霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 日地月(につちげつ)の発生(はつせい)〔二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第3篇 天地の剖判 よみ(新仮名遣い):てんちのぼうはん
章:第20章 日地月の発生 よみ(新仮名遣い):にっちげつのはっせい 通し章番号:20
口述日:1921(大正10)年10月20日(旧09月20日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
盲目の神使に迎えられて地の高天原に着くと、大地の主宰神である国常立大神と、稚姫君命が現れた。自分はこの両神から天眼鏡を賜って、神界探検の命を拝受したのである。
眼前の光景が変じて、すばらしく高い山がそびえ立ち、山にはケーブルカーのようなものが架かっていた。山に登ろうと踏み込むと、自分の体は何物かに引き上げられるようにすうっと昇っていった。
これは仏教で言うところの須弥仙山であり、宇宙の中心に無辺の高さで立っているのだが、霊界の山であって物質的な山ではない。自分も、霊で登ったのである。
須弥仙山の頂上に立って、天眼鏡で八方を眺めた。すると、茫々たる宇宙の混沌の中に、ひとつの丸い塊ができるのが見えた。鞠のような形で、周辺には泥水が漂っている。
みるみるその丸い塊は膨大になり、宇宙全体に広がるかと思われるほどであった。眼も届かないほどの広がりに達すると、球形の真ん中に鮮やかな金色をしたひとつの円柱が立っていた。
円柱はしばらくすると、自然に左旋運動を始めた。周辺の泥は、円柱の回転につれて渦巻きを描いた。渦巻きは次第に外側へと大きな輪に広がっていった。
はじめは直立して緩やかに回転していた円柱は、その速度が加わって行くにつれて傾斜していき、目にもとまらない速さで回転し始めた。
すると大きな丸い球の中から、暗黒色の小さな塊が、振り放たれたようにポツポツと飛び出して、宇宙全体に散乱した。それは、無数の光のない黒い星となって、あるものは近く、あるものは遠く位置して、左に旋回しているように見える。
後方に太陽が輝き始めるとともに、星たちはいっせいに輝き始めた。
一方、金色の円柱は竜体に変化した。そして、丸い球体の大地の上を東西南北に馳せめぐり始めた。すると竜体の腹、口、そして全身から、大小無数の竜体が生まれ出た。
金色の竜体と、それから生まれた種々の色彩を持った大小無数の竜体は、球の地上の各所を泳ぎ始めた。もっとも大きな竜体の泳ぐ波動で、泥の部分は次第に固くなり始め、水の部分は希薄となり、水蒸気が昇っていった。
竜体が尾を振り回すごとに、泥に波の形ができ、大きな竜体は大山脈を、中小の竜体はそれぞれ相応の大きさの山脈が形造られた。また低いところに水が集まり、自然に海も出来てきた。
このもっとも大いなる御竜体を大国常立命と称え奉ることを知った。
宇宙はそのとき、朧月夜の少し暗い状態であったが、海原の真ん中に忽然として銀色の柱が突出してきた。銀の柱は右回りに旋回し、柱の各所からさまざまな種が飛び散って山野河海のいたるところに撒き散らされた。しかしまだこのときは、生き物の類は一切発生していない。
銀の柱がたちまち倒れたと思う見る間に、銀色の大きな竜体に変じ、海上を進み始めた。この銀色の竜神が、坤金神と申し上げるのである。
金の竜体である国祖大国常立命と、坤金神は双方から顔を向き合わせて何事かをしめし合わされた様子であった。金色の竜体は左へ、銀色の竜体は右へ旋回し始めると、地上は恐ろしい音響を発して振動し、大地はその振動によって非常な光輝を発射してきた。
このとき、金色の竜体の口からは、大きな赤い色の玉が大音響とともに飛び出して、天に昇って太陽となった。
銀色の竜体は口から霧のような清水を噴出し、水は天地の間にわたした虹の橋のような形になって、その上を白色の球体が上っていく。この白色の球体が太陰(月)となって、虹のような尾を垂れて地上の水を吸い上げた。すると地上の水はその容量を減じた。
金竜が天に向かって息吹を放つと、その形は虹のようになった。すると太陽はにわかに光が強くなり、熱を地上に放射し始めた。
水が引いてくると、柔らかい山野は次第に固まり、銀竜がまいた種が芽を出してきた。一番には山に松が生え、原野に竹が生え、あちこちには梅が生え始めた。ついでその他の木々が生じてきた。山々はにわかに青々として美しい景色を呈してきた。
地上に樹木が青々と生え始めると、今まで赤褐色であった天は、青く藍色に澄み渡ってきた。そして、にごって黄色じみていた海水も、天の色を映すように青くなってきた。
地上が造られると、元祖の神様も竜体である必要はなくなり、荘厳尊貴な人間の姿に変化された。これは肉体を持った人間でなく、霊体のお姿である。
このとき太陽の世界に伊邪那岐命が霊体の人体姿として現れた。伊邪那岐命は天に昇って撞の大神となり、天上の主宰神となりたもうた。
白色の竜体から発生された一番力のある竜神は、男神として現れ給うた。容貌うるわしく、色白く、黒髪は地上に引くほど長く垂れ、髭は腹まで伸び、大英雄の素質を備えていた。この男神を素盞嗚大神と申し上げる。素盞嗚大神は白い光を発すると、天に昇って月界へとお上りになった。これを月界の主宰神で月夜見尊と申し上げるのである。
大国常立命は、太陽と太陰の主宰神が決まったので、ご自身は地上の神界を主宰したまうことになった。須佐之男大神は、地上物質界の主宰となった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-03-29 03:21:49 文字数:2717 OBC :rm0120
愛善世界社版:115頁 八幡書店版:第1輯 87頁 修補版: 校定版:115頁 普及版:60頁 初版: ページ備考:
001 盲目(めくら)の神使(しんし)に迎(むか)へられて、002自分(じぶん)は地(ち)の高天原(たかあまはら)へたどりついたが、003自分(じぶん)の眼(め)の前(まへ)には、004何時(いつ)のまにか、005大地(だいち)の主宰神(しゆさいしん)にまします国常立(くにとこたちの)大神(おほかみ)と、006稚姫君(わかひめぎみの)命(みこと)が出御(しゆつぎよ)遊(あそ)ばしたまうた。007自分(じぶん)は仰(あふ)せのまにまにこの両神(りやうしん)より、008貴重(きちよう)なる天眼鏡(てんがんきやう)を賜(たま)はり、009いよいよ神界(しんかい)を探険(たんけん)すべき大命(たいめい)を拝受(はいじゆ)したのである。
010 忽(たちま)ち眼前(がんぜん)の光景(くわうけい)は見(み)るみる変(へん)じて、011すばらしい高(たか)い山(やま)が、012雲表(うんぺう)に聳(そび)えたつてゐる。013その山(やま)には索線車(ケーブルカー)のやうなものが架(かか)つてゐた。014自分(じぶん)は登(のぼ)らうかと思(おも)つて、015一歩(いつぽ)麓(ふもと)の山路(やまみち)に足(あし)を踏(ふ)みこむと、016不思議(ふしぎ)や、017五体(ごたい)は何者(なにもの)かに引上(ひきあ)げらるるやうな心持(こころもち)に、018直立(ちよくりつ)したままスウと昇騰(しようとう)してゆく。
019 これこそ仏者(ぶつしや)のいはゆる須弥仙(しゆみせん)山(ざん)で、020宇宙(うちう)の中心(ちゆうしん)に無辺(むへん)の高(たか)さをもつて屹立(きつりつ)してゐる。021それは決(けつ)して、022肉眼(にくがん)にて見(み)うる種類(しゆるい)の、023現実(げんじつ)的(てき)の山(やま)ではなくして、024全(まつた)く霊界(れいかい)の山(やま)であるから、025自分(じぶん)とても霊(れい)で上(のぼ)つたので、026決(けつ)して現体(げんたい)で上(のぼ)つたのではない。
027 自分(じぶん)は須弥仙(しゆみせん)山(ざん)の頂上(ちやうじやう)に立(た)つて、028大神(おほかみ)より賜(たま)はつた天眼鏡(てんがんきやう)を取(と)り出(だ)して、029八方(はつぱう)を眺(なが)めはじめた。030すると茫々(ばうばう)たる宇宙(うちう)の渾沌(こんとん)たる中(なか)に、031どこともなしに一(ひと)つの球(まる)い凝塊(かたまり)ができるのが見(み)える。
032 それは丁度(ちやうど)毬(まり)のやうな形(かたち)で、033周辺(しうへん)には一杯(いつぱい)に泥水(どろみづ)が漂(ただよ)うてゐる。034見(み)るまにその球(まる)い凝塊(かたまり)は膨大(ばうだい)して、035宇宙(うちう)全体(ぜんたい)に拡(ひろ)がるかと思(おも)はれた。036やがて眼(め)もとどかぬ拡(ひろ)がりに到達(たうたつ)したが、037球形(きうけい)の真中(まんなか)には、038鮮(あざや)かな金色(こんじき)をした一(ひと)つの円柱(ゑんちゆう)が立(た)つてゐた。
039 円柱(ゑんちゆう)はしばらくすると、040自然(しぜん)に左旋(させん)運動(うんどう)をはじめる。041周辺(しうへん)に漂(ただよ)ふ泥(どろ)は、042円柱(ゑんちゆう)の回転(くわいてん)につれて渦巻(うづまき)を描(ゑが)いてゐた。043その渦巻(うづまき)は次第(しだい)に外周(ぐわいしう)へ向(む)けて、044大(おほ)きな輪(わ)が拡(ひろ)がつていつた。045はじめは緩(ゆる)やかに直立(ちよくりつ)して回転(くわいてん)してゐた円柱(ゑんちゆう)は、046その速度(そくど)を加(くは)へきたるにつれ、047次第(しだい)に傾斜(けいしや)の度(ど)を増(ま)しながら、048視角(しかく)に触(ふ)れぬやうな速(はや)さで、049回転(くわいてん)しはじめた。
050 すると、051大(おほ)きな円(まる)い球(きう)の中(なか)より、052暗黒色(あんこくしよく)の小塊体(せうくわいたい)が振(ふ)り放(はな)たるるやうにポツポツと飛(と)びだして、053宇宙(うちう)全体(ぜんたい)に散乱(さんらん)する。054観(み)ればそれが無数(むすう)の光(ひかり)のない黒(くろ)い星辰(ほし)と化(な)つて、055或(ある)ひは近(ちか)く、056或(ある)ひは遠(とほ)く位置(ゐち)を占(し)めて左旋(させん)するやうに見(み)える。057後方(こうはう)に太陽(たいやう)が輝(かがや)きはじめるとともに、058それらの諸星(しよせい)は皆(みな)一斉(いつせい)に輝(かがや)きだした。
059 その金(きん)の円柱(ゑんちゆう)は、060たちまち竜体(りゆうたい)と変化(へんくわ)して、061その球(まる)い大地(だいち)の上(うへ)を東西(とうざい)南北(なんぽく)に馳(は)せめぐりはじめた。062さうしてその竜体(りゆうたい)の腹(はら)から、063口(くち)から、064また全身(ぜんしん)からも、065大小(だいせう)無数(むすう)の竜体(りゆうたい)が生(うま)れいでた。
066 金色(こんじき)の竜体(りゆうたい)と、067それから生(うま)れいでた種々(しゆじゆ)の色彩(いろつや)をもつた大小(だいせう)無数(むすう)の竜体(りゆうたい)は、068地上(ちじやう)の各所(かくしよ)を泳(およ)ぎはじめた。069もつとも大(おほ)きな竜体(りゆうたい)の泳(およ)ぐ波動(はどう)で、070泥(どろ)の部分(ぶぶん)は次第(しだい)に固(かた)くなりはじめ、071水(みづ)の部分(ぶぶん)は稀薄(きはく)となり、072しかして水蒸気(すゐじようき)は昇騰(しようとう)する。073そのとき竜体(りゆうたい)が尾(を)を振(ふ)り廻(まは)すごとに、074その泥(どろ)に波(なみ)の形(かたち)ができる。075もつとも大(おほ)きな竜体(りゆうたい)の通(とほ)つた所(ところ)は大山脈(だいさんみやく)が形造(かたちづく)られ、076中小(ちゆうせう)種々(しゆじゆ)の竜体(りゆうたい)の通(とほ)つた所(ところ)は、077またそれ相応(さうおう)の山脈(さんみやく)が形造(かたちづく)られた。078低(ひく)き所(ところ)には水(みづ)が集(よ)り、079かくして海(うみ)もまた自然(しぜん)にできることになつた。080この最(もつと)も大(おほ)いなる御(ご)竜体(りゆうたい)を、081大国常立(おほくにとこたちの)命(みこと)と称(とな)へ奉(たてまつ)ることを自分(じぶん)は知(し)つた。
082 宇宙(うちう)はその時(とき)、083朧月夜(おぼろづきよ)の少(すこ)し暗(くら)い加減(かげん)のやうな状態(じやうたい)であつたが、084海原(うなばら)の真中(まんなか)と思(おも)はるる所(ところ)に、085忽然(こつぜん)として銀色(ぎんいろ)の柱(はしら)が突出(とつしゆつ)してきた。086その高(たか)さは非常(ひじやう)に高(たか)い。087それが忽(たちま)ち右旋(みぎめぐ)りに回転(くわいてん)をはじめた。088その旋回(せんくわい)につれて柱(はしら)の各所(かくしよ)から種々(しゆじゆ)の種物(たねもの)が飛(と)び散(ち)るやうに現(あら)はれて、089山野(さんや)河海(かかい)一切(いつさい)のところに撒(ま)き散(ち)らされた。090しかしまだその時(とき)は人類(じんるゐ)は勿論(もちろん)、091草木(さうもく)、092禽獣(きんじう)、093虫魚(ちゆうぎよ)の類(たぐひ)は何物(なにもの)も発生(はつせい)してはゐなかつた。
094 たちまち銀(ぎん)の柱(はしら)が横様(よこさま)に倒(たふ)れたと見(み)るまに、095銀色(ぎんいろ)の大(おほ)きな竜体(りゆうたい)に変(へん)じてゐる。096その竜体(りゆうたい)は海上(かいじやう)を西(にし)から東(ひがし)へと、097泳(およ)いで進(すす)みだした。098この銀色(ぎんいろ)の竜神(りゆうじん)が坤金神(ひつじさるのこんじん)と申(まを)すのである。
099 また東(ひがし)からは国祖(こくそ)大国常立(おほくにとこたちの)命(みこと)が、100金色(こんじき)の大(おほ)きな竜体(りゆうたい)を現(げん)じて、101固(かた)まりかけた地上(ちじやう)を馳(は)せてこられる。102両(ふた)つの御(ご)竜体(りゆうたい)は、103雙方(さうはう)より顔(かほ)を向(む)き合(あ)はして、104何(なに)ごとかを諜(しめ)しあはされたやうな様子(やうす)である。105しばらくの後(のち)金色(きんいろ)の竜体(りゆうたい)は左(ひだり)へ旋回(せんくわい)しはじめ、106銀色(ぎんいろ)の竜体(りゆうたい)はまた右(みぎ)へ旋回(せんくわい)し始(はじ)められた。107そのため地上(ちじやう)は恐(おそ)ろしい音響(おんきやう)を発(はつ)して震動(しんどう)し、108大地(だいち)はその震動(しんどう)によつて、109非常(ひじやう)な光輝(くわうき)を発射(はつしや)してきた。
110 このとき金色(きんいろ)の竜体(りゆうたい)の口(くち)からは、111大(だい)なる赤(あか)き色(いろ)の玉(たま)が大音響(だいおんきやう)と共(とも)に飛(と)びだして、112まもなく天(てん)へ騰(のぼ)つて太陽(たいやう)となつた。113銀色(ぎんいろ)の竜体(りゆうたい)はと見(み)れば、114口(くち)から霧(きり)のやうな清水(せいすゐ)を噴(ふ)きだし、115間(ま)もなく水(みづ)は天地(てんち)の間(あひだ)にわたした虹(にじ)の橋(はし)のやうな形(かたち)になつて、116その上(うへ)を白色(はくしよく)の球体(きうたい)が騰(のぼ)つてゆく。117このとき白色(はくしよく)の球体(きうたい)は太陰(たいいん)となり、118虹(にじ)のやうな尾(を)を垂(た)れて、119地上(ちじやう)の水(みづ)を吸(す)ひあげる。120地上(ちじやう)の水(みづ)は見(み)るまに、121次第(しだい)にその容量(ようりやう)を減(げん)じてくる。
122 金竜(きんりゆう)は天(てん)に向(むか)つて息吹(いぶき)を放(はな)つ。123その形(かたち)もまた虹(にじ)の橋(はし)をかけたやうに見(み)えてゐる。124すると太陽(たいやう)はにはかに光(ひかり)を強(つよ)くし、125熱(ねつ)を地上(ちじやう)に放射(はうしや)しはじめた。
126 水(みづ)は漸(やうや)く減(ひ)いてきたが、127山野(さんや)は搗(つき)たての団子(だんご)か餅(もち)のやうに柔(やはら)かいものであつた。128それも次第(しだい)に固(かた)まつてくると、129前(まへ)に播(ま)かれた種(たね)は、130そろそろ芽(め)を出(だ)しはじめる。131一番(いちばん)に山(やま)には松(まつ)が生(は)え、132原野(げんや)には竹(たけ)が生(は)え、133また彼方(かなた)こなたに梅(うめ)が生(は)えだした。
134 次(つ)いで杉(すぎ)、135桧(ひのき)、136槙(まき)などいふ木(き)が、137山(やま)や原野(げんや)のところどころに生(しやう)じた。138つぎに一切(いつさい)の種物(たねもの)は芽(め)を吹(ふ)き、139今(いま)までまるで土塊(つちくれ)で作(つく)つた炮烙(ほうらく)をふせたやうな山(やま)が、140にはかに青々(あをあを)として、141美(うつく)しい景色(けしき)を呈(てい)してくる。
142 地上(ちじやう)が青々(あをあを)と樹木(じゆもく)が生(は)え始(はじ)めるとともに、143今(いま)まで濁(にご)つて赤褐色(せきかつしよく)であつた天(てん)は、144青(あを)く藍色(あゐいろ)に澄(す)みわたつてきた。145さうして濁(にご)りを帯(お)びて黄(き)ずんでゐた海原(うなばら)の水(みづ)は、146天(てん)の色(いろ)を映(うつ)すかのやうに青(あを)くなつてきた。
147 地上(ちじやう)がかうして造(つく)られてしまふと、148元祖(もと)の神(かみ)様(さま)も、149もう御(ご)竜体(りゆうたい)をお有(も)ちになる必要(ひつえう)がなくなられたわけである。150それで金(きん)の竜体(りゆうたい)から発生(はつせい)せられた、151大(おほ)きな剣膚(たちはだ)の厳(いか)めしい角(つの)の多(おほ)い一種(いつしゆ)の竜神(りゆうじん)は、152人体化(じんたいくわ)して、153荘厳(さうごん)尊貴(そんき)にして立派(りつぱ)な人間(にんげん)の姿(すがた)に変化(へんくわ)せられた。154これはまだ本当(ほんたう)の現体(げんたい)の人間姿(にんげんすがた)ではなくして、155霊体(れいたい)の人間姿(にんげんすがた)であつた。
156 このとき、157太陽(たいやう)の世界(せかい)にては、158伊邪那岐(いざなぎの)命(みこと)がまた霊体(れいたい)の人体姿(じんたいすがた)と現(げん)ぜられて、159その神(かみ)をさし招(まね)かれる。160そこで荘厳(さうごん)尊貴(そんき)なる、161かの立派(りつぱ)な大神(おほかみ)は、162天(てん)に上(のぼ)つて撞(つき)の大神(おほかみ)とおなり遊(あそ)ばし、163天上(てんじやう)の主宰神(しゆさいじん)となりたまうた。
164 白色(はくしよく)の竜体(りゆうたい)から発生(はつせい)された一番(いちばん)力(ちから)ある竜神(りゆうじん)は、165また人格化(じんかくくわ)して男神(だんしん)と現(あら)はれたまうた。166この神(かみ)は非常(ひじやう)に容貌(ようばう)美(うる)はしく、167色(いろ)白(しろ)くして大英雄(だいえいゆう)の素質(そしつ)を備(そな)へてをられた。168その黒(くろ)い頭髪(とうはつ)は、169地上(ちじやう)に引(ひ)くほど長(なが)く垂(た)れ、170髯(ひげ)は腹(はら)まで伸(の)びてゐる。171この男神(をとこがみ)を素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)と申(まを)し上(あ)げる。
172 自分(じぶん)はその男神(をとこがみ)の神々(かうがう)しい容姿(ようし)に打(う)たれて眺(なが)めてゐると、173その御(お)身体(からだ)から真白(まつしろ)の光(ひかり)が現(あら)はれて、174天(てん)に冲(ちう)して月界(げつかい)へお上(あが)りになつてしまつた。175これを月界(げつかい)の主宰神(しゆさいじん)で月夜見(つきよみの)尊(みこと)と申(まを)し上(あ)げるのである。176そこで大国常立(おほくにとこたちの)命(みこと)は、177太陽(たいやう)、178太陰(たいいん)の主宰神(しゆさいじん)が決(きま)つたので、179御(ご)自身(じしん)は地上(ちじやう)の神界(しんかい)を御(ご)主宰(しゆさい)したまふことになり、180須佐之男(すさのをの)大神(おほかみ)は、181地上(ちじやう)物質界(ぶつしつかい)の主宰(しゆさい)となり給(たま)うたのである。
182(大正一〇・一〇・二〇 旧九・二〇 谷口正治録)
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