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第34巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 筑紫の不知火
01 筑紫上陸
〔942〕
02 孫甦
〔943〕
03 障文句
〔944〕
04 歌垣
〔945〕
05 対歌
〔946〕
06 蜂の巣
〔947〕
07 無花果
〔948〕
08 暴風雨
〔949〕
第2篇 有情無情
09 玉の黒点
〔950〕
10 空縁
〔951〕
11 富士咲
〔952〕
12 漆山
〔953〕
13 行進歌
〔954〕
14 落胆
〔955〕
15 手長猿
〔956〕
16 楽天主義
〔957〕
第3篇 峠の達引
17 向日峠
〔958〕
18 三人塚
〔959〕
19 生命の親
〔960〕
20 玉卜
〔961〕
21 神護
〔962〕
22 蛙の口
〔963〕
23 動静
〔964〕
余白歌
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第四章
歌垣
(
うたがき
)
〔九五四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第34巻 海洋万里 酉の巻
篇:
第1篇 筑紫の不知火
よみ(新仮名遣い):
つくしのしらぬい
章:
第4章 歌垣
よみ(新仮名遣い):
うたがき
通し章番号:
945
口述日:
1922(大正11)年09月12日(旧07月21日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三人は寝つきもならず、岩窟のそばの暗闇の中に端座して世の開けるのを待っていた。すると岩窟の中からウーウーと唸り声が始まり、言霊により黒姫の行為を厳しく戒める声が聞こえてきた。
黒姫は悪神の声だとして岩窟からの声に口応えを始める。芳公は神様の声にさからうものではないと黒姫を諫めるが、黒姫は自分は国治立命様の片腕たる竜宮の乙姫の生き宮だと威張りだす。
芳公と房公は、生き宮はもっと立派な人間だと思ったがだまされたと黒姫に文句をつけ始め、口喧嘩のようになってしまう。
岩窟の声はさらに言霊により黒姫の所業を並べて非難し、改心を迫る。黒姫は気色ばんで、言霊により岩窟の声に対して孫公の作り声だろうと言い返す。
岩窟の声は最後には宣伝歌にて、高山彦が女を作っていると歌い、聖地の伊勢屋の娘といちゃついていると歌うと、何者か忍ばせて岩窟から出て行った。
黒姫はけしからんことを言うと立腹するが、芳公は高姫のローマンスが神界まで聞こえているのでしょうとすっとぼける。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
オースタリヤ(竜宮島・オーストラリヤ)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-11 16:01:08
OBC :
rm3404
愛善世界社版:
42頁
八幡書店版:
第6輯 378頁
修補版:
校定版:
45頁
普及版:
19頁
初版:
ページ備考:
001
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
002
寝
(
ね
)
つきもならず、
003
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けるのをもどかしげに
待
(
ま
)
つてゐる。
004
忽
(
たちま
)
ち
傍
(
かたはら
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
より『ウーウー』と
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
が
始
(
はじ
)
まつた。
005
夜
(
よ
)
は
既
(
すで
)
に
丑満
(
うしみつ
)
の
刻
(
こく
)
である。
006
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
寂
(
せき
)
として
声
(
こゑ
)
なく、
007
蚯蚓
(
みみず
)
の
鳴声
(
なきごゑ
)
さへ
聞
(
きこ
)
える
静
(
しづ
)
かさであつた。
008
そこへ
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
からウーウーと
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
たのだから、
009
一層
(
いつそう
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
耳
(
みみ
)
には
厳
(
きび
)
しく
感応
(
こた
)
へるのであつた。
010
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より
何者
(
なにもの
)
の
声
(
こゑ
)
とも
知
(
し
)
れず、
011
(声)
『エヽヽえぐたらしい
婆
(
ばば
)
アだの。
012
折角
(
せつかく
)
ここ
迄
(
まで
)
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
た
力
(
ちから
)
になつた
孫公
(
まごこう
)
を
途中
(
とちう
)
に
見
(
み
)
すてて、
013
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
を
執
(
と
)
るとは、
014
実
(
じつ
)
にえぐい
悪魔
(
あくま
)
のやうな
精神
(
せいしん
)
だ。
015
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
閻魔
(
えんま
)
が
現
(
あら
)
はれて、
016
汝
(
なんぢ
)
が
襟首
(
えりくび
)
取
(
と
)
つ
掴
(
つか
)
み、
017
千仭
(
せんじん
)
の
谷間
(
たにま
)
へ
放
(
はう
)
り
込
(
こ
)
んでやらうか。
018
オヽヽ
鬼
(
おに
)
か
大蛇
(
をろち
)
か
曲神
(
まがかみ
)
か。
019
譬方
(
たとへがた
)
なき
人非人
(
にんぴにん
)
、
020
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
に
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ、
021
はるばる
年
(
とし
)
を
老
(
と
)
つてから、
022
亜弗利加
(
アフリカ
)
三界
(
さんがい
)
迄
(
まで
)
、
023
犬
(
いぬ
)
が
乞食
(
こじき
)
の
後
(
あと
)
を
嗅
(
かぎ
)
つけたやうにやつて
来
(
く
)
るとは、
024
さてもさても
見下
(
みさ
)
げ
果
(
は
)
てたる
婆
(
ばば
)
アぢやなア。
025
カヽヽ
烏
(
からす
)
の
様
(
やう
)
な
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
を
致
(
いた
)
して、
026
何程
(
なにほど
)
秋波
(
しうは
)
を
送
(
おく
)
つても、
027
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
見向
(
みむ
)
きも
致
(
いた
)
そまいぞや。
028
かけがへのない
大事
(
だいじ
)
の
男
(
をとこ
)
だと、
029
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
るだらうが、
030
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
天空
(
てんくう
)
海濶
(
かいくわつ
)
、
031
汝
(
なんぢ
)
が
如
(
ごと
)
き
婆
(
ばば
)
アには
一瞥
(
いちべつ
)
もくれず、
032
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に
青山
(
せいざん
)
あり、
033
行先
(
ゆくさき
)
や
吾
(
わが
)
家
(
や
)
で、
034
世界
(
せかい
)
の
女
(
をんな
)
は
残
(
のこ
)
らず
吾
(
わが
)
妻
(
つま
)
と、
035
極端
(
きよくたん
)
に
慈善
(
じぜん
)
主義
(
しゆぎ
)
を
発揮
(
はつき
)
し
居
(
ゐ
)
る、
036
気
(
き
)
の
多
(
おほ
)
い
男
(
をとこ
)
の
愛
(
あい
)
を、
037
独占
(
どくせん
)
しようと
思
(
おも
)
つても
駄目
(
だめ
)
だよ。
038
早
(
はや
)
く、
039
カヽヽ
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して
帰
(
かへ
)
つたがよからうぞ。
040
キヽヽ
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い
此
(
この
)
谷間
(
たにあひ
)
で、
041
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かし、
042
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
に
散々
(
さんざん
)
脂
(
あぶら
)
を
絞
(
しぼ
)
られて
苦
(
くる
)
しむよりも、
043
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
へ
立帰
(
たちかへ
)
れ。
044
神
(
かみ
)
は
嘘
(
うそ
)
は
申
(
まを
)
さぬぞよ』
045
黒姫
(
くろひめ
)
は
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け
乍
(
なが
)
ら……どことはなしに、
046
最前
(
さいぜん
)
の
孫公
(
まごこう
)
の
声
(
こゑ
)
に
能
(
よ
)
く
似
(
に
)
てゐるなア……と
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られてゐる。
047
黒姫
(
くろひめ
)
『コレコレ、
048
何者
(
なにもの
)
の
悪戯
(
いたづら
)
か
知
(
し
)
らぬが、
049
此
(
この
)
暗
(
くら
)
い
夜
(
よ
)
さに、
050
そんなせうもない
言霊
(
ことたま
)
は
止
(
や
)
めて
貰
(
もら
)
ひませうかい。
051
アタ
面白
(
おもしろ
)
くない、
052
悪神
(
あくがみ
)
さま
迄
(
まで
)
が、
053
高山彦
(
たかやまひこ
)
々々々
(
たかやまひこ
)
と
云
(
い
)
つて、
054
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
をからかふのだな。
055
随分
(
ずゐぶん
)
柄
(
がら
)
の
悪
(
わる
)
い
厄雑神
(
やくざがみ
)
だなア』
056
房公
(
ふさこう
)
『モシ
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
057
お
前
(
まへ
)
さまはそれだから
可
(
い
)
かぬと
云
(
い
)
ふのだ。
058
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
口答
(
くちごた
)
へをするといふ
事
(
こと
)
がありますか』
059
黒姫
(
くろひめ
)
『
黙
(
だま
)
つてゐなさい、
060
子供
(
こども
)
の
口出
(
くちだ
)
しする
所
(
ところ
)
ぢやありませぬ。
061
黒姫
(
くろひめ
)
には
勿体
(
もつたい
)
なくも、
062
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
が、
063
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
るのだから、
064
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
恐
(
おそ
)
るべき
者
(
もの
)
は、
065
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
只
(
ただ
)
一方
(
ひとかた
)
計
(
ばか
)
りだ。
066
其
(
その
)
他
(
た
)
の
神々
(
かみがみ
)
は
皆
(
みな
)
枝神
(
えだがみ
)
さまだ。
067
其
(
その
)
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
片腕
(
かたうで
)
になつて
御
(
お
)
働
(
はたら
)
き
遊
(
あそ
)
ばす
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の……ヘン
生宮
(
いきみや
)
で
御座
(
ござ
)
りますぞ。
068
何
(
なん
)
ぼ
暗
(
くら
)
いと
云
(
い
)
つても、
069
余
(
あま
)
り
見違
(
みちがひ
)
をして
貰
(
もら
)
ひますまいかい……なア
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
』
070
房公
(
ふさこう
)
『ヘーン、
071
永
(
なが
)
らく
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまを
聞
(
き
)
きませなんだが、
072
一体
(
いつたい
)
どこへ
行
(
い
)
つて
御座
(
ござ
)
つたのですか』
073
黒姫
(
くろひめ
)
『
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
肉体
(
にくたい
)
は
即
(
すなは
)
ち
黒姫
(
くろひめ
)
だ。
074
黒姫
(
くろひめ
)
の
霊
(
みたま
)
は
即
(
すなは
)
ち
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
だ。
075
それが
分
(
わか
)
らぬやうな
事
(
こと
)
で、
076
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
と
言
(
い
)
へますか』
077
芳公
(
よしこう
)
『
私
(
わし
)
は
又
(
また
)
、
078
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
はモツト
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
お
)
方
(
かた
)
で、
079
其
(
その
)
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
の
億万分
(
おくまんぶん
)
の
一
(
いち
)
程
(
ほど
)
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
に
霊
(
れい
)
が
憑
(
うつ
)
つてゐるのだと
思
(
おも
)
うてゐるのだが、
080
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
の
霊
(
みたま
)
が
全部
(
ぜんぶ
)
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
と
聞
(
き
)
いては、
081
最早
(
もはや
)
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
を
尊敬
(
そんけい
)
する
気
(
き
)
がなくなつて
了
(
しま
)
つた。
082
何
(
なん
)
だ
阿呆
(
あはう
)
らしい、
083
こんな
事
(
こと
)
なら、
084
はるばる
可愛
(
かあい
)
い
女房
(
にようばう
)
子
(
こ
)
を
棄
(
す
)
ててここ
迄
(
まで
)
従
(
つ
)
いて
来
(
く
)
るのだなかつたになア。
085
孫公
(
まごこう
)
はあんな
目
(
め
)
にあはされて、
086
くたばるし、
087
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
箔
(
はく
)
はサツパリ
剥
(
は
)
げるし、
088
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
からは
怪体
(
けつたい
)
な
声
(
こゑ
)
がするし、
089
夜
(
よ
)
は
追々
(
おひおひ
)
と
更
(
ふ
)
けて
来
(
く
)
る。
090
あゝ
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
ガツカリした
事
(
こと
)
があらうか、
091
……なア
房公
(
ふさこう
)
、
092
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けたら、
093
お
前
(
まへ
)
と
二人
(
ふたり
)
孫公
(
まごこう
)
の
坐
(
すわ
)
つてる
所
(
ところ
)
へ
往
(
い
)
つて
助
(
たす
)
け
起
(
おこ
)
し、
094
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
元
(
もと
)
の
聖地
(
せいち
)
へ
帰
(
かへ
)
らうぢやないか。
095
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
らしい
目
(
め
)
にあうたものだ』
096
黒姫
(
くろひめ
)
『コレコレ
両人
(
りやうにん
)
、
097
お
前
(
まへ
)
は
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
をまだ
諒解
(
れうかい
)
してゐないのだなア。
098
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
、
099
変幻
(
へんげん
)
出没
(
しゆつぼつ
)
極
(
きは
)
まりなき
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
を
御存
(
ごぞん
)
じないのだなア。
100
抑
(
そもそ
)
も
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
は
一朝
(
いつてう
)
時
(
とき
)
を
得
(
う
)
れば、
101
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
蟠
(
わだかま
)
り、
102
風雨
(
ふうう
)
雷電
(
らいでん
)
を
起
(
おこ
)
し、
103
地震
(
ぢしん
)
をゆらし、
104
大国治立
(
おほくにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
の
片腕
(
かたうで
)
に
御
(
お
)
立
(
た
)
ち
遊
(
あそ
)
ばすのだ。
105
今日
(
こんにち
)
は
乙姫
(
おとひめ
)
殿
(
どの
)
の
蟄伏
(
ちつぷく
)
時代
(
じだい
)
だ。
106
時
(
とき
)
到
(
いた
)
らざれば、
107
蠑螈
(
いもり
)
、
108
蚯蚓
(
みみず
)
と
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて、
109
所在
(
あらゆる
)
天下
(
てんか
)
の
辛酸
(
しんさん
)
を
嘗
(
な
)
め、
110
救世
(
きうせい
)
済民
(
さいみん
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
してゐるのだよ』
111
芳公
(
よしこう
)
『ヘーン、
112
高山彦
(
たかやまひこ
)
のハズバンドをはるばる
捜
(
さが
)
しに
廻
(
まは
)
るのが、
113
それが
救世
(
きうせい
)
済民
(
さいみん
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
と
申
(
まを
)
すのですか。
114
何
(
なん
)
と
妙
(
めう
)
な
救世
(
きうせい
)
済民
(
さいみん
)
もあつたものですなア』
115
黒姫
(
くろひめ
)
『エヽ
喧
(
やかま
)
しい。
116
ホヤホヤ
信者
(
しんじや
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
117
宣伝使
(
せんでんし
)
の
心中
(
しんちう
)
が
分
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
るものか。
118
高山彦
(
たかやまひこ
)
様
(
さま
)
は
因縁
(
いんねん
)
の
身魂
(
みたま
)
、
119
此
(
この
)
身魂
(
みたま
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
はねば、
120
経
(
たて
)
と
緯
(
よこ
)
との
仕組
(
しぐみ
)
は
成就
(
じやうじゆ
)
しませぬぞや。
121
それだから、
122
黒姫
(
くろひめ
)
がはるばると
高山彦
(
たかやまひこ
)
様
(
さま
)
を
探
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たのだよ。
123
男旱
(
をとこひでり
)
もない
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
124
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまの
様
(
やう
)
な
老人
(
としより
)
を、
125
恋
(
こひ
)
や
色
(
いろ
)
で、
126
どうして
斯
(
こ
)
んな
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
探
(
たづ
)
ねて
来
(
く
)
る
者
(
もの
)
がありませうか。
127
何程
(
なにほど
)
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い
黒姫
(
くろひめ
)
だとて、
128
ヤツパリ
女
(
をんな
)
は
女
(
をんな
)
だ。
129
捨
(
す
)
てる
神
(
かみ
)
もあれば
拾
(
ひろ
)
ふ
神
(
かみ
)
もあるのだから、
130
男
(
をとこ
)
が
欲
(
ほ
)
しければ、
131
高山
(
たかやま
)
さまだなくつても、
132
沢山
(
たくさん
)
にありますぞや。
133
人民
(
じんみん
)
と
云
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は
直
(
すぐ
)
そんな
所
(
ところ
)
へ
心
(
こころ
)
を
廻
(
まは
)
すから
困
(
こま
)
つて
了
(
しま
)
ふ。
134
チツとお
前
(
まへ
)
も
凡夫心
(
ぼんぷごころ
)
を
捨
(
す
)
てなされ。
135
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
が
笑
(
わら
)
つてゐらつしやいますよ。
136
君
(
きみ
)
ならで
誰
(
たれ
)
をか
知
(
し
)
らぬ
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
137
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
夫
(
つま
)
ぞ
志
(
し
)
たはし……オツホヽヽヽ』
138
房公
(
ふさこう
)
『ヘーン、
139
どないでも
理屈
(
りくつ
)
はつくものですなア。
140
イヤもう
貴女
(
あなた
)
の
能弁
(
のうべん
)
にはサツパリ
寒珍
(
かんちん
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
141
イヒヽヽヽ』
142
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より、
143
(声)
『イヽヽ
い
や
広
(
ひろ
)
き
筑紫
(
つくし
)
の
島
(
しま
)
を
捜
(
さが
)
す
共
(
とも
)
144
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
影
(
かげ
)
だにもなし。
145
う
ろうろとそこら
辺
(
あた
)
りをうろついて
146
しまひの
果
(
はて
)
に
糞
(
ばば
)
掴
(
つか
)
むなり。
147
あ
こがれてここ
迄
(
まで
)
来
(
きた
)
る
黒姫
(
くろひめ
)
も
148
アフンと
致
(
いた
)
して
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
くなり。
149
遠国
(
ゑ
んごく
)
を
股
(
また
)
にかけたる
黒姫
(
くろひめ
)
も
150
詮方
(
せんかた
)
なさに
涙
(
なみだ
)
こぼしつ。
151
オ
ースタリヤ
竜宮島
(
りうぐうじま
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
き
)
て
152
玉
(
たま
)
も
取
(
と
)
らずに
帰
(
かへ
)
る
憐
(
あは
)
れさ。
153
か
しましき
高姫司
(
たかひめつかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
154
竹生
(
ちくぶ
)
の
島
(
しま
)
に
玉
(
たま
)
をさがしつ。
155
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
真
(
ま
)
つ
暗
(
くら
)
やみの
岩
(
いは
)
の
前
(
まへ
)
156
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
の
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
哉
(
かな
)
。
157
暗
(
く
ら
)
がりに
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが
物
(
もの
)
を
云
(
い
)
ふ
158
狐狸
(
きつねたぬき
)
と
迷
(
まよ
)
ふ
黒姫
(
くろひめ
)
。
159
怪
(
け
)
しからぬ
悪
(
わる
)
い
心
(
こころ
)
を
発揮
(
はつき
)
して
160
孫公
(
まごこう
)
さまを
見殺
(
みごろ
)
しにする。
161
今夜
(
こ
んや
)
こそ
一
(
ひと
)
つ
脂
(
あぶら
)
を
取
(
と
)
つてやろ
162
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
白黒姫
(
しろくろひめ
)
の
顔
(
かほ
)
。
163
さ
てもさても
迷
(
まよ
)
ひ
切
(
き
)
つたる
黒姫
(
くろひめ
)
の
164
恋
(
こひ
)
の
暗
(
やみ
)
をば
如何
(
いか
)
に
晴
(
は
)
らさむ。
165
白波
(
し
らなみ
)
を
押分
(
おしわ
)
け
来
(
きた
)
る
四人
(
よにん
)
連
(
づ
)
れ
166
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
の
口車
(
くちぐるま
)
にて。
167
ス
タスタと
此
(
こ
)
れの
谷間
(
たにま
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
168
黒姫
(
くろひめ
)
の
面
(
つら
)
青
(
あを
)
く
見
(
み
)
えけり。
169
瀬
(
せ
)
を
早
(
はや
)
み
岩
(
いは
)
にせかるる
谷川
(
たにがは
)
の
170
別
(
わか
)
れて
末
(
すゑ
)
にあはれぬとぞ
思
(
おも
)
ふ。
171
空
(
そ
ら
)
を
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
を
眺
(
なが
)
めて
思
(
おも
)
ふかな
172
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
峰
(
みね
)
はいかにと。
173
立替
(
た
てかへ
)
ぢや
立直
(
たてなほ
)
しぢやと
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
174
立
(
た
)
つて
騒
(
さわ
)
いだ
黒姫
(
くろひめ
)
の
尻
(
しり
)
。
175
千早振
(
ち
はやふる
)
神代
(
かみよ
)
も
聞
(
き
)
かず
黒姫
(
くろひめ
)
の
176
黒
(
くろ
)
き
心
(
こころ
)
は
顔
(
かほ
)
に
出
(
で
)
にけり。
177
月照
(
つ
きてる
)
の
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
鎮
(
しづ
)
まりし
178
此
(
この
)
岩穴
(
いはあな
)
の
恐
(
おそ
)
ろしきかな。
179
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はぬ
黒姫
(
くろひめ
)
なれど
岩窟
(
がんくつ
)
の
180
神
(
かみ
)
の
足
(
あし
)
には
踏
(
ふ
)
まれてぞ
行
(
ゆ
)
く。
181
ト
コトンの
改心
(
かいしん
)
出来
(
でき
)
るそれ
迄
(
まで
)
は
182
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
せまい。
183
何事
(
な
にごと
)
もおのれの
我
(
が
)
では
行
(
ゆ
)
かぬもの
184
高姫司
(
たかひめつかさ
)
の
改心
(
かいしん
)
を
見
(
み
)
よ。
185
西東
(
に
しひがし
)
北
(
きた
)
や
南
(
みなみ
)
と
駆
(
かけ
)
まはり
186
玉
(
たま
)
を
捜
(
さが
)
した
心
(
こころ
)
愚
(
おろ
)
かさ。
187
烏羽玉
(
ぬ
ばたま
)
の
暗
(
やみ
)
より
暗
(
くら
)
き
黒姫
(
くろひめ
)
が
188
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
を
照
(
てら
)
せたきもの。
189
ね
んごろに
月照彦
(
つきてるひこ
)
が
説
(
と
)
きさとす
190
道
(
みち
)
を
畏
(
かしこ
)
み
守
(
まも
)
れ
三人
(
みたり
)
等
(
ら
)
。
191
の
ど
元
(
もと
)
を
過
(
す
)
ぎて
熱
(
あつ
)
さを
忘
(
わす
)
るてふ
192
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
の
心
(
こころ
)
果敢
(
はか
)
なさ。
193
春
(
は
る
)
すぎて
夏
(
なつ
)
すぎ
秋
(
あき
)
の
夕間
(
ゆふま
)
ぐれ
194
衣
(
ころも
)
の
袖
(
そで
)
に
露
(
つゆ
)
ぞこぼるる。
195
久方
(
ひ
さかた
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
を
立出
(
たちい
)
でて
196
つくしの
島
(
しま
)
に
何
(
なに
)
をさまよふ。
197
フ
サの
国
(
くに
)
北山村
(
きたやまむら
)
の
館
(
やかた
)
をば
198
後
(
あと
)
に
眺
(
なが
)
めて
黒姫
(
くろひめ
)
の
空
(
そら
)
。
199
黒姫
(
くろひめ
)
が
心
(
こころ
)
の
倉
(
くら
)
を
打
(
うち
)
あけて
200
見
(
み
)
れば
大蛇
(
をろち
)
がうごなはりゐる。
201
怪
(
け
)
しからぬ
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
行
(
おこな
)
ひを
202
何
(
なに
)
も
知
(
し
)
らずに
吐
(
ほざ
)
く
黒姫
(
くろひめ
)
。
203
屁理屈
(
へ
りくつ
)
を
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なにまくし
立
(
た
)
て
204
人
(
ひと
)
に
嫌
(
きら
)
はれ
国
(
くに
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
る。
205
惚々
(
ほ
れぼれ
)
と
高山彦
(
たかやまひこ
)
に
目尻
(
めじり
)
下
(
さ
)
げ
206
涎
(
よだれ
)
をくつた
昔
(
むかし
)
恋
(
こひ
)
しき。
207
ま
すかがみ
見
(
み
)
むと
思
(
おも
)
へば
黒姫
(
くろひめ
)
の
208
心
(
こころ
)
の
塵
(
ちり
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
へかし。
209
身
(
み
)
はここに
心
(
こころ
)
は
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
前
(
まへ
)
210
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
神
(
かみ
)
を
忘
(
わす
)
れて。
211
む
つかしき
其
(
その
)
面付
(
つらつき
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
212
高山彦
(
たかやまひこ
)
に
嫌
(
きら
)
はれぬよに。
213
目
(
め
)
をあけて
己
(
おの
)
が
姿
(
すがた
)
を
省
(
かへり
)
みよ
214
高山
(
たかやま
)
だとて
愛想
(
あいさう
)
つかさむ。
215
も
ろもろの
心
(
こころ
)
の
罪
(
つみ
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
して
216
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しせよ』
217
黒姫
(
くろひめ
)
は
稍
(
やや
)
景色
(
けしき
)
ばみ
乍
(
なが
)
ら、
218
声
(
こゑ
)
する
方
(
かた
)
に
向
(
むか
)
つて、
219
黒姫
『
や
やこしい
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
から
声
(
こゑ
)
出
(
だ
)
して
220
口
(
くち
)
騒
(
さわ
)
がしく
何
(
なに
)
吐
(
ほざ
)
くらむ。
221
い
ろいろと
人
(
ひと
)
の
欠点
(
あら
)
をば
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
222
それで
気
(
き
)
のすむ
奴
(
やつ
)
は
曲神
(
まがかみ
)
。
223
うかうかと
聞
(
き
)
いてはならぬ
房公
(
ふさこう
)
よ
224
芳公
(
よしこう
)
腹
(
はら
)
の
据
(
す
)
ゑ
所
(
どころ
)
ぞや。
225
幽霊
(
ゆ
うれい
)
のやうに
取
(
と
)
りとめないことを
226
岩
(
いは
)
に
隠
(
かく
)
れて
吐
(
ほざ
)
く
曲神
(
まがかみ
)
。
227
え
ら
相
(
さう
)
に
月照彦
(
つきてるひこ
)
の
真似
(
まね
)
をして
228
囀
(
さへづ
)
る
奴
(
やつ
)
は
孫公
(
まごこう
)
なるらむ。
229
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
者
(
もの
)
はない
程
(
ほど
)
に
230
おどしの
利
(
き
)
かぬ
黒姫
(
くろひめ
)
を
知
(
し
)
れ。
231
来年
(
ら
いねん
)
のこと
言
(
い
)
や
鬼
(
おに
)
が
笑
(
わら
)
へ
共
(
ども
)
232
吾
(
わが
)
行
(
ゆ
)
く
末
(
すゑ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るがよい。
233
理屈
(
り
くつ
)
計
(
ばか
)
り
吐
(
ほざ
)
く
舌
(
した
)
こそ
達者
(
たつしや
)
でも
234
身
(
み
)
の
行
(
おこな
)
ひのそはぬ
孫公
(
まごこう
)
。
235
累卵
(
る
ゐらん
)
の
危
(
あやふ
)
き
身
(
み
)
とは
知
(
し
)
らずして
236
黒姫
(
くろひめ
)
さまを
嬲
(
なぶ
)
る
身知
(
みし
)
らず。
237
恋慕
(
れ
んぼ
)
した
高山彦
(
たかやまひこ
)
のこと
計
(
ばか
)
り
238
意地
(
いぢ
)
くね
悪
(
わる
)
い
孫公
(
まごこう
)
が
言
(
い
)
ふ。
239
ろ
くでない
其
(
その
)
託宣
(
たくせん
)
はやめてくれ
240
耳
(
みみ
)
がいとなる
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つぞよ』
241
岩窟
(
がんくつ
)
の
中
(
なか
)
より、
242
一層
(
いつそう
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
243
(声)
『
わ
からない
奴
(
やつ
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
計
(
ばか
)
りなり
244
暗
(
やみ
)
に
迷
(
まよ
)
ふも
無理
(
むり
)
であるまい。
245
ゐ
つまでも
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
となり
果
(
は
)
てて
246
此処迄
(
ここまで
)
来
(
き
)
たか
可哀相
(
かはいさう
)
な
婆
(
ばば
)
。
247
う
つつにも
夢
(
ゆめ
)
にも
高山
(
たかやま
)
々々
(
たかやま
)
と
248
吐
(
ほざ
)
く
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
くぞうたてき。
249
ゑ
ん
切
(
き
)
つた
男
(
をとこ
)
の
尻
(
しり
)
を
追
(
お
)
ひまはし
250
アフンとやせむアフリカの
野
(
の
)
で。
251
を
に
大蛇
(
をろち
)
狼
(
おほかみ
)
さやぐアフリカの
252
荒野
(
あらの
)
さまよふ
恋
(
こひ
)
の
虜
(
とりこ
)
が。
253
ウツフヽヽ、イツヒヽヽ
254
是
(
こ
)
れからは
月照彦
(
つきてるひこ
)
も
宿
(
やど
)
を
替
(
か
)
へ
255
火
(
ひ
)
の
都
(
みやこ
)
へと
進
(
すす
)
みゆかなむ。
256
黒姫
(
くろひめ
)
よ
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をあて
思案
(
しあん
)
せよ
257
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
独身
(
ひとり
)
でないぞよ。
258
房公
(
ふさこう
)
よ
早
(
はや
)
く
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めて
259
黒姫
(
くろひめ
)
さまを
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
るべし。
260
芳公
(
よしこう
)
よよしや
天地
(
てんち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
261
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
に
従
(
つ
)
いちやならぬぞ。
262
孫公
(
まごこう
)
はモウ
今頃
(
いまごろ
)
は
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
263
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
側
(
そば
)
にゐるだろ。
264
高山彦
(
たかやまひこ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
の
265
様
(
やう
)
な
女房
(
にようばう
)
は
好
(
す
)
かれまいぞや。
266
淡雪
(
あはゆき
)
の
若
(
わか
)
やる
胸
(
むね
)
をそだたきて
267
玉手
(
たまで
)
さしまきいねます
高山彦
(
たかやまひこ
)
。
268
黒姫
(
くろひめ
)
がこんな
所
(
ところ
)
を
眺
(
なが
)
めたら
269
さぞや
目玉
(
めだま
)
を
白黒
(
しろくろ
)
にせむ。
270
まなじりをつけ
上
(
あ
)
げ
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らして
271
鼻息
(
はないき
)
あらく
熱
(
ねつ
)
を
吹
(
ふ
)
くらむ。
272
いざさらば
月照彦
(
つきてるひこ
)
もこれよりは
273
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
をみすててぞゆく。
274
小島別
(
こじまわけ
)
教司
(
をしへつかさ
)
の
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
275
あらはれましし
岩窟
(
いはや
)
恋
(
こひ
)
しき。
276
古
(
いにしへ
)
の
建日
(
たけひ
)
の
別
(
わけ
)
の
御
(
おん
)
跡
(
あと
)
を
277
後
(
あと
)
にみすてて
行
(
ゆ
)
くぞ
悲
(
かな
)
しき。
278
孫公
(
まごこう
)
はさぞ
今頃
(
いまごろ
)
は
面白
(
おもしろ
)
く
279
可笑
(
をか
)
しき
歌
(
うた
)
をうたひ
居
(
を
)
るらむ。
280
アハヽヽヽ、オホヽヽヽ、と
笑
(
わら
)
ひこけ
281
エヘヽヽ、イヒヽ、
今
(
いま
)
ここを
去
(
さ
)
る。
282
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
に
鳴
(
な
)
かぬ
烏
(
からす
)
の
声
(
こゑ
)
きけば
283
あはれぬ
先
(
さき
)
の
高山彦
(
たかやまひこ
)
ぞ
恋
(
こひ
)
しき。
284
黒姫
(
くろひめ
)
がいかに
心
(
こころ
)
を
焦
(
こが
)
す
共
(
とも
)
285
高根
(
たかね
)
の
花
(
はな
)
よ
手折
(
たを
)
られもせず。
286
今頃
(
いまごろ
)
は
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
聖地
(
せいち
)
にて
287
伊勢屋
(
いせや
)
の
娘
(
むすめ
)
と
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
むらむ。
288
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
紫玉
(
むらさきだま
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
289
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
は
愛想
(
あいさう
)
つかして。
290
黒姫
(
くろひめ
)
に
肱鉄砲
(
ひぢでつぱう
)
をくはしつつ
291
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
にかくれましけり』
292
と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
293
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせ、
294
何処
(
どこ
)
ともなく
行
(
い
)
きて
了
(
しま
)
ひけり。
295
黒姫
(
くろひめ
)
『コレ
房
(
ふさ
)
、
296
芳
(
よし
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
297
今
(
いま
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
きましたか、
298
怪
(
け
)
しからぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふぢやないかい』
299
芳公
(
よしこう
)
『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
りませぬが、
300
実
(
じつ
)
に
感心
(
かんしん
)
な
歌
(
うた
)
でしたよ、
301
あの
神
(
かみ
)
さまの
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
りですもの。
302
余程
(
よほど
)
黒姫
(
くろひめ
)
さまも、
303
神界
(
しんかい
)
迄
(
まで
)
ローマンスが
話
(
はなし
)
の
種
(
たね
)
になつてるとみえますな、
304
アツハヽヽヽ』
305
黒姫
(
くろひめ
)
『オホヽヽヽ』
306
(
大正一一・九・一二
旧七・二一
松村真澄
録)
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