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第一四章 天開(てんかい)(はな)〔一二四七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻 篇:第3篇 天国巡覧 よみ(新仮名遣い):てんごくじゅんらん
章:第14章 天開の花 よみ(新仮名遣い):てんかいのはな 通し章番号:1247
口述日:1923(大正12)年01月09日(旧11月23日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月6日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
治国別と竜公は一心不乱に油断と慢心の罪を謝し、一時も早くわが精霊に神格が充たされることを祈願していた。そこへ臭気紛々たる病人が膿汁をしたたらせながら二人の前にあらわれた。病人は岩石に躓いて苦悶し始めた。
竜公は、天国にこのような汚れた者がいるはずはないと治国別に訴えて、この場を離れようとする。治国別は、目の前に苦しんでいる人を救うことこそ、自愛を捨てて善と愛の光明にひたることであり、地獄も天国となすと諭した。
打ち倒れた病人は二人を認めると、宣伝使なら自分の膿を吸って苦しみを和らげろと命令した。治国別は言われるがままに病人を介抱し、いやがる竜公を諭した。
病人はますます横柄になり、治国別に膿を吸い出すように命令した。竜公はこの様を見て憤慨し病人をなぐった。すると病人はたちまち容色端麗な女神と変わった。
女神は治国別の神の愛を賞賛し、自ら天教山の木花姫と名乗った。そして先ほど言依別命として二人の前に現れたのは、国治立尊であることを明かした。木花姫は竜公の師匠を思う義を称しつつも、愛を徹底させるようにと諭した。
木花姫は最下層の天国から中間の天国団体へ二人を案内しようと、二人ともに被面布を授けた。二人は木花姫の後を慕い、足に任せて東にさして一瀉千里の勢いで進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-04-26 19:51:15 OBC :rm4714
愛善世界社版:203頁 八幡書店版:第8輯 547頁 修補版: 校定版:212頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 治国別(はるくにわけ)002竜公(たつこう)両人(りやうにん)一心(いつしん)不乱(ふらん)油断(ゆだん)慢心(まんしん)(つみ)(しや)し、003(いち)()(はや)(わが)精霊(せいれい)神格(しんかく)()たされむ(こと)祈願(きぐわん)しつつあつた。
004 そこへ天国(てんごく)には()るべき(はず)もない臭気(しうき)紛々(ふんぷん)たる弊衣(へいい)(ちやく)し、005二目(ふため)とは()られぬ(やう)醜面(しこづら)()げ、006膿汁(うみしる)のボトボトと(したた)(からだ)をしながら、007三尺(さんじやく)ばかりの百足虫(むかで)(つゑ)をつき二人(ふたり)(まへ)(あら)はれ(きた)り、008(たちま)岩石(がんせき)(つまづ)苦悶(くもん)(はじ)めた。009竜公(たつこう)(おどろ)いて、
010竜公『もし、011先生(せんせい)012天国(てんごく)には(けつ)して斯様(かやう)(きたな)いものは()らない(はず)です。013こりや何時(いつ)()にか慢心(まんしん)して地獄(ぢごく)逆転(ぎやくてん)したのぢやありますまいか。014(この)(とほ)四方(しはう)暗雲(あんうん)(つつ)まれ、015一丁(いつちやう)(さき)()えぬ(やう)になり、016()()はれぬ陰鬱(いんうつ)()(おそ)うて()たぢやありませぬか』
017治国別否々(いやいや)(けつ)して地獄(ぢごく)ではあるまい。018最下層(さいかそう)天国(てんごく)相違(さうゐ)ない。019(しか)しながら矢張(やは)天国(てんごく)にも不幸(ふかう)(ひと)があると()え、020斯様(かやう)業病(ごふびやう)(かか)(くるし)んでゐる(かた)がゐると()える。021(なん)とかして(すく)うてやらねばなるまいが、022吾々(われわれ)(すく)ふと()ふのは(これ)(また)慢心(まんしん)だ。023()うか(かみ)(さま)()神格(しんかく)(いただ)いて御用(ごよう)使(つか)つて(いただ)()いものだ』
024(かみ)合掌(がつしやう)(はじ)めた。025竜公(たつこう)(そで)()いて小声(こごゑ)になり、
026竜公『もし、027先生(せんせい)028こんな(きたな)人間(にんげん)(さは)らうものなら、029霊身(れいしん)(けが)れて(たちま)地獄(ぢごく)団体(だんたい)落転(らくてん)せねばなりますまい。030(けつ)してお(かま)(あそ)ばすな。031大変(たいへん)(ござ)ります』
032治国別『いや、033さうではない。034天国(てんごく)愛善(あいぜん)(くに)だ。035(かみ)(あい)(しん)とを(もつ)()神格(しんかく)(あそ)ばすのだ。036吾々(われわれ)(かみ)(さま)(あい)(しん)とを()けなくては生命(せいめい)(たも)(こと)出来(でき)ない。037さうして(かみ)より(いただ)いた(この)(あい)(しん)(あまね)地上(ちじやう)分配(ぶんぱい)せねばなるまい。038地獄(ぢごく)におつるのを(おそ)れて現在(げんざい)()(まへ)(くるし)んでゐる(この)(あは)れな人々(ひとびと)(すく)はないと()ふのは、039所謂(いはゆる)自愛(じあい)(こころ)だ、040自愛(じあい)(こころ)天国(てんごく)にはない。041仮令(たとへ)(この)場所(ばしよ)地獄(ぢごく)のドン(ぞこ)であらうとも、042自愛(じあい)()(ぜん)(あい)との光明(くわうみやう)にひたる(こと)()るならば、043地獄(ぢごく)(たちま)(くわ)して天国(てんごく)となるであらう』
044竜公『さう(うけたま)はればさうかも()れませぬな。045(しか)(なが)斯様(かやう)天国(てんごく)()()りながら、046あの(やう)(きたな)人間(にんげん)()れて、047折角(せつかく)(みが)きかけた精霊(せいれい)(けが)(やう)(こと)があつては、048多勢(おほぜい)人間(にんげん)娑婆(しやば)(かへ)つて(すく)(こと)出来(でき)ますまい。049(ただ)一人(ひとり)(たす)けて精霊(せいれい)(けが)すよりも、050(この)()見逃(みのが)して多勢(おほぜい)()めに(あい)(しん)との(ひかり)(かがや)かす(はう)が、051何程(なにほど)神界(しんかい)(ため)になるか()れませぬぜ。052此処(ここ)(ひと)(かんが)(もの)ですな』
053治国別『いや(けつ)してさうではない。054()(まへ)提供(ていきよう)された、055いはば吾々(われわれ)試験物(しけんぶつ)だ。056(この)(あは)れな人間(にんげん)見逃(みのが)して行過(ゆきす)ぐる(くらゐ)ならば、057到底(たうてい)吾々(われわれ)(あい)(かみ)神格(しんかく)より(きた)(しん)(あい)ではない。058矢張(やは)自然界(しぜんかい)同様(どうやう)自愛(じあい)だ、059地獄(ぢごく)(あい)だ。060斯様(かやう)偽善(ぎぜん)(てき)(あい)吾々(われわれ)()るべき(みち)ではない』
061 ()(はな)(とき)しも、062(まへ)(たふ)れた非人(ひにん)治国別(はるくにわけ)打眺(うちなが)め、
063非人『おい、064そこな宣伝使(せんでんし)065(おれ)(いま)斯様(かやう)業病(ごふびやう)(わづら)ひ、066(あま)つさへ(いは)(つまづ)き、067(この)(とほ)(あし)(くじ)(くるし)(もだ)えて()るのだ。068(はや)()()(おこ)して()れないか』
069 治国別(はるくにわけ)は、
070治国別『ハイ、071承知(しようち)(いた)しました』
072と、073ツと(そば)()(からだ)()(おこ)さうとすれば、074臭気(しうき)紛々(ふんぷん)として(はな)をつき、075身体(しんたい)一面(いちめん)(うじ)がわき、076いやらしき種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)(むし)(ども)(からだ)一面(いちめん)にウヨウヨと、077肉体(にくたい)(くさ)つた部分(ぶぶん)から(かず)(かぎ)りもなくはみ()してゐる。078治国別(はるくにわけ)がかけた()には幾百(いくひやく)とも(かぎ)()られぬ(うじ)がゾウゾウと(つた)うて、079治国別(はるくにわけ)全身(ぜんしん)(またた)(うち)(つつ)んで()る。080竜公(たつこう)(これ)()て、
081竜公『もし先生(せんせい)082(なん)(なん)でも、083そんな(くさ)つた人間(にんげん)相手(あひて)になさつちや、084いけませぬよ。085到底(たうてい)(たす)かる見込(みこみ)はありませぬよ。086それ御覧(ごらん)なさい、087(からだ)一面(いちめん)(うじ)がわいてるぢやありませぬか』
088 治国別(はるくにわけ)言葉(ことば)(しづ)かに、
089治国別何処(どこ)誰方(どなた)(さま)()りませぬが、090(さぞ)()難儀(なんぎ)(ござ)りませう。091サア(わたし)(かた)にお(すが)(くだ)さい。092何処(どこ)(まで)なりとお(たく)(まで)(おく)つて()げませう』
093非人『うん、094(おれ)()(こと)(なん)でも()くだらうな』
095治国別『ハイ、096如何(いか)なる(こと)でも吾々(われわれ)(ちから)(およ)(かぎ)りは御用(ごよう)(うけたま)はりませう』
097竜公先生(せんせい)098()加減(かげん)()めたら如何(どう)ですか。099あんまり物好(ものず)きぢやありませぬか。100何程(なんぼ)(ひと)(たす)けるが(やく)だと()つても、101二目(ふため)()られぬ(からだ)抱起(だきおこ)して(もら)ひながら、102まるで主人(しゆじん)(しもべ)(たい)する(やう)言葉(ことば)(もち)ゐ、103馬鹿(ばか)にして()やがつて……お(れい)一言(ひとこと)(くらゐ)()つた(ところ)(よろ)しからうに……(その)(やう)(おん)義理(ぎり)()らぬ(くらゐ)だから、104(この)天国(てんごく)()てもやつぱり(くるし)んでゐるのですよ。105(かみ)(さま)(ばち)(あた)つてゐるものを、106何程(なんぼ)宣伝使(せんでんし)だつて(かま)はぬでもいいでせう。107(くさ)(くさ)い、108エグイ(にほひ)がして()た』
109非人『こりや竜公(たつこう)110慢心(まんしん)(いた)すな。111(この)(はう)(あし)(さす)れ』
112竜公『チヨツ、113エー』
114治国別『おい竜公(たつこう)115(おれ)命令(めいれい)だ。116(この)非人(ひにん)さまの()(とほ)り、117(あし)()まして(もら)へ』
118竜公『ぢやと(まを)して、119それが……』
120治国別(なに)が「ぢやと(まを)して」だ。121左様(さやう)不量見(ふれうけん)(やつ)は、122只今(ただいま)(かぎ)師弟(してい)(えん)()る。123(おれ)はもうお(まへ)何処(どこ)へも一緒(いつしよ)には()かない』
124竜公『エーエ、125ぢやと(まを)して、126それが如何(どう)して……』
127非人『こりや(たつ)128(おれ)(しり)()め。129(はや)()めぬかい』
130竜公『エー、131馬鹿(ばか)にして()やがる。132貴様(きさま)()のアタ(きたな)(しり)()める(くらゐ)なら、133(おれ)()んだがましだ。134アーン アーン アーン』
135非人(おもて)(ぜん)標榜(へうぼう)する偽善者(ぎぜんしや)()136(いま)貴様(きさま)(おれ)(やう)病気(びやうき)にかかるが、137それでも()いか』
138竜公『そ……そんな業病(ごふびやう)にかかる(やう)な……ワヽヽ(わる)(こと)はした(こと)はないワイ。139あんまり馬鹿(ばか)にすない。140(おれ)大切(たいせつ)のお師匠(ししやう)さまを、141(しもべ)(なん)ぞの(やう)使(つか)つて、142二目(ふため)()られない(からだ)介抱(かいほう)させ、143(なほ)(その)(うへ)世話(せわ)をさせやがつて……エー、144もう先生(せんせい)145こんな(やつ)はいい加減(かげん)にしておきなさいませ』
146治国別『これも(かみ)(さま)()(めぐ)みだ。147(そで)ふり()ふも他生(たしやう)(えん)148かかる(たふと)天国(てんごく)(おい)て、149かうしてお()にかかるのも(なに)かの()神縁(しんえん)だらう。150何程(なにほど)(きたな)人間(にんげん)(さま)でも、151(かみ)(さま)(あい)神格(しんかく)()らされてからは、152(すこ)しも汚穢(をゑ)(かん)じない。153(じつ)有難(ありがた)(かん)じてゐる。154(まへ)(この)(かた)()うたのを(さいは)ひに、155()(つみ)(つぐの)ふべく介抱(かいほう)をさして(いただ)いたら如何(どう)だ』
156非人『おい、157治国別(はるくにわけ)158(おれ)(あし)(うら)一寸(ちよつと)()めて()れ。159大分(だいぶん)(うみ)()()(やう)だ。160(この)(うみ)()ひとらねば如何(どう)しても(ある)(こと)出来(でき)ない』
161治国別『ハイ、162有難(ありがた)(ござ)ります。163御用(ごよう)さして(いただ)きます』
164()ひながら、165(あし)(うら)(うみ)をチウチウと()ひかけた。166竜公(たつこう)(たま)りかね、
167竜公無礼者(ぶれいもの)
168()ひながら、169拳骨(げんこつ)をかためて非人(ひにん)(あたま)をポカンと(なぐ)つた。170拍子(ひやうし)醜穢(しうわい)()るに(しの)びなかつた非人(ひにん)姿(すがた)は、171(たちま)容色(ようしよく)端麗(たんれい)なる妙齢(めうれい)美人(びじん)(かは)り、172()()はれぬ(ゑみ)をたたへながら、
173女(木花姫)治国別(はるくにわけ)さま、174貴方(あなた)本当(ほんたう)(かみ)(あい)徹底(てつてい)しましたよ。175サア(わらは)天国(てんごく)旅行(りよかう)(いた)しませう。176竜公(たつこう)さまの(やう)無情漢(むじやうかん)は、177此処(ここ)()つといてやりませうよ』
178治国別(わたし)は、179(あは)れな精神(せいしん)(じやう)不具(かたわ)なる(この)竜公(たつこう)(なほ)してやらず、180()てて()(こと)出来(でき)ませぬ。181竜公(たつこう)(とも)天国(てんごく)巡覧(じゆんらん)出来(でき)ねば、182最早(もはや)仕方(しかた)がありませぬ。183(かれ)苦楽(くらく)(とも)にする(かんが)へなれば、184何卒(どうぞ)貴女(あなた)はお一人(ひとり)おいでなさいませ』
185女(木花姫)成程(なるほど)186さうでなくては(かみ)(あい)徹底(てつてい)したとは()へない。187治国別(はるくにわけ)殿(どの)188天晴(あつぱれ)々々(あつぱれ)189(わらは)天教山(てんけうざん)木花姫(このはなひめ)(ござ)るぞや』
190 治国別(はるくにわけ)二足(ふたあし)三足(みあし)(あと)へしざり、191大地(だいち)()をついて一言(いちごん)(はつ)()ず、192感謝(かんしや)(なみだ)にくれてゐる。193木花姫(このはなひめ)言葉(ことば)(しと)やかに、
194木花姫治国別(はるくにわけ)さま、195貴方(あなた)はよくそこ(まで)(ぜん)(みち)徹底(てつてい)して(くだ)さいましたね。196(さぞ)大神(おほかみ)(さま)()満足(まんぞく)(ござ)りませう。197最前(さいぜん)言依別(ことよりわけの)(みこと)(あら)はれ(たま)うたのは、198国治立(くにはるたちの)(みこと)(さま)(ござ)りましたよ』
199治国別『ハイ、200(はじ)めの(うち)智慧(ちゑ)(くら)証覚(しようかく)うとき治国別(はるくにわけ)201(まつた)言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)とのみ(おも)()りましたが、202如何(どう)やら大神(おほかみ)(さま)()化身(けしん)なりし(こと)をおぼろげに(かんが)へさして(いただ)きまして、203感謝(かんしや)(なみだ)にくれて()りました(ところ)へ、204貴方(あなた)(さま)()(こころ)みに(あづか)り、205(ねが)うてもなき()神徳(しんとく)頂戴(ちやうだい)(いた)しました。206何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)207(この)竜公(たつこう)(わたくし)同様(どうやう)にお()をかけてやつて(くだ)さいませ』
208木花姫竜公(たつこう)さま、209貴方(あなた)随分(ずゐぶん)()(かた)(ひと)ですな。210もう(すこ)(あい)徹底(てつてい)すれば天国(てんごく)立派(りつぱ)被面布(ひめんぷ)をといて(のぼ)れますよ。211師匠(ししやう)(おも)真意(まごころ)(じつ)感服(かんぷく)(いた)しました。212(その)忠良(ちうりやう)なる(こころざし)によつて、213貴方(あなた)(あい)欠点(けつてん)(おぎな)(こと)出来(でき)ますから、214益々(ますます)(たま)(みが)いて天国(てんごく)巡覧(じゆんらん)()さいませ』
215 竜公(たつこう)感涙(かんるゐ)(むせ)びながら、
216竜公重々(ぢゆうぢゆう)()懇切(こんせつ)なる()教訓(けうくん)217有難(ありがた)(ござ)ります。218左様(さやう)なれば、219(とも)をさして(いただ)きませう』
220木花姫『ここは最下層(さいかそう)天国(てんごく)221これより中間(ちうかん)天国(てんごく)団体(だんたい)案内(あんない)(いた)しませう。222中間(ちうかん)天国(てんごく)天人(てんにん)証覚(しようかく)智慧(ちゑ)(およ)(あい)(しん)は、223下層(かそう)天国(てんごく)()天人(てんにん)(くら)ぶれば、224万倍(まんばい)光明(くわうみやう)(そな)はつて()ります。225それ(ゆゑ)(この)天国(てんごく)より一万倍(いちまんばい)(あい)(ぜん)(しん)(しん)226智慧(ちゑ)証覚(しようかく)(そな)へなくては、227仮令(たとへ)天国(てんごく)無理(むり)(のぼ)るとも、228(まなこ)くらみ、229頭痛(づつう)(はなは)だしく、230(ちから)(おとろ)へ、231(ほとん)自分(じぶん)生死(せいし)(ほど)(わか)らない(やう)になるものですよ。232竜公(たつこう)さまは被面布(ひめんぷ)(いただ)かれて、233()(これ)第二(だいに)天国(てんごく)探険(たんけん)出来(でき)ませうが、234治国別(はるくにわけ)(さま)(その)(まま)では到底(たうてい)(まゐ)れますまい。235(わらは)所持(しよぢ)被面布(ひめんぷ)()げませう』
236()ふより(はや)懐中(くわいちう)より取出(とりだ)し、237手早(てばや)治国別(はるくにわけ)頭部(とうぶ)にかけ(たま)うた。238(これ)より治国別(はるくにわけ)239竜公(たつこう)木花姫(このはなひめ)(あと)(した)ひ、240(あし)(まか)せて(ひがし)()して一瀉(いつしや)千里(せんり)(いきほ)ひで(すす)()くのであつた。
241 あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
242大正一二・一・九 旧一一・一一・二三 北村隆光録)
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