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特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第45巻(申の巻)
序文
総説
第1篇 小北の特使
01 松風
〔1191〕
02 神木
〔1192〕
03 大根蕪
〔1193〕
04 霊の淫念
〔1194〕
第2篇 恵の松露
05 肱鉄
〔1195〕
06 唖忿
〔1196〕
07 相生の松
〔1197〕
08 小蝶
〔1198〕
09 賞詞
〔1199〕
第3篇 裏名異審判
10 棚卸志
〔1200〕
11 仲裁
〔1201〕
12 喜苔歌
〔1202〕
13 五三の月
〔1203〕
第4篇 虎風獣雨
14 三昧経
〔1204〕
15 曲角狸止
〔1205〕
16 雨露月
〔1206〕
17 万公月
〔1207〕
18 玉則姫
〔1208〕
19 吹雪
〔1209〕
20 蛙行列
〔1210〕
余白歌
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第六章
唖忿
(
あふん
)
〔一一九六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第45巻 舎身活躍 申の巻
篇:
第2篇 恵の松露
よみ(新仮名遣い):
めぐみのしょうろ
章:
第6章 唖忿
よみ(新仮名遣い):
あふん
通し章番号:
1196
口述日:
1922(大正11)年12月11日(旧10月23日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月12日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
魔我彦が松姫に呼ばれて行ったあと、お寅も文助に呼ばれて広前に行ってしまった。後に残った文助は松彦たちと話をするうち、蠑螈別が探している本当の義理天上の身魂・高姫が、今は三五教の斎苑館に仕えていることを知った。
そこへお寅が戻ってきて、松彦に上義姫の身魂・松姫にどうしても会うようにと促した。そこへ折よくお千代がやってきて、松彦を松姫館に連れて行った。
お寅は蠑螈別が高姫の話を立ち聞きしていたことを知って、また蠑螈別に手荒いことをする。一同はお寅に追い払われてしまう。後には蠑螈別とお寅は何事かぶつぶつ話をしているのみであった。
そこへ松姫に振られてしょんぼりとした魔我彦が帰ってきて一同にからかわれる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-02-23 19:51:37
OBC :
rm4506
愛善世界社版:
95頁
八幡書店版:
第8輯 286頁
修補版:
校定版:
99頁
普及版:
39頁
初版:
ページ備考:
001
魔我彦
(
まがひこ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
がお
千代
(
ちよ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
上義姫
(
じやうぎひめ
)
の
館
(
やかた
)
へ
往
(
い
)
つた
後
(
あと
)
には、
002
松彦
(
まつひこ
)
一行
(
いつかう
)
と、
003
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさま、
004
お
菊
(
きく
)
の
八
(
はち
)
人
(
にん
)
が
茶
(
ちや
)
を
汲
(
く
)
み
果物
(
くだもの
)
なぞを
頬張
(
ほほば
)
つて
道
(
みち
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
005
其所
(
そこ
)
へ
受付
(
うけつけ
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
爺
(
ぢい
)
さまが、
006
ノソリノソリとやつて
来
(
き
)
て、
007
文助
(
ぶんすけ
)
『もしお
寅
(
とら
)
さま、
008
お
広前
(
ひろまへ
)
の
方
(
はう
)
から
貴女
(
あなた
)
に
来
(
き
)
て
頂
(
いただ
)
き
度
(
た
)
いと、
009
大変
(
たいへん
)
矢釜
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
つて
来
(
き
)
ました。
010
お
客
(
きやく
)
さまの
央
(
なかば
)
で
済
(
す
)
まないが
一寸
(
ちよつと
)
往
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいな。
011
私
(
わたし
)
がそれ
迄
(
まで
)
お
相手
(
あひて
)
して
居
(
ゐ
)
ますから』
012
お
寅
(
とら
)
『
又
(
また
)
狂人
(
きちがひ
)
の
信者
(
しんじや
)
が、
013
暴
(
あば
)
れ
出
(
だ
)
したのだらう、
014
あゝ
仕方
(
しかた
)
がない、
015
一
(
ひと
)
つ
鎮
(
しづ
)
めて
来
(
き
)
てやりませう。
016
末代
(
まつだい
)
様
(
さま
)
一寸
(
ちよつと
)
失礼
(
しつれい
)
します。
017
落滝
(
おちたき
)
つ
彦
(
ひこ
)
がその
代
(
かは
)
り
話
(
はなし
)
のお
相手
(
あひて
)
になりますから』
018
松彦
(
まつひこ
)
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
です、
019
どうぞゆつくり
往
(
い
)
つて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
020
ここで
私
(
わたし
)
はゆつくりと
休
(
やす
)
まして
頂
(
いただ
)
いて
居
(
を
)
りますから』
021
万公
(
まんこう
)
『おい
五三公
(
いそこう
)
、
022
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは、
023
俺
(
おれ
)
の
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
、
024
酒
(
さけ
)
に
喰
(
くら
)
ひ
酔
(
よ
)
つて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
で
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
るのだよ。
025
それに
違
(
ちが
)
ひないわ。
026
そして
彼
(
あ
)
のお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまと
痴話
(
ちわ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
をやつたのだ。
027
キツトそれに
極
(
き
)
まつて
居
(
ゐ
)
るよ』
028
五三
(
いそ
)
『
何
(
なん
)
でも
高姫
(
たかひめ
)
々々
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
られたぢやないか。
029
三五教
(
あななひけう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまと
何
(
なに
)
か
関係
(
くわんけい
)
があるのだらうかなア』
030
万公
(
まんこう
)
『
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れないなア、
031
併
(
しか
)
し
高姫
(
たかひめ
)
さまは
昔
(
むかし
)
の
馴染
(
なじみ
)
だと
云
(
い
)
つて
東野別
(
あづまのわけの
)
命
(
みこと
)
に
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になり、
032
眼
(
め
)
迄
(
まで
)
釣
(
つ
)
つて
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
から
遥々
(
はるばる
)
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
迄
(
まで
)
お
越
(
こ
)
しになつて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
033
此処
(
ここ
)
の
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
云
(
い
)
ふ
高姫
(
たかひめ
)
は
同名
(
どうめい
)
異人
(
いじん
)
だらうよ』
034
五三
(
いそ
)
『さうだらうかな。
035
同
(
おな
)
じ
名
(
な
)
も
世界
(
せかい
)
には
沢山
(
たくさん
)
あるから、
036
さうかもしれないなア。
037
併
(
しか
)
し
高
(
たか
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
のつく
女
(
をんな
)
には
随分
(
ずゐぶん
)
惚手
(
ほれて
)
が
多
(
おほ
)
いと
見
(
み
)
えるねえ』
038
文助
(
ぶんすけ
)
『
皆
(
みな
)
さま、
039
今
(
いま
)
高姫
(
たかひめ
)
さまが
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
居
(
ゐ
)
らつしやると
云
(
い
)
はれましたなア、
040
それは
本当
(
ほんたう
)
ですかい』
041
万公
(
まんこう
)
『ハイ
本当
(
ほんたう
)
ですよ、
042
何
(
なん
)
でもウラナイ
教
(
けう
)
とかを
開
(
ひら
)
いて
居
(
ゐ
)
た
方
(
かた
)
だと
仄
(
ほのか
)
に
聞
(
き
)
きました。
043
随分
(
ずゐぶん
)
口喧
(
くちやかま
)
しい
宣伝使
(
せんでんし
)
ですよ』
044
文助
(
ぶんすけ
)
『ハテナ、
045
そんなら
大方
(
おほかた
)
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
が
探
(
たづ
)
ねて
厶
(
ござ
)
る
高姫
(
たかひめ
)
さまかも
知
(
し
)
れない』
046
五三
(
いそ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さまと
云
(
い
)
ふのは
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
弟子
(
でし
)
があつたやうですよ。
047
そして
黒姫
(
くろひめ
)
には
高山彦
(
たかやまひこ
)
といふ
頭
(
あたま
)
の
長
(
なが
)
いハズバンドがあつたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
です』
048
文助
(
ぶんすけ
)
『それ
聞
(
き
)
く
上
(
うへ
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
の
探
(
たづ
)
ねて
厶
(
ござ
)
る
高姫
(
たかひめ
)
さまに
違
(
ちが
)
ひない、
049
今
(
いま
)
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
居
(
を
)
られますかなア』
050
五三
(
いそ
)
『ハイ
居
(
を
)
られます。
051
高姫
(
たかひめ
)
さまも
此処
(
ここ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
と
何
(
なに
)
か
深
(
ふか
)
い
霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
があつたのですかなア』
052
文助
(
ぶんすけ
)
『あつたともあつたとも
霊
(
みたま
)
の
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
だから、
053
どしても
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
が
厶
(
ござ
)
らねば
蠑螈別
(
いもりわけ
)
様
(
さま
)
の
行状
(
ぎやうじやう
)
が
直
(
なほ
)
らないのだ。
054
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまを
改心
(
かいしん
)
さすのは
高姫
(
たかひめ
)
さまのお
役
(
やく
)
だ、
055
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ』
056
五三
(
いそ
)
『ヘー、
057
魔我彦
(
まがひこ
)
さまが
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
違
(
ちが
)
ひますかな。
058
さう
二人
(
ふたり
)
もあつてはどちらが
真
(
しん
)
か
偽
(
ぎ
)
か
分
(
わか
)
らぬぢやありませぬか』
059
文助
(
ぶんすけ
)
『
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
り、
060
此処
(
ここ
)
へお
迎
(
むか
)
へする
迄
(
まで
)
、
061
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
無
(
な
)
くてはならぬ
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまだから
魔我彦
(
まがひこ
)
さまがそれ
迄
(
まで
)
代理
(
だいり
)
を
勤
(
つと
)
めて
厶
(
ござ
)
るのだ。
062
魔我彦
(
まがひこ
)
さまの
本当
(
ほんたう
)
のお
霊
(
みたま
)
は
道成
(
だうじやう
)
行成
(
ゆきなり
)
さまぢやぞえ』
063
万公
(
まんこう
)
『
何
(
なん
)
と
自由
(
じいう
)
のきく
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ぢやなア』
064
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ
潰
(
つぶ
)
れ、
065
お
寅
(
とら
)
に
擲
(
なぐ
)
られた
頭
(
あたま
)
の
痛
(
いた
)
さをこらへ
乍
(
なが
)
ら、
066
高姫
(
たかひめ
)
の
話
(
はなし
)
を
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
れるや
否
(
いな
)
や、
067
俄
(
にはか
)
に
酔
(
よひ
)
もさめ、
068
襖
(
ふすま
)
に
耳
(
みみ
)
をあて、
069
一言
(
いちごん
)
も
漏
(
も
)
らさじと
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
070
そこへお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまがスタスタと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
071
お
寅
(
とら
)
『
皆
(
みな
)
さま、
072
えらう
待
(
ま
)
たせましたなア』
073
文助
(
ぶんすけ
)
『これお
寅
(
とら
)
さま、
074
お
前
(
まへ
)
さま
怒
(
おこ
)
つてはいけませぬよ。
075
此
(
この
)
方々
(
かたがた
)
の
仰有
(
おつしや
)
るには、
076
あの
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまの
酒
(
さけ
)
の
上
(
うへ
)
で
仰有
(
おつしや
)
る
高姫
(
たかひめ
)
さまが、
077
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
来
(
き
)
て
居
(
を
)
られるさうです』
078
と
小声
(
こごゑ
)
で
囁
(
ささや
)
いた。
079
お
寅
(
とら
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
080
お
寅
(
とら
)
『アヽ
左様
(
さやう
)
か』
081
と
云
(
い
)
ひながら、
082
お
寅
(
とら
)
『
末代
(
まつだい
)
様
(
さま
)
誠
(
まこと
)
にお
待
(
ま
)
たせ
致
(
いた
)
しました、
083
どうぞ、
084
上義姫
(
じやうぎひめ
)
様
(
さま
)
に
一度
(
いちど
)
会
(
あ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
085
さうすると
貴方
(
あなた
)
の
霊
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
がすつかり
分
(
わか
)
りますから』
086
松彦
(
まつひこ
)
『
上義姫
(
じやうぎひめ
)
とか、
087
松姫
(
まつひめ
)
とかチヨイチヨイ
聞
(
き
)
きますが、
088
どんな
方
(
かた
)
ですか』
089
お
寅
(
とら
)
『エヽ
素々
(
しらじら
)
しい、
090
さう
照
(
てら
)
すものぢやありませぬ。
091
これお
菊
(
きく
)
や、
092
末代
(
まつだい
)
様
(
さま
)
を
上義姫
(
じやうぎひめ
)
のお
館
(
やかた
)
迄
(
まで
)
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
申
(
まを
)
しなさい』
093
お
菊
(
きく
)
『ハイ、
094
さア
末代
(
まつだい
)
様
(
さま
)
、
095
私
(
わたし
)
が
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう』
096
松彦
(
まつひこ
)
『
何
(
なに
)
はともあれ、
097
それではお
目
(
め
)
にかかりませう』
098
と
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
ち
往
(
ゆ
)
かうとする
所
(
ところ
)
へお
千代
(
ちよ
)
は
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
099
千代
(
ちよ
)
『もし
末代
(
まつだい
)
様
(
さま
)
とやら
上義姫
(
じやうぎひめ
)
様
(
さま
)
が
大変
(
たいへん
)
お
待
(
ま
)
ち
兼
(
か
)
ねです。
100
何卒
(
どうぞ
)
お
一人
(
ひとり
)
さま
入
(
い
)
らして
下
(
くだ
)
さいませ、
101
折入
(
をりい
)
つてお
話
(
はな
)
し
申
(
まをし
)
たいとの
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います』
102
松彦
(
まつひこ
)
『
然
(
しか
)
らば
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
ませう。
103
お
寅
(
とら
)
さま、
104
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
、
105
一寸
(
ちよつと
)
失礼
(
しつれい
)
致
(
いた
)
します』
106
お
寅
(
とら
)
『
何卒
(
どうぞ
)
シツポリと
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
情約
(
じやうやく
)
締結
(
ていけつ
)
を
遊
(
あそ
)
ばしませ』
107
と
嫌
(
いや
)
らしく
笑
(
わら
)
ふ。
108
松彦
(
まつひこ
)
は
合点
(
がてん
)
往
(
ゆ
)
かぬと
思
(
おも
)
ひながらお
千代
(
ちよ
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
109
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
去
(
さ
)
つた。
110
お
寅
(
とら
)
は
蠑螈別
(
いもりわけ
)
の
身
(
み
)
を
気遣
(
きづか
)
ひ、
111
そつと
襖
(
ふすま
)
を
引
(
ひ
)
き
明
(
あ
)
けた。
112
見
(
み
)
れば
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
襖
(
ふすま
)
の
際
(
きは
)
に
鉢巻
(
はちまき
)
しながら
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
113
蠑螈
(
いもり
)
『ヤアお
寅
(
とら
)
か、
114
吃驚
(
びつくり
)
した』
115
お
寅
(
とら
)
『それや
吃驚
(
びつくり
)
なさつたでせう。
116
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
を
立
(
た
)
ち
聞
(
ぎ
)
きして
厶
(
ござ
)
つた
処
(
ところ
)
へ、
117
お
気
(
き
)
に
召
(
め
)
さぬお
寅婆
(
とらばば
)
が
突然
(
とつぜん
)
襖
(
ふすま
)
をあけたものですから、
118
御尤
(
ごもつと
)
もです』
119
と
云
(
い
)
ひながら、
120
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
を
力
(
ちから
)
一
(
いつ
)
ぱい
抓
(
つめ
)
つた。
121
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は、
122
蠑螈
(
いもり
)
『エヽ
馬鹿
(
ばか
)
にすない、
123
いつとても
打擲
(
ちやうちやく
)
ばかりしよつて、
124
貴様
(
きさま
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
生創
(
なまきづ
)
の
絶
(
た
)
えた
間
(
ま
)
なしだ』
125
お
寅
(
とら
)
『これ
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さま、
126
憎
(
にく
)
くつて
一
(
ひと
)
つも
抓
(
つめ
)
られませうか』
127
と
云
(
い
)
うて
又
(
また
)
抓
(
つ
)
める。
128
蠑螈
(
いもり
)
『エヽ
痛
(
いた
)
い、
129
お
客
(
きやく
)
さまがあるぢやないか、
130
見
(
み
)
つともない』
131
と
呟
(
つぶや
)
く。
132
お
寅
(
とら
)
は
狂気
(
きやうき
)
のやうになつて、
133
お
寅
(
とら
)
『エヽ
見
(
み
)
つともないとは
能
(
よ
)
くも
云
(
い
)
へたものだ。
134
あまり
馬鹿
(
ばか
)
にしなさるな。
135
この
寅
(
とら
)
だつて
馬鹿
(
ばか
)
ぢやありませぬよ。
136
些
(
ちつと
)
は
性根
(
しやうね
)
もありますからな』
137
蠑螈
(
いもり
)
『
俺
(
お
)
れやもう
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
りに
此処
(
ここ
)
を
出
(
で
)
て
往
(
ゆ
)
く、
138
後
(
あと
)
は
何分
(
なにぶん
)
頼
(
たの
)
む』
139
お
寅
(
とら
)
『エヽ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
る、
140
いやな
私
(
わたし
)
を
振
(
ふ
)
り
捨
(
す
)
てて
夜鷹
(
よたか
)
のやうな
高姫
(
たかひめ
)
の
処
(
ところ
)
へ
往
(
ゆ
)
くのでせう、
141
そんなら
往
(
ゆ
)
きなさい。
142
お
別
(
わか
)
れに
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
り』
143
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
144
力
(
ちから
)
一
(
いつ
)
ぱい
剛力
(
がうりき
)
に
任
(
まか
)
せて
鼻
(
はな
)
をねぢあげた。
145
蠑螈別
(
いもりわけ
)
はフラフラと
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
み、
146
ドスンと
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れた。
147
此
(
この
)
物音
(
ものおと
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
148
万公
(
まんこう
)
、
149
五三公
(
いそこう
)
、
150
アク、
151
テク、
152
タクの
五
(
ご
)
人
(
にん
)
はバラバラと
一室
(
ひとま
)
に
駆込
(
かけこ
)
み、
153
五三
(
いそ
)
『これこれお
婆
(
ばあ
)
さま、
154
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
で
居
(
ゐ
)
ながら
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
手荒
(
てあら
)
い
事
(
こと
)
をするのだ』
155
お
寅
(
とら
)
『ほんの
些細
(
ささい
)
の
内証事
(
ないしようごと
)
、
156
さう
皆
(
みな
)
さまに
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
ふやうな
事
(
こと
)
ではありませぬ。
157
どうぞ
彼方
(
あちら
)
で、
158
ゆつくりとお
茶
(
ちや
)
を
上
(
あが
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
159
お
菊
(
きく
)
『お
母
(
かあ
)
さま、
160
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
目
(
め
)
を
眩
(
まわ
)
して
居
(
ゐ
)
られるぢやありませぬか』
161
アク『
何
(
なん
)
と
手荒
(
てあら
)
い
婆
(
ばあ
)
さまぢやなア』
162
タク『
本当
(
ほんたう
)
に』
163
テク『ひどいなア、
164
こんな
事
(
こと
)
思
(
おも
)
ふと
女
(
をんな
)
はもう
恐
(
おそ
)
ろしくなつたわ』
165
五三
(
いそ
)
『オイ
万公
(
まんこう
)
、
166
随分
(
ずゐぶん
)
お
前
(
まへ
)
の
義理
(
ぎり
)
の
親
(
おや
)
は
侠客
(
けふかく
)
だけあつて
強
(
つよ
)
いものぢやなア』
167
お
寅
(
とら
)
『ホヽヽヽヽ、
168
猪喰
(
ししく
)
つた
犬
(
いぬ
)
は、
169
どこかに
違
(
ちが
)
ふ
所
(
ところ
)
がありませうがな。
170
サア
彼方
(
あちら
)
へ
往
(
ゆ
)
きなさい。
171
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまはチヨコチヨコかう
云
(
い
)
ふ
病気
(
びやうき
)
があるのだ。
172
これから
私
(
わたし
)
が
活
(
くわつ
)
を
入
(
い
)
れて
呼
(
よ
)
び
活
(
いけ
)
て
上
(
あ
)
げますから、
173
あまり
大勢
(
おほぜい
)
ドヤドヤとして
居
(
ゐ
)
ると
霊
(
みたま
)
が
中有
(
ちうう
)
に
迷
(
まよ
)
うて
元
(
もと
)
の
鞘
(
さや
)
に
納
(
をさ
)
まらぬと
迷惑
(
めいわく
)
だから』
174
万公
(
まんこう
)
『
此
(
こ
)
の
場
(
ば
)
はお
寅
(
とら
)
さまに
任
(
まか
)
して、
175
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
でお
茶
(
ちや
)
でも
頂
(
いただ
)
かうかい』
176
一同
(
いちどう
)
『ウンそんならさうしようかなア』
177
と
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
立
(
た
)
つて
往
(
ゆ
)
く。
178
お
寅
(
とら
)
『オイお
菊
(
きく
)
、
179
お
前
(
まへ
)
も
小供
(
こども
)
だてらこんな
所
(
ところ
)
にジツとしてゐるものぢやない、
180
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
私
(
わたし
)
が
介抱
(
かいほう
)
してあげるから』
181
お
菊
(
きく
)
『あまり
手荒
(
てあら
)
い
事
(
こと
)
はしないやうにして
下
(
くだ
)
さいな』
182
お
寅
(
とら
)
『
何
(
ど
)
うしようと、
183
斯
(
か
)
うしようと
此方
(
こちら
)
の
勝手
(
かつて
)
だ。
184
小供
(
こども
)
だてら
差出口
(
さしでぐち
)
をするものぢやない。
185
サア
彼方
(
あちら
)
に
往
(
ゆ
)
きなさい』
186
お
菊
(
きく
)
『それでも
心配
(
しんぱい
)
でならないわ』
187
お
寅
(
とら
)
『エヽ
執
(
しつ
)
こい』
188
と
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
す、
189
お
菊
(
きく
)
は
涙
(
なみだ
)
ぐみながら
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
出
(
いで
)
て
往
(
ゆ
)
く。
190
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
漸
(
やうや
)
く
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し、
191
何
(
なに
)
かハツキリは
聞
(
きこ
)
えないが、
192
お
寅
(
とら
)
と
二人
(
ふたり
)
でブツブツと
話
(
はな
)
しをやつて
居
(
ゐ
)
る。
193
タク『アク、
194
何
(
なん
)
とまア、
195
ウラナイ
教
(
けう
)
は
手荒
(
てあら
)
い
事
(
こと
)
をする
女
(
をんな
)
が
居
(
ゐ
)
るものぢやなア。
196
バラモン
教
(
けう
)
だつてあんな
酷
(
ひど
)
い
事
(
こと
)
は、
197
まだしたのを
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
はないがなア。
198
最前
(
さいぜん
)
もウラナイ
教
(
けう
)
は
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
上下
(
じやうげ
)
一致
(
いつち
)
和合
(
わがふ
)
の
教
(
をしへ
)
だ。
199
三五教
(
あななひけう
)
、
200
ウラル
教
(
けう
)
、
201
バラモン
教
(
けう
)
のやうに
喧嘩
(
けんくわ
)
計
(
ばか
)
りして
居
(
ゐ
)
る
教
(
をしへ
)
を
信
(
しん
)
ぜず、
202
ウラナイ
教
(
けう
)
に
入
(
はい
)
れと
偉
(
えら
)
さうに
云
(
い
)
ひよつたが、
203
薩張
(
さつぱり
)
、
204
口
(
くち
)
と
行
(
おこな
)
ひとは
裏表
(
うらおもて
)
だ』
205
テク『それだから
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
は
目薬
(
めぐすり
)
程
(
ほど
)
も
無
(
な
)
いと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
るのだよ』
206
タク『
本当
(
ほんたう
)
だねえ』
207
万公
(
まんこう
)
『
上
(
うは
)
べから
見
(
み
)
れば
尊
(
たふと
)
き
神司
(
かむつかさ
)
208
其
(
その
)
内幕
(
うちまく
)
には
大蛇
(
をろち
)
住
(
す
)
むなり』
209
五三
(
いそ
)
『
本当
(
ほんたう
)
に
愛想
(
あいさう
)
が
尽
(
つ
)
きたウラナイの
210
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
にもやはり
裏
(
うら
)
あり』
211
アク『あきれたよお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまの
勢
(
いきほ
)
ひに
212
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
捻伏
(
ねぢふ
)
せた
所
(
とこ
)
』
213
タク『それやさうぢや
女白浪
(
をんなしらなみ
)
ばくちうち
214
夜叉
(
やしや
)
のやうなるお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまだ』
215
テク『テクテクと
強
(
きつ
)
い
山道
(
やまみち
)
登
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
て
216
思
(
おも
)
ひもよらぬ
喧嘩
(
けんくわ
)
見
(
み
)
るかな。
217
あの
婆
(
ばば
)
は
唯者
(
ただもの
)
ならじと
思
(
おも
)
うたら
218
白浪
(
しらなみ
)
女
(
をんな
)
のなれの
果
(
は
)
てなる。
219
あの
人
(
ひと
)
がウラナイ
教
(
けう
)
の
教祖
(
けうそ
)
かと
220
思
(
おも
)
へばたまげて
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
はれぬ。
221
小北山
(
こぎたやま
)
醜
(
しこ
)
の
嵐
(
あらし
)
が
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
び
222
丑寅
(
うしとら
)
婆
(
ば
)
さまが
荒
(
すさ
)
び
狂
(
くる
)
へる。
223
ユラリ
彦
(
ひこ
)
ユラリの
姫
(
ひめ
)
[
※
御校正本・愛世版では「ユラリの姫」だが、校定版・八幡版では「上義の姫」になっている。小北山に「ユラリ姫」という祭神はここ以外には登場しないので、「上義姫」の間違いだと校定版の編者が判断したのであろう
]
を
祭
(
まつ
)
つたる
224
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
は
恋
(
こひ
)
の
埃捨
(
ごみす
)
て。
225
埃溜
(
ごみため
)
に
千歳
(
ちとせ
)
の
鶴
(
つる
)
の
下
(
お
)
りたよな
226
松彦
(
まつひこ
)
さまのお
出
(
で
)
ましあはれ。
227
お
寅婆
(
とらばば
)
何
(
なん
)
ぢやかんぢやと
口先
(
くちさき
)
で
228
喧嘩
(
けんくわ
)
見
(
み
)
せよと
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのか』
229
五三
(
いそ
)
『やきもちをやいて
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
に
振
(
ふ
)
れ
舞
(
ま
)
ふと
230
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にやつて
居
(
ゐ
)
るのだ。
231
犬
(
いぬ
)
さへも
喰
(
く
)
はない
様
(
やう
)
な
喧嘩
(
けんくわ
)
して
232
見
(
み
)
せつけるとはこいつアたまらぬ。
233
悋気
(
りんき
)
して
死
(
し
)
ぬの
走
(
はし
)
るの
暇
(
ひま
)
くれと
234
吐
(
ぬか
)
す
嬶
(
かか
)
よりひどい
婆
(
ばば
)
うき』
235
アク『アク
迄
(
まで
)
も
恋
(
こひ
)
の
意地
(
いぢ
)
をば
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
236
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
がこはれる
迄
(
まで
)
往
(
ゆ
)
く。
237
あのやうなアク
性女
(
しやうをんな
)
に
魅
(
みい
)
られて
238
蠑螈別
(
いもりわけ
)
も
嘸
(
さぞ
)
困
(
こま
)
るだらう』
239
テク『それやさうぢや
丑寅
(
うしとら
)
婆
(
ば
)
さまと
云
(
い
)
ふぢやないか
240
悋気
(
りんき
)
の
角
(
つの
)
をふるは
当然
(
たうぜん
)
。
241
こいつア
又
(
また
)
怪体
(
けたい
)
な
所
(
とこ
)
へ
来
(
き
)
たものぢや
242
往
(
い
)
ぬに
往
(
い
)
なれず
居
(
を
)
るに
居
(
ゐ
)
られず。
243
松彦
(
まつひこ
)
の
司
(
つかさ
)
は
何
(
なに
)
して
厶
(
ござ
)
るだろ
244
心許
(
こころもと
)
なし
小北
(
こぎた
)
山風
(
やまかぜ
)
』
245
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
蒼青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
してブラリブラリと
入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
たのは
魔我彦
(
まがひこ
)
であつた。
246
万公
(
まんこう
)
『よう
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
247
些
(
ち
)
つと
顔色
(
かほいろ
)
が
悪
(
わる
)
いぢやありませぬか、
248
何
(
なに
)
か
又
(
また
)
ナイスに
油
(
あぶら
)
を
取
(
と
)
られたのでせう』
249
魔我
(
まが
)
『チヨツ、
250
イヤ
何
(
なん
)
でもありませぬ、
251
恐
(
おそ
)
ろしいものでありますわい。
252
本当
(
ほんたう
)
にチヨツ、
253
ふげたの
悪
(
わる
)
い、
254
もう
嫌
(
いや
)
になつて
仕舞
(
しま
)
つた。
255
エヽもどかしい、
256
焦
(
ぢれ
)
つたい、
257
胸糞
(
むねくそ
)
の
悪
(
わる
)
い、
258
チヨツ
しんごく
ど
奴
(
め
)
、
259
エヽ
あ
かんあかん、
260
チヨツ
因縁
(
い
んねん
)
づくだ。
261
ウ
ンザリして
仕舞
(
しま
)
つた。
262
チヨツ、
263
エ
ヽ
儘
(
まま
)
よ、
264
お
れもチヨツもう
自暴自棄
(
やけ
)
だ。
265
カヽヽヽヽ
構
(
かま
)
うものかい、
266
チヨツ、
267
キ
ヽ
気
(
き
)
に
喰
(
く
)
はぬ、
268
チヨツ、
269
ク
ヽヽヽヽ
糞
(
くそ
)
の
餓鬼
(
がき
)
奴
(
め
)
、
270
チヨツ、
271
ケ
ヽヽヽヽ
怪
(
け
)
つ
体
(
たい
)
の
悪
(
わる
)
いわ、
272
コ
ヽヽヽヽころりとやられて
来
(
き
)
た。
273
チヨツ、
274
さ
らしやがつたな、
275
し
んごくど
奴
(
め
)
、
276
チヨツ、
277
好
(
す
)
かんたらしい、
278
セ
ヽヽ
雪隠虫
(
せんちむし
)
め。
279
チヨツ、
280
あゝ、
281
そ
ろそろと
寝間
(
ねま
)
へでも
入
(
はい
)
つて
休
(
やす
)
まうかな、
282
タ
ヽヽ
忽
(
たちま
)
ちだ、
283
覚
(
おぼ
)
えてけつかれ
チ
ツとは
性
(
しやう
)
があるぞ、
284
チヨツ、
285
つ
き
出
(
だ
)
しやがつて
テ
ヽてれ
臭
(
くさ
)
い、
286
ト
ツととんぼり
返
(
かへ
)
りをさせやがつたな、
287
チヨツ、
288
ナ
ヽ
情
(
なさけ
)
ない、
289
チヨツ、
290
ニ
ヽにくらしい、
291
ヌ
ヽヽヌツと
出
(
で
)
て
来
(
き
)
やがつて、
292
ネ
ヽヽ
根
(
ね
)
つから
葉
(
は
)
つから
の
ぞみが
達
(
たつ
)
しさうにもなし
ヒ
ドい
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はしやがつた。
293
チヨツ、
294
フ
ヽ
太
(
ふと
)
い
事
(
こと
)
を
へ
い
気
(
き
)
でやつてけつかるのだらう、
295
ホ
ヽほんまに、
296
欲
(
よく
)
の
熊鷹
(
くまたか
)
だ。
297
マ
ヽヽヽまたが
裂
(
さ
)
けるぞ、
298
ミ
ヽヽ
見
(
み
)
てけつかれ、
299
ム
ヽ
無茶
(
むちや
)
でも、
300
メ
ヽ
目
(
め
)
をかけた
以上
(
いじやう
)
は、
301
モ
ヽもう
許
(
ゆる
)
さぬぞ』
302
五三
(
いそ
)
『コレコレ
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
303
何
(
なに
)
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ、
304
テンと
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らないぢやないか。
305
ヤ
ヽややこしい
イ
キサツが、
306
ウルサイ
程
(
ほど
)
、
307
ユ
ヽ
湧出
(
ゆうしゆつ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだろ、
308
エ
ヽ
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
五三公
(
いそこう
)
さまに
ヨ
ヽよく
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れ
ラ
ヽらちもない
事
(
こと
)
で
無
(
な
)
ければ、
309
リ
ヽ
立派
(
りつぱ
)
に
理由
(
りいう
)
を、
310
ル
ヽ
縷述
(
るじゆつ
)
して
方
(
かた
)
をつけたらよいぢやないか。
311
大方
(
おほかた
)
レ
ヽ
恋愛
(
れんあい
)
の
失策
(
しつさく
)
だらう。
312
ロ
ヽローマンスがあるのぢやないか、
313
ワ
ヽ
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
力
(
ちから
)
に
合
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
なら、
314
イ
ヽいかなる
事
(
こと
)
でも
ウ
ヽ
受
(
う
)
け
合
(
あ
)
うて
エ
ヽ
縁
(
えん
)
を
結
(
むす
)
び、
315
オ
ヽ
納
(
をさ
)
めてやろか、
316
ホヽヽヽヽ』
317
魔我
(
まが
)
『
五三公
(
いそこう
)
さま、
318
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
はパリぢや、
319
パリはパリだが、
320
サツパリだ』
321
五三
(
いそ
)
『ヘーン』
322
一同
(
いちどう
)
『ウフヽヽヽ、
323
ワハヽヽヽ、
324
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬやうになつて
来
(
き
)
たワイ、
325
分
(
わか
)
らいでも
矢張
(
やつぱり
)
をかしいワイ、
326
ウハヽヽヽヽ、
327
イヒヽヽヽ』
328
(
大正一一・一二・一一
旧一〇・二三
加藤明子
録)
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