霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 幽庁(いうちやう)の審判(しんぱん)〔七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第1篇 幽界の探険 よみ(新仮名遣い):ゆうかいのたんけん
章:第7章 幽庁の審判 よみ(新仮名遣い):ゆうちょうのしんぱん 通し章番号:7
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
まずは、大王の許しを得て、自分は芙蓉仙人、産土の神と共に、幽庁の審判を傍聴することになった。
審判の法廷には、河を渡ってきた旅人が土下座になってかしこまっていたが、そこにはさまざまな国の人間が混じっているのを認めた。
高座にある大王の容貌をふと見ると、恐ろしくものすごい顔になっていたので、思わずあっと驚いて倒れそうになったところを、芙蓉仙人と産土の神に支えられた。
裁判はただ、一人一人判決の言い渡しのみで次々と終了して行った。芙蓉仙人の説明によれば、大蛇の河を渡るときに、着衣の変色によって罪の大小軽重が明らかになるので、審理の必要がない、とのことであった。
審判を終えて、元の居間に戻ってきた大王のお顔は、また温和で慈愛に富んだ様子に戻っていた。
神諭にある艮の金神が、改心の出来た人には優しく現れるが、心に曇りがある人民には恐ろしい神として表れる、とあるのを拝読したとき、このときの幽庁の大王のことを思い出さずにはいられなかった。また、教祖の優美にして温和、慈愛に富めるご面貌は、大王のお顔を思い起こさせたのである。
大王が、これから幽界の修行を行うように、と告げると、産土の神は「よろしくお願い申し上げます」と述べて去っていった。また芙蓉仙人も大王に黙礼して退座された。
後には大王の前に自分だけが残されたが、すると再び大王の面貌は恐ろしく変わり、番卒がやってきると自分の白衣を脱がせて灰色の着物に着せ替え、第一の門から突き出してしまった。
辺りを見ると、枯れ草が氷の針のようになり、横の溝にはいやらしい虫が充満していた。後ろからは番卒が、鋭利な槍で突き刺そうと追ってくるので、やむを得ず前に進んでいった。
四五町行ったところで、橋のない深い広い河があった。のぞいてみると、旅人が落ちて体中を蛭がたかって血を吸われ、苦しんでいる。後からは鬼のような番卒が槍を持って追いかけてくる。
窮地にふと思い出した、産土神から授かった書を開いてみると、『天照大神、惟神霊幸倍坐世』としたためてある。自分は思わずこの神文を唱えると、身は大きな川の向こうへ渡っていた。
番卒はこれを見て、元の道を帰って行った。歩を進めると、にわかに寒気が酷烈となり、手足が凍えてどうすることもできない。
そこへ黄金色の光が現れ、はっと驚いて見る間に、光の玉が二三尺先に忽然と下ってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-03-29 03:02:29 文字数:2495 OBC :rm0107
愛善世界社版:31頁 八幡書店版:第1輯 56頁 修補版: 校定版:30頁 普及版:16頁 初版: ページ備考:
001 ここに大王(だいわう)の聴許(ちやうきよ)をえて、002自分(じぶん)は産土(うぶすなの)神(かみ)、003芙蓉(ふよう)仙人(せんにん)とともに審判廷(しんぱんてい)の傍聴(ばうちやう)をなすことを得(え)た。004仰(あふ)ぎ見(み)るばかりの高座(かうざ)には大王(だいわう)出御(しゆつぎよ)あり、005二三尺(にさんじやく)下(した)の座(ざ)には、006形相(ぎやうさう)すさまじき冥官(めいくわん)らが列座(れつざ)してゐる。007最下(さいか)の審判廷(しんぱんてい)には数多(あまた)の者(もの)が土下座(どげざ)になつて畏(かしこ)まつてゐる。008見(み)わたせば自分(じぶん)につづいて大蛇(をろち)の川(かは)をわたつてきた旅人(たびびと)も、009早(はや)すでに多数(たすう)の者(もの)の中(なか)に混(ま)じりこんで審判(しんぱん)の言(い)ひ渡(わた)しを待(ま)つてゐる。010日本人(にほんじん)ばかりかと思(おも)へば、011支那人(しなじん)、012朝鮮人(てうせんじん)、013西洋人(せいやうじん)なぞも沢山(たくさん)にゐるのを見(み)た。014自分(じぶん)はある川柳(せんりう)に、
015『唐人(たうじん)を入(い)り込(こ)みにせぬ地獄(ぢごく)の絵(ゑ)』
016といふのがある、017それを思(おも)ひだして、018この光景(くわうけい)を怪(あや)しみ、019仙人(せんにん)に耳語(じご)してその故(ゆゑ)を尋(たづ)ねた。020何(なん)と思(おも)つたか、021仙人(せんにん)は頭(かしら)を左右(さいう)に振(ふ)つたきり、022一言(ひとこと)も答(こた)へてくれぬ。023自分(じぶん)も強(しひ)て尋(たづ)ねることを控(ひか)へた。
024 ふと大王(だいわう)の容貌(ようばう)を見(み)ると、025アツと驚(おどろ)いて倒(たふ)れむばかりになつた。026そこを産土(うぶすな)の神(かみ)と仙人(せんにん)とが左右(さいう)から支(ささ)へて下(くだ)さつた。027もしこのときに二柱(ふたはしら)の御(ご)介抱(かいはう)がなかつたら、028自分(じぶん)は気絶(きぜつ)したかも知(し)れぬ。029今(いま)まで温和(おんわ)優美(いうび)にして犯(をか)すべからざる威厳(ゐげん)を具(そな)へ、030美(うる)はしき無限(むげん)の笑(ゑみ)をたたへたまひし大王(だいわう)の形相(ぎやうさう)は、031たちまち真紅(しんく)と変(へん)じ、032眼(め)は非常(ひじやう)に巨大(きよだい)に、033口(くち)は耳(みみ)のあたりまで引裂(ひきさ)け、034口内(こうない)より火焔(くわえん)の舌(した)を吐(は)きたまふ。035冥官(めいくわん)また同(おな)じく形相(ぎやうさう)すさまじく、036面(おもて)をあげて見(み)る能(あた)はず、037審判廷(しんぱんてい)はにはかに物凄(ものすご)さを増(ま)してきた。
038 大王(だいわう)は中段(ちゆうだん)に坐(ざ)せる冥官(めいくわん)の一人(ひとり)を手招(てまね)きしたまへば、039冥官(めいくわん)かしこまりて御前(ごぜん)に出(い)づ。040大王(だいわう)は冥官(めいくわん)に一(いつ)巻(くわん)の書帳(しよちやう)を授(さづ)けたまへば、041冥官(めいくわん)うやうやしく押(おし)いただき元(もと)の座(ざ)に帰(かへ)りて、042一々(いちいち)罪人(ざいにん)の姓名(せいめい)を呼(よ)びて判決文(はんけつぶん)を朗読(らうどく)するのである。043番卒(ばんそつ)は順次(じゆんじ)に呼(よ)ばれたる罪人(ざいにん)を引(ひ)きたてて幽廷(いうてい)を退(しりぞ)く。044現界(げんかい)の裁判(さいばん)のごとく予審(よしん)だの、045控訴(こうそ)だの、046大審院(だいしんゐん)だのといふやうな設備(せつび)もなければ、047弁護人(べんごにん)もなく、048単(たん)に判決(はんけつ)の言(い)ひ渡(わた)しのみで、049きはめて簡単(かんたん)である。050自分(じぶん)は仙人(せんにん)を顧(かへり)みて、
051『何(なに)ゆゑに冥界(めいかい)の審判(しんぱん)は斯(か)くのごとく簡単(かんたん)なりや』
052と尋(たづ)ねた。053仙人(せんにん)は答(こた)へて、
054『人間界(にんげんかい)の裁判(さいばん)は常(つね)に誤判(ごはん)がある。055人間(にんげん)は形(かたち)の見(み)へぬものには一切(いつさい)駄目(だめ)である。056ゆゑに幾度(いくど)も慎重(しんちよう)に審査(しんさ)せなくてはならぬが、057冥界(めいかい)の審判(しんぱん)は三世(さんぜ)洞察(どうさつ)自在(じざい)の神(かみ)の審判(しんぱん)なれば、058何(なに)ほど簡単(かんたん)であつても毫末(がうまつ)も過誤(くわご)はない。059また罪(つみ)の軽重(けいちよう)大小(だいせう)は、060大蛇川(をろちがは)を渡(わた)るとき着衣(ちやくい)の変色(へんしよく)によりて明白(めいはく)に判(はん)ずるをもつて、061ふたたび審判(しんぱん)の必要(ひつえう)は絶無(ぜつむ)なり』
062と教(をし)へられた。063一順(いちじゆん)言(い)ひ渡(わた)しがすむと、064大王(だいわう)はしづかに座(ざ)を立(た)ちて、065元(もと)の御(ご)居間(ゐま)に帰(かへ)られた。066自分(じぶん)もまた再(ふたた)び大王(だいわう)の御前(ごぜん)に招(せう)ぜられ、067恐(おそ)る恐(おそ)る顔(かほ)を上(あ)げると、068コハそもいかに、069今(いま)までの恐(おそ)ろしき形相(ぎやうさう)は跡形(あとかた)もなく変(かは)らせたまひて、070また元(もと)の温和(おんわ)にして慈愛(じあい)に富(と)める、071美(うる)はしき御(ご)面貌(めんばう)に返(かへ)つてをられた。072神諭(しんゆ)に、
073『因縁(いんねん)ありて、074昔(むかし)から鬼神(おにがみ)と言(い)はれた、075艮(うしとら)の金神(こんじん)のそのままの御魂(みたま)であるから、076改心(かいしん)のできた、077誠(まこと)の人民(じんみん)が前(まへ)へ参(まゐ)りたら、078結構(けつこう)な、079いふに言(い)はれぬ、080優(やさ)しき神(かみ)であれども、081ちよつとでも、082心(こころ)に身欲(みよく)がありたり、083慢神(まんしん)いたしたり、084思惑(おもわく)がありたり、085神(かみ)に敵対心(てきたいごころ)のある人民(じんみん)が、086傍(そば)へ出(で)て参(まゐ)りたら、087すぐに相好(さうがう)は変(かは)りて、088鬼(おに)か、089大蛇(をろち)のやうになる恐(こわ)い身魂(みたま)であるぞよ』
090と示(しめ)されてあるのを初(はじ)めて拝(はい)したときは、091どうしても、092今度(こんど)の冥界(めいかい)にきたりて大王(だいわう)に対面(たいめん)したときの光景(くわうけい)を、093思(おも)ひ出(だ)さずにはをられなかつた。094また教祖(けうそ)をはじめて拝顔(はいがん)したときに、095その優美(いうび)にして温和(おんわ)、096かつ慈愛(じあい)に富(と)める御(ご)面貌(めんばう)を見(み)て、097大王(だいわう)の御(お)顔(かほ)を思(おも)ひ出(だ)さずにはをられなかつた。
098 大王(だいわう)は座(ざ)より立(た)つて自分(じぶん)の手(て)を堅(かた)く握(にぎ)りながら、099両眼(りやうがん)に涙(なみだ)をたたへて、
100『三葉殿(みつばどの)御(ご)苦労(くろう)なれど、101これから冥界(めいかい)の修業(しうげふ)の実行(じつかう)をはじめられよ。102顕幽(けんいう)両界(りやうかい)のメシヤたるものは、103メシヤの実学(じつがく)を習(なら)つておかねばならぬ。104湯(ゆ)なりと進(しん)ぜたいは山々(やまやま)なれど、105湯(ゆ)も水(みづ)も修行中(しうぎやうちう)には禁制(きんせい)である。106さて一(いち)時(じ)も早(はや)く実習(じつしう)にかかられよ』
107と御声(みこゑ)さへも湿(しめ)らせたまふた。108ここで産土(うぶすな)の神(かみ)は大王(だいわう)に、
109『何分(なにぶん)よろしく御(お)頼(たの)み申(まを)し上(あ)げます』
110と仰(あふ)せられたまま、111後(あと)をもむかず再(ふたた)び高(たか)き雲(くも)に乗(の)りて、112いづれへか帰(かへ)つてゆかれた。
113 仙人(せんにん)もまた大王(だいわう)に黙礼(もくれい)して、114自分(じぶん)には何(なに)も言(い)はず早々(さうさう)に退座(たいざ)せられた。115跡(あと)に取(と)りのこされた自分(じぶん)は少(すこ)しく狼狽(らうばい)の体(てい)であつた。116大王(だいわう)の御(ご)面相(めんさう)は、117俄然(がぜん)一変(いつぺん)してその眼(め)は鏡(かがみ)のごとく光(ひか)り輝(かがや)き、118口(くち)は耳(みみ)まで裂(さ)け、119ふたたび面(おもて)を向(む)けることができぬほどの恐(おそ)ろしさ。120そこへ先(さき)ほどの冥官(めいくわん)が番卒(ばんそつ)を引連(ひきつ)れ来(き)たり、121たちまち自分(じぶん)の白衣(びやくい)を脱(ぬ)がせ、122灰色(はひいろ)の衣服(いふく)に着替(きがへ)させ、123第一(だいいち)の門(もん)から突(つ)き出(だ)してしまつた。
124 突(つ)き出(だ)されて四辺(あたり)を見(み)れば、125一筋(ひとすぢ)の汚(きたな)い細(ほそ)い道路(みち)に枯草(かれくさ)が塞(ふさ)がり、126その枯草(かれくさ)が皆(みな)氷(こほり)の針(はり)のやうになつてゐる。127後(あと)へも帰(かへ)れず、128進(すす)むこともできず、129横(よこ)へゆかうと思(おも)へば、130深(ふか)い広(ひろ)い溝(みぞ)が掘(ほ)つてあり、131その溝(みぞ)の中(なか)には、132恐(おそ)ろしい厭(いや)らしい虫(むし)が充満(じゆうまん)してゐる。133自分(じぶん)は進(すす)みかね、134思案(しあん)にくれてゐると、135空(そら)には真黒(まつくろ)な怪(あや)しい雲(くも)が現(あら)はれ、136雲(くも)の間(あひだ)から恐(おそ)ろしい鬼(おに)のやうな物(もの)が睨(にら)みつめてゐる。137後(あと)からは恐(こわ)い顔(かほ)した柿色(かきいろ)の法被(はつぴ)を着(き)た冥卒(めいそつ)が、138穂先(ほさき)の十字形(じふじがた)をなした鋭利(えいり)な槍(やり)をもつて突(つ)き刺(さ)さうとする。139止(や)むをえず逃(に)げるやうにして進(すす)みゆく。
140 四五丁(しごちやう)ばかり往(い)つた処(ところ)に、141橋(はし)のない深(ふか)い広(ひろ)い川(かは)がある。142何心(なにごころ)なく覗(のぞ)いてみると、143何人(なにびと)とも見分(みわ)けはつかぬが、144汚(きたな)い血(ち)とも膿(うみ)ともわからぬ水(みづ)に落(お)ちて、145身体中(からだぢゆう)を蛭(ひる)が集(たか)つて空身(あきみ)の無(な)い所(ところ)まで血(ち)を吸(す)うてゐる。146旅人(たびびと)は苦(くるし)さうな悲(かな)しさうな声(こゑ)でヒシつてゐる。147自分(じぶん)もこの溝(みぞ)を越(こ)えねばならぬが、148翼(つばさ)なき身(み)は如何(いか)にして此(こ)の広(ひろ)い深(ふか)い溝(みぞ)が飛(と)び越(こ)えられやうか。149後(あと)からは赤(あか)い顔(かほ)した番卒(ばんそつ)が、150鬼(おに)の相好(さうがう)に化(な)つて鋭利(えいり)の槍(やり)をもつて突刺(つきさ)さうとして追(お)ひかけてくる。151進退(しんたい)これきはまつて、152泣(な)くにも泣(な)けず煩悶(はんもん)してをつた。153にはかに思(おも)ひ出(だ)したのは、154先(さき)ほど産土(うぶすな)の神(かみ)から授(さづ)かつた一(いつ)巻(くわん)の書(しよ)である。155懐中(くわいちゆう)より取出(とりだ)し押(お)しいただき披(ひら)いて見(み)ると、156畏(かしこ)くも『天照(あまてらす)大神(おほかみ)、157惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』と筆蹟(ふであと)、158墨色(すみいろ)ともに、159美(うる)はしく鮮(あざや)かに認(したた)めてある。160自分(じぶん)は思(おも)はず知(し)らず『天照(あまてらす)大神(おほかみ)、161惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』と唱(とな)へたとたんに、162身(み)は溝(みぞ)の向(むか)ふへ渡(わた)つてをつた。
163 番卒(ばんそつ)はスゴスゴと元(もと)の途(みち)へ帰(かへ)つてゆく。164まづ一安心(ひとあんしん)して歩(ほ)を進(すす)めると、165にはかに寒気(かんき)酷烈(こくれつ)になり、166手足(てあし)が凍(こご)えてどうすることも出来(でき)ぬ。167かかるところへ現(あら)はれたのは黄金色(こがねいろ)の光(ひかり)であつた。168ハツと思(おも)つて自分(じぶん)が驚(おどろ)いて見(み)てゐるまに、169光(ひかり)の玉(たま)が脚下(きやくか)二三尺(にさんじやく)の所(ところ)に、170忽然(こつぜん)として降(くだ)つてきた。
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