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第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
01 筑紫上陸
〔942〕
02 孫甦
〔943〕
03 障文句
〔944〕
04 歌垣
〔945〕
05 対歌
〔946〕
06 蜂の巣
〔947〕
07 無花果
〔948〕
08 暴風雨
〔949〕
第2篇 有情無情
09 玉の黒点
〔950〕
10 空縁
〔951〕
11 富士咲
〔952〕
12 漆山
〔953〕
13 行進歌
〔954〕
14 落胆
〔955〕
15 手長猿
〔956〕
16 楽天主義
〔957〕
第3篇 峠の達引
17 向日峠
〔958〕
18 三人塚
〔959〕
19 生命の親
〔960〕
20 玉卜
〔961〕
21 神護
〔962〕
22 蛙の口
〔963〕
23 動静
〔964〕
余白歌
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第二章
孫甦
(
まごこう
)
〔九四三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第1篇 筑紫の不知火
よみ(新仮名遣い):
つくしのしらぬい
章:
第2章 孫甦
よみ(新仮名遣い):
まごこう
通し章番号:
943
口述日:
1922(大正11)年09月12日(旧07月21日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
孫公が人事不省になったので、房公と芳公は必死に介抱を始めた。二人は黒姫に助けを求めるが、黒姫は罰が当たったのだといって冷酷に笑っている。
房公は倒れた孫公の体に向かって鎮魂を始めた。房公は、黒姫が冷酷なのは曲津に取り付かれたからだと言って、黒姫に霊を送っている。
倒れていた孫公はにわかに雷のような唸り声をたてだした。黒姫は真っ青になってその場にしゃがんでしまった。孫公は草の上にあぐらをかき、真っ赤な顔で唇を動かしだした。
黒姫は孫公に近寄り、自分が鎮魂したから助かったのだと吹いている。房公と芳公は黒姫の図々しさを指摘して文句を言うが、黒姫は意に介さず二人に食って掛かっている。
すると孫公は大口を開いて、黒姫の過去の所業を攻め立てる言霊歌を歌いだした。そして、高山彦は筑紫の島にはおらず、自転倒島に潜んでいると宣言した。
黒姫はこれを聞くと、神がかりした孫公に高山彦のありかを明かすようにと頼み込み始めた。孫公は、高山彦は聖地の伊勢屋の娘と浮気していると歌いだした。黒姫は茶化した孫公の歌に怒って文句をつけ、本当のことを明かすように迫った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-10 11:50:26
OBC :
rm3402
愛善世界社版:
18頁
八幡書店版:
第6輯 369頁
修補版:
校定版:
19頁
普及版:
8頁
初版:
ページ備考:
001
孫公
(
まごこう
)
は、
002
笑
(
わら
)
ひ
転
(
こ
)
けた
途端
(
とたん
)
に
腰骨
(
こしぼね
)
を
岩角
(
いはかど
)
に
強
(
したた
)
か
打
(
う
)
ち『ウン』と
云
(
い
)
つたきり
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
003
房公
(
ふさこう
)
、
004
芳公
(
よしこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
周章
(
あわて
)
狼狽
(
ふため
)
き、
005
谷水
(
たにみづ
)
を
汲
(
く
)
み
来
(
きた
)
つて
顔
(
かほ
)
にぶつかけたり、
006
口
(
くち
)
を
無理
(
むり
)
にあけて
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
ませなどして
種々
(
いろいろ
)
と
介抱
(
かいほう
)
を
余念
(
よねん
)
なく
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
007
されど
孫公
(
まごこう
)
は、
008
だんだん
身体
(
からだ
)
が
冷却
(
れいきやく
)
する
計
(
ばか
)
り、
009
呼
(
よ
)
べど
叫
(
さけ
)
べど
何
(
なん
)
の
応答
(
こたへ
)
も
無
(
な
)
くなつて
了
(
しま
)
つた。
010
黒姫
(
くろひめ
)
は
冷然
(
れいぜん
)
として
孫公
(
まごこう
)
の
倒
(
たふ
)
れた
体
(
からだ
)
を
斜眼
(
ながしめ
)
に
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る。
011
房公
(
ふさこう
)
『これ
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
012
孫公
(
まごこう
)
がこんな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのです。
013
なぜ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
願
(
ねが
)
つて
下
(
くだ
)
さらぬのか。
014
早
(
はや
)
く
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げて
魂返
(
たまがへ
)
しをして
下
(
くだ
)
さい。
015
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
016
此方
(
こちら
)
の
者
(
もの
)
にはなりませぬぞや』
017
黒姫
(
くろひめ
)
はニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
018
黒姫
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
戒
(
いまし
)
めは、
019
恐
(
おそ
)
ろしいものですな。
020
皆様
(
みなさま
)
是
(
これ
)
を
見
(
み
)
て
改心
(
かいしん
)
なさい。
021
長上
(
ちやうじやう
)
を
敬
(
うやま
)
へと
云
(
い
)
ふ……お
前
(
まへ
)
は
天
(
てん
)
の
御
(
ご
)
規則
(
きそく
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
御座
(
ござ
)
る。
022
太平洋
(
たいへいやう
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
から、
023
此
(
この
)
孫公
(
まごこう
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ
口答
(
くちごた
)
へを
致
(
いた
)
し、
024
長上
(
ちやうじやう
)
を
侮辱
(
ぶじよく
)
した
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
罪
(
つみ
)
が
自然
(
しぜん
)
に
報
(
むく
)
うて
来
(
き
)
たのだから、
025
何程
(
なにほど
)
頼
(
たの
)
んだとて
祈
(
いの
)
つたとて、
026
もはや
駄目
(
だめ
)
だよ。
027
……これ
房公
(
ふさこう
)
、
028
芳公
(
よしこう
)
、
029
お
前
(
まへ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
孫公
(
まごこう
)
のやうに
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
に
口答
(
くちごた
)
へをしたり、
030
又
(
また
)
悪口
(
わるくち
)
を
云
(
い
)
つたであらう。
031
第二
(
だいに
)
の
候補者
(
こうほしや
)
はどちらになるか
知
(
し
)
らぬでなア、
032
オホヽヽヽ……エヽ
気味
(
きみ
)
のよい
事
(
こと
)
だ。
033
こんな
事
(
こと
)
が
無
(
な
)
ければ
阿呆
(
あはう
)
らしくて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
信仰
(
しんかう
)
は
出来
(
でき
)
はしない。
034
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて、
035
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
けると
云
(
い
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
は、
036
決
(
けつ
)
して
嘘
(
うそ
)
ぢやありますまいがな。
037
神
(
かみ
)
は
善
(
ぜん
)
を
賞
(
しやう
)
し
悪
(
あく
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼしたまふと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
038
いつも
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
の
口
(
くち
)
が
酢
(
す
)
つぱくなるまで
教
(
をし
)
へてあるぢやないか。
039
それだから
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
怖
(
こわ
)
いと
云
(
い
)
ふのだ。
040
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
041
房公
(
ふさこう
)
『それでも
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
042
あまり
冷酷
(
れいこく
)
ぢやありませぬか。
043
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
として、
044
若
(
も
)
し
此
(
この
)
孫公
(
まごこう
)
が
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまであつたら、
045
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
046
お
前
(
まへ
)
さまはそんなに
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かほ
)
がして
居
(
を
)
られますか』
047
黒姫
(
くろひめ
)
『
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまに
限
(
かぎ
)
つて、
048
こんな
分
(
わか
)
らぬ
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
行
(
おこな
)
ひはなさりませぬ
哩
(
わい
)
。
049
滅多
(
めつた
)
に
気遣
(
きづか
)
ひないから
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな、
050
ウフヽヽヽ』
051
芳公
(
よしこう
)
『オイ
房公
(
ふさこう
)
、
052
黒姫
(
くろひめ
)
には
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
が
憑依
(
ひようい
)
したと
見
(
み
)
える。
053
さうでなくては
肝腎
(
かんじん
)
の
弟子
(
でし
)
が
縡切
(
ことぎ
)
れて
居
(
ゐ
)
るのに、
054
如何
(
いか
)
に
無情
(
むじやう
)
冷酷
(
れいこく
)
な
人間
(
にんげん
)
でもこんな
態度
(
たいど
)
を
装
(
よそほ
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
くまい。
055
これから
両人
(
りやうにん
)
が
両方
(
りやうはう
)
から
鎮魂責
(
ちんこんぜめ
)
にして、
056
黒姫
(
くろひめ
)
の
悪霊
(
あくれい
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
さうぢやないか』
057
房公
(
ふさこう
)
『
俺
(
おれ
)
は
孫公
(
まごこう
)
の
介抱
(
かいほう
)
をする。
058
まだ
少
(
すこ
)
し
温
(
ぬく
)
みがあるから
蘇生
(
いきかへ
)
るかも
知
(
し
)
れない。
059
お
前
(
まへ
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
の
曲津
(
まがつ
)
退治
(
たいぢ
)
にかかつて
呉
(
く
)
れ』
060
と
云
(
い
)
ひながら、
061
房公
(
ふさこう
)
は
孫公
(
まごこう
)
の
倒
(
たふ
)
れた
体
(
からだ
)
に
向
(
むか
)
つて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
鎮魂
(
ちんこん
)
をなし、
062
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
謡
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
063
芳公
(
よしこう
)
は
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
黒姫
(
くろひめ
)
に
向
(
むか
)
つて『ウンウン』と
霊
(
れい
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
064
黒姫
(
くろひめ
)
『オホヽヽヽ、
065
敵
(
てき
)
は
本能寺
(
ほんのうじ
)
にあり、
066
吾
(
わが
)
敵
(
かたき
)
は
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
むと
云
(
い
)
つて、
067
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
悪
(
あく
)
に
見
(
み
)
えるのは
所謂
(
いはゆる
)
お
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
に
悪魔
(
あくま
)
が
棲
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
るのだよ。
068
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
芸当
(
げいたう
)
をするよりも
早
(
はや
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
詫
(
わび
)
をしなさい。
069
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
の
腹立
(
はらだち
)
の
直
(
なほ
)
らぬかぎりは、
070
房公
(
ふさこう
)
だつてお
前
(
まへ
)
だつて
孫公
(
まごこう
)
の
通
(
とほ
)
りだよ。
071
さてもさても
憐
(
あは
)
れなものだなア。
072
心
(
こころ
)
から
発根
(
ほつこん
)
の
改心
(
かいしん
)
でないと、
073
何程
(
なにほど
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祈
(
いの
)
つたとてあきませぬぞえ。
074
これから
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
第一
(
だいいち
)
、
075
黒姫
(
くろひめ
)
第二
(
だいに
)
とするのだよ』
076
芳公
(
よしこう
)
『
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまと
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
り
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
になられた
時
(
とき
)
はどうなります。
077
高山彦
(
たかやまひこ
)
第三
(
だいさん
)
ですか、
078
或
(
あるひ
)
は
第二
(
だいに
)
ですか、
079
それを
聞
(
き
)
かして
置
(
お
)
いて
頂
(
いただ
)
かむと
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
いですからなア』
080
黒姫
(
くろひめ
)
『
今
(
いま
)
からそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
ぢやありませぬ。
081
孫公
(
まごこう
)
があの
通
(
とほ
)
り
冷
(
つめ
)
たくなつて
居
(
を
)
るのに、
082
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
とも
無
(
な
)
いのかい』
083
芳公
(
よしこう
)
『さうですなア、
084
黒姫
(
くろひめ
)
さまが
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまを
思
(
おも
)
ふ
位
(
くらゐ
)
なものでせうかい。
085
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまが
第二
(
だいに
)
ですか、
086
第三
(
だいさん
)
ですか、
087
但
(
ただし
)
は
機会
(
きくわい
)
均等
(
きんとう
)
主義
(
しゆぎ
)
ですか』
088
黒姫
(
くろひめ
)
はニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
089
黒姫
『
極
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
よ。
090
私
(
わたし
)
のハズバンドだもの、
091
オホヽヽヽ』
092
と
顔
(
かほ
)
を
隠
(
かく
)
す。
093
五十
(
ごじふ
)
の
坂
(
さか
)
を
越
(
こ
)
えた
皺苦茶
(
しわくちや
)
婆
(
ばば
)
も、
094
ハズバンドの
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はれると
少
(
すこ
)
しく
恥
(
はづ
)
かしくなつたと
見
(
み
)
える。
095
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
打倒
(
うちたふ
)
れて
居
(
ゐ
)
た
孫公
(
まごこう
)
は、
096
房公
(
ふさこう
)
の
看病
(
かんびやう
)
が
利
(
き
)
いたのか、
097
但
(
ただし
)
は
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
で
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
したのか、
098
俄
(
にはか
)
に
雷
(
らい
)
のやうな
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
を
立
(
た
)
て
出
(
だ
)
した。
099
黒姫
(
くろひめ
)
は
真蒼
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
になつて
其
(
その
)
場
(
ば
)
にしやがんで
了
(
しま
)
ふ。
100
房公
(
ふさこう
)
、
101
芳公
(
よしこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
且
(
か
)
つ
驚
(
おどろ
)
き
且
(
か
)
つ
喜
(
よろこ
)
び、
102
雑草
(
ざつさう
)
の
茂
(
しげ
)
る
道端
(
みちばた
)
を
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
周章
(
うろた
)
へ
廻
(
まは
)
る。
103
孫公
(
まごこう
)
は
益々
(
ますます
)
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
した。
104
さうしてツト
自
(
みづか
)
ら
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
105
道端
(
みちばた
)
の
青草
(
あをくさ
)
の
上
(
うへ
)
に
胡坐
(
あぐら
)
をかき
真赤
(
まつか
)
な
顔
(
かほ
)
をしながら、
106
への
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
んだ
口
(
くち
)
を
片
(
かた
)
つ
方
(
ぱう
)
から
少
(
すこ
)
しづつ
通草
(
あけび
)
がはじけかかつたやうに
上下
(
じやうげ
)
の
唇
(
くちびる
)
を
開
(
ひら
)
き
初
(
はじ
)
め、
107
白
(
しろ
)
い
歯
(
は
)
を
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
二
(
に
)
枚
(
まい
)
三
(
さん
)
枚
(
まい
)
と
露
(
あら
)
はし
初
(
はじ
)
めた。
108
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
目
(
め
)
も
放
(
はな
)
たず
驚異
(
きやうい
)
の
念
(
ねん
)
にかられて
孫公
(
まごこう
)
の
口辺
(
くちばた
)
ばかりを
見詰
(
みつ
)
めて
居
(
ゐ
)
ると、
109
孫公
(
まごこう
)
の
口
(
くち
)
は
三十二
(
さんじふに
)
枚
(
まい
)
の
歯
(
は
)
迄
(
まで
)
露出
(
ろしゆつ
)
して
了
(
しま
)
つて、
110
暫
(
しばら
)
くすると
蟇蛙
(
ひきがへる
)
が
蚊
(
か
)
を
吸
(
す
)
ふ
調子
(
てうし
)
で、
111
上下
(
じやうげ
)
の
唇
(
くちびる
)
をパクパクと
動
(
うご
)
かした
機
(
はづ
)
みに
上下
(
じやうげ
)
の
歯
(
は
)
がカツンカツンと
打
(
うち
)
あふ
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
112
黒姫
(
くろひめ
)
はツト
傍
(
かたはら
)
に
寄
(
よ
)
つて、
113
黒姫
『コレ
孫公
(
まごこう
)
、
114
喜
(
よろこ
)
びなさい、
115
黒姫
(
くろひめ
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
のお
蔭
(
かげ
)
で、
116
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
たお
前
(
まへ
)
が
甦
(
よみがへ
)
つたのだよ。
117
これからは
黒姫
(
くろひめ
)
に
対
(
たい
)
しては、
118
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
のやうな
傲慢
(
がうまん
)
の
態度
(
たいど
)
をあらためなさいや』
119
房公
(
ふさこう
)
『これ
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
120
鎮魂
(
ちんこん
)
したのは
私
(
わたし
)
ですよ。
121
お
前
(
まへ
)
さまは
孫公
(
まごこう
)
が
死
(
し
)
ぬのは
天罰
(
てんばつ
)
だ、
122
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
けなさつたのだと、
123
さんざん
理屈
(
りくつ
)
を
云
(
い
)
つたぢやありませぬか』
124
黒姫
(
くろひめ
)
『お
前
(
まへ
)
が
鎮魂
(
ちんこん
)
しても、
125
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
の
神力
(
しんりき
)
がお
前
(
まへ
)
に
憑
(
うつ
)
つたのだから、
126
孫公
(
まごこう
)
が
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
いたのだよ。
127
きつと
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
神力
(
しんりき
)
によつて
甦
(
よみがへ
)
らせるだけの
確信
(
かくしん
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たから、
128
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として
冷静
(
れいせい
)
に
構
(
かま
)
へて
居
(
ゐ
)
たのだ。
129
覚
(
おぼ
)
え
無
(
な
)
くして
宣伝使
(
せんでんし
)
が
勤
(
つと
)
まりますか、
130
何事
(
なにごと
)
も
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にさされて
居
(
ゐ
)
るのだ。
131
房公
(
ふさこう
)
、
132
お
前
(
まへ
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
で
直
(
なほ
)
つたと
思
(
おも
)
つたら
了見
(
りやうけん
)
が
違
(
ちが
)
ひますぞえ。
133
皆
(
みな
)
黒姫
(
くろひめ
)
の
余徳
(
よとく
)
だから、
134
皆
(
みな
)
慢心
(
まんしん
)
をしたり、
135
黒姫
(
くろひめ
)
より
私
(
わたし
)
は
偉
(
えら
)
い、
136
鎮魂
(
ちんこん
)
がよく
利
(
き
)
くなどと
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
はなりませぬぞえ』
137
房公
(
ふさこう
)
『まるで
高姫
(
たかひめ
)
のやうな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ
婆
(
ば
)
アさまだなア。
138
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
人
(
ひと
)
に
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
つて
置
(
お
)
き
乍
(
なが
)
ら、
139
いつも
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
がお
前
(
まへ
)
を
使
(
つか
)
うて
助
(
たす
)
けさしてやつたのだ、
140
お
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しなさい……なんて、
141
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
の
難船
(
なんせん
)
の
時
(
とき
)
にも
救
(
すく
)
うて
呉
(
く
)
れた
玉能姫
(
たまのひめ
)
にお
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
はせたと
云
(
い
)
ふ
筆法
(
ひつぱふ
)
だな。
142
矢張
(
やつぱ
)
り
高姫
(
たかひめ
)
仕込
(
じこみ
)
だけあつて、
143
負惜
(
まけをし
)
みの
強
(
つよ
)
い
事
(
こと
)
は
天下
(
てんか
)
一品
(
いつぴん
)
だ、
144
アハヽヽヽ。
145
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つて
雄鳥
(
をんどり
)
に
離
(
はな
)
れると
矢張
(
やつぱ
)
り
根性
(
こんじやう
)
が
拗
(
ねぢ
)
けると
見
(
み
)
える。
146
高姫
(
たかひめ
)
だつて
適当
(
てきたう
)
なハズバンドさへあれば、
147
あんなに
拗
(
ねぢ
)
けるのぢや
無
(
な
)
からうに、
148
人間
(
にんげん
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は、
149
どうしても
異性
(
いせい
)
が
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
ないと
妙
(
めう
)
な
心
(
こころ
)
になるものだ。
150
黒姫
(
くろひめ
)
さまを
改心
(
かいしん
)
させるには、
151
どうしても
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまの
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せてあげなければなりますまい。
152
俺
(
おれ
)
だつてお
鉄
(
てつ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
る
迄
(
まで
)
は、
153
どうしたつて
心
(
こころ
)
がをさまらぬからなア、
154
アハヽヽヽ』
155
黒姫
(
くろひめ
)
『あまり
口
(
くち
)
が
過
(
す
)
ぎると
又
(
また
)
孫公
(
まごこう
)
のやうな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
ひますぞや』
156
芳公
(
よしこう
)
『
孫公
(
まごこう
)
のやうな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
つたつて
構
(
かま
)
はぬぢやないか。
157
お
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
がヤツサモツサ
騒
(
さわ
)
いで
居
(
ゐ
)
る
間
(
うち
)
に
平気
(
へいき
)
の
平左
(
へいざ
)
で
幽冥界
(
いうめいかい
)
の
探険
(
たんけん
)
をなし、
158
平気
(
へいき
)
の
平左
(
へいざ
)
で
甦
(
よみがへ
)
つたぢやないか。
159
俺
(
おれ
)
だつてあんな
死
(
し
)
にやうなら
何度
(
なんど
)
もして
見
(
み
)
たいわ』
160
黒姫
(
くろひめ
)
『
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
りますぞや。
161
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
心
(
こころ
)
を
直
(
なほ
)
しなさい。
162
改心
(
かいしん
)
が
一等
(
いつとう
)
だと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
りますぞえ』
163
芳公
(
よしこう
)
『
改心
(
かいしん
)
しきつたものが
改心
(
かいしん
)
せよと
云
(
い
)
つたつて、
164
改心
(
かいしん
)
の
余地
(
よち
)
が
無
(
な
)
いぢやないか、
165
オホヽヽヽ』
166
黒姫
(
くろひめ
)
『これ
芳公
(
よしこう
)
、
167
お
前
(
まへ
)
は
又
(
また
)
私
(
わたし
)
の
真似
(
まね
)
をして
嘲弄
(
からか
)
ふのだな』
168
芳公
(
よしこう
)
『あまり
好
(
よ
)
う
流行
(
はや
)
る
豆腐屋
(
とうふや
)
で、
169
豆腐
(
とうふ
)
が
切
(
き
)
れたから
仕方
(
しかた
)
なしにカラ
買
(
か
)
ふのだよ。
170
オホヽヽヽ』
171
孫公
(
まごこう
)
は
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
みそろそろ
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
した。
172
孫公
(
まごこう
)
『アヽヽヽヽ』
173
黒姫
(
くろひめ
)
『これこれ
孫公
(
まごこう
)
、
174
筑紫
(
つくし
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
は
此処
(
ここ
)
ぢや
御座
(
ござ
)
りませぬぞえ。
175
小島別
(
こじまわけ
)
の
昔
(
むかし
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
176
そんな……アヽヽヽヽなぞと
云
(
い
)
うと、
177
悪
(
あく
)
の
性来
(
しやうらい
)
が
現
(
あら
)
はれてアフンとする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますぞえ、
178
ちつと
確
(
しつか
)
りなさらぬかえ』
179
孫公
(
まごこう
)
『アハヽヽヽヽ、
180
オホヽヽヽヽ、
181
ウフヽヽヽヽ、
182
エヘヽヽヽヽ、
183
イヒヽヽヽヽ』
184
黒姫
(
くろひめ
)
『
又
(
また
)
しても、
185
曲津
(
まがつ
)
がつきよつたかな。
186
どれどれ
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
神力
(
しんりき
)
によつて
退散
(
たいさん
)
さして
見
(
み
)
ませう』
187
と
云
(
い
)
ひつつ
青草
(
あをくさ
)
の
上
(
うへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
188
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
皺枯
(
しわが
)
れた
声
(
こゑ
)
で
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
始
(
はじ
)
めた。
189
孫公
(
まごこう
)
は
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
いて
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
190
孫公
『
ア
ハヽヽハツハ
阿呆
(
あ
はう
)
らしい
191
頭
(
あ
たま
)
の
光
(
ひか
)
つたハズバンド
192
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
後
(
あ
と
)
追
(
お
)
うて
193
烏
(
からす
)
のやうな
黒姫
(
くろひめ
)
が
194
綾
(
あ
や
)
の
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして
195
荒浪
(
あ
らなみ
)
猛
(
たけ
)
る
海原
(
うなばら
)
を
196
荒肝
(
あ
らぎも
)
放
(
はう
)
り
出
(
だ
)
し
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
197
伴
(
とも
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れ
あ
ら
悲
(
かな
)
し
198
仮令
(
たとへ
)
悪魔
(
あ
くま
)
と
云
(
い
)
はれやうが
199
遇
(
あ
)
ひたい
見
(
み
)
たいハズバンド
200
亜弗利加
(
ア
フリカ
)
国
(
こく
)
の
果
(
はて
)
までも
201
所在
(
あ
りか
)
を
探
(
さが
)
して
尋
(
たづ
)
ねあて
202
あ
りし
昔
(
むかし
)
の
物語
(
ものがたり
)
203
ア
ラサホイサを
云
(
い
)
ひ
出
(
いだ
)
し
204
飽迄
(
あ
くまで
)
初心
(
しよしん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
し
205
愛別
(
あ
いべつ
)
離苦
(
りく
)
の
悲
(
かな
)
しみを
206
相身
(
あ
ひみ
)
互
(
たがひ
)
に
語
(
かた
)
らふて
207
愛想
(
あ
いさう
)
尽
(
づか
)
しを
云
(
い
)
うて
見
(
み
)
たり
208
悋気
(
りんき
)
喧嘩
(
げんくわ
)
をして
見
(
み
)
よと
209
悪魔
(
あ
くま
)
の
霊
(
れい
)
に
あ
やつられ
210
泡
(
あ
わ
)
を
吹
(
ふ
)
くとは
知
(
し
)
らずして
211
やつて
来
(
き
)
たのは
憐
(
あ
はれ
)
なり
212
あ
ゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
213
あ
かん
恋路
(
こひぢ
)
に
迷
(
まよ
)
ふより
214
諦
(
あ
きら
)
めなされよ
黒姫
(
くろひめ
)
さま
215
亜細亜
(
ア
ジア
)
亜弗利加
(
ア
フリカ
)
欧羅巴
(
ヨーロツパ
)
216
亜米利加
(
ア
メリカ
)
国
(
こく
)
の
果
(
はて
)
迄
(
まで
)
も
217
後
(
あ
と
)
を
慕
(
した
)
うて
見
(
み
)
たところ
218
所在
(
あ
りか
)
の
知
(
し
)
れぬハズバンド
219
あ
かん
目的
(
もくてき
)
立
(
た
)
てるより
220
足
(
あ
し
)
の
爪先
(
つまさき
)
明
(
あ
)
かるいうちに
221
あ
きらめなさつて
逸早
(
いちはや
)
く
222
蜻蛉
(
あ
きつ
)
の
島
(
しま
)
に
帰
(
かへ
)
れかし
223
阿呆
(
あ
はう
)
々々
(
あはう
)
と
烏
(
からす
)
迄
(
まで
)
224
あ
すこの
杉
(
すぎ
)
で
鳴
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
る
225
相見
(
あ
ひみ
)
ての
後
(
のち
)
の
心
(
こころ
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
226
遇
(
あ
)
はぬ
昔
(
むかし
)
がましだつた
227
あ
ゝあゝこんな
事
(
こと
)
なれば
228
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱ
)
り
諦
(
あ
きら
)
めて
229
綾
(
あ
や
)
の
聖地
(
せいち
)
におとなしく
230
朝
(
あ
さ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
231
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
つたがよかつたに
232
あ
ゝあゝ
何
(
なん
)
と
詮方
(
せんかた
)
も
233
泣
(
な
)
く
泣
(
な
)
く
帰
(
かへ
)
る
呆
(
あ
き
)
れ
顔
(
がほ
)
234
あ
こがれ
慕
(
した
)
ふハズバンド
235
頭
(
あ
たま
)
の
長
(
なが
)
い
福禄寿
(
げほう
)
さま
236
蜻蛉
(
あ
きつ
)
の
島
(
しま
)
に
御座
(
ござ
)
るぞや
237
蟹
(
かに
)
のやうなる
泡
(
あ
わ
)
吹
(
ふ
)
いて
238
あ
らぬ
夫
(
をつと
)
を
探
(
さが
)
すより
239
早
(
はや
)
く
諦
(
あ
きら
)
め
帰
(
い
)
ぬがよい
240
ア
ハヽヽハツハ アハヽヽハー
241
呆
(
あ
き
)
れはてたる
次第
(
しだい
)
なり
242
あ
ゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
243
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
244
黒姫
(
くろひめ
)
はツト
傍
(
そば
)
により、
245
黒姫
『いづれの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
憑
(
かか
)
りか
知
(
し
)
りませぬが、
246
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はれば
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
蜻蛉島
(
あきつしま
)
に
居
(
ゐ
)
る、
247
此
(
この
)
亜弗利加
(
アフリカ
)
には
居
(
ゐ
)
ないと
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
248
それは
本当
(
ほんたう
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
249
孫公
(
まごこう
)
に
憑
(
かか
)
つた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
250
どうぞ
黒姫
(
くろひめ
)
の
一身
(
いつしん
)
上
(
じやう
)
にかかつた
大問題
(
だいもんだい
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
251
好
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はずと
ハツキリ
と
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
252
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
ればアヽヽヽアと
アア
尽
(
づく
)
しで
仰有
(
おつしや
)
つたが、
253
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
うて
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
をちよろまかし、
254
アフンとさせむとする
悪
(
わる
)
い
企
(
たく
)
みぢやあるまいかな。
255
飽
(
あ
)
きも
飽
(
あ
)
かれもせぬ
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまの
行方
(
ゆくへ
)
、
256
どうぞ
明
(
あきら
)
かに
知
(
し
)
らして
下
(
くだ
)
さい』
257
孫公
(
まごこう
)
『
イ
ヒヽヽヒツヒ イヒヽヽヽ
258
い
つ
迄
(
まで
)
尋
(
たづ
)
ねて
見
(
み
)
たとこが
259
命
(
い
のち
)
に
替
(
か
)
へたハズバンド
260
居所
(
ゐ
どころ
)
分
(
わか
)
る
筈
(
はず
)
はない
261
色々
(
い
ろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
とイチヤついた
262
往
(
い
)
とし
昔
(
むかし
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し
263
色
(
い
ろ
)
に
迷
(
まよ
)
ふた
黒姫
(
くろひめ
)
さま
264
い
かに
心配
(
しんぱい
)
遊
(
あそ
)
ばして
265
色
(
い
ろ
)
迄
(
まで
)
青
(
あを
)
うなつて
来
(
き
)
た
266
異国
(
い
こく
)
の
果
(
は
)
てを
探
(
さが
)
しても
267
居
(
ゐ
)
ない
男
(
をとこ
)
は
居
(
ゐ
)
はせぬぞ
268
意外
(
い
ぐわい
)
も
意外
(
いぐわい
)
も
大意外
(
おほいぐわい
)
269
命
(
い
のち
)
に
替
(
か
)
へた
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまは
270
伊勢屋
(
い
せや
)
の
娘
(
むすめ
)
の
虎
(
とら
)
さまと
271
意茶
(
い
ちや
)
つき
廻
(
まは
)
つて
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
み
272
意気
(
い
き
)
揚々
(
やうやう
)
と
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
は
273
石
(
い
し
)
の
肴
(
さかな
)
を
前
(
まへ
)
に
据
(
す
)
ゑ
274
固
(
かた
)
い
約束
(
やくそく
)
岩
(
い
は
)
の
判
(
はん
)
275
石
(
い
し
)
に
証文
(
しようもん
)
書
(
か
)
き
並
(
なら
)
べ
276
い
よいよ
真
(
まこと
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
ぞと
277
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
楽
(
たのし
)
んで
278
意茶
(
い
ちや
)
つき
暮
(
くら
)
す
面白
(
おもしろ
)
さ
279
伊勢
(
い
せ
)
の
鮑
(
あはび
)
の
片思
(
かたおも
)
ひ
280
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
が
探
(
さが
)
すとも
281
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
に
282
唯
(
ただ
)
の
一度
(
い
ちど
)
も
遇
(
あ
)
うてはくれぬ
283
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
284
叶
(
かな
)
はぬならば
逸早
(
い
ちはや
)
く
285
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
286
意茶
(
い
ちや
)
つき
暮
(
く
)
らす
両人
(
りやうにん
)
の
287
生首
(
い
きくび
)
ぬいてやらしやんせ
288
ウフヽヽフツフ ウフヽヽヽ』
289
黒姫
(
くろひめ
)
『これ
孫公
(
まごこう
)
、
290
私
(
わたし
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするのかい。
291
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さい。
292
これ
程
(
ほど
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
ゐ
)
るのに、
293
ウフヽヽヽとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい。
294
大方
(
おほかた
)
お
前
(
まへ
)
は
此
(
こ
)
の
二人
(
ふたり
)
の
代物
(
しろもの
)
と
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
295
死真似
(
しにまね
)
をしたのであらう。
296
ほんにほんに
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
代物
(
しろもの
)
だなア』
297
(
大正一一・九・一二
旧七・二一
加藤明子
録)
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