霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四四章 緑毛(りよくまう)の亀(かめ)〔四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第1巻 霊主体従 子の巻 篇:第5篇 御玉の争奪 よみ(新仮名遣い):みたまのそうだつ
章:第44章 緑毛の亀 よみ(新仮名遣い):りょくもうのかめ 通し章番号:44
口述日:1921(大正10)年10月25日(旧09月25日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1921(大正10)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
緑の玉を死守していた亀若は、竹熊の宴席で拷問にあい、それが元で健康を害して帰幽してしまった。妻の亀姫は悲しんで百日の間、喪に服した。
このとき、ガリラヤの海から異様な動物が現れ、美しい神人に化けると、亀若の喪を弔いにやってきた。これは高津彦という邪神である。神人に化けた高津彦の容貌は、亀若そっくりであった。驚く亀姫に高津彦は、自分は亀若の再生である、と騙して夫婦となってしまった。
あるとき、高津彦はにわかに病となり、床に伏してしまった。亀姫は悲しんで看病していたが、そこに竜宮城の神と名乗って、高倉彦という神人が見舞いに訪れた。高倉彦の容貌も亀若に酷似していた。
そして高倉彦は、自分は亀若の双子の兄弟だが、父母が世間をはばかって、今まで隠していたところ、亀若が病床にあると聞いて見舞いに訪れたのだ、と語った。そして、家宝の緑の玉こそ、亀若の病を癒す神宝である、と騙った。
亀姫が緑の玉を取り出して高台に安置するや否や、黒竜が玉を掴んで西方の天に去ってしまった。これまで夫亀若の再生と思っていた高津彦は大竜に変じ、また高倉彦はガリラヤのすっぽんに還元して、姿をくらましてしまった。
騙されたことを知った亀姫は悔しがり、その精魂は緑毛の亀となって竜宮海に飛び込んだ。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2026-03-29 03:54:03 文字数:2347 OBC :rm0144
愛善世界社版:236頁 八幡書店版:第1輯 130頁 修補版: 校定版:235頁 普及版:121頁 初版: ページ備考:
001 亀若(かめわか)は緑(みどり)の玉(たま)を生命(いのち)にかけて死守(ししゆ)してゐた。002いかなる名誉欲(めいよよく)も、003物質欲(ぶつしつよく)も眼中(がんちゆう)におかず、004ただこの玉(たま)のみを保護(ほご)することに心魂(しんこん)を凝(こ)らしてゐた。005しかるに亀若(かめわか)は八尋殿(やひろどの)の酒宴(しゆえん)のみぎり竹熊(たけくま)の奸計(かんけい)にかかり、006毒虫(どくむし)を多(おほ)く腹中(ふくちゆう)に捻込(ねぢこ)まれたのが原因(げんいん)をなして、007身体(しんたい)の健康(けんかう)を害(がい)し、008病床(びやうしやう)に臥(ふ)し全身(ぜんしん)黄緑色(わうりよくしよく)に変(へん)じ、009つひに帰幽(きいう)した。010亀若(かめわか)の妻(つま)亀姫(かめひめ)は、011天地(てんち)に慟哭(どうこく)し、012足辺(あしべ)に腹這(はらば)ひ頭辺(かしらべ)に這(は)ひまはり、013涕泣(ていきふ)日(ひ)を久(ひさ)しうした。014その悲(かな)しみ泣(な)き叫(さけ)ぶ声(こゑ)は風(かぜ)のまにまに四方(しはう)にひびき、015つひには悲風(ひふう)惨雨(さんう)の絶間(たえま)なきにいたつた。016この間(あひだ)およそ百(ひやく)日(にち)百夜(ひやくよ)に及(およ)んだ。
017 この時(とき)ガリラヤの海(うみ)より雲気(うんき)立(た)ち登(のぼ)り、018妖雲(えううん)を巻(ま)きおこして一種(いつしゆ)異様(いやう)の動物(どうぶつ)現(あら)はれ、019竜宮城(りゆうぐうじやう)近(ちか)く進(すす)んできた。020異様(いやう)の動物(どうぶつ)は、021たちまち美(うる)はしき神人(しんじん)と化(くわ)した。022そして亀姫(かめひめ)の家(いへ)に亀若(かめわか)の喪(も)を弔(とむら)うた。023この者(もの)は其(そ)の名(な)を高津彦(たかつひこ)といふ。024亀姫(かめひめ)は高津彦(たかつひこ)を見(み)て大(おほ)いに喜(よろこ)び、025その手(て)を取(と)つて一間(ひとま)に導(みちび)き、026いろいろの酒肴(さけさかな)を出(だ)して饗応(きやうおう)し、027かつ、
028『貴下(あなた)はわが最(もつと)も愛(あい)する亀若(かめわか)ならずや』
029と訝(いぶ)かり問(と)ふた。030高津彦(たかつひこ)は、
031『われは亀若(かめわか)なり、032決(けつ)して死(し)したるに非(あら)ず、033毒(どく)の廻(まは)りし体(からだ)を捨(す)て、034新(あらた)に健全(けんぜん)なる体(からだ)を持(も)ち、035汝(なれ)の前(まへ)にきたりて偕老(かいらう)同穴(どうけつ)の契(ちぎり)を全(まつた)くせむとすればなり』
036と言葉(ことば)たくみに物語(ものがた)つた。037亀姫(かめひめ)は高津彦(たかつひこ)の顔色(がんしよく)といひ、038容貌(ようばう)といひ、039言葉(ことば)の色(いろ)といひ、040その動作(どうさ)にいたるまで亀若(かめわか)に寸毫(すんがう)の差(さ)なきを見(み)て、041心底(しんてい)より深(ふか)くこれを信(しん)ずるにいたつた。042ここにふたりは水(みづ)も洩(もら)さぬ仲(なか)のよき夫婦(ふうふ)となつた。
043 亀姫(かめひめ)は再生(さいせい)の思(おも)ひをなし、044一旦(いつたん)長(なが)き別(わか)れと断念(だんねん)した不運(ふうん)の身(み)に、045夫(をつと)のふたたび蘇生(そせい)しきたつて鴛鴦(ゑんあう)の契(ちぎり)を結(むす)ぶは如何(いか)なる宿世(すぐせ)の果報(くわはう)ぞと、046手(て)の舞(ま)ひ足(あし)の踏(ふ)むところを知(し)らなかつた。
047 夫婦(ふうふ)の仲(なか)は蜜(みつ)のごとく漆(うるし)のごとく親(した)しかつたが、048ふとしたことより風邪(かぜ)のために高津彦(たかつひこ)は重(おも)い病(やまひ)の床(とこ)についた。049今(いま)まで歓喜(くわんき)に満(み)ちた亀姫(かめひめ)の胸(むね)は、050ふたたび曇(くも)らざるを得(え)なかつた。051手(て)を替(か)へ品(しな)を換(か)へ看病(かんびやう)に尽(つく)した。052幾日(いくにち)たつても何(なん)の効(かう)も見(み)えず、053病(やまひ)はだんだん重(おも)るばかりである。054このとき高津彦(たかつひこ)の友(とも)の高倉彦(たかくらひこ)きたりて病床(びやうしやう)を見舞(みま)ひ、055かつ医療(いれう)の法(はふ)をすすめた。056百草(ひやくさう)を集(あつ)め種々(しゆじゆ)の医薬(いやく)をすすめた。057されど病(やまひ)は依然(いぜん)として重(おも)るばかりである。058亀姫(かめひめ)の胸(むね)は、059実(じつ)に熱鉄(やきがね)を当(あて)るごとくであつた。060不思議(ふしぎ)にも高倉彦(たかくらひこ)の容貌(ようばう)、061身長(しんちやう)、062言語(げんご)は、063亀若(かめわか)に酷似(こくじ)してゐた。064ここに亀姫(かめひめ)は、065その真偽(しんぎ)に迷(まよ)はざるを得(え)なかつた。066そこで亀姫(かめひめ)は、067かつ驚(おどろ)き、068かつ怪(あや)しみ、
069『貴下(あなた)はいづれより来(き)ませしや』
070といぶかり問(と)ふた。071高倉彦(たかくらひこ)は、
072『われは竜宮城(りゆうぐうじやう)の神司(かみ)にして、073亀若(かめわか)のふるくよりの親(した)しかりし美(うる)はしき友(とも)なり』
074と答(こた)へた。075そこで亀姫(かめひめ)は、
076『高倉彦(たかくらひこ)の亀若(かめわか)に酷似(こくじ)したまふは如何(いか)なる理由(りいう)ぞ』
077と反問(はんもん)した。078高倉彦(たかくらひこ)は答(こた)へて、
079『実際(じつさい)吾(われ)は亀若(かめわか)とは双生児(ふたご)である、080されどわが父母(ふぼ)は世間(せけん)を憚(はばか)り、081出産(しゆつさん)とともに他(た)に預(あづ)けたのである。082そして亀若(かめわか)と吾(われ)とは此(こ)の消息(せうそく)を少(すこ)しも知(し)らず、083心(こころ)の親友(しんいう)として幼少(えうせう)のころより交(まじ)はつてゐた。084然(しか)るにある事情(じじやう)より吾(われ)はこの事(こと)を感知(かんち)せしが、085今(いま)ここに病(や)みたまふ亀若(かめわか)は、086この真相(しんさう)を御存(ごぞん)じないのである。087われは骨肉(こつにく)の情(じやう)に惹(ひ)かれて、088同胞(どうはう)の苦(くる)しみを見(み)るに忍(しの)びず、089いかにもしてこの病(やまひ)を恢復(くわいふく)せしめ兄弟(きやうだい)睦(むつま)じく神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)せむと焦慮(せうりよ)し、090神務(しんむ)の余暇(よか)を得(え)て、091ここに病床(びやうしやう)を訪(たづ)ねたのである』
092とはつきり物語(ものがた)つたので、093亀姫(かめひめ)の疑(うたが)ひは全(まつた)く氷解(ひやうかい)した。
094 高倉彦(たかくらひこ)は、095亀姫(かめひめ)の信頼(しんらい)ますます加(くは)はつてきた。096一方(いつぱう)亀若(かめわか)の病気(びやうき)はだんだん重(おも)るばかりである。097そこで亀姫(かめひめ)はふたたび、
098『夫(をつと)の病(やまひ)を救(すく)ふ妙術(めうじゆつ)はなきや』
099と面色(めんしよく)憂(うれ)ひを含(ふく)んで高倉彦(たかくらひこ)に相談(さうだん)をした。100そのとき高倉彦(たかくらひこ)は、101実(じつ)に当惑(たうわく)の面持(おももち)にて、
102『ああ気(き)の毒(どく)』
103と長歎息(ちやうたんそく)をなし、104腕(うで)を組(く)んで頭(あたま)を垂(た)れしばしは何(なん)の返答(へんたふ)もなかつた。105ややあつて思(おも)ひ出(だ)したやうに高倉彦(たかくらひこ)は喜色(きしよく)を満面(まんめん)にたたへて、
106『その方法(はうはふ)たしかにあり』
107と飛(と)び立(た)つやうな態度(たいど)をしながら答(こた)へた。108亀姫(かめひめ)は顔色(がんしよく)にはかに輝(かがや)き、109驚喜(きやうき)して、
110『いかなる神法(しんぱふ)なりや聞(き)かま欲(ほ)し』
111と高倉彦(たかくらひこ)の返辞(へんじ)をもどかしがつて待(ま)つた。
112 高倉彦(たかくらひこ)はわざと落着(おちつ)いて手(て)を洗(あら)ひ口(くち)嗽(すす)ぎ、113天(てん)に向(むか)つて永(なが)らくのあひだ合掌(がつしやう)し、114何事(なにごと)か神勅(しんちよく)を請(こ)ふもののやうであつた。115病床(びやうしやう)にある亀若(かめわか)はしきりに苦悶(くもん)の声(こゑ)を発(はつ)し、116既(すで)に断末魔(だんまつま)の容態(ようだい)である。117亀姫(かめひめ)の胸(むね)は矢(や)も楯(たて)もたまらぬやうになつた。118たとへ自分(じぶん)の生命(いのち)は失(うしな)ふとも最愛(さいあい)の夫(をつと)、119亀若(かめわか)の生命(いのち)を救(すく)はねばおかぬといふ決心(けつしん)である。120一方(いつぱう)高倉彦(たかくらひこ)の様子(やうす)いかにと見(み)れば悠々(いういう)として天(てん)に祈(いの)り、121いささかも急(いそ)ぐ様子(やうす)がない。122高倉彦(たかくらひこ)はおもむろに祈(いの)りを捧(ささ)げた後(のち)、123室内(しつない)に這入(はい)つてきた。124このとき亀姫(かめひめ)は渇(かは)きたる者(もの)の水(みづ)を求(もと)むるごとくに、125高倉彦(たかくらひこ)の教示(けうじ)や如何(いか)にと待(ま)ち詫(わ)びた。126高倉彦(たかくらひこ)はこの様子(やうす)を見(み)て心中(しんちゆう)に謀計(ぼうけい)のあたれるを打(う)ち喜(よろこ)び、127外知(そし)らぬ顔(かほ)にて左(さ)も勿体(もつたい)らしく言葉(ことば)をかまへていふ、
128『当家(たうけ)には貴重(きちよう)なる緑色(みどりいろ)の玉(たま)が秘蔵(ひざう)されてある。129この玉(たま)を取(と)りだして月(つき)の夜(よ)に高台(たかだい)を設(まう)けてこれを奉安(ほうあん)し、130月(つき)の水(みづ)をこの玉(たま)に凝集(ぎようしふ)せしめ、131その玉(たま)より滴(したた)る一滴(いつてき)の水(みづ)を亀若(かめわか)に呑(の)ましめなば、132病(やまひ)癒(い)えなむとの月読(つきよみの)神(かみ)の神勅(しんちよく)なり』
133と誠(まこと)しやかに教示(けうじ)した。134亀姫(かめひめ)は天(てん)の佑(たす)けと喜(よろこ)び勇(いさ)んで直(ただ)ちに高台(たかだい)を造(つく)り、135その玉(たま)を中央(ちゆうあう)に安置(あんち)した。136その刹那(せつな)一天(いつてん)たちまち掻(か)き曇(くも)り、137黒雲(こくうん)濛々(もうもう)として天地(てんち)をつつみ、138咫尺(しせき)を弁(べん)ぜざるにいたつた。139時(とき)しも雲中(うんちゆう)に黒竜(こくりゆう)現(あら)はれ、140その玉(たま)を掴(つか)みて西方(せいはう)の天(てん)に姿(すがた)をかくした。141数日(すうじつ)を経(へ)てこの玉(たま)は、142竹熊(たけくま)の手(て)に入(い)つたのである。143今(いま)まで夫(をつと)と思(おも)ふてゐた偽(にせ)の亀若(かめわか)は、144にはかに大竜(だいりゆう)と変(へん)じた。145また高倉彦(たかくらひこ)はガリラヤの大(だい)なる竈(すつぽん)に還元(くわんげん)し、146亀姫(かめひめ)を後(あと)に残(のこ)して雲(くも)をおこし姿(すがた)をかくした。147亀姫(かめひめ)は地団駄(ぢだんだ)踏(ふ)んで侮(くや)しがり、148精魂(せいこん)凝(こ)つて遂(つひ)に緑毛(りよくまう)の亀(かめ)と変(へん)じ竜宮海(りゆうぐうかい)に飛(と)び入(い)つたのである。149亀(かめ)は万(まん)年(ねん)の齢(よはひ)を保(たも)つといふ。150亀若(かめわか)は八尋殿(やひろどの)の宴会(えんくわい)において毒虫(どくむし)を食(く)はせられ、151それがために短命(たんめい)にして世(よ)を去(さ)つた。152それから亀姫(かめひめ)の霊(れい)より出(い)でし亀(かめ)は、153衛生(えいせい)に注意(ちうい)して毒虫(どくむし)を食(く)はず、154長寿(ちやうじゆ)を保(たも)つことになつた。
155(大正一〇・一〇・二五 旧九・二五 加藤明子録)
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