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第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
01 松風
〔1191〕
02 神木
〔1192〕
03 大根蕪
〔1193〕
04 霊の淫念
〔1194〕
第2篇 恵の松露
05 肱鉄
〔1195〕
06 唖忿
〔1196〕
07 相生の松
〔1197〕
08 小蝶
〔1198〕
09 賞詞
〔1199〕
第3篇 裏名異審判
10 棚卸志
〔1200〕
11 仲裁
〔1201〕
12 喜苔歌
〔1202〕
13 五三の月
〔1203〕
第4篇 虎風獣雨
14 三昧経
〔1204〕
15 曲角狸止
〔1205〕
16 雨露月
〔1206〕
17 万公月
〔1207〕
18 玉則姫
〔1208〕
19 吹雪
〔1209〕
20 蛙行列
〔1210〕
余白歌
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第一七章
万公月
(
まごつき
)
〔一二〇七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第4篇 虎風獣雨
よみ(新仮名遣い):
こふうじゅうう
章:
第17章 万公月
よみ(新仮名遣い):
まごつき
通し章番号:
1207
口述日:
1922(大正11)年12月13日(旧10月25日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
それはお菊であった。万公は夜に庭に出ていたことについて言い訳するが、お菊は何か野心があるのだろうと核心を突く。
万公はウラナイ教を信じているふりをしてお菊の歓心を買おうとするが、お菊は逆に母親のお寅は迷信家でウラナイ教の教えなど馬鹿らしいと本心を明かした。そして、万公に対してはかつての姉婿としての振る舞いをみているので愛想が尽きているときっぱり断った。
茂みの中で万公とお菊の様子を見ていたアクたちは、ここでお菊に喝采を送って万公をからかう。万公はやけになって自分の失恋を自ら茶化し、一同の笑いを取った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-03 20:04:51
OBC :
rm4517
愛善世界社版:
260頁
八幡書店版:
第8輯 342頁
修補版:
校定版:
273頁
普及版:
104頁
初版:
ページ備考:
001
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
から、
002
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
『
万公
(
まんこう
)
さま、
003
あなた
其処
(
そこ
)
に
何
(
なに
)
して
居
(
ゐ
)
らつしやるの。
004
あたい
最前
(
さいぜん
)
から
大広前
(
おほひろまへ
)
の
周囲
(
ぐるり
)
をクルクル
廻
(
まは
)
つてゐたのよ』
005
万公
(
まんこう
)
『さう
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
はお
菊
(
きく
)
さまぢやないか。
006
あられもない
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
として
連
(
つ
)
れもなく、
007
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
夜歩
(
よある
)
きなさるとはチツと
大胆
(
だいたん
)
ぢやありませぬか、
008
女
(
をんな
)
は
夜分
(
やぶん
)
になれば
決
(
けつ
)
して
一人
(
ひとり
)
出
(
で
)
るものぢやありませぬよ』
009
と
故意
(
わざ
)
とに
嬉
(
うれ
)
しさを
隠
(
かく
)
して
力
(
りき
)
んで
見
(
み
)
せる。
010
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽあたい、
011
一人
(
ひとり
)
出
(
で
)
たつて
構
(
かま
)
はないよ。
012
男
(
をとこ
)
のつれでもあつて
見
(
み
)
なさい、
013
それこそお
母
(
かあ
)
さまに
大
(
でか
)
いお
目玉
(
めだま
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
せなくてはならないわ。
014
万公
(
まんこう
)
さま、
015
お
前
(
まへ
)
だつて
此
(
この
)
暗
(
くら
)
がりに
一人
(
ひとり
)
何
(
なに
)
してゐるの。
016
早
(
はや
)
く
夜分
(
やぶん
)
は
寝
(
ね
)
るものですよ』
017
万公
(
まんこう
)
『
今
(
いま
)
俄
(
にはか
)
に
神懸
(
かむがかり
)
になつたものだから
種物
(
たねもの
)
神社
(
じんしや
)
に
詣
(
まゐ
)
つてここ
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
だ。
018
一寸
(
ちよつと
)
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めてこれから
寝
(
ね
)
ようと
思
(
おも
)
つてるのだ』
019
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽ
種物
(
たねもの
)
神社
(
じんじや
)
なんて、
020
よう
云
(
い
)
へたものだ。
021
種物
(
たねもの
)
が
違
(
ちが
)
ふのでせう』
022
万公
(
まんこう
)
『さう
素破抜
(
すつぱぬ
)
かれちや
隠
(
かく
)
しても
駄目
(
だめ
)
だ。
023
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
如何
(
どう
)
しても
寝
(
ね
)
られないので、
024
外
(
そと
)
をぶらついて
居
(
を
)
つたら
天然棒
(
てんねんぼう
)
の
星
(
ほし
)
あたり、
025
犬
(
いぬ
)
も
歩
(
ある
)
けば
棒
(
ぼう
)
に
当
(
あた
)
ると
云
(
い
)
ふから、
026
あたつて
砕
(
くだ
)
けて
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
つてブラリブラリとやつて
来
(
き
)
たのだ。
027
何
(
なん
)
と
暗
(
くら
)
い
夜
(
よ
)
だないか。
028
お
菊
(
きく
)
さまの
美
(
うつく
)
しい
白
(
しろ
)
い
顔
(
かほ
)
が
満足
(
まんぞく
)
に
見
(
み
)
えないのだからなあ』
029
お
菊
(
きく
)
『あたいの
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
如何
(
どう
)
するの。
030
あたいは
見
(
み
)
せ
物
(
もの
)
ぢやありませぬよ。
031
これ
万公
(
まんこう
)
さま、
032
お
前
(
まへ
)
さまの
目的
(
もくてき
)
は
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
だい。
033
皆
(
みな
)
さまが
寝
(
ね
)
て
厶
(
ござ
)
るのに
暗
(
くら
)
がりで
一人
(
ひとり
)
うろつくのは
何
(
なに
)
か
野心
(
やしん
)
がなくちやなりますまい』
034
万公
(
まんこう
)
『
別
(
べつ
)
に
野心
(
やしん
)
もないが
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
の
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
地上姫
(
ちじやうひめ
)
を
尋
(
たづ
)
ねてお
出御
(
でまし
)
になつたのだよ』
035
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽこれ
万公
(
まんこう
)
さま、
036
お
前
(
まへ
)
はそんな
慢心
(
まんしん
)
をしてゐるのかい。
037
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
だなんて
思
(
おも
)
つてるのだな。
038
随分
(
ずゐぶん
)
お
目出度
(
めでた
)
いね』
039
万公
(
まんこう
)
『
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
と
云
(
い
)
つたら
万公
(
まんこう
)
さまぢやないか。
040
それが
違
(
ちが
)
ふならお
寅
(
とら
)
さまに
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
ろよ』
041
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽお
寅
(
とら
)
さまに
聞
(
き
)
いたつて
何
(
なに
)
が
分
(
わか
)
るものか。
042
みんな
此処
(
ここ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
嘘
(
うそ
)
だよ。
043
お
母
(
かあ
)
さまは
迷信家
(
めいしんか
)
だから、
044
あんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのよ、
045
本当
(
ほんたう
)
に
嫌
(
いや
)
になつて
了
(
しま
)
ふわ。
046
お
菊
(
きく
)
は
地上姫
(
ちじやうひめ
)
だなんて、
047
何時
(
いつ
)
でも
云
(
い
)
つてるの。
048
好
(
す
)
かんたらしい。
049
地上
(
ちじやう
)
を
耕
(
たがや
)
すと
云
(
い
)
ふので
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
と
地上姫
(
ちじやうひめ
)
が
夫婦
(
ふうふ
)
だなんて、
050
こんな
妙
(
めう
)
な
理屈
(
りくつ
)
をつけるのだから、
051
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
らしくて
仕方
(
しかた
)
がないのよ。
052
お
前
(
まへ
)
も、
053
もちと
らしい
人
(
ひと
)
かと
思
(
おも
)
つたら、
054
そんな
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
本当
(
ほんたう
)
にしてるのかい。
055
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
だね』
056
万公
(
まんこう
)
『さうするとお
菊
(
きく
)
さま、
057
お
前
(
まへ
)
は
地上姫
(
ちじやうひめ
)
だないと
思
(
おも
)
つてるのかい』
058
お
菊
(
きく
)
『
痴情
(
ちじやう
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
059
家
(
いへ
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
で
)
るものが
痴情姫
(
ちじやうひめ
)
だよ。
060
こんな
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
に
痴情姫
(
ちじやうひめ
)
なんて
仇名
(
あだな
)
をつけられちや
大変
(
たいへん
)
な
迷惑
(
めいわく
)
だ。
061
然
(
しか
)
し
万公
(
まんこう
)
さまは
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
が
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
ふとるよ。
062
人
(
ひと
)
と
約束
(
やくそく
)
した
事
(
こと
)
でも
直
(
すぐ
)
に、
063
たがやし
大神
(
だいじん
)
だからね。
064
ホヽヽヽヽ』
065
万公
(
まんこう
)
『これや
怪
(
け
)
しからぬ、
066
さうすると
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
を
何神
(
なにがみ
)
さまだと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ』
067
お
菊
(
きく
)
『さうだね、
068
まんまん たわけ
大神
(
だいじん
)
位
(
くらゐ
)
なものでせうよ』
069
万公
(
まんこう
)
『こりや
怪
(
け
)
しからぬ、
070
さうすると
蠑螈別
(
いもりわけ
)
教祖
(
けうそ
)
は
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
ではないのか』
071
お
菊
(
きく
)
『
阿呆
(
あはう
)
らしい、
072
あんな
酒喰
(
さけくら
)
ひが
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
なんて、
073
呆
(
あき
)
れつちまふわ。
074
あの
人
(
ひと
)
は
蠑螈
(
いもり
)
の
様
(
やう
)
な
人
(
ひと
)
だよ。
075
井戸
(
ゐど
)
の
底
(
そこ
)
にすつ
込
(
こ
)
んで、
076
のたくつて
居
(
ゐ
)
るのだからな。
077
松姫
(
まつひめ
)
さまだつて
決
(
けつ
)
して
上義姫
(
じやうぎひめ
)
でも
何
(
なん
)
でもありやせない。
078
松彦
(
まつひこ
)
さまだつてユラリ
彦
(
ひこ
)
でも
何
(
なん
)
でもないのだよ。
079
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまやお
母
(
かあ
)
さまが
迷信
(
めいしん
)
して
居
(
ゐ
)
るのだから
始末
(
しまつ
)
におへないのよ。
080
よくもかう
惚
(
とぼ
)
け
人足
(
にんそく
)
ばかりが
寄
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
るものだと
呆
(
あき
)
れてゐるの。
081
それでもお
母
(
かあ
)
さまが
可哀相
(
かあいさう
)
だから
斯
(
か
)
うして
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだが、
082
仲々
(
なかなか
)
容易
(
ようい
)
に
夢
(
ゆめ
)
は
覚
(
さ
)
めないのだよ。
083
此
(
この
)
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まして
呉
(
く
)
れる
立派
(
りつぱ
)
な
男
(
をとこ
)
さへあれば、
084
其
(
その
)
男
(
をとこ
)
を
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
ち
度
(
た
)
いのだけど、
085
そんな
立派
(
りつぱ
)
な
人
(
ひと
)
は
一人
(
ひとり
)
もありやせないわ。
086
万公
(
まんこう
)
さまだつてさうだもの』
087
万公
(
まんこう
)
『やあ、
088
此奴
(
こいつ
)
あ
感心
(
かんしん
)
だ。
089
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
俺
(
おれ
)
も、
090
それや
知
(
し
)
つてるのだ。
091
只
(
ただ
)
お
寅
(
とら
)
さまの
前
(
まへ
)
で、
092
一寸
(
ちよつと
)
テンゴに
神懸
(
かむがかり
)
の
真似
(
まね
)
をして
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
と
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
が
大変
(
たいへん
)
に
信用
(
しんよう
)
して
呉
(
く
)
れたもんだから
俺
(
おれ
)
も
其
(
その
)
気
(
き
)
になつて、
093
一寸
(
ちよつと
)
化
(
ば
)
けて
見
(
み
)
たのだ。
094
要
(
えう
)
するにお
前
(
まへ
)
と
結婚
(
けつこん
)
をして
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
の
御用
(
ごよう
)
をしさへすれば
宜
(
い
)
いのだ。
095
耕
(
たがや
)
し
大神
(
だいじん
)
や
地上姫
(
ちじやうひめ
)
なんか、
096
眼中
(
がんちう
)
にないのだ』
097
お
菊
(
きく
)
『エーエ、
098
阿呆
(
あはう
)
らしい。
099
たれが
万公
(
まんこう
)
さまの
様
(
やう
)
なお
方
(
かた
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
す
馬鹿
(
ばか
)
がありますか。
100
あたい、
101
もう
姉
(
ねえ
)
さまの
事
(
こと
)
で
懲
(
こ
)
り
懲
(
こ
)
りしてるのだもの。
102
お
前
(
まへ
)
さまの
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ると
嘔吐
(
へど
)
が
出
(
で
)
る
様
(
やう
)
だわ。
103
夜分
(
やぶん
)
だから
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
えぬので、
104
斯
(
か
)
うして、
105
しつぽりと
辛抱
(
しんばう
)
して
話
(
はなし
)
をしてあげるが、
106
昼
(
ひる
)
だつたら
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
うて
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
てもゾツとするのだよ。
107
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
を
)
らずに、
108
さあチヤツとお
寝
(
やす
)
み。
109
ホヽヽヽヽ
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふものは
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かないものだな』
110
此方
(
こちら
)
の
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みから、
111
(細い色々な声)
『
尤
(
もつと
)
も
尤
(
もつと
)
も、
112
然
(
しか
)
り
然
(
しか
)
り、
113
左様
(
さやう
)
々々
(
さやう
)
、
114
お
菊
(
きく
)
さま、
115
万歳
(
ばんざい
)
』
116
と
叫
(
さけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
がする。
117
万公
(
まんこう
)
『なんだ。
118
如何
(
いか
)
にも
小北山
(
こぎたやま
)
は
怪体
(
けつたい
)
な
魔窟
(
まくつ
)
だな。
119
女
(
をんな
)
とも
男
(
をとこ
)
とも
得体
(
えたい
)
の
知
(
し
)
れぬ
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
しやがつて、
120
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだ。
121
ヤツパリ
斑狐
(
はんこ
)
サンの
御
(
ご
)
眷族
(
けんぞく
)
だな。
122
アハヽヽヽヽ』
123
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽ
狐
(
きつね
)
ばつかりの
寄
(
よ
)
り
合
(
あ
)
うた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だもの、
124
無理
(
むり
)
もないわ。
125
況
(
ま
)
して
此
(
この
)
小北山
(
こぎたやま
)
は
狐狗狸
(
こつくり
)
さんの
巣窟
(
さうくつ
)
だからね』
126
暗
(
くら
)
がりから
細
(
ほそ
)
い
声
(
こゑ
)
で、
127
(細い声)
『お
菊
(
きく
)
さま、
128
頼
(
たの
)
みまつせ。
129
しつかりおやりやす。
130
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
はなあ、
131
高慢人
(
かうまんじん
)
だから
逆様
(
さかさま
)
に
慢高
(
まんかう
)
と
云
(
い
)
ふのよ。
132
慢
(
まん
)
の
字
(
じ
)
のついたものには
碌
(
ろく
)
な
奴
(
やつ
)
はありやせないわ。
133
自慢
(
じまん
)
高慢
(
かうまん
)
我慢
(
がまん
)
慢心
(
まんしん
)
に
万引
(
まんびき
)
に
満鉄
(
まんてつ
)
、
134
マント、
135
まんまんこんな
者
(
もの
)
だよ。
136
まん
の
悪
(
わる
)
い
処
(
ところ
)
へ
小狐
(
こぎつね
)
がやつて
来
(
き
)
て
済
(
す
)
みませぬね』
137
万公
(
まんこう
)
『はあて、
138
益々
(
ますます
)
合点
(
がつてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
処
(
ところ
)
だ。
139
此奴
(
こいつ
)
あ
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
てるのぢやなからうかな。
140
夢
(
ゆめ
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
館
(
やかた
)
へ
来
(
き
)
てるのだから、
141
大方
(
おほかた
)
夢
(
ゆめ
)
かも
知
(
し
)
れないぞ。
142
アイタヽヽヽヽヤツパリ
頬
(
ほほ
)
を
抓
(
つめ
)
つてみれば
痛
(
いた
)
いわい』
143
お
菊
(
きく
)
『オホヽヽヽヽ』
144
万公
(
まんこう
)
『こりやお
菊
(
きく
)
、
145
いやらしい
声
(
こゑ
)
出
(
だ
)
しやがるない。
146
そんな
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
出
(
だ
)
しやがると
首筋元
(
くびすぢもと
)
がゾクゾクするぢやないか』
147
お
菊
(
きく
)
(
声色
(
こはいろ
)
)『
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
、
148
二
(
に
)
枚
(
まい
)
、
149
三
(
さん
)
枚
(
まい
)
、
150
四
(
し
)
枚
(
まい
)
、
151
五
(
ご
)
枚
(
まい
)
、
152
六
(
ろく
)
枚
(
まい
)
、
153
七
(
しち
)
枚
(
まい
)
、
154
八
(
はち
)
枚
(
まい
)
、
155
九
(
く
)
枚
(
まい
)
、
156
エー
残念
(
ざんねん
)
やなあ、
157
怨
(
うら
)
めしやなあ』
158
万公
(
まんこう
)
『これやこれやお
菊
(
きく
)
、
159
戯
(
ふざ
)
けた
真似
(
まね
)
をさらすと
承知
(
しようち
)
せないぞ』
160
お
菊
(
きく
)
『
播州
(
ばんしう
)
の
皿屋敷
(
さらやしき
)
だよ、
161
ホヽヽヽヽ』
162
暗
(
くら
)
がりから、
163
(アクの声?)
『オヽヽ
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
、
164
オヽヽ
二
(
に
)
枚
(
まい
)
、
165
オヽヽ
三
(
さん
)
枚
(
まい
)
、
166
オヽヽ
四
(
し
)
枚
(
まい
)
、
167
オヽヽ
五
(
ご
)
枚
(
まい
)
、
168
オヽヽ
六
(
ろく
)
枚
(
まい
)
、
169
オヽヽ
七
(
しち
)
枚
(
まい
)
、
170
オヽヽ
八
(
はち
)
枚
(
まい
)
、
171
オヽヽ
九
(
く
)
枚
(
まい
)
、
172
さあ
後
(
あと
)
の
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
を
今宵
(
こよひ
)
の
中
(
なか
)
に
出
(
だ
)
さぬ
事
(
こと
)
には
不憫
(
ふびん
)
乍
(
なが
)
ら
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
生命
(
いのち
)
はないぞや。
173
其
(
その
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
の
皿
(
さら
)
はお
菊
(
きく
)
の
股
(
また
)
にある
筈
(
はず
)
、
174
万公
(
まんこう
)
がその
皿
(
さら
)
を
狙
(
ねら
)
つて
隠
(
かく
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
175
万
(
まん
)
に
皿
(
さら
)
だから
万皿
(
まんざら
)
嘘
(
うそ
)
でもあるまい。
176
ウツフヽヽヽヽ』
177
万公
(
まんこう
)
『これや、
178
誰
(
たれ
)
ぢやい。
179
馬鹿
(
ばか
)
な
真似
(
まね
)
さらすと
承知
(
しようち
)
せないぞ、
180
俺
(
おれ
)
を
誰様
(
どなた
)
と
心得
(
こころえ
)
てるのだ。
181
エーン』
182
お
菊
(
きく
)
『ホヽヽヽヽ
幽霊
(
いうれい
)
が
出
(
で
)
る、
183
化物
(
ばけもの
)
が
出
(
で
)
る、
184
何
(
なん
)
とまあ
小気味
(
こきみ
)
の
悪
(
わる
)
い
小北山
(
こぎたやま
)
だこと。
185
ドレドレ
又
(
また
)
お
母
(
かあ
)
さまが
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
を
苛
(
いぢ
)
めてゐると
可哀相
(
かあいさう
)
だ。
186
どれ
仲裁
(
ちゆうさい
)
に
行
(
ゆ
)
かうかな。
187
万引
(
まんびき
)
満鉄
(
まんてつ
)
の
万
(
まん
)
さま、
188
左様
(
さやう
)
なら、
189
アバよ、
190
ホヽヽヽヽ』
191
と
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
足早
(
あしばや
)
に
教祖
(
けうそ
)
の
館
(
やかた
)
をさして
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
192
万公
(
まんこう
)
は
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み
合点
(
がつてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
怪
(
あや
)
しの
声
(
こゑ
)
と
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んでゐる。
193
闇
(
くら
)
がりから、
194
(アク)
『ワツハヽヽヽヽヽウツフヽヽヽヽプツプヽヽヽヽ』
195
万公
(
まんこう
)
は
其
(
その
)
笑
(
わら
)
ひ
声
(
ごゑ
)
に
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えがあつた。
196
万公
(
まんこう
)
は
恥
(
はづ
)
かしさと
腹立
(
はらだ
)
たしさとに
自棄
(
やけ
)
になり、
197
万公
(
まんこう
)
『チヨツ、
198
これや、
199
アクの
奴
(
やつ
)
、
200
要
(
い
)
らぬ
悪戯
(
いたづら
)
をやりやがるない。
201
本当
(
ほんたう
)
に
人
(
ひと
)
の
肝玉
(
きもたま
)
を
冷
(
ひ
)
やしやがつて
仕方
(
しかた
)
のない
奴
(
やつ
)
だ。
202
タク、
203
テク、
204
貴様
(
きさま
)
もチツと
心得
(
こころえ
)
ないと
痛
(
いた
)
い
目
(
め
)
をさしてやるぞ』
205
アク『
偉
(
えら
)
い
失恋
(
しつれん
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
206
ウツフヽヽヽ』
207
万公
(
まんこう
)
『エーエ、
208
馬鹿
(
ばか
)
らしい
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たものだ。
209
あゝ
夢
(
ゆめ
)
になれなれ(
口上
(
こうじやう
)
句調
(
くてう
)
)
夢
(
ゆめ
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
神館
(
かむやかた
)
、
210
万公
(
まんこう
)
が
失恋
(
しつれん
)
の
幕
(
まく
)
、
211
首尾
(
しゆび
)
克
(
よ
)
うお
目
(
め
)
にとまりますれば
先客
(
せんきやく
)
様
(
さま
)
は
之
(
これ
)
でお
代
(
かは
)
り』
212
一同
(
いちどう
)
『アツハヽヽヽヽ』
213
(
大正一一・一二・一三
旧一〇・二五
北村隆光
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PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
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【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
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【17 万公月|第45巻(申の巻)|霊界物語/rm4517】
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