霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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総説(そうせつ)

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻 篇:前付 よみ(新仮名遣い):
章:総説 よみ(新仮名遣い):そうせつ 通し章番号:
口述日:1923(大正12)年01月08日(旧11月22日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月6日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
最上天界である高天原には、宇宙の造物主なる大国常立大神が天地万有一切の総統権を具足して神臨したもう。大国常立大神のまたの御名を天之御中主大神と称え奉る。無限絶対の神格を持し、霊力体の大原霊と現れたもう。
この大神の御神徳が完全に発揮されたのを天照皇大御神と称え奉る。そして霊の元祖たる高皇産霊大神は、またの御名を神伊邪那岐大神、また日の大神と称え奉る。体の元祖神皇産霊大神は、またの御名を神伊邪那美大神、また月の大神と称え奉る。
このことはこの物語にしばしば述べられているとおりである。また高皇産霊大神は霊系にして、厳の御霊国常立大神と現れ給ひ、体系の祖神である神皇産霊大神は、瑞の御霊豊雲野大神またの御名豊国主大神と現れ給う。
厳の御魂は天照大神と顕現して天界の主宰神とならせ給うた。ちなみに、天照皇大御神様と天照大神様は、その位置、神格、御神業について大変な差があることを考えなければならない。
また瑞の御魂は神素盞嗚大神と現れ給い、大海原の国を統御あそばす御神誓である。
神界においては、一切の絶対的神権を宇宙の祖神大六合常立大神に御集めになったのである。さて、厳の御魂に属するものはすべて瑞の御魂に属せしめ給うたのであるから、瑞の御魂は厳の御魂と同体神ということになる。
厳の御魂を太元神と称え奉り、瑞の御魂を救世神、救神、主の神と単に称するのである。この物語において主の神とあるのは、神素盞嗚大神様のことである。
主の神は宇宙一切の事物を済度すべく天地間を昇降あそばしてその身魂を分け、あるいは釈迦と現れ、あるいはキリストとなり、マホメットとなり、その他種々雑多に神身を変じ給ひて天地神人の救済に尽くさせ給う仁慈無限の大神である。
前に述べたとおり、宇宙一切の大権は厳の御魂・太元神に属し、太元神に属する一切は瑞の御魂の属している以上は、神を三分して考えることはできないのである。心に三を念じて口に一をいうことはできないのである。
神素盞嗚大神は救世神ともいい、仁愛大神とも申し上げ、撞の大神とも申し上げる。
この霊界物語には産土山の高原・伊祖の神館において神素盞嗚尊が三五教を開き給い、多数の宣伝使を四方に派遣し給う御神業が描かれている。これは決して現界ばかりの物語ではない。
霊界すなわち天国や、精霊界(中有界)、根底の国まで救いの道を述べ伝え給うた事実である。
一方、ウラル教、バラモン教、ウラナイ教などの物語は、たいてい顕界に関した事実が述べているのである。ゆえに三五教は内分的の教えを主とし、その他の教えは外分の教えをもって地上を開いたのである。顕幽神の三界を超越した物語というのは、右の理由から出た言葉である。
主の神である神素盞嗚大神は、愛善の徳をもって天界地上を統一し給う。主神は天地を一個人のごとくにして統御し給うのである。数多の宣伝使は主神という一個の神格の一部分として、神経なり繊維なり血管なりの活動をなしているのである。
このようにして天人や宣伝使の部分的な活動も、みな主神と一体となって神業の奉仕し、全局は部分のために、部分は全局のために、統一的全体の形式を保持し、かつ相互の福祉を勧め、一体となって活動しているのである。
用を遂げるというのは、総局の福祉をまっとうするために他の順利を願うというのがその意義である。用を遂げないというのは、総局の福祉を顧みずにただ自家のために他の順利を願うということである。
天界にあるものは、すべて主神をもって唯一とし、万物が由って来る大根源とするため、ことごとく一体となって活動するのである。
福祉というのは正義(ただしき)という意味である。現世に在って、国家社会の福祉正義を喜び、隣人の福祉をもって自己の福祉のごとく喜ぶものは、他生においては主神の国土を愛して求めるものである。
三五教の宣伝使はみな、主の神の全体または個体として、舎身的大活動を不断に励みつつある神使のみである。実に神明の徳の広大無辺であることに驚かざるを得ない次第である。
願わくは大本の宣伝使たる人は神代における三五教の宣伝使の神業に神習い、一人残らず主の神の御意志を諒解し、国家社会のために大々的活動を励み、天国へ永住すべき各自の運命を開拓し、かつ一切の人類を天国の楽園に上らしむべく、善徳を積まれることを希望する次第である。
太元神を主神といったり、救世神瑞の御魂の大神を主神といったりしてあるのは、ここに述べたとおり、太元神の一切の所属と神格そのものは一体であるからである。
主の神である神素盞嗚大神は、神典古事記に載せられたごとく大海原をしろしめす御天職があらせられることは明白な事実である。
主の神は天界も地の世界も治め統べ守り給うが、天国と言ってもやはり山川草木一切の地上と同一の万類があり、土地も厳然として存在しているから、天界地球両方面の主宰神といってもあまり錯誤ではあるまい。
天界または天国といえば、蒼空にある理想国、主観的な霊の国だと思っている人には容易には承認されないであろう。天国にも大海原すなわち国土がある。ただ、善と真と知恵と正覚を得た個人的天人の住居する楽土である。
ゆえに、主の神は天地を統御按配し給い、また大海原の主宰である主の神が、天界の国土と地上の国土を守護し給うのは、むしろ当然なのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-24 18:31:06 OBC :rm470002
愛善世界社版:3頁 八幡書店版:第8輯 469頁 修補版: 校定版:3頁 普及版:1頁 初版: ページ備考:
001 最上(さいじやう)天界(てんかい)(すなは)高天原(たかあまはら)には、002宇宙(うちう)造物主(ざうぶつしゆ)なる大国常立(おほくにとこたちの)大神(おほかみ)天地(てんち)万有(ばんいう)一切(いつさい)総統権(そうとうけん)具足(ぐそく)して神臨(しんりん)(たま)ふのであります。003そして大国常立(おほくにとこたちの)大神(おほかみ)(また)御名(みな)天之(あめの)御中主(みなかぬしの)大神(おほかみ)(とな)(まつ)り、004無限(むげん)絶対(ぜつたい)神格(しんかく)()し、005霊力体(れいりよくたい)大原霊(だいげんれい)(あら)はれ(たま)ふのであります。006この大神(おほかみ)()神徳(しんとく)完全(くわんぜん)発揮(はつき)されたのを天照皇(あまてらすすめ)大御神(おほみかみ)(とな)(まつ)るのであります。007そして(れい)元祖(ぐわんそ)たる高皇(たかみ)産霊(むすびの)大神(おほかみ)は、008一名(またのみな)(かむ)伊邪那岐(いざなぎの)大神(おほかみ)(また)()()大神(おほかみ)(とな)(まつ)り、009(たい)元祖(ぐわんそ)神皇(かむみ)産霊(むすびの)大神(おほかみ)一名(またのみな)(かむ)伊邪那美(いざなみの)大神(おほかみ)(また)()(つき)大神(おほかみ)(とな)(まつ)るのは、010(この)物語(ものがたり)にて(しばしば)()べられてある(とほ)りであります。011(また)高皇(たかみ)産霊(むすびの)大神(おほかみ)霊系(れいけい)にして(いづ)御霊(みたま)国常立(くにとこたちの)大神(おほかみ)(あら)はれ(たま)ひ、012体系(たいけい)祖神(そしん)なる神皇(かむみ)産霊(むすびの)大神(おほかみ)は、013(みづ)御魂(みたま)豊雲野(とよくもぬの)大神(おほかみ)(また)()豊国主(とよくにぬしの)大神(おほかみ)(あら)はれ(たま)うたのであります。014この(いづ)御魂(みたま)(ふたた)天照(あまてらす)大神(おほかみ)顕現(けんげん)(たま)ひて天界(てんかい)主宰神(しゆさいじん)とならせ(たま)ひました。015(ちなみ)天照皇(あまてらすすめ)大御神(おほみかみ)(さま)天照(あまてらす)大神(おほかみ)(さま)とは、016その位置(ゐち)(おい)神格(しんかく)(おい)所主(しよしゆ)()神業(しんげふ)(おい)大変(たいへん)差等(さとう)のある(こと)(かんが)へねばなりませぬ。017(また)(みづ)御魂(みたま)は、018(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(あら)はれ(たま)ひ、019大海原(おほうなばら)(くに)統御(とうぎよ)(あそ)ばす神代(かみよ)からの()神誓(しんせい)である(こと)神典(しんてん)古事記(こじき)020日本(にほん)書紀(しよき)(とう)()つて明白(めいはく)なる事実(じじつ)であります。021(しか)るに神界(しんかい)にては一切(いつさい)()げて一神(いつしん)()管掌(くわんしやう)()(たま)宇宙(うちう)祖神(そしん)大六合常立(おほくにとこたちの)大神(おほかみ)絶対(ぜつたい)(てき)神権(しんけん)(おん)(あつ)めになつたのであります。022(ゆゑ)大六合常立(おほくにとこたちの)大神(おほかみ)独一(どくいつ)真神(しんしん)にして宇宙(うちう)一切(いつさい)主管(しゆくわん)(たま)(いづ)御魂(みたま)大神(おほかみ)顕現(けんげん)(たま)ひました。023()(いづ)御魂(みたま)(ぞく)する一切(いつさい)(もの)悉皆(しつかい)(みづ)御魂(みたま)(ぞく)せしめ(たま)うたのでありますから、024(みづ)御魂(みたま)(すなは)(いづ)御魂(みたま)同体神(どうたいしん)()(こと)になるのであります。025(ゆゑ)(いづ)御魂(みたま)太元神(おほもとがみ)(とな)(まつ)り、026(みづ)御魂(みたま)救世神(きうせいしん)(また)救神(すくひのかみ)(とな)(また)()(かみ)単称(たんしよう)するのであります。027(ゆゑ)(この)物語(ものがたり)(おい)()(かみ)とあるは、028(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)(こと)であります。029()(かみ)宇宙(うちう)一切(いつさい)事物(じぶつ)済度(さいど)すべく天地間(てんちかん)昇降(しようかう)(あそ)ばして(その)御魂(みたま)()け、030(あるひ)釈迦(しやか)(あら)はれ、031(あるひ)基督(キリスト)となり、032マホメツトと()り、033(その)()種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)神身(しんしん)(へん)(たま)ひて天地(てんち)神人(しんじん)救済(きうさい)(つく)させ(たま)仁慈(じんじ)無限(むげん)大神(おほかみ)であります。034(しか)して(まへ)()べた(とほ)宇宙(うちう)一切(いつさい)大権(たいけん)(いづ)御魂(みたま)大神(おほかみ)(すなは)太元神(おほもとがみ)(ぞく)し、035この太元神(おほもとがみ)(ぞく)せる一切(いつさい)(みづ)御魂(みたま)悉皆(しつかい)(ぞく)されたる以上(いじやう)(かみ)三分(さんぶ)して(かんが)へることは出来(でき)ませぬ。036(つま)(こころ)(さん)(ねん)じて(くち)(いつ)をいふことはならないのであります。037(ゆゑ)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)救世神(きうせいしん)とも()ひ、038仁愛(みろくの)大神(おほかみ)とも申上(まをしあ)げ、039(つき)大神(おほかみ)とも(まを)()げるのであります。040この霊界(れいかい)物語(ものがたり)には産土山(うぶすなやま)高原(かうげん)伊祖(いそ)神館(かむやかた)(おい)(かむ)素盞嗚(すさのをの)(みこと)三五教(あななひけう)(ひら)(たま)数多(あまた)宣伝使(せんでんし)四方(よも)派遣(はけん)(たま)()神業(しんげふ)は、041(けつ)して現界(げんかい)ばかりの物語(ものがたり)ではありませぬ。042霊界(れいかい)(すなは)天国(てんごく)精霊界(せいれいかい)中有界(ちううかい))や根底(ねそこ)(くに)まで(すく)ひの(みち)布衍(ふえん)(たま)うた事実(じじつ)であります。043ウラル(けう)やバラモン(けう)044(あるひ)はウラナイ(けう)なぞの物語(ものがたり)は、045大抵(たいてい)顕界(けんかい)(くわん)した事実(じじつ)()べてあるのです。046(ゆゑ)三五教(あななひけう)内分(ないぶん)(てき)(をしへ)(しゆ)とし(その)()(をしへ)外分(ぐわいぶん)(てき)(をしへ)(もつ)地上(ちじやう)(ひら)いたのであります。047(ゆゑ)顕幽神(けんいうしん)三界(さんかい)超越(てうゑつ)した物語(ものがたり)()ふのは(みぎ)理由(りいう)から()言葉(ことば)であります。048()(かみ)たる(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)愛善(あいぜん)(とく)(もつ)天界地上(てんかいちじやう)統一(とういつ)(たま)ひ、049(また)天界(てんかい)地上(ちじやう)一個人(いちこじん)として(すなは)単元(たんげん)として(これ)統御(とうぎよ)したまふのであります。050(たと)へば人体(じんたい)(その)全分(ぜんぶん)()つても、051(その)個体(こたい)にあつても千態(せんたい)万様(ばんやう)事物(じぶつ)より()れる(ごと)天地(てんち)(また)同様(どうやう)であります。052人間(にんげん)身体(しんたい)全分(ぜんぶん)方面(はうめん)より()れば肢節(しせつ)あり機関(きくわん)あり臓腑(ざうふ)あり、053個体(こたい)より()れば繊維(せんゐ)あり神経(しんけい)あり血管(けつくわん)あり、054()くて肢体(したい)(なか)にも肢体(したい)あり部分(ぶぶん)(なか)部分(ぶぶん)あれども個人(こじん)活動(くわつどう)する(とき)単元(たんげん)として活動(くわつどう)する(ごと)く、055主神(すしん)天地(てんち)一個人(いちこじん)(ごと)くにして統御(とうぎよ)(たま)ふのであります。056(ゆゑ)数多(あまた)宣伝使(せんでんし)(また)主神(すしん)一個(いつこ)神格(しんかく)個体(こたい)(すなは)一部分(いちぶぶん)として神経(しんけい)なり繊維(せんゐ)なり血管(けつくわん)なりの活動(くわつどう)()しつつあるのであります。057天人(てんにん)宣伝使(せんでんし)のかく部分(ぶぶん)(てき)活動(くわつどう)(みな)主神(すしん)一体(いつたい)となりて神業(しんげふ)奉仕(ほうし)するのは(あだか)一個(いつこ)人体中(じんたいちう)(かく)(ごと)数多(あまた)異様(いやう)あれども、058一物(いちぶつ)としてその(よう)()ぐるに(あた)り、059全般(ぜんぱん)福祉(ふくし)(はか)らむとせざるはなきに()(ごと)きものであります。060(すなは)全局(ぜんきよく)部分(ぶぶん)(ため)に、061部分(ぶぶん)全局(ぜんきよく)(ため)何事(なにごと)(よう)()げずと()(こと)はありませぬ。062(けだ)全局(ぜんきよく)部分(ぶぶん)より()部分(ぶぶん)全局(ぜんきよく)(つく)るが(ゆゑ)に、063相互(さうご)給養(きふやう)相互(さうご)揖譲(いふじやう)するを(わす)れない。064(しか)して(その)(あひ)和合(わがふ)するや部分(ぶぶん)全局(ぜんきよく)とに(ろん)なく(いづ)れの方面(はうめん)から()ても統一(とういつ)(てき)全体(ぜんたい)形式(けいしき)保持(ほぢ)()(その)福祉(ふくし)(すす)めむとせないものはない。065(これ)(もつ)一体(いつたい)となりて活動(くわつどう)()るのである。066主神(すしん)天地(てんち)両界(りやうかい)()ける統合(とうがふ)(また)(これ)類似(るゐじ)したまふのである。067(すべ)(もの)和合(わがふ)するは(かく)(その)()(ところ)(よう)相似(さうじ)形式(けいしき)踏襲(たふしふ)する(とき)であるから、068全社会(ぜんしやくわい)のために(よう)()さないものは天界(てんかい)神界(しんかい)(そと)放逐(はうちく)さるるのは当然(たうぜん)である。069そは()相容(あひい)れないからであります。070(よう)()ぐると()(こと)総局(そうきよく)福祉(ふくし)(まつた)うせむために()順利(じゆんり)(ねが)ふの()であり、071そして(よう)()げずと()ふは、072総局(そうきよく)福祉(ふくし)如何(いかん)(かへり)みず、073(ただ)自家(じか)(ため)(ゆゑ)()順利(じゆんり)(ねが)ふの()である。074(これ)はすべてを()てて(ただ)自己(じこ)のみを(あい)し、075(かれ)はすべてを()てて(ただ)主神(すしん)のみを(あい)すと()ふべきである。076天界(てんかい)にあるもの(ことごと)一体(いつたい)となりて活動(くわつどう)するは(これ)(ため)である。077(しか)して(かく)(ごと)くなるは主神(すしん)よりするのであります。078諸天人(しよてんにん)(しよ)宣伝使(せんでんし)(みづか)らの(ゆゑ)ではない。079(なん)となれば、080(かれ)()天人(てんにん)宣伝使(せんでんし)主神(すしん)(もつ)唯一(ゆゐいつ)となし、081万物(ばんぶつ)()りて(きた)大根源(だいこんげん)となし、082主神(すしん)国土(こくど)保全(ほぜん)するを(もつ)総局(そうきよく)福祉(ふくし)()すからであります。083福祉(ふくし)といふは正義(ただしき)意味(いみ)である。084現世(げんせ)()つて、085国家(こくか)社会(しやくわい)福祉(ふくし)(正義)を(よろこ)ぶこと私利(しり)(よろこ)ぶより(はなはだ)しく、086隣人(りんじん)福祉(ふくし)(もつ)自己(じこ)福祉(ふくし)(ごと)くに(よろこ)ぶものは、087他生(たしやう)(おい)ては主神(すしん)国土(こくど)(あい)して(これ)(もと)むるものである。088そは天界(てんかい)()ける主神(すしん)国土(こくど)なるものは、089(この)()()ける国家(こくか)相対比(あひたいひ)すべきものだからである。090自己(じこ)(ため)でなく、091(ただ)(とく)(ゆゑ)(とく)他人(たにん)(ほどこ)すものは隣人(りんじん)(あい)することに()るのである。092天界(てんかい)にては隣人(りんじん)(しよう)するは(とく)である。093すべて(かく)(ごと)きものは偉人(ゐじん)であつて、094(すなは)高天原(たかあまはら)(なか)(ぢゆう)するものである。095三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(みな)096(ぜん)(とく)()(そな)へ、097()(あい)(ぜん)(しん)(しん)とを体現(たいげん)して智慧(ちゑ)証覚(しようかく)とを本具(ほんぐ)現成(ごんじやう)してゐる神人(しんじん)(ばか)りである。098(いづ)れも()(かみ)全体(ぜんたい)または個体(こたい)として舎身(しやしん)(てき)大活動(だいくわつどう)不断(ふだん)(はげ)みつつある神使(しんし)のみで、099(じつ)神明(しんめい)(とく)広大(くわうだい)無辺(むへん)なるに(おどろ)かざるを()ない次第(しだい)であります。100(ねが)はくは大本(おほもと)宣伝使(せんでんし)たる(ひと)神代(かみよ)()ける三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)神業(しんげふ)神習(かむなら)ひ、101一人(ひとり)たりとも()(かみ)()意志(いし)諒解(りやうかい)し、102国家(こくか)社会(しやくわい)(ため)大々(だいだい)(てき)活動(くわつどう)(はげ)み、103天国(てんごく)永住(えいぢゆう)すべき各自(かくじ)運命(うんめい)開拓(かいたく)し、104()一切(いつさい)人類(じんるゐ)をして天国(てんごく)楽園(らくゑん)(のぼ)らしむべく、105善徳(ぜんとく)()まれむことを希望(きばう)する次第(しだい)であります。106太元神(おほもとがみ)主神(すしん)()つたり、107救世神(きうせいしん)(みづ)御魂(みたま)大神(おほかみ)主神(すしん)()つたりしてあるのは(まへ)()べた(とほ)太元神(おほもとがみ)一切(いつさい)所属(しよぞく)神格(しんかく)そのものは一体(いつたい)なるが(ゆゑ)であります。108読者(どくしや)(さいはひ)(りやう)せられむことを。
 
109 ()けて()
110 ()(かみ)なる(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)神典(しんてん)古事記(こじき)()せられたる(ごと)大海原(おほうなばら)知食(しろしめ)すべき()天職(てんしよく)()らせらるるは明白(めいはく)なる事実(じじつ)であります。111()(かみ)天界(てんかい)をも()世界(せかい)をも(をさ)()(まも)(たま)ふと()へば、112大変(たいへん)(おどろ)かるる国学者(こくがくしや)出現(しゆつげん)するでせう。113(しか)(なが)天界(てんかい)()つても天国(てんごく)()つても矢張(やは)山川(さんせん)草木(さうもく)(その)()一切(いつさい)地上(ちじやう)同一(どういつ)万類(ばんるゐ)があり土地(とち)儼然(げんぜん)として存在(そんざい)して()るのであるから、114天界(てんかい)地球(ちきう)両方面(りやうはうめん)守宰神(しゆさいしん)()つても(あま)錯誤(さくご)ではありますまい。115天界(てんかい)(また)天国(てんごく)()へば蒼空(さうくう)にある理想国(りさうこく)116所謂(いはゆる)主観(しゆくわん)(てき)(れい)(くに)だと(おも)つてゐる(ひと)には容易(ようい)承認(しようにん)されないでせう。117天国(てんごく)とは(けつ)して冲虚(ちうきよ)世界(せかい)ではありませぬ。118天人(てんにん)(いへど)(また)(けつ)して羽衣(はごろも)()空中(くうちう)自由(じいう)自在(じざい)飛翔(ひしよう)するものとのみ(おも)つてゐるのは(だい)なる誤解(ごかい)であります。119天国(てんごく)にも大海原(おほうなばら)(すなは)国土(こくど)があるのです。120(ただ)(ぜん)(しん)との智慧(ちゑ)証覚(しようかく)()たる個体(こじん)(てき)天人(てんにん)住居(ぢうきよ)する楽土(らくど)なのであることを思考(しかう)する(とき)は、121()(かみ)天地(てんち)統御(とうぎよ)按配(あんばい)(たま)ふといふも(けつ)して不可思議(ふかしぎ)議論(ぎろん)ではありませぬ。122(ゆゑ)大海原(おほうなばら)主宰(しゆさい)たる()(かみ)天界(てんかい)国土(こくど)たると地上(ちじやう)国土(こくど)たるとを()はず守護(しゆご)(たま)ふは(むし)当然(たうぜん)であります。
123  大正十二年一月八日
124王仁識
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