すゐめん)は、004忽(たちま)ち怒濤(どたう)を捲(ま)き起(おこ)し、005小船(こぶね)を前後(ぜんご)左右(さいう)に翻弄(ほんろう)した。006ここに少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は数多(あまた)の神人(しんじん)とともに漂(ただよ)うた。007風(かぜ)は刻々(こくこく)に唸(うな)りを立(た)てて激(はげ)しくなつた。008空(そら)は一面(いちめん)の暗雲(あんうん)に鎖(とざ)され、009船(ふね)の前後(ぜんご)に数限(かずかぎ)りもなく出没(しゆつぼつ)する海坊主(うみばうず)の姿(すがた)は実(じつ)に凄(すさま)じき光景(くわうけい)である。010少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は忽(たちま)ち祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、011声(こゑ)爽(さはや)かに、
012『朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
013月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
014スペリオル湖(こ)の浪(なみ)高(たか)く
015吾(われ)らの船(ふね)は覆(かへ)るとも
016変(かは)らぬものは神心(かみごころ)
017神(かみ)の心(こころ)を胸(むね)にもち
018寄(よ)せくる怒濤(どたう)を言霊(ことたま)の
019息吹(いぶき)の狭霧(さぎり)に吹(ふ)き払(はら)ひ
020払(はら)ひ清(きよ)むる神(かみ)の道(みち)
021浪(なみ)も鎮(しづ)まれ風(かぜ)も凪(な)げ
022されどもされど常暗(とこやみ)の
023心(こころ)の暗(くら)き魔神(まがかみ)は
024慄(ふる)ひ戦(をのの)き顔(かほ)の色(いろ)
025土(つち)と鳴門(なると)の渦巻(うづまき)や
026嗚呼(ああ)凪(な)げよ凪(な)げなげ科戸彦(しなどひこ)
027科戸(しなど)の風(かぜ)の永久(とこしへ)に
028吹(ふ)くなら吹(ふ)けよ吾々(われわれ)が
029この湖水(みづうみ)を安全(あんぜん)に
030渡(わた)つた後(のち)にどつと吹(ふ)け
031今(いま)は吹(ふ)くなよふくの神(かみ)
032今(いま)は吹(ふ)くなよふくの神(かみ)』
033と暴風(ばうふう)に向(むか)つて謡(うた)へば、034不思議(ふしぎ)にもこの声(こゑ)の止(と)まると共(とも)に、035さしもの暴風(ばうふう)もぴたりと止(と)まり、036浪(なみ)は俄(にはか)に凪(な)ぎ、037海面(かいめん)は恰(あたか)も畳(たたみ)を敷(し)き詰(つ)めたるが如(ごと)き平穏(へいおん)に帰(き)してしまつた。
038 青瓢箪(あをふくべ)が寒(さむ)さに怖(お)ぢけた時(とき)のやうな面構(つらがま)へをした常世国(とこよのくに)の人々(ひとびと)も、039にはかに蘇生(そせい)の思(おも)ひをなし、040少彦名(すくなひこなの)神(かみ)に向(むか)つて、041異口(いく)同音(どうおん)に嬉(うれ)し涙(なみだ)と共(とも)に感謝(かんしや)する。
042 少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は節(ふし)面白(おもしろ)く、043例(れい)の宣伝歌(せんでんか)を唱(とな)へた。044神人(かみがみ)の中(なか)に秀(ひい)でて逞(たくま)しき、045色(いろ)浅黒(あさぐろ)き背(せ)の高(たか)き男(をとこ)は口(くち)を尖(とが)らせながら、046少彦名(すくなひこなの)神(かみ)に向(むか)ひ、
047『貴下(きか)は何(いづ)れの宣伝使(せんでんし)なるぞ、048貴下(きか)の言霊(ことたま)の威力(ゐりよく)に風(かぜ)も海(うみ)も皆(みな)従(したが)ひたり、049願(ねが)はくは御(おん)名(な)を吾(われ)らに聞(き)かせたまへ』
050と云(い)ふ。051少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は、
052『吾(われ)こそは、053この世(よ)の宝(たから)その物(もの)にたいして、054凡夫(ぼんぶ)の如(ごと)き無限(むげん)の欲望(よくばう)は少彦名(すくなひこなの)神(かみ)なり』
055と枕言葉(まくらことば)を沢山(たくさん)に並(なら)べて名乗(なの)り、056而(しか)してそろそろ大神(おほかみ)の御徳(みとく)を説(と)き始(はじ)めたりける。
057『総(すべ)てこの広大(くわうだい)無辺(むへん)の宇宙間(うちうかん)は、058無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)の全智(ぜんち)全能力(ぜんのうりよく)を有(いう)し給(たま)ふ、059一柱(ひとはしら)の大国治立(おほくにはるたち)の大神(おほかみ)御(お)座(は)しまして万有(ばんいう)を創造(さうざう)したまひ、060その至粋(しすゐ)至純(しじゆん)の神霊(しんれい)を伊都(いづ)の千別(ちわ)きに千別(ちわ)きたまうて、061海河(うみかは)山野(やまぬ)などの神人(かみがみ)を生(う)みたまうたのである。062故(ゆゑ)にこの世界(せかい)は神(かみ)の御座(いま)さぬ処(ところ)は一寸(いつすん)の間(あひだ)もない。063神(かみ)を讃美(さんび)し、064かつ神(かみ)に頼(たよ)らねば、065吾々(われわれ)は片時(かたとき)の間(ま)もこの世(よ)に生存(いきながら)へることは出来(でき)ない。066いま吾々(われわれ)が呼吸(こきふ)する息(いき)も皆(みな)神(かみ)の御息(みいき)であつて、067決(けつ)して自己(じこ)のものでなく、068昆虫(こんちう)の端(はし)に至(いた)るまで、069皆(みな)神(かみ)の慈(いつくしみ)をうけざるはない。070ゆゑに天地間(てんちかん)において最(もつと)も敬(けい)すべく親(した)しむべく信(しん)ずべく愛(あい)すべきは、071第一(だいいち)に世界(せかい)の造(つく)り主(ぬし)なるただ一柱(ひとはしら)の真(まこと)の神(かみ)なる大国治立(おほくにはるたちの)尊(みこと)の尊(たふと)さを措(を)いて外(ほか)にはないのである。072この大神(おほかみ)の聖霊(せいれい)によつて分派(ぶんぱ)出生(しゆつしやう)したる海河(うみかは)山野(やまぬ)の神人(かみがみ)もまた尊敬(そんけい)しなくてはならない、073何事(なにごと)も皆(みな)このごとき弱(よわ)き凡夫(ぼんぶ)は、074神(かみ)の力(ちから)を借(か)るより外(ほか)にはないのだ』
075と説示(せつじ)した。076船中(せんちう)の神人(かみがみ)らは各自(てんで)に口(くち)を開(ひら)いて、
077『果(はた)して宣伝使(せんでんし)の言(い)はるる如(ごと)くならば、078今(いま)このスペリオル湖(こ)の水中(すゐちう)にも神(かみ)はいますか』
079と尋(たづ)ねける。080少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は、
081『海(うみ)には海(うみ)の神(かみ)、082河(かは)には河(かは)の神(かみ)、083また船(ふね)には船(ふね)の神(かみ)がある。084決(けつ)して吾々(われわれ)は神(かみ)を汚(けが)してはならないのだ』
085 船(ふね)はだんだんと進(すす)んで西岸(せいがん)に近(ちか)づいた。086湖辺(こへん)に明滅(めいめつ)する漁火(ぎよくわ)の光(ひかり)は、087あたかも夏(なつ)の夜(よ)の暗(やみ)に螢(ほたる)の飛(と)び交(か)ふごとく、088得(え)も云(い)はれぬ光景(くわうけい)なり。089船中(せんちう)は暗(やみ)の帳(とばり)に包(つつ)まれて真黒(まつくろ)である。
090 このとき頭(あたま)のピカピカと光(ひか)つた神(かみ)は頓狂(とんきやう)な声(こゑ)をふりあげ、
091『ヤア殺生(せつしやう)な、092オレを馬鹿(ばか)にするない』
093といふ。094船(ふね)の片蔭(かたかげ)にはクスリ、095クスリと笑(わら)ふ声(こゑ)さへ聞(きこ)えてゐる。
096 廿日(はつか)の月(つき)は東(ひがし)の山(やま)の端(は)を出(い)でて皎々(かうかう)として輝(かがや)き始(はじ)めた。097第一番(だいいちばん)に禿頭(はげあたま)は鏡(かがみ)のごとく照(て)り出(だ)した。098よくよく見(み)れば、099ズクタンボー[※但馬地方の方言で「ずぶ濡れ」を意味する「ずくたんぼ」のことだと思われる。]である。100禿頭(はげあたま)は声(こゑ)を尖(とが)らし、
101『暗(やみ)の中(なか)で知(し)らぬかと思(おも)つて、102吾々(われわれ)の頭(あたま)に尿(ゆばり)をした奴(やつ)がある。103暗(くら)がりでも神(かみ)の目(め)は光(ひか)つてをるぞ、104承知(しようち)がならぬ』
105と目(め)の玉(たま)まで光(ひか)らして怒(おこ)りたてる。106傍(かたはら)にゐた屋根葺(やねふき)の手伝(てつだ)ひか、107炭焼(すみやき)のやうな顔(かほ)した黒(くろ)い男(をとこ)は立(た)ち上(あが)り、
108『海(うみ)には海(うみ)の神(かみ)があり、109船(ふね)には船(ふね)の神(かみ)が御座(いま)すと聞(き)いたから、110神(かみ)(髪(かみ))なき頭(あたま)に尿(ゆばり)ひつかけたのが何(なに)が悪(わる)い』
111と逆捻(さかねぢ)を喰(く)らはす。112禿頭(はげあたま)の男(をとこ)はぶつぶつ呟(つぶや)きながら、113湖水(こすゐ)の水(みづ)に光(ひか)つた頭(あたま)を洗(あら)ひはじめた。114船(ふね)は漸(やうや)くにして西岸(せいがん)についた。115少彦名(すくなひこなの)神(かみ)は又(また)もや宣伝歌(せんでんか)を謡(うた)ひながら、116西(にし)へ西(にし)へとあてどもなく進(すす)み行(ゆ)く。
117(大正一一・一・一三 旧大正一〇・一二・一六 加藤明子録)
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