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第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
01 筑紫上陸
〔942〕
02 孫甦
〔943〕
03 障文句
〔944〕
04 歌垣
〔945〕
05 対歌
〔946〕
06 蜂の巣
〔947〕
07 無花果
〔948〕
08 暴風雨
〔949〕
第2篇 有情無情
09 玉の黒点
〔950〕
10 空縁
〔951〕
11 富士咲
〔952〕
12 漆山
〔953〕
13 行進歌
〔954〕
14 落胆
〔955〕
15 手長猿
〔956〕
16 楽天主義
〔957〕
第3篇 峠の達引
17 向日峠
〔958〕
18 三人塚
〔959〕
19 生命の親
〔960〕
20 玉卜
〔961〕
21 神護
〔962〕
22 蛙の口
〔963〕
23 動静
〔964〕
余白歌
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第二〇章
玉卜
(
たまうらなひ
)
〔九六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第3篇 峠の達引
よみ(新仮名遣い):
とうげのたてひき
章:
第20章 玉卜
よみ(新仮名遣い):
たまうらない
通し章番号:
961
口述日:
1922(大正11)年09月14日(旧07月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
建日館の奥の間では、建日別と建能姫が、黒姫の子供を思う真心に感じて讃え、また心配していた。また建日別は、建能姫の諭しにより、自分の両親探しについても神様の御心に任せようと決心をあらわした。
そこへ虎公と玉公が子分たちを連れて、建日別と建能姫に別れの挨拶にやってきた。建国別はもっとゆっくりしていくようにと言うが、玉公の所持する水晶玉の変異により、虎公は留守に不安を感じているからと別れを告げた。
建日別は何事もないように神前に祈願をしておくからと虎公たちに言葉をかけた。一同は建日別の心に感謝して館を去った。
虎公は、玉公とその他三人を連れて駆け出した。足拍子を取りながら、留守宅の不安を宣伝歌に歌いながら息をはずませて帰って行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-19 11:17:16
OBC :
rm3420
愛善世界社版:
253頁
八幡書店版:
第6輯 454頁
修補版:
校定版:
264頁
普及版:
111頁
初版:
ページ備考:
001
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
には
主
(
あるじ
)
の
建国別
(
たけくにわけ
)
、
002
妻
(
つま
)
の
建能姫
(
たけのひめ
)
は
差向
(
さしむか
)
ひとなつて、
003
ヒソビソと
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つてゐる。
004
建能姫
(
たけのひめ
)
『
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
005
今日
(
けふ
)
は
意外
(
いぐわい
)
なお
客
(
きやく
)
さまでごさいましたが、
006
あの
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
といふお
方
(
かた
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
を
遊
(
あそ
)
ばした
様
(
やう
)
で
御座
(
ござ
)
いますなア。
007
どこともなしに
面
(
おも
)
やつれをなさつてゐらられた
所
(
ところ
)
を
見
(
み
)
れば、
008
余程
(
よほど
)
息子
(
むすこ
)
さまの
事
(
こと
)
に
就
(
つい
)
て、
009
お
気
(
き
)
をもませられたと
見
(
み
)
えまするなア』
010
建国別
(
たけくにわけ
)
『さうですなア、
011
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
親
(
おや
)
と
云
(
い
)
ふものは
有難
(
ありがた
)
いものです。
012
私
(
わたくし
)
が
若
(
も
)
しや
自分
(
じぶん
)
の
子
(
こ
)
ではあるまいかとワザワザ
寄
(
よ
)
つて
下
(
くだ
)
さつた
其
(
その
)
お
志
(
こころざし
)
は、
013
本当
(
ほんたう
)
に
清
(
きよ
)
い
美
(
うつく
)
しい
慈愛
(
じあい
)
が
籠
(
こも
)
つて
居
(
を
)
ります。
014
私
(
わたくし
)
も
両親
(
りやうしん
)
が
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
達者
(
たつしや
)
でゐられたならば、
015
あの
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
の
様
(
やう
)
な
慈愛
(
じあい
)
の
心
(
こころ
)
を
以
(
もつ
)
て、
016
捜
(
さが
)
してゐらつしやるでせう。
017
此
(
こ
)
れを
思
(
おも
)
へば
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
や
親
(
おや
)
の
恩
(
おん
)
が
有難
(
ありがた
)
くて
涙
(
なみだ
)
がこぼれます。
018
あゝ
私
(
わたくし
)
の
両親
(
りやうしん
)
はどこに
如何
(
どう
)
して
御座
(
ござ
)
るやら、
019
私
(
わたくし
)
も
両親
(
りやうしん
)
に
会
(
あ
)
ひたい
計
(
ばか
)
りで、
020
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信
(
しん
)
じ、
021
今日
(
こんにち
)
は
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
に
仕上
(
しあ
)
げて
頂
(
いただ
)
きました。
022
もしも
私
(
わたくし
)
に
歴乎
(
れつき
)
とした
両親
(
りやうしん
)
があり、
023
幼少
(
えうせう
)
から
親
(
おや
)
の
膝元
(
ひざもと
)
に
育
(
そだ
)
てられて
居
(
を
)
つたならば、
024
安逸
(
あんいつ
)
に
流
(
なが
)
れて、
025
到底
(
たうてい
)
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
026
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
両親
(
りやうしん
)
の
行方
(
ゆくへ
)
が
知
(
し
)
れぬのも、
027
却
(
かへつ
)
て
私
(
わたくし
)
の
身
(
み
)
の
幸福
(
かうふく
)
、
028
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
深
(
ふか
)
き
広
(
ひろ
)
き
思召
(
おぼしめし
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
029
建能姫
(
たけのひめ
)
『さうで
御座
(
ござ
)
いませう。
030
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
遠近
(
ゑんきん
)
広狭
(
くわうけふ
)
大小
(
だいせう
)
明暗
(
めいあん
)
の
区別
(
くべつ
)
なく、
031
御
(
お
)
見
(
み
)
すかし
遊
(
あそ
)
ばしてゐられますから、
032
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
の
所在
(
ありか
)
もキツと
御
(
お
)
分
(
わか
)
りになつて
居
(
ゐ
)
るに
違
(
ちが
)
ひ
御座
(
ござ
)
いませぬ。
033
され
共
(
ども
)
何時
(
いつ
)
の
神懸
(
かむがか
)
りにも、
034
両親
(
りやうしん
)
の
所在
(
ありか
)
をいくら
尋
(
たづ
)
ねても、
035
口
(
くち
)
をつぐんで、
036
一言
(
いちげん
)
半句
(
はんく
)
の
宣示
(
せんじ
)
もして
下
(
くだ
)
さらぬのは、
037
要
(
えう
)
するに
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
憐
(
あはれ
)
み
玉
(
たま
)
ひ、
038
立派
(
りつぱ
)
な
神司
(
かむつかさ
)
に
仕立
(
した
)
て
上
(
あ
)
げてやらうとの、
039
情
(
なさけ
)
の
鞭
(
むち
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
040
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
目
(
め
)
より
御覧
(
ごらん
)
になつて、
041
モウあれは
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
042
誠
(
まこと
)
が
貫徹
(
くわんてつ
)
したと
思召
(
おぼしめ
)
したらキツと
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
らして
下
(
くだ
)
さいませう。
043
又
(
また
)
何
(
なに
)
かの
都合
(
つがふ
)
で、
044
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
様
(
さま
)
を
居
(
ゐ
)
乍
(
なが
)
ら、
045
ここへ
引
(
ひき
)
よせて
下
(
くだ
)
さるかも
知
(
し
)
れませぬ。
046
どうぞ
取越
(
とりこし
)
苦労
(
くらう
)
をせない
様
(
やう
)
にして
下
(
くだ
)
さいませ』
047
建国別
(
たけくにわけ
)
『さうですなア。
048
モウ
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
は
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
思
(
おも
)
ひますまい。
049
何程
(
なにほど
)
気
(
き
)
をいらつても、
050
人間
(
にんげん
)
として
如何
(
どう
)
する
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ませぬから、
051
それよりも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
、
052
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
宣伝使
(
せんでんし
)
たるの
最善
(
さいぜん
)
の
努力
(
どりよく
)
を
尽
(
つく
)
すのが
何
(
なに
)
よりで
御座
(
ござ
)
いませう』
053
建能姫
(
たけのひめ
)
『あゝよく
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいました。
054
何事
(
なにごと
)
も
今後
(
こんご
)
は
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
に
任
(
まか
)
し、
055
妾
(
わらは
)
がこんな
事
(
こと
)
申
(
まを
)
してはすみませぬが、
056
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
は、
057
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がよき
様
(
やう
)
にお
守
(
まも
)
り
下
(
くだ
)
さるでせうから
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
058
決
(
けつ
)
して
妾
(
わらは
)
があなたの
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
を
袖
(
そで
)
に
思
(
おも
)
つて
申
(
まを
)
すのでは
御座
(
ござ
)
いませぬ。
059
あなたの
幸福
(
かうふく
)
の
為
(
ため
)
、
060
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
の
為
(
ため
)
に
申上
(
まをしあ
)
げるので
御座
(
ござ
)
いますから……』
061
建国別
(
たけくにわけ
)
『
私
(
わたくし
)
が
何時
(
いつ
)
も
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
うてむつかしい
顔
(
かほ
)
をしてゐましたのを、
062
貴女
(
あなた
)
は
余程
(
よほど
)
不快
(
ふくわい
)
に
思
(
おも
)
へたでせうなア』
063
建能姫
(
たけのひめ
)
『ハイ、
064
別
(
べつ
)
に
不快
(
ふくわい
)
には
思
(
おも
)
ひませぬが、
065
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
憂苦
(
いうく
)
の
色
(
いろ
)
が
何時
(
いつ
)
とはなしに
御
(
お
)
顔
(
かほ
)
に
表
(
あら
)
はれますので、
066
御
(
お
)
体
(
からだ
)
に
障
(
さは
)
りはせないかと、
067
夫
(
そ
)
れ
計
(
ばか
)
り
心配
(
しんぱい
)
を
致
(
いた
)
しました。
068
どうぞ
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り、
069
麗
(
うるは
)
しいお
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せて
下
(
くだ
)
さいませや』
070
建国別
(
たけくにわけ
)
『
本当
(
ほんたう
)
に
心配
(
しんぱい
)
をかけて
済
(
す
)
みませなんだ。
071
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
任
(
まか
)
して、
072
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
は
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
しますまい。
073
今後
(
こんご
)
は
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
たりとも、
074
悔
(
くや
)
み
言
(
ごと
)
は
申
(
まを
)
しませぬから
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さい。
075
言
(
い
)
ひ
納
(
をさ
)
めに
一口
(
ひとくち
)
あなたに
話
(
はな
)
したいのは、
076
あの
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
詞尻
(
ことばじり
)
、
077
何
(
なん
)
とはなしに
縁由
(
ゆかり
)
ありげに
感
(
かん
)
じましたが、
078
貴女
(
あなた
)
は
如何
(
いかが
)
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へですか』
079
建能姫
(
たけのひめ
)
『ハイ
妾
(
わらは
)
も
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
は
何
(
なに
)
か
心
(
こころ
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
がお
有
(
あ
)
りなさる
様
(
やう
)
に
存
(
ぞん
)
じました。
080
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
は
妾
(
わらは
)
とは
違
(
ちが
)
ひ、
081
お
年
(
とし
)
を
老
(
と
)
つてゐられますから、
082
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
酸
(
す
)
いも
甘
(
あま
)
いもよく
御存
(
ごぞん
)
じの
筈
(
はず
)
、
083
それ
故
(
ゆゑ
)
今
(
いま
)
心当
(
こころあた
)
りがあると
言
(
い
)
つては、
084
折角
(
せつかく
)
の
修業
(
しうげふ
)
が
破
(
やぶ
)
れはせぬかと、
085
深
(
ふか
)
い
思召
(
おぼしめし
)
を
以
(
もつ
)
て
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さらなかつたのでせう。
086
併
(
しか
)
し
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
真心
(
まごころ
)
が
通
(
とほ
)
りさへすれば、
087
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
も
知
(
し
)
らして
下
(
くだ
)
さるでせう。
088
モウ
一
(
ひと
)
つ
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
してお
尋
(
たづ
)
ねしたいのは
山々
(
やまやま
)
で
御座
(
ござ
)
いましたが、
089
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
仕
(
つか
)
へる
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
のあなた
様
(
さま
)
、
090
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
を
次
(
つぎ
)
にして、
091
吾
(
わが
)
身
(
み
)
勝手
(
かつて
)
な
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
計
(
ばか
)
りを
熱心
(
ねつしん
)
に
尋
(
たづ
)
ねると
思
(
おも
)
はれては、
092
第一
(
だいいち
)
主人
(
しゆじん
)
の
名折
(
なを
)
れ……と
存
(
ぞん
)
じまして、
093
控
(
ひか
)
へて
居
(
を
)
りました。
094
どうやら
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
御座
(
ござ
)
るのに
間違
(
まちがひ
)
はない
様
(
やう
)
に
存
(
ぞん
)
じます』
095
建国別
(
たけくにわけ
)
『あゝ
貴女
(
あなた
)
もそう
感
(
かん
)
じられましたか、
096
私
(
わたくし
)
もそうだらうと
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。
097
何
(
なん
)
だか
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかつてから、
098
心強
(
こころづよ
)
くなつて
来
(
き
)
ました。
099
確
(
たし
)
かな
手掛
(
てがか
)
りが
出来
(
でき
)
たやうな
心持
(
こころもち
)
が
致
(
いた
)
します。
100
併
(
しか
)
し
建能姫
(
たけのひめ
)
殿
(
どの
)
、
101
これ
限
(
かぎ
)
り、
102
モウ
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
は
惟神
(
かむながら
)
に
任
(
まか
)
して、
103
申
(
まを
)
しますまい』
104
建能姫
(
たけのひめ
)
『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います、
105
妾
(
わらは
)
も
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しました』
106
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
虎公
(
とらこう
)
、
107
玉公
(
たまこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乾児
(
こぶん
)
と
共
(
とも
)
に、
108
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
109
襖
(
ふすま
)
の
外
(
そと
)
より、
110
虎公
(
とらこう
)
『
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
、
111
大先生
(
だいせんせい
)
様
(
さま
)
、
112
突然
(
とつぜん
)
参
(
まゐ
)
りまして、
113
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
に
預
(
あづか
)
りました。
114
これでお
暇
(
いとま
)
を
致
(
いた
)
します。
115
又
(
また
)
更
(
あらた
)
めて
御
(
お
)
礼
(
れい
)
に
参
(
まゐ
)
りますから、
116
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
共
(
とも
)
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
に
御
(
お
)
暮
(
くら
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
117
と
云
(
い
)
ふのは
虎公
(
とらこう
)
の
声
(
こゑ
)
であつた。
118
建能姫
(
たけのひめ
)
は
襖
(
ふすま
)
を
静
(
しづ
)
かに
開
(
ひら
)
き、
119
建能姫
(
たけのひめ
)
『これはこれは
武野
(
たけの
)
の
村
(
むら
)
の
親分
(
おやぶん
)
さま、
120
サアどうぞ
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしに
此方
(
こちら
)
へ
御
(
お
)
通
(
とほ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
121
虎公
(
とらこう
)
『イヤどうも
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
になりました、
122
余
(
あま
)
り
酩酊
(
めいてい
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りますので、
123
失礼
(
しつれい
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
124
此処
(
ここ
)
で
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう』
125
建国別
(
たけくにわけ
)
『
虎公
(
とらこう
)
さま、
126
どうぞゆつくりして
下
(
くだ
)
さい。
127
今日
(
けふ
)
は
私
(
わたくし
)
の
祝日
(
しゆくじつ
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
128
十分
(
じふぶん
)
に
酔
(
よ
)
うて
頂
(
いただ
)
かねばなりませぬ。
129
余
(
あま
)
りお
早
(
はや
)
いぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
130
どうぞ
今晩
(
こんばん
)
はゆつくりとお
泊
(
とま
)
り
下
(
くだ
)
さいまして、
131
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
でも
聞
(
き
)
かせて
下
(
くだ
)
さいませ』
132
虎公
(
とらこう
)
『ハイ、
133
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
いますが、
134
今
(
いま
)
ここに
参
(
まゐ
)
つて
居
(
を
)
りまする
玉公
(
たまこう
)
の
所持
(
しよぢ
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
る、
135
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
から
賜
(
たま
)
はつたと
云
(
い
)
ふ
水晶玉
(
すいしやうだま
)
に
変異
(
へんい
)
が
現
(
あら
)
はれまして、
136
どうも
気
(
き
)
がかりでなりませぬ。
137
玉
(
たま
)
に
映
(
うつ
)
つた
曇
(
くも
)
りより
判断
(
はんだん
)
して
見
(
み
)
ますれば、
138
私
(
わたくし
)
の
不在宅
(
るすたく
)
に、
139
何
(
なん
)
だか
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たやうで
御座
(
ござ
)
いますから、
140
私
(
わたくし
)
も
何
(
なん
)
だか
気
(
き
)
がイライラしてなりませぬから、
141
今日
(
けふ
)
はこれでお
暇
(
いとま
)
を
致
(
いた
)
します』
142
建国別
(
たけくにわけ
)
『それは
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
143
コレ
玉公
(
たまこう
)
、
144
大
(
たい
)
した
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬかなア』
145
玉公
(
たまこう
)
『ハイ、
146
私
(
わたくし
)
の
経験
(
けいけん
)
に
依
(
よ
)
れば、
147
親分
(
おやぶん
)
の
宅
(
うち
)
に
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
起
(
おこ
)
つてゐる
様
(
やう
)
に
感
(
かん
)
じます。
148
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
結局
(
けつきよく
)
は
何
(
なん
)
ともないと
云
(
い
)
ふ
象
(
かたち
)
が
表
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
りますが、
149
グヅグヅして
居
(
を
)
つては、
150
事件
(
じけん
)
が
益々
(
ますます
)
大
(
おほ
)
きく、
151
むつかしくなる
虞
(
おそれ
)
が
御座
(
ござ
)
いますから、
152
是
(
これ
)
で
御
(
お
)
暇
(
いとま
)
を
致
(
いた
)
します』
153
建国別
(
たけくにわけ
)
『そう
仰有
(
おつしや
)
れば
是非
(
ぜひ
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
154
お
留守宅
(
るすたく
)
に
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
い
様
(
やう
)
に、
155
是
(
これ
)
から
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が、
156
神前
(
しんぜん
)
に
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
を
致
(
いた
)
しておきますから、
157
安心
(
あんしん
)
して
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
158
虎公
(
とらこう
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います』
159
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら、
160
再拝
(
さいはい
)
して
一同
(
いちどう
)
も
共
(
とも
)
に
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
り、
161
イソイソと
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
162
虎公
(
とらこう
)
の
一行
(
いつかう
)
は
表門
(
おもてもん
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
た。
163
門番
(
もんばん
)
の
幾公
(
いくこう
)
は
祝酒
(
いはひざけ
)
に
酔
(
よ
)
ひつぶれ、
164
まはらぬ
舌
(
した
)
にて、
165
幾公
(
いくこう
)
『オイ
虎公
(
とらこう
)
の
親分
(
おやぶん
)
、
166
チツと
早
(
はや
)
いぢやないか。
167
モツとゆつくり
俺
(
おいら
)
と
一杯
(
いつぱい
)
やらうぢやないか。
168
何程
(
なにほど
)
急
(
いそ
)
いだとて、
169
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れる
時
(
とき
)
にやヤツパリ
暮
(
く
)
れるのだからなア』
170
虎公
(
とらこう
)
『ウン
有難
(
ありがた
)
う。
171
併
(
しか
)
し
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
とはなしに、
172
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがしてならぬから、
173
一先
(
ひとま
)
づ
帰
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
にする、
174
又
(
また
)
更
(
あらた
)
めて
遊
(
あそ
)
びに
来
(
く
)
るワ。
175
貴様
(
きさま
)
も
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
に、
176
一
(
いち
)
日
(
にち
)
のお
暇
(
ひま
)
を
頂
(
いただ
)
いて
遊
(
あそ
)
びに
来
(
こ
)
い、
177
酒
(
さけ
)
は
幾
(
いく
)
らでも
用意
(
ようい
)
がしてあるからな』
178
幾公
(
いくこう
)
『イクともイクとも、
179
イク
度
(
たび
)
となくイクぞよ。
180
モウお
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
酒
(
さけ
)
喰
(
くら
)
ひは
懲
(
こ
)
り
懲
(
こ
)
りだ……などとイク
地
(
ぢ
)
のない
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はぬ
様
(
やう
)
に
頼
(
たの
)
むぞよ』
181
虎公
(
とらこう
)
『アハヽヽヽヽ
痩
(
や
)
せてもこけても、
182
武野村
(
たけのむら
)
の
虎公
(
とらこう
)
だ。
183
貴様
(
きさま
)
が
幾
(
いく
)
ら
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
んだつて、
184
そんな
事
(
こと
)
に
尾
(
を
)
を
巻
(
ま
)
くやうな、
185
吝
(
けち
)
くせえ
兄貴
(
あにき
)
ぢやねえワ』
186
幾公
(
いくこう
)
『それでも
今
(
いま
)
親分
(
おやぶん
)
、
187
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがすると
云
(
い
)
つたぢやないか。
188
余
(
あま
)
りガブガブと
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
まれると、
189
胸
(
むな
)
さわぎするからなア。
190
俺
(
おいら
)
も
何
(
なん
)
だかハートに
動悸
(
どうき
)
が
打
(
う
)
ちやがつて、
191
胸騒
(
むなさわ
)
ぎがして
仕様
(
しやう
)
がないワ』
192
虎公
(
とらこう
)
『アハヽヽヽそりや
貴様
(
きさま
)
は
意地
(
いぢ
)
汚
(
きたな
)
く、
193
無理
(
むり
)
に
酒
(
さけ
)
を
喰
(
くら
)
ふから、
194
動悸
(
どうき
)
がうつのだ。
195
いゝ
加減
(
かげん
)
に
心得
(
こころえ
)
て、
196
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
むのはよいが、
197
酒
(
さけ
)
に
呑
(
の
)
まれぬ
様
(
やう
)
にしたがよからうぞ』
198
幾公
(
いくこう
)
『ヤツパリ
吝
(
けち
)
くさい
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
親分
(
おやぶん
)
だなア。
199
オイ
親分
(
おやぶん
)
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
て、
200
ここに
一升
(
いつしよう
)
徳利
(
どくり
)
が
盗
(
ぬす
)
んで
来
(
き
)
てあるワ。
201
是
(
これ
)
でもグツと
一口
(
ひとくち
)
呑
(
の
)
んで
帰
(
かへ
)
つて
呉
(
く
)
れ』
202
虎公
(
とらこう
)
『ヤア
其奴
(
そいつ
)
ア
有難
(
ありがた
)
い、
203
この
儘
(
まま
)
預
(
あづか
)
つて
行
(
ゆ
)
く』
204
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
205
幾公
(
いくこう
)
の
手
(
て
)
より
一升
(
いつしよう
)
徳利
(
どくり
)
を
引
(
ひ
)
つたくり、
206
虎公
(
とらこう
)
『
玉公
(
たまこう
)
、
207
来
(
きた
)
れ!』
208
と
尻端折
(
しりはしを
)
つて、
209
門前
(
もんぜん
)
の
小径
(
こみち
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
駆出
(
かけだ
)
した。
210
虎公
(
とらこう
)
は
走
(
はし
)
り
乍
(
なが
)
ら
足拍子
(
あしびやうし
)
を
取
(
と
)
つて
唄
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
211
虎公
(
とらこう
)
『ウントコドツコイドツコイシヨ
212
建国別
(
たけくにわけ
)
の
御
(
お
)
館
(
やかた
)
で
213
一周
(
いつしう
)
年
(
ねん
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
に
214
ドツサリよばれてウントコシヨ
215
ドツコイドツコイづぶ
六
(
ろく
)
に
216
酔
(
よ
)
うて
了
(
しま
)
つた
虎公
(
とらこう
)
が
217
其
(
その
)
足並
(
あしなみ
)
は
千鳥足
(
ちどりあし
)
218
そこらの
道
(
みち
)
が
二筋
(
ふたすぢ
)
も
219
三筋
(
みすぢ
)
も
四筋
(
よすぢ
)
も
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た
220
玉公
(
たまこう
)
の
顔
(
かほ
)
まで
色々
(
いろいろ
)
と
221
細
(
ほそ
)
くなつたりドツコイシヨ
222
丸
(
まる
)
くなつたり
三
(
みつ
)
つ
四
(
よ
)
つ
223
同
(
おんな
)
じ
顔
(
かほ
)
が
並
(
なら
)
び
出
(
だ
)
す
224
どうしてこんなウントコシヨ
225
怪体
(
けたい
)
な
事
(
こと
)
になつただろ
226
玉公
(
たまこう
)
が
持
(
も
)
つてる
水晶
(
すゐしやう
)
の
227
玉
(
たま
)
の
卜筮
(
うらなひ
)
伺
(
うかが
)
へば
228
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが
俺
(
おれ
)
の
宅
(
うち
)
229
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
てゐる
230
ドツコイドツコイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
231
足元
(
あしもと
)
用心
(
ようじん
)
するがよい
232
大方
(
おほかた
)
宅
(
うち
)
のお
愛
(
あい
)
奴
(
め
)
が
233
俺
(
おれ
)
が
出
(
で
)
たのをドツコイシヨ
234
女
(
をんな
)
の
小
(
ちい
)
さい
心
(
こころ
)
から
235
外
(
ほか
)
に
女子
(
をなご
)
があるやうに
236
思
(
おも
)
ひひがめて
九寸
(
くすん
)
五分
(
ごぶ
)
237
スラリと
抜
(
ぬ
)
いて
喉元
(
のどもと
)
へ
238
あてて
居
(
ゐ
)
るのぢやあるまいか
239
何
(
なん
)
とはなしに
気
(
き
)
にかかる
240
ウントコドツコイ
危
(
あぶ
)
ないぞ
241
こらこら
玉公
(
たまこう
)
シツカリせい
242
そこら
辺
(
あた
)
りが
石車
(
いしぐるま
)
243
宅
(
うち
)
のお
嬶
(
かか
)
は
生
(
うま
)
れつき
244
世間
(
せけん
)
の
女
(
をんな
)
と
事変
(
ことか
)
はり
245
よつ
程
(
ぽど
)
気丈
(
きぢやう
)
な
奴
(
やつ
)
だから
246
めつたな
事
(
こと
)
はあるまいと
247
心
(
こころ
)
は
許
(
ゆる
)
して
居
(
ゐ
)
るものの
248
天地
(
てんち
)
の
事
(
こと
)
は
何
(
なに
)
もかも
249
鏡
(
かがみ
)
の
様
(
やう
)
によく
映
(
うつ
)
る
250
水晶玉
(
すいしやうだま
)
の
暗点
(
あんてん
)
が
251
ウントコドツコイ
気
(
き
)
になつて
252
胸
(
むね
)
の
警鐘
(
けいしよう
)
なりひびく
253
此奴
(
こいつ
)
ア ヤツパリ
尋常事
(
ただごと
)
で
254
ウントコドツコイあるまいぞ
255
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
家
(
いへ
)
に
256
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
くかけ
帰
(
かへ
)
り
257
実否
(
じつぴ
)
を
探
(
さぐ
)
らにやならうまい
258
ウントコドツコイ
又
(
また
)
辷
(
すべ
)
る
259
ホンに
危
(
あぶ
)
ない
坂路
(
さかみち
)
だ
260
俺
(
おれ
)
に
翼
(
つばさ
)
があつたなら
261
宙空
(
ちうくう
)
翔
(
かけ
)
つて
一走
(
ひとはし
)
り
262
家
(
うち
)
の
様子
(
やうす
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
263
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
く
知
(
し
)
れるだろ
264
なぜに
烏
(
からす
)
にドツコイシヨ
265
俺
(
おれ
)
は
生
(
うま
)
れて
来
(
こ
)
なんだか
266
今
(
いま
)
となつては
大空
(
おほぞら
)
を
267
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
翔
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く
268
烏
(
からす
)
の
奴
(
やつ
)
が
羨
(
うらや
)
ましい
269
ウントコドツコイ
又
(
また
)
辷
(
すべ
)
る
270
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
共
(
ども
)
気
(
き
)
をつけよ
271
オイオイ
玉公
(
たまこう
)
水晶
(
すゐしやう
)
の
272
其
(
その
)
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
273
ギユツと
握
(
にぎ
)
つておとすなよ
274
お
前
(
まへ
)
の
家
(
うち
)
の
宝物
(
たからもの
)
275
ウントコドツコイ ドツコイシヨ
276
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
277
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
278
虎公
(
とらこう
)
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
現
(
あら
)
はれて
279
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
かを
考
(
かんが
)
へて
280
ウントコドツコイ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
281
何
(
なん
)
とか
思案
(
しあん
)
をせにやならぬ
282
お
愛
(
あい
)
の
奴
(
やつ
)
は
今頃
(
いまごろ
)
は
283
俺
(
おれ
)
の
帰
(
かへ
)
るを
欠伸
(
あくび
)
して
284
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るかも
分
(
わか
)
らない
285
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だかウントコシヨ
286
サツパリ
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らない
287
お
愛
(
あい
)
の
奴
(
やつ
)
が
悋気
(
りんき
)
して
288
刃物
(
はもの
)
三眛
(
ざんまい
)
ウントコシヨ
289
やつて
居
(
ゐ
)
るのぢやあるまいか
290
イヤイヤ ヤツパリさうぢやない
291
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
がやつて
来
(
き
)
て
292
俺
(
おい
)
らの
不在
(
るす
)
をつけ
込
(
こ
)
んで
293
無体
(
むたい
)
の
恋慕
(
れんぼ
)
をウントコシヨ
294
遂行
(
すゐかう
)
せむとつめ
寄
(
よ
)
つて
295
お
愛
(
あい
)
を
困
(
こま
)
らせ
居
(
ゐ
)
るのだろ
296
そんな
事
(
こと
)
でもあつたなら
297
お
愛
(
あい
)
の
奴
(
やつ
)
はウントコシヨ
298
負
(
まけ
)
ぬ
気
(
き
)
強
(
つよ
)
い
女
(
をんな
)
故
(
ゆゑ
)
299
中々
(
なかなか
)
ウンとは
申
(
まを
)
すまい
300
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
は
双方
(
さうはう
)
から
301
切
(
き
)
りつ はつりつウントコシヨ
302
血
(
ち
)
の
雨
(
あめ
)
降
(
ふ
)
らすに
違
(
ちがひ
)
ない
303
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
一時
(
いつとき
)
も
304
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へ
帰
(
かへ
)
りたい
305
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
此
(
この
)
道
(
みち
)
は
306
ウントコドツコイ
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
に
307
際限
(
さいげん
)
もなく
延
(
の
)
びよつて
308
いつもの
道
(
みち
)
より
遠
(
とほ
)
くなる
309
やうな
心地
(
ここち
)
がしてならぬ
310
ホンに
気
(
き
)
のせく
事
(
こと
)
ぢやワイ
311
ウントコドツコイ ドツコイシヨ
312
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
313
私
(
わたし
)
の
不在
(
るす
)
の
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
314
どうぞ
何事
(
なにごと
)
もない
様
(
やう
)
に
315
お
守
(
まも
)
りなさつて
下
(
くだ
)
さんせ
316
仮令
(
たとへ
)
三公
(
さんこう
)
が
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
317
お
愛
(
あい
)
の
体
(
からだ
)
にドツコイシヨ
318
指一本
(
ゆびいつぽん
)
も
触
(
さ
)
へぬよに
319
どうぞ
守
(
まも
)
つて
下
(
くだ
)
さんせ
320
武野
(
たけの
)
の
村
(
むら
)
の
男達
(
をとこだて
)
321
虎公
(
とらこう
)
サンと
名
(
な
)
を
売
(
う
)
つた
322
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
に
泥
(
どろ
)
が
付
(
つ
)
く
323
これが
第一
(
だいいち
)
ウントコシヨ
324
私
(
わたし
)
は
辛
(
つら
)
うてたまらない
325
男
(
をとこ
)
と
男
(
をとこ
)
の
意地
(
いぢ
)
づくで
326
命
(
いのち
)
の
取合
(
とりあひ
)
するとても
327
決
(
けつ
)
して
厭
(
いと
)
ひはいたさない
328
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
に
泥
(
どろ
)
ぬられ
329
ウントコシヨウ ウントコシヨウ
330
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
拭
(
ぬぐ
)
はれぬ
331
恥
(
はぢ
)
をのこすがわしやつらい
332
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
333
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
334
と
足拍子
(
あしびやうし
)
を
取
(
と
)
り
乍
(
なが
)
ら、
335
急坂
(
きふはん
)
を
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
りつ、
336
玉公
(
たまこう
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
乾児
(
こぶん
)
と
共
(
とも
)
に、
337
息
(
いき
)
をはづませ
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
338
(
大正一一・九・一四
旧七・二三
松村真澄
録)
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