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天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
01 松風
〔1191〕
02 神木
〔1192〕
03 大根蕪
〔1193〕
04 霊の淫念
〔1194〕
第2篇 恵の松露
05 肱鉄
〔1195〕
06 唖忿
〔1196〕
07 相生の松
〔1197〕
08 小蝶
〔1198〕
09 賞詞
〔1199〕
第3篇 裏名異審判
10 棚卸志
〔1200〕
11 仲裁
〔1201〕
12 喜苔歌
〔1202〕
13 五三の月
〔1203〕
第4篇 虎風獣雨
14 三昧経
〔1204〕
15 曲角狸止
〔1205〕
16 雨露月
〔1206〕
17 万公月
〔1207〕
18 玉則姫
〔1208〕
19 吹雪
〔1209〕
20 蛙行列
〔1210〕
余白歌
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第一三章
五三
(
いそ
)
の
月
(
つき
)
〔一二〇三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第3篇 裏名異審判
よみ(新仮名遣い):
うらないしんぱん
章:
第13章 五三の月
よみ(新仮名遣い):
いそのつき
通し章番号:
1203
口述日:
1922(大正11)年12月12日(旧10月24日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
お寅はお菊に続いてあたりの空気が濁るような音調で歌いだした。お寅は千両の金を熊公にゆすり取られたことに文句を言い、ここに祀った神の力がないことに怒りとあきれを表す歌を歌った。
歌の最後にお寅は奥歯で舌を噛み、やっぱり神の諭しがあったのかとにわかにまた心を変えた。
五三公は高姫や黒姫が悪神に憑依されて作り、自ら愛想をつかして出て行ったウラナイ教の神々を祀ることの危険を注意し、一同に改心を促す歌を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-28 20:40:41
OBC :
rm4513
愛善世界社版:
213頁
八幡書店版:
第8輯 325頁
修補版:
校定版:
224頁
普及版:
83頁
初版:
ページ備考:
001
お
寅
(
とら
)
はお
菊
(
きく
)
の
後
(
あと
)
について
皺枯声
(
しわがれごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げながら
四辺
(
あたり
)
の
空気
(
くうき
)
が
濁
(
にご
)
るやうな
音調
(
おんてう
)
で
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
002
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
は
楯
(
たて
)
に
罅
(
ひび
)
が
入
(
はい
)
つたやうにビイビイと
一同
(
いちどう
)
の
耳
(
みみ
)
に
不快
(
ふくわい
)
に
伝
(
つた
)
はり
鼓膜
(
こまく
)
を
刺戟
(
しげき
)
する
事
(
こと
)
最
(
もつと
)
も
甚
(
はなは
)
だし。
003
お寅
『
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
004
みまへを
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひて
005
山
(
やま
)
と
川
(
かは
)
との
種々
(
くさぐさ
)
の
006
珍
(
めづ
)
らし
物
(
もの
)
を
奉
(
たてまつ
)
り
007
蓄
(
た
)
めて
置
(
お
)
いたる
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
008
金
(
かね
)
迄
(
まで
)
スツパリ
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
009
此
(
この
)
よに
沢山
(
たくさん
)
宮
(
みや
)
を
立
(
た
)
て
010
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
神
(
かみ
)
011
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
大将軍
(
だいしやうぐん
)
012
朝日
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
013
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
や
きつく
姫
(
ひめ
)
014
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
地上姫
(
ちじやうひめ
)
015
天若彦
(
あまわかひこ
)
や
定子姫
(
さだこひめ
)
016
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
や
金竜姫
(
きんりうひめ
)
017
金山姫
(
かなやまひめ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
018
種物
(
たねもの
)
神社
(
じんじや
)
大御神
(
おほみかみ
)
019
へぐれのへぐれのへぐれ
武者
(
むしや
)
020
へぐれ
神社
(
じんじや
)
迄
(
まで
)
立
(
た
)
て
並
(
なら
)
べ
021
これ
程
(
ほど
)
信神
(
しんじん
)
して
居
(
ゐ
)
るに
022
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
うてか
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
023
あの
悪者
(
わるもの
)
がやつて
来
(
き
)
て
024
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
をぼつたくり
025
肩
(
かた
)
を
怒
(
いか
)
らしスタスタと
026
帰
(
かへ
)
つて
往
(
い
)
くのを
眺
(
なが
)
めつつ
027
そしらぬ
顔
(
かほ
)
で
厶
(
ござ
)
るとは
028
聞
(
きこ
)
えませぬぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
029
私
(
わたし
)
は
心
(
こころ
)
で
思
(
おも
)
ふには
030
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
やるのは
惜
(
をし
)
けれど
031
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
神罰
(
しんばつ
)
で
032
この
坂道
(
さかみち
)
の
中
(
なか
)
程
(
ほど
)
で
033
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
つて
金縛
(
かなしば
)
り
034
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
もならぬよに
035
なつて
熊公
(
くまこう
)
が
心
(
こころ
)
から
036
前非
(
ぜんぴ
)
をくいて
改心
(
かいしん
)
し
037
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
どころか
一文
(
いちもん
)
も
038
入
(
い
)
らないこれは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
039
お
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
す
其
(
その
)
かはり
040
私
(
わたし
)
をたすけて
下
(
くだ
)
されと
041
吠面
(
ほえづら
)
かはいて
来
(
く
)
るだらうと
042
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
も
当
(
あて
)
はずれ
043
みすみす
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
の
金取
(
かねと
)
つた
044
男
(
をとこ
)
を
無事
(
ぶじ
)
にいなすとは
045
ミロク
成就
(
じやうじゆ
)
の
神
(
かみ
)
さまも
046
常世
(
とこよ
)
の
姫
(
ひめ
)
も
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
047
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
になつたのか
048
呆
(
あき
)
れて
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
へませぬ
049
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
力
(
ちから
)
の
無
(
な
)
い
050
ガラクタ
神
(
がみ
)
だと
思
(
おも
)
うたら
051
俄
(
にはか
)
に
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つて
来
(
き
)
た
052
こんな
事
(
こと
)
なら
平常
(
ふだん
)
から
053
色々
(
いろいろ
)
ざつたと
気
(
き
)
をつけて
054
お
給仕
(
きふじ
)
するのぢや
無
(
な
)
かつたに
055
愛想
(
あいさう
)
が
尽
(
つ
)
きたユラリ
彦
(
ひこ
)
056
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
神
(
かみ
)
057
上義
(
じやうぎ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
松姫
(
まつひめ
)
も
058
サツパリ
宛
(
あて
)
にはなりませぬ
059
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
と
思
(
おも
)
うたら
060
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
狼
(
おほかみ
)
だ
061
狼
(
おほかみ
)
住
(
す
)
まう
此
(
この
)
山
(
やま
)
に
062
熊公
(
くまこう
)
の
野郎
(
やらう
)
がやつて
来
(
き
)
て
063
四
(
よ
)
つ
足
(
あし
)
同様
(
どうやう
)
な
行
(
おこな
)
ひを
064
致
(
いた
)
してお
寅
(
とら
)
を
苦
(
くる
)
しめた
065
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
熊
(
くま
)
のやつ
066
三
(
みつ
)
つ
巴
(
どもゑ
)
になり
果
(
は
)
てて
067
何
(
なん
)
ぢやかンぢやと
争
(
あらそ
)
ひつ
068
早
(
はや
)
暮
(
く
)
れかかる
冬
(
ふゆ
)
の
空
(
そら
)
069
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つのか
寒
(
さむ
)
いのか
070
体
(
からだ
)
がブルブル
慄
(
ふる
)
て
来
(
き
)
た
071
叶
(
かな
)
はぬから
叶
(
かな
)
はぬから
072
本当
(
ほんたう
)
に
誠
(
まこと
)
に
耐
(
たま
)
らない
073
力
(
ちから
)
も
徳
(
とく
)
もない
神
(
かみ
)
だ
074
これこれ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまよ
075
ものも
言
(
い
)
はない
神
(
かみ
)
さまを
076
何程
(
なにほど
)
お
給仕
(
きふじ
)
した
所
(
とこ
)
で
077
カラキシ
駄目
(
だめ
)
ぢやありませぬか
078
即座
(
そくざ
)
に
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れる
079
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
さま
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
られ
080
どうして
後
(
あと
)
にぬつけりと
081
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かほ
)
で
居
(
ゐ
)
られよか
082
お
寅
(
とら
)
の
腕
(
うで
)
には
骨
(
ほね
)
がある
083
これから
熊公
(
くまこう
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
084
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
085
彼奴
(
きやつ
)
の
胸倉
(
むなぐら
)
グツと
取
(
と
)
り
086
一
(
いつ
)
たんとつた
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
087
引
(
ひ
)
き
戻
(
もど
)
さいで
置
(
お
)
くものか
088
まさかの
時
(
とき
)
に
助
(
たす
)
かろと
089
思
(
おも
)
ふが
故
(
ゆゑ
)
に
朝晩
(
あさばん
)
に
090
神
(
かみ
)
のお
給仕
(
きふじ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ
091
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
の
神
(
かみ
)
さまに
092
何程
(
なにほど
)
頼
(
たの
)
んで
見
(
み
)
たとこで
093
聞
(
き
)
いて
呉
(
く
)
れそな
事
(
こと
)
はない
094
何程
(
なにほど
)
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
ぢやとて
095
ビタ
一文
(
いちもん
)
も
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ぬ
096
貧乏
(
びんばふ
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
計
(
ばつか
)
りだ
097
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
098
汗
(
あせ
)
や
膏
(
あぶら
)
で
拵
(
こしら
)
へた
099
お
神酒
(
みき
)
を
喰
(
くら
)
ひ
飯
(
めし
)
を
食
(
く
)
ひ
100
海河
(
うみかは
)
山野
(
やまの
)
くさぐさの
101
百味
(
ひやくみ
)
の
飲食
(
おんじき
)
居
(
ゐ
)
ながらに
102
頂
(
いただ
)
きながら
一言
(
ひとこと
)
も
103
何
(
なん
)
とも
彼
(
か
)
とも
云
(
い
)
はぬ
奴
(
やつ
)
104
拝
(
をが
)
んだところで
何
(
なん
)
になる
105
吾
(
われ
)
はこれからスツパリと
106
ガラクタ
神
(
がみ
)
を
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
り
107
誠
(
まこと
)
の
誠
(
まこと
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
108
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
探
(
たづ
)
ね
出
(
だ
)
し
109
人
(
ひと
)
に
勝
(
すぐ
)
れた
神徳
(
しんとく
)
を
110
貰
(
もら
)
うて
見
(
み
)
せにやおきませぬ
111
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
馬鹿
(
ばか
)
らしい
112
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
だつた
113
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つ
114
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
いました
115
此
(
この
)
神
(
かみ
)
さまを
拝
(
をが
)
もうと
116
捨
(
す
)
てよとほかそと
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
だ
117
信仰
(
しんかう
)
自由
(
じいう
)
と
聞
(
き
)
くからは
118
決
(
けつ
)
して
邪魔
(
じやま
)
はせぬけれど
119
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
此
(
この
)
わしが
120
愛想
(
あいさう
)
尽
(
つ
)
かしたよな
神
(
かみ
)
を
121
祭
(
まつ
)
つた
所
(
とこ
)
で
仕様
(
しやう
)
がない
122
屁
(
へ
)
のつつぱりにもなりはせぬ
123
屁
(
へ
)
なら
音
(
おと
)
なとするけれど
124
ブツともスツとも
云
(
い
)
はぬ
奴
(
やつ
)
125
今迄
(
いままで
)
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たものと
126
吾
(
わが
)
身
(
み
)
がボツボツいやになり
127
馬鹿
(
ばか
)
であつたと
気
(
き
)
がついて
128
大地
(
だいち
)
に
穴
(
あな
)
を
掘
(
ほり
)
穿
(
うが
)
ち
129
かくれて
見
(
み
)
たいよな
気
(
き
)
がしだす
130
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
131
神
(
かみ
)
も
仏
(
ほとけ
)
もあるものか
132
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にあり
133
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
134
こんな
明白
(
めいはく
)
な
道理
(
だうり
)
をば
135
悟
(
さと
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら
何
(
なん
)
として
136
高姫
(
たかひめ
)
さまの
私造
(
しざう
)
した
137
ガラクタ
神
(
がみ
)
に
現
(
うつつ
)
をば
138
抜
(
ぬ
)
かして
居
(
ゐ
)
たのか
口惜
(
くちをし
)
い
139
サアサアこれから
自暴自棄
(
やけ
)
糞
(
くそ
)
だ
140
堤防
(
どて
)
を
切
(
き
)
らして
酒
(
さけ
)
をのみ
141
白浪
(
しらなみ
)
女
(
をんな
)
の
意地
(
いぢ
)
を
出
(
だ
)
し
142
ドンチヤン
騒
(
さわ
)
いでやりませう
143
のめよ
騒
(
さわ
)
げよ
一寸先
(
いつすんさき
)
や
暗夜
(
やみ
)
よ
144
暗
(
やみ
)
の
後
(
あと
)
には
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
る
145
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
明
(
あきら
)
かに
146
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
照
(
て
)
らします
147
ここに
祭
(
まつ
)
つた
神
(
かみ
)
さまは
148
照
(
て
)
らす
所
(
どころ
)
か
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
は
149
灯明
(
あかり
)
をつけたり
蝋燭
(
らふそく
)
を
150
つけてやらねば
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えぬ
151
困
(
こま
)
つた
盲
(
めくら
)
の
神
(
かみ
)
ばかり
152
アイタヽヽタツタ アイタヽツタ
153
余
(
あま
)
り
口
(
くち
)
が
辷
(
すべ
)
り
過
(
す
)
ぎ
154
奥歯
(
おくば
)
で
舌
(
した
)
を
噛
(
か
)
み
切
(
き
)
つた
155
やつぱり
性根
(
しやうね
)
のある
神
(
かみ
)
か
156
そンならこれから
拝
(
をが
)
みませう
157
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
158
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
159
五三公
(
いそこう
)
はそろそろ
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
したり。
160
五三公
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
161
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
分
(
わ
)
ける
162
神
(
かみ
)
の
中
(
なか
)
にも
善
(
ぜん
)
があり
163
また
悪神
(
あくがみ
)
のあるものぞ
164
善
(
ぜん
)
を
表
(
おもて
)
に
標榜
(
へうぼう
)
し
165
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
生神
(
いきがみ
)
と
166
信仰
(
しんかう
)
計
(
ばか
)
り
強
(
つよ
)
くして
167
理解
(
りかい
)
し
得
(
え
)
ざる
信徒
(
まめひと
)
の
168
体
(
たい
)
を
宿
(
やど
)
とし
巣
(
す
)
をくんだ
169
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
や
曲鬼
(
まがおに
)
が
170
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
をかたり
171
世人
(
よびと
)
を
欺
(
あざむ
)
く
事
(
こと
)
もある
172
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
に
祭
(
まつ
)
りたる
173
此
(
この
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
素性
(
すじやう
)
をば
174
包
(
つつ
)
まづ
隠
(
かく
)
さず
云
(
い
)
うたなら
175
生命
(
いのち
)
も
魂
(
たま
)
も
捧
(
ささ
)
げたる
176
信者
(
しんじや
)
の
方
(
かた
)
は
驚
(
おどろ
)
かう
177
私
(
わたし
)
はそれをば
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る
178
そんな
悪魔
(
あくま
)
に
欺
(
だま
)
されて
179
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
180
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
やら
畜生道
(
ちくしやうだう
)
181
落
(
お
)
ち
行
(
い
)
く
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
182
見
(
み
)
るにつけても
可憐
(
いぢ
)
らしく
183
忙
(
せは
)
しき
身
(
み
)
をも
顧
(
かへり
)
みず
184
貴重
(
きちよう
)
なタイムを
空費
(
くうひ
)
して
185
此処
(
ここ
)
に
滞在
(
たいざい
)
して
居
(
ゐ
)
るも
186
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
の
身魂
(
みたま
)
をば
187
正
(
ただ
)
しき
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほみち
)
に
188
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむ
其
(
その
)
ためぞ
189
思
(
おも
)
へよ
思
(
おも
)
へよ
顧
(
かへり
)
みよ
190
此
(
この
)
神名
(
しんめい
)
は
高姫
(
たかひめ
)
が
191
脱線
(
だつせん
)
だらけの
神憑
(
かむかが
)
り
192
みたまが
地獄
(
ぢごく
)
に
落
(
お
)
ちた
時
(
とき
)
193
天
(
あめ
)
の
八衢
(
やちまた
)
に
彷徨
(
さまよ
)
へる
194
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
に
取
(
と
)
りつかれ
195
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
をば
宿
(
やど
)
にされ
196
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
だ
197
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
198
吾
(
われ
)
と
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
盲信
(
まうしん
)
し
199
教
(
をしへ
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
を
)
りたのだ
200
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
や
201
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
が
自分
(
じぶん
)
から
202
愛想
(
あいさう
)
尽
(
つ
)
かして
打
(
う
)
ち
捨
(
すて
)
た
203
ウラナイ
教
(
けう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
204
どうして
誠
(
まこと
)
があるものか
205
茲
(
ここ
)
の
道理
(
だうり
)
を
考
(
かんが
)
へて
206
社
(
やしろ
)
を
残
(
のこ
)
らず
潔斎
(
けつさい
)
し
207
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
めて
天地
(
あめつち
)
の
208
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
るべく
209
さうでなければ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
210
司
(
つかさ
)
の
体
(
からだ
)
は
曲
(
まが
)
の
巣
(
す
)
と
211
なつて
忽
(
たちま
)
ち
身
(
み
)
を
砕
(
くだ
)
き
212
魂
(
たま
)
は
曇
(
くも
)
りて
地獄道
(
ぢごくだう
)
213
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
へ
落
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
かむ
214
魔我彦
(
まがひこ
)
さまやお
寅
(
とら
)
さま
215
貴方
(
あなた
)
も
確
(
しつか
)
りするがよい
216
名
(
な
)
もなき
神
(
かみ
)
に
名
(
な
)
をつけて
217
拝
(
をが
)
んだ
所
(
ところ
)
で
何
(
なん
)
にする
218
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
の
弄
(
もてあそ
)
びに
219
なるより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
はない
220
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御息
(
みいき
)
より
221
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
生宮
(
いきみや
)
と
222
名乗
(
なの
)
りながらも
曲神
(
まがかみ
)
に
223
霊
(
みたま
)
を
汚
(
けが
)
され
朝夕
(
あさゆふ
)
に
224
濁
(
にご
)
つた
言霊
(
ことたま
)
奏上
(
そうじやう
)
し
225
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
すとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
226
これ
五三公
(
いそこう
)
が
天地
(
あめつち
)
の
227
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
赤心
(
まごころ
)
を
228
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
229
怯
(
おめ
)
ず
臆
(
おく
)
せず
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
230
忠告
(
ちうこく
)
致
(
いた
)
す
次第
(
しだい
)
なり
231
果
(
はた
)
してこれの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
232
誠
(
まこと
)
の
霊
(
れい
)
があるならば
233
今
(
いま
)
眼前
(
まのあたり
)
五三公
(
いそこう
)
が
234
無礼
(
ぶれい
)
の
事
(
こと
)
を
囀
(
さへづ
)
つた
235
舌
(
した
)
の
根
(
ね
)
とめて
命
(
いのち
)
をば
236
とつて
呉
(
く
)
れても
恨
(
うら
)
みない
237
これが
出来
(
でき
)
ねばこの
神
(
かみ
)
は
238
霊
(
れい
)
も
力
(
ちから
)
も
無
(
な
)
い
曲津
(
まがつ
)
239
茲
(
ここ
)
で
眼
(
まなこ
)
を
醒
(
さ
)
まさねば
240
真
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御怒
(
みいか
)
りに
241
ふれてその
身
(
み
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
242
霊魂
(
れいこん
)
までもメチヤメチヤに
243
こはされ
無限
(
むげん
)
の
苦
(
くる
)
しみを
244
万古
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
受
(
う
)
けますぞ
245
顧
(
かへり
)
みたまへ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
246
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
247
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
述
(
の
)
べておく
248
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
249
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
250
(
大正一一・一二・一二
旧一〇・二四
加藤明子
録)
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