霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四〇章 黒玉(くろたま)の行衛(ゆくへ)〔四〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第40章 黒玉の行衛 よみ(新仮名遣い):くろたまのゆくえ 通し章番号:40
口述日:1921(大正10)年10月24日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
竹熊は次に、玉彦の持つ黒玉を狙った。玉彦は地位が低かったが名誉欲が強く、黒玉を得てから慢心を起こしていた。
竹熊は大八洲彦命の部下であった長彦をたぶらかし、黒玉を得ようとした。長彦は、玉彦が黒玉を得てから自分の命令に反抗するようになったことを、面白くなく思っていた。
竹熊の間者は、大八洲彦命の命令と偽って、「近頃慢心する玉彦から黒玉を奪い、汝が保有するように」と長彦を焚きつけた。
長彦は、玉彦が妻の坂姫の言うことなら何でも聞くことを知った。また、坂姫が舞曲が好きであることを知ると、竹熊の間者・鳥熊と計って自ら舞曲を会得し、舞曲を通じて坂姫と親友になってしまった。
あるとき坂姫は長彦・鳥熊と舞曲に興じているときに、舞曲の小道具として、黒色の玉を使わせてもらうよう、玉彦に懇願した。玉彦はやむなく黒色の玉を持ち出して舞曲に供した。
鳥熊は舞曲を演じる振りをして黒色の玉を奪って樹上に上ると、追ってきた長彦を蹴落として打ち殺した。長彦の死に玉彦・坂姫が驚き狼狽している間に、鳥熊は大虎彦の鳥船に乗って、その場を逃れてしまった。
そして大虎彦は鳥船から鳥熊を投げ殺すと、黒色の玉を奪って竹熊に献上した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-03-29 03:50:20 文字数:2102 OBC :rm0140
愛善世界社版:213頁 八幡書店版:第1輯 122頁 修補版: 校定版:213頁 普及版:110頁 初版: ページ備考:
001 竹熊(たけくま)は謀計(ぼうけい)をもつて、002田依彦(たよりひこ)の持(も)てる玉(たま)を手(て)に入(い)れたるより大(おほ)いに勢(いきほひ)を得(え)、003今度(こんど)はすすんで玉彦(たまひこ)の持(も)てる黒色(こくしよく)の玉(たま)を、004奪取(だつしゆ)せむことを企(くはだ)てた。005玉彦(たまひこ)は名誉欲(めいよよく)が強(つよ)く、006つねに衆人(しうじん)の下位(かゐ)に立(た)ち不平(ふへい)満々(まんまん)で日(ひ)を送(おく)つてゐたのである。
007 しかるに茲(ここ)に黒玉(くろたま)を得(え)て心中(しんちゆう)勇気(ゆうき)を増(ま)し、008意気(いき)揚々(やうやう)として竜宮城(りゆうぐうじやう)内(ない)を濶歩(くわつぽ)し、009他(た)の者(もの)たちに対(たい)して、
010『われは位(くらゐ)の低(ひく)き者(もの)なれども、011大神(おほかみ)より特(とく)に選(えら)ばれて、012黄金水(わうごんすゐ)の黒玉(くろたま)を得(え)たり。013かならずや時(とき)きたらば、014われは立派(りつぱ)なる上(うへ)の位地(ゐち)にのぼり、015竜宮城(りゆうぐうじやう)の権力(けんりよく)を掌握(しやうあく)するにいたらむ』
016と心(こころ)ひそかに期待(きたい)してゐた。
017 竹熊(たけくま)は醜女(しこめ)、018探女(さぐめ)を放(はな)ちて、019玉彦(たまひこ)の心中(しんちゆう)を探(さぐ)り、020玉彦(たまひこ)の持(も)てる玉(たま)を奪(と)らむとすれば、021まづ名誉欲(めいよよく)をもつてこれにのぞまねばならぬことを知(し)つた。022そこで竹熊(たけくま)は大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)の部下(ぶか)の長彦(ながひこ)を誑(たぶ)らかし、023長彦(ながひこ)の手(て)より玉彦(たまひこ)の妻(つま)坂姫(さかひめ)を説(と)き、024坂姫(さかひめ)より玉彦(たまひこ)の黒玉(くろたま)を得(え)むとした。025長彦(ながひこ)は十二(じふに)の玉(たま)のうち一個(いつこ)の玉(たま)も吾(わ)が手(て)に入(い)らざりしを心(こころ)足(た)りなく思(おも)ひゐたる矢(や)さきなれば、026玉彦(たまひこ)に対(たい)しても、027やや嫉妬(しつと)の念(ねん)の萠(きざ)してゐた際(さい)である。028そこへ自分(じぶん)の下位(かゐ)にある玉彦(たまひこ)は、029玉(たま)を得(え)て高慢心(かうまんしん)を生(しやう)じ、030長彦(ながひこ)の命(めい)を時(とき)どき拒(こば)むやうになつた。031長彦(ながひこ)はいかにもして玉彦(たまひこ)の高(たか)き鼻(はな)をくじかむと、032百方(ひやくぱう)焦慮(せうりよ)してゐたのである。
033 そこへ竹熊(たけくま)の間者(かんじや)なる鳥熊(とりくま)は、034大八洲彦(おほやしまひこの)命(みこと)の命(めい)と佯(いつ)はり、035かつ曰(いは)く、
036『玉彦(たまひこ)のこのごろの行動(かうどう)もつとも不穏(ふおん)なり、037彼(かれ)がごとき者(もの)に玉(たま)を抱(いだ)かしむるは、038はなはだ危険(きけん)なり。039もしこの玉(たま)にして長彦(ながひこ)の手(て)に入(い)らば、040玉(たま)の神力(ちから)はいやが上(うへ)にも発揮(はつき)せむ。041何(なに)とぞ長彦(ながひこ)はわれの内命(ないめい)を諾(うべ)なひ、042かの玉(たま)を奪取(だつしゆ)せよ……との厳命(げんめい)なり』
043と、044私(ひそ)かに長彦(ながひこ)の家(いへ)にいたつて教唆(けうさ)した。
045 ここに長彦(ながひこ)は一計(いつけい)をめぐらし、046玉彦(たまひこ)の妻(つま)坂姫(さかひめ)を言葉(ことば)たくみに説(と)きつけ、047坂姫(さかひめ)の手(て)よりこの玉(たま)を奪(うば)はしめむとした。048坂姫(さかひめ)は容色(ようしよく)端麗(たんれい)なる竜宮城(りゆうぐうじやう)の美人(びじん)であつた。049玉彦(たまひこ)は、050平素(へいそ)より坂姫(さかひめ)の美貌(びばう)に恋々(れんれん)たる有様(ありさま)で、051坂姫(さかひめ)の一言(いちげん)一動(いちどう)は玉彦(たまひこ)の生命(せいめい)の鍵(かぎ)であつた。052そこを窺(うかが)ひ知(し)つた長彦(ながひこ)は、053いかにもして坂姫(さかひめ)の首(くび)を縦(たて)に振(ふ)らしめむとした。054坂姫(さかひめ)はいたつて舞曲(ぶきよく)が好(す)きであつた。
055 そこで長彦(ながひこ)と鳥熊(とりくま)は、056シオン山(ざん)において見(み)たる天男(てんなん)、057天女(てんによ)の舞曲(ぶきよく)を思(おも)ひだし、058ひそかに舞曲(ぶきよく)の稽古(けいこ)にかかつた。059百(ひやく)日(にち)百夜(ひやくよ)の習練(しうれん)の結果(けつくわ)は実(じつ)に妙(めう)を得(え)、060神(しん)に達(たつ)した。061もはやこれならば坂姫(さかひめ)の心(こころ)を動(うご)かすに足(た)らむと自信(じしん)し、062坂姫(さかひめ)の住(す)まへる室(へや)の庭先(にはさき)にいたつて、063さかんに舞(ま)ひはじめた。064坂姫(さかひめ)は何心(なにごころ)なく押戸(おしど)を開(あ)けて庭先(にはさき)を眺(なが)めたが、065ふたりの妙(めう)をえたる舞踏(ぶたふ)に胆(きも)を奪(うば)はれ、066しばし恍惚(くわうこつ)としてこれに見惚(みと)れてゐた。067つひには自分(じぶん)も立(た)つてその場(ば)に顕(あら)はれ三巴(みつどもゑ)となつて、068たがひに手(て)を取(と)り踊(をど)りまはつた。069かくしていつの間(ま)にか坂姫(さかひめ)は、070長彦(ながひこ)、071鳥熊(とりくま)らと無二(むに)の親友(しんいう)となつてしまつた。072その翌日(よくじつ)もまたその翌日(よくじつ)も、073三(さん)人(にん)はその庭前(ていぜん)に出(い)でて舞曲(ぶきよく)に余念(よねん)なく、074歓喜(くわんき)の声(こゑ)は四辺(しへん)にひびき、075園内(えんない)はにはかに陽気(やうき)となつてきた。
076 このとき別殿(べつでん)に控(ひか)へたる玉彦(たまひこ)は、077最愛(さいあい)の妻(つま)の舞(ま)ひ狂(くる)ふ優美(いうび)なる姿(すがた)に見惚(みと)れ、078玉(たま)を奥殿(おくでん)に秘蔵(ひざう)しおき、079三(さん)人(にん)の前(まへ)に立現(たちあら)はれた。080鳥熊(とりくま)、081長彦(ながひこ)は巧言(こうげん)令色(れいしよく)いたらざるなく、082玉彦(たまひこ)を主座(しゆざ)に据(す)ゑ、083尊敬(そんけい)のあらむ限(かぎ)りをつくし、084玉彦(たまひこ)の歓心(くわんしん)を求(もと)めた。085ここに玉彦(たまひこ)は、086自分(じぶん)の上位(じやうゐ)にある長彦(ながひこ)に尊敬(そんけい)されるのは、087全(まつた)く坂姫(さかひめ)の舞曲(ぶきよく)の妙技(めうぎ)の然(しか)らしむるところと心中(しんちゆう)に深(ふか)く坂姫(さかひめ)に感謝(かんしや)した。088坂姫(さかひめ)は玉彦(たまひこ)にむかひ、
089『貴下(あなた)も共(とも)に舞(ま)ひたまへ』
090と無理(むり)にその手(て)を取(と)つて舞踏(ぶたふ)せしめむとした。091玉彦(たまひこ)には坂姫(さかひめ)の一言(いちごん)一句(いつく)は、092常(つね)に微妙(びめう)なる音楽(おんがく)と聞(きこ)ゆるのである。093少(すこ)しでも坂姫(さかひめ)の心(こころ)に逆(さか)らへば、094坂姫(さかひめ)の顔色(かほいろ)はたちまち憂愁(いうしう)に沈(しづ)む。095いかにもして坂姫(さかひめ)に笑顔(ゑがほ)を作(つく)らしめむと心(こころ)を悩(なや)ましてゐた。
096 ここに鳥熊(とりくま)、097長彦(ながひこ)は、098「獅子王(ししわう)、099玉(たま)を争(あらそ)ふ」の舞曲(ぶきよく)を演(えん)ぜむことを申(まを)し込(こ)んだ。100坂姫(さかひめ)は第一(だいいち)に賛成(さんせい)の意(い)を表(へう)し、101玉彦(たまひこ)に黒色(こくしよく)の玉(たま)を持(も)ちいだし、102舞曲(ぶきよく)の用(よう)に供(きよう)せむことを懇請(こんせい)した。103玉彦(たまひこ)はいかに最愛(さいあい)の妻(つま)なればとて、
104『こればかりは許(ゆる)せよ。105わが位地(ゐち)昇進(しようしん)のための重宝(ぢゆうほう)なれば』
106と拒(こば)んだ。107坂姫(さかひめ)はたちまち顔色(がんしよく)曇(くも)り、108地上(ちじやう)に倒(たふ)れ伏(ふ)し声(こゑ)をあげて夫(をつと)玉彦(たまひこ)の無情(むじやう)に泣(な)いた。109玉彦(たまひこ)はやむを得(え)ず、110坂姫(さかひめ)の請(こひ)を容(い)れて、111不安(ふあん)の内(うち)にも此(こ)の玉(たま)を奥殿(おくでん)より取(と)り出(だ)した。112坂姫(さかひめ)は喜色(きしよく)満面(まんめん)に溢(あふ)れ、113ここに四柱(よはしら)は、114玉(たま)を争(あらそ)ふ獅子王(ししわう)の舞曲(ぶきよく)を奏(そう)しはじめた。115四柱(よはしら)はただちに牡丹(ぼたん)の園(その)へ出(で)て、116各自(かくじ)獅子(しし)に変装(へんさう)した。117まづ玉(たま)を坂姫(さかひめ)の獅子(しし)に持(も)たせた。118鳥熊(とりくま)、119長彦(ながひこ)の変化(へんげ)獅子(じし)は、120坂姫(さかひめ)を左右(さいう)より取(と)りまき、121鳥熊(とりくま)はその玉(たま)を取(と)るより早(はや)く、122口(くち)に含(ふく)み庭先(にはさき)の湯津桂(ゆつかつら)の樹上(じゆじやう)高(たか)くかけ登(のぼ)つた。123つづいて長彦(ながひこ)もかけ登(のぼ)つた。124このとき鳥熊(とりくま)は足(あし)もて、125長彦(ながひこ)を地上(ちじやう)に蹴落(けおと)した。126長彦(ながひこ)は、127庭先(にはさき)の置石(おきいし)に頭(あたま)を打(う)ち砕(くだ)きことぎれた。
128 玉彦(たまひこ)、129坂姫(さかひめ)は、130驚(おどろ)き周章(あわ)て狼狽(ふためき)ゐる其(そ)の間(あひだ)に、131西方(せいはう)の天(てん)より空中(くうちゆう)をとどろかして、132大虎彦(おほとらひこ)の邪神(じやしん)は天(あま)の鳥船(とりふね)に乗(の)りきたり、133鳥熊(とりくま)を乗(の)せて遠(とほ)く西天(せいてん)に姿(すがた)を没(ぼつ)した。134鳥熊(とりくま)の持(も)てる黒玉(くろたま)は大虎彦(おほとらひこ)の手(て)に入(い)るとともに、135鳥熊(とりくま)の身体(からだ)は鳥船(とりふね)より蹴落(けおと)され、136シナイ山(ざん)の深(ふか)き谷間(たにま)に落(お)ちて、137その肉体(にくたい)はたちまち粉砕(ふんさい)の厄(やく)に遇(あ)うた。
138 アゝ何処(どこ)までも巧妙(かうめう)なる邪神(じやしん)の奸策(かんさく)よ。139いかに善良(ぜんりやう)なる神人(かみ)といへども、140心中(しんちゆう)に一片(いつぺん)の執着(しふちやく)ある時(とき)はかならず邪鬼(じやき)妖神(えうじん)のために犯(をか)さるるものである。141慎(つつし)むべきは一切(いつさい)の物(もの)に執着(しふちやく)の念(ねん)を断(た)つべきことである。
142(大正一〇・一〇・二四 旧九・二四 加藤明子録)
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