霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第18巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 弥仙の神山
01 春野の旅
〔629〕
02 厳の花
〔630〕
03 神命
〔631〕
第2篇 再探再険
04 四尾山
〔632〕
05 赤鳥居
〔633〕
06 真か偽か
〔634〕
第3篇 反間苦肉
07 神か魔か
〔635〕
08 蛙の口
〔636〕
09 朝の一驚
〔637〕
10 赤面黒面
〔638〕
第4篇 舎身活躍
11 相身互
〔639〕
12 大当違
〔640〕
13 救の神
〔641〕
第5篇 五月五日祝
14 蛸の揚壺
〔642〕
15 遠来の客
〔643〕
16 返り討
〔644〕
17 玉照姫
〔645〕
霊の礎(四)
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第18巻
> 第3篇 反間苦肉 > 第7章 神か魔か
<<< 真か偽か
(B)
(N)
蛙の口 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第七章
神
(
かみ
)
か
魔
(
ま
)
か〔六三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻
篇:
第3篇 反間苦肉
よみ(新仮名遣い):
はんかんくにく
章:
第7章 神か魔か
よみ(新仮名遣い):
かみかまか
通し章番号:
635
口述日:
1922(大正11)年04月25日(旧03月29日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年2月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
七八人のウラナイ教の手下たちが、普甲峠の麓で雑談にふけっている。ウラナイ教は三五教に教勢を奪われ、最近は高姫、黒姫の機嫌がすこぶる悪いという。
手下たちはそこで、一計を案じて策略で信者をこしらえることにした。
丑公、寅公、辰公、鷹公、鳶公の五人がバラモン教の兇徒に扮して、三五教の夫婦の参詣者を襲った。そこへ、梅公、浅公、幾公の三人がウラナイ教の宣伝使として登場し、言霊の神力で兇徒を蹴散らす芝居を行った。
夫婦は、綾彦とお民と言った。すっかりウラナイ教の神力と慈悲を信じてしまった。ウラナイ教の男たちは、宿も提供すると言って、二人を魔窟ケ原へと連れて来た。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-03-15 17:42:29
OBC :
rm1807
愛善世界社版:
111頁
八幡書店版:
第3輯 678頁
修補版:
校定版:
115頁
普及版:
50頁
初版:
ページ備考:
001
四方
(
よも
)
の
山々
(
やまやま
)
紅葉
(
もみぢ
)
して
002
錦
(
にしき
)
織
(
おり
)
なす
佐保姫
(
さほひめ
)
が
003
衣
(
ころも
)
を
飾
(
かざ
)
る
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
004
日脚
(
ひあし
)
短
(
みじか
)
き
山坂
(
やまさか
)
を
005
下
(
くだ
)
つて
来
(
きた
)
るウラナイの
006
道
(
みち
)
の
教
(
をしへ
)
のヘボ
司
(
つかさ
)
。
007
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
、
008
普甲峠
(
ふかふたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に
休
(
やす
)
らひ
乍
(
なが
)
ら、
009
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
り
居
(
ゐ
)
る。
010
甲
(
かふ
)
『
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
比沼
(
ひぬ
)
真名井
(
まなゐ
)
の
参詣者
(
さんけいしや
)
は、
011
随分
(
ずゐぶん
)
沢山
(
たくさん
)
にあるではないか。
012
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
到頭
(
たうとう
)
あの
聖地
(
せいち
)
を
占領
(
せんりやう
)
して
了
(
しま
)
ひよつて、
013
終
(
しまひ
)
にはウラナイ
教
(
けう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまの
懐刀
(
ふところがたな
)
とまで
持
(
も
)
て
囃
(
はや
)
された
青彦
(
あをひこ
)
までが、
014
たうとう
三五教
(
あななひけう
)
へ
陥落
(
かんらく
)
して
了
(
しま
)
ひよつた。
015
音彦
(
おとひこ
)
、
016
加米彦
(
かめひこ
)
両人
(
りやうにん
)
も
変
(
へん
)
な
奴
(
やつ
)
だが、
017
何時
(
いつ
)
陥落
(
かんらく
)
するか
分
(
わか
)
りやしないぞ。
018
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまや、
019
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
つたらないぢやないか。
020
なぜあの
様
(
やう
)
に
何
(
なん
)
でもない
事
(
こと
)
にツンケンと
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
を
立
(
た
)
てるのだらう』
021
乙
(
おつ
)
『きまつた
事
(
こと
)
よ。
022
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
、
023
路傍
(
ろばう
)
宣伝
(
せんでん
)
をやつて
居
(
を
)
つても、
024
一
(
ひと
)
つも
土産
(
みやげ
)
がないものだから、
025
誰
(
たれ
)
だつて
吾々
(
われわれ
)
の
様
(
やう
)
な
喰
(
くら
)
ひ
潰
(
つぶ
)
しを、
026
沢山
(
たくさん
)
養
(
やしな
)
うて
置
(
お
)
くのは
詰
(
つま
)
らぬから、
027
自然
(
しぜん
)
に
黒姫
(
くろひめ
)
さまだつて
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
悪
(
わる
)
くなるのは
当然
(
あたりまへ
)
だ。
028
何時
(
いつ
)
も
仰有
(
おつしや
)
るだらう。
029
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
一人
(
ひとり
)
が
一人
(
ひとり
)
づつ
信者
(
しんじや
)
を
拵
(
こしら
)
へて
来
(
く
)
れば、
030
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
で
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
の
信者
(
しんじや
)
が
出来
(
でき
)
る。
031
その
信者
(
しんじや
)
が
又
(
また
)
一人
(
ひとり
)
づつ
殖
(
ふ
)
やして
行
(
ゆ
)
けば、
032
別
(
べつ
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
がなくても、
033
自然
(
しぜん
)
に
教線
(
けうせん
)
が
拡
(
ひろ
)
まると
仰有
(
おつしや
)
つただらう。
034
それに
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
、
035
斯
(
か
)
うして
往来
(
ゆきき
)
の
人
(
ひと
)
を
掴
(
つか
)
まへて
宣伝
(
せんでん
)
にかかつて
居
(
を
)
つても、
036
誰一人
(
たれひとり
)
帰順
(
きじゆん
)
する
者
(
もの
)
がないぢやないか。
037
比沼
(
ひぬ
)
の
真名井
(
まなゐ
)
さまは、
038
三月
(
みつき
)
に
一遍
(
いつぺん
)
位
(
くらゐ
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
丈
(
だけ
)
だ。
039
それに
自然
(
ひとりで
)
に
信者
(
しんじや
)
が
殖
(
ふ
)
えて
来
(
く
)
る。
040
それだから、
041
要
(
えう
)
するに
吾々
(
われわれ
)
はモ
一
(
ひと
)
つどつかに
徹底
(
てつてい
)
せない
所
(
ところ
)
があるのだらう。
042
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
とかして、
043
一人
(
ひとり
)
でも
入信者
(
にふしんじや
)
を
拵
(
こしら
)
へて
帰
(
い
)
ななくては、
044
合
(
あ
)
はす
顔
(
かほ
)
がないぢやないか』
045
丙
(
へい
)
『さうだと
言
(
い
)
つて、
046
来
(
こ
)
ぬ
者
(
もの
)
を
無理
(
むり
)
に
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱ
)
つて
帰
(
い
)
ンだ
所
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
047
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から……アヽ、
048
ウラナイ
教
(
けう
)
は
有難
(
ありがた
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
云
(
い
)
ふ
感
(
かん
)
じを
与
(
あた
)
へてやらねば、
049
本当
(
ほんたう
)
の
信仰
(
しんかう
)
に
導
(
みちび
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぢやないか』
050
甲
(
かふ
)
『それもさうだが、
051
何
(
なん
)
ぞ
良
(
い
)
い
方法
(
はうはふ
)
は
有
(
あ
)
るまいかなア。
052
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
し
教理
(
けうり
)
を
研究
(
けんきう
)
して
説
(
と
)
き
立
(
た
)
てるのだが、
053
どうしたものか、
054
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
になるとみな
逃
(
に
)
げて
了
(
しま
)
ふ。
055
偶
(
たまたま
)
信者
(
しんじや
)
が
出来
(
でき
)
たと
思
(
おも
)
へば、
056
青彦
(
あをひこ
)
やお
節
(
せつ
)
の
様
(
やう
)
に、
057
直
(
すぐ
)
に
三五教
(
あななひけう
)
へ
走
(
はし
)
つて
了
(
しま
)
ふ。
058
本当
(
ほんたう
)
に
妙
(
めう
)
だなア』
059
丁
(
てい
)
『
目的
(
もくてき
)
は
手段
(
しゆだん
)
を
選
(
えら
)
ばずと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がある。
060
一
(
ひと
)
つ、
061
是
(
こ
)
れ
丈
(
だけ
)
チヨイチヨイ
詣
(
まゐ
)
る、
062
比沼
(
ひぬ
)
の
真名井
(
まなゐ
)
の
参詣者
(
さんけいしや
)
を
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
て
入信
(
にふしん
)
させたらどうだ』
063
乙
(
おつ
)
『
何
(
なん
)
ぞ
良
(
い
)
い
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
があるのか』
064
丁
(
てい
)
『あるともあるとも、
065
併
(
しか
)
しお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
様
(
やう
)
な
馬鹿
(
ばか
)
正直者
(
しやうぢきもの
)
では、
066
到底
(
たうてい
)
出来
(
でき
)
ない
芸当
(
げいたう
)
だから、
067
先
(
ま
)
づ
発表
(
はつぺう
)
は
見合
(
みあ
)
はす
事
(
こと
)
にしようかい』
068
丙
(
へい
)
『さうだと
言
(
い
)
つて、
069
今日
(
けふ
)
も
又
(
また
)
獲物
(
えもの
)
なしに
帰
(
かへ
)
る
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
070
日
(
ひ
)
はズツプリ
暮
(
く
)
れて
了
(
しま
)
つたなり、
071
内
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
して、
072
麦飯
(
むぎめし
)
も
頂
(
いただ
)
けぬぢやないか。
073
ドンナ
手段
(
しゆだん
)
でも
構
(
かま
)
はぬ、
074
良
(
い
)
い
方法
(
はうはふ
)
があるなら
教
(
をし
)
へて
呉
(
く
)
れ』
075
丁
(
てい
)
『
何
(
なん
)
でも
俺
(
おれ
)
の
言
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
にするか、
076
俺
(
おれ
)
の
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
を
用
(
もち
)
ゐたら
成功
(
せいこう
)
疑
(
うたが
)
ひなしだ。
077
天
(
てん
)
に
口
(
くち
)
あり
壁
(
かべ
)
に
耳
(
みみ
)
、
078
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
では
言
(
い
)
はれぬが、
079
実
(
じつ
)
は
斯
(
か
)
う
斯
(
か
)
う
斯
(
か
)
ういふ
手段
(
しゆだん
)
だ』
080
と
一同
(
いちどう
)
の
耳元
(
みみもと
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ
何事
(
なにごと
)
か
囁
(
ささや
)
いた。
081
一同
(
いちどう
)
は、
082
一同
『
合点
(
がつてん
)
だ
合点
(
がつてん
)
だ』
083
と
唸
(
うなづ
)
き、
084
大道
(
だいだう
)
の
中央
(
まんなか
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
085
横
(
よこ
)
になつて
道
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
086
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
うた
気分
(
きぶん
)
で
寝転
(
ねころ
)
ンだ。
087
甲
(
かふ
)
乙
(
おつ
)
丙
(
へい
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
依然
(
いぜん
)
として
傍
(
かたはら
)
の
森林
(
しんりん
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
088
日
(
ひ
)
はズツプリと
暮
(
く
)
れ、
089
誰彼
(
たれかれ
)
の
顔
(
かほ
)
も
見
(
み
)
えなくなつて
了
(
しま
)
つた。
090
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
より
男女
(
だんぢよ
)
の
二人
(
ふたり
)
、
091
ひそひそと
囁
(
ささや
)
き
乍
(
なが
)
ら、
092
斯
(
か
)
かる
計略
(
たくみ
)
のありとは、
093
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
知
(
し
)
る
由
(
よし
)
もなく、
094
空
(
そら
)
の
星
(
ほし
)
や
山
(
やま
)
の
形
(
かたち
)
、
095
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
などを
目標
(
めあて
)
に、
096
覚束
(
おぼつか
)
なげに
歩
(
あゆ
)
み
来
(
きた
)
り、
097
一人
(
ひとり
)
の
横腹
(
よこはら
)
をグツと
踏
(
ふ
)
み、
098
『キヤツ』と
驚
(
おどろ
)
き
逃
(
に
)
げむとする
途端
(
とたん
)
に、
099
二人
(
ふたり
)
は
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
腹
(
はら
)
、
100
脚
(
あし
)
の
辺
(
あた
)
りを
踏
(
ふ
)
み、
101
辷
(
すべ
)
つてバツタリと
倒
(
たふ
)
れたり。
102
丑公
(
うしこう
)
『タヽヽ
誰
(
たれ
)
ぢやい、
103
俺
(
おれ
)
の
睾丸
(
きんたま
)
を
踏
(
ふ
)
みよつて……
馬鹿
(
ばか
)
にしやがる』
104
寅公
(
とらこう
)
『
俺
(
おれ
)
も
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
か、
105
腰
(
こし
)
を
踏
(
ふ
)
みよつた』
106
辰公
(
たつこう
)
『アイタヽヽ、
107
腹
(
はら
)
をグサと
踏
(
ふ
)
みよつて………ヤイヤイ
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
だ、
108
人
(
ひと
)
の
体
(
からだ
)
を
土足
(
どそく
)
にかけて……
一体
(
いつたい
)
何
(
なに
)
をするのだ。
109
……オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
110
起
(
お
)
きぬかい、
111
此奴
(
こいつ
)
ア
何
(
なん
)
でも
夫婦
(
めをと
)
連
(
づれ
)
と
見
(
み
)
える。
112
モウ
量見
(
りやうけん
)
ならぬ、
113
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
叩
(
たた
)
き
延
(
の
)
ばし、
114
フン
縛
(
じば
)
つて、
115
宮津
(
みやづ
)
の
海
(
うみ
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
ンだろうかい』
116
一同
『
賛成
(
さんせい
)
々々
(
さんせい
)
』
117
と
何
(
いづ
)
れも
作
(
つく
)
り
声
(
ごゑ
)
、
118
滅多
(
めつた
)
矢鱈
(
やたら
)
に
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
叩
(
たた
)
きつける。
119
男
(
をとこ
)
『コレハコレハ
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
120
あまり
暗
(
くら
)
いものですから、
121
足許
(
あしもと
)
も
見
(
み
)
えず……どうぞ
御
(
ご
)
勘弁
(
かんべん
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
下
(
くだ
)
さいませ』
122
寅公
(
とらこう
)
『ナーニ
勘弁
(
かんべん
)
も
糞
(
くそ
)
もあるものか。
123
俺
(
おれ
)
を
誰
(
たれ
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
やがる。
124
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
一
(
いち
)
の
乾児
(
こぶん
)
、
125
鬼虎
(
おにとら
)
だぞ。
126
モウ
斯
(
か
)
うなる
以上
(
いじやう
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つたつて、
127
叩
(
たた
)
き
延
(
の
)
ばし、
128
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
へ
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
129
手足
(
てあし
)
をもぎ
取
(
と
)
り、
130
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
にしてやるか、
131
さもなくば
海
(
うみ
)
へぶち
込
(
こ
)
むか、
132
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つだ、
133
……オイ
兄弟
(
きやうだい
)
、
134
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
に
無礼
(
ぶれい
)
を
加
(
くは
)
へた
代物
(
しろもの
)
だ、
135
此奴
(
こいつ
)
二人
(
ふたり
)
共
(
とも
)
殺
(
や
)
つて
了
(
しま
)
へ』
136
一同
『ヨーシ』
137
と
又
(
また
)
もや
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
叩
(
たた
)
く、
138
踏
(
ふ
)
む、
139
蹴
(
け
)
る、
140
有
(
あ
)
らむ
限
(
かぎ
)
りの
打擲
(
ちやうちやく
)
をやつて
居
(
ゐ
)
る。
141
女
(
をんな
)
は
悲鳴
(
ひめい
)
を
揚
(
あ
)
げ、
142
女
『
人殺
(
ひとごろ
)
しイ
人殺
(
ひとごろ
)
しイ』
143
丑公
(
うしこう
)
『ナーニ、
144
人殺
(
ひとごろ
)
しとは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だ、
145
スツテの
事
(
こと
)
で
俺
(
おれ
)
を
踏
(
ふ
)
み
殺
(
ころ
)
さうとしやがつたぢやないか。
146
まかり
違
(
ちが
)
へば
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が
殺
(
ころ
)
される
所
(
ところ
)
だ。
147
殺
(
ころ
)
すか、
148
殺
(
ころ
)
されるか、
149
どちらかが
死
(
し
)
ぬのだ、
150
モウ
斯
(
か
)
うなる
以上
(
いじやう
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
151
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
制敗
(
せいばい
)
をしてやらう』
152
男
(
をとこ
)
『お
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちませうが、
153
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
不調法
(
ぶてうはふ
)
、
154
どうぞ
今度
(
こんど
)
ばかりはお
見逃
(
みのが
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
155
寅公
(
とらこう
)
『ヤア
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
つても
一度
(
いちど
)
量見
(
りやうけん
)
ならぬと
言
(
い
)
つたら、
156
金輪
(
こんりん
)
奈落
(
ならく
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
量見
(
りやうけん
)
ならぬのだ。
157
オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
158
槍
(
やり
)
だ、
159
刀
(
かたな
)
だ、
160
早
(
はや
)
く
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
い。
161
………コラ
夫婦
(
ふうふ
)
の
奴
(
やつ
)
、
162
貴様
(
きさま
)
が
来
(
く
)
ると
思
(
おも
)
つて
最前
(
さいぜん
)
から、
163
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
手下
(
てした
)
を
四辺
(
あたり
)
の
森林
(
しんりん
)
に
忍
(
しの
)
ばせ、
164
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た』
165
と
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
に
向
(
むか
)
つて
殻竿勝
(
からざをがち
)
の
様
(
やう
)
に
叩
(
たた
)
きつける。
166
夫婦
(
ふうふ
)
は
悲鳴
(
ひめい
)
をあげ、
167
夫婦
『
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れイ
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れイ』
168
と
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ。
169
忽
(
たちま
)
ち
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれた
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
大男
(
おほをとこ
)
、
170
大男
『ヤアヤア
吾
(
われ
)
こそはウラナイ
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ。
171
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
家来
(
けらい
)
の
奴輩
(
やつばら
)
、
172
仮令
(
たとへ
)
何百
(
なんびやく
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
、
173
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
以
(
もつ
)
て、
174
汝
(
なんじ
)
悪魔
(
あくま
)
の
一群
(
ひとむれ
)
、
175
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
滅
(
ほろぼ
)
し
呉
(
く
)
れむ、
176
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
177
寅公
(
とらこう
)
『
何
(
なに
)
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
178
何程
(
なにほど
)
神力
(
しんりき
)
があると
言
(
い
)
つても、
179
多寡
(
たくわ
)
が
知
(
し
)
れた
二人
(
ふたり
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
木端
(
こつぱ
)
武者
(
むしや
)
、
180
味方
(
みかた
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
、
181
グヅグヅ
吐
(
ぬか
)
さず、
182
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れツ。
183
吾々
(
われわれ
)
に
無礼
(
ぶれい
)
を
働
(
はたら
)
いた
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
、
184
是
(
こ
)
れより
制敗
(
せいばい
)
する
所
(
ところ
)
だ。
185
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
行動
(
かうどう
)
を
妨
(
さまた
)
ぐると、
186
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
諸
(
もろ
)
共
(
とも
)
手足
(
てあし
)
を
縛
(
しば
)
り
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
へ
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
187
五体
(
ごたい
)
をグタグタに
切
(
き
)
つて
切
(
き
)
つて
切
(
き
)
り
屠
(
はふ
)
り、
188
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
にして
呉
(
く
)
れむ、
189
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
190
大男
(
おほをとこ
)
『ハヽヽヽ、
191
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがる、
192
何
(
なに
)
ほど
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
家来
(
けらい
)
、
193
仮令
(
たとへ
)
百万
(
ひやくまん
)
千万
(
せんまん
)
一度
(
いちど
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
、
194
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神力
(
しんりき
)
、
195
唯
(
ただ
)
一本
(
いつぽん
)
の
指先
(
ゆびさき
)
にて、
196
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
を
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
斬
(
き
)
り
立
(
た
)
て
薙立
(
なぎた
)
て、
197
海
(
うみ
)
の
藻屑
(
もくづ
)
と
致
(
いた
)
し
呉
(
く
)
れむ、
198
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
せ』
199
辰公
(
たつこう
)
『ヤアヤア
家来
(
けらい
)
の
奴輩
(
やつばら
)
、
200
此
(
この
)
両人
(
りやうにん
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
201
邪魔
(
じやま
)
ひろぐウラナイ
教
(
けう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴輩
(
やつばら
)
、
202
四方
(
しはう
)
より
取囲
(
とりかこ
)
み、
203
槍
(
やり
)
を
以
(
もつ
)
て
唯
(
ただ
)
一突
(
ひとつ
)
き、
204
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
へ
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
れ』
205
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
、
206
暗
(
くら
)
がりより、
207
男
(
をとこ
)
『ヤア
鬼
(
おに
)
の
奴輩
(
やつばら
)
、
208
ウラナイ
教
(
けう
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
喰
(
くら
)
つて
見
(
み
)
よ、
209
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
もビクとも
致
(
いた
)
さぬ
様
(
やう
)
に、
210
霊縛
(
れいばく
)
を
加
(
くは
)
へて
呉
(
く
)
れむ。
211
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
六
(
むゆ
)
七
(
なな
)
八
(
や
)
九
(
ここの
)
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
』
212
丑
(
うし
)
、
213
寅
(
とら
)
を
始
(
はじ
)
め
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
214
五人
『アイタヽヽ。
215
痛
(
いた
)
いワ
痛
(
いた
)
いワ、
216
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
石地蔵
(
いしぢざう
)
の
様
(
やう
)
になつて
動
(
うご
)
きよらぬ………オイもしウラナイ
教
(
けう
)
の
大先生
(
だいせんせい
)
達
(
たち
)
、
217
如何
(
いか
)
なる
鬼
(
おに
)
の
乾児
(
こぶん
)
の
吾々
(
われわれ
)
も
是
(
こ
)
れには
閉口
(
へいこう
)
致
(
いた
)
します。
218
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
だ。
219
どうぞ
霊縛
(
れいばく
)
を
解
(
と
)
いて
下
(
くだ
)
さい。
220
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
してモウ
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
には
相手
(
あひて
)
にはなりませぬ、
221
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
は
吾々
(
われわれ
)
を
土足
(
どそく
)
にかけた
無礼者
(
ぶれいもの
)
、
222
これ
丈
(
だけ
)
はどうしても
貰
(
もら
)
うて
帰
(
かへ
)
ります』
223
暗中
(
あんちう
)
より、
224
声(浅公、幾公、梅公)
『まださう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
すと、
225
今度
(
こんど
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
つて、
226
汝
(
なんぢ
)
が
五体
(
ごたい
)
をグタグタに
解体
(
かいたい
)
しよか。
227
サアどうぢや、
228
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
…………』
229
五人
『アイタヽヽ、
230
ヤア
叶
(
かな
)
はぬ
叶
(
かな
)
はぬ、
231
どうぞ
勘忍
(
かんにん
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
232
暗
(
くら
)
がりより、
233
声(浅公、幾公、梅公)
『ソンナラ
汝
(
なんぢ
)
を
赦
(
ゆる
)
して
遣
(
つか
)
はす。
234
二人
(
ふたり
)
を
此処
(
ここ
)
に
残
(
のこ
)
して
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れ…………ヤイヤイ
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
の
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
鬼
(
おに
)
の
眷族
(
けんぞく
)
共
(
ども
)
、
235
手足
(
てあし
)
が
動
(
うご
)
かなくなつて
物
(
もの
)
も
言
(
い
)
へず、
236
憐
(
あは
)
れな
者
(
もの
)
だ。
237
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
今日
(
けふ
)
は
特別
(
とくべつ
)
を
以
(
もつ
)
て
赦
(
ゆる
)
してやらう。
238
黙
(
だま
)
つてサツサと
大江山
(
おほえやま
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
け…………ヤイそこな
腰抜
(
こしぬけ
)
共
(
ども
)
、
239
貴様
(
きさま
)
も
早
(
はや
)
く
立去
(
たちさ
)
らぬか』
240
寅
(
とら
)
、
241
丑
(
うし
)
、
242
鷹
(
たか
)
、
243
辰
(
たつ
)
、
244
鳶
(
とび
)
、
245
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
246
五人
『
逃
(
に
)
げと
仰有
(
おつしや
)
つても、
247
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も、
248
チツトも
動
(
うご
)
きませぬ。
249
どうぞ
霊縛
(
れいばく
)
を
解
(
と
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ』
250
暗
(
くら
)
がりより、
251
声(浅公、幾公、梅公)
『オヽさうだつたな、
252
貴様
(
きさま
)
丈
(
だけ
)
を
忘
(
わす
)
れて
居
(
を
)
つた。
253
サア
霊縛
(
れいばく
)
を
解
(
と
)
いてやる、
254
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
み
)
四
(
よ
)
………これで
結構
(
けつこう
)
だ、
255
サア
早
(
はや
)
く
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
らう』
256
五
(
ご
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に、
257
五人
『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います、
258
モウ
此
(
こ
)
れ
限
(
き
)
り
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
しませぬ。
259
なンとウラナイ
教
(
けう
)
は
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
で
御座
(
ござ
)
います、
260
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました』
261
暗
(
くら
)
がりより、
262
声(浅公、幾公、梅公)
『エー
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
の
吐
(
ぬか
)
さず、
263
トツトと
帰
(
かへ
)
れ』
264
忽
(
たちま
)
ち
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
影
(
かげ
)
は
足音
(
あしおと
)
立
(
た
)
てて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
、
265
西方
(
せいはう
)
指
(
さ
)
して
走
(
はし
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
266
暗
(
くら
)
がりより
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に、
267
三人(浅公、幾公、梅公)
『ハヽヽヽ
人
(
ひと
)
の
恐
(
おそ
)
れる
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
鬼神
(
おにがみ
)
共
(
ども
)
、
268
脆
(
もろ
)
いものだ。
269
とうと
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
にくたばりよつたワイ。
270
モシモシ
旅
(
たび
)
のお
方
(
かた
)
、
271
偉
(
えら
)
い
危
(
あぶ
)
ない
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
272
お
怪我
(
けが
)
はありませぬか』
273
男
(
をとこ
)
(綾彦)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
274
私
(
わたくし
)
は
弥仙山
(
みせんざん
)
の
麓
(
ふもと
)
に
住居
(
すまゐ
)
致
(
いた
)
す、
275
綾彦
(
あやひこ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
、
276
一人
(
ひとり
)
は
私
(
わたくし
)
の
女房
(
にようばう
)
のお
民
(
たみ
)
と
申
(
まを
)
します。
277
比沼
(
ひぬ
)
の
真名井
(
まなゐ
)
ケ
原
(
はら
)
へ
参詣
(
さんけい
)
を
致
(
いた
)
し、
278
途中
(
とちう
)
に
日
(
ひ
)
を
暮
(
く
)
らし、
279
由良
(
ゆら
)
の
湊
(
みなと
)
まで
行
(
い
)
つて
宿
(
やど
)
をとらうと
思
(
おも
)
ひ、
280
此処
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
ました
所
(
ところ
)
、
281
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
に
取囲
(
とりかこ
)
まれ、
282
生命
(
いのち
)
を
夫婦
(
ふうふ
)
共
(
とも
)
取
(
と
)
られようとする、
283
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
284
お
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいましてコンナ
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
が、
285
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも
御座
(
ござ
)
いませうか。
286
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
を
如何
(
どう
)
して
返
(
かへ
)
したら
宜
(
よろ
)
しう
御座
(
ござ
)
いませうか』
287
お
民
(
たみ
)
『
誠
(
まこと
)
に
誠
(
まこと
)
に、
288
危
(
あやふ
)
い
所
(
ところ
)
、
289
生命
(
いのち
)
を
拾
(
ひろ
)
うて
下
(
くだ
)
さいまして……
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
は、
290
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
で
御座
(
ござ
)
います。
291
御恩
(
ごおん
)
返
(
がへ
)
しには、
292
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
でも
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
293
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
力
(
ちから
)
の
尽
(
つく
)
せる
限
(
かぎ
)
り
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
します』
294
暗
(
くら
)
がりより、
295
三人(浅公、幾公、梅公)
『
私
(
わたくし
)
はウラナイ
教
(
けう
)
の
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
296
浅
(
あさ
)
、
297
幾
(
いく
)
、
298
梅
(
うめ
)
と
申
(
まを
)
す
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
。
299
あなたも
是
(
こ
)
れから
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
恩報
(
おんはう
)
じに、
300
無
(
な
)
い
生命
(
いのち
)
だと
思
(
おも
)
つて、
301
ウラナイ
教
(
けう
)
の
道
(
みち
)
に
入
(
い
)
り、
302
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
にお
働
(
はたら
)
きなさい。
303
それが
一番
(
いちばん
)
、
304
吾々
(
われわれ
)
に
対
(
たい
)
する
恩返
(
おんがへ
)
し……また
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
する
孝行
(
かうかう
)
と
申
(
まを
)
すもの、
305
………』
306
綾彦
(
あやひこ
)
、
307
お
民
(
たみ
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
涙声
(
なみだごゑ
)
、
308
綾彦、お民
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
309
モウ
斯
(
か
)
うなる
以上
(
いじやう
)
は
無
(
な
)
い
生命
(
いのち
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
貰
(
もら
)
うたので
御座
(
ござ
)
いますから、
310
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひます、
311
如何様
(
いかやう
)
の
事
(
こと
)
なつと
仰
(
あふ
)
せつけ
下
(
くだ
)
さいませ』
312
浅公
(
あさこう
)
『ヤアよしよし、
313
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
した。
314
サア
是
(
こ
)
れから
吾々
(
われわれ
)
が
館
(
やかた
)
へお
越
(
こ
)
しなさい。
315
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
にグヅグヅして
居
(
を
)
ると、
316
又
(
また
)
剣呑
(
けんのん
)
です。
317
私
(
わたし
)
達
(
たち
)
は
急
(
いそ
)
いで
帰
(
かへ
)
らねばなりませぬから、
318
あなたも
一緒
(
いつしよ
)
にお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さい、
319
何時
(
なんどき
)
蒸
(
む
)
し
返
(
かへ
)
しに
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れませぬよ』
320
夫婦
(
ふうふ
)
『それはそれは
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
321
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
戴
(
いただ
)
いた
上
(
うへ
)
に、
322
又
(
また
)
今晩
(
こんばん
)
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になるので
御座
(
ござ
)
いますか』
323
浅公
(
あさこう
)
『
何
(
なに
)
、
324
ソンナ
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
はチツトも
要
(
い
)
らない。
325
世界
(
せかい
)
の
人
(
ひと
)
を
普
(
あまね
)
く
救
(
すく
)
ふのが、
326
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
趣旨
(
しゆし
)
だ。
327
サアサア
帰
(
かへ
)
りませう』
328
夫婦
(
ふうふ
)
『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
329
然
(
しか
)
らばあなた
様
(
さま
)
方
(
がた
)
の
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
与
(
あづか
)
りませうか』
330
浅公
(
あさこう
)
『チツとも
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ、
331
サアお
出
(
いで
)
なさい。
332
あなたは
道
(
みち
)
の
勝手
(
かつて
)
も
知
(
し
)
らないし、
333
マンなかをお
出
(
い
)
でなさい。
334
吾々
(
われわれ
)
は
後先
(
あとさき
)
を
警護
(
けいご
)
して
上
(
あ
)
げませう』
335
夫婦
(
ふうふ
)
『
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に……
何時
(
いつ
)
の
世
(
よ
)
にかは
忘
(
わす
)
れませう。
336
是
(
こ
)
れと
云
(
い
)
ふのも、
337
真名井
(
まなゐ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のおかげ……』
338
浅公
(
あさこう
)
『コレコレ
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
339
今
(
いま
)
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つた、
340
真名井
(
まなゐ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
と
云
(
い
)
はれましたが、
341
真名井
(
まなゐ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
蔭
(
かげ
)
があるなら、
342
参拝
(
さんぱい
)
した
下向
(
げかう
)
の
途
(
みち
)
に、
343
コンナ
災難
(
さいなん
)
に
遭
(
あ
)
ふ
筈
(
はず
)
がないぢやありませぬか。
344
もしも
吾々
(
われわれ
)
ウラナイ
教
(
けう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
が
来
(
こ
)
なかつたならば、
345
あなたは、
346
それこそ
大変
(
たいへん
)
な
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つて
居
(
を
)
るのですよ。
347
モウ
真名井
(
まなゐ
)
さまの
事
(
こと
)
はスツカリと
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
348
私
(
わたくし
)
達
(
たち
)
の
信
(
しん
)
ずるウラナイ
教
(
けう
)
へ
入信
(
にふしん
)
しなさい』
349
夫婦
(
ふうふ
)
『
入信
(
にふしん
)
さして
下
(
くだ
)
さいますか、
350
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
351
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
に
挟
(
はさ
)
まれ、
352
薄明
(
うすあか
)
りの
道
(
みち
)
をトボトボと、
353
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
指
(
さ
)
して
誘
(
いざな
)
はれ
行
(
ゆ
)
く。
354
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
の
中途
(
なかば
)
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
折
(
をり
)
しも
以前
(
いぜん
)
の
丑
(
うし
)
、
355
寅
(
とら
)
、
356
鷹
(
たか
)
、
357
辰
(
たつ
)
、
358
鳶
(
とび
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
、
359
五人
『ヤアこれは、
360
浅公
(
あさこう
)
、
361
幾公
(
いくこう
)
、
362
梅公
(
うめこう
)
、
363
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
364
今
(
いま
)
私
(
わたくし
)
達
(
たち
)
が
御
(
ご
)
神前
(
しんぜん
)
で
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
をして
居
(
を
)
りました
所
(
ところ
)
、
365
普甲峠
(
ふかふたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
に
大江山
(
おほえやま
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
眷族
(
けんぞく
)
数多
(
あまた
)
現
(
あら
)
はれ、
366
二人
(
ふたり
)
の
旅人
(
たびびと
)
を
捕
(
とら
)
まへて
無体
(
むたい
)
の
乱暴
(
らんばう
)
、
367
既
(
すで
)
に
生命
(
いのち
)
まで
奪
(
と
)
らむと
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るのが
天眼
(
てんがん
)
に
映
(
うつ
)
りました。
368
ヤアこら
大変
(
たいへん
)
だと、
369
又
(
また
)
もや
天眼通
(
てんがんつう
)
を
光
(
ひか
)
らかし
見
(
み
)
れば、
370
森蔭
(
もりかげ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
余
(
あま
)
りの
鬼
(
おに
)
の
手下
(
てした
)
共
(
ども
)
、
371
ヤア
此奴
(
こいつ
)
ア
助
(
たす
)
けねばなるまいと
気
(
き
)
を
焦
(
いら
)
てど、
372
何分
(
なにぶん
)
遠隔
(
ゑんかく
)
の
土地
(
とち
)
、
373
そこへ
天眼
(
てんがん
)
に
映
(
えい
)
じたのはあなた
方
(
がた
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
374
二人
(
ふたり
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけ、
375
韋駄天
(
ゐだてん
)
走
(
ばし
)
りに
駆
(
かけ
)
つけるのが
見
(
み
)
えた
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ、
376
吾々
(
われわれ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
神前
(
しんぜん
)
より
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
霊縛
(
れいばく
)
をかけると、
377
鬼
(
おに
)
の
手下
(
てした
)
の
奴
(
やつ
)
共
(
ども
)
、
378
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
し
苦
(
くるし
)
み
悶
(
もだ
)
へる
可笑
(
をか
)
しさ、
379
蜘蛛
(
くも
)
の
子
(
こ
)
を
散
(
ち
)
らすが
如
(
ごと
)
く
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せよつた。
380
あの
時
(
とき
)
に
吾々
(
われわれ
)
が、
381
此方
(
こちら
)
から
応援
(
おうゑん
)
せなかつたら、
382
随分
(
ずゐぶん
)
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
も
危
(
あやふ
)
いものであつた』
383
浅
(
あさ
)
、
384
幾
(
いく
)
、
385
梅
(
うめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
386
三人(浅公、幾公、梅公)
『それは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
でした。
387
併
(
しか
)
しさう
仰
(
おつしや
)
ると、
388
吾々
(
われわれ
)
の
働
(
はたら
)
きはサツパリ ゼロの
様
(
やう
)
に
聞
(
きこ
)
えますなア』
389
寅公
(
とらこう
)
『イヤ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
390
あなた
方
(
がた
)
が
居
(
を
)
つて
呉
(
く
)
れたばつかりに、
391
此方
(
こちら
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
が
利
(
き
)
いたのだ。
392
全
(
まつた
)
くはあなた
方
(
がた
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
功績
(
こうせき
)
が
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
だ。
393
……ヤア
其処
(
そこ
)
に
御座
(
ござ
)
るお
二人
(
ふたり
)
の
方
(
かた
)
、
394
霊眼
(
れいがん
)
で
見
(
み
)
た
通
(
とほ
)
りだ。
395
能
(
よ
)
うマア
貴方
(
あなた
)
、
396
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
ひなさつた。
397
型
(
かた
)
の
良
(
い
)
い
方
(
かた
)
だ。
398
サアサア
吾々
(
われわれ
)
の
本拠
(
ほんきよ
)
へお
越
(
こ
)
しなさいませ』
399
夫婦
(
ふうふ
)
『これはこれは、
400
あなた
方
(
がた
)
はウラナイ
教
(
けう
)
のお
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますか、
401
いかい
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になりました。
402
どうぞ
宜
(
よろ
)
しうお
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
します』
403
寅公
(
とらこう
)
『ヤア
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せだ。
404
モウ
斯
(
か
)
うなつては
兄弟
(
きやうだい
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
405
何
(
なん
)
の
隔
(
へだ
)
ても、
406
遠慮
(
ゑんりよ
)
も
要
(
い
)
らぬ。
407
互
(
たがひ
)
に
心
(
こころ
)
を
打明
(
うちあ
)
けて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
働
(
はたら
)
きませう。
408
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
の
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
や、
409
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまも
大変
(
たいへん
)
に
御
(
お
)
喜
(
よろこ
)
びなさいませう』
410
夫婦
(
ふうふ
)
『あなた
方
(
がた
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
が
御座
(
ござ
)
いますのか』
411
寅公
(
とらこう
)
『ヘエヘエ、
412
有
(
あ
)
りますとも、
413
それはそれは
立派
(
りつぱ
)
な、
414
偉
(
えら
)
い
方
(
かた
)
ですよ。
415
吾々
(
われわれ
)
は
影
(
かげ
)
も
踏
(
ふ
)
めぬ
位
(
くらゐ
)
な
者
(
もの
)
です。
416
サアサア
今日
(
けふ
)
の
吾々
(
われわれ
)
の
手柄
(
てがら
)
を、
417
一
(
ひと
)
つ
帰
(
かへ
)
つて
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
に
報告
(
はうこく
)
致
(
いた
)
しませう』
418
夫婦
(
ふうふ
)
『どうぞ
宜
(
よろ
)
しう、
419
あなた
方
(
がた
)
から
御
(
お
)
頼
(
たの
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
420
寅公
(
とらこう
)
『ヤア
心配
(
しんぱい
)
なさるな。
421
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
は
結構
(
けつこう
)
なものですよ。
422
一寸
(
ちよつと
)
会
(
あ
)
うても
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
の
知己
(
ちき
)
の
様
(
やう
)
なものです……サアサア
行
(
ゆ
)
かう』
423
と
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
の
同勢
(
どうぜい
)
は
地底
(
ちてい
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
424
(
大正一一・四・二五
旧三・二九
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 真か偽か
(B)
(N)
蛙の口 >>>
霊界物語
>
第18巻
> 第3篇 反間苦肉 > 第7章 神か魔か
Tweet
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【07 神か魔か|第18巻(巳の巻)|霊界物語/rm1807】
合言葉「みろく」を入力して下さい→