霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第48巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 変現乱痴
01 聖言
〔1255〕
02 武乱泥
〔1256〕
03 観音経
〔1257〕
04 雪雑寝
〔1258〕
05 鞘当
〔1259〕
06 狂転
〔1260〕
第2篇 幽冥摸索
07 六道の辻
〔1261〕
08 亡者苦雑
〔1262〕
09 罪人橋
〔1263〕
第3篇 愛善信真
10 天国の富
〔1264〕
11 霊陽山
〔1265〕
12 西王母
〔1266〕
13 月照山
〔1267〕
14 至愛
〔1268〕
第4篇 福音輝陣
15 金玉の辻
〔1269〕
16 途上の変
〔1270〕
17 甦生
〔1271〕
18 冥歌
〔1272〕
19 兵舎の囁
〔1273〕
20 心の鬼
〔1274〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第48巻
> 第1篇 変現乱痴 > 第6章 狂転
<<< 鞘当
(B)
(N)
六道の辻 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第六章
狂転
(
きやうてん
)
〔一二六〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:
第1篇 変現乱痴
よみ(新仮名遣い):
へんげんらんち
章:
第6章 狂転
よみ(新仮名遣い):
きょうてん
通し章番号:
1260
口述日:
1923(大正12)年01月12日(旧11月26日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
浮木の森のバラモン軍の陣営
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
ランチ将軍が、二人の女にちやほやされながらいい気分で酒宴を張っていると、片彦がやってきてランチを怒鳴りつけ、この有様をハルナの都の大黒主へ報告すると息巻いた。
片彦はそれがいやなら初稚姫をこちらに渡せと迫るが、初稚姫から強烈に馬鹿にされてますます怒り、剣に手をかけてランチ将軍に切腹するか軍の支配権を渡せと詰め寄った。
ランチは二人の副官(ガリヤ、ケース)に目配せし、やにわに片彦の両手を縛らせた。そして物見やぐらの高殿から眼下の谷川に片彦を投げ込ませて殺害した。
ランチは得意になり、皆で踊ろうと提案した。あまり踊ったためか、二人の美人が頭にかぶっていたかつらがぽたりと落ちた。ランチと二人の副官があっと驚くとたんに、二人の美人は恐ろしい妖怪のような顔と変わり、大口をあけて迫ってきた。
三人は驚いたとたんに手すりにしりもちをついた。手すりはメキメキと音をたてて壊れ、三人もまた川に落ち込で沈んでしまった。
お民は、物見やぐらに上がって行った片彦が帰ってこないので、様子を見に梯子を上ってみれば、大きな白狐が二匹いて、お民をにらみつけた。お民は驚いて梯子から落ち、気絶してしまった。はるか向こうの方から涼しい宣伝歌の声が聞こえてくる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
ウロウ(ウロー)
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-08-07 18:05:15
OBC :
rm4806
愛善世界社版:
75頁
八幡書店版:
第8輯 615頁
修補版:
校定版:
78頁
普及版:
38頁
初版:
ページ備考:
001
雪見櫓
(
ゆきみやぐら
)
の
可
(
か
)
なり
広
(
ひろ
)
い
最高部
(
さいかうぶ
)
の
一室
(
いつしつ
)
には、
002
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
をはじめ
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
003
初稚姫
(
はつわかひめ
)
及
(
およ
)
びガリヤ、
004
ケースの
副官
(
ふくくわん
)
と
共
(
とも
)
に、
005
鐘
(
かね
)
や
太鼓
(
たいこ
)
や
拍子木
(
ひやうしぎ
)
などを
叩
(
たた
)
いて、
006
底抜
(
そこぬ
)
け
散財
(
さんざい
)
が
始
(
はじ
)
まつて
居
(
ゐ
)
る。
007
ランチは
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
に
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
酒
(
さけ
)
を
盛
(
も
)
り
潰
(
つぶ
)
され、
008
上機嫌
(
じやうきげん
)
になつて、
009
そろそろ
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した。
010
ランチ
『オイ
姫
(
ひめ
)
、
011
イヤ
清
(
きよ
)
さま、
012
何
(
ど
)
うだ、
013
この
綺麗
(
きれい
)
な
雪
(
ゆき
)
の
色
(
いろ
)
とランチの
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
とは、
014
どつちが
美
(
うつく
)
しいか、
015
エーン』
016
清照姫
『それより
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
からお
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
しますが、
017
この
雪
(
ゆき
)
の
色
(
いろ
)
と
私
(
わたし
)
の
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
と、
018
どつちが
白
(
しろ
)
う
厶
(
ござ
)
いますか、
019
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいねえ』
020
ランチ
『ウンさうだ。
021
どちらが
雪
(
ゆき
)
か、
022
どちらが
花
(
はな
)
か、
023
また
月
(
つき
)
か
判別
(
はんべつ
)
し
難
(
がた
)
い
三国一
(
さんごくいち
)
のナイスだ。
024
この
広
(
ひろ
)
い
五天竺
(
ごてんぢく
)
も、
025
清
(
きよ
)
さまのやうなシヤンは
又
(
また
)
とあるまい、
026
初
(
はつ
)
ちやまだとて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだ。
027
それだからこのランチが
重要
(
ぢゆうえう
)
の
任務
(
にんむ
)
を
忘
(
わす
)
れ、
028
千金
(
せんきん
)
の
身
(
み
)
を
顧
(
かへり
)
みず、
029
此処
(
ここ
)
へお
交際
(
つきあひ
)
に
来
(
き
)
たのだよ、
030
随分
(
ずゐぶん
)
親切
(
しんせつ
)
なものであらう、
031
これでも
矢張
(
やつぱり
)
片彦
(
かたひこ
)
の
思想
(
しさう
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
るのかな』
032
清照姫
『ハイ
片彦
(
かたひこ
)
さまは
平和論
(
へいわろん
)
者
(
しや
)
ですからねえ、
033
何
(
なん
)
だか
其
(
その
)
思想
(
しさう
)
が
気
(
き
)
に
入
(
い
)
りましたよ。
034
武術
(
ぶじゆつ
)
修業
(
しうげふ
)
は
臆病者
(
おくびやうもの
)
のする
事
(
こと
)
だと
仰有
(
おつしや
)
つた
点
(
てん
)
が
天来
(
てんらい
)
の
妙音
(
めうおん
)
、
035
金言
(
きんげん
)
玉辞
(
ぎよくじ
)
と
本当
(
ほんたう
)
に
嬉
(
うれ
)
しく
思
(
おも
)
ひましたわ、
036
武者
(
むしや
)
修業
(
しうげふ
)
だとか
云
(
い
)
つて、
037
武術
(
ぶじゆつ
)
修業
(
しうげふ
)
に
歩
(
ある
)
くやうな、
038
乞食
(
こじき
)
的
(
てき
)
生涯
(
しやうがい
)
を
送
(
おく
)
る
男
(
をとこ
)
はつまりませぬからねえ』
039
ランチ
『さうだ、
040
俺
(
おれ
)
もそれは
同感
(
どうかん
)
だ。
041
武者
(
むしや
)
修業
(
しうげふ
)
と
云
(
い
)
へば、
042
お
面
(
めん
)
、
043
お
籠手
(
こて
)
、
044
お
胴
(
どう
)
と
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
に
竹刀
(
しなひ
)
を
矢鱈
(
やたら
)
に
振
(
ふ
)
り
廻
(
まは
)
す
様
(
やう
)
な
武術家
(
ぶじゆつか
)
は
俺
(
おれ
)
も
大嫌
(
だいきら
)
ひだ。
045
あれは
武者
(
むしや
)
修業
(
しうげふ
)
でなく
無駄
(
むだ
)
修業
(
しうげふ
)
だ。
046
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
武者
(
むしや
)
修業
(
しうげふ
)
は
聊
(
いささ
)
か
選
(
せん
)
を
異
(
こと
)
にして
居
(
ゐ
)
る。
047
真
(
しん
)
の
武術
(
ぶじゆつ
)
修業
(
しうげふ
)
はそんなものぢやない。
048
或
(
あるひ
)
は
敵城
(
てきじやう
)
を
攻
(
せ
)
め、
049
又
(
また
)
防城
(
ばうじやう
)
と
云
(
い
)
つて
押寄
(
おしよ
)
せた
敵
(
てき
)
を
防禦
(
ばうぎよ
)
せむ
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へたり、
050
そして
諸国
(
しよこく
)
を
遍歴
(
へんれき
)
し、
051
堀
(
ほり
)
の
深浅
(
しんせん
)
や、
052
又
(
また
)
山城
(
さんじやう
)
なれば
何
(
いづ
)
れの
方面
(
はうめん
)
より
攻
(
せ
)
めたら
落
(
お
)
ちるか、
053
落
(
お
)
ちないか、
054
又
(
また
)
城
(
しろ
)
の
要害
(
えうがい
)
を
調
(
しら
)
べ、
055
又
(
また
)
平地
(
ひらち
)
にある
城
(
しろ
)
なれば
谷
(
たに
)
を
塞
(
ふさ
)
いで
水攻
(
みづぜめ
)
にするとか、
056
又
(
また
)
は
市街
(
しがい
)
を
焼
(
や
)
いて
火攻
(
ひぜめ
)
にするとか、
057
水源
(
すゐげん
)
の
所在
(
しよざい
)
及
(
および
)
糧道
(
りやうだう
)
を
絶
(
た
)
つとか、
058
さう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
調
(
しら
)
べる
修業
(
しうげふ
)
をするのだ。
059
一
(
いち
)
人
(
にん
)
対
(
たい
)
一
(
いち
)
人
(
にん
)
のお
面
(
めん
)
、
060
お
籠手
(
こて
)
では
詰
(
つま
)
らないからな、
061
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
云
(
い
)
ふ
武術
(
ぶじゆつ
)
と
云
(
い
)
ふものはマアこんなものだ、
062
エーン。
063
片彦
(
かたひこ
)
の
云
(
い
)
ふ
武術
(
ぶじゆつ
)
と
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
武術
(
ぶじゆつ
)
が
何
(
ど
)
れ
丈
(
だけ
)
異
(
ちが
)
ふかな、
064
器
(
うつは
)
が
大
(
おほ
)
きければ
矢張
(
やつぱり
)
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
大
(
おほ
)
きいからな。
065
何
(
なん
)
だ
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
066
武備
(
ぶび
)
撤廃
(
てつぱい
)
とか
軍備
(
ぐんび
)
廃止
(
はいし
)
とか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
うても、
067
最後
(
さいご
)
の
解決
(
かいけつ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
武術
(
ぶじゆつ
)
でなくては
納
(
をさ
)
まらないのだ』
068
清照姫
『もしランチさま、
069
もうそんな
武張
(
ぶば
)
つた
話
(
はなし
)
はよして
下
(
くだ
)
さい、
070
私
(
わたし
)
何
(
なん
)
だか
恐
(
おそ
)
ろしくなつて
耐
(
たま
)
りませぬわ』
071
ランチ
『アハヽヽヽ、
072
遉
(
さすが
)
は
女
(
をんな
)
だ、
073
角張
(
かどば
)
つた
話
(
はなし
)
はお
気
(
き
)
に
召
(
め
)
さぬと
見
(
み
)
えるわい、
074
それぢや
何
(
なに
)
か
些
(
ち
)
と
はんなり
とした
歌
(
うた
)
でも
歌
(
うた
)
つては
何
(
ど
)
うだ』
075
清照姫
『
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
から
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さいな』
076
ランチ
『ヨシヨシ、
077
それぢや
一
(
ひと
)
つ
歌
(
うた
)
つてやらう、
078
太鼓
(
たいこ
)
や
拍子木
(
ひやうしぎ
)
で
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
囃
(
はや
)
して
呉
(
く
)
れ、
079
囃
(
はやし
)
が
悪
(
わる
)
いと
歌
(
うた
)
ひ
憎
(
にく
)
いからな』
080
清照姫
『ハイ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました、
081
サア
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
082
貴女
(
あなた
)
太鼓
(
たいこ
)
を
打
(
う
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
083
私
(
わたし
)
拍子木
(
ひやうしぎ
)
を
打
(
う
)
ちますから』
084
茲
(
ここ
)
にランチは
酔
(
よひ
)
が
廻
(
まは
)
るにつれ、
085
銅羅声
(
どらごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す。
086
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
は
拍子木
(
ひやうしぎ
)
や
太鼓
(
たいこ
)
で
歌
(
うた
)
に
合
(
あは
)
す。
087
二人
(
ふたり
)
の
副官
(
ふくくわん
)
は
耐
(
たま
)
りかね
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
088
両手
(
りやうて
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り
廻
(
まは
)
し、
089
腰付
(
こしつき
)
をかしく
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
つた。
090
ランチ
『ハルナの
都
(
みやこ
)
で
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
091
天人
(
てんにん
)
のやうな
石生能
(
いその
)
姫
(
ひめ
)
さま
092
衆人
(
しうじん
)
羨望
(
せんばう
)
の
的
(
まと
)
となり
093
清
(
きよ
)
きお
顔
(
かほ
)
を
一目
(
ひとめ
)
でも
094
拝
(
をが
)
みたいものだとやつて
来
(
く
)
る
095
それ
故
(
ゆゑ
)
ハルナの
都
(
みやこ
)
は
096
いつも
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
のよだ
097
こんなナイスはまたと
世
(
よ
)
に
098
二人
(
ふたり
)
とあるまいと
思
(
おも
)
ふたに
099
こりや
又
(
また
)
どうした
事
(
こと
)
ぢやいな
100
殺風景
(
さつぷうけい
)
なる
陣中
(
ぢんちう
)
へ
101
遉
(
さすが
)
の
石生能
(
いその
)
姫
(
ひめ
)
さまも
102
尻
(
しり
)
端折
(
はしを
)
りてスタスタと
103
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
すやうなこのナイス
104
一人
(
ひとり
)
ばかりか
二人
(
ふたり
)
まで
105
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
さまのお
手
(
て
)
に
入
(
い
)
り
106
酒
(
さけ
)
汲
(
く
)
み
交
(
かは
)
してどんちやんと
107
騒
(
さわ
)
ぎ
廻
(
まは
)
るのはこれは
又
(
また
)
108
どうした
拍子
(
ひやうし
)
の
瓢箪
(
へうたん
)
か
109
遉
(
さすが
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
さまも
110
こんな
所
(
ところ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
たら
111
嘸
(
さぞ
)
やお
気
(
き
)
をば
揉
(
も
)
まれるだらう
112
ほんに
俺
(
おれ
)
程
(
ほど
)
仕合
(
しあは
)
せ
者
(
もの
)
が
113
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
にあるものか
114
ヨイトセノ、ヨイトセ
115
コレヤイノ、ドツコイシヨ
116
エーエーエ
117
ハーレ、ヤーレ、ヨイヤサ
118
ヨイヤサ、ヨイヤサ、ドツコイサ
119
二人
(
ふたり
)
のナイスに
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
かれ
120
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
楽
(
たの
)
しみを
121
今
(
いま
)
目
(
ま
)
のあたり
見
(
み
)
る
俺
(
わし
)
は
122
如何
(
いか
)
なる
前世
(
ぜんせ
)
の
因縁
(
いんねん
)
か
123
昔々
(
むかしむかし
)
の
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
124
も
一
(
ひと
)
つ
昔
(
むかし
)
のまだ
昔
(
むかし
)
125
ずつと
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
から
126
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
によい
事
(
こと
)
を
127
して
来
(
き
)
た
報
(
むく
)
いでこんな
目
(
め
)
に
128
遇
(
あ
)
ふのであらう
有難
(
ありがた
)
い
129
運
(
うん
)
は
天
(
てん
)
にあり
福
(
ふく
)
は
寝
(
ね
)
て
待
(
ま
)
てと
130
これまで
度々
(
たびたび
)
聞
(
き
)
いたけど
131
こんな
結構
(
けつこ
)
とは
知
(
し
)
らなんだ
132
俺
(
おれ
)
に
引
(
ひ
)
きかへ
片彦
(
かたひこ
)
は
133
嘸
(
さぞ
)
今頃
(
いまごろ
)
は
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
134
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
んで
吐息
(
といき
)
吐
(
つ
)
き
135
ポロリポロリと
涙
(
なみだ
)
をば
136
流
(
なが
)
してふさいで
居
(
ゐ
)
るだらう
137
是
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
些
(
ち
)
とばかり
138
俺
(
おれ
)
も
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
をば
139
落
(
おと
)
してやらねばなるまいが
140
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが
気味
(
きみ
)
がよい
141
アヽドツコイシヨ、ドツコイツヨ
142
ヨイヨイヨイのヨイトサ
143
エーエーエ
144
ハーレ、ヤーレ、コレハノサ
145
ドツコイセエ、ドツコイセ。
146
アヽ
苦
(
くる
)
しい、
147
アヽもう
是
(
これ
)
で
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
らう、
148
サアこれからが
清
(
きよ
)
さまの
番
(
ばん
)
だよ。
149
歌
(
うた
)
つたり
歌
(
うた
)
つたり』
150
清照姫
『ランチ
様
(
さま
)
、
151
私
(
わたし
)
は
歌
(
うた
)
は
不調法
(
ぶてうはふ
)
で
厶
(
ござ
)
います、
152
どうぞ
貴方
(
あなた
)
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さいな』
153
ランチ
『エヽ
人
(
ひと
)
に
歌
(
うた
)
はして
置
(
お
)
いて
自分
(
じぶん
)
が
歌
(
うた
)
はないと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるか、
154
それなら
初
(
はつ
)
ちやま、
155
お
前
(
まへ
)
歌
(
うた
)
つたらどうだ』
156
初稚姫
『それでも
私
(
わたし
)
恥
(
はづ
)
かしいわ、
157
ナア
姉
(
ねえ
)
さま、
158
歌
(
うた
)
なんか
知
(
し
)
りまへんもの』
159
ランチ
『アハヽヽヽヽ、
160
今日
(
けふ
)
はまるで、
161
このランチ
将軍
(
しやうぐん
)
が、
162
芸者
(
げいしや
)
兼
(
けん
)
幇間
(
たいこもち
)
のやうなものだ。
163
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
るのは
並大抵
(
なみたいてい
)
のものぢやない、
164
唯
(
ただ
)
一言
(
いちごん
)
で
三軍
(
さんぐん
)
を
指揮
(
しき
)
するこのランチ
将軍
(
しやうぐん
)
も、
165
清照姫
(
きよてるひめ
)
さまにかかつては
弱
(
よわ
)
いものぢや』
166
かかる
所
(
ところ
)
へ
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
宙
(
ちう
)
を
切
(
き
)
つて
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
167
案内
(
あんない
)
もなく
物見櫓
(
ものみやぐら
)
にかけ
上
(
のぼ
)
り、
168
酒宴
(
しゆえん
)
の
席
(
せき
)
に
現
(
あら
)
はれて、
169
片彦
『ランチ
将軍殿
(
しやうぐんどの
)
、
170
貴方
(
あなた
)
は
三軍
(
さんぐん
)
を
指揮
(
しき
)
する
身分
(
みぶん
)
をもつて、
171
繊弱
(
かよわ
)
き
女
(
をんな
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
172
軍職
(
ぐんしよく
)
をお
忘
(
わす
)
れなさるとは
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
御
(
お
)
振舞
(
ふるまひ
)
、
173
拙者
(
せつしや
)
は
是
(
これ
)
より
部下
(
ぶか
)
に
命
(
めい
)
じ
急使
(
きふし
)
を
立
(
た
)
て、
174
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
へ
将軍
(
しやうぐん
)
の
不行跡
(
ふしだら
)
を
報告
(
はうこく
)
仕
(
つかまつ
)
る、
175
覚悟
(
かくご
)
なさいませ』
176
と
気色
(
けしき
)
ばんで
仁王立
(
にわうだち
)
となつた
儘
(
まま
)
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
177
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
も、
178
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は
吾
(
わが
)
部下
(
ぶか
)
とは
云
(
い
)
へ、
179
斯様
(
かやう
)
の
事
(
こと
)
を
大黒主
(
おほくろぬし
)
に
報告
(
はうこく
)
されようものなら
首
(
くび
)
は
胴
(
どう
)
について
居
(
ゐ
)
ない、
180
こりや
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
になつたと、
181
俄
(
にはか
)
に
酒
(
さけ
)
の
酔
(
よ
)
ひも
醒
(
さ
)
め、
182
真青
(
まつさを
)
の
顔
(
かほ
)
をして、
183
やや
狼狽
(
うろた
)
へ
気味
(
ぎみ
)
になつて、
184
ランチ
『イヤ
片彦
(
かたひこ
)
殿
(
どの
)
、
185
物
(
もの
)
には
表裏
(
へうり
)
が
厶
(
ござ
)
る。
186
サウ
貴殿
(
きでん
)
のやうに
几帳面
(
きちやうめん
)
に
致
(
いた
)
されてはやりきれない、
187
まづ
一献
(
いつこん
)
召上
(
めしあが
)
れ』
188
と
盃
(
さかづき
)
を
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
す。
189
片彦
(
かたひこ
)
は
腹立紛
(
はらだちまぎ
)
れにビリビリ
慄
(
ふる
)
ひながら、
190
片彦
『
魂
(
たましひ
)
迄
(
まで
)
も
腐
(
くさ
)
り
切
(
き
)
つた
将軍
(
しやうぐん
)
の
盃
(
さかづき
)
は
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
る、
191
汚
(
けがら
)
はしう
厶
(
ござ
)
る』
192
と、
193
ランチの
差出
(
さしだ
)
した
盃
(
さかづき
)
を
無残
(
むざん
)
にも
叩
(
たた
)
き
落
(
おと
)
した。
194
盃
(
さかづき
)
は
金火鉢
(
かなひばち
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
ち、
195
パツと
三
(
みつ
)
つに
割
(
わ
)
れて
仕舞
(
しま
)
つた。
196
ランチ
『マアマアさう
云
(
い
)
つたものぢやない、
197
まづ
気
(
き
)
を
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けられよ、
198
御
(
ご
)
所望
(
しよまう
)
とあらば
初稚姫
(
はつわかひめ
)
をお
譲
(
ゆづ
)
り
申
(
まを
)
す』
199
片彦
『
魚心
(
うをごころ
)
あらば
水心
(
みづごころ
)
ありで
厶
(
ござ
)
る。
200
然
(
しか
)
らば
初稚姫
(
はつわかひめ
)
を
拙者
(
せつしや
)
に
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
とお
渡
(
わた
)
し
下
(
くだ
)
さるか』
201
ランチ
『
武士
(
ぶし
)
の
言葉
(
ことば
)
に
二言
(
にごん
)
は
厶
(
ござ
)
らぬ』
202
初稚姫
『エヽ
好
(
す
)
かぬたらしい、
203
あんな、
204
カツクイのやうな
男
(
をとこ
)
、
205
妾
(
あたい
)
死
(
し
)
んでも
嫌
(
いや
)
だわ、
206
エヽ
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
い、
207
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
208
姉
(
ねえ
)
さま、
209
塩
(
しほ
)
でも
撒
(
ふ
)
つて
帰
(
い
)
なして
下
(
くだ
)
さい。
210
私
(
わたし
)
はランチさまが
好
(
す
)
きだわ。
211
片彦
(
かたひこ
)
なんて、
212
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いてもガタガタして、
213
体中
(
からだぢう
)
がガタガタ
彦
(
ひこ
)
になり、
214
嫌
(
いや
)
になりますわ。
215
マアあの
貧相
(
ひんさう
)
な
顔
(
かほ
)
わいのう。
216
ホヽヽヽヽ』
217
ランチ
『コレコレ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
218
左様
(
さやう
)
な
気儘
(
きまま
)
を
云
(
い
)
ふものぢやない、
219
なぜ
将軍
(
しやうぐん
)
の
命
(
めい
)
を
承知
(
きか
)
ないのですか』
220
初稚姫
『ホヽヽ、
221
仕様
(
しやう
)
もない、
222
将軍
(
しやうぐん
)
の
命
(
めい
)
をきくものは
殺人器
(
さつじんき
)
同様
(
どうやう
)
の
低脳児
(
ていなうじ
)
の
雑兵
(
ざふひやう
)
ですよ。
223
私
(
わたし
)
は
独立
(
どくりつ
)
した
一個
(
いつこ
)
の
女
(
をんな
)
、
224
軍籍
(
ぐんせき
)
に
身
(
み
)
は
置
(
お
)
いて
居
(
を
)
りませぬ、
225
将軍
(
しやうぐん
)
さまだつて
私
(
わたし
)
に
命令
(
めいれい
)
する
権利
(
けんり
)
はありますまい、
226
嫌
(
いや
)
と
云
(
い
)
うたら
嫌
(
いや
)
ですよ』
227
片彦
『エヽ
恥
(
はぢ
)
の
上
(
うへ
)
に
恥
(
はぢ
)
をかかされ、
228
何
(
ど
)
うして
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
つか。
229
エヽもう
仕方
(
しかた
)
がない、
230
斯
(
か
)
うなれば
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
へ
御
(
ご
)
注進
(
ちゆうしん
)
だ。
231
ランチ
殿
(
どの
)
、
232
御
(
ご
)
切腹
(
せつぷく
)
なさるか、
233
但
(
ただ
)
しは
兜
(
かぶと
)
をぬいで、
234
支配権
(
しはいけん
)
を
片彦
(
かたひこ
)
にお
譲
(
ゆづ
)
りなさるか、
235
返答
(
へんたふ
)
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
る』
236
と
剣
(
つるぎ
)
の
柄
(
つか
)
に
手
(
て
)
をかけ、
237
チクリチクリとつめ
寄
(
よ
)
つた。
238
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
はセツパ
詰
(
つま
)
り、
239
しようこと
無
(
な
)
き
儘
(
まま
)
に、
240
二人
(
ふたり
)
の
副官
(
ふくくわん
)
に
何事
(
なにごと
)
をか
目
(
め
)
をもつて
命
(
めい
)
じた。
241
二人
(
ふたり
)
の
副官
(
ふくくわん
)
は、
242
矢庭
(
やには
)
に
片彦
(
かたひこ
)
の
左右
(
さいう
)
につつと
寄
(
よ
)
り、
243
両手
(
りやうて
)
を
手早
(
てばや
)
く
縛
(
しば
)
り、
244
三階
(
さんがい
)
の
高殿
(
たかどの
)
から、
245
眼下
(
がんか
)
の
谷川
(
たにがは
)
の
青淵
(
あをぶち
)
目蒐
(
めが
)
けて、
246
ドブンと
許
(
ばか
)
り
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
247
ランチ
『アハヽヽヽヽ、
248
ても
心地
(
ここち
)
よく
斃
(
くたば
)
つたものだ。
249
ヤア
両人
(
りやうにん
)
、
250
出
(
で
)
かした
出
(
で
)
かした。
251
是
(
これ
)
より
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
副官
(
ふくくわん
)
の
職
(
しよく
)
を
解
(
と
)
き、
252
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
及
(
およ
)
び
久米彦
(
くめひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
後任者
(
こうにんしや
)
に
命
(
めい
)
ずる』
253
二人の副官
『ハイ、
254
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
255
ランチ
『ガーター
勲章
(
くんしやう
)
を
与
(
あた
)
ふべき
所
(
ところ
)
だが、
256
これは
後日
(
ごじつ
)
又
(
また
)
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
に
奏上
(
そうじやう
)
して
与
(
あた
)
へらるるやう
手続
(
てつづ
)
きを
致
(
いた
)
してやらう』
257
二人の副官
『ハイ、
258
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
259
何分
(
なにぶん
)
宜敷
(
よろし
)
くお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
260
両手
(
りやうて
)
を
縛
(
しば
)
られて
高殿
(
たかどの
)
から
谷川
(
たにがは
)
へ
投
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれた
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
は、
261
ブカリ ブカリと
浮
(
う
)
きながら
早瀬
(
はやせ
)
を
流
(
なが
)
れゆく。
262
ランチ
及
(
およ
)
び
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
は
此
(
この
)
光景
(
くわうけい
)
を
眺
(
なが
)
め、
263
手
(
て
)
を
打
(
う
)
つてウロウ ウロウと
歓声
(
くわんせい
)
をあげてゐる。
264
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
265
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
吃驚
(
びつくり
)
したやうな
顔
(
かほ
)
をして、
266
初稚姫
『アレマア、
267
妾
(
あて
)
恐
(
こは
)
いわ、
268
姉
(
ねえ
)
さま、
269
何
(
ど
)
うしまひよう、
270
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
りませうか』
271
清照姫
『さうね、
272
こんな
怖
(
こは
)
い
人
(
ひと
)
ばかり、
273
妾
(
あたい
)
、
274
もうよう
居
(
を
)
りませぬわ』
275
ランチ
『アハヽヽヽヽ、
276
清照姫
(
きよてるひめ
)
殿
(
どの
)
、
277
初稚姫
(
はつわかひめ
)
殿
(
どの
)
、
278
何
(
なに
)
も
怖
(
こは
)
い
事
(
こと
)
はない。
279
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
に
危害
(
きがい
)
を
加
(
くは
)
へようと
云
(
い
)
ふのではない、
280
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
を
可愛
(
かあい
)
がつてやり
度
(
た
)
いばかりに
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
をなきものにしたのだ。
281
凡
(
すべ
)
て
軍人
(
ぐんじん
)
は
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
や
二百
(
にひやく
)
人
(
にん
)
殺
(
ころ
)
した
位
(
くらゐ
)
で、
282
気
(
き
)
を
弱
(
よわ
)
らして
居
(
を
)
つては
軍職
(
ぐんしよく
)
が
勤
(
つと
)
まらない。
283
大根
(
だいこん
)
の
葉
(
は
)
についた
害虫
(
がいちう
)
を
草鞋
(
わらぢ
)
で
踏
(
ふ
)
みにじるやうな
心持
(
こころもち
)
だ。
284
一
(
いち
)
日
(
にち
)
の
内
(
うち
)
に
二万
(
にまん
)
三万
(
さんまん
)
と
云
(
い
)
ふ
人間
(
にんげん
)
を
殺
(
ころ
)
さなくては、
285
何
(
ど
)
うしても
国家
(
こくか
)
を
守
(
まも
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬのだからな』
286
清照姫
『ランチ
様
(
さま
)
、
287
もうそんな
怖
(
こは
)
い
話
(
はなし
)
はよして、
288
この
勾欄
(
こうらん
)
の
傍
(
そば
)
で
三
(
さん
)
人
(
にん
)
様
(
さま
)
手
(
て
)
を
繋
(
つな
)
いで、
289
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しく
踊
(
をど
)
つて
下
(
くだ
)
さいな。
290
私
(
わたし
)
怖
(
こは
)
くて
体
(
からだ
)
が
慄
(
ふる
)
へて
来
(
き
)
ましたよ』
291
初稚姫
『
姉
(
ねえ
)
さま、
292
私
(
わたし
)
も
怖
(
こは
)
くなつてよ。
293
一遍
(
いつぺん
)
ランチさまの
品
(
しな
)
の
好
(
よ
)
い
体
(
からだ
)
で
踊
(
をど
)
つて
欲
(
ほ
)
しいわ』
294
ランチ
『ヨシヨシ
踊
(
をど
)
つてやらう、
295
併
(
しか
)
しお
前
(
まへ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
手
(
て
)
を
繋
(
つな
)
いで
踊
(
をど
)
らうぢやないか』
296
初稚姫
『
姉
(
ねえ
)
さま、
297
一緒
(
いつしよ
)
に
踊
(
をど
)
りませうよ』
298
清照姫
『それなら
五
(
ご
)
人
(
にん
)
輪
(
わ
)
になつて
面白
(
おもしろ
)
う
踊
(
をど
)
つて
見
(
み
)
ませう、
299
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さま、
300
貴女
(
あなた
)
、
301
将軍
(
しやうぐん
)
さまの
右
(
みぎ
)
のお
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つてお
上
(
あ
)
げ、
302
私
(
わて
)
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
上
(
あ
)
げます』
303
ランチ
『ヤアこれは
面白
(
おもしろ
)
い』
304
と
顔
(
かほ
)
の
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
き、
305
副官
(
ふくくわん
)
と
五
(
ご
)
人
(
にん
)
輪
(
わ
)
になつて
踊
(
をど
)
り
初
(
はじ
)
めた。
306
余
(
あま
)
り
踊
(
をど
)
つたためか、
307
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
が
頭
(
あたま
)
に
被
(
かぶ
)
つて
居
(
ゐ
)
た
鬘
(
かつら
)
はポタリと
落
(
お
)
ちて、
308
テカテカの
青坊主
(
あをばうず
)
……ランチと
二人
(
ふたり
)
はアツと
驚
(
おどろ
)
く
途端
(
とたん
)
に、
309
二人
(
ふたり
)
の
美人
(
びじん
)
はさも
恐
(
おそ
)
ろしい
鬼
(
おに
)
とも
蛇
(
じや
)
とも
妖怪
(
えうくわい
)
とも
分
(
わか
)
らぬ
顔
(
かほ
)
になり、
310
大口
(
おほぐち
)
をあけてワツと
迫
(
せま
)
つて
来
(
く
)
る。
311
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
驚
(
おどろ
)
いた
途端
(
とたん
)
にヒヨロ ヒヨロと
蹣
(
よろめ
)
き、
312
一度
(
いちど
)
にドツと
勾欄
(
こうらん
)
に
尻餅
(
しりもち
)
をついた。
313
勾欄
(
こうらん
)
は、
314
メキメキと
音
(
おと
)
をたて、
315
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の
落
(
お
)
ちた
青淵
(
あをぶち
)
にドブンと
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
て、
316
石
(
いし
)
を
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだやうに
水中
(
すゐちう
)
に
沈
(
しづ
)
んで
仕舞
(
しま
)
つた。
317
下
(
した
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たお
民
(
たみ
)
は、
318
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
の、
319
三階
(
さんがい
)
へ
上
(
のぼ
)
つた
儘
(
まま
)
下
(
お
)
りて
来
(
こ
)
ないのに
不審
(
ふしん
)
をおこし、
320
段梯子
(
だんばしご
)
を
上
(
のぼ
)
つて
見
(
み
)
れば、
321
大
(
おほ
)
きな
白狐
(
びやくこ
)
が
二匹
(
にひき
)
、
322
お
民
(
たみ
)
の
顔
(
かほ
)
を
目
(
め
)
を
瞋
(
いか
)
らして
白眼
(
にら
)
みつけて
居
(
ゐ
)
る。
323
お
民
(
たみ
)
はアツと
云
(
い
)
つて
反身
(
そりみ
)
になつた
儘
(
まま
)
、
324
段梯子
(
だんばしご
)
の
上
(
うへ
)
からドスン、
325
ガタガタガタ、
326
ウンといつたきり
気絶
(
きぜつ
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
327
遥
(
はる
)
か
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
より
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
328
果
(
はた
)
して
何人
(
なにびと
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
であらうか。
329
(
大正一二・一・一二
旧一一・一一・二六
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 鞘当
(B)
(N)
六道の辻 >>>
霊界物語
>
第48巻
> 第1篇 変現乱痴 > 第6章 狂転
Tweet
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【06 狂転|第48巻(亥の巻)|霊界物語/rm4806】
合言葉「みろく」を入力して下さい→