霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 三拍子(さんびやうし)〔二〇七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第1篇 動天驚地 よみ(新仮名遣い):どうてんきょうち
章:第7章 三拍子 よみ(新仮名遣い):さんびょうし 通し章番号:207
口述日:1922(大正11)年01月05日(旧12月08日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
芳彦は、八島姫の父に仕える従者・玉純彦であった。大道別はそこで、玉純彦と八島姫に夫婦の契りを結ばせた。
八島姫はただ、父のゆるしなく結婚することにためらいを覚えたが、大道別は一通の信書を姫に差し出した。それは父・大島別からの手紙であり、八島姫は玉純彦と夫婦となって、南高山の後を継ぐべし、と書かれていた。
実は大島別自身も大道別のはからいで顕恩郷に隠れていた。玉純彦・八島姫の結婚の席にて三人は再会を果たした。そして、三人は密かに逃れて南高山に帰り、玉純彦は南高山の八王となった。
後には、白狐の旭が八島姫として顕恩郷にとどまっていた。南天王は鷹住別・春日姫に顕恩郷の王の位を譲ると宣言して、日の出の神としての神業に旅立ってしまった。
鷹住別は南天王の位を継ぐこととなり、祝宴を張った。この様子を棒岩の上から見ていた常治彦は悔しがって暴れ回った。すると、神輿はぐらついて岩の上からまっさかさまに落下してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0507
愛善世界社版:46頁 八幡書店版:第1輯 534頁 修補版: 校定版:48頁 普及版:22頁 初版: ページ備考:
001 南天王(なんてんわう)(まね)きに(おう)じ、
002『おう』
003(こた)へて(あら)はれ()でたる眉目(びもく)清秀(せいしう)美男(びなん)は、004南高山(なんかうざん)従者(じうしや)なりし玉純彦(たますみひこ)であつた。005玉純彦(たますみひこ)南天王(なんてんわう)一礼(いちれい)し、006その右側(みぎがは)()()めた。007南天王(なんてんわう)八島姫(やしまひめ)にむかひ、
008貴下(きか)にいま(めづら)しきものを(おん)()にかけむ。009(かほ)()げられよ』
010言葉(ことば)せはしく()つた。
011 八島姫(やしまひめ)は、012その(こゑ)(はげ)まされ、013ふと(かほ)()ぐるとたんに(うる)はしき男神(をがみ)の、014わが(まへ)端坐(たんざ)せるを()た。015どこやら見覚(みおぼ)えありと(おも)ひながら、016つらつらその(かほ)()つめてゐた。017玉純彦(たますみひこ)はただちに下座(げざ)(なほ)り、
018姫君(ひめぎみ)(さま)
019慇懃(いんぎん)低頭(ていとう)していつた。
020 八島姫(やしまひめ)はあわてたるごとき声色(こゑ)にて、
021『いや、022(なんぢ)玉純彦(たますみひこ)(あら)ずや、023如何(いか)にして此所(ここ)(きた)りしや』
024などと再会(さいくわい)(うれ)しさにたたみかけて、025いろいろと()ひかけたのである。026南天王(なんてんわう)満面(まんめん)(ゑみ)(ふく)みながら、
027『われは今日(こんにち)ただ(いま)028(ひめ)心中(しんちう)(うけたま)はりたる(うへ)は、029(いま)となつて(いな)みたまふまじ。030われ唯今(ただいま)月下氷人(なかうど)となつて、031玉純彦(たますみひこ)とともに夫婦(ふうふ)となり、032幾久(いくひさ)しく同棲(どうせい)して、033神業(しんげふ)参加(さんか)せられよ』
034()(わた)した。035玉純彦(たますみひこ)(かほ)にも、036八島姫(やしまひめ)(かほ)にも、037さつと紅葉(もみぢ)()つた。
038 このとき(つぎ)()より鷹住別(たかすみわけ)039春日姫(かすがひめ)銚子(てうし)(たづさ)へ、040悠々(いういう)として二人(ふたり)(まへ)(あら)はれ、041夫婦(ふうふ)(さかづき)()らしめむとした。042八島姫(やしまひめ)(なに)(おも)ひけむ、
043(しばら)()たせたまへ』
044()つて、045また(なみだ)打沈(うちしづ)んだ。
046 南天王(なんてんわう)は、
047(ひめ)心中(しんちう)たしかに()(さつ)(まを)す。048されど(おん)(ちち)大島別(おほしまわけ)はおひおひ(とし)()いたまひ、049(ひめ)所在(しよざい)(さが)(もと)めてわれに(おく)れよ、050との度々(たびたび)依頼(いらい)なれど、051われは(とき)(いま)(いた)らずとして、052今日(けふ)までこれを貴下(きか)()げざりしが、053この信書(しんしよ)披見(ひけん)されよ』
054(かたはら)(うつは)より封書(ふうしよ)取出(とりいだ)し、055八島姫(やしまひめ)(わた)した。056八島姫(やしまひめ)不審(ふしん)面色(おももち)にて、057その信書(しんしよ)()()り、058つくづく(なが)むれば、059(まが)(かた)なき(ちち)手蹟(しゆせき)であつた。060(ひめ)(むね)はあたかも早鐘(はやがね)()くごとくであつた。061(とどろ)(むね)押鎮(おししづ)め、062(しづ)かに(ふう)押切(おしき)つて(なが)むれば、063()のごとき信文(しんぶん)(すみ)黒々(くろぐろ)()(しる)されてあつた。064その文面(ぶんめん)()ふ、
065(われ)南高山(なんかうざん)八王(やつわう)として、066国祖(こくそ)大神(おほかみ)信任(しんにん)(かたじけ)なうし(きた)りしに、067盤古(ばんこ)大神(だいじん)(しろ)しめす神政(しんせい)となりたれども、068仁慈(じんじ)(あつ)盤古(ばんこ)大神(だいじん)は、069われを(もと)のごとく八王(やつわう)(にん)じたまふ。070されど宰相神(さいしやうじん)なる八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこ)の、071何時(なんどき)変心(へんしん)して(わが)(しよく)(うば)ひ、072かつ(われ)らを(ほろ)ぼさむも(はか)りがたし。073(なんぢ)八島姫(やしまひめ)074(いち)(にち)(はや)本城(ほんじやう)立帰(たちかへ)り、075忠良(ちうりやう)にしてかつ勇猛(ゆうまう)なる侍者(じしや)玉純彦(たますみひこ)夫婦(ふうふ)になり、076わが(あと)()げよ。077アヽされど玉純彦(たますみひこ)は、078常世城(とこよじやう)会議(くわいぎ)以後(いご)(なんぢ)(あと)()ひ、079世界(せかい)各地(かくち)(たづ)(まは)り、080(いま)にその行方(ゆくへ)()らず。081(さいは)ひに国祖(こくそ)大神(おほかみ)保護(ほご)によつて、082玉純彦(たますみひこ)再会(さいくわい)せば、083その(とき)こそは、084()出神(でのかみ)媒介(ばいかい)にて夫婦(ふうふ)となり、085すみやかに南高山(なんかうざん)帰城(きじやう)し、086(ちち)(こころ)(なぐさ)めよ』
087との信文(しんぶん)であつた。088八島姫(やしまひめ)はこれを()るより(かほ)をますます(あか)らめながら、089感謝(かんしや)(なみだ)とともに、090その信書(しんしよ)南天王(なんてんわう)()(うやうや)しく奉還(ほうくわん)した。
091 ここに二神(にしん)結婚(けつこん)(しき)()げた。092八島姫(やしまひめ)(こころ)のうちに、093万一(まんいち)かかる目出度(めでた)(うれ)しき結婚(けつこん)(せき)に、094ただ一柱(ひとはしら)()ひたる(ちち)(のぞ)(たま)ふことあらば、095如何(いか)(よろこ)びたまはむと、096またもや(うつ)むいて思案(しあん)()るるもののやうであつた。
097 ここに南天王(なんてんわう)玉純彦(たますみひこ)にむかひ、
098(なんぢ)(いま)ここに(ちち)(いま)さざれば、099われは媒酌(ばいしやく)(けん)(ちち)となつて、100この(しき)(れつ)すべし』
101といつた。102そして、
103八島姫(やしまひめ)(ちち)(いま)せば、104(いま)ここにて対面(たいめん)せしむべし』
105()(はな)つた。106八島姫(やしまひめ)(いち)(ゑん)合点(がてん)がゆかず、107はるばる(とほ)南高山(なんかうざん)(おは)すわが(ちち)に、108神変(しんぺん)不思議(ふしぎ)神力(しんりき)あればとて、109(いま)この()にすみやかに(あら)はれまさむ理由(りいう)なし。110(いぶ)かしや、111(うつむ)きたる(かうべ)()ぐる()のとたん、112不思議(ふしぎ)や、113わが(ちち)大島別(おほしまわけ)114南天王(なんてんわう)よりも上座(じやうざ)(ひか)へてゐた。115ここに顕恩郷(けんおんきやう)は、116親子(おやこ)夫婦(ふうふ)対面(たいめん)(とき)ならぬ喜悦(よろこび)(はな)()ち、117一同(いちどう)(こゑ)をそろへて神恩(しんおん)感謝(かんしや)し、118その天恩(てんおん)(あつ)きに感激(かんげき)した。
119 (いま)まではこの(きやう)川北郷(せんほくきやう)といひしを、120この(たび)(こと)ありてより顕恩郷(けんおんきやう)()づけられた。121さうして玉純彦(たますみひこ)は、122(ちち)(とも)南高山(なんかうざん)(よる)ひそかに(のが)れて(かへ)り、123南高山(なんかうざん)八王(やつわう)となつた。124そして顕恩郷(けんおんきやう)宮殿(きうでん)には、125白狐(びやくこ)(あさひ)依然(いぜん)として八島姫(やしまひめ)(へん)じて、126南天王(なんてんわう)側近(そばちか)(つか)へた。127南天王(なんてんわう)はこの(きやう)数多(あまた)神人(かみがみ)らを殿内(でんない)召集(せうしふ)し、128大王(だいわう)(くらゐ)をわが()鷹住別(たかすみわけ)(ゆづ)ることを宣示(せんじ)した。129神人(かみがみ)(いち)()もなく()()つて慶賀(けいが)し、130鷹住別(たかすみわけ)大王(だいわう)(あふ)いだ。
131 そして(まへ)南天王(なんてんわう)たる()(での)(かみ)夜陰(やいん)(まぎ)れて、132何処(いづこ)ともなく神界(しんかい)経綸(けいりん)神業(しんげふ)()でてしまつた。133神人(かみがみ)らは夜中(やちう)(ぜん)南天王(なんてんわう)(てん)(かへ)らせ(たま)ひしものと(しん)じて(すこ)しも(うたが)はなかつた。134神人(かみがみ)らは(ぜん)大王(だいわう)天上(てんじやう)(かへ)りたまひしを()しみ、135山野(さんや)河海(かかい)珍物(うましもの)岩上(がんじやう)(なら)べ、136これを奉斎(ほうさい)し、137感謝(かんしや)(こゑ)(はな)ち、138果物(くだもの)(さけ)()ひ、139またもや()()ち、140(うた)()(さわ)(たて)た。141鷹住別(たかすみわけ)はここに王冠(わうくわん)(いただ)き、142春日姫(かすがひめ)とともに棒岩(ぼういは)(そば)にいたり祝宴(しゆくえん)()つた。143神人(かみがみ)らは二神(にしん)(むか)つて(かは)るがはる(さかづき)(たてまつ)つた。
144 棒岩(ぼういは)(うへ)安置(あんち)されたる常治彦(とこはるひこ)は、145(とびら)をひらき(した)見下(みおろ)せば、146わがもつとも(あい)する塩治姫(しほはるひめ)が、147鷹住別(たかすみわけ)(むつ)まじさうに夫婦(ふうふ)となつて、148神人(かみがみ)らの祝盃(しゆくはい)()けてゐるやうに()えたので、149常治彦(とこはるひこ)歯噛(はが)みをなして口惜(くや)しがり、150輿(こし)のなかを前後(ぜんご)左右(さいう)(あば)(まは)つた。151すこしの(かぜ)にもぐらつくこの棒岩(ぼういは)は、152常治彦(とこはるひこ)雄叫(をたけ)びによつて非常(ひじやう)動揺(どうえう)せるとたん、153輿(こし)もろとも谷間(たにま)真逆(まつさか)(さま)顛落(てんらく)してしまつた。
154 この結果(けつくわ)は、155如何(どう)なるであらうか。
156大正一一・一・五 旧大正一〇・一二・八 外山豊二録)
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