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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第1巻(子の巻)
序
基本宣伝歌
発端
第1篇 幽界の探険
第1章 霊山修業
第2章 業の意義
第3章 現界の苦行
第4章 現実的苦行
第5章 霊界の修業
第6章 八衢の光景
第7章 幽庁の審判
第8章 女神の出現
第9章 雑草の原野
第10章 二段目の水獄
第11章 大幣の霊験
第2篇 幽界より神界へ
第12章 顕幽一致
第13章 天使の来迎
第14章 神界旅行(一)
第15章 神界旅行(二)
第16章 神界旅行(三)
第17章 神界旅行(四)
第18章 霊界の情勢
第19章 盲目の神使
第3篇 天地の剖判
第20章 日地月の発生
第21章 大地の修理固成
第22章 国祖御隠退の御因縁
第23章 黄金の大橋
第24章 神世開基と神息統合
第4篇 竜宮占領戦
第25章 武蔵彦一派の悪計
第26章 魔軍の敗戦
第27章 竜宮城の死守
第28章 崑崙山の戦闘
第29章 天津神の神算鬼謀
第30章 黄河畔の戦闘
第31章 九山八海
第32章 三個の宝珠
第33章 エデンの焼尽
第34章 シナイ山の戦闘
第35章 一輪の秘密
第36章 一輪の仕組
第5篇 御玉の争奪
第37章 顕国の御玉
第38章 黄金水の精
第39章 白玉の行衛
第40章 黒玉の行衛
第41章 八尋殿の酒宴(一)
第42章 八尋殿の酒宴(二)
第43章 丹頂の鶴
第44章 緑毛の亀
第45章 黄玉の行衛
第46章 一島の一松
第47章 エデン城塞陥落
第48章 鬼熊の終焉
第49章 バイカル湖の出現
第50章 死海の出現
附記 霊界物語について
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(B)
(N)
緑毛の亀 >>>
第四三章
丹頂
(
たんちやう
)
の
鶴
(
つる
)
〔四三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻
篇:
第5篇 御玉の争奪
よみ(新仮名遣い):
みたまのそうだつ
章:
第43章 丹頂の鶴
よみ(新仮名遣い):
たんちょうのつる
通し章番号:
43
口述日:
1921(大正10)年10月25日(旧09月25日)
口述場所:
筆録者:
谷口正治
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1921(大正10)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
鶴若は赤色の玉を黄金水から得てより、信念強固となり、シオン山で多年の修行を重ねるようになった。そしてついに神通力を発揮し、鶴に変じて空を飛び、神界の天使となろうと行に励んでいた。
竹熊らは鶴若から神通力を奪って地上に落下させようと画策していた。
あるとき鶴若はアルタイ山で天女・鶴姫と出会い、夫婦の契りを結んだ。それとともに鶴若は飛翔の通力を失ってしまった。二人はアルタイ山の岩窟に住み、永の年月を送っていたが、年寄っても子供ができないのを寂しく思っていた。
竹熊の部下である鶴析姫は、二人の岩窟の前に鮮やかな色の玉と化した。二人はその餅のような玉を見ると、にわかに食べたくなって食べてしまった。するとにわかに情欲が起こり、鶴姫は妊娠して女の子を産んだ。二人は女の子を鶴子姫と名づけた。
鶴子姫は、黄金水の赤玉を欲しがって泣くようになった。鶴若と鶴姫は、赤玉を鶴子姫のおもちゃとして与えた。
鶴子姫は成長すると、ある日とつぜん黒竜となって玉を奪って逃げてしまった。鶴若・鶴姫は、鶴子姫が邪神の化身であったことを知り、赤玉を奪われたことを嘆いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0143
愛善世界社版:
230頁
八幡書店版:
第1輯 128頁
修補版:
校定版:
229頁
普及版:
118頁
初版:
ページ備考:
001
鶴若
(
つるわか
)
は、
002
黄金水
(
わうごんすゐ
)
の
精
(
せい
)
なる
赤色
(
せきしよく
)
の
玉
(
たま
)
を
得
(
え
)
てより、
003
信念
(
しんねん
)
ますます
鞏固
(
きようこ
)
となり、
004
ひそかに、
005
シオン
山
(
ざん
)
に
登
(
のぼ
)
りて
多年
(
たねん
)
の
修業
(
しうげふ
)
をなし、
006
ある
時
(
とき
)
はシオンの
滝
(
たき
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、
007
ある
時
(
とき
)
はシオンの
谷川
(
たにがは
)
に
禊身
(
みそぎ
)
をなし、
008
つひには、
009
神通力
(
しんつうりき
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
発揮
(
はつき
)
し
得
(
う
)
るやうになつた。
010
鶴若
(
つるわか
)
はその
名
(
な
)
のごとく、
011
鶴
(
つる
)
と
変
(
へん
)
じて
空中
(
くうちゆう
)
を
翺翔
(
かうしやう
)
し、
012
天地間
(
てんちかん
)
を
上下
(
じやうげ
)
して、
013
神界
(
しんかい
)
の
天使
(
てんし
)
とならむと、
014
一意
(
いちい
)
専念
(
せんねん
)
に
苦
(
くる
)
しき
修行
(
しうぎやう
)
をつづけてゐた。
015
ここに
竹熊
(
たけくま
)
一派
(
いつぱ
)
の
悪神
(
あくがみ
)
は、
016
鶴若
(
つるわか
)
の
神通力
(
しんつうりき
)
を
奪
(
うば
)
ひ、
017
地上
(
ちじやう
)
に
落下
(
らくか
)
せしめむとして
苦心
(
くしん
)
してゐた。
018
鶴若
(
つるわか
)
は
空中
(
くうちゆう
)
を
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
をもつて、
019
諸方
(
しよはう
)
を
翺
(
か
)
けめぐつた。
020
ときに
前方
(
ぜんぱう
)
にあたつて
紫雲
(
しうん
)
棚
(
たな
)
びく
高山
(
たかやま
)
が
目
(
め
)
についた。
021
山頂
(
さんちやう
)
は
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
に
白
(
しろ
)
く
浮出
(
うきで
)
てゐる。
022
鶴若
(
つるわか
)
は、
023
その
山
(
やま
)
に
引
(
ひ
)
きつけらるる
心地
(
ここち
)
していつの
間
(
ま
)
にか、
024
山上
(
さんじやう
)
に
翺
(
か
)
けりついた。
025
折
(
をり
)
しも、
026
山腹
(
さんぷく
)
の
紫雲
(
しうん
)
の
中
(
なか
)
より
四方
(
しはう
)
を
照
(
て
)
らす
鮮光
(
せんくわう
)
あらはれ、
027
光
(
ひかり
)
はおひおひ
山頂
(
さんちやう
)
を
目
(
め
)
がけて
立騰
(
たちあが
)
つていつた。
028
そして、
029
それが
一個
(
いつこ
)
の
紅色
(
こうしよく
)
の
玉
(
たま
)
となつた。
030
このとき
鶴若
(
つるわか
)
は、
031
鶴
(
つる
)
の
姿
(
すがた
)
を
変
(
へん
)
じて、
032
荘厳
(
さうごん
)
なる
神人
(
かみ
)
と
化
(
くわ
)
してゐたのである。
033
その
玉
(
たま
)
は、
034
見
(
み
)
るみる
左右
(
さいう
)
にわかれて、
035
中
(
なか
)
より
天女
(
てんによ
)
が
現
(
あら
)
はれてきた。
036
鶴若
(
つるわか
)
はこの
天女
(
てんによ
)
の
美貌
(
びばう
)
に
見惚
(
みと
)
れてゐると、
037
天女
(
てんによ
)
はまた
鶴若
(
つるわか
)
を
見
(
み
)
て
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
り、
038
無言
(
むごん
)
のまま
鶴若
(
つるわか
)
の
側
(
そば
)
に
立寄
(
たちよ
)
つてきた。
039
この
高山
(
かうざん
)
はアルタイ
山
(
ざん
)
で、
040
この
天女
(
てんによ
)
は
名
(
な
)
を
鶴姫
(
つるひめ
)
といふ。
041
鶴若
(
つるわか
)
、
042
鶴姫
(
つるひめ
)
はここに
夫婦
(
ふうふ
)
の
約
(
やく
)
を
結
(
むす
)
んだ。
043
これと
同時
(
どうじ
)
に
鶴若
(
つるわか
)
はたちまち
通力
(
つうりき
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
044
空中
(
くうちゆう
)
飛行
(
ひかう
)
の
術
(
じゆつ
)
が
利
(
き
)
かなくなつた。
045
山
(
やま
)
の
中腹
(
ちゆうふく
)
には
巨大
(
きよだい
)
な
岩窟
(
がんくつ
)
がある。
046
ふたりはこの
岩窟
(
がんくつ
)
を
棲所
(
すみか
)
とし、
047
遠近
(
をちこち
)
の
山々
(
やまやま
)
の
者
(
もの
)
を
集
(
あつ
)
めて、
048
ここを
中心
(
ちゆうしん
)
として
一
(
ひと
)
つの
国
(
くに
)
を
立
(
た
)
てた。
049
さうして、
050
広
(
ひろ
)
き
岩窟
(
がんくつ
)
の
奥
(
おく
)
には
赤玉
(
あかだま
)
を
安置
(
あんち
)
し、
051
これを
無二
(
むに
)
の
神宝
(
しんぽう
)
と
崇
(
あが
)
め
祀
(
まつ
)
つた。
052
ふたりはたがひに
相
(
あひ
)
親
(
した
)
しみ、
053
相
(
あひ
)
愛
(
あい
)
し、
054
永
(
なが
)
き
年月
(
としつき
)
をアルタイ
山
(
ざん
)
に
送
(
おく
)
つてゐた。
055
然
(
しか
)
るにふたりの
若
(
わか
)
き
姿
(
すがた
)
は
年
(
とし
)
とともにおひおひ
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へ、
056
頭
(
あたま
)
には
白髪
(
しらが
)
が
生
(
は
)
えだし、
057
何
(
なん
)
となく
淋
(
さび
)
しさを
感
(
かん
)
じてきた。
058
ふたりは
後継者
(
こうけいしや
)
たる
子
(
こ
)
の
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でむことを
希求
(
ききう
)
するやうになつた。
059
ここに
竹熊
(
たけくま
)
の
部下
(
ぶか
)
、
060
鶴析姫
(
つるさきひめ
)
は、
061
うるはしき
天使
(
てんし
)
の
姿
(
すがた
)
に
変
(
へん
)
じてアルタイ
山
(
ざん
)
の
山頂
(
いただき
)
にのぼり、
062
雷鳴
(
らいめい
)
を
発
(
はつ
)
し
大雨
(
だいう
)
を
降
(
ふ
)
らしめた。
063
雨
(
あめ
)
は
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くにふりしきり、
064
たちまち
山
(
やま
)
の
一角
(
いつかく
)
を
崩壊
(
ほうくわい
)
し、
065
濁水
(
だくすゐ
)
は
流
(
なが
)
れて
岩窟
(
がんくつ
)
の
前
(
まへ
)
に
溢
(
あふ
)
れいで、
066
少時
(
しばらく
)
にして、
067
その
雨
(
あめ
)
も
歇
(
や
)
み、
068
岩窟
(
がんくつ
)
の
前
(
まへ
)
には、
069
一
(
ひと
)
つの
柔
(
やはら
)
かき
麗
(
うるは
)
しき
鮮花色
(
せんくわしよく
)
の
玉
(
たま
)
が
残
(
のこ
)
されてゐた。
070
鶴若
(
つるわか
)
は
手
(
て
)
にとりてこれを
眺
(
なが
)
むるに、
071
あたかも
搗
(
つ
)
きたての
餅
(
もち
)
のやうな
柔
(
やはら
)
かさである。
072
鶴姫
(
つるひめ
)
はこれを
見
(
み
)
て、
073
にはかにこの
玉
(
たま
)
を
食
(
くら
)
ひたくなり、
074
鶴若
(
つるわか
)
の
手
(
て
)
より
之
(
これ
)
を
奪
(
と
)
らむとして、
075
つひに
両方
(
りやうはう
)
よりその
玉
(
たま
)
を
引
(
ひ
)
き
千切
(
ちぎ
)
つてしまつた。
076
この
引
(
ひ
)
き
千切
(
ちぎ
)
られた
玉
(
たま
)
は、
077
自然
(
しぜん
)
にふたりの
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
り
腹中
(
ふくちゆう
)
に
納
(
をさ
)
まつてしまつた。
078
それよりふたりは
情欲
(
じやうよく
)
をさとることになり、
079
鶴姫
(
つるひめ
)
はつひに
妊娠
(
にんしん
)
し、
080
月
(
つき
)
満
(
み
)
ちて
玉
(
たま
)
のごとき
女子
(
によし
)
が
生
(
うま
)
れた。
081
これを
鶴子姫
(
つるこひめ
)
と
名付
(
なづ
)
けた。
082
二人
(
ふたり
)
は
鶴子姫
(
つるこひめ
)
を
生
(
う
)
んで、
083
寵愛
(
ちようあい
)
斜
(
ななめ
)
ならず、
084
這
(
は
)
へば
立
(
た
)
て、
085
立
(
た
)
てば
歩
(
あゆ
)
めの
親心
(
おやごころ
)
、
086
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
泣
(
な
)
くにつけ、
087
笑
(
わら
)
ふにつけても
心
(
こころ
)
を
動
(
うご
)
かし、
088
子
(
こ
)
のためには
一切
(
いつさい
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
にしても
悔
(
く
)
いないといふ
態度
(
たいど
)
であつた。
089
鶴子姫
(
つるこひめ
)
は、
090
両親
(
りやうしん
)
の
愛育
(
あいいく
)
によりて、
091
追々
(
おひおひ
)
成長
(
せいちやう
)
し、
092
言語
(
げんご
)
を
発
(
はつ
)
するやうになつて、
093
初
(
はじ
)
めて「ターター」と
啼
(
な
)
きだした。
094
両親
(
りやうしん
)
はその
啼声
(
なきごゑ
)
が
気
(
き
)
にかかり「ターター」とは、
095
如何
(
いか
)
なる
意味
(
いみ
)
かと
非常
(
ひじやう
)
に
苦心
(
くしん
)
したが、
096
到底
(
たうてい
)
その
意味
(
いみ
)
はわからなかつた。
097
鶴子姫
(
つるこひめ
)
は、
098
今度
(
こんど
)
は「マーマー」と
啼
(
な
)
きだした。
099
何
(
なん
)
の
意味
(
いみ
)
か、
100
これも
判
(
わか
)
らなかつた。
101
しばらくすると
鶴子姫
(
つるこひめ
)
は「タマ、
102
タマ」と
啼
(
な
)
きだした。
103
これを
聞
(
き
)
いて
両親
(
りやうしん
)
は、
104
種々
(
しゆじゆ
)
の
鳥類
(
てうるゐ
)
の
卵
(
たまご
)
を
従臣
(
じゆうしん
)
に
命
(
めい
)
じて
集
(
あつ
)
めさせたが、
105
鶴子姫
(
つるこひめ
)
はしきりに
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り、
106
卵
(
たまご
)
を
吸
(
す
)
ふことを
嫌
(
きら
)
つた。
107
両親
(
りやうしん
)
は
昼夜
(
ちうや
)
膝
(
ひざ
)
を
交
(
まじ
)
へて、
108
その
鶴子姫
(
つるこひめ
)
のいふ「タマ」とは、
109
如何
(
いか
)
なる
意味
(
いみ
)
かと
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け
色々
(
いろいろ
)
と
考
(
かんが
)
へたが、
110
どうしてもわからなかつた。
111
時
(
とき
)
に
両親
(
りやうしん
)
は
万
(
よろづ
)
の
従臣
(
じゆうしん
)
を
集
(
あつ
)
め、
112
赤玉
(
あかだま
)
の
祀
(
まつ
)
りある
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
の
祭典
(
さいてん
)
をおこなひ、
113
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
無事
(
ぶじ
)
成長
(
せいちやう
)
せむことを
祈
(
いの
)
つた。
114
その
時
(
とき
)
鶴子姫
(
つるこひめ
)
は、
115
鶴姫
(
つるひめ
)
に
抱
(
いだ
)
かれて
祭場
(
さいじやう
)
に
列
(
れつ
)
した。
116
ここに
鶴子姫
(
つるこひめ
)
は、
117
はじめて
笑顔
(
ゑがほ
)
をつくり「
赤玉
(
あかだま
)
、
118
々々
(
あかだま
)
」といつて
喜
(
よろこ
)
んだ。
119
両親
(
りやうしん
)
は
目
(
め
)
の
中
(
なか
)
へはいつても、
120
痛
(
いた
)
くは
思
(
おも
)
はぬ
愛児
(
あいじ
)
の
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
笑顔
(
ゑがほ
)
に、
121
満腔
(
まんこう
)
の
喜
(
よろこ
)
びをおぼえ、
122
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
要求
(
えうきう
)
なれば、
123
自分
(
じぶん
)
の
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てても
惜
(
をし
)
くはないとまで
愛
(
あい
)
してゐたのである。
124
祭典
(
さいてん
)
は
無事
(
ぶじ
)
にすみ、
125
ふたりは
広大
(
くわうだい
)
なる
岩窟
(
がんくつ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
つた。
126
万
(
よろず
)
の
従臣
(
じゆうしん
)
は
直会
(
なほらひ
)
の
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ、
127
万歳
(
ばんざい
)
を
連呼
(
れんこ
)
し、
128
各自
(
かくじ
)
の
住所
(
ぢうしよ
)
に
帰
(
かへ
)
つた。
129
あとに
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
名
(
めい
)
は
奥
(
おく
)
の
一室
(
ひとま
)
に
入
(
い
)
り、
130
やすやすと
寝
(
しん
)
についた。
131
夜半
(
よは
)
にいたり、
132
鶴子姫
(
つるこひめ
)
はにはかに「タマ、
133
タマ」と
啼
(
な
)
きだした。
134
鶴姫
(
つるひめ
)
は
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
いて
始
(
はじ
)
めて
其
(
そ
)
の
意
(
い
)
をさとり、
135
鶴子姫
(
つるこひめ
)
が「タマ、
136
タマ」といふのは、
137
かの
玉
(
たま
)
を
要求
(
えうきう
)
してゐるに
違
(
ちが
)
ひなしと
思
(
おも
)
ひ
浮
(
う
)
かべ、
138
その
旨
(
むね
)
を
鶴若
(
つるわか
)
に
話
(
はなし
)
しかけた。
139
鶴若
(
つるわか
)
はにはかに
床上
(
しやうじやう
)
に
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
140
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
み、
141
思案
(
しあん
)
にくれて、
142
一言
(
いちごん
)
も
発
(
はつ
)
せず
伏向
(
うつむ
)
いてゐた。
143
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
啼
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
はますます
激
(
はげ
)
しくなり、
144
両親
(
りやうしん
)
の
胸
(
むね
)
を
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
かむばかりに
聞
(
きこ
)
えた。
145
両親
(
りやうしん
)
はゐたたまらず、
146
夜中
(
よなか
)
をも
顧
(
かへり
)
みず、
147
鶴若
(
つるわか
)
は
起
(
た
)
つて
玉
(
たま
)
の
宮
(
みや
)
に
入
(
い
)
り、
148
御
(
ご
)
神体
(
しんたい
)
の
赤玉
(
あかだま
)
を
捧持
(
ほうぢ
)
し、
149
恭
(
うやうや
)
しく
居間
(
ゐま
)
の
机上
(
きじやう
)
に
据
(
す
)
ゑた。
150
すると
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
啼
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
は
頓
(
とみ
)
にやんで
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
と
変
(
へん
)
じ、
151
その
玉
(
たま
)
に
手
(
て
)
を
触
(
ふ
)
れ、
152
玉
(
たま
)
の
周囲
(
しうゐ
)
を
嬉々
(
きき
)
として
飛
(
と
)
びまはつた。
153
両親
(
りやうしん
)
はそのまま
玉
(
たま
)
を
床上
(
しやうじやう
)
に
据
(
す
)
ゑ、
154
鶴子姫
(
つるこひめ
)
の
機嫌
(
きげん
)
とりの
玩具
(
おもちや
)
とした。
155
鶴子姫
(
つるこひめ
)
はかくてだんだんと
成長
(
せいちやう
)
したが、
156
ある
日
(
ひ
)
たちまち
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
を
黒竜
(
こくりゆう
)
と
変
(
へん
)
じ、
157
その
玉
(
たま
)
をとるや
否
(
いな
)
や、
158
黒雲
(
こくうん
)
を
捲
(
ま
)
きおこし
雷雨
(
らいう
)
をよび、
159
大音響
(
だいおんきやう
)
とともに、
160
父母
(
ふぼ
)
を
捨
(
す
)
て、
161
西方
(
せいはう
)
の
空
(
そら
)
高
(
たか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
してしまつた。
162
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
りしふたりは
驚
(
おどろ
)
き
呆
(
あき
)
れ、
163
かつ
玉
(
たま
)
と
愛児
(
あいじ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
眺
(
なが
)
めて
長嘆
(
ちやうたん
)
止
(
や
)
まなかつた。
164
ふたりは
鶴子姫
(
つるこひめ
)
が
邪神
(
じやしん
)
の
霊
(
みたま
)
の
変化
(
へんげ
)
なりしことを
悟
(
さと
)
りて、
165
姫
(
ひめ
)
の
身
(
み
)
については
断念
(
だんねん
)
せるものの、
166
断念
(
あきら
)
め
切
(
き
)
れぬのはかの
赤玉
(
あかだま
)
である。
167
かつて
竹熊
(
たけくま
)
らの
侮辱
(
ぶじよく
)
圧迫
(
あつぱく
)
にたへ、
168
生命
(
いのち
)
にかへて
守護
(
しゆご
)
したる、
169
かの
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
敵
(
てき
)
に
奪
(
うば
)
はれては、
170
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
にたいして
一言
(
いちごん
)
の
申訳
(
まをしわけ
)
なしと、
171
天地
(
てんち
)
にむかつて
号泣
(
がうきふ
)
し、
172
その
一念
(
いちねん
)
凝
(
こ
)
つて、
173
頭上
(
づじやう
)
に
赤玉
(
あかだま
)
の
痕
(
あと
)
をとどむるにいたつた。
174
これを
丹頂
(
たんちやう
)
の
鶴
(
つる
)
といふのである。
175
焼野
(
やけの
)
の
雉子
(
きぎす
)
、
176
夜
(
よる
)
の
鶴
(
つる
)
、
177
児
(
こ
)
を
愛
(
あい
)
すること
鶴
(
つる
)
に
優
(
まさ
)
るものなきも、
178
これが
縁由
(
えんいう
)
である。
179
(
大正一〇・一〇・二五
旧九・二五
谷口正治
録)
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