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第七章 無花果(いちじゆく)〔九四八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻 篇:第1篇 筑紫の不知火 よみ(新仮名遣い):つくしのしらぬい
章:第7章 無花果 よみ(新仮名遣い):いちじく 通し章番号:948
口述日:1922(大正11)年09月12日(旧07月21日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
坂をのぼりながら、房公はまた滑稽な宣伝歌を歌いだし、はるばる遠い筑紫の島まで駆り出された苦労の恨みを黒姫にぶつけた。歌い終わると房公と芳公は疲れてその場にゴロリと横になってしまった。
黒姫は文句を言う二人をなだめて先に進むために、途中でむしってきた無花果の果実を二人に分け与えた。芳公が無花果に喰らいつくさまを見て、黒姫は思わず吹き出した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-09-13 12:43:01 OBC :rm3407
愛善世界社版:89頁 八幡書店版:第6輯 394頁 修補版: 校定版:94頁 普及版:36頁 初版: ページ備考:
001 房公(ふさこう)(さか)(のぼ)りつつ(また)(うた)()したり。
002房公(おも)へば(むかし)(その)(むかし)
003()出神(でのかみ)祝姫(はふりひめ)
004面那芸(つらなぎ)(ひこ)(とほ)りたる
005筑紫(つくし)(だけ)山路(やまみち)
006黒姫(くろひめ)さまの(おん)(かげ)
007スタスタ(のぼ)(ゆか)しさよ
008房公(ふさこう)さまはドツコイシヨ
009()出神(でのかみ)()(かく)
010芳公(よしこう)さまはドツコイシヨ
011面那芸(つらなぎ)(ひこ)()(やく)
012黒姫(くろひめ)さまの(おん)(ため)
013こんな山坂(やまさか)(のぼ)らされ
014ホンに(まこと)(つら)(かは)
015(さら)した(やう)なものだらう
016黒姫(くろひめ)さまは祝姫(はふりひめ)
017(かみ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
018(おも)うて()てもドツコイシヨ
019皺苦茶(しわくちや)(ばば)アぢやはづまない
020(はふり)(ひめ)のドツコイシヨ
021やうな()(わか)(をんな)なら
022少々(せうせう)小言(こごと)()はれても
023(あま)(くる)しうはなけれ(ども)
024(なん)ぢや()らぬが(はら)()
025黒姫(くろひめ)さまのウントコシヨ
026(はう)から吹来(ふきく)(かぜ)もいや
027いやいや(なが)()いて()
028ハアハアフウフウフウスウスウ
029おれは(なん)たる因果(いんぐわ)だろ
030こんな山坂(やまさか)(のぼ)るとこ
031うちのお(てつ)()たならば
032ウントコドツコイ(くや)むだろ
033さぞや(なげ)くであろ(ほど)
034天道(てんだう)さまもドツコイシヨ
035(きこ)えませぬと()りついて
036ウントコドツコイ()くだらう
037(おも)へば(おも)へばいぢらしい
038(てつ)のことが()になつて
039(あし)碌々(ろくろく)(すす)みやせぬ
040あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
041(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
042(てつ)(からだ)(つつが)なく
043子供(こども)丈夫(ぢやうぶ)でスクスクと
044生立(おいた)ちまして房公(ふさこう)
045無事(ぶじ)凱旋(がいせん)するまでは
046どうぞ(まも)つて(くだ)さんせ
047ハアハアスウスウ(あせ)()
048最前(さいぜん)()んだ清水(しみず)()
049(あたま)(うへ)まで(のぼ)りつめ
050薬鑵頭(やかんあたま)がもり()した
051(あせ)(なが)れて()(いた)
052ドツコイドツコイ膝坊主(ひざばうず)
053キヨクキヨク(わら)うて()よつたぞ
054(なに)可笑(をか)して(わら)ふのだ
055黒姫(くろひめ)さまが一心(いつしん)
056高山峠(たかやまたうげ)(のぼ)るのが
057ドツコイ可笑(をか)して(わら)ふのか
058(あし)(うら)にはドツコイシヨ
059(いた)いと(おも)うたらウントコシヨ
060(おほ)きな(まめ)出来(でき)たよだ
061何程(なにほど)マメながよいとても
062(あし)(まめ)では真平(まつぴら)
063黒姫(くろひめ)さまに豆狸(まめだぬき)
064守護(しゆご)(いた)してこんな(こと)
065(おれ)にさしたぢやあるまいか
066こらこら芳公(よしこう)シツカリせ
067(まへ)(あし)如何(どう)なつた
068どしても(おれ)(ある)けない
069(むか)ふに(ひと)つの(たのし)みが
070黒姫(くろひめ)さまのドツコイシヨ
071(こころ)(やう)にあるなれば
072(いた)(あし)でも引摺(ひきず)つて
073(すす)()甲斐(かひ)あるけれど
074(なん)当途(あてど)もなき(なみだ)
075(あせ)(あぶら)(しぼ)られて
076これがどうして(たま)らうか
077ウントコドツコイドツコイシヨ
078そこに(とが)つた(いし)がある
079()()けなされよ黒姫(くろひめ)さま
080もしや怪我(けが)でもしたなれば
081高山(たかやま)さまにドツコイシヨ
082()はすお(かほ)があるまいぞ
083怪我(けが)ない(うち)()をつけて
084ソロソロ(のぼ)つて()かしやんせ
085さはさり(なが)孫公(まごこう)
086どこにどうして()るだろか
087(さる)小便(せうべん)にかかる
088かかる(ところ)悠々(いういう)
089(あら)はれ(きた)五人(ごにん)(づれ)
090三人(みたり)姿(すがた)一目(ひとめ)()
091コリヤ(たま)らぬと()(いだ)
092(あや)しと(あと)(なが)むれば
093(ひか)つた(もの)()ちてゐる
094矢庭(やには)(なか)をあけて()りや
095黒姫(くろひめ)さまが朝夕(あさゆふ)
096(たづ)(まは)つたドツコイシヨ
097黄金(こがね)(たま)()れてある
098それ(ばつか)りか沢山(たくさん)
099(かね)がチヤラチヤラなつてゐる
100()さへ(わか)らぬ(うま)さうな
101果物(くだもの)(まで)丁寧(ていねい)
102ドツコイドツコイ(さん)(にん)
103(かた)おあがりなされよと
104()はぬ(ばか)りの(かほ)してる
105()るより三人(みたり)(よろこ)んで
106(さき)(あらそ)鷲掴(わしづか)
107グツと()()(その)(うま)
108あゝあゝヤツパリ(ゆめ)だつた
109(ある)(なが)らにこんな(ゆめ)
110()たるおかげでドツコイシヨ
111(のど)から(つばき)がわいて()
112あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
113(ゆめ)でもよいから今一度(いまいちど)
114ドツコイドツコイこんな()
115あはして(くだ)され(たの)みます
116(ゆめ)夢見(ゆめみ)心地(ここち)して
117行方(ゆくへ)()れぬハズバンド
118()国都(くにみやこ)御座(ござ)るかと
119(のど)()らして黒姫(くろひめ)
120やつてゐたとこドツコイシヨ
121目算(もくさん)ガラリと相外(あひはづ)
122同名(どうめい)異人(いじん)(ひと)ならば
123それこそ(ゆめ)がさめるだろ
124(いま)()(ゆめ)黒姫(くろひめ)
125前途(ぜんと)(しん)をなしつるか
126コリヤ()うしては()られまい
127黒姫(くろひめ)さまえ如何(どう)なさる
128夜食(やしよく)(はづ)れた(ふくろふ)
129やうな(むつ)かしい(かほ)をして
130ケンケン(あた)つて(くだ)さるな
131(ある)(なが)らに()(ゆめ)
132どうやらお(まへ)前途(ぜんと)をば
133()らして()れた(もの)らしい
134ホンに怪体(けたい)(ゆめ)ぢやなア
135あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
136(ゆめ)浮世(うきよ)()(なが)
137こんな(ゆめ)をば()せずして
138慈悲(じひ)一度(いちど)黒姫(くろひめ)
139高山彦(たかやまひこ)にドツコイシヨ
140()はしてやつて(くだ)さんせ
141これが(わたし)()(ねがひ)ぢや
142芳公(よしこう)とても(その)(とほ)
143黒姫(くろひめ)さまを(てき)のよに
144(けつ)して(おも)うちや()らうまい
145(をし)そな(をし)そな(かほ)をして
146(くら)(のこ)した無花果(いちじゆく)
147(くだ)さるやうな()親切(しんせつ)
148(けつ)して(わす)れちや()らうまい
149(この)房公(ふさこう)黒姫(くろひめ)
150先立(さきだ)(みづ)()んだとて
151小言(こごと)()はれた(こと)(だけ)
152(みづ)(なが)したと()(なが)
153ヤツパリ(おぼ)えて()りまする
154ウントコドツコイ水臭(みづくさ)
155黒姫(くろひめ)さまの()心底(しんてい)
156あつく感謝(かんしや)(たてまつ)
157ウントコドツコイドツコイシヨ
158ハアハアハアハアフウスウスウ
159本当(ほんたう)(けは)しい(さか)だなア
160天津(あまつ)御空(みそら)(くも)(みね)
161うすく黄色(きいろ)(ひか)つてる
162土中(どちう)(あつ)さに蚯蚓(みみず)()
163ピンピンはね()()()かれ
164カンピン(たん)になつてゐる
165(いのち)()らずの蚯蚓虫(みみずむし)
166ウントコドツコイドツコイシヨ
167命知(いのちし)らずのウントコシヨ
168蚯蚓(みみず)(ばか)りぢやない(ほど)
169ここにも一人(ひとり)二人(ふたり)ある
170(また)もや(はら)()つて()
171どこぞここらに果物(くだもの)
172なつては()ぬかと木々(きぎ)(えだ)
173ためつすかしつ(なが)むれど
174()へそな(もの)見当(みあ)たらぬ
175(こま)つたことが出来(でき)()
176肝腎要(かんじんかなめ)(はら)()
177どうして道中(だうちう)がなるものか
178あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
179御霊(みたま)(さち)はひましまして
180(われ)()三人(みたり)一行(いつかう)
181おいしい果物(くだもの)(くだ)さんせ
182(いのち)カラガラ(ねが)ひます
183ハアハアフウフウ、あゝえらい
184(ふた)つの(まなこ)(あせ)にじみ
185そこらが()えなくなつて()
186(よく)にも(とく)にもかへられぬ
187ここで一服(いつぷく)(いた)しませう
188芳公(よしこう)(まへ)(やす)まうか
189黒姫(くろひめ)さまとは事違(ことちが)
190前途(ぜんと)(たのし)みない二人(ふたり)
191如何(どう)して(この)(うへ)きばれうか』
192()ひつつコロリと(よこ)になる
193あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
194御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
195 房公(ふさこう)(みち)(かたはら)にゴロンと(よこ)たはり(なが)ら、196(そら)()(くも)(なが)め、197(うら)めし(さう)(かほ)をして黒姫(くろひめ)熟視(じゆくし)してゐる。198芳公(よしこう)(また)その(そば)(よこ)たはり、199(あし)をピンピンさせ(なが)(そら)()(くも)愉快(ゆくわい)げに()つめて何事(なにごと)小声(こごゑ)(ささや)()した。
200黒姫(くろひめ)皆々(みなみな)さま、201モウ(すこ)()つてから(やす)んだら如何(どう)だなア。202ツイ(いま)清水(しみづ)のそばで(やす)んで()(ところ)ぢやないか。203こんなことしてゐると、204(やま)(なか)()()れて(しま)ひますよ』
205房公(ふさこう)『ヘン、206(いま)(かぎ)つて、207皆々(みなみな)さま……と()丁寧(ていねい)にお()でなすつたな。208(その)()()へませぬワイ。209吾々(われわれ)最早(もはや)機関(きくわん)(あぶら)()れて(しま)つたのだから、210(この)(うへ)運転(うんてん)不可能(ふかのう)だ。211(まへ)さまは心猿(しんゑん)意馬(いば)といふ(こころ)猿駒(さるこま)()(くに)(みやこ)(のぞ)みをかけてゐるのだから、212()()くだらう。213(それ)(ほど)吾々(われわれ)両人(りやうにん)がまどろしくあるならば、214どうぞお(さき)へ、215一足(ひとあし)()つて(くだ)さい。216(いのち)あつての物種(ものだね)だ。217(まへ)さまの(こひ)犠牲(ぎせい)貴重(きちよう)(いのち)まで(ぼう)()つては、218一向(いつかう)計算(けいさん)()てないから、219まあ此処(ここ)(ひと)つゆるりと休養(きうやう)(いた)しますワ。220ヘー(まこと)()都合(つがふ)()(わる)御座(ござ)いませうが、221成行(なりゆき)だと(あきら)めて、222()勘弁(かんべん)(くだ)さいませ。223(なに)()つても、224竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)(さま)()肉体(にくたい)だから、225(たい)したものだ。226(わたし)(やう)足弱(あしよわ)は、227到底(たうてい)貴女(あなた)同様(どうやう)には()きませぬワイ。228()うして大地(だいち)背中(せなか)密着(みつちやく)させて()ると、229(なん)ともなしに気分(きぶん)(よろ)しい。230……()(なか)()(ほど)(らく)はなきものを、231()きて(はたら)馬鹿(ばか)のたわけ……とか(まを)しましてなア、232(いのち)()らずの(むか)()ずに(はたら)(やう)馬鹿(ばか)は、233マアマア一人(ひとり)(くらゐ)なものでせうかい、234アツハヽヽヽ、235ウツフヽヽヽ』
236黒姫(くろひめ)『コレコレ両人(りやうにん)237丁寧(ていねい)()へば、238丁寧(ていねい)()うと()つて不足(ふそく)をいふなり、239どうしたらお(まへ)さま、240()()るのだい。241ホンにホンに()しがたき代物(しろもの)だなア』
242芳公(よしこう)『シロ(もの)でもクロ(もの)でも、243到底(たうてい)つづきませぬ。244第一(だいいち)245()()格納庫(かくなふこ)空虚(くうきよ)になつて(しま)つたのだから、246(ほどこ)すべき手段(しゆだん)がありませぬ。247(まへ)さまの(ふところ)()つている(その)無花果(いちじゆく)を、248せめて(はん)ジユクでも()いから(めぐ)んで(くだ)さると、249チツと(ばか)機関(きくわん)運転(うんてん)するのだがなア』
250黒姫(くろひめ)『エヽ(よわ)(をとこ)だなア。251そんなら、252(これ)(ひと)つあげるから、253半分(はんぶん)づつに()つて、254格納(かくなふ)しなさい。255そうすりや、256チツと(ばか)馬力(ばりき)()るだらう』
257房公(ふさこう)『ハイ、258どうせ()アさまから(もら)ふのだから、259(りき)()るは当然(あたりまへ)だ。260(しか)(なが)無花果(いちじゆく)(はん)ジユク(いただ)いては、261(はら)(くだ)(おそれ)があるから、262せめて二三(にさん)ジユク(くだ)さいな』
263黒姫(くろひめ)『エヽつけ(あが)りのした(をとこ)だなア。264そんなら仕方(しかた)がない、265秘蔵(ひざう)無花果(いちじゆく)だけれど、266(まへ)にあげませう。267(この)(たうげ)()(まで)果物(くだもの)がないと()(こと)だから、268(この)(おも)たいのにむしつて()たのだ。269(まへ)(たち)注意(ちゆうい)()らんから、270こんな()()ふのだよ。271それだから(かみ)(さま)食物(たべもの)粗末(そまつ)(いた)すな、272(なん)でもまつべておけ「まつべる」とは「まつむ(集む・纏む)」と同じ意味。一つに集める、纏める、という意味。……と仰有(おつしや)るのだ。273こんな(とき)になつて弱音(よわね)()き、274(こま)らない(やう)大慈(だいじ)大悲(だいひ)(かみ)(さま)が、275何時(いつ)()注意(ちうい)(あそ)ばすのだから、276これからは()をつけたが(よろ)しいぞや』
277房公(ふさこう)『イチジユク御尤(ごもつと)もで御座(ござ)います。278貴方(あなた)()(ことば)(これ)からは、279(いち)イチジユク(かう)(いた)しましてこんな破目(はめ)(おちい)らないやうに心得(こころえ)ます』
280 黒姫(くろひめ)二人(ふたり)(まへ)(ふところ)から()しては、281(ひと)つづつポイポイと()げてやる。282二人(ふたり)手早(てばや)()()(なが)ら、
283房公、芳公(いち)ジユク()ジユク……オツと(さん)ジユク、284オツと()ジユク……』
285()ひつつ(かぞ)(なが)受取(うけと)る。
286黒姫(くろひめ)『ホンに行儀(ぎやうぎ)(わる)(をとこ)だなア、287(まる)きり()(あし)容器(いれもの)みた(やう)だ。288せめて物食(ものく)(とき)()(なほ)り、289チンとして(いただ)きなさい』
290房公(ふさこう)『ハイ、291(おそ)()りました、292()注意(ちゆうい)有難(ありがた)う。293……サア芳公(よしこう)294黒姫(くろひめ)(さま)()(めぐ)みを頂戴(ちやうだい)しようぢやないか』
295芳公(よしこう)黒姫(くろひめ)さまのおかげで、296(いち)ジユク、297(いな)一命(いちめい)(たす)かりました』
298黒姫(くろひめ)黒姫(くろひめ)(たふと)いことが(わか)つただらう』
299芳公(よしこう)流石(さすが)黒姫(くろひめ)さまですワイ。300(とし)()られた(かう)で、301(なに)から(なに)まで()うお()がつきますなア、302オホヽヽヽ』
303(かた)()()げし(なが)ら、304()びつくやうにして、305矢庭(やには)(くち)(なか)捩込(ねぢこ)んで(しま)つた。306黒姫(くろひめ)(この)姿(すがた)()()()し、
307黒姫(くろひめ)『ホヽヽヽヽ』
308(わら)(なが)(はら)(かか)へる。
309大正一一・九・一二 旧七・二一 松村真澄録)
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