霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三九章 白玉(しらたま)の行衛(ゆくへ)〔三九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第39章 白玉の行衛 よみ(新仮名遣い):しらたまのゆくえ 通し章番号:39
口述日:1921(大正10)年10月24日(旧09月24日) 口述場所: 筆録者:谷口正治 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
竹熊はまず、白色の玉を持つ田依彦から玉を奪おうとしていた。田依彦の姉・草香姫は麗しい容貌を持っていた。草香姫は豆寅の妻であったが、魔子彦に思いを懸けていた。
竹熊は魔子彦に宝や美しい衣装を与えて、草香姫を誘惑するように命じた。草香姫は魔子彦への恋慕の情に、病に伏せることになった。
田依彦は姉の病気を治そうとして苦慮していたが、魔子彦は、田依彦が秘蔵している白色の玉を草香姫に抱かせれば、病気が治る、という神夢をでっち上げた。姉の病気を治したい田依彦は、玉を姉に渡した。
魔子彦は見舞いを装って草香姫を訪れたため、草香姫の病はほとんど癒えてしまった。魔子彦は草香姫をだまして玉を渡させ、邸内の松の木から鳥船に乗って遁走してしまった。
竹熊は部下の大虎彦に命じて魔子彦を殺させ、玉を奪ってしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-03-29 03:49:13 文字数:2352 OBC :rm0139
愛善世界社版:207頁 八幡書店版:第1輯 120頁 修補版: 校定版:207頁 普及版:107頁 初版: ページ備考:
001 黄金水(わうごんすい)の精(せい)より出(い)でたる十二(じふに)の宝玉(ほうぎよく)は、002個々(ここ)別々(べつべつ)に使用(しよう)しては何(なん)の効用(かうよう)も現(あら)はれないものである。003しかしこれを拾(ひろ)ひ得(え)たる十二柱(じふにはしら)の神司(かみ)も、004竹熊(たけくま)の一派(いつぱ)もその真相(しんさう)を知(し)らず、005一個(いつこ)を得(う)れば一個(いつこ)だけの活用(くわつよう)あり、006二個(にこ)を得(う)れば二個(にこ)だけの神力(ちから)の現(あら)はるるものといづれの者(もの)も確信(かくしん)してゐた。
007 そこで竹熊(たけくま)は、008第一番(だいいちばん)に田依彦(たよりひこ)の持(も)つてをる白色(はくしよく)の玉(たま)を、009手(て)に入(い)れむことを計画(けいくわく)したが、010どうしても田依彦(たよりひこ)を説服(せつぷく)して、011その自分(じぶん)に譲(ゆづ)らしむることの容易(ようい)ならざるをさとり、012ここに竹熊(たけくま)は一計(いつけい)を案出(あんしゆつ)し、013田依彦(たよりひこ)のもつとも信頼(しんらい)措(を)かざる魔子彦(まごひこ)を、014物質欲(ぶつしつよく)をもつて甘(うま)く自分(じぶん)の参謀(さんぼう)にとりいれた。015魔子彦(まごひこ)は容姿(ようし)端麗(たんれい)なる美男(びなん)である。016さうして田依彦(たよりひこ)の姉(あね)にして豆寅(まめとら)の妻(つま)なる草香姫(くさかひめ)といふのがあつた。017これもまた非常(ひじやう)な麗(うるは)しき容貌(ようばう)を備(そな)へていた。018しかるに草香姫(くさかひめ)はいつとなく、019魔子彦(まごひこ)に思(おも)ひをかけてゐた。
020 このとき竹熊(たけくま)は魔子彦(まごひこ)に種々(くさぐさ)の珍(めづら)しき宝(たから)を与(あた)へ、021また非常(ひじやう)に麗(うるは)しき衣服(いふく)を与(あた)へた。022ここに魔子彦(まごひこ)はその美衣(びい)を身(み)に着(ちやく)し、023薫香(くんかう)つよき膏(あぶら)を肉体(にくたい)一面(いちめん)に塗(ぬ)りつけ、024草香姫(くさかひめ)が吾(われ)に恋愛(れんあい)の情(じやう)を深(ふか)からしめむとした。025この行動(かうどう)は竹熊(たけくま)の内命(ないめい)に従(したが)つたものである。
026 ここに草香姫(くさかひめ)はますます恋慕(れんぼ)の情(じやう)が募(つの)つてきた。027されども、028あからさまに心(こころ)の思(おも)ひを魔子彦(まごひこ)に打(う)ちあけることを愧(は)ぢて、029日夜(にちや)悶々(もんもん)の情(じやう)に堪(た)へかねてゐた。030つひに草香姫(くさかひめ)は気鬱病(きうつびやう)になり、031病床(びやうしやう)に臥(ふ)して呻吟(しんぎん)し、032その身体(しんたい)は日一日(ひいちにち)と痩衰(やせおとろ)へ、033生命(いのち)は旦夕(たんせき)に迫(せま)つてきた。034弟(おとうと)田依彦(たよりひこ)は大(おほ)いに驚(おどろ)き、035かつ悲(かな)しみ、036いかにもして草香姫(くさかひめ)の病(やまひ)を癒(い)やし救(すく)はむと、037百方(ひやつぱう)苦慮(くりよ)しつつあつた。
038 時(とき)に田依彦(たよりひこ)は自分(じぶん)の信(しん)ずる魔子彦(まごひこ)が、039内々(ないない)竹熊(たけくま)の参謀役(さんぼうやく)になつてをることは夢(ゆめ)にも知(し)らず、040魔子彦(まごひこ)をよんで、041草香姫(くさかひめ)の病気(びやうき)をいかにせば全快(ぜんくわい)せむやと、042顔(かほ)の色(いろ)をかへ吐息(といき)をつきながら相談(そうだん)をしかけた。
043 魔子彦(まごひこ)は時節(じせつ)の到来(たうらい)と内心(ないしん)ひそかに打(う)ち喜(よろこ)びつつ、044田依彦(たよりひこ)に向(むか)つて言葉(ことば)をかまへていふ。
045『われ一昨夜(いつさくや)の夢(ゆめ)に、046高天原(たかあまはら)にまします国常立(くにとこたちの)尊(みこと)、047枕頭(ちんとう)に現(あら)はれたまひて、048言葉(ことば)厳(おごそ)かに宣(の)り給(たま)ふやうは、049……草香姫(くさかひめ)はもはや生命(せいめい)旦夕(たんせき)に迫(せま)る。050これを救(すく)ふの道(みち)は、051ただ単(たん)に田依彦(たよりひこ)のもてる白色(はくしよく)の玉(たま)を草香姫(くさかひめ)に抱(いだ)かしめ、052日十日(ひとうか)、053夜十夜(よとうや)これを枕頭(ちんとう)より離(はな)れざらしめなば、054病(やまひ)はたちまち癒(い)ゆべし……との大神(おほかみ)のお告(つげ)であつた。055しかし貴下(あなた)はわが夢(ゆめ)に見(み)しごとき美(うるは)しき白玉(しらたま)を果(はて)して所持(しよぢ)さるるや、056夢(ゆめ)のことなれば信(しん)を措(を)くにたらず、057痴人(ちじん)夢(ゆめ)を語(かた)るものと失笑(しつせう)したまふ勿(なか)れ』
058と空(そら)とぼけて、059田依彦(たよりひこ)の心(こころ)を探(さぐ)つてみた。
060 田依彦(たよりひこ)は平素(へいそ)信任(しんにん)する魔子彦(まごひこ)の言(げん)を、061少(すこ)しも疑(うたが)ふの余地(よち)なく、062ただちに自分(じぶん)が件(くだん)の玉(たま)を拾(ひろ)つて珍蔵(ちんざう)してをることを、063あからさまに答(こた)へ、064その玉(たま)の神力(しんりき)によつて姉(あね)の命(いのち)が救(すく)はるるものならば、065これに越(こ)したる喜(よろこ)びなしと雀躍(じやくやく)し、066肩(かた)を揺(ゆす)りながら直(ただ)ちに草香姫(くさかひめ)の許(もと)にいたり、067魔子彦(まごひこ)の神夢(しんむ)の次第(しだい)を語(かた)り、
068『この玉(たま)を十日(とうか)十夜(とうや)抱(いだ)きて、069寝(い)ねよ』
070と告(つ)げ、071玉(たま)を草香姫(くさかひめ)に渡(わた)し、072会心(くわいしん)の笑(ゑみ)を漏(も)らして帰(かへ)つてきた。
073 ここに草香姫(くさかひめ)は田依彦(たよりひこ)の厚意(こうい)を喜(よろこ)び、074教(をし)へられし如(ごと)くにして、075五日(いつか)を経過(くれ)た。076しかるにその病気(びやうき)に対(たい)しては少(すこ)しの効力(かうりよく)もなく、077身体(しんたい)は日夜(にちや)衰(おとろ)へゆくのみであつた。078時分(じぶん)はよしと魔子彦(まごひこ)は、079美麗(きらび)やかに衣服(いふく)を着(き)かざり、080身(み)に薫香(くんかう)を浴(あ)びつつ四辺(しへん)を芳香(はうかう)に化(くわ)してしまつた。081その香(かん)ばしき匂(にほ)ひは、082病(やまひ)の床(とこ)にあつて苦悶(くもん)しつつある草香姫(くさかひめ)の鼻(はな)に、083もつとも強(つよ)く感(かん)じた。
084 草香姫(くさかひめ)はこの匂(にほ)ひを嗅(か)ぐとともに、085すこしく元気(げんき)が恢復(くわいふく)したやうな心持(こころもち)になつた。086しばらくあつて魔子彦(まごひこ)は病気(びやうき)見舞(みまひ)と称(しよう)して、087いと静(しづ)かに這入(はい)つてきた。088さうして田依彦(たよりひこ)に偽(いつは)り伝(つた)へた神夢(しんむ)を、089さも真実(まこと)しやかに草香姫(くさかひめ)に物語(ものがた)つた。090草香姫(くさかひめ)は真偽(しんぎ)を判別(はんべつ)するの暇(いとま)なく、091一方(いつぱう)は弟(おとうと)の言葉(ことば)といひ、092一方(いつぱう)は日(ひ)ごろ恋慕(れんぼ)する魔子彦(まごひこ)の親切(しんせつ)なる言葉(ことば)なれば、093あたかも大慈(だいじ)大悲(だいひ)の大神(おほかみ)の慈言(じげん)の如(ごと)く驚喜(きやうき)した。094さうして玉(たま)の神力(ちから)の数日(すうじつ)を経(へ)ても、095顕(あら)はれないにかかはらず、
096『貴下(あなた)の麗(うるは)しき御(お)姿(すがた)を拝(はい)してより、097にはかに元気(げんき)恢復(くわいふく)して、098精神(せいしん)涼(すず)しく爽快(さうくわい)さを感(かん)じたり』
099と顔(かほ)を赧(あから)めつつ、100小声(こごゑ)で呟(つぶや)くやうに心(こころ)のたけをのべ伝(つた)へた。
101 してやつたり、102願望(ぐわんもう)成就(じやうじゆ)の時(とき)こそ今(いま)と、103魔子彦(まごひこ)は、104後(うしろ)をむいて舌(した)を出(だ)し、105素知(そし)らぬ顔(かほ)に言葉(ことば)をもうけていふやう、
106『すべて神(かみ)の授(さづ)けたまふ神玉(しんぎよく)は、107熱臭(ねつくさ)き病人(びやうにん)の肌(はだ)に抱(いだ)くは、108かへつて神威(しんゐ)を汚涜(をどく)するものなり。109この玉(たま)を抱(いだ)いて、110病(やまひ)を癒(い)やさむとせば、111まず汝(なんぢ)が身体(しんたい)に薫香(くんかう)の強(つよ)き膏(あぶら)を塗布(とふ)し、112芳香(はうかう)を四辺(しへん)に放(はな)ち、113室(へや)の空気(くうき)を一変(いつぺん)し、114天地(てんち)清浄(せいじやう)ののちに非(あら)ざれば、115効(かう)なかるべし』
116と告(つ)げた。117草香姫(くさかひめ)は、
118『薫香(くんかう)の膏(あぶら)は、119いづれにありや』
120と反問(はんもん)した。121魔子彦(まごひこ)はすかさず腮(あご)をしやくりながら、
122『この膏(あぶら)は容易(ようい)に得(え)らるべきものにあらず、123シオン山(ざん)の南方(なんぱう)にある小(ちひ)さき峰(みね)の頂(いただき)に、124時(とき)あつて湧出(ゆうしゆつ)するものなり』
125と、126その容易(ようい)に得(う)べからざることの暗示(あんじ)を与(あた)へた。
127 ここに草香姫(くさかひめ)は口(くち)ごもりつつ、
128『この玉(たま)を貴下(あなた)の肌(はだ)に抱(いだ)きたまひて玉(たま)を清(きよ)め、129玉(たま)の神力(しんりき)を発揮(はつき)せしめ給(たま)はずや』
130と嘆願(たんぐわん)した。131魔子彦(まごひこ)はわざと躊躇(ちうちよ)の色(いろ)を見(み)せながら、132内心(ないしん)欣喜(きんき)雀躍(じやくやく)しつつ、133なまなまに玉(たま)を抱(いだ)くことを承諾(しようだく)した。134不思議(ふしぎ)にも草香姫(くさかひめ)の病(やまひ)は、135白色(はくしよく)の玉(たま)が魔子彦(まごひこ)の懐(ふところ)に抱(いだ)かれるとともに、136ほとんど癒(い)えたやうな気分(きぶん)になつた。
137 魔子彦(まごひこ)は庭園(ていえん)の景色(けしき)を賞(ほ)めつつ、138何(なに)くはぬ顔(かほ)にて徜徉(せうやう)しつつありしが、139庭内(ていない)に聳(そび)えたつ一本(いつぽん)の老松(おいまつ)の枝(えだ)に手(て)をかけ、140樹上(じゆじやう)に昇(のぼ)るや否(いな)や、141西方(せいはう)より翺(か)けきたる天鳥船(あまのとりふね)に身(み)を托(たく)し、142雲上(うんじやう)高(たか)く姿(すがた)を隠(かく)した。143しかるにこの玉(たま)を乗(の)せたる鳥船(とりふね)は、144中空(ちゆうくう)において大虎彦(おほとらひこ)の乗(の)れる鳥船(とりふね)に衝突(しようとつ)し、145玉(たま)は飛(と)んで大虎彦(おほとらひこ)の鳥船(とりふね)に入(い)り、146魔子彦(まごひこ)は中空(ちゆうくう)よりシナイ山(ざん)の渓谷(けいこく)に墜落(つゐらく)して、147霊体(れいたい)ともに粉砕(ふんさい)滅亡(めつぼう)してしまつた。
148 大虎彦(おほとらひこ)の手(て)に入(い)つた玉(たま)は、149やがて竹熊(たけくま)の手(て)に渡(わた)された。150竹熊(たけくま)は謀計(ぼうけい)の後(のち)に破(やぶ)れむことを恐(おそ)れて、151中途(ちゆうと)に大虎彦(おほとらひこ)をして魔子彦(まごひこ)を亡(ほろ)ぼさしめたのである。152悪霊(あくがみ)の仕組(しぐみ)は実(じつ)にどこまでも注意(ちうい)深(ぶか)い、153いやらしきものである。
154(大正一〇・一〇・二四 旧九・二四 谷口正治録)
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