霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五〇章 死海(しかい)出現(しゆつげん)〔五〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第50章 死海の出現 よみ(新仮名遣い):しかいのしゅつげん 通し章番号:50
口述日:1921(大正10)年10月26日(旧09月26日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
鬼熊・鬼姫が竹熊との争いに敗れたことで、竜宮城はやや安静になった。国常立尊はこの功績により、稚姫君命と大八洲彦命に霊国天使の神位を授けた。
竹熊は高杉別、森鷹彦の裏切りを恨み、両神を滅ぼそうと考えたが、そのためには両神の上に立つ大八洲彦命を滅ぼそうと画策していたのである。
竹熊はエデン城を回復すると、木常姫軍と連携して、大八洲彦命を襲撃しようと計画をめぐらしていた。しかしこの計画は、猿飛彦・菊姫の密告により、大八洲彦命に伝えられた。
これを知った大八洲彦命は、竜宮城の守りを部下に固めさせると、高杉別、森鷹彦、時代彦らの神将を従えてシオン山に出発した。そして天神に竹熊の暴虐を奏上した。諸天神はこれを受けて、竹熊征伐の神策を定めた。
天上の天使・天明彦命は大八洲彦命に、危機一髪の場合は、天軍の応援があるだろう、と伝え、頭槌(くぶつち)の玉を授けた。玉を三個授けると、この精霊で魔軍を掃討するように、と神示を下して天に帰って行った。
そのとき、竹熊・木常姫連合軍は竜宮城を取り囲んでいたが、守備の神将たちの活躍によって攻めあぐんでいた。竹熊、木常姫は大八洲彦命がシオン山に居ることを知ると、軍を返してシオン山に攻め寄せた。
竹熊らは空中からシオン山の大八洲彦命に攻め寄せたが、命は頭槌の玉の一個を、魔軍に向かって投げつけた。すると玉は爆発して数万の黄竜となり、竹熊を取り囲んだ。力尽きた竹熊は十個の黄金水の玉とともに地上に落下した。
落下した竹熊が体勢を立て直そうとするところへ、金勝要神、未姫命の二柱が天の逆鉾を竹熊に向かって投げつけた。二つの逆鉾は竹熊を貫き、竹熊はその場に息絶えた。
竹熊の血はあふれて湖水となった。これを死海という。竹熊の悪霊は棒振彦となって、大八洲彦命を執念深く悩ますことになる。竹熊の部下たちも死海の怨霊となって世界に広がり、水死の災厄をもたらし続けている。
一方、大八洲彦命はさらに頭槌の玉を木常姫軍に投げつけると、玉の爆発の神威に打たれた魔軍は墜落して最期を遂げた。木常姫の悪霊はのちに高虎姫となって、棒振彦とともに、大八洲彦命を悩ますことになる。
竹熊の所持していた黄金水の十個の玉と、二個の偽玉は死海に沈んだ。そして竹熊の血に汚されて悪霊と化し、雲気となって舞い上ると世界各地に墜落して邪気を散布した。これらの玉が散布した地は、もっとも国魂の悪しき土地となってしまった。
天の一方から村雲を押し開いて天使の群れが幾百千となく地上に下ってくるのが見えた。するとたちまち瑞月の身体は極寒を感じた。目を開けると、身は高熊山の岩窟の前に、寒風にさらされて坐していた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0150
愛善世界社版:261頁 八幡書店版:第1輯 139頁 修補版: 校定版:261頁 普及版:135頁 初版: ページ備考:
001 鬼熊(おにくま)002鬼姫(おにひめ)竹熊(たけくま)との(たたか)ひに(やぶ)れ、003ウラル(ざん)およびバイカル()悪鬼(あくき)邪霊(じやれい)となり、004(いち)()()(かげ)(ひそ)め、005ために竜宮城(りゆうぐうじやう)はやや安静(あんせい)になつてきた。
006 国常立(くにとこたちの)(みこと)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)および稚姫君(わかひめぎみの)(みこと)功績(こうせき)(しやう)し、007ここに霊国(れいごく)天使(てんし)神位(しんゐ)(さづ)けたまうた。008さても竹熊(たけくま)高杉別(たかすぎわけ)009森鷹彦(もりたかひこ)変心(へんしん)(うら)みを()み、010いかにもしてふたりを(ほろ)ぼし(あだ)(はう)ぜむと(くはだ)てた。011ついては第一(だいいち)(また)もや天使(てんし)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(ほろ)ぼすの必要(ひつえう)(かん)じたのである。
012 (いま)竹熊(たけくま)はエデンの城塞(じやうさい)回復(くわいふく)し、013中裂彦(なかさきひこ)014大虎彦(おほとらひこ)部将(ぶしやう)とし、015牛熊(うしくま)016牛姫(うしひめ)参謀(さんぼう)として(ふたた)(こと)()げむとし、017鬼城山(きじやうざん)割拠(かつきよ)せる木常姫(こつねひめ)応援軍(おうゑんぐん)必要(ひつえう)とした。018木常姫(こつねひめ)魔鬼彦(まきひこ)019鷹姫(たかひめ)020松山彦(まつやまひこ)らの部将(ぶしやう)(とく)し、021前後(ぜんご)より天使(てんし)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)攻撃(こうげき)せむと計画(けいくわく)(めぐ)らしつつあつた。
022 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)猿飛彦(さるとびひこ)023菊姫(きくひめ)密告(みつこく)により竹熊(たけくま)024木常姫(こつねひめ)反逆(はんぎやく)(てき)挙兵(きよへい)消息(せうそく)()り、025竜宮城(りゆうぐうじやう)は、026花照彦(はなてるひこ)027花照姫(はなてるひめ)028香川彦(かがはひこ)029速国彦(はやくにひこ)030戸山彦(とやまひこ)031佐倉彦(さくらひこ)部将(ぶしやう)をして(しろ)各門(かくもん)(まも)らしめた。032もはや後顧(こうこ)(うれ)ひなければ、033ここに大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)高杉別(たかすぎわけ)034森鷹彦(もりたかひこ)035時代彦(ときよひこ)部将(ぶしやう)とともに神命(しんめい)(ほう)じて、036シオン(ざん)(むか)つて出発(しゆつぱつ)した。037この用務(ようむ)大神(おほかみ)神勅(しんちよく)諸天神(しよてんじん)報告(はうこく)のためであつた。038諸天神(しよてんじん)(みこと)報告(はうこく)()き、039天軍(てんぐん)(おこ)して竹熊(たけくま)040木常姫(こつねひめ)暴逆(ばうぎやく)(こら)すの神策(しんさく)(さだ)めたまうた。041(とき)しも天上(てんじやう)より天使(てんし)天明彦(あまあかりひこの)(みこと)あまたの天軍(てんぐん)(したが)へ、042シオン山頂(さんちやう)高原(かうげん)(くだ)り、043大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(むか)ひ、
044危機(きき)一髪(いつぱつ)場合(ばあひ)天軍(てんぐん)応援(おうゑん)をなさむ、045されど竹熊(たけくま)046木常姫(こつねひめ)魔軍(まぐん)(けつ)して(おそ)るるに()らず』
047とて金色(こんじき)頭槌(くぶつち)をもつて地上(ちじやう)()ちたまへば、048シオン(ざん)地上(ちじやう)より瑞気(ずゐき)(あら)はれ(てん)()(あが)(ふたた)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(まへ)降下(かうか)した。049これを頭槌(くぶつち)(たま)といふ。
050 かくして三個(さんこ)(たま)()()(たま)ひ、051「この精霊(みたま)をもつて魔軍(まぐん)掃蕩(さうたふ)せよ」との言葉(ことば)とともに、052天明彦(あまあかりひこの)(みこと)群神(ぐんしん)(ひき)ゐて天使(てんし)(てん)(かへ)らせたまうた。053大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(てん)(はい)()()して、054神恩(しんおん)洪大(こうだい)無辺(むへん)なるに感謝(かんしや)された。
055 竹熊(たけくま)056木常姫(こつねひめ)全力(ぜんりよく)(つく)して前後(ぜんご)左右(さいう)より竜宮城(りゆうぐうじやう)()(かこ)んだ。057勇猛(ゆうまう)なる香川彦(かがはひこ)以下(いか)神司(かみがみ)全力(ぜんりよく)()げて(これ)撃退(げきたい)し、058()()する(てき)魔軍(まぐん)(ある)ひは(きず)つき(ある)ひは(たふ)れ、059全軍(ぜんぐん)三分(さんぶん)(いち)(うしな)つた。060(とき)探女(さぐめ)あり、061天使(てんし)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)は、062シオン(ざん)()り」と密告(みつこく)した。063竹熊(たけくま)064木常姫(こつねひめ)(とき)(うつ)さず、065黒雲(こくうん)(おこ)(かぜ)()び、066シオン(ざん)(そら)をめがけて驀地(まつしぐら)()()せた。
067 この(とき)068大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)天明彦(あまあかりひこの)(みこと)より(たま)はりし頭槌(くぶつち)(たま)(ひと)()りだし、069竹熊(たけくま)魔軍(まぐん)にむかつて空中(くうちゆう)(たか)()()ちたまへば、070その(たま)爆発(ばくはつ)して数万(すうまん)黄竜(わうりゆう)となり、071竹熊(たけくま)前後(ぜんご)左右(さいう)より(せま)つた。072この空中(くうちゆう)(たたか)ひに竹熊(たけくま)通力(つうりき)(うしな)ひ、073真贋(しんがん)十二個(じふにこ)(たま)とともに無惨(むざん)にも地上(ちじやう)墜落(つゐらく)し、074たちまち黒竜(こくりゆう)(へん)じ、075地上(ちじやう)()(たふ)れた。076しばらくあつて竹熊(たけくま)起上(おきあ)がり、077ふたたび魔軍(まぐん)(おこ)して防戦(ばうせん)せむとする(をり)しも、078天上(てんじやう)より金勝要(きんかつかねの)(かみ)079未姫(ひつじひめの)(みこと)二柱(ふたはしら)女神(によしん)は、080(あめ)逆鉾(さかほこ)竹熊(たけくま)頭上(づじやう)()がけて()(くだ)したまうた。081一個(いつこ)竹熊(たけくま)(あたま)にあたり一個(いつこ)()にあたり、082その()(たふ)黒血(くろち)()き、083ここに(あへ)なき終焉(しゆうえん)()げた。
084 竹熊(たけくま)()(あふ)れて湖水(こすゐ)となつた。085これを死海(しかい)といふ。086竹熊(たけくま)霊魂(れいこん)はその()死海(しかい)怨霊(おんりやう)となつた。087死海(しかい)(みづ)(にが)くして、088からく粘着性(ねんちやくせい)()ぶるは、089(あめ)逆鉾(さかほこ)精気(せいき)()のり(せい)結晶(けつしやう)である。090竹熊(たけくま)(れい)はふたたび(くわ)して棒振彦(ぼうふりひこ)となり、091天使(てんし)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)執念深(しふねんぶか)幾度(いくど)(なや)ました。092竹熊(たけくま)部下(ぶか)悪霊(あくれい)もまた()湖水(こすゐ)邪鬼(じやき)となつた。093そしてその怨霊(おんりやう)世界(せかい)(ひろ)まり、094後世(こうせい)(いた)るまで、095種々(しゆじゆ)(たた)りをなすにいたつた。096その方法(はうはふ)(ふち)097(かは)098(いけ)099(うみ)などに(ひと)(さそ)ひ、100死神(しにがみ)となつてとり()溺死(できし)せしめるのである。101(ゆゑ)にこの湖水(こすゐ)禊身(みそぎ)神業(かむわざ)をもつて(きよ)めざれば、102世界(せかい)溺死人(できしにん)(あと)()たぬであらう。
103 シオン(ざん)後方(こうはう)(てん)より(おそ)ひきたる(もつと)猛烈(まうれつ)なる木常姫(こつねひめ)魔軍(まぐん)(たい)して、104大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)第二(だいに)頭槌(くぶつち)(たま)空中(くうちゆう)()()てたまへば、105たちまち爆裂(ばくれつ)し、106木常姫(こつねひめ)一軍(いちぐん)神威(しんゐ)におそれ狼狽(らうばい)(きよく)107死海(しかい)周囲(しうゐ)屹立(きつりつ)せる禿山(はげやま)山上(さんじやう)墜落(つゐらく)し、108岬角(こうかく)(きず)つき、109最後(さいご)()げた。110木常姫(こつねひめ)(れい)はふたたび(へん)じて高虎姫(たかとらひめ)となり、111棒振彦(ぼうふりひこ)とともに、112大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)絶対(ぜつたい)(てき)(なや)まさむとした一切(いつさい)径路(けいろ)は、113おひおひ()ぶるところによつて判明(はんめい)する。
114 竹熊(たけくま)所持(しよぢ)せる十個(じつこ)(たま)と、115二個(にこ)偽玉(にせだま)一旦(いつたん)死海(しかい)(しづ)み、116歳月(さいげつ)()ておひおひに雲気(うんき)となつて()(のぼ)り、117世界(せかい)各地(かくち)墜落(つゐらく)邪気(じやき)散布(さんぷ)し、118あらゆる生物(せいぶつ)(くるし)ましめたのである。119さしもの黄金水(わうごんすゐ)より()でたる十個(じつこ)宝玉(ほうぎよく)も、120竹熊(たけくま)()(けが)されて悪霊(あくがみ)(へん)じ、121諸国(しよこく)散乱(さんらん)して種々(しゆじゆ)悪事(あくじ)現出(げんしゆつ)せしむる悪玉(あくだま)変化(へんくわ)したのである。122この(たま)散布(さんぷ)せる()(もつと)国魂(くにたま)(あし)国土(こくど)である。
123 (てん)一方(いつぱう)より村雲(むらくも)押開(おしひら)きて天使(てんし)(むれ)124幾百千(いくひやくせん)となく(あら)はれ、125地上(ちじやう)漸次(ぜんじ)(くだ)りくるよと()るまに、126瑞月(ずゐげつ)身体(しんたい)はたちまち極寒(ごくかん)(かん)じ、127ふと()(ひら)けば、128()高熊山(たかくまやま)巌窟(がんくつ)(まへ)寒風(かんぷう)(さら)されてゐた。
129大正一〇・一〇・二六 旧九・二六 桜井重雄録)
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