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第三六章 一輪(いちりん)仕組(しぐみ)〔三六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第4篇 竜宮占領戦 よみ(新仮名遣い):りゅうぐうせんりょうせん
章:第36章 一輪の仕組 よみ(新仮名遣い):いちりんのしぐみ 通し章番号:36
口述日:1921(大正10)年10月23日(旧09月23日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国常立尊は邪神から守るために、冠島・沓島に三個の神宝を隠したのだが、実は島には珠の体のみを納めておき、珠の精霊はシナイ山の山頂へ、誰にも知らせずに隠しておいたのである。これが一厘の仕組といわれる神示である。
武熊別は、三個の珠が冠島・沓島に隠されたことを知ってからよからぬ心を起こし、竹熊とはかって、両島を襲撃して神宝を奪おうとした。
攻め寄せる竹熊・武熊別の大軍に、両島の国魂神は迎撃するが旗色悪く、神宝の神力を使って敵を滅ぼそうとしたが、珠には何の力もなく、効果を発揮しなかった。これは、珠の霊を国祖がシナイ山に隠しておかれたからである。
国魂神は急を知らせる信書を、信天翁(あほうどり)の足にくくりつけて、竜宮島に送った。信書を受け取った金勝要神は、金幣で邪気を祓い、信天翁の背に金幣の一片を括り付けて送り返した。
すると信天翁は金の鳶と化して、空から魔軍に火弾の雨を降らし、敵を悩ませた。また天の雲間から高津神が現れて旋風を巻き起こし、魔軍の艦隊を沈没させた。
国常立尊はこの戦闘の様を見て、魔軍を憐れに思い、神言を奏上した。すると天は晴れ渡り、沈没した魔軍は浮かび上がって救われた。
敵味方を問わず、国常立尊の大慈大悲の御心に感謝の念を抱かない神人はなかった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0136
愛善世界社版:192頁 八幡書店版:第1輯 114頁 修補版: 校定版:192頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 国常立(くにとこたちの)(みこと)邪神(じやしん)のために、002三個(さんこ)神宝(しんぽう)奪取(だつしゆ)せられむことを(とほ)(おもんぱか)りたまひ、003周到(しうたう)なる注意(ちうい)のもとにこれを竜宮島(りゆうぐうじま)および鬼門島(きもんじま)()したまうた。004そして(なほ)注意(ちうい)(くは)へられ大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)005金勝要(きんかつかねの)(かみ)006海原彦(うなばらひこの)(かみ)007(くに)御柱(みはしらの)(かみ)008豊玉姫(とよたまひめの)(かみ)009玉依姫(たまよりひめの)(かみ)たちにも極秘(ごくひ)にして、010その三個(さんこ)(たま)(たい)のみを両島(りやうたう)(をさ)めておき、011肝腎(かんじん)(たま)精霊(せいれい)をシナイ(ざん)山頂(さんちやう)へ、012何神(なにがみ)にも()らしめずして(かく)()かれた。013これは大神(おほかみ)深甚(しんじん)なる(みづ)()らさぬ()経綸(けいりん)であつて、014一厘(いちりん)仕組(しぐみ)とあるのはこのことを()したまへる神示(しんじ)である。
015 武熊別(たけくまわけ)(もと)よりの邪神(じやしん)ではなかつたが、016()つの神宝(しんぽう)(かく)場所(ばしよ)知悉(ちしつ)してより、017にはかに心機(しんき)一転(いつてん)して、018これを奪取(だつしゆ)し、019天地(てんち)(わが)ものにせむとの野望(やばう)(いだ)くやうになつた。020そこでこの(たま)()むとして、021()ごろ計画(けいくわく)しつつありし竹熊(たけくま)(かた)らひ、022竹熊(たけくま)協力(けふりよく)によつて、023一挙(いつきよ)竜宮島(りゆうぐうじま)および(だい)鬼門島(きもんじま)宝玉(ほうぎよく)奪略(だつりやく)せむことを(まを)()んだ。024竹熊(たけくま)はこれを()きて(おほ)いに(よろこ)び、025ただちに賛成(さんせい)()(へう)し、026(とき)(うつ)さず杉若(すぎわか)027桃作(ももさく)028田依彦(たよりひこ)029猿彦(さるひこ)030足彦(たるひこ)031寅熊(とらくま)032坂熊(さかくま)らの魔軍(まぐん)部将(ぶしやう)に、033数万(すうまん)妖魅軍(えうみぐん)(くは)へ、034数多(あまた)戦艦(せんかん)(つく)りて両島(りやうたう)占領(せんりやう)せむとした。
035 これまで数多(あまた)(たたか)ひに通力(つうりき)(うしな)ひたる竹熊(たけくま)一派(いつぱ)部将(ぶしやう)らは、036武熊別(たけくまわけ)先頭(せんとう)()て、037種々(しゆじゆ)なる武器(ぶき)(ふね)満載(まんさい)し、038夜陰(やいん)(じやう)じて出発(しゆつぱつ)した。039一方(いつぱう)竜宮島(りゆうぐうじま)海原彦(うなばらひこの)(みこと)も、040鬼門島(きもんじま)(くに)御柱(みはしらの)(かみ)も、041かかる魔軍(まぐん)計画(けいくわく)あらむとは(つゆ)だも()らず、042八尋殿(やひろどの)(まくら)(たか)(ねむ)らせたまふ(とき)しも、043海上(かいじやう)にどつとおこる(とき)(こゑ)044群鳥(むらどり)(さは)羽音(はおと)(ゆめ)(やぶ)られ、045竜燈(りゆうとう)(てん)()(たか)振翳(ふりかざ)して海上(かいじやう)はるかに見渡(みわた)したまへば、046魔軍(まぐん)戦艦(せんかん)幾百千(いくひやくせん)とも(かぎ)りなく軍容(ぐんよう)(ととの)へ、047舳艪(ぢくろ)相啣(あひふく)()めよせきたるその猛勢(まうせい)は、048到底(たうてい)筆舌(ひつぜつ)のよく(つく)すところではなかつた。
049 ここに海原彦(うなばらひこの)(みこと)諸竜神(しよりゆうじん)(れい)(はつ)し、050防禦軍(ばうぎよぐん)051攻撃軍(こうげきぐん)組織(そしき)し、052対抗戦(たいかうせん)着手(ちやくしゆ)したまうた。053敵軍(てきぐん)破竹(はちく)(いきほひ)をもつて(すす)みきたり、054(すで)竜宮嶋(りゆうぐうじま)(ちか)押寄(おしよ)せたるに、055味方(みかた)竜神(りゆうじん)旗色(はたいろ)(あし)く、056(いま)敵軍(てきぐん)一挙(いつきよ)(しま)上陸(じやうりく)せむず(いきほひ)になつてきた。057このとき海原彦(うなばらひこの)(みこと)百計(ひやくけい)()きて、058かの大神(おほかみ)より(あづ)かりし潮満(しほみつ)059潮干(しほひる)(たま)()りだし水火(すゐくわ)(おこ)して、060(てき)殲滅(せんめつ)せしめむと()(たま)ひ、061まづかの潮満(しほみつ)(たま)()にして神息(しんそく)をこめ、062(ちから)かぎり伊吹(いぶき)(はな)ちたまへども、063如何(いか)になりしか、064この(たま)神力(しんりき)(すこ)しも(あら)はれなかつた。065それは肝腎(かんじん)精霊(みたま)()かされてあつたからである。066(つぎ)には潮干(しほひる)(たま)()りいだし、067()をもつて敵艦(てきかん)()()くさむと、068神力(しんりき)をこめ()(たま)伊吹(いぶき)したまへども、069これまた精霊(みたま)引抜(ひきぬ)かれありしため、070(なん)らの(かう)をも(そう)さなかつた。
071 鬼門(きもん)(じま)にまします(くに)御柱(みはしらの)(かみ)は、072この戦況(せんきやう)()味方(みかた)窮地(きゆうち)(おちい)れることを憂慮(いうりよ)し、073ただちに神書(しんしよ)(したた)めて信天翁(あはうどり)(あし)(くく)りつけ、074竜宮城(りゆうぐうじやう)にゐます大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)救援(きうゑん)()はれた。
075 このとき()高天原(たかあまはら)も、076竜宮城(りゆうぐうじやう)黒雲(こくうん)(つつ)まれ咫尺(しせき)(べん)せず、077荒振(あらぶる)(かみ)どもの矢叫(やさけ)びは天地(てんち)震撼(しんかん)せむばかりであつた。
078 ここにおいて金勝要(きんかつかねの)大神(おほかみ)秘蔵(ひざう)玉手箱(たまてばこ)(ひら)きて金幣(きんぺい)()りだし、079(てん)(むか)つて左右左(さいうさ)()ちふり(たま)へば、080一天(いつてん)たちまち(ぬぐ)ふがごとく()れわたり、081日光(につくわう)燦爛(さんらん)として(かがや)きわたつた。082金勝要(きんかつかねの)(かみ)(さら)金幣(きんぺい)一片(いつぺん)取欠(とりか)きたまひて信天翁(あはうどり)()(かた)(むす)びつけ、083なほ返書(へんしよ)(あし)(しば)りて、084天空(てんくう)(むか)つて(はな)ちやられた。085信天翁(あはうどり)()るみる中天(ちゆうてん)()()がり、086東北(とうほく)(そら)(たか)()()つた。087信天翁(あはうどり)はたちまち金色(こんじき)(とび)(くわ)し、088竜宮島(りゆうぐうじま)089鬼門島(きもんじま)(そら)(たか)縦横(じゆうわう)無尽(むじん)()びまはつた。090(いま)竜宮島(りゆうぐうじま)()()上陸(じやうりく)せむとしつつありし敵軍(てきぐん)(うへ)には、091火弾(くわだん)(あめ)しきりに()(そそ)ぎ、092かつ東北(とうほく)(てん)よりは一片(いつぺん)黒雲(こくうん)(あら)はれ、093()るみる満天(まんてん)(すみ)(なが)せしごとく、094雲間(くもま)よりは幾百千(いくひやくせん)とも(かぎ)りなき高津(たかつ)(かみ)(あら)はれきたりて旋風(せんぷう)をおこし、095(やま)なす波浪(はらう)()たしめ敵艦(てきかん)中天(ちゆうてん)()きあげ、096あるひは(なみ)(なみ)との千仭(せんじん)谷間(たにま)()(おと)し、097敵船(てきせん)翻弄(ほんろう)すること(かぜ)()()()るごとくであつた。098このとき竹熊(たけくま)099杉若(すぎわか)100桃作(ももさく)101田依彦(たよりひこ)一部隊(いちぶたい)は、102海底(かいてい)沈没(ちんぼつ)した。
103 国常立(くにとこたちの)(みこと)はこの戦況(せんきやう)目撃(もくげき)(あそ)ばされ、104(てき)ながらも不愍(ふびん)(いた)りと、105大慈(だいじ)大悲(だいひ)神心(かみごころ)発揮(はつき)し、106シナイ(ざん)にのぼりて神言(かみごと)奏上(そうじやう)したまへば、107一天(いつてん)にはかに晴渡(はれわた)りて金色(こんじき)(くも)あらはれ、108(かぜ)()ぎ、109(なみ)(しづ)まり、110一旦(いつたん)沈没(ちんぼつ)せる(てき)戦艦(せんかん)海底(かいてい)より浮揚(うきあが)り、111海面(かいめん)はあたかも(たたみ)()きつめたるごとく(おだや)かになつてきた。
112 このとき両島(りやうたう)神々(かみがみ)も、113諸善(しよぜん)竜神(りゆうじん)竹熊(たけくま)敵軍(てきぐん)も、114一斉(いつせい)感謝(かんしや)(こゑ)をはなち、115国常立(くにとこたちの)大神(おほかみ)至仁(しじん)至愛(しあい)恵徳(けいとく)心服(しんぷく)せずにはをられなかつた。116(ひろ)神人(しんじん)(あい)し、117(てき)(てき)とせず、118宇宙(うちう)一切(いつさい)衆生(しうじやう)にたいし至仁至愛(みろく)大御心(おほみこころ)顕彰(けんしやう)したまふこそ、119(じつ)(たふと)有難(ありがた)ききはみである。
120大正一〇・一〇・二三 旧九・二三 桜井重雄録)
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