第一六章 途上の変〔一二七〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
篇:第4篇 福音輝陣
よみ(新仮名遣い):ふくいんきじん
章:第16章 途上の変
よみ(新仮名遣い):とじょうのへん
通し章番号:1270
口述日:1923(大正12)年01月14日(旧11月28日)
口述場所:
筆録者:北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:治国別・竜公と別に小北山を経由してやってきた松彦たちは、これまでの出来事を述懐する宣伝歌を歌いながら進んでくる。(第46巻第23章からの続き)
五三公は、宣伝歌の中で自分が言霊別命の分身であることを明かし、治国別と竜公にもうすぐ面会できると松彦に告げた。そして歌い終わるとともに、五三公の姿は煙のように消えてしまった。大空には、五三公が大火団となって帰って行く様が見えた。一同はこの不思議な出来事に驚き、立ち止まって拍手し、その英姿を拝みながら涙した。
さらに歌いながら一同がやってくると、浮木の森の陣営の物見やぐらが目に付いた。その近傍はバラモン軍の兵卒がたくさん集まって、右往左往しわめき叫んでいる。
松彦は、もしや治国別たちが遭難したのではないかと心がせいて、敵の陣中をものともせずにかけて行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2023-05-31 13:50:45
OBC :rm4816
愛善世界社版:226頁
八幡書店版:第8輯 673頁
修補版:
校定版:235頁
普及版:119頁
初版:
ページ備考:
001松彦『神が表に現はれて 002善と悪とを立て別る
003此世を造りし神直日 004心も広き大直日
005只何事も人の世は 006直日に見直せ聞き直せ
007身の過ちは宣り直せ 008三五教の宣伝使
010野中の森に来て見れば
013兄の命は何時の間か
015吾等を見捨てて出で給ふ 016冷淡至極のお人だと
017一度は怨んで居たけれど 018一寸先の見え分かぬ
019曇りし身魂の吾々が 020深甚微妙の神界の
021其お仕組は如何にして
023只何事も神様の 024心の儘と宣り直し
025小北の山に現はれて
027思はず知らず巡り会ひ 028思ひも寄らぬ吾娘
029優しき顔に名乗り合ひ 030親子の名残惜しみつつ
032万代祝ふ万公さま
033お寅婆さまの女武者
036怪しの森を打過ぎて
037漸く此処に着きにけり 038木枯荒ぶ冬の日の
039四辺も淋しき旅の空 040俄に降り積む銀世界
043此光景を見るにつけ 044思ひ出すは世の中の
045詐り多き有様よ
048表面を飾る白雪の
050冷酷無残の世の様を
052浮木の森に屯せる
053ランチ将軍、片彦や 054其外百の軍人等
055体主霊従の悪念に 056駆られて魔神の部下となり
057至聖至上の天国と 058世に響きたる斎苑館
059神の聖場を屠らむと
062吾も片彦将軍の
064誠の道に眼覚め
065仁慈無限の大神の 066心に復活せし上は
067如何でか枉に交はらむ
069心の限り身の極み 070真心献げて片彦や
071ランチ将軍其他の 072枉に曇りし身魂をば
073大慈大悲の大神の 074其光明に照らしつつ
075天国浄土に導きて
077其本分を尽すべし
079厳の御霊の大御神 080瑞の御霊の御前に
081真心こめて願ぎ奉る 082朝日は照るとも曇るとも
084仮令大地は沈むとも
086神に捧げし此身体
087如何でか命を惜しまむや 088道理知らぬ世の人は
089猪武者と云はば云へ 090仮令痴呆と誹るとも
091吾真心は何処までも 092貫き通す桑の弓
093ひきて帰らぬ此意気地 094此世に男子と生れ来て
095現在敵を目の前に 096眺めて看過し得べけむや
097昨日に変る今日の空
100今は何処に在はすらむ
101又竜公は如何にして 102吾師の君の御為に
106行く手に迷ふ吾一行
107導き給へ天津神 108国津神等八百万
109吾師の君の御前に 110一時も早く片時も
111進ませ給へ惟神 112神の御前に願ぎ奉る』
113と歌ひつつ進み来るのは松彦である。114五三公は又歌ふ。
115五三公『人は神の子神の宮 116神霊界は云ふも更
118其経綸の司宰者と
120人は此世の元の祖
122神言の儘に畏みて
123愛と善との徳に居り 124真の信仰励みつつ
125天津御神の賜ひてし 126一霊四魂をよく磨き
127忍耐力を養成し 128人と親しみ又人を
131尽して此世の生神と 132堅磐常磐に仕へ行く
133貴の身魂と悟るべし 134仮令天地は覆るとも
135誠一つの大道は 136天地開けし初めより
137億兆年の末までも 138堅磐常磐の巌の如
140吾等は神をよく愛し
142只惟神々々
143神より来る智を磨き 144宇宙の道理をよく悟り
145此世に人と生れたる 146其天職を尽さずば
147此世を去りて霊界に 148到りし時の精霊は
150忽ち下る地獄道
151実に恐ろしき暗界に
154吾等を造りし祖神に
156日毎夜毎に村肝の
157心を鍛へ肝を錬り
159神の賜ひし恩恵を
162天地を造り給ひたる
164吾身を初め子孫まで
165曲津の群に墜ち込みて 166塵や芥と同様に
167自ら世界に遠ざかり
170省み給へ諸人よ
171吾は言霊別の神
174此処に二神は相議り
175心も清き精霊を 176充して五三公の体に入り
177心曇れる人々に 178神霊界の光明を
180此処まで従ひ来りけり
182神の任さしの神業も
184吾は之より身を変じ
185火光となりて斎苑館 186皇大神の御舎に
187帰りて尊の御前に 188心を平に安らかに
193其時汝松彦よ 194五三公が今の有様を
195完全に委曲に伝へてよ 196汝が伝言を聞くならば
200皇大神の神徳を
202松彦始め万公や
203其他百の信徒よ 204随分健で潔く
205尊き神の神業に 206心を清めて仕へませ
207愈之にて別れなむ
210と歌ひ終ると共に五三公の姿は煙の如く消えて了つた。211松彦始め一同は此不思議なる出来事にアフンとして、212五三公が大光団となつて帰り行く大空を打眺め、213途上に立止まり拍手して其英姿を涙ながらに拝みつつあつた。
214 万公は又歌ふ。
215万公『不思議な事が出来て来た 216こりや又何とした事だ
217吾友達と思うてゐた 218五三公さまは魔か神か
219俄に煙と変化して 220斎苑の館へ帰るとて
223変つた奴と思うて居た 224折角此処までついて来て
225拍子の抜けた吾々を 226途中に見捨てて帰るとは
227合点の往かぬ人だなア 228浮木の森の敵軍が
231戦場に乗込み来ながらも
233之を思へば師の君の
235何だか怪しうなつて来た
241森で親子の巡り会ひ 242祠の森の玉国の
243別の命の御前に
246此処まで進み来たものを
250軍に仕へし秘書の役
254教の道で覇を利かし
256此処迄ついては来たものの
257何時変るか分らない 258之をば思ひ彼思ひ
259深く思案を廻らせば 260ほんに危険な身の上だ
261コレコレ松彦宣伝使 262貴方に限つて別条は
264片彦さまに巡り会ひ
265三五熱が冷却し
268天を欺き吾魂を
270其時や貴方の身の果てぞ
271決して変心せぬ様に 272万公が忠告仕る
274決して怒つて下さるな
278一寸苦言を呈します
283又も持病が再発し
286様な不都合のない様に
287一言注意を加へます
290一旦男が口に出し
292信仰しますと云つた上は
293何処々々までも真心を 294立て貫いて大神の
295清き尊き神業に
297神に誓ひて万公が 298五人の方に気をつける
301 斯く歌ひ来る折しも、302浮木の森の陣営の入口に俄造りの物見櫓が目についた。303よくよく見れば物見櫓の近傍はバラモン軍の兵卒蟻の山を築いた如く、304右往左往に駆け巡りながら喚き叫ぶ其声は、305一行の耳に何となく厳しく応へた。306松彦一行は敵軍の中とは云ひながら、307只事ならじ、308或は治国別の遭難に非ずやと心も心ならず、309敵の陣中を物ともせず、310物見櫓の麓を指して足に任せて駆り行く。
311(大正一二・一・一四 旧一一・一一・二八 北村隆光録)