霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一四章 (たこ)揚壺(あげつぼ)〔六四二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第18巻 如意宝珠 巳の巻 篇:第5篇 五月五日祝 よみ(新仮名遣い):ごがついつかのいわい
章:第14章 蛸の揚壺 よみ(新仮名遣い):たこのあげつぼ 通し章番号:642
口述日:1922(大正11)年04月28日(旧04月02日) 口述場所: 筆録者:東尾吉雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高山彦と黒姫は、玉照姫を迎えに行った富彦、寅若、菊若の消息を待っていた。そこへ三人はそっと中に入ってきた。首尾を尋ねる黒姫に、富彦は数百万の三五教徒に囲まれて奮戦したが、いったん退却してきたのだ、と大法螺を吹く。
黒姫が三人を叱りつけると、すごすごと居間に引き下がって行った。黒姫はふと思い当たることがあり、綾彦を呼んでその身元を尋ねる。綾彦はかたくなに身元を明かすことを拒んだ。
黒姫は青彦を呼んで、綾彦は、豊彦の息子ではないか、と鎌をかける。青彦はそのことを認めてしまう。黒姫は、綾彦夫婦と玉照姫を交換しようと思いつき、青彦に相談を持ちかけた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-03-07 12:39:15 OBC :rm1814
愛善世界社版:231頁 八幡書店版:第3輯 723頁 修補版: 校定版:239頁 普及版:106頁 初版: ページ備考:愛世版・校定版・八幡版・普及版いずれも「壺」を使っている。
001 魔窟(まくつ)(はら)地下室(ちかしつ)に、002ウラナイ(けう)双壁(そうへき)(おのれ)(ゆる)(ひと)(ゆる)した、003素人(しろうと)(ばな)れのした黒姫(くろひめ)が、004高山彦(たかやまひこ)(むつま)じさうに晩酌(ばんしやく)をグビリグビリとやつて()る。
005黒姫『コレ高山(たかやま)さま、006時節(じせつ)()たねばならぬものだなア。007(まへ)偕老(かいらう)同穴(どうけつ)(ちぎり)(むす)(なが)ら、008枯木(こぼく)寒巌(かんがん)()つて、009三冬(さんとう)暖気(だんき)()しと()ふやうな、010没分暁漢(わからずや)部下(ぶか)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)動揺(どうえう)(おそ)れて気兼(きが)ねをして、011貴方(あなた)をフサの(くに)本山(ほんざん)に、012(わし)はこの自転倒(おのころ)(じま)(わた)つて、013(かみ)(さま)(ため)にお(みち)(ため)に、014所在(あらゆる)最善(さいぜん)努力(どりよく)(つく)し、015一生(いつしやう)懸命(けんめい)宣伝(せんでん)して()たが、016(なに)()つても()()ひと(とし)()る、017無常(むじやう)迅速(じんそく)(かん)()たれて、018何処(どこ)とも()心淋(うらさび)しく、019どうぞ()れて夫婦(めをと)名乗(なの)つて(くら)したいと(おも)つて()たが、020これ(まで)独身(どくしん)主義(しゆぎ)高張(かうちやう)して()手前(てまへ)021今更(いまさら)(てのひら)(かへ)したやうな所作(しよさ)もならず、022本当(ほんたう)(そら)()(くも)(なが)めて(かり)がねの便(たよ)りもがなと、023()()(なみだ)()れた(こと)幾度(いくたび)あつたでせう、024(しか)(なが)何程(なにほど)(くに)(ため)(みち)(ため)だといつても、025自分(じぶん)()つて一生(いつしやう)快楽(くわいらく)犠牲(ぎせい)にしてまで、026()我慢(がまん)をはつて()つても、027こいつは駄目(だめ)だ。028(はじ)めの(うち)は、029黒姫(くろひめ)(えら)いものだ、030言行(げんかう)一致(いつち)だといつて()めて()れよつたが、031(しま)ひには(かみ)(さま)()取次(とりつ)ぎする(もの)は、032(をんな)だつて独身(どくしん)生活(せいくわつ)するのは当然(あたりまえ)だ。033(なに)感心(かんしん)する(こと)があるものか。034あれや大方(おほかた)035どつか身体(からだ)一部(いちぶ)欠陥(けつかん)があるので、036負惜(まけをし)みを()して独身(どくしん)生活(せいくわつ)をやつて()るのだ……(なん)ぞと()(もの)出来(でき)()た。037エヽ、038アタ阿呆(あはう)らしい。039これだけ辛抱(しんばう)して()つても(わる)()はれるのなら、040()ちたい(をつと)()つて、041公然(こうぜん)とやつた(はう)が、042何程(なにほど)ましか()れないと、043いよいよ決行(けつかう)して()たが、044(はじ)めの(うち)夏彦(なつひこ)045常彦(つねひこ)をはじめ、046頑固(ぐわんこ)(れん)追々(おひおひ)脱退(だつたい)し、047(いささ)面喰(めんくら)つたが、048(あん)じるより()むが(やす)いといつて、049何時(いつ)()にやら、050(わたし)貴方(あなた)結婚(けつこん)問題(もんだい)信者(しんじや)話頭(わとう)(のぼ)らなくなり、051この(ごろ)はソロソロと、052青彦(あをひこ)やお(せつ)053おまけに紫姫(むらさきひめ)といふ(やう)な、054賢明(けんめい)淑女(しゆくぢよ)(まで)帰順(きじゆん)したり、055入信(にふしん)したり、056(じつ)結構(けつこう)機運(きうん)(むか)つて()たものだ。057これからは高山(たかやま)さま、058もう一寸(ちよつと)遠慮(ゑんりよ)はいらないから、059(わたし)ばかりに命令(めいれい)をささずに、060あなたは天晴(あつぱ)黒姫(くろひめ)(をつと)として、061権利(けんり)(ふる)うて(くだ)さいねエ』
062高山彦(たかやまひこ)『アヽさうだなア、063()てば海路(かいろ)(かぜ)()くとやら、064(とき)(ちから)(くらゐ)065結構(けつこう)なものの(おそ)ろしいものは()いなア』
066黒姫(くろひめ)(とき)寅若(とらわか)067富彦(とみひこ)068菊若(きくわか)(さん)(にん)は、069ここを()てから四五(しご)(にち)にもなるに、070まだ(かへ)つて()ない。071(なに)(みち)(かは)つた(こと)でも出来(でき)たのではあるまいか。072(なん)だか()にかかつて仕方(しかた)()いワ』
073高山彦(たかやまひこ)『そう心配(しんぱい)するものでも()い。074何事(なにごと)時節(じせつ)(ちから)だ』
075 かく()(をり)しも、076ソツと(いは)()()けて(すべ)()んだ(さん)(にん)(をとこ)
077黒姫(くろひめ)『アヽ、078(うはさ)をすれば(かげ)とやら、079寅若(とらわか)エロウ(おそ)かつたぢやないか。080首尾(しゆび)はどうだつたなナ』
081寅若(とらわか)『ハイ、082委細(ゐさい)様子(やうす)(ゆつ)くりと、083明日(あす)(あさ)でも申上(まをしあ)げませう。084ナア菊若(きくわか)085富彦(とみひこ)086エライ()()うたぢやないか』
087黒姫(くろひめ)『お(まへ)(たち)は、088あまり(とほ)(みち)でも()いのに、089どうして御座(ござ)つた。090今日(けふ)七日目(なぬかめ)ぢやないか。091何時(いつ)都合(つがふ)()(とき)は、092(おほ)きな(こゑ)門口(かどぐち)から呶鳴(どな)つて(かへ)つて()るが、093今日(けふ)はコソコソと(ほそ)うなつて這入(はい)つて()たのは、094(あま)結構(けつこう)(はな)しぢや()るまい、095明日(あす)(あさ)(まを)()げるとは、096そら(なん)(こと)だ。097(この)(あひだ)から、098日日(ひにち)毎日(まいにち)指折(ゆびお)(かぞ)へて()つて()たのだ。099サア(はや)実地(じつち)(こと)を、100(つつ)まず(かく)さず()ひなさいや』
101 寅若(とらわか)102(あたま)をガシガシ()(なが)ら、103()(にく)さうに、
104寅若(とらわか)『あの、105(なん)御座(ござ)います。106それはそれは、107大変(たいへん)(こと)で、108(なん)とも()とも、109注進(ちうしん)仕方(しかた)()りませぬワイ。110(しか)(なが)ら、111物質(ぶつしつ)(てき)獲物(えもの)一寸(ちよつと)時期(じき)尚早(しやうそう)で、112暫時(ざんじ)()(じゆく)するまで保留(ほりう)して()きましたが、113霊的(れいてき)には大変(たいへん)収獲(しうくわく)がありました』
114黒姫(くろひめ)(また)しても(また)しても、115霊的(れいてき)収獲(しうくわく)仰有(おつしや)るが、116それはお(まへ)慣用(くわんよう)(てき)辞令(じれい)だ。117もう霊的(れいてき)収獲(しうくわく)には、118この黒姫(くろひめ)もウンザリしました。119ハツキリと成功(せいこう)だつたとか、120不成功(ふせいこう)だつたとか、121女王(ぢよわう)(まへ)陳述(ちんじゆつ)するのだよ』
122(こゑ)(とが)らせ、123()(まる)うして(にら)みつける。
124 (さん)(にん)(ちぢ)(あが)り、
125三人『イヤもう、126()うなれば委細(ゐさい)(のこ)らず言上(ごんじやう)いたします。127紫雲(しうん)棚引(たなび)東北(とうほく)(てん)128如何(いか)なる(かみ)出現(しゆつげん)したまふやと、129(こころ)(きよ)()(きよ)め、130途々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)(とな)へながら、131弥仙(みせん)山麓(さんろく)までやつて()つた。132(とき)しもあれ、133(うはさ)(たか)玉照姫(たまてるひめ)生母(せいぼ)(たま)(かた)は、134吾々(われわれ)(さん)(にん)威風(ゐふう)(おそ)れてか、135一生(いつしやう)懸命(けんめい)嬰児(あかご)()に、136弥仙山(みせんざん)(むか)つて(くも)(おこ)し、137(あめ)()び、138(ため)()(ふる)雷鳴(らいめい)(とどろ)き、139山岳(さんがく)一度(いちど)(くづ)るる(ばか)りの大音響(だいおんきやう)(はつ)し、140(おもて)()()からざる景色(けしき)となつて()た。141流石(さすが)寅若(とらわか)142富彦(とみひこ)143菊若(きくわか)三勇将(さんゆうしやう)も、144(しば)躊躇(ためら)折柄(をりから)に、145(たちま)ちあなたの御霊(みたま)や、146高山彦(たかやまひこ)御霊(みたま)が、147吾々(われわれ)(さん)(にん)憑依(ひようい)(あそ)ばされ、148勇気(ゆうき)百倍(ひやくばい)して弥仙山(みせんざん)目蒐(めが)けて驀地(まつしぐら)にかけ(のぼ)()く。149(とき)しもあれや、150(やま)中腹(ちうふく)より、151(あら)はれ(いで)たる三五教(あななひけう)奴輩(やつぱら)152各自(てんで)柄物(えもの)(たづさ)へ、153(わづ)(さん)(にん)吾々(われわれ)一隊(いつたい)(むか)つて()めよせ(きた)るその(いきほひ)(すさま)じさ、154されども黒姫(くろひめ)さま、155高山彦(たかやまひこ)(さま)御霊(みたま)(かか)つた吾々(われわれ)(さん)(にん)156何条(なんでう)(ひる)むべき。157(むら)がる(てき)(むか)つて電光(でんくわう)石火(せきくわ)158突撃(とつげき)攻撃(こうげき)159言霊(ことたま)火花(ひばな)()らして(たたか)うたり。160さはさり(なが)ら、161此方(こちら)(かたち)(ばか)りの九寸(くすん)五分(ごぶ)162(ただ)一本(いつぽん)あるのみ。163(むら)がる(てき)数百(すうひやく)千万(せんまん)同勢(どうぜい)164全山(ぜんざん)(ひと)(もつ)(うづ)まり、165如何(いか)(ふせ)(たたか)うとも、166(さすが)黒姫(くろひめ)(さま)()神力(しんりき)()れには(てき)()ねたりと()え、167吾々(われわれ)(さん)(にん)肉体(にくたい)自由(じいう)自在(じざい)にお使(つか)(あそ)ばされ、168血路(けつろ)(ひら)いてターターターと、169滝水(たきみづ)()ちるが(ごと)く、170一潟(いつしや)千里(せんり)(いきほひ)にて、171こなたに(むか)つて予定(よてい)退却(たいきやく)172鬼神(おにがみ)(あざむ)くその早業(はやわざ)173(いさ)ましかりける次第(しだい)なり』
174黒姫(くろひめ)『コレ、175富彦(とみひこ)176寅若(とらわか)(いま)()つた(とほ)り、177間違(まちがひ)()からうなア』
178富彦(とみひこ)『ヘーヘー、179間違(まちが)つて(たま)りますものか。180あなたは(つね)吾々(われわれ)()(うへ)に、181仁慈(じんじ)のお(こころ)をお(そそ)(くだ)さいまする、182(その)一念(いちねん)(さち)はひ(たま)ひて、183()分霊(ぶんれい)(たちま)降下(かうか)(たま)ひ、184さしもの強敵(きやうてき)(むか)つて、185獅々(しし)奮迅(ふんじん)応戦(おうせん)をやつたのも、186(まつた)くあなた(さま)()両人(りやうにん)神徳(しんとく)(しか)らしむる(ところ)187万々一(まんまんいち)両方(ふたかた)御霊(みたま)()守護(しゆご)()(とき)は、188如何(いか)吾々(われわれ)(ゆう)なりと(いへど)も、189(たちま)木端(こつぱ)微塵(みぢん)粉砕(ふんさい)されしは勿論(もちろん)のこと、190(しか)るに(わづか)(さん)(にん)(もつ)て、191かく(まで)よく奮闘(ふんとう)し、192(てき)(きも)(さむ)からしめたるは、193形体(けいたい)(じやう)(おい)ては()(かく)も、194精神(せいしん)(じやう)(おい)て、195(てき)威嚇(ゐくわく)せしこと、196幾何(いくばく)なるか(はか)()られませぬ。197マアマア()(よろこ)(くだ)さいませ』
198黒姫(くろひめ)『それは()結構(けつこう)であつた。199(しか)し、200(たま)玉照姫(たまてるひめ)()うなつたのか』
201富彦(とみひこ)『オイ菊若(きくわか)202これからは貴様(きさま)(ばん)だ。203(しつか)りと(まを)()げるのだぞ』
204菊若(きくわか)『ハイハイ、205申上(まをしあ)げます。206いやもう(なん)のかのと()うた(ところ)で、207(むか)うはたつた(をんな)一人(ひとり)
208黒姫(くろひめ)『ナニ、209(をんな)一人(ひとり)
210菊若(きくわか)(をんな)一人(ひとり)(おも)ひきや、211四辺(あたり)物蔭(ものかげ)より()るワ()るワ、212(あたか)(あり)宿替(やどが)への(ごと)く、213ゾロゾロゾロと此方(こなた)(むか)つて()(きた)る。214(さん)(にん)丹州(たんしう)霊縛(れいばく)にかけられ、215身体(しんたい)(たちま)強直(きやうちよく)し』
216黒姫(くろひめ)(なに)217(まへ)(たち)(さん)(にん)が』
218菊若(きくわか)『イエイエ、219滅相(めつさう)な、220丹州(たんしう)()(やつ)221吾々(われわれ)(さん)(にん)目蒐(めが)けて、222霊縛(れいばく)(くは)強直(きやうちよく)させようとかかつた(ところ)223流石(さすが)黒姫(くろひめ)(さま)224高山彦(たかやまひこ)(さま)()威霊(ゐれい)(かか)らせ(たま)吾々(われわれ)(さん)(にん)如何(いかん)ともするに(よし)なく、225(てき)一生(いつしやう)懸命(けんめい)死力(しりよく)(つく)して()しよせ(きた)る。226吾々(われわれ)(さん)(にん)は、227アヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)いと、228勇気(ゆうき)百倍(ひやくばい)して、229(いど)(たたか)はむとする(をり)しも、230吾々(われわれ)(さん)(にん)(かか)(たま)うた御魂(みたま)命令(めいれい)231(なんぢ)一先(ひとま)引返(ひきかへ)し、232時機(じき)()つて捲土(けんど)重来(ぢうらい)準備(じゆんび)をなすが得策(とくさく)なりと、233流石(さすが)神謀(しんぼう)鬼略(きりやく)()ませ(たま)黒姫(くろひめ)(さま)234高山彦(たかやまひこ)(さま)(おん)(みたま)命令(めいれい)もだし(がた)く、235みすみす(てき)見捨(みす)一目散(いちもくさん)立帰(たちかへ)つて(さふらふ)
236()ひをはつて冷汗(ひやあせ)()く。
237黒姫(くろひめ)『コレコレ、238(わたし)馬鹿(ばか)になつて()いて()ればお(まへ)239それや(なん)という法螺(ほら)()くのだい。240みな(うそ)だらう。241一人(ひとり)二人(ふたり)木端(こつぱ)武者(むしや)(おそ)れて一目散(いちもくさん)()(かへ)つたのだらう。242そんなお(まへ)さん(たち)下司(げす)身魂(みたま)(わし)霊魂(みたま)(うつ)つて(たま)るものか。243馬鹿(ばか)にしなさるな』
244寅若(とらわか)『そんなら、245あなたの()(かた)つて、246四足(よつあし)(なん)かが()いたのでせうか』
247富彦(とみひこ)『そうかも()れぬよ。248豊彦(とよひこ)(ぢぢ)()つて()ただ()いか』
249黒姫(くろひめ)『それ()なさい。250(まへ)らは豊彦(とよひこ)(うち)()つて(けつ)()はされて、251謝罪(あやま)つて()げて(かへ)つたのだらう。252エヽ仕方(しかた)のない(をとこ)だ。253はるばる高山(たかやま)さまがフサの(くに)から、254()りに()つて()れて御座(ござ)つたお(まへ)大将株(たいしやうかぶ)ぢやないか。255そらまた(なん)とした腰抜(こしぬ)けだ』
256寅若(とらわか)(なに)()つてもフサの(くに)なれば、257地理(ちり)をよく(ぞん)じて()りますが、258この自転倒(おのころ)(じま)地理(ちり)不案内(ふあんない)で、259(おも)うやうに戦闘(せんとう)出来(でき)ず、260さうして陽気(やうき)(ねむ)たいですから、261(おも)うやうな活動(くわつどう)も、262実際(じつさい)(こと)出来(でき)なかつたのです。263(しか)一遍(いつぺん)失敗(しつぱい)したつて、264さう()なげをしたものぢやありませぬ。265失敗(しつぱい)(ごと)経験(けいけん)(かさ)ね、266(つひ)には成功(せいこう)するものですから、267マア今度(こんど)失敗(しつぱい)結局(けつきよく)成功(せいこう)門口(かどぐち)ですなア』
268黒姫(くろひめ)『エヽ、269おきなされ。270敗軍(はいぐん)(しやう)(へい)(かた)らずという(こと)()るぢやないか。271(あま)(おほ)きな(こゑ)()らず(ぐち)(たた)くものぢや()い。272(おく)這入(はい)つて麦飯(むぎめし)なと、273ドツサリ()つて(やす)みなさい。274折角(せつかく)機嫌(きげん)よう()んで()つた(さけ)までさめて(しま)つた。275エヽ(はや)()なさらぬか』
276長煙管(ながぎせる)()れる(ほど)火鉢(ひばち)(たた)く。277(さん)(にん)(あたま)(かか)へ、278こそこそと(おく)(かげ)(かく)した。
279黒姫(くろひめ)高山(たかやま)さま、280もうお(やす)みなさいませ。281(わたし)一寸(ちよつと)綾彦(あやひこ)詮議(せんぎ)をしたい(こと)がありますからお(まへ)(そば)()られると、282ツイ()めてよう()はないと(こま)るから、283(わたし)(をんな)(こと)であり、284やあはりと(たづ)ねて()ますから、285(はや)(やす)んで(くだ)さい』
286高山彦(たかやまひこ)『ハイハイ、287邪魔(じやま)になりませう。288さやうなればお()御免(ごめん)(かうむ)りませう』
289黒姫(くろひめ)記憶(おぼ)えて()らつしやい。290貴方(あなた)こそお邪魔(じやま)になりませう。291紫姫(むらさきひめ)のお(そば)へでも()つて、292ゆつくりと夜明(よあ)かしをなさいませ』
293と、294ツンとした(かほ)をする。
295高山彦(たかやまひこ)『ハヽヽヽ、296形勢(けいせい)(すこぶ)不隠(ふおん)()つて()た。297どれどれ(かみなり)()ちぬ(うち)退却(たいきやく)しよう、298アヽ桑原(くはばら)桑原(くはばら)
299捨台詞(すてぜりふ)(のこ)し、300ノソリノソリと(おく)()く。
301黒姫(くろひめ)高山(たかやま)さまはあゝ()えても、302やつぱり可愛相(かはいさう)(ほど)正直(しやうぢき)(ひと)だ。303何処(どこ)ともなしに、304身魂(みたま)にいいとこが()るワイ』
305(かた)(ゆす)り、306(また)もや長煙管(ながぎせる)煙草(たばこ)をつぎ(なが)ら、
307黒姫綾彦(あやひこ)綾彦(あやひこ)
308()(こゑ)綾彦(あやひこ)はこの()(あらは)れ、309両手(りやうて)をつき、
310綾彦(いま)()びになりましたのは(わたくし)御座(ござ)いましたか』
311黒姫(くろひめ)『アヽ左様(さやう)ぢや左様(さやう)ぢや、312(まへ)折入(をりい)つて(たづ)ねたいと(この)(あひだ)から(おも)うて()たのぢやが、313ここへ()てから大分(だいぶ)になりますが、314一体(いつたい)(まへ)のお国許(くにもと)何処(どこ)ぢやな、315色々(いろいろ)(たれ)(たづ)ねさしても()ひなさらぬが、316大方(おほかた)何処(どこ)かで(わる)(こと)をして()げて()たのだらう。317それを(てい)よう真名井(まなゐ)さまへ(まゐ)つたなぞと、318誤魔化(ごまくわ)しとるのだらう』
319綾彦(あやひこ)『イエイエ滅相(めつさう)もない、320(うま)れてから(わる)(こと)は、321(ちり)(ほど)もやつた(おぼ)えは()りませぬ』
322黒姫(くろひめ)『そんならお(まへ)(ところ)何処(どこ)ぢや。323(しらみ)でさへも(うま)(どこ)()るのに、324滅多(めつた)(てん)から()つたのでもあるまい。325()(そこ)から()いて()たのでも()るまい。326(とう)さまや、327(かあ)さまが()るだらう。328(ところ)(おや)()()かして(くだ)さい』
329綾彦(あやひこ)『これ(ばか)りはどうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ』
330黒姫(くろひめ)『それ()たかな。331矢張(やつぱり)(あや)しい(ひと)ぢや。332(わし)何処(どこ)までも、333()うて(わる)(こと)秘密(ひみつ)(まも)る、334(わし)(だけ)()ひなさらぬかいな』
335綾彦(あやひこ)貴方(あなた)(さま)はいつも仰有(おつしや)(とほ)り、336世界中(せかいぢう)(すみ)から(すみ)まで()()く、337竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)ぢやありませぬか。338そんな(こと)(たづ)ねなさらないでも、339(とほ)(むかし)(なに)()御存(ごぞん)じの(はず)340煽動(おだて)(くだ)さいますな』
341黒姫(くろひめ)『ソラさうぢや。342(れい)(はう)ではお(まへ)身魂(みたま)(なん)身魂(みたま)ぢや、343(むかし)根本(こつぽん)()んな(こと)をして()つた。344また()(さき)()()ると()(こと)は、345()(わか)つて()るが、346肉体(にくたい)(じやう)(こと)(はたけ)(ちが)うから、347()いた(はう)便利(べんり)がよい。348こんな(こと)(かみ)さまに勿体(もつたい)なうて、349()苦労(くらう)かけずともお(まへ)()いた(はう)(はや)いぢやないか。350(また)(まへ)も、351これ(だけ)(なが)らく世話(せわ)()つて()ながら、352何故(なぜ)(うま)れた(ところ)()はれぬのか』
353言葉(ことば)(かど)()て、354長煙管(ながぎせる)(たたみ)(ふた)()(たた)いた。
355綾彦(あやひこ)(なん)仰有(おつしや)つても、356これ(だけ)申上(まをしあ)げられませぬ。357どうぞあなた、358天眼通(てんがんつう)でお調(しら)(くだ)さいませ、359(わたくし)(くち)一旦(いつたん)いかなる(こと)があつても国処(くにところ)360(おや)()()うで()いと、361両親(りやうしん)にいましめられ、362(けつ)して生命(いのち)にかかる(やう)(こと)()つても(まを)しませぬと約束(やくそく)をして()以上(いじやう)は、363何処迄(どこまで)申上(まをしあ)げる(こと)出来(でき)ませぬ』
364黒姫(くろひめ)『ハヽヽヽ、365(まへ)(おや)孝行(かうかう)(ひと)ぢや。366(おや)言葉(ことば)をよく(まも)つて、367どうしてもいけぬと仰有(おつしや)るのは、368(じつ)感心(かんしん)ぢや。369人間(にんげん)はさう()くては()らぬ。370(しか)(なが)ら、371(まへ)はモ(ひと)大事(だいじ)(おや)()つて()ますか。372大方(おほかた)(わす)れたのだらう』
373綾彦(あやひこ)(わたくし)(おや)()つたら、374(とう)さまと、375(かあ)さまと二人(ふたり)より御座(ござ)いませぬ。376(その)(うへ)にま(ひと)大事(だいじ)(おや)とは、377それや(なん)(こと)御座(ござ)いますか』
378黒姫(くろひめ)『アーアー、379(まへ)()(わり)とは愚鈍(ぐどん)(ひと)ぢやな。380あれ(ほど)毎日(まいにち)日日(ひにち)381竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまのお筆先(ふでさき)()んで()つて、382まだ(わか)らぬのかいなア。383自分(じぶん)肉体(にくたい)()んで()れた(おや)(かり)(おや)ぢやぞい。384吾々(われわれ)霊魂(みたま)385肉体(にくたい)根本(こつぽん)をお(さづ)(くだ)さつた、386天地(てんち)(まこと)(おや)()(こと)を、387(まへ)()いて()るぢや()いか』
388綾彦(あやひこ)『ハイ、389それはお筆先(ふでさき)でお(かげ)をいただいて()ります』
390黒姫(くろひめ)『お(まへ)は、391(まこと)(おや)大切(だいじ)か、392肉体(にくたい)(おや)大切(たいせつ)か、393どちらが大切(たいせつ)(かんが)へてみなされ』
394綾彦(あやひこ)『それは何方(どちら)大切(たいせつ)御座(ござ)います』
395黒姫(くろひめ)何方(どちら)大切(たいせつ)(こと)(きま)つてゐるが、396(しか)(その)(なか)でも、397(おも)(かる)いが()るだらう。398(わづ)(ひやく)(ねん)二百(にひやく)(ねん)肉体(にくたい)()んで()れた(おや)大切(だいじ)か、399幾億万(いくおくまん)(ねん)()れぬ身魂(みたま)生命(いのち)(あた)へて万劫(まんごふ)末代(まつだい)(まも)つて(くだ)さる、400慈悲(じひ)(ぶか)(かみ)(さま)大切(だいじ)か、401それが()きたい』
402綾彦(あやひこ)『ハイ………』
403黒姫(くろひめ)天地(てんち)根本(こつぽん)(かみ)(さま)生宮(いきみや)(わし)は、404つまり大神(おほかみ)(さま)(かは)りぢや。405何故(なぜ)(おや)()(こと)()いて(わし)()(こと)()けぬのかい。406一寸(ちよつと)信心(しんじん)仕方(しかた)間違(まちが)うて()やせぬか』
407 かかる(ところ)紫姫(むらさきひめ)(あら)はれ(きた)り、
408紫姫(むらさきひめ)(いま)(うけたま)はりますれば、409大変(たいへん)綾彦(あやひこ)さまに、410(なに)かお(たづ)ねのやうですが、411()うぞ(わたくし)(まか)して(くだ)さいませ。412(わたくし)(をり)()て、413綾彦(あやひこ)さまに(とつく)りと(たづ)ねまして、414返事(へんじ)(いた)します』
415黒姫(くろひめ)『さよかさよか、416どうぞ貴女(あなた)417やあはりと()うて()(くだ)さい。418何分(なにぶん)(ばば)()ふことは、419()()らぬと()えますワイ、420綺麗(きれい)貴女(あなた)のお(たづ)ねなら、421綾彦(あやひこ)惜気(をしげ)なく()ひませう』
422紫姫(むらさきひめ)『ホヽヽヽ、423サア、424綾彦(あやひこ)さま、425もうお(やす)みなさいませ。426黒姫(くろひめ)さま、427()()けました、428何卒(どうぞ)()休息(きうそく)を』
429黒姫(くろひめ)『ハイハイ、430(はや)()(くだ)さい』
431紫姫(むらさきひめ)『さやうなら』
432 紫姫(むらさきひめ)綾彦(あやひこ)()()き、433廊下(らうか)(づた)ひに(おく)()る。
434 黒姫(くろひめ)(また)もや疳声(かんごゑ)()して、
435黒姫青彦(あをひこ)青彦(あをひこ)
436()()ててゐる。
437 青彦(あをひこ)周章(あわ)てて()()(はし)(きた)り、
438青彦『ハイ、439(なん)御用(ごよう)御座(ござ)いましたか』
440黒姫(くろひめ)青彦(あをひこ)441(まへ)もお(せつ)高城山(たかしろやま)へやつて、442さぞ(さび)しからう。443(こころ)(うち)(わたし)もよく(さつ)して()る。444本当(ほんたう)にお()(どく)ぢや。445同情(どうじやう)(なみだ)は、446いつも(そと)(こぼ)さずに、447(うち)(なが)して()る』
448追従(つゐしやう)らしく()ふ。
449青彦(あをひこ)(なに)御用(ごよう)かと(おも)へば、450そんな(こと)御座(ござ)いますか。451イヤそんな(こと)なら、452()心配(しんぱい)(くだ)さいますな、453(かへつ)(わたし)気楽(きらく)(よろ)しう御座(ござ)います』
454黒姫(くろひめ)『お(まへ)折入(をりい)つて(たづ)ねたい(こと)がある。455(ほか)でも()いが、456あの綾彦(あやひこ)()(をとこ)は、457弥仙山(みせんざん)(ふもと)の、458於与岐(およぎ)(むら)豊彦(とよひこ)()(をとこ)息子(むすこ)ぢやないか』
459青彦(あをひこ)『あなた、460それが()うして(わか)りましたか』
461 黒姫(くろひめ)はしたり(がほ)にて、
462黒姫(くろひめ)『そんな(こと)(わか)らないで、463竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまの生宮(いきみや)ぢやと()はれますかいな。464(じや)(みち)矢張(やつぱり)(へび)だ。465間違(まちが)ひは()らうまいがな』
466青彦(あをひこ)『ヤア、467あなたの()明察(めいさつ)には恐縮(きようしゆく)(いた)しました。468それに間違(まちが)ひは()りますまい』
469黒姫(くろひめ)『さうだらう さうだらう、470流石(さすが)はお(まへ)はよう改心(かいしん)出来(でき)()る。471正直(しやうぢき)(をとこ)だ。472(とき)にお(まへ)折入(をりい)つて相談(さうだん)があるが、473()つて(くだ)さるまいかな』
474青彦(あをひこ)『これは(また)475(あらた)まつての()言葉(ことば)476(なん)なりと()遠慮(ゑんりよ)なく仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
477黒姫(くろひめ)『ヤア、478有難(ありがた)有難(ありがた)い。479(まへ)(うはさ)()いて()(とほ)於与岐(およぎ)(さと)に、480(たま)といふ綺麗(きれい)(むすめ)()つて玉照姫(たまてるひめ)とかいふ、481不思議(ふしぎ)()出来(でき)たといふ(こと)ぢや。482それは()うしても()うしても、483ウラナイ(けう)()()れねば、484神界(しんかい)のお仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)しないから、485()(あひだ)も、486寅若(とらわか)や、487富彦(とみひこ)488菊若(きくわか)(さん)(にん)(つか)はして交渉(かうせふ)()つたが、489()うやら失敗(しつぱい)して(かへ)つたらしい、490(しか)(なが)ら、491よう(かんが)へて()れば、492(むか)うの老爺(おやぢ)(まご)()れんのも、493(ひと)つの理由(りいう)がある。494何故(なぜ)といつたら、495あの綾彦(あやひこ)夫婦(ふうふ)行衛(ゆくゑ)不明(ふめい)となり、496(ただ)一人(ひとり)(むすめ)(たま)とやらが、497年寄(としより)世話(せわ)をして()るさうだ。498そのお(たま)に、499(をとこ)()いのに()(やど)り、500(その)()(また)(めう)神力(しんりき)()つて()るので、501エライ評判(へうばん)ぢやげな。502そこで(その)()(もら)うには、503綾彦(あやひこ)夫婦(ふうふ)(もと)(かへ)してやらねば()るまい。504()しも三五教(あななひけう)連中(れんちう)が、505綾彦(あやひこ)とお(たみ)が、506(ぢい)さまの()ぢやと()(こと)探知(さとら)うものなら、507()んな手段(しゆだん)(めぐ)らしてでも、508引張(ひつぱ)()んで交換(かうくわん)玉照姫(たまてるひめ)(もら)つて(しま)ふに(ちが)()い。509さうなれば、510此方(こつち)薩張(さつぱり)511(たこ)揚壺(あげつぼ)()つた(やう)羽目(はめ)()らねばならぬ。512どうぢや、513青彦(あをひこ)514(なん)とかお(まへ)智慧(ちゑ)で、515玉照姫(たまてるひめ)此方(こつち)(もの)にする工夫(くふう)()るまいかな』
516青彦(あをひこ)『それは重大(ぢうだい)事件(じけん)ですなア。517よくよく(かんが)へませう。518どうぞ此処(ここ)(かぎ)()()れないやうに、519絶対(ぜつたい)秘密(ひみつ)(まも)つて(くだ)さいませ』
520黒姫(くろひめ)『よしよし、521(まへ)(わし)二人(ふたり)()りだ。522高山彦(たかやまひこ)さまにだつて、523()(こと)成就(じやうじゆ)する(まで)は、524()はぬと()つたら()はないから、525安心(あんしん)して(くだ)さい』
526青彦(あをひこ)左様(さやう)ならば充分(じゆうぶん)熟考(じゆくかう)した(うへ)527(また)コツソリと()相談(さうだん)(いた)しませう。528今晩(こんばん)はこれでお(やす)みなされませ』
529 青彦(あをひこ)一間(ひとま)姿(すがた)(かく)した。530(あと)黒姫(くろひめ)はニタリと(わら)ひ、
531黒姫『アーアー、532(なん)()つても青彦(あをひこ)だ。533(いま)ウラナイ(けう)(たれ)がエライと()つても、534(かれ)()した(やつ)()りはしない、535三五教(あななひけう)()しがつた(はづ)だ。536()()きものは家来(けらい)なりけりだ、537アヽどれどれ、538高山(たかやま)さまが(さび)しがつて御座(ござ)るであらう、539一寸(ちよつと)話相手(はなしあひて)になつて()げませう』
540と、541独言(ひとりご)ちつつ一間(ひとま)()る。
542大正一一・四・二八 旧四・二 東尾吉雄録)
543(昭和一〇・六・二 王仁校正)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki