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第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
01 筑紫上陸
〔942〕
02 孫甦
〔943〕
03 障文句
〔944〕
04 歌垣
〔945〕
05 対歌
〔946〕
06 蜂の巣
〔947〕
07 無花果
〔948〕
08 暴風雨
〔949〕
第2篇 有情無情
09 玉の黒点
〔950〕
10 空縁
〔951〕
11 富士咲
〔952〕
12 漆山
〔953〕
13 行進歌
〔954〕
14 落胆
〔955〕
15 手長猿
〔956〕
16 楽天主義
〔957〕
第3篇 峠の達引
17 向日峠
〔958〕
18 三人塚
〔959〕
19 生命の親
〔960〕
20 玉卜
〔961〕
21 神護
〔962〕
22 蛙の口
〔963〕
23 動静
〔964〕
余白歌
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> 第3篇 峠の達引 > 第17章 向日峠
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第一七章
向日
(
むかふ
)
峠
(
たうげ
)
〔九五八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第3篇 峠の達引
よみ(新仮名遣い):
とうげのたてひき
章:
第17章 向日峠
よみ(新仮名遣い):
むこうとうげ
通し章番号:
958
口述日:
1922(大正11)年09月14日(旧07月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
向日峠の山麓の深い森の中で、数十人の荒男たちが二人の縛られた女を声高にののしっている。建日の村の侠客・虎公の女房のお愛と、その妹のお梅が捕えられていたのであった。
お愛は火の国の侠客・大蛇の三公に懸想され、さらわれて無理談判をされているところであった。
お愛は侠客の妻だけあって、三公の脅しにもまったく気おくれせず、縛られながらも三公をののしり、あくまで虎公への操を貫いて死ぬ覚悟である。
その様子に三公の子分・兼公は感心し、自分はお愛の子分になろうと言いだす。三公は怒って、お愛とお梅と共に、兼公も殺してしまうべく縛り上げてしまった。
闇にまぎれてお梅は自分の縄を解いてしまったが、誰も気が付いていなかった。三公は縛られた三人を打ちのめすように命令した。子分たちは三人に打ってかかる。そのとき、森の中に宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-18 10:35:29
OBC :
rm3417
愛善世界社版:
217頁
八幡書店版:
第6輯 440頁
修補版:
校定版:
227頁
普及版:
93頁
初版:
ページ備考:
001
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
、
002
樟樹
(
しやうじゆ
)
鬱蒼
(
うつさう
)
として
空
(
そら
)
を
封
(
ふう
)
じた
森
(
もり
)
の
下
(
した
)
に
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
、
003
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
を
荒縄
(
あらなは
)
にて
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
004
何事
(
なにごと
)
か
声高
(
こはだか
)
に
罵
(
ののし
)
つてゐる。
005
其
(
その
)
中
(
なか
)
の
大将
(
たいしやう
)
と
覚
(
おぼ
)
しき
男
(
をとこ
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
と
云
(
い
)
つて、
006
此
(
この
)
界隈
(
かいわい
)
での
無頼漢
(
ならずもの
)
である。
007
さうして
兼公
(
かねこう
)
、
008
与三公
(
よさこう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
三公
(
さんこう
)
の
股肱
(
ここう
)
と
頼
(
たの
)
む
手下
(
てした
)
の
悪者
(
わるもの
)
である。
009
三公
(
さんこう
)
は
森
(
もり
)
の
下
(
した
)
の
巨大
(
きよだい
)
なる
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
跨
(
またが
)
つて
冷
(
ひや
)
やかに
二人
(
ふたり
)
の
女
(
をんな
)
を
見
(
み
)
おろしてゐる。
010
兼公
(
かねこう
)
『オイ
女
(
をんな
)
、
011
モウ
斯
(
こ
)
うなつては、
012
何程
(
なにほど
)
藻掻
(
もが
)
いても
叶
(
かな
)
ふまい。
013
サア
茲
(
ここ
)
でウンと
首
(
くび
)
を
縦
(
たて
)
に
振
(
ふ
)
るか。
014
すつた
揉
(
も
)
んだと
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
屁理屈
(
へりくつ
)
を
吐
(
ぬか
)
しや、
015
モウ
了見
(
れうけん
)
はならぬ。
016
此
(
この
)
兼公
(
かねこう
)
が
親分
(
おやぶん
)
に
成
(
な
)
り
代
(
かは
)
り、
017
叩
(
たた
)
き
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
ふが、
018
それでも
良
(
い
)
いか』
019
女
(
をんな
)
『えゝ
汚
(
けが
)
らはしい、
020
仮令
(
たとへ
)
三公
(
さんこう
)
に
叩
(
たた
)
き
殺
(
ころ
)
されても、
021
女
(
をんな
)
の
操
(
みさを
)
は
何処迄
(
どこまで
)
も
外
(
はづ
)
しませぬ。
022
一層
(
いつそう
)
のこと、
023
早
(
はや
)
く
一思
(
ひとおも
)
ひに
殺
(
ころ
)
しなさいよ』
024
与三
(
よさ
)
『コレコレお
愛
(
あい
)
さま、
025
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
なさい。
026
命
(
いのち
)
あつての
物種
(
ものだね
)
だ。
027
そんな
事
(
こと
)
言
(
い
)
はずに、
028
ウンと
色好
(
いろよ
)
い
返事
(
へんじ
)
をしなさつた
方
(
はう
)
が、
029
お
前
(
まへ
)
の
将来
(
しやうらい
)
の
為
(
ため
)
だ。
030
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
に
驍名
(
げうめい
)
隠
(
かく
)
れなき
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
さまと
云
(
い
)
つたら、
031
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いても
獅子
(
しし
)
狼
(
おほかみ
)
虎
(
とら
)
までが、
032
尾
(
を
)
を
巻
(
ま
)
いて
細
(
ほそ
)
くなつて
逃
(
に
)
げると
云
(
い
)
ふ
威勢
(
ゐせい
)
の
高
(
たか
)
い、
033
白浪
(
しらなみ
)
男
(
をとこ
)
だ。
034
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
さまが、
035
虎公
(
とらこう
)
さまに
操立
(
みさをだ
)
てをした
所
(
ところ
)
で、
036
あんな
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
三五教
(
あななひけう
)
にトチ
呆
(
はう
)
けて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
な
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
が
何
(
なに
)
になるものか。
037
チツと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あて
)
て、
038
利害
(
りがい
)
得失
(
とくしつ
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
なさい。
039
三公
(
さんこう
)
の
奥
(
おく
)
さまになれば、
040
それこそ
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
だ。
041
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
も
姉貴
(
あねき
)
々々
(
あねき
)
と
敬
(
うやま
)
つて、
042
どんなことでも
御用
(
ごよう
)
を
聞
(
き
)
きます。
043
ここが
思案
(
しあん
)
の
決
(
き
)
め
所
(
どころ
)
だ。
044
お
前
(
まへ
)
は
今
(
いま
)
逆上
(
ぎやくじやう
)
して
居
(
を
)
るから、
045
是非
(
ぜひ
)
善悪
(
ぜんあく
)
の
判断
(
はんだん
)
が
付
(
つ
)
こまいが、
046
能
(
よ
)
く
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
考
(
かんが
)
へなさい』
047
お
愛
(
あい
)
『イエイエ
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さつても、
048
一旦
(
いつたん
)
虎公
(
とらこう
)
さまと
約束
(
やくそく
)
を
結
(
むす
)
んだ
以上
(
いじやう
)
は、
049
そんな
事
(
こと
)
が
如何
(
どう
)
して
出来
(
でき
)
ませうか。
050
仮令
(
たとへ
)
殺
(
ころ
)
されても
操
(
みさを
)
を
破
(
やぶ
)
つたと
云
(
い
)
はれては、
051
先祖
(
せんぞ
)
の
名折
(
なを
)
れ、
052
子孫
(
しそん
)
代々
(
だいだい
)
に
至
(
いた
)
るまで、
053
恥
(
はぢ
)
を
晒
(
さら
)
さねばなりませぬ。
054
世間
(
せけん
)
の
人
(
ひと
)
には
不貞
(
ふてい
)
くされ
女
(
をんな
)
だと
罵
(
ののし
)
られ、
055
恥
(
はぢ
)
をかかねばなりませぬ。
056
最早
(
もはや
)
今日
(
こんにち
)
となつては、
057
私
(
わたくし
)
の
決心
(
けつしん
)
は
如何
(
いか
)
なる
権威
(
けんゐ
)
も
金力
(
きんりよく
)
も
動
(
うご
)
かすことは
出来
(
でき
)
ませぬ。
058
どうぞそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はずに、
059
私
(
わたし
)
を
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい』
060
与三
(
よさ
)
『ハテさて
悪
(
わる
)
い
御
(
ご
)
了見
(
れうけん
)
だ。
061
お
前
(
まへ
)
の
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
ふ
虎公
(
とらこう
)
は、
062
建日
(
たけひ
)
の
村
(
むら
)
の
玉公
(
たまこう
)
とやらに
連
(
つ
)
れられて、
063
無花果
(
いちじゆく
)
を
取
(
と
)
りに
行
(
ゆ
)
くとか、
064
水晶玉
(
すいしやうだま
)
が
曇
(
くも
)
つて
黒姫
(
くろひめ
)
が
如何
(
どう
)
だとか、
065
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬことを
吐
(
ほ
)
ざきやがつて、
066
高山峠
(
たかやまたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
へ
行
(
ゆ
)
きよつた。
067
それを
嗅
(
か
)
ぎつけ、
068
三公
(
さんこう
)
親分
(
おやぶん
)
の
手下
(
てした
)
が
五六十
(
ごろくじふ
)
人
(
にん
)
、
069
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて、
070
虎公
(
とらこう
)
の
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
ると
云
(
い
)
つて
往
(
い
)
つたのだから、
071
モウ
今頃
(
いまごろ
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら、
072
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をしてゐる
時分
(
じぶん
)
だ。
073
何程
(
なにほど
)
お
愛
(
あい
)
さま、
074
〇〇が
肝腎
(
かんじん
)
だと
云
(
い
)
つても、
075
生命
(
いのち
)
のない
男
(
をとこ
)
を
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
つた
所
(
ところ
)
が、
076
仕方
(
しかた
)
がねえぢやないか。
077
人
(
ひと
)
は
諦
(
あきら
)
めが
大切
(
たいせつ
)
だ。
078
男
(
をとこ
)
は
決
(
けつ
)
して
虎公
(
とらこう
)
計
(
ばか
)
りぢやない。
079
お
前
(
まへ
)
の
身
(
み
)
の
出世
(
しゆつせ
)
になることだから、
080
私
(
わたし
)
が
斯
(
こ
)
うして
忠告
(
ちうこく
)
をするのだ』
081
お
愛
(
あい
)
『エヽ
何
(
なん
)
と、
082
三公
(
さんこう
)
の
乾児
(
こぶん
)
共
(
ども
)
があの
虎公
(
とらこう
)
さまを
殺
(
ころ
)
しに
行
(
い
)
つたとは、
083
ソラ
本当
(
ほんたう
)
で
御座
(
ござ
)
いますか。
084
エヽ
残念
(
ざんねん
)
や、
085
口惜
(
くちをし
)
い、
086
仮令
(
たとへ
)
女
(
をんな
)
の
細腕
(
ほそうで
)
なりとて、
087
仇
(
かたき
)
をうたいでおくものか、
088
コレ
三公
(
さんこう
)
、
089
女
(
をんな
)
の
一念
(
いちねん
)
思
(
おも
)
ひ
知
(
し
)
つたがよからう』
090
と
身
(
み
)
を
藻
(
も
)
がけ
共
(
ども
)
、
091
がんじがらみに
縛
(
しば
)
られた
其
(
その
)
体
(
からだ
)
、
092
何
(
ど
)
うすることも
出来
(
でき
)
ないのに、
093
無念
(
むねん
)
の
歯
(
は
)
を
喰
(
く
)
ひしばり、
094
恨
(
うら
)
み
涙
(
なみだ
)
をタラタラと
落
(
おと
)
し
乍
(
なが
)
ら、
095
三公
(
さんこう
)
の
顔
(
かほ
)
を
睨
(
ね
)
めつけてゐる。
096
三公
(
さんこう
)
は
冷
(
ひや
)
やかに
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
097
三公
(
さんこう
)
『アハヽヽヽ、
098
テもいぢらしいものだなア、
099
オイお
愛
(
あい
)
、
100
よつく
聞
(
き
)
け。
101
貴様
(
きさま
)
は
何時
(
いつ
)
ぞやの
夕
(
ゆふ
)
べ、
102
俺
(
おれ
)
が
貴様
(
きさま
)
に
出会
(
であ
)
つて、
103
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
女房
(
にようばう
)
になる
気
(
き
)
はないかと
云
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
104
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ひよつた……
不束
(
ふつつ
)
かな
此
(
この
)
私
(
わたし
)
、
105
それ
程
(
ほど
)
までに
思
(
おも
)
うて
下
(
くだ
)
さいますか、
106
女冥加
(
をんなみやうが
)
につきまする。
107
乍併
(
しかしながら
)
、
108
私
(
わたし
)
には
両親
(
りやうしん
)
が
御座
(
ござ
)
いますから、
109
トツクリと
相談
(
さうだん
)
を
致
(
いた
)
しまして
御
(
ご
)
返辞
(
へんじ
)
をする
迄
(
まで
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい……と
吐
(
ぬか
)
したぢやないか。
110
其
(
その
)
とき
厭応
(
いやおう
)
言
(
い
)
はさず
手
(
て
)
ごめにするのは、
111
いと
易
(
やす
)
い
事
(
こと
)
だつたが、
112
お
前
(
まへ
)
の
人格
(
じんかく
)
を
重
(
おも
)
んじて、
113
俺
(
おれ
)
も
一旦
(
いつたん
)
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
した
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
下
(
さ
)
げるとは
知
(
し
)
り
乍
(
なが
)
ら、
114
辛抱
(
しんばう
)
して
待
(
ま
)
つてゐたのだ。
115
さうした
所
(
ところ
)
が、
116
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つても
二
(
に
)
年
(
ねん
)
経
(
た
)
つても
何
(
なん
)
とか
彼
(
か
)
とか
云
(
い
)
つて、
117
此
(
この
)
方
(
はう
)
をチヨロまかし、
118
到頭
(
たうとう
)
虎公
(
とらこう
)
の
野郎
(
やらう
)
が
所
(
とこ
)
へ
嫁入
(
よめいり
)
をしやがつた。
119
憎
(
につく
)
き
代物
(
しろもの
)
だ。
120
モウ
斯
(
こ
)
うならば
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
だ。
121
貴様
(
きさま
)
が
虎公
(
とらこう
)
の
奴
(
やつ
)
へ
行
(
い
)
つてから、
122
最早
(
もはや
)
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
にもなるだらう。
123
俺
(
おれ
)
が
貴様
(
きさま
)
に
懸想
(
けさう
)
してから、
124
今年
(
ことし
)
で
早
(
はや
)
五
(
ご
)
年
(
ねん
)
、
125
未
(
ま
)
だ
独身
(
どくしん
)
生活
(
せいくわつ
)
をしてをるのも、
126
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
だと
思
(
おも
)
ふ。
127
チツとは
俺
(
おれ
)
の
心
(
こころ
)
も
推量
(
すゐりやう
)
したら
如何
(
どう
)
だ、
128
片意地
(
かたいぢ
)
張
(
は
)
る
計
(
ばか
)
りが
女
(
をんな
)
の
能
(
のう
)
ではあるまいぞ』
129
お
愛
(
あい
)
『エー、
130
アタ
厭
(
いや
)
らしい。
131
大蛇
(
をろち
)
の
如
(
や
)
うな
無頼漢
(
ならずもの
)
の
三公
(
さんこう
)
に、
132
誰
(
たれ
)
が、
133
女
(
をんな
)
が
相手
(
あひて
)
になる
者
(
もの
)
がありますか。
134
至
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
でゲヂゲヂのやうに
嫌
(
きら
)
はれ、
135
女房
(
にようばう
)
になる
者
(
もの
)
がないので、
136
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
独身
(
どくしん
)
生活
(
せいくわつ
)
をしてゐる
癖
(
くせ
)
に、
137
ようマアそんな
事
(
こと
)
が、
138
白々
(
しらじら
)
しい、
139
言
(
い
)
はれたものだ。
140
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
身
(
み
)
は
殺
(
ころ
)
されて、
141
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
を
烏
(
からす
)
にコツかしても、
142
三公
(
さんこう
)
の
様
(
やう
)
な
嫌
(
きら
)
ひな
男
(
をとこ
)
に、
143
指一本
(
ゆびいつぽん
)
触
(
さ
)
へさしてなるものか。
144
いい
加減
(
かげん
)
に
諦
(
あきら
)
めて、
145
舌
(
した
)
でも
咬
(
か
)
んで
死
(
し
)
んだが
宜
(
よ
)
からう。
146
エヽお
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
から
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
迄
(
まで
)
、
147
気分
(
きぶん
)
の
悪
(
わる
)
い
香
(
にほひ
)
がする』
148
と
捨鉢
(
すてばち
)
気味
(
ぎみ
)
の
生命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずに、
149
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
てる。
150
三公
(
さんこう
)
は
怒髪天
(
どはつてん
)
をつき、
151
岩
(
いは
)
を
下
(
お
)
り
来
(
きた
)
り、
152
お
愛
(
あい
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ちはだかり、
153
蠑螺
(
さざえ
)
の
様
(
やう
)
な
拳骨
(
げんこつ
)
をグツと
固
(
かた
)
めて
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
突出
(
つきだ
)
し、
154
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つクルリクルリと
上下
(
うへした
)
に
廻転
(
くわいてん
)
させ
乍
(
なが
)
ら、
155
三公
(
さんこう
)
『オイお
愛
(
あい
)
、
156
是
(
これ
)
は
何
(
なん
)
だと
思
(
おも
)
つてゐるか、
157
中
(
なか
)
まで
骨
(
ほね
)
だぞ。
158
鉄
(
てつ
)
よりも
固
(
かた
)
い
此
(
この
)
鬼
(
おに
)
の
蕨
(
わらび
)
が
貴様
(
きさま
)
の
脳天
(
なうてん
)
へ、
159
一
(
ひと
)
つ
御
(
お
)
見舞
(
みまひ
)
申
(
まを
)
すが
最後
(
さいご
)
、
160
脆
(
もろ
)
くも
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
、
161
死出
(
しで
)
の
旅
(
たび
)
だ。
162
いい
加減
(
かげん
)
に
覚悟
(
かくご
)
を
定
(
き
)
めて、
163
好
(
よ
)
い
返辞
(
へんじ
)
をしたら
如何
(
どう
)
だ。
164
俺
(
おれ
)
だとて
万更
(
まんざら
)
木石
(
ぼくせき
)
でもない、
165
暖
(
あたたか
)
い
血
(
ち
)
もあれば
涙
(
なみだ
)
もある。
166
そちらの
出
(
で
)
やうに
依
(
よ
)
つちや、
167
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れない
親切
(
しんせつ
)
な
男
(
をとこ
)
だ。
168
そんな
我
(
が
)
を
出
(
だ
)
さずに、
169
暫
(
しばら
)
く
試
(
こころ
)
みに
俺
(
おれ
)
の
言
(
い
)
ひ
状
(
じやう
)
について
見
(
み
)
よ。
170
忽
(
たちま
)
ち
貴様
(
きさま
)
は
相好
(
さうがう
)
を
崩
(
くづ
)
し、
171
……
世
(
よ
)
の
諺
(
ことわざ
)
にも
曰
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
172
人
(
ひと
)
は
見
(
み
)
かけによらぬものだ、
173
あれ
程
(
ほど
)
恐
(
おそ
)
ろしい
嫌
(
きら
)
いな
男
(
をとこ
)
と
思
(
おも
)
ひ
込
(
こ
)
んでゐた
此
(
こ
)
の
三公
(
さんこう
)
は
何
(
なん
)
とした
親切
(
しんせつ
)
な
男
(
をとこ
)
だらう、
174
虎公
(
とらこう
)
に
比
(
くら
)
ぶれば、
175
どこともなしに
男振
(
をとこぶり
)
も
好
(
よ
)
いなり、
176
親切
(
しんせつ
)
も
深
(
ふか
)
い、
177
気甲斐性
(
きがひしやう
)
もある。
178
こんな
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
を
何故
(
なにゆゑ
)
あの
様
(
やう
)
に、
179
痩馬
(
やせうま
)
が
荷
(
に
)
を
覆
(
かへ
)
す
様
(
やう
)
に、
180
嫌
(
きら
)
うたのだらう
三公
(
さんこう
)
さま
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
みませなんだ、
181
どうぞ
末永
(
すえなが
)
う、
182
幾久
(
いくひさ
)
しく
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さい……と
云
(
い
)
つて、
183
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
にかきくれ、
184
俺
(
おれ
)
が
一足
(
ひとあし
)
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
るのも、
185
気
(
き
)
に
病
(
や
)
んで
放
(
はな
)
さない
様
(
やう
)
になつて
来
(
く
)
るのは、
186
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
る
様
(
やう
)
な
明
(
あきら
)
かな
事実
(
じじつ
)
だ。
187
なアお
愛
(
あい
)
、
188
ここは
一
(
ひと
)
つ
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
たら
如何
(
どう
)
だ』
189
とソロソロ
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
を、
190
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
柔
(
やはら
)
げて
了
(
しま
)
つてゐる。
191
お
愛
(
あい
)
『ホツホヽヽ
何
(
なん
)
とマア
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
だらう。
192
団栗眼
(
どんぐりめ
)
を
柳
(
やなぎ
)
の
葉
(
は
)
のやうに
細
(
ほそ
)
くして、
193
涎
(
よだれ
)
まで
垂
(
た
)
らして、
194
見
(
み
)
つともない、
195
そんな
屁古垂
(
へこたれ
)
男
(
をとこ
)
に
猫
(
ねこ
)
だつて、
196
鼬
(
いたち
)
だつて、
197
心中立
(
しんぢうだて
)
をする
者
(
もの
)
があつて
堪
(
たま
)
りませうか。
198
サア
早
(
はや
)
う
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
199
冥途
(
めいど
)
に
御座
(
ござ
)
る
虎公
(
とらこう
)
と、
200
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
死出
(
しで
)
の
山路
(
やまみち
)
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
、
201
お
前
(
まへ
)
のデレ
加減
(
かげん
)
を
嘲
(
あざけ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
202
極楽
(
ごくらく
)
参
(
まゐ
)
りをする
程
(
ほど
)
に、
203
サア
早
(
はや
)
く
殺
(
ころ
)
しやいのう』
204
三公
(
さんこう
)
『ハテさて
能
(
よ
)
くも
惚
(
のろ
)
けたものだなア。
205
虎公
(
とらこう
)
の
様
(
やう
)
なしみつたれ
男
(
をとこ
)
の、
206
どこが
気
(
き
)
に
容
(
い
)
つたのか、
207
合点
(
がつてん
)
のゆかぬ
事
(
こと
)
もあればあるものだなア』
208
お
愛
(
あい
)
『ホツホヽヽ
何
(
なん
)
とマア
偉
(
えら
)
い
惚
(
のろ
)
け
方
(
かた
)
だこと、
209
何程
(
なんぼ
)
お
前
(
まへ
)
が
惚
(
のろ
)
けしやんしても、
210
合縁
(
あひえん
)
奇縁
(
きえん
)
、
211
私
(
わたし
)
は
如何
(
どう
)
しても
虫
(
むし
)
が
好
(
す
)
きませぬわいな。
212
乍併
(
しかしながら
)
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
213
蓼喰
(
たでく
)
ふ
虫
(
むし
)
も
好
(
す
)
き
好
(
ず
)
きとやら、
214
苦
(
にが
)
い
煙草
(
たばこ
)
にも
喜
(
よろこ
)
んで
喰
(
く
)
ひつく
虫
(
むし
)
があるのだから、
215
お
前
(
まへ
)
も
嫌
(
きら
)
はれた
女
(
をんな
)
に、
216
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
未練
(
みれん
)
たらしい、
217
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
るよりも、
218
沢山
(
たくさん
)
の
乾児
(
こぶん
)
を
持
(
も
)
つて
御座
(
ござ
)
るのだから、
219
目
(
め
)
つかちなつと、
220
跛
(
ちんば
)
なつと、
221
鼻曲
(
はなまが
)
りなつと
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して、
222
女房
(
にようばう
)
に
持
(
も
)
たしやんせ、
223
オホヽヽヽ、
224
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
様
(
さま
)
……』
225
三公
(
さんこう
)
『コリヤお
愛
(
あい
)
、
226
黙
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
れば、
227
余
(
あま
)
りの
過言
(
くわごん
)
でないか。
228
貴様
(
きさま
)
は
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
使
(
つか
)
へと
教
(
をし
)
ふる、
229
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
ぢやないか。
230
そんな
暴言
(
ばうげん
)
を
吐
(
は
)
いても、
231
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
にはならないのか』
232
お
愛
(
あい
)
『ヘン
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れますワイ。
233
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
と
云
(
い
)
ふ
蛆虫
(
うじむし
)
こそ、
234
天則
(
てんそく
)
違反
(
ゐはん
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
だ。
235
あゝあ、
236
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
い、
237
どうぞ、
238
そつちへよつて
下
(
くだ
)
さい。
239
吐
(
あ
)
げさうになつて
来
(
き
)
ました』
240
兼公
(
かねこう
)
『コリヤ
女
(
あま
)
ツちよ、
241
柔
(
やはら
)
かく
出
(
で
)
ればつけ
上
(
あ
)
がり、
242
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
劫託
(
がふたく
)
を
吐
(
ほ
)
ざくのだ。
243
それ
程
(
ほど
)
殺
(
ころ
)
して
欲
(
ほ
)
しければ、
244
殺
(
ころ
)
してやらぬことはない。
245
乍併
(
しかしながら
)
、
246
かやうなナイスを
無残
(
むざ
)
々々
(
むざ
)
殺
(
ころ
)
すのも
勿体
(
もつたい
)
ねえ。
247
ここは
一
(
ひと
)
つ
思案
(
しあん
)
を
仕直
(
しなほ
)
して、
248
犠牲
(
ぎせい
)
になる
積
(
つも
)
りでウンと
云
(
い
)
つたら
如何
(
どう
)
だ。
249
冥途
(
めいど
)
へ
行
(
い
)
つて
虎公
(
とらこう
)
に
会
(
あ
)
ふなんて、
250
そんな
雲
(
くも
)
を
掴
(
つか
)
む
様
(
やう
)
な
望
(
のぞ
)
みを
起
(
おこ
)
すな』
251
お
愛
(
あい
)
『コレ
兼
(
かね
)
、
252
お
前
(
まへ
)
の
出
(
で
)
る
幕
(
まく
)
ぢやない、
253
スツ
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
なさい。
254
すつ
込
(
こ
)
んでゐるのが
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らねば、
255
目
(
め
)
なと
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
んだが
宜
(
よ
)
からう。
256
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
が
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
居
(
を
)
るものだから、
257
米
(
こめ
)
が
高
(
たか
)
うなる
計
(
ばか
)
りだ』
258
兼公
(
かねこう
)
『あゝあ、
259
サツパリ
駄目
(
だめ
)
だ。
260
乍併
(
しかしながら
)
、
261
こんなシヤンに、
262
仮令
(
たとへ
)
悪口
(
あつこう
)
でも
詞
(
ことば
)
をかけて
貰
(
もら
)
うたと
思
(
おも
)
へば、
263
俺
(
おれ
)
も
光栄
(
くわうえい
)
だ、
264
アハヽヽヽ』
265
お
愛
(
あい
)
『オホヽヽヽお
前
(
まへ
)
はヤツパリ
私
(
わたし
)
の
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
るのが
惜
(
を
)
しいと
見
(
み
)
える。
266
甲斐性
(
かひしやう
)
のない
男
(
をとこ
)
だなア。
267
何程
(
なにほど
)
おどしても
慊
(
すか
)
しても、
268
痩
(
やせ
)
てもこけても、
269
侠客
(
けふかく
)
の
妻
(
つま
)
、
270
こんな
事
(
こと
)
で
屁古
(
へこ
)
たれて、
271
如何
(
どう
)
して
夫
(
をつと
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
つものか。
272
これでも
内
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
れば、
273
沢山
(
たくさん
)
の
乾児
(
こぶん
)
に、
274
かしづかれ、
275
姉貴
(
あねき
)
々々
(
あねき
)
と
敬
(
うやま
)
はれる
姐御
(
ねえ
)
さまだ。
276
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
痩犬
(
やせいぬ
)
に
吠
(
ほ
)
えつかれて、
277
ビクつくやうな
事
(
こと
)
で、
278
侠客
(
けふかく
)
の
女房
(
にようばう
)
にはなれませぬぞや、
279
オホヽヽヽ。
280
あの
兼公
(
かねこう
)
の
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
わいのう』
281
兼公
(
かねこう
)
『
何
(
なん
)
と
剛情
(
がうじやう
)
な
姐貴
(
あねき
)
だなア。
282
これ
丈
(
だけ
)
身動
(
みうご
)
きもならぬ
様
(
やう
)
に
縛
(
いまし
)
められ、
283
活殺
(
くわつさつ
)
自在
(
じざい
)
の
権
(
けん
)
を
握
(
にぎ
)
られた
敵
(
てき
)
の
前
(
まへ
)
で、
284
これ
丈
(
だけ
)
の
劫託
(
がふたく
)
を
並
(
なら
)
べるとは、
285
太
(
ふて
)
え
度胸
(
どきよう
)
だ。
286
姐貴
(
あねき
)
、
287
俺
(
おれ
)
も
感心
(
かんしん
)
した。
288
虎公
(
とらこう
)
が
惚
(
ほ
)
れたのも
無理
(
むり
)
ではあるまい。
289
俺
(
おれ
)
も
今日
(
けふ
)
から
姐貴
(
あねき
)
の
乾児
(
こぶん
)
になるワ』
290
与三
(
よさ
)
『オイ
兼公
(
かねこう
)
、
291
ソリヤ
貴様
(
きさま
)
、
292
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
293
親分
(
おやぶん
)
の
前
(
まへ
)
ぢやないか。
294
そんなこと
吐
(
ぬか
)
すと、
295
貴様
(
きさま
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
殺
(
たた
)
んでやらうか』
296
兼公
(
かねこう
)
『ヘン、
297
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだい、
298
早
(
はや
)
く
殺
(
たた
)
んで
欲
(
ほ
)
しいワイ。
299
こんな
美
(
うつく
)
しいシヤンと
一緒
(
いつしよ
)
に
心中
(
しんぢう
)
するのなら、
300
大光栄
(
だいくわうえい
)
だ。
301
早
(
はや
)
う
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
叩
(
たた
)
き
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
へ、
302
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
一
(
ひと
)
つ
頼
(
たの
)
んでおくことがある。
303
同
(
おな
)
じ
穴
(
あな
)
に
向
(
むか
)
ひ
合
(
あは
)
せにして
埋
(
い
)
けてくれ。
304
それ
丈
(
だけ
)
が
俺
(
おれ
)
の
頼
(
たの
)
みだ』
305
お
愛
(
あい
)
『ホツホヽヽ、
306
好
(
す
)
かんたらしい。
307
誰
(
たれ
)
がお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
埋
(
い
)
けられて
堪
(
たま
)
りますかい。
308
冥途
(
めいど
)
へ
往
(
い
)
つて
迄
(
まで
)
、
309
つきまとはれては、
310
夫
(
をつと
)
の
虎公
(
とらこう
)
にどんなに
怒
(
おこ
)
られるか
知
(
し
)
れませぬわいな。
311
お
前
(
まへ
)
は
勝手
(
かつて
)
に
殺
(
ころ
)
されなされ。
312
私
(
わたし
)
にチツとも
関係
(
くわんけい
)
はありませぬから……』
313
兼公
(
かねこう
)
『エヽ
口
(
くち
)
の
悪
(
わる
)
い
女
(
をんな
)
だなア。
314
人
(
ひと
)
には
添
(
そ
)
うて
見
(
み
)
い、
315
馬
(
うま
)
には
乗
(
の
)
つて
見
(
み
)
いだ。
316
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
が
此
(
この
)
兼公
(
かねこう
)
をゲヂゲヂの
様
(
やう
)
に
嫌
(
きら
)
つてゐるが、
317
冥途
(
めいど
)
へ
行
(
い
)
つて
死出
(
しで
)
の
道伴
(
みちづ
)
れをするやうになつてから
思
(
おも
)
ひ
当
(
あた
)
るだらう。
318
人
(
ひと
)
は
見
(
み
)
かけによらぬものだ、
319
こんな
男
(
をとこ
)
と
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をするのなら、
320
仮令
(
たとへ
)
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
のドン
底
(
ぞこ
)
まで……と
云
(
い
)
つて、
321
くつついて
離
(
はな
)
れない
様
(
やう
)
になりますぞや』
322
お
愛
(
あい
)
『オツホヽヽ、
323
三公
(
さんこう
)
の
受売
(
うけうり
)
をしても、
324
流行
(
はや
)
りませぬぞや。
325
エヽ
汚
(
けが
)
らはしい、
326
其方
(
そつち
)
へ
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
327
気持
(
きもち
)
の
悪
(
わる
)
い
匂
(
にほひ
)
のする
男
(
をとこ
)
だなア』
328
三公
(
さんこう
)
『オイ
与三
(
よさ
)
、
329
モウ
斯
(
こ
)
うなつちや
仕方
(
しかた
)
がない。
330
お
愛
(
あい
)
も
一人
(
ひとり
)
で
冥途
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
は
淋
(
さび
)
しからうから、
331
妹
(
いもうと
)
のお
梅
(
うめ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
にバラしてやれ。
332
序
(
ついで
)
に
兼公
(
かねこう
)
の
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
も、
333
以後
(
いご
)
の
見
(
み
)
せしめに
血祭
(
ちまつ
)
りにして
了
(
しま
)
へ。
334
そうなくちや
三公
(
さんこう
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
たねえ。
335
可哀相
(
かはいさう
)
なものだが、
336
こうなつちや、
337
引
(
ひ
)
くに
引
(
ひ
)
かれぬ
場合
(
ばあひ
)
だ、
338
アヽ
惜
(
をし
)
い
者
(
もの
)
だなア』
339
与三公
(
よさこう
)
は
矢庭
(
やには
)
に
懐
(
ふところ
)
から
細紐
(
ほそひも
)
を
取出
(
とりだ
)
し、
340
兼公
(
かねこう
)
の
背後
(
はいご
)
より
首
(
くび
)
に
引
(
ひ
)
つかけ、
341
二三間
(
にさんげん
)
引摺
(
ひきず
)
つた。
342
兼公
(
かねこう
)
は
顋
(
あご
)
をかけられたまま、
343
手足
(
てあし
)
をもがきつつ
苦
(
くるし
)
んでゐる。
344
寄
(
よ
)
つてかかつて
大勢
(
おほぜい
)
の
乾児
(
こぶん
)
は、
345
兼公
(
かねこう
)
の
体
(
からだ
)
をがんじ
搦
(
がら
)
みに
巻
(
ま
)
いて
了
(
しま
)
つた。
346
今年
(
ことし
)
十五
(
じふご
)
才
(
さい
)
になつた、
347
お
愛
(
あい
)
の
義妹
(
いもうと
)
のお
梅
(
うめ
)
は
最前
(
さいぜん
)
から
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
348
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をして、
349
大勢
(
おほぜい
)
の
目
(
め
)
を
盗
(
ぬす
)
み
乍
(
なが
)
ら、
350
自分
(
じぶん
)
の
綱
(
つな
)
をスツカリほどき、
351
依然
(
いぜん
)
として
縛
(
しば
)
られた
様
(
やう
)
な
風
(
ふう
)
を
装
(
よそほ
)
うてゐた。
352
三公
(
さんこう
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
の
奴
(
やつ
)
は、
353
お
愛
(
あい
)
の
方
(
はう
)
に
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られて、
354
お
梅
(
うめ
)
が
何時
(
いつ
)
とはなしに
斯
(
こ
)
んなことをしてゐるのに
気
(
き
)
がつかなかつたのである。
355
日
(
ひ
)
は
漸
(
やうや
)
く
暮
(
く
)
れかけた。
356
三公
(
さんこう
)
は
以前
(
いぜん
)
の
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
打
(
うち
)
かけ、
357
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
冷
(
ひや
)
やかに
見下
(
みくだ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
358
三公
(
さんこう
)
『ソラ
討
(
う
)
て、
359
やつつけろ!』
360
と
下知
(
げち
)
してゐる。
361
与三公
(
よさこう
)
始
(
はじ
)
め
大勢
(
おほぜい
)
の
乾児
(
こぶん
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
目
(
め
)
がけてバタバタと
駆
(
かけ
)
より、
362
打
(
う
)
つ、
363
蹴
(
け
)
る、
364
擲
(
なぐ
)
る、
365
忽
(
たちま
)
ち
修羅場
(
しゆらぢやう
)
が
現出
(
げんしゆつ
)
した。
366
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ
森
(
もり
)
の
谺
(
こだま
)
を
響
(
ひび
)
かして、
367
宣伝歌
(
せんでんか
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
368
(
大正一一・九・一四
旧七・二三
松村真澄
録)
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