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第48巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 変現乱痴
01 聖言
〔1255〕
02 武乱泥
〔1256〕
03 観音経
〔1257〕
04 雪雑寝
〔1258〕
05 鞘当
〔1259〕
06 狂転
〔1260〕
第2篇 幽冥摸索
07 六道の辻
〔1261〕
08 亡者苦雑
〔1262〕
09 罪人橋
〔1263〕
第3篇 愛善信真
10 天国の富
〔1264〕
11 霊陽山
〔1265〕
12 西王母
〔1266〕
13 月照山
〔1267〕
14 至愛
〔1268〕
第4篇 福音輝陣
15 金玉の辻
〔1269〕
16 途上の変
〔1270〕
17 甦生
〔1271〕
18 冥歌
〔1272〕
19 兵舎の囁
〔1273〕
20 心の鬼
〔1274〕
余白歌
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> 第4篇 福音輝陣 > 第18章 冥歌
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第一八章
冥歌
(
めいか
)
〔一二七二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:
第4篇 福音輝陣
よみ(新仮名遣い):
ふくいんきじん
章:
第18章 冥歌
よみ(新仮名遣い):
めいか
通し章番号:
1272
口述日:
1923(大正12)年01月14日(旧11月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
浮木の森の陣営では、幽冥旅行無事終了の祝宴が開かれ、バラモン軍と三五教の和睦の宴も兼ねられた。三五教の大神を祭り、感謝祈願の祝詞を奏上した上で、広い居間に一同は円陣を作り、山海の珍味を集めて歌い舞った。
治国別はと竜公は、天界を讃える歌を歌った。ランチと片彦は、幽冥界のありさまを歌い、自らの罪を懺悔し三五教の宣伝使たちに救われた感謝を歌って戒めを示した。松彦とお寅はこれまでの経緯を歌い、浮木の森の陣営で人事不省となっていたランチ一同を介抱したときの様子を歌った。
お民は万公に歌を強いられ、おどけて自分が幽霊となって蠑螈別を怨む歌を歌い、また万公に取り憑くようにおどかして万公の肝を冷やし、一同の笑いを取った。
夜も更けたので、ランチは宴をお開きとし、一同は上機嫌で今に帰り寝に就いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-06-01 12:42:35
OBC :
rm4818
愛善世界社版:
252頁
八幡書店版:
第8輯 682頁
修補版:
校定版:
263頁
普及版:
128頁
初版:
ページ備考:
001
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
には
主客
(
しゆきやく
)
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて、
002
幽冥
(
いうめい
)
旅行
(
りよかう
)
無事
(
ぶじ
)
終了
(
しうれう
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
が
開
(
ひら
)
かれた。
003
而
(
しか
)
して
又
(
また
)
敵味方
(
てきみかた
)
和睦
(
わぼく
)
の
宴
(
えん
)
を
兼
(
か
)
ねられたのは
云
(
い
)
ふまでもない。
004
ランチ、
005
片彦
(
かたひこ
)
両将軍
(
りやうしやうぐん
)
を
初
(
はじ
)
め、
006
治国別
(
はるくにわけ
)
は
正座
(
しやうざ
)
に
直
(
なほ
)
り、
007
アーク、
008
タール、
009
エキス、
010
蠑螈別
(
いもりわけ
)
、
011
お
民
(
たみ
)
、
012
お
寅
(
とら
)
、
013
竜公
(
たつこう
)
、
014
万公
(
まんこう
)
、
015
松彦
(
まつひこ
)
、
016
アク、
017
タク、
018
テク、
019
ガリヤ、
020
ケースの
面々
(
めんめん
)
、
021
可
(
か
)
なり
広
(
ひろ
)
き
居間
(
ゐま
)
に
円陣
(
ゑんぢん
)
を
作
(
つく
)
り、
022
山海
(
さんかい
)
の
珍味
(
ちんみ
)
を
集
(
あつ
)
めて、
023
土手
(
どて
)
を
切
(
き
)
らして
歌
(
うた
)
ひ
舞
(
ま
)
うた。
024
勿論
(
もちろん
)
それ
以前
(
いぜん
)
に、
025
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
祭
(
まつ
)
り、
026
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
了
(
をは
)
つた
事
(
こと
)
は
断
(
ことわ
)
つておく。
027
治国別
(
はるくにわけ
)
は
声調
(
せいてう
)
ゆるやかに
歌
(
うた
)
ふ。
028
治国別
『
高天原
(
たかあまはら
)
は
何処
(
いづく
)
なる
029
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
030
栄
(
さか
)
えの
花
(
はな
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
031
咲
(
さ
)
きみち
匂
(
にほ
)
ふ
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
』
032
竜公
(
たつこう
)
『
高天原
(
たかあまはら
)
は
何処
(
いづく
)
なる
033
八重
(
やへ
)
棚雲
(
たなぐも
)
をかき
分
(
わ
)
けて
034
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
神人
(
しんじん
)
の
035
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
にのぼりゆき
036
無限
(
むげん
)
の
歓喜
(
くわんき
)
に
打
(
う
)
たれつつ
037
喜
(
よろこ
)
びゑらぎ
遊
(
あそ
)
ぶ
国
(
くに
)
』
038
治国
(
はるくに
)
『
高天原
(
たかあまはら
)
の
神国
(
しんこく
)
は
039
愛
(
あい
)
の
善徳
(
ぜんとく
)
充
(
み
)
ち
充
(
み
)
ちて
040
住
(
す
)
む
天人
(
てんにん
)
は
悉
(
ことごと
)
く
041
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
包
(
つつ
)
まれつ
042
日々
(
にちにち
)
の
業務
(
げふむ
)
を
謹
(
つつし
)
みて
043
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
044
心
(
こころ
)
を
一
(
ひと
)
つに
固
(
かた
)
めつつ
045
円満
(
ゑんまん
)
具足
(
ぐそく
)
の
団体
(
だんたい
)
を
046
ますます
清
(
きよ
)
く
麗
(
うるは
)
しく
047
開
(
ひら
)
き
進
(
すす
)
むる
天人
(
てんにん
)
の
048
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
住
(
す
)
まふ
国
(
くに
)
』
049
竜公
(
たつこう
)
『
高天原
(
たかあまはら
)
の
霊国
(
れいごく
)
は
050
月
(
つき
)
の
御神
(
みかみ
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
051
鎮
(
しづ
)
まりいます
瑞
(
みづ
)
の
国
(
くに
)
052
山川
(
やまかは
)
清
(
きよ
)
く
野
(
の
)
は
茂
(
しげ
)
り
053
春
(
はる
)
と
夏
(
なつ
)
とのうららかな
054
景色
(
けしき
)
に
充
(
み
)
てる
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
055
百
(
もも
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
はよく
実
(
みの
)
り
056
名
(
な
)
さへ
分
(
わか
)
らぬ
百鳥
(
ももどり
)
は
057
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
祝
(
いは
)
ひつつ
058
喜
(
よろこ
)
びゑらぎ
遊
(
あそ
)
ぶ
国
(
くに
)
059
顔面
(
かんばせ
)
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
りわたる
060
姿
(
すがた
)
優
(
やさ
)
しくニコニコと
061
憂
(
うれ
)
ひを
知
(
し
)
らぬ
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
062
人
(
ひと
)
と
生
(
うま
)
れし
吾々
(
われわれ
)
は
063
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
い
)
きて
大神
(
おほかみ
)
の
064
道
(
みち
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
065
心
(
こころ
)
を
研
(
みが
)
き
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
066
霊肉
(
れいにく
)
分離
(
ぶんり
)
の
其
(
その
)
後
(
のち
)
は
067
天
(
あめ
)
の
八衢
(
やちまた
)
関所
(
せきしよ
)
をば
068
越
(
こ
)
えずに
直
(
すぐ
)
に
天国
(
てんごく
)
へ
069
上
(
のぼ
)
る
御霊
(
みたま
)
に
進
(
すす
)
むべく
070
今
(
いま
)
より
心
(
こころ
)
を
研
(
みが
)
くべし
071
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にあり
072
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
073
いかでか
神
(
かみ
)
に
帰
(
かへ
)
らざらむ
074
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
075
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ』
076
ランチ『
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
は
醜
(
しこ
)
の
国
(
くに
)
077
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
や
醜魂
(
しこたま
)
の
078
ウヨウヨ
群
(
むら
)
がり
住
(
す
)
まふ
国
(
くに
)
079
塵
(
ちり
)
や
芥
(
あくた
)
に
汚
(
けが
)
されて
080
鼻
(
はな
)
つくばかり
臭
(
くさ
)
い
国
(
くに
)
081
常世
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
の
前後
(
まへうし
)
ろ
082
足元
(
あしもと
)
さへも
見
(
み
)
えぬ
国
(
くに
)
083
暗
(
くら
)
き
隧道
(
すゐだう
)
下
(
くだ
)
りゆき
084
頭
(
あたま
)
を
岩
(
いは
)
に
打
(
う
)
ちつけて
085
血潮
(
ちしほ
)
は
流
(
なが
)
れ
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
086
苦
(
くるし
)
み
痛
(
いた
)
む
醜
(
しこ
)
の
国
(
くに
)
087
危
(
あやふ
)
き
橋
(
はし
)
の
細長
(
ほそなが
)
く
088
深谷川
(
ふかたにがは
)
に
架
(
か
)
けられて
089
身
(
み
)
を
切
(
き
)
る
計
(
ばか
)
りの
寒風
(
かんぷう
)
が
090
いや
永久
(
とこしへ
)
に
吹
(
ふ
)
きまくる
091
冷
(
つめ
)
たき
寒
(
さむ
)
き
醜
(
しこ
)
の
国
(
くに
)
092
ガリガリ
亡者
(
まうじや
)
の
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
093
秋
(
あき
)
の
夕
(
ゆふべ
)
の
虫
(
むし
)
の
如
(
ごと
)
094
悲
(
かな
)
しみ
歎
(
なげ
)
き
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
095
胸
(
むね
)
の
塞
(
ふさ
)
がる
暗
(
やみ
)
の
国
(
くに
)
096
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
097
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
御光
(
みひかり
)
に
098
照
(
て
)
らされここに
救
(
すく
)
はれて
099
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
となり
100
月日
(
つきひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
委曲
(
まつぶさ
)
に
101
拝
(
はい
)
する
身
(
み
)
とはなりにけり
102
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
天地
(
あめつち
)
の
103
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
何時
(
いつ
)
の
世
(
よ
)
か
104
かよわき
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
105
酬
(
むく
)
いまつらむ
時
(
とき
)
やある
106
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
107
如何
(
いか
)
なる
悩
(
なや
)
みに
遇
(
あ
)
ふとても
108
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
御恵
(
みめぐみ
)
に
109
比
(
くら
)
べまつれば
吾々
(
われわれ
)
が
110
尽
(
つく
)
す
誠
(
まこと
)
は
九牛
(
きうぎう
)
の
111
一毛
(
いちまう
)
だにも
及
(
およ
)
ぶまじ
112
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
113
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
にわびまつる』
114
片彦
(
かたひこ
)
『
中有界
(
ちううかい
)
の
八衢
(
やちまた
)
に
115
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み
116
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れて
今日
(
けふ
)
までも
117
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
悪業
(
あくごふ
)
を
118
尽
(
つく
)
せし
事
(
こと
)
を
一々
(
いちいち
)
に
119
伊吹戸主
(
いぶきどぬし
)
の
門番
(
もんばん
)
に
120
スツパぬかれた
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
121
身
(
み
)
も
世
(
よ
)
もあらぬ
思
(
おも
)
ひして
122
穴
(
あな
)
があるなら
逸早
(
いちはや
)
く
123
消
(
き
)
えたきやうな
心持
(
こころもち
)
124
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
へぬ
苦
(
くる
)
しさに
125
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
墜
(
おと
)
されて
126
汚穢
(
をえ
)
の
臭気
(
しうき
)
に
充
(
みた
)
されし
127
暗
(
くら
)
き
岩穴
(
いはあな
)
腰
(
こし
)
屈
(
かが
)
め
128
足
(
あし
)
を
傷
(
きず
)
つけ
頭
(
あたま
)
打
(
う
)
ち
129
漸
(
やうや
)
く
橋
(
はし
)
の
袂
(
たもと
)
まで
130
来
(
きた
)
りて
見
(
み
)
れば
沢山
(
たくさん
)
の
131
冥官
(
めいくわん
)
達
(
たち
)
が
立並
(
たちなら
)
び
132
コハイ
顔
(
かほ
)
して
睨
(
にら
)
みつけ
133
叱
(
しか
)
り
飛
(
と
)
ばした
恐
(
おそ
)
ろしさ
134
それさへあるに
四方
(
しはう
)
より
135
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
とに
窶
(
やつ
)
れたる
136
ガリガリ
亡者
(
まうじや
)
が
蜂
(
はち
)
の
巣
(
す
)
を
137
つついた
如
(
ごと
)
く
現
(
あら
)
はれて
138
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
体
(
からだ
)
に
喰
(
くら
)
ひつき
139
手足
(
てあし
)
にまとひし
厭
(
いや
)
らしさ
140
吹来
(
ふきく
)
る
風
(
かぜ
)
は
腥
(
なまぐさ
)
く
141
自然
(
しぜん
)
に
鼻
(
はな
)
のゆがむよな
142
臭気
(
しうき
)
は
四辺
(
あたり
)
を
吹
(
ふ
)
きまくる
143
如何
(
いか
)
なる
深
(
ふか
)
き
罪
(
つみ
)
あるも
144
かやうな
所
(
とこ
)
におとすとは
145
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
146
聞
(
きこ
)
えませぬと
心中
(
しんちう
)
に
147
恨
(
うら
)
みし
事
(
こと
)
も
幾度
(
いくたび
)
か
148
呼
(
よ
)
べど
叫
(
さけ
)
べど
祈
(
いの
)
れども
149
何
(
なん
)
の
証
(
しるし
)
も
荒涙
(
あらなみだ
)
150
苦
(
くるし
)
み
悶
(
もだ
)
ゆる
折
(
をり
)
もあれ
151
幽
(
かす
)
かに
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
152
聞
(
き
)
くより
我利
(
がり
)
々々
(
がり
)
亡者
(
まうじや
)
たち
153
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せぬ
154
鬼
(
おに
)
のやうなる
面
(
つら
)
さげた
155
冥官
(
めいくわん
)
共
(
ども
)
もチクチクと
156
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し
漸
(
やうや
)
くに
157
四辺
(
あたり
)
は
少
(
すこ
)
しく
明
(
あか
)
くなり
158
あゝ
嬉
(
うれ
)
しやと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
159
許
(
ゆる
)
しの
雲
(
くも
)
に
打乗
(
うちの
)
りて
160
悠々
(
いういう
)
下
(
くだ
)
る
女神
(
めがみ
)
あり
161
女神
(
めがみ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
を
連
(
つ
)
れ
162
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれて
163
いとも
優
(
やさ
)
しき
御
(
おん
)
声
(
こゑ
)
に
164
汝
(
なんぢ
)
はランチ
将軍
(
しやうぐん
)
か
165
お
前
(
まへ
)
は
片彦
(
かたひこ
)
将軍
(
しやうぐん
)
か
166
高天原
(
たかあまはら
)
の
最奥
(
さいあう
)
の
167
日
(
ひ
)
の
若宮
(
わかみや
)
に
現
(
あ
)
れませる
168
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
169
汝
(
なんぢ
)
が
苦念
(
くねん
)
を
助
(
たす
)
けむと
170
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
れる
紫
(
むらさき
)
の
171
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
のエンゼルと
172
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
173
地獄
(
ぢごく
)
に
仏
(
ほとけ
)
といふ
事
(
こと
)
は
174
かかる
事
(
こと
)
をや
云
(
い
)
ふならむ
175
甦
(
よみがへ
)
りたる
心地
(
ここち
)
して
176
ハツと
頭
(
かしら
)
をさぐる
折
(
をり
)
177
紫姫
(
むらさきひめ
)
は
淑
(
しとやか
)
に
178
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ひ
179
金勝要
(
きんかつかねの
)
大神
(
おほかみ
)
の
180
御心
(
みこころ
)
伺
(
うかが
)
ひ
奉
(
まつ
)
らむと
181
侍女
(
じぢよ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り
182
北方
(
ほつぱう
)
の
空
(
そら
)
をいういうと
183
渡
(
わた
)
りて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しまし
184
間
(
ま
)
もなく
来
(
きた
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
185
治国別
(
はるくにわけ
)
や
竜公
(
たつこう
)
や
186
松彦司
(
まつひこつかさ
)
其
(
その
)
他
(
ほか
)
の
187
真人
(
まさびと
)
たちに
救
(
すく
)
はれて
188
再
(
ふたた
)
び
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
明
(
あか
)
りをば
189
拝
(
をが
)
みし
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
190
此
(
この
)
大恩
(
だいおん
)
に
酬
(
むく
)
うべく
191
吾
(
われ
)
は
之
(
これ
)
より
真心
(
まごころ
)
を
192
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
193
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
捧
(
ささ
)
げつつ
194
常世
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
の
現界
(
げんかい
)
を
195
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
大神
(
おほかみ
)
の
196
珍
(
うづ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らすべく
197
治国別
(
はるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
198
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
はまだ
愚
(
おろ
)
か
199
百八十
(
ももやそ
)
国
(
くに
)
の
果
(
はて
)
までも
200
お
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に
雨露
(
あめつゆ
)
を
201
冒
(
をか
)
して
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るべし
202
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
203
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
真心
(
まごころ
)
を
204
捧
(
ささ
)
げて
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
205
松彦
(
まつひこ
)
『バラモン
軍
(
ぐん
)
の
秘書官
(
ひしよくわん
)
と
206
仕
(
つか
)
へまつりて
河鹿山
(
かじかやま
)
207
数多
(
あまた
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
208
進
(
すす
)
む
折
(
をり
)
しも
三五
(
あななひ
)
の
209
神徳
(
しんとく
)
無限
(
むげん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
210
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
に
211
珍
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
打出
(
うちだ
)
され
212
総隊
(
そうたい
)
崩
(
くづ
)
れ
逃出
(
にげいだ
)
す
213
其
(
その
)
みじめさに
憤慨
(
ふんがい
)
し
214
吾
(
われ
)
は
竜公
(
たつこう
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
215
懐谷
(
ふところだに
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し
216
善後
(
ぜんご
)
の
策
(
さく
)
を
講
(
かう
)
じつつ
217
逃
(
に
)
げ
遅
(
おく
)
れたる
馬
(
うま
)
ともに
218
トボトボ
坂
(
さか
)
を
降
(
くだ
)
りつつ
219
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
来
(
き
)
てみれば
220
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
221
二人
(
ふたり
)
の
家来
(
けらい
)
が
頑張
(
ぐわんば
)
つて
222
見張
(
みは
)
りしてゐる
恐
(
おそ
)
ろしさ
223
漸
(
やうや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
のゴミにごし
224
不思議
(
ふしぎ
)
の
縁
(
えん
)
で
兄弟
(
きやうだい
)
の
225
目出度
(
めでた
)
く
対面
(
たいめん
)
相済
(
あひす
)
ませ
226
治国別
(
はるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
227
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
228
忽
(
たちま
)
ちドロンと
消
(
き
)
え
給
(
たま
)
ふ
229
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りし
吾々
(
われわれ
)
は
230
数人
(
すうにん
)
連
(
づ
)
れにて
小北山
(
こぎたやま
)
231
ユラリの
彦
(
ひこ
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
232
進
(
すす
)
みて
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまや
233
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまに
出会
(
しゆつくわい
)
し
234
妻
(
つま
)
と
娘
(
むすめ
)
に
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
235
漸
(
やうや
)
くここに
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
236
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
人
(
ひと
)
の
声
(
こゑ
)
237
小山
(
こやま
)
の
如
(
ごと
)
く
集
(
あつ
)
まりて
238
ウヨウヨウヨと
騒
(
さわ
)
ぎゐる
239
われを
忘
(
わす
)
れて
陣中
(
ぢんちう
)
に
240
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
に
走
(
はし
)
り
入
(
い
)
り
241
河辺
(
かはべ
)
に
立
(
た
)
ちて
眺
(
なが
)
むれば
242
ここに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
川
(
かは
)
はまり
243
コリヤ
大変
(
たいへん
)
と
進
(
すす
)
みより
244
数多
(
あまた
)
の
軍兵
(
ぐんぴよう
)
にかつがせて
245
物見櫓
(
ものみやぐら
)
の
下
(
した
)
の
間
(
ま
)
に
246
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
運
(
はこ
)
び
惟神
(
かむながら
)
247
神
(
かみ
)
の
授
(
さづ
)
けし
言霊
(
ことたま
)
を
248
声
(
こゑ
)
淑
(
しとや
)
かに
宣
(
の
)
りつれば
249
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
250
四
(
よ
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
甦
(
よみがへ
)
り
251
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
きたる
嬉
(
うれ
)
しさよ
252
今
(
いま
)
まで
捜
(
さが
)
し
索
(
もと
)
めたる
253
治国別
(
はるくにわけ
)
の
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
も
254
竜公
(
たつこう
)
も
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれて
255
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り
合
(
あ
)
ひ
256
無事
(
ぶじ
)
を
祝
(
しゆく
)
せし
嬉
(
うれ
)
しさは
257
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
の
開
(
ひら
)
きたる
258
百神
(
ももがみ
)
たちのゑらぎ
声
(
ごゑ
)
259
それにも
勝
(
まさ
)
る
思
(
おも
)
ひなり
260
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
261
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
の
現
(
あら
)
はれて
262
バラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
263
軍
(
いくさ
)
の
思
(
おも
)
ひも
今
(
いま
)
は
早
(
はや
)
264
矛
(
ほこ
)
逆
(
さか
)
しまに
立直
(
たてなほ
)
し
265
剣
(
つるぎ
)
を
扇子
(
せんす
)
に
持
(
も
)
ちかへて
266
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
を
伏拝
(
ふしをが
)
む
267
目出度
(
めでた
)
き
仕儀
(
しぎ
)
となりにけり
268
これぞ
全
(
まつた
)
く
素盞嗚
(
すさのを
)
の
269
神
(
かみ
)
の
尊
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
威徳
(
ゐとく
)
が
270
表
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひし
証
(
しるし
)
なり
271
謹
(
つつ
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
皇神
(
すめかみ
)
の
272
御稜威
(
みいづ
)
を
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
273
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
274
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ』
275
お
寅
(
とら
)
『
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
に
現
(
あら
)
はれし
276
其
(
その
)
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
きウラナイの
277
教主
(
けうしゆ
)
の
君
(
きみ
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
278
其
(
その
)
お
身分
(
みぶん
)
に
似
(
に
)
もやらず
279
信者
(
しんじや
)
の
娘
(
むすめ
)
を
唆
(
そそのか
)
し
280
臍繰金
(
へそくりがね
)
をまき
上
(
あ
)
げて
281
おまけにお
寅
(
とら
)
の
頭
(
あたま
)
まで
282
叩
(
たた
)
いて
逃
(
に
)
げる
強
(
がう
)
の
者
(
もの
)
283
憎
(
につく
)
き
奴
(
やつ
)
と
思
(
おも
)
ひつめ
284
一度
(
いちど
)
は
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つたれど
285
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
に
叩
(
たた
)
かれた
286
其
(
その
)
為
(
ため
)
私
(
わたし
)
は
神徳
(
しんとく
)
を
287
腕
(
うで
)
もたわわに
頂
(
いただ
)
いて
288
スツカリ
迷
(
まよ
)
ひの
夢
(
ゆめ
)
も
醒
(
さ
)
め
289
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
290
此上
(
こよ
)
なく
信
(
しん
)
じ
奉
(
たてまつ
)
り
291
松彦司
(
まつひこつかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
292
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
に
来
(
き
)
てみれば
293
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
と
人
(
ひと
)
の
影
(
かげ
)
294
只事
(
ただごと
)
ならじと
近寄
(
ちかよ
)
りて
295
よくよく
見
(
み
)
ればお
民
(
たみ
)
さま
296
大地
(
だいち
)
に
蛙
(
かはづ
)
を
投
(
な
)
げたよに
297
早縡切
(
はやことき
)
れてゐなさつた
298
コリヤ
大変
(
たいへん
)
と
万公
(
まんこう
)
や
299
アク、テク、タクの
一同
(
いちどう
)
は
300
人工
(
じんこう
)
呼吸
(
こきふ
)
を
施
(
ほどこ
)
して
301
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
302
祈
(
いの
)
り
奉
(
まつ
)
ればアラ
不思議
(
ふしぎ
)
303
神徳
(
しんとく
)
忽
(
たちま
)
ち
現
(
あら
)
はれて
304
息
(
いき
)
ふき
返
(
かへ
)
した
嬉
(
うれ
)
しさよ
305
之
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
306
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
導
(
みちび
)
き
給
(
たま
)
ふべく
307
計
(
はか
)
り
給
(
たま
)
ひし
御業
(
みわざ
)
ぞと
308
尊
(
たふと
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
今
(
いま
)
ここに
309
無事
(
ぶじ
)
の
対面
(
たいめん
)
遂
(
と
)
げながら
310
以前
(
いぜん
)
の
恨
(
うらみ
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ
311
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
312
御
(
お
)
任
(
まか
)
せ
申
(
まを
)
した
気楽
(
きらく
)
さよ
313
いざ
之
(
これ
)
よりは
吾々
(
われわれ
)
も
314
心
(
こころ
)
の
腹帯
(
はらおび
)
締
(
し
)
め
直
(
なほ
)
し
315
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶ
荒野原
(
あらのはら
)
316
よぎりて
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
317
力限
(
ちからかぎ
)
りに
仕
(
つか
)
ふべし
318
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
319
天地
(
てんち
)
を
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひたる
320
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
よ
大神
(
おほかみ
)
よ
321
お
寅
(
とら
)
が
微衷
(
びちう
)
を
愍
(
あはれ
)
みて
322
此
(
この
)
大業
(
たいげふ
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
323
遂
(
と
)
げさせ
給
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎまつる』
324
万公
(
まんこう
)
『ヤア
皆
(
みな
)
さま、
325
幽冥組
(
いうめいぐみ
)
も
元気
(
げんき
)
恢復
(
くわいふく
)
し、
326
言霊車
(
ことたまぐるま
)
の
運転
(
うんてん
)
も
随分
(
ずいぶん
)
盛
(
さかん
)
なものでした。
327
之
(
これ
)
から
一
(
ひと
)
つお
民
(
たみ
)
如来
(
によらい
)
さまに、
328
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
い
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つて
頂
(
いただ
)
きませうか、
329
ナアお
民
(
たみ
)
さま、
330
あなたも
随分
(
ずいぶん
)
○○の
道
(
みち
)
にかけては、
331
剛
(
がう
)
の
者
(
もの
)
だからなア』
332
お民
『ホヽヽヽヽ、
333
私
(
わたし
)
は
余
(
あま
)
り
慢心
(
まんしん
)
して
高
(
たか
)
い
所
(
ところ
)
まで
上
(
あが
)
り、
334
神罰
(
しんばつ
)
を
被
(
かうむ
)
つて、
335
階段
(
かいだん
)
から
顛落
(
てんらく
)
し、
336
サツパリ
幽冥
(
いうめい
)
旅行
(
りよかう
)
を
致
(
いた
)
しました。
337
其
(
その
)
時
(
とき
)
後頭部
(
こうとうぶ
)
をシタタカ
打
(
う
)
つたと
見
(
み
)
え、
338
何
(
なん
)
だか
頭
(
あたま
)
が
変
(
へん
)
になつて、
339
到底
(
たうてい
)
歌
(
うた
)
なんか
出
(
で
)
ませぬ、
340
何卒
(
どうぞ
)
御免
(
ごめん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
341
万公
『コレコレお
民
(
たみ
)
さま、
342
吾々
(
われわれ
)
はお
前
(
まへ
)
さまの
命
(
いのち
)
の
救
(
すく
)
ひ
主
(
ぬし
)
だ。
343
チツとは
恩
(
おん
)
にきせるぢやないけれど、
344
歌
(
うた
)
位
(
くらゐ
)
歌
(
うた
)
つてくれたつて、
345
余
(
あま
)
り
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
りもせまいぞや。
346
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
前
(
まへ
)
だつて、
347
さうテラすものぢやないワ。
348
歌
(
うた
)
つたり
歌
(
うた
)
つたり』
349
お民
『エヽさういはれちや
仕方
(
しかた
)
がありませぬ、
350
何
(
いづ
)
れ
死
(
しに
)
ぞこなひですから、
351
生命
(
いのち
)
のあるやうな
歌
(
うた
)
は
歌
(
うた
)
へませぬ、
352
何
(
なん
)
でも
宜
(
よろ
)
しいか』
353
万公
『
何
(
なん
)
でも
宜
(
よろ
)
しい、
354
お
前
(
まへ
)
さまの
声
(
こゑ
)
さへ
聞
(
き
)
けばそれで
満足
(
まんぞく
)
だ。
355
チツとは
幽霊
(
いうれい
)
気分
(
きぶん
)
が
交
(
まじ
)
つても
差支
(
さしつかへ
)
ありませぬ。
356
現界
(
げんかい
)
の
歌
(
うた
)
は
随分
(
ずいぶん
)
聞
(
き
)
いてるが、
357
幽界
(
いうかい
)
の
歌
(
うた
)
はまだ
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がないから、
358
チト
位
(
くらゐ
)
、
359
いやらしてもいいから、
360
幽界
(
いうかい
)
で
覚
(
おぼ
)
えて
来
(
き
)
た
事
(
こと
)
を
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さいな』
361
お民
『ハイ、
362
お
恥
(
はづ
)
かしう
厶
(
ござ
)
いますが、
363
それなら
歌
(
うた
)
はして
貰
(
もら
)
ひませう』
364
と
云
(
い
)
ひながら、
365
両手
(
りやうて
)
をニユツと
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
し、
366
掌
(
てのひら
)
をベロリとさげ、
367
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
したり
入
(
い
)
れたりしながら、
368
一口
(
ひとくち
)
言
(
い
)
つては
踊
(
をど
)
る
其
(
その
)
可笑
(
をか
)
しさ、
369
一同
(
いちどう
)
は
思
(
おも
)
はず
吹出
(
ふきだ
)
し、
370
俄
(
にはか
)
に
興
(
きよう
)
を
添
(
そ
)
へた。
371
お民
『あゝ
恨
(
うら
)
めしや
恨
(
うら
)
めしや
372
私
(
わたし
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
373
悪性
(
あくしやう
)
男
(
をとこ
)
に
騙
(
だま
)
されて
374
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
まではるばると
375
心
(
こころ
)
ならずもついて
来
(
き
)
たワイな
376
ヒユーヒユードロドロ ヒユー、ドロドロ
377
恨
(
うら
)
めしや…………
378
恨
(
うら
)
めしわいな
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
に
379
おまんまがひつついてウラ
飯
(
めし
)
い
380
こんな
所
(
ところ
)
につくよりも
381
なぜに
表
(
おもて
)
の
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
382
天晴
(
あつぱれ
)
ついては
下
(
くだ
)
されぬ
383
そしたら
私
(
わたし
)
と
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
384
誰
(
たれ
)
憚
(
はばか
)
らずママになる
385
と
思
(
おも
)
うてゐたのは
今
(
いま
)
までだ
386
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をやつてから
387
白鬼
(
しろおに
)
さまに
頼
(
たの
)
まれて
388
審判
(
さばき
)
の
役
(
やく
)
となつたわいな
389
ホツホツホツ ホヽヽヽ
390
あた
厭
(
いや
)
らしい
声
(
こゑ
)
がする
391
此奴
(
こいつ
)
ア
不思議
(
ふしぎ
)
とよく
見
(
み
)
れば
392
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
副守
(
ふくしゆ
)
さま
393
化物
(
ばけもの
)
みたよな
女
(
をんな
)
をば
394
沢山
(
たくさん
)
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひながら
395
エチエチエチと
走
(
はし
)
りゆく
396
後姿
(
うしろすがた
)
を
眺
(
なが
)
むれば
397
青赤白
(
あをあかしろ
)
や
萠黄
(
もえぎ
)
なす
398
さも
厭
(
いや
)
らしい
鬼
(
おに
)
の
顔
(
かほ
)
399
アーアこんな
男
(
をとこ
)
とは
400
私
(
わたし
)
は
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らなんだ
401
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまはさぞやさぞ
402
これ
程
(
ほど
)
沢山
(
たくさん
)
曲鬼
(
まがおに
)
の
403
憑
(
つ
)
いた
男
(
をとこ
)
をさらはれて
404
ホンに
仕合
(
しあは
)
せなお
方
(
かた
)
だと
405
天
(
あめ
)
の
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
から
406
打驚
(
うちおどろ
)
いてみてゐましたよ
407
ヒユーヒユー ドロドロ ヒユー、ドロドロ
408
ホヽヽホツホ、ホーホーホー
409
ハテ
恨
(
うら
)
めしやアな、
恨
(
うら
)
めしや
410
私
(
わたし
)
はこれから
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
411
後
(
あと
)
には
従
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
きませぬ
412
石塔
(
せきたふ
)
の
横
(
よこ
)
から
細
(
ほそ
)
い
手
(
て
)
を
413
ニユツと
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
へ
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して
414
万公
(
まんこう
)
さまの
首筋
(
くびすぢ
)
を
415
冷
(
つめ
)
たい
手々
(
てて
)
にてグツと
掴
(
つか
)
み
416
キヤツといはさにやおきませぬ
417
ホヽヽヽホツホ
恨
(
うら
)
めしや
418
ヒヽヽヽヒツヒ
気味
(
きみ
)
がよいや
419
こんな
女子
(
をなご
)
に
睨
(
にら
)
まれたが
最後
(
さいご
)
の
錠
(
ぢやう
)
420
観念
(
くわんねん
)
なされや
万公
(
まんこう
)
さま
421
メツタに
助
(
たす
)
かりつこはない
程
(
ほど
)
に
422
イヒヽヽヒツヒ、イヒヽヽヽ』
423
万公
『コリヤお
民
(
たみ
)
……ドン、
424
やめてくれ、
425
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ、
426
アタ
厭
(
いや
)
らしい』
427
お民
『それだつて、
428
冥土
(
めいど
)
土産
(
みやげ
)
に
唄
(
うた
)
へと
云
(
い
)
つたぢやありませぬか、
429
私
(
わたし
)
が
修業
(
しうげふ
)
して
来
(
き
)
たのは、
430
こんなものですよ、
431
ホツホヽヽヽ』
432
万公
『エヽ
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い、
433
首筋
(
くびすぢ
)
がゾクゾクし
出
(
だ
)
した。
434
コレお
寅
(
とら
)
さま、
435
一杯
(
いつぱい
)
ついでくれ、
436
そしてお
民
(
たみ
)
さまを
暫
(
しばら
)
く、
437
あつちの
方
(
はう
)
へ
送
(
おく
)
つて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい……
本当
(
ほんたう
)
に
飲
(
の
)
んだ
酒
(
さけ
)
がしゆんで
了
(
しま
)
つたやうだ』
438
松彦
(
まつひこ
)
『
万公
(
まんこう
)
さまお
民
(
たみ
)
幽霊
(
いうれい
)
におどされて
439
ブルブル
震
(
ふる
)
ひ
汗
(
あせ
)
をかくなり』
440
万公
(
まんこう
)
『われとてもお
民
(
たみ
)
位
(
くらゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れねど
441
あの
言霊
(
ことたま
)
が
気
(
き
)
にくはぬなり』
442
お
民
(
たみ
)
『
万公
(
まんこう
)
さま
恐
(
おそ
)
ろしいないとは
云
(
い
)
はれまい
443
其
(
その
)
顔色
(
かほいろ
)
はホヽヽヽヽヽヽ』
444
万公
(
まんこう
)
『またしても
厭
(
いや
)
らし
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
しよるな
445
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
つてゆけかし』
446
お
民
(
たみ
)
『
立
(
た
)
ちたくは
山々
(
やまやま
)
なれど
肝腎
(
かんじん
)
の
447
蠑螈別
(
いもりわけ
)
がおもひ
切
(
き
)
られず』
448
万公
(
まんこう
)
『
何
(
なに
)
吐
(
ぬか
)
す
貴様
(
きさま
)
は
口
(
くち
)
と
心
(
こころ
)
とが
449
裏表
(
うらおもて
)
故
(
ゆゑ
)
うらめしといふ……のだらう』
450
お
民
(
たみ
)
『
本当
(
ほんたう
)
に
恨
(
うら
)
めし
人
(
ひと
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
451
表
(
おもて
)
にめすは
万公
(
まんこう
)
さまなり』
452
万公
(
まんこう
)
『
気
(
き
)
にくはぬお
民
(
たみ
)
の
奴
(
やつ
)
よ
一時
(
いつとき
)
も
453
頼
(
たの
)
みぢや
程
(
ほど
)
に
退
(
の
)
いてくれかし』
454
お
民
(
たみ
)
『
幽霊
(
いうれい
)
に
一旦
(
いつたん
)
なつた
私
(
わし
)
ぢやもの
455
お
前
(
まへ
)
の
首
(
くび
)
を
抜
(
ぬ
)
かにや
離
(
はな
)
れぬ』
456
お
寅
(
とら
)
『
万公
(
まんこう
)
さま、コレお
民
(
たみ
)
さま、お
互
(
たがひ
)
に
457
心得
(
こころえ
)
なされ、ここは
陣中
(
ぢんちう
)
』
458
蠑螈
(
いもり
)
『お
民
(
たみ
)
といひお
寅
(
とら
)
といつて
騒
(
さわ
)
ぐとも
459
高姫司
(
たかひめつかさ
)
にまさる
者
(
もの
)
なし』
460
お
寅
(
とら
)
『さうだらう
高姫
(
たかひめ
)
さまは
若
(
わか
)
い
故
(
ゆゑ
)
461
お
民
(
たみ
)
さままで
厭
(
いや
)
になるのだ。
462
なアお
民
(
たみ
)
、お
前
(
まへ
)
の
年
(
とし
)
はまだ
二十
(
はたち
)
463
五十婆
(
ごじふば
)
さまを
若
(
わか
)
う
見
(
み
)
るとは。
464
それ
故
(
ゆゑ
)
に
夢
(
ゆめ
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまと
465
人
(
ひと
)
が
言
(
い
)
ふのも
無理
(
むり
)
であるまい』
466
ランチ『ヤア
皆
(
みな
)
さま、
467
面白
(
おもしろ
)
く
祝
(
いは
)
はして
頂
(
いただ
)
きました。
468
最早
(
もはや
)
夜
(
よ
)
も
更
(
ふ
)
けましたなれば、
469
御
(
お
)
寝
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ。
470
又
(
また
)
明日
(
みやうにち
)
ゆつくりと
尊
(
たふと
)
き
御
(
お
)
話
(
はなし
)
を
伺
(
うかが
)
はして
頂
(
いただ
)
きませう』
471
此
(
この
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
一同
(
いちどう
)
は
上機嫌
(
じやうきげん
)
で
各
(
かく
)
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
り、
472
寝
(
しん
)
に
就
(
つ
)
いた。
473
(
大正一二・一・一四
旧一一・一一・二八
松村真澄
録)
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