霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 現界(げんかい)の苦行(くぎやう)〔三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第1篇 幽界の探険 よみ(新仮名遣い):ゆうかいのたんけん
章:第3章 現界の苦行 よみ(新仮名遣い):げんかいのくぎょう 通し章番号:3
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
高熊山の修行は、一時間神界の修行をさせられると、二時間現界の修行をさせられた。しかし神界の一時間の修行のほうが、数十倍も苦しかったのである。
現界の修行は寒空に襦袢一枚で岩の上に正座し、飲まず食わずで過ごすというのみであった。ある晩、人を殺めると噂の山の大熊に出くわしたが、寂しく恐ろしい修行中には、大熊のうなり声さえ恋しく懐かしく思え、一切の生き物には仁慈の神の生き御魂が宿っていることが、適切に感得された。
猛獣でさえそうであるのだから、ましてや人間ほど人間の力になるものはないのである。人は四恩を思い起こし、助け助けられて行くべきものなのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:1277 OBC :rm0103
愛善世界社版:17頁 八幡書店版:第1輯 51頁 修補版: 校定版:17頁 普及版:9頁 初版: ページ備考:
001 高熊山(たかくまやま)の修行(しうぎやう)は一(いち)時間(じかん)神界(しんかい)の修行(しうぎやう)を命(さ)せられると、002現界(げんかい)は二(に)時間(じかん)の比例(ひれい)で修行(しうぎやう)をさせられた。003しかし二(に)時間(じかん)の現界(げんかい)の修行(しうぎやう)より、004一(いち)時間(じかん)の神界(しんかい)の修行(しうぎやう)の方(はう)が数十倍(すうじふばい)も苦(くるし)かつた。005現界(げんかい)の修行(しうぎやう)といつては寒天(さむぞら)に襦袢(じゆばん)一(いち)枚(まい)となつて、006前後(ぜんご)一(いつ)週間(しうかん)水(みづ)一杯(いつぱい)飲(の)まず、007一食(いつしよく)もせず、008岩(いわ)の上(うえ)に静坐(せいざ)して無言(むごん)でをつたことである。009その間(あひだ)には降雨(かうう)もあり、010寒風(かんぷう)も吹(ふ)ききたり、011夜中(よなか)になつても狐狸(こり)の声(こゑ)も聞(き)かず、012虫(むし)の音(ね)も無(な)く、013ときどき山(やま)も崩(くづ)れむばかりの怪音(くわいおん)や、014なんとも言(い)へぬ厭(いや)らしい身(み)の毛(け)の震慄(しんりつ)する怪声(くわいせい)が耳朶(じだ)を打(う)つ。015寂(さび)しいとも、016恐(おそ)ろしいとも、017なんとも形容(けいよう)のできぬ光景(くわうけい)であつた。018……たとへ狐(きつね)でも、019狸(たぬき)でも、020虎(とら)狼(おほかみ)でもかまはぬ、021生(せい)ある動物(どうぶつ)がでてきて生(い)きた声(こゑ)を聞(き)かして欲(ほ)しい。022その姿(すがた)なりと、023生物(いきもの)であつたら、024一眼(ひとめ)見(み)たいものだと、025憧憬(あこが)れるやうになつた。026アヽ生物(いきもの)ぐらゐ人(ひと)の力(ちから)になるものはない……と思(おも)つてゐると、027かたはらの小篠(をざさ)の中(なか)からガサガサと足音(あしおと)をさして、028黒(くろ)い影(かげ)の動物(どうぶつ)が、029自分(じぶん)の静坐(せいざ)する、030一(いつ)尺(しやく)ほど前(まへ)までやつてきた。031夜眼(よめ)には、032確(たしか)にそれと分(わか)りかねるが、033非常(ひじやう)に大(おお)きな熊(くま)のやうであつた。
034 この山(やま)の主(ぬし)は巨大(きよだい)な熊(くま)であるといふことを、035常(つね)に古老(こらう)から聞(き)かされてをつた。036そして夜中(やちゆう)に人(ひと)を見(み)つけたが最後(さいご)、037その巨熊(おほぐま)が八裂(やつざ)きにして、038松(まつ)の枝(えだ)に懸(か)けてゆくといふことを聞(き)いてゐた。039自分(じぶん)は今夜(こんや)こそこの巨熊(おほぐま)に引裂(ひきさ)かれて死(し)ぬのかも知(し)れないと、040その瞬間(しゆんかん)に心臓(しんざう)の血(ち)を躍(をど)らした。
041 ままよ何事(なにごと)も惟神(かむながら)に一任(いちにん)するに如(し)かず……と、042心(こころ)を臍下(さいか)丹田(たんでん)に落着(おちつ)けた。043サアさうなると恐(おそ)ろしいと思(おも)つた巨熊(おほぐま)の姿(すがた)が大変(たいへん)な力(ちから)となり、044その呻声(うなりごゑ)が恋(こひ)しく懐(なつか)しくなつた。045世界(せかい)一切(いつさい)の生物(いきもの)に、046仁慈(じんじ)の神(かみ)の生魂(いくみたま)が宿(やど)りたまふといふことが、047適切(てきせつ)に感(かん)じられたのである。
048 かかる猛獣(まうじう)でさへも寂(さび)しいときには力(ちから)になるものを、049況(いは)んや万物(ばんぶつ)の霊長(れいちやう)たる人(ひと)においてをやだ。050アゝ世界(せかい)の人々(ひとびと)を悪(にく)んだり、051怒(おこ)らしたり、052侮(あなど)つたり、053苦(くる)しめたり、054人(ひと)を何(なん)とも思(おも)はず、055日々(にちにち)を暮(くら)してきた自分(じぶん)は、056何(なん)とした勿体(もつたい)ない罰当(ばちあた)りであつたのか、057たとへ仇敵(きうてき)悪人(あくにん)といへども、058皆(みな)神(かみ)様(さま)の霊(れい)が宿(やど)つてゐる。059人(ひと)は神(かみ)である。060否(いな)人(ひと)ばかりではない、061一切(いつさい)の動物(どうぶつ)も植物(しよくぶつ)も、062皆(みな)われわれのためには、063必要(ひつえう)な力(ちから)であり、064頼(たの)みの杖(つえ)であり、065神(かみ)の断片(だんぺん)である。
066 人(ひと)はどうしても一人(ひとり)で世(よ)に立(た)つことはできぬものだ。067四恩(しおん)といふことを忘(わす)れては人(ひと)の道(みち)が立(た)たぬ。068人(ひと)は持(も)ちつ持(も)たれつ相互(さうご)に助(たす)け合(あ)うてゆくべきものである。069人(ひと)と名(な)がつけば、070たとへ其(そ)の心(こころ)は鬼(おに)でも蛇(じや)でもかまはぬ。071大切(たいせつ)にしなくてはならぬ。072それに人(ひと)はすこしの感情(かんじやう)や、073利害(りがい)の打算(ださん)上(じやう)から、074たがひに憎(にく)み嫉(ねた)み争(あらそ)ふとは、075何(なん)たる矛盾(むじゆん)であらう、076不真面目(ふまじめ)であらう。077人間(にんげん)は神(かみ)様(さま)である。078人間(にんげん)をおいて力(ちから)になつてくれる神(かみ)様(さま)がどこにあるであらうか。
079 神界(しんかい)には神(かみ)様(さま)が第一(だいいち)の力(ちから)であり、080便(たよ)りであるが、081現界(げんかい)では人間(にんげん)こそ、082吾(われ)等(ら)を助(たす)くる誠(まこと)の生(い)きたる尊(たふと)い神(かみ)様(さま)であると、083かう心(こころ)の底(そこ)から考(かんが)へてくると、084人間(にんげん)が尊(たふと)く有難(ありがた)くなつて、085粗末(そまつ)に取扱(とりあつか)ふことは、086天地(てんち)の神明(しんめい)にたいし奉(たてまつ)り、087恐(おそ)れありといふことを強(つよ)く悟了(ごれう)したのである。
088 これが自分(じぶん)の万有(ばんいう)に対(たい)する、089慈悲心(じひしん)の発芽(はつが)であつて、090有難(ありがた)き大神業(だいしんげふ)に奉仕(ほうし)するの基礎(きそ)的(てき)実習(じつしふ)であつた。091アゝ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
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