第四章 霊の淫念〔一一九四〕
インフォメーション
著者：出口王仁三郎
巻：霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇：第1篇 小北の特使
よみ（新仮名遣い）：こぎたのとくし
章：第4章 霊の淫念
よみ（新仮名遣い）：みたまのいんねん
通し章番号：1194
口述日：1922（大正11）年12月11日（旧10月23日）
口述場所：
筆録者：松村真澄
校正日：
校正場所：
初版発行日：1924（大正13）年9月12日
概要：
舞台：
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]：蠑螈別は数多の神が自分の体に出入りするので、神様にお神酒を祀るのだと言って、朝から晩まで酒盛りをしていた。
お寅に酌をさせながら高姫を思ったり、奥の間に居る松姫をお酌に呼ばせようとしたりして、お寅と喧嘩になってしまう。
お寅は嫉妬のあまり、松彦を受け付けに待たせていることも忘れて蠑螈別を押さえつけ、徳利や盃はめちゃめちゃに砕けた。
魔我彦がやってきてお寅をたしなめるが、お寅は蠑螈別に思われてウラナイ教に入ってやったのに、その恩も忘れてほかの女に色目を使うと怒って、ますます蠑螈別を押さえつけ殴りつける。蠑螈別は助けてくれと叫ぶ。
文助がやってきて、教祖が呼び戻した末代日の王天の神の身魂という松彦が、受け付けでしびれを切らしていると注進する。お寅は蠑螈別を離し、捨て台詞を残して受付に帰って行く。
魔我彦はこんな醜態を松彦たちに見られてはたいへんと蠑螈別を奥へ引っ張って行って寝かせてしまった。お寅は松彦一行を導き、この場の荒れた様子を猫のせいにして魔我彦に片付けさせた。
お寅は、奥にいる松姫は上義姫の身魂であり、松彦と夫婦となって活動する因縁なのだという。松彦は迷惑な話だと居住まいを正している。万公は偽の神がかりをやって、自分は耕し大神だと自称する。
奥からは蠑螈別が、お寅をからかったために大変な目にあった、高姫がなつかしいとうわごとを言っているのが聞こえてきた。お寅は病気の信者に悪霊がかかって、教祖の声色でひとをだますのだとごまかしている。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]：
備考：
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データ凡例：
データ最終更新日：2023-02-22 17:22:21
OBC ：rm4504
愛善世界社版：54頁
八幡書店版：第8輯 272頁
修補版：
校定版：58頁
普及版：23頁
初版：
ページ備考：
001朝から晩まで酒盛の 003数多の神の出入に 004酒を祀ると云ひ乍ら 010天津祝詞の言霊を 011呂律もまはらぬ舌の根に 015唱へて又もや神様に 018真昼が来れば神前に 019足許怪しく進みより 021御国を来らせ玉へかし 023地にも天国建てさせよ 026肴をドツサリ前に据ゑ 027曲津の神の御光来 029絶対的に博愛の 030趣旨を貫徹させ乍ら 034南無阿弥陀仏南無阿弥陀 035般若心経波羅蜜経 036節面白く唱へ上げ 037三教合同の御本尊 039天晴れ教主と成りすまし 040酒の機嫌でドラ声を 041張上げ唸るお寅さま 042小皺のよつた手を出して 045前につき出し目を細うし 046お酒の功徳も大広木 051お寅よお前は偉い奴 055お前の優しい其目許 057あまり勢が強い故 058情が余つて迸り 061さは去り乍ら之も亦 062正宗さまの御酒に 064却て私は有難い 065可愛いお方が好き好む 066霊の籠つた露ぢやもの 067如何して不足に思ひませう 069又もや前に突出せば 070正宗さまは悦に入り 071あゝ世の中に酒と云ふ 072奴程可愛いものはない 073お酒が俺の生命だ 074酒さへあらば如何様な 084大けな口を開け乍ら 088肝腎要の肉の宮 096お前ぢや根つから気がゆかぬ 097大奥に居る上義姫 098肉の宮をば呼んで来て 104可笑しう此世が渡れない 113過ぎし逢瀬の睦言を 116私は今は年老つて 118浮木の村の侠客で 122何程神が沢山に 123お出入りなさるか知らね共 125お変り易い恋衣 127私も了見ある程に 128覚えてゐろよと言ひ乍ら 132力に任せてグツと取り 133コリヤコリヤ正宗大広木 135お寅の腕には骨がある 139蠑螈別は泡を吹き 140顔を蒼青にサツと変へ 144松姫さまの上義姫 145肉の宮をば思ひ切り 146お前を大事にする程に 147放せよ放せ胸倉を 150許してくれよと手を合はし 151剛情我慢の正宗も 152命惜さに詫入れば 155砕けて笑ふ面白さ 156ガチヤン ガチヤンと拍子取り 157土瓶は躍る徳利舞ふ 160姿小さく数多く 162お寅は尚も承知せず 163コリヤコリヤ正宗大広木 166聞くよな婆ぢやない程に 171悋気の勢凄じく 173目を白黒とさせ乍ら 175金輪奈落天が地と 176なる世が来ても正宗は 177決してお前を捨てはせぬ 178疑はらして其手をば 180折角呑んだ酒迄が 181早遠国へ出奔し 182ゾツと身に沁む秋の風 184身体一面慄ひ出した 187涙と共に手を合せ 188願へばお寅はつけ上り 191怪体な細目をむきやがつて 192私を盲目にしたぢやないか 195たかが男の一人位 196殺した所で何惜い 197観念せよと言ひ乍ら 198怒りの面色凄じく 199何時果つべしとも見えざりし 201魔我彦さまの義理天上 202日の出神の肉宮が 203見るより忽ち仰天し 206魔我彦漸く口をあけ 209なぜ其様に失礼な 212神の教の教祖様 213神の出入の生宮を 214打擲するとは何の事 215覿面に罰が当るぞや 216早く其手を放さんせ 218コリヤコリヤ魔我彦義理天上 224一切曝露して了ふ 225実の所は此お寅 227夜は暖き敷蒲団 228恩も知らずに此色魔 230御用を遊ばす松姫に 231秋波を送り二世三世 232百生迄も夫婦ぞと 234邪魔者扱にさらす故 237子供の出て来る幕でない 240お前の足元明い内 245中々改心致すまい 246ここらが百尋胃袋と 251半死半生の為体 253苦しい苦しい魔我彦よ 256お寅といふ奴アこれ程に 257悋気の強い女だと 259助けてくれえと声限り 261目かいの見えぬ文助が 264末代日の王天の神 266しびれ切らして待つて厶る 270痛い痛いと仰有るが 271頭痛がするのか但し又 272お肩がこるのか知らね共 274御無礼になるかも知れませぬ 275目かいの見えぬ文助は 276此場の様子を露知らず 277平気な事を言うてゐる 280末代日の王天の神 281此門口に待つて厶る 282コリヤコリヤ正宗大広木 283末代様のお出で故 284今日は許しておく程に 288覚悟はよいかと云ひ乍ら 291涙を拭ふ可笑しさよ 292お寅は尻目にかけ乍ら 295受付さして出でて行く。
296 お寅婆アさまの受付へ出た後で、297魔我彦は松彦にこんな所を見られては大変だと思ひ、298蠑螈別の手を引いて奥の一間へ寝かせて了つた。299蠑螈別は夢現になつて、300訳の分らぬ事を呶鳴つてゐる。301其間にお寅は松彦一行を叮嚀に導き、302奥の間へ伴れて来た。
303お寅『あゝあ、304油断のならぬ悪い猫奴が徳利をこかす、305盃をふみわる、306なんのこつちやいな、307エーエ気のつかぬ、308魔我彦は何しとるのぢやいな。309其間に座敷を片付けてくれるかと思ひ、310ワザと暇を入れて居つたのに……私がしたのだないから知らぬ……といふ様な他人行儀の魔我彦の仕方、311エーエ仕方のないものだ』
313松彦『お寅さま、314大変大きな猫がゐると見えますなア。315盃を踏みわるなんて、316随分立派な物でせう』
317 魔我彦は次の間からヌツと顔を出した。318お寅は目に角を立て、
319お寅『コレ、320天上さま、321気のつかぬ方ぢやなア。322これ程猫があばれてるのに、323なぜ片付けないのだい。324お客さまがお出でになつたのに、325みつともないぢやないか』
326魔我『ハイ実の所は牡猫と牝猫が二疋やつて来やがつて、327噛み合ひをやつたのですよ。328牡の方は酒の好きな猫で、329ヘベレケになり、330一方はドテライ牝猫で而も寅猫でした。331滅多矢鱈に咬合ふものだから、332火箸でなぐらうと思うたトタンに、333猫はなぐれず盃をなぐつて、334此通りメチヤメチヤにして了うたのですよ』
335お寅『エーエ、336何をさしても気の利かぬ方だな、337サア、338早く片付けなさい、339人様にザマが悪いぢやないかい』
340 魔我彦は苦笑ひし乍ら、
341魔我『ザマの悪い事は誰がしたのだ。342ヘン馬鹿らしい』
343と口の中で呟き乍ら、344不精無精に座敷を片づける。345松彦一党は居間の入口に手持無沙汰な風をして立待ちをして居る。346魔我彦はあわただしく一間の掃除をなし、347火鉢、348鉄瓶、349徳利、350膳などの置場所を直し、351座蒲団を七枚布き終り、
352魔我『サアえらうお待たせしました。353末代日の王天の大神の生宮様、354どうぞ正座にお直り下さいませ』
355松彦『天の大神も随分落ちぶれて居りました』
356と言ひ乍ら、357差図する儘に正座に坐つた。
358お寅『これはこれはよくマアお出で下さいました。359上義姫様の肉の宮が大変にお待受で厶いますよ。360神様だつて夫婦がなければ、361誠の御神業は出来ませぬからなア』
362松彦『吾々にはそんな粋事はありませぬ。363お見かけ通りの木石漢ですからなア』
364 お寅はツツと傍へ寄り、365松彦の手の甲をソツと押へて細目をし乍ら、
366お寅『ヘヽヽ、367うまい事を仰有いますな。368流石姫殺だ。369恋の上手はやつれてかかるとか言ひましてな。370本当に至れり尽せりだ。371蠑螈別オツトドツコイ……大分に違ひますわい。372此婆アだつて貴方の様な男らしい生神様だつたら、373モウ二十年も若かつたら一苦労して見ますがなア。374ホツホヽヽヽ』
375 松彦は渋をかんだ様な面付で、
376松彦『どうぞ揶揄はやめて下さい。377吾々は大切な御用のある身体、378其寸暇を伺つてあなたのお勧めに任せ参つたのですから、379下らぬ話をなさるのならば、380最早お暇を致します』
381と箱さしたやうなスタイルでキチンとすわつてゐる。
382お寅『これはしたり、383誠に失礼なことを申上げました。384併しねえ、385さう仰有つても、386ヤツパリ人間には裏表がありますからなア』
388魔我『末代日の王様の生宮様、389よくマア御入来下さいました。390神政成就の太柱様、391どうぞあなたも身魂の因縁だから、392他所へは行かずに、393神政成就の暁迄、394何卒ここに御逗留を願ひます』
395松彦『それは聊か迷惑、396半時ばかり御邪魔を致し、397今度は是非共お暇を頂きませう』
398魔我『何と仰有つても、399身魂の因縁で引寄せられ遊ばしたのだから、400そりや駄目でせう。401マアゆつくりとして下さいませ』
403万公『モシ義理天上さま、404此ブラリ彦は何時帰つたら宜しいかな』
405魔我『どうぞ貴方の御随意になさつて下さいませ。406御都合が悪ければ、407今直に御帰りになりましても構ひませぬ』
408万公『山竹姫の口から生れた生宮ぢやないが、409マンマンマン ウマーと呆れざるを得ませぬわい。410ヘン』
411魔我『お前はウラナイ教を研究しましたか。412ようそんな細かいことまで御存じですな』
413万公『ハイ此中でウラナイ教通と云つたら、414マア私位な者でせう。415私はお寅さまの内の入婿でしたからなア。416何か因縁があるので、417神様が知らして下さいますわ。418山竹姫さまは馬が出来たので、419ビツクリして今度目に又、420天の大神様にお祈り遊ばし、421猪を生まれたでせう。422それから又次に口から玉を生み出し、423其玉がヘグれて孔雀が生れたでせうがなア。424其位なことはチヤーンと此万公は知つてゐるのですからなア』
425魔我『成程コリヤ感心だ』
426万公『私の随意にこれから御暇を致しませうか』
427お寅『コレコレ万さま、428お前、429何時の間にそんなおかげを頂いたのだい。430それを聞くからは、431帰のうといつたとて帰なしはせぬぞや。432それではヤツパリお前の霊はブラリ彦ではなかつた。433耕し大神の霊かも知れぬぞえ。434なア魔我彦さま、435どうも耕し大神の様ですなア』
436魔我『メツタにタガヤ……シませぬぢやらうかな。437私や疑やしませぬけれどなア。438耕し大神にしてはチツと軽いやうな気がしますがなア』
439 万公は両手を組み、440目を閉ぎ『ウン』と飛上り、
441万公『コリヤ、442魔我彦、443其方は耕し大神の霊を何と心得て居る、444そんなことで義理天上日出神の生宮と言へるかア。445三千世界の事なら、446隅から隅迄、447何もかも知つて知つて知りぬいた此方だぞウ』
448魔我『ハイ恐れ入りました』
449お寅『これはこれは万公、450イヤイヤ耕し大神の生宮様、451誠にすまぬことを致しました。452コレコレお菊、453教祖様がいつも言うて厶つただらう、454お前の霊は地上姫だ、455地上姫の夫は耕し大神の生宮と仰有つたぢやないか。456サア早うこちらへ来て御挨拶を申上げないか』
457と大きな声で呼ばはつた。458お菊は驚いて此場に走り来り、
459お菊『お母アさま、460耕し大神の生宮さまて、461どなた？ 此お方ですか』
462と松彦を指さす。463万公は包みきれぬ嬉しさと可笑しさを無理に笑ふまいと気張つてゐる。464成るべくコクメンな素知らぬ体を装うとしたが、465どうしても堪へ切れなくなり、
468お寅『マアマア耕し大神様の御機嫌のよいこと、469ソラさうだろ、470永らく地の底へ落ぶれて厶つたのだもの、471ここで肉の宮と肉の宮の御対面を、472天晴と現はれてなさつたのだから嘸御満足で厶いませう。473コレお菊、474耕し大神の肉の宮はあの万公さまだよ』
475お菊『エーエ好かンたらしい、476あたしイヤだわ。477あんな黒い褌しとつた男、478それお母アさま、479にえ茶を呑ンでこけた時、480あれ思ひ出すと、481何ぼ耕し大神さまだつて、482愛想がつきますワ』
487アク『何とマア都合のよい教だなア。488俺も今日からスツパリとウラナイ教へ入れて貰はうか知らぬてなア。489サア何と言つたらよからうかな。490アクビ直し彦でもつまらぬし……ウンさうだ、491同じアのつく天若彦になつてやらう。492ウンウンウン』
494アク『此方は悪にみせて善を働く天若彦であるぞよ』
497お寅『おきやんせいなア。498そんな受売をしたつて誰が買ふものか。499よいかげんに冗談もなさるがよい。500悪垂彦命奴が』
501アク『あゝあ、502たうとう尻尾を見られて了つた』
503お寅『心得なされや、504私の前だからよいが、505よそへ行つて、506そんな山子をなさると、507ドテライ恥をかきますぞや』
508五三『ウツフヽヽヽ、509たうとう悪の企みの現はれ口だ。510口は災の門とは能く云つたものだな、511無茶苦茶に口をアクとアカンことになるのだ、512のうテク、513タク、514俺達の面よごしだ』
515アク『万公だつて、516さうぢやないか、517万公の言ふことが通用して、518俺のいふことが通用せぬといふ理屈がどこにあるかい』
519五三『アリヤ万が良いのだ。520アハヽヽヽ』
521松彦『肝腎の大広木正宗さまは何処にゐられますか。522私は正宗様に会うてくれと仰有つたので参つたのですが、523御本人が居られぬとすれば仕方がありませぬ。524帰りませうかな』
525お寅『ヤ、526居られます。527併し今御神懸の最中ですから、528どうぞ暫く御待ち下さいませ。529奥の間にお伺ひの最中で厶います』
530松彦『私も何となく気がせきますから、531そんなら私の方から伺ひませう』
532とツツと立ち、533行かうとする、534お寅は酔ひつぶれた蠑螈別を見られては大変と、535両手を拡げ、
536お寅『マアマアマア、537待つて下さい。538今貴方に行かれては、539一寸都合の悪いことが厶います』
540五三『松彦さま、541酒に酔うて厶るのですよ。542受付へ聞えとつたでせう、543此お寅さまと酒に酔ひ、544イチヤ付喧嘩をして、545胸倉をとられたり、546頭をコツかれたり、547助けてくれ……と叫んでゐられたでせう。548盃を破つたのも猫ぢやありませぬよ、549皆二人の意茶付喧嘩の産物です、550シツカリせぬとゴマかされて了ひますで』
551松彦『アハヽヽヽ、552人さまの内のことは言ふものぢやない。553沈黙しなさい』
554と云ひ乍ら再び元の座に着いた。555隣の間には蠑螈別が酒に酔ひつぶれ、556うつつになつて囈語を言ひ出した。557其声は次の間へ筒抜けに聞えて来る。
558蠑螈『あゝあ、559エライことになつたものだ。560つひ酒の勢で南瓜みたやうなお寅婆アをなぶつたのが病み付で、561こんな目に会はされたのだ。562あゝあ之を思へば高姫は親切だ。563あゝあ高姫は如何して居るだらうなア。564高姫ー々々、565会ひたいわいのう。566ウニヤ ウニヤ ウニヤ ウーン』
567 お寅の顔色は俄に変つて来た。
568魔我『エヘヽヽヽお寅さま、569お気のもめる事でせうなア』
570お寅『アリヤ信者の病人があんなこと言つてるのだよ。571ここへ時々気のふれた者が参つて来るから……厄介な事だ』
572魔我『それでも教祖さまの声にソツクリぢやありませぬか』
573お寅『サアそこが気違だ。574悪神が憑つて教祖様の声色を使つてるのだ。575そんなことが分らいで、576仮令看板丈でも、577副教祖が勤まりますか。578すまないが此お寅は教祖様の……ウンではない……エヽ二世の○○だよ。579お寅さまを差おいてヅケヅケと言ふものでない。580スツ込んでゐなされや』
581魔我『義理天上日出神もお寅さまにかかつては駄目ですわい』
582 万公は長らく手を組んでゐたが、583足はしびれ、584手はだるくなつて堪え切れなくなり、585ワザとにドスンと飛上り、586空呆けた顔をし乍ら、
587万公『あゝ、588あゝ大変な夢を見て居つた。589綺麗な別嬪さまと祝言の盃をしたと思へば……何だ夢だつたかいな。590オヽそれそれ其お菊とソツクリの女だつた。591何とマア妙なことがあるものだなア』
592お寅『ナアニ、593お菊と同じ美人と結婚をしたことが霊眼にうつつたのかな。594オヽさうだろさうだろ、595それで益々確実になつて来た。596神様の仰有つたことは違はぬワイ……神様、597有難う厶います、598惟神霊幸倍坐世』
599と蠑螈別の腹立を忘れてお菊の為に祈つてゐる。
600（大正一一・一二・一一 旧一〇・二三 松村真澄録）
霊界物語.ネット～出口王仁三郎 大図書館～