霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 一心(いつしん)同体(どうたい)〔一二五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第47巻 舎身活躍 戌の巻 篇:第3篇 天国巡覧 よみ(新仮名遣い):てんごくじゅんらん
章:第18章 一心同体 よみ(新仮名遣い):いっしんどうたい 通し章番号:1251
口述日:1923(大正12)年01月10日(旧11月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月6日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高天原の霊国および天国の天人は、人間が数時間を費やす雄弁な言語よりも、わずか二三分で簡単明瞭にその意志を通じることができる。天人の言語は優美と平和と愛善と信真に充ちているため、いかなる悪魔もその言葉に抵抗することはできない。
天国の言葉は善言美詞に充たされている。何事も善意に解し見直し聞き直し宣り直しという神律が行われている。
日の国の天国天人の言語はウとオの大父音多く、月の国の霊国天人の言語はエとイの大父音に富んでいる。天人はみな一様の言語を有し、現界人のように言語の違いや訛りはない。また面貌によってあらわす言語や、概念を見るように成した言葉など、さまざまな形容詞が使われている。
治国別と竜公はこの団体の統制者、珍彦・珍姫夫婦に導かれ、種々の花卉などで囲まれた麗しい邸宅に招待された。珍彦は鋭敏な証覚によって、治国別が肉体がありながら修業のために天国を訪れたことを悟ることができた。
珍彦は、治国別の知る言語を用いて談話をなした。珍彦は、今日は大神様の祭典日だから、その場で治国別が現界からの修行者であることを発表しようと伝えた。
竜公は、団体中は子供からせいぜい三十才くらいまでの者しか見当たらないわけを珍彦に尋ねた。珍彦は、精霊は不老不死であり、心は人間では二十才かから三十才くらいで成就するので、天国の住民はそのとおりの姿をしているのだと説明した。
天国の生活について珍彦は、天人各自、農工商に励み、互いに喜び勇んで事業に汗をかいて従事しており、上下一致、億兆一心にて大事にも小事にもあたるので、何事も完全無欠に成就すると説明した。
感心する治国別に珍彦は、すでに天国の団体に来った以上は、互いに心と知性が通じて融合統一しており、だからこそ相対座して話をすることができていると語った。だからこの心をいつまでも忘れなければ、地上へ下っても依然として天国の住民であると諭した。
三人が歓談に笑い興じている間に、珍彦の妻・珍姫が現れて挨拶をなした。竜公は、珍彦と珍彦の容貌がそっくりなことを尋ねた。珍彦は、天国の夫婦は愛と真の和合によって成立するから同心同体、相応の理によってこのようになるのだ、と説明した。
また竜公の諧謔については、滑稽として聴けばたとえ悪言暴語であっても、笑いによってたちまち善言美詞となるので心配することはないと諭した。
そのうちに一人の男が祭典の準備ができたと珍彦夫婦を呼びに来た。治国別と竜公も共に参加することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-04-30 17:36:38 OBC :rm4718
愛善世界社版:245頁 八幡書店版:第8輯 563頁 修補版: 校定版:257頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001 高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)(および)天国(てんごく)天人(てんにん)は、002人間(にんげん)数時間(すうじかん)(つひや)しての雄弁(ゆうべん)なる言語(げんご)よりも、003(わづか)二三(にさん)分間(ぷんかん)にて、004簡単(かんたん)明瞭(めいれう)(その)意思(いし)(つう)ずることが出来(でき)る。005(また)人間(にんげん)数十(すうじつ)(ページ)原稿(げんかう)にて()(あら)はし()ざる(こと)も、006(ただ)(いつ)(ページ)(ぐらゐ)にて明白(めいはく)(その)意味(いみ)(あら)はすことが出来(でき)る、007(また)それを()いたり()んだりする(ところ)天人(てんにん)()会得(ゑとく)()るものである。008(すべ)天人(てんにん)言語(げんご)優美(いうび)平和(へいわ)愛善(あいぜん)信真(しんしん)()ちて()るが(ゆゑ)に、009如何(いか)なる悪魔(あくま)(いへど)も、010(その)言葉(ことば)には抵抗(ていかう)する(こと)出来(でき)ない。011すべて天国(てんごく)言葉(ことば)善言(ぜんげん)美詞(びし)()たされてゐるからである。012さうして何事(なにごと)善意(ぜんい)(かい)見直(みなほ)聞直(ききなほ)宣直(のりなほ)しといふ神律(しんりつ)(おこな)はれてゐる。013それから()(くに)(すなは)天国(てんごく)天人(てんにん)言語(げんご)には、014ウとオとの大父音(だいふおん)(おほ)く、015(つき)(くに)(すなは)霊国(れいごく)天人(てんにん)言語(げんご)にはエとイの大父音(だいふおん)()んでゐる。016(しか)して声音(せいおん)(うち)には(いづ)れも(あい)情動(じやうどう)がある。017(ぜん)(ふく)める言葉(ことば)文字(もじ)(おほ)くはウとオを(もち)ひ、018(また)(すこ)しくアを(もち)ふるものである。019(しん)(ふく)んでゐる言葉(ことば)文字(もじ)にはエ(およ)びイの(おん)(おほ)い。020そして天人(てんにん)(みな)一様(いちやう)言語(げんご)(いう)し、021現界人(げんかいじん)(ごと)東西洋(とうざいやう)(へだ)つるに(したが)つて、022(その)言語(げんご)変化(へんくわ)があり、023(あるひ)地方(ちはう)々々(ちはう)にいろいろの(なまり)がある(やう)不都合(ふつがふ)はない。024されども、025ここに(すこ)相違(さうゐ)のある(てん)証覚(しようかく)(みた)された(もの)言語(げんご)は、026(すべ)内的(ないてき)にして、027情動(じやうだう)変化(へんくわ)()()想念(さうねん)(じやう)概念(がいねん)(もつと)(おほ)(ふく)んでゐる。028証覚(しようかく)(すくな)(もの)言語(げんご)外的(ぐわいてき)にして、029(また)しかく充分(じうぶん)でない。030愚直(ぐちよく)なる天人(てんにん)言語(げんご)(いた)りては、031往々(わうわう)外的(ぐわいてき)にして、032人間(にんげん)相互(さうご)(あひだ)()けるが(ごと)く、033語句(ごく)(なか)から(その)意義(いぎ)推度(すゐたく)せなくてはならぬ(こと)がある。034(また)面貌(めんばう)(もつ)てする言葉(ことば)がある。035(この)言語(げんご)概念(がいねん)()つて抑揚(よくやう)頓挫(とんざ)曲折(きよくせつ)音声(おんせい)(はつ)すが(ごと)きものにて(その)終局(しうきよく)(むす)ぶものもある。036(また)天界(てんかい)表像(へうざう)概念(がいねん)和合(わがふ)せしめたる言葉(ことば)がある。037(また)概念(がいねん)(おのづか)らに()(やう)038()したる言葉(ことば)もある。039(また)情動(じやうだう)相似(さうじ)したる身振(みぶり)(もつ)てなす()もある。040(この)身振(みぶり)(その)言句(げんく)にて(あら)はれる事物(じぶつ)相似(あひに)たるものを(あら)はしてゐる。041(また)諸情動(しよじやうだう)(および)諸概念(しよがいねん)一般(いつぱん)(てき)原義(げんぎ)(もつ)てする言葉(ことば)がある。042(また)雷鳴(らいめい)(ごと)言葉(ことば)もあり(その)(ほか)種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)形容詞(けいようし)使(つか)はれてある。
043 治国別(はるくにわけ)044竜公(たつこう)団体(だんたい)統制者(とうせいしや)(みちび)かれ、045種々(しゆじゆ)花卉(くわき)(など)(もつ)取囲(とりかこ)まれた相当(さうたう)(うる)はしき邸宅(ていたく)()(こと)()た。046此処(ここ)(この)団体(だんたい)中心(ちうしん)(あた)()天人(てんにん)櫛比(しつぴ)したる家屋(かをく)()んでゐるにも(かかは)らず、047一戸(いつこ)分立(ぶんりつ)して()つてゐる。048現界(げんかい)にて()へば丁度(ちやうど)町村長(ちやうそんちやう)(やう)(やく)(つと)めてゐる天人(てんにん)(たく)である。049二人(ふたり)案内(あんない)されて(おく)()(すす)むと、050真善美(しんぜんび)といふ(がく)がかけられ、051そして(とこ)()には七宝(しつぽう)(もつ)欄間(らんま)(かざ)られ、052玻璃(はり)水晶(すゐしやう)茶器(ちやき)などがキチンと行儀(ぎやうぎ)よく配置(はいち)され、053珊瑚珠(さんごじゆ)火鉢(ひばち)金瓶(きんびん)がかけられてある。054ここは第二(だいに)天国(てんごく)(おい)ても(もつと)証覚(しようかく)(すぐ)れたる天人(てんにん)団体(だんたい)であり、055主人(しゆじん)夫婦(ふうふ)面貌(めんばう)衣服(いふく)(とく)()天人(てんにん)()して(すぐ)れて()る。056治国別(はるくにわけ)(おそ)(おそ)(おく)()(みちび)かれ、057無言(むごん)(まま)行儀(ぎやうぎ)よく(すわ)つてゐる。058(この)天人(てんにん)()珍彦(うづひこ)といひ、059(つま)珍姫(うづひめ)()つた。060珍彦(うづひこ)治国別(はるくにわけ)(いま)現界(げんかい)肉体(にくたい)があり精霊(せいれい)として(かみ)(ゆる)され、061修業(しうげふ)(ため)天国(てんごく)巡覧(じゆんらん)(きた)りし(こと)を、062(その)鋭敏(えいびん)なる証覚(しようかく)()つて(わが)居間(ゐま)(とほ)すと(とも)(さと)()たのである。063ここに珍彦(うづひこ)(はじ)めて治国別(はるくにわけ)()れる範囲内(はんゐない)言語(げんご)(もち)ひて、064いろいろの談話(だんわ)(まじ)ゆることとなつた。
065珍彦治国別(はるくにわけ)さま、066あなたは()精霊(せいれい)でゐらつしやいますのですな。067(じつ)(ところ)天国(てんごく)復活(ふくくわつ)なされた(かた)(ぞん)じまして、068(その)(かんが)へで待遇(たいぐう)(いた)しましたので(さぞ)(こま)りで(ござ)いましただらう』
069治国別『ハイ、070(じつ)(ところ)はイソの(やかた)から大神(おほかみ)(さま)(めい)(ほう)じ、071(つき)(くに)ハルナの(みやこ)(わだか)まる八岐(やまた)大蛇(をろち)悪霊(あくれい)言向和(ことむけやは)すべく出陣(しゆつぢん)途中(とちう)072浮木(うきき)(はら)(おい)て、073(わが)不覚(ふかく)(ため)ランチ将軍(しやうぐん)奸計(かんけい)(おちい)り、074(ふか)(くら)(あな)(おと)され、075(わが)精霊(せいれい)肉体(にくたい)脱離(だつり)して、076いつとはなしに八衢(やちまた)(まよ)()み、077大神(おほかみ)化身(けしん)(みちび)かれ、078第三(だいさん)天国(てんごく)一部分(いちぶぶん)(のぞ)かして(いただ)き、079(また)もや木花姫(このはなひめ)()案内(あんない)()つて、080ここ(まで)(のぼ)つて()(ところ)(ござ)います。081何分(なにぶん)(ぜん)(しん)(そな)はらず、082智慧(ちゑ)証覚(しようかく)()らない(もの)(ござ)いますから、083天人(てんにん)(たち)言語(げんご)(かい)しかね、084大変(たいへん)面喰(めんくら)ひましたよ。085(まる)(おし)旅行(りよかう)でしたワ。086アハヽヽヽ』
087珍彦『どうぞ、088ゆるりと珍彦館(うづひこやかた)()休息(きうそく)(くだ)さいませ。089今日(けふ)(さいは)ひ、090大神(おほかみ)(さま)祭典日(さいてんび)(ござ)いますれば、091やがて団体(だんたい)天人(てんにん)(ども)(わが)(やかた)(あつ)まつて(まゐ)るでせう。092(その)(とき)(この)団体(だんたい)(かぎ)つて、093あなたの精霊(せいれい)にゐらせられる(こと)発表(はつぺう)(いた)します。094さうすれば、095(わが)団体(だんたい)天人(てんにん)(その)(つも)りで、096あなたと言葉(ことば)(まじ)へるでせう』
097治国別『ハイ、098有難(ありがた)(ござ)います。099何分(なにぶん)勝手(かつて)()らない愚鈍(ぐどん)人間(にんげん)(ござ)いますから……』
100竜公『これはこれは珍彦(うづひこ)(さま)101(えら)()厄介(やくかい)(あづ)かりました。102先生(せんせい)何分(なにぶん)(よろ)しく()(ねがひ)(いた)します』
103珍彦『イエイエ、104(けつ)して(わたくし)があなたの()世話(せわ)をしたのぢや(ござ)いませぬ。105(また)()厄介(やくかい)になつたなぞと(れい)()はれては大変(たいへん)迷惑(めいわく)(いた)します。106何事(なにごと)吾々(われわれ)大神(おほかみ)(さま)()命令(めいれい)のままに、107機械(きかい)(てき)活動(くわつどう)してゐるので(ござ)いますから、108もし(ひと)つでも感謝(かんしや)すべき(こと)があれば、109直様(すぐさま)大神(おほかみ)(さま)感謝(かんしや)して(くだ)さいませ。110すべて吾々(われわれ)大神(おほかみ)(さま)(ぜん)(しん)との内流(ないりう)()つて(はたら)かして(いただ)くばかりで(ござ)います。111吾々(われわれ)天人(てんにん)として()うして一力(いちりき)(むし)一匹(いつぴき)(たす)けることが出来(でき)ませう』
112治国(はるくに)成程(なるほど)113さすが天国(てんごく)天人(てんにん)(さま)114真理(しんり)(あか)るいのには感服(かんぷく)(ほか)(ござ)いませぬ』
115珍彦(かみ)(さま)()神格(しんかく)内流(ないりう)()けまして、116(じつ)(たの)しき生涯(しやうがい)を、117吾々(われわれ)天人(てんにん)(おく)らして(いただ)いて()ります』
118竜公(たつこう)『モシ珍彦(うづひこ)(さま)119(この)団体(だんたい)天人(てんにん)は、120(いづ)れも(わか)(かた)ばかりですな。121そしてどのお(かた)(かほ)()ても、122本当(ほんたう)()()てゐるぢやありませぬか』
123珍彦左様(さやう)です、124人間(にんげん)面貌(めんばう)(こころ)(かがみ)(ござ)いますから、125(あい)(ぜん)()ちた(もの)同士(どうし)同気(どうき)相求(あひもと)めて群居(ぐんきよ)してゐるのですから、126内分(ないぶん)(おな)じき(もの)(したが)つて外分(ぐわいぶん)相似(あひに)るもので(ござ)います。127それ(ゆゑ)天国(てんごく)団体(だんたい)には(あま)(かは)つた(もの)(ござ)いませぬ。128(こころ)(ひと)つですからヤハリ面貌(めんばう)姿(すがた)(おな)(かた)出来(でき)()ります』
129竜公成程(なるほど)130それで(わか)りました。131(しか)しながら子供(こども)沢山(たくさん)ある(やう)ですが、132三十(さんじふ)以上(いじやう)面貌(めんばう)をした老人(らうじん)()つから見当(みあた)りませぬが、133天国(てんごく)養老院(ようらうゐん)にでも()収容(しうよう)になつてゐるのですか』
134珍彦人間(にんげん)心霊(しんれい)不老(ふらう)不死(ふし)ですよ。135天人(てんにん)だとて人間(にんげん)向上(かうじやう)発達(はつたつ)したものですから、136人間(にんげん)(こころ)(をとこ)ならば三十(さんじつ)(さい)137(をんな)ならば二十(にじつ)(さい)(くらゐ)で、138大抵(たいてい)完全(くわんぜん)成就(じやうじゆ)するでせう、139(しか)して仮令(たとへ)肉体(にくたい)老衰(らうすゐ)しても(その)(こころ)はどこ(まで)(よわ)りますまい。140(いな)益々(ますます)的確(てきかく)明瞭(めいれう)になるものでせう。141天国(てんごく)(すべ)想念(さうねん)世界(せかい)で、142すべて事物(じぶつ)霊的(れいてき)(ござ)いますから、143現界(げんかい)(おい)何程(なにほど)老人(らうじん)であつた(ところ)天国(てんごく)住民(ぢゆうみん)となれば、144あの(とほ)り、145男子(だんし)三十(さんじつ)(さい)146女子(ぢよし)二十(にじつ)(さい)(くらゐ)面貌(めんばう)肉付(にくづき)をしてゐるのです。147それだから天国(てんごく)にては不老(ふらう)不死(ふし)()つて、148いまはしい老病(らうびやう)生死(せいし)()絶対(ぜつたい)にありませぬ』
149治国別成程(なるほど)150感心(かんしん)(いた)しました。151吾々(われわれ)到底(たうてい)容易(ようい)肉体(にくたい)脱離(だつり)した(ところ)で、152天国(てんごく)住民(ぢゆうみん)になるのは六ケ(むつか)しいものですなア。153いつ(まで)中有(ちうう)(まよ)八衢(やちまた)人間(にんげん)でせう。154(じつ)にあなた(がた)光明(くわうみやう)()らされて、155治国別(はるくにわけ)(なん)とも慚愧(ざんき)()へませぬ』
156珍彦『イヤ(けつ)して()心配(しんぱい)()りませぬ。157あなたはキツト(ある)時機(じき)到来(たうらい)して、158肉体(にくたい)脱離(だつり)(たま)うた(とき)は、159立派(りつぱ)なる霊国(れいごく)宣伝使(せんでんし)にお()りなさいますよ。160如何(いか)なる水晶(すゐしやう)(みづ)(こほり)とならば(たちま)不透明(ふとうめい)となります。161あなたの今日(こんにち)情態(じやうたい)(すなは)(その)(こほり)です。162一度(ひとたび)光熱(くわうねつ)()うて(もと)(みづ)(かへ)れば、163依然(いぜん)として水晶(すゐしやう)清水(せいすゐ)です。164肉体(にくたい)のある(あひだ)は、165何程(なにほど)善人(ぜんにん)だといつても証覚(しようかく)(つよ)いと()つても、166肉体(にくたい)といふ悪分子(あくぶんし)(さへぎ)られますから、167(これ)()むを()ませぬ。168(しか)肉体(にくたい)保護(ほご)(うへ)(おい)て、169少々(せうせう)(あく)必要(ひつえう)であります。170精霊(せいれい)人間(にんげん)もヤハリ(この)体悪(たいあく)(ため)現界(げんかい)(おい)ては生命(せいめい)保持(ほぢ)()るのですからなア』
171治国別『ヤ有難(ありがた)う、172(その)()説明(せつめい)()つて、173(わたし)(やや)安心(あんしん)(いた)しました。174あゝ大神(おほかみ)(さま)175珍彦(うづひこ)(さま)(くち)(とほ)して、176(たふと)(をしへ)()れさせ(たま)ひ、177(じつ)感謝(かんしや)()へませぬ。178あゝ惟神(かむながら)(たま)()はへませ』
179竜公(たつこう)天国(てんごく)(おい)ては、180すべての天人(てんにん)日々(にちにち)(なに)職業(しよくげう)にしてゐられるのですか。181田畑(たはた)もある(やう)なり、182いろいろの果樹(くわじゆ)(つく)つてある(やう)ですが、183あれは何処(どこ)から()(つく)るのですか』
184珍彦天人(てんにん)各自(かくじ)農工商(のうこうしやう)(はげ)み、185(たがひ)(よろこ)(いさ)んで、186(その)事業(じげふ)(あせ)をかいて、187従事(じゆうじ)してゐるのですよ』
188竜公『さうすると、189天国(てんごく)でも随分(ずゐぶん)現界(げんかい)同様(どうやう)(いそが)しいのですなア』
190珍彦現界(げんかい)(やう)天国(てんごく)にては(ひと)(あご)使(つか)ひ、191自分(じぶん)(かね)利息(りそく)(かぶ)収益(しうえき)(あそ)んで(くら)人間(にんげん)はありませぬ。192(うへ)から(した)(まで)(こころ)(ひと)つにして共々(ともども)(はたら)くのですから、193何事(なにごと)(らち)よく(はや)事業(じげふ)がはか()ります。194丁度(ちやうど)一団体(いちだんたい)人間(にんげん)一人(ひとり)形式(けいしき)となつて()ります。195(たと)へばペン一本(いつぽん)(にぎ)つて原稿(げんかう)()くにも、196外観(ぐわいくわん)から()れば一方(いつぱう)()のみが(はたら)いてゐるやうに()えますが、197(その)(じつ)脳髄(なうずゐ)心臓(しんざう)肺臓(はいざう)(まを)すに(およ)ばず、198神経(しんけい)繊維(せんゐ)から運動(うんどう)機関(きくわん)199(あし)(ゆび)(さき)まで緊張(きんちやう)してゐる(やう)なものです。200今日(こんにち)現界(げんかい)のやり(かた)は、201ペンを()()のみを(うご)かして、202はたの諸官能(しよくわんのう)(われ)(くわん)せず(えん)といふ行方(やりかた)203それでは(とて)(をさ)まりませぬ。204天国(てんごく)では上下(しやうか)一致(いつち)205億兆(おくてう)一心(いつしん)206大事(だいじ)にも小事(せうじ)にも(あた)るのですから、207何事(なにごと)完全(くわんぜん)無欠(むけつ)成就(じやうじゆ)(いた)しますよ。208人間(にんげん)肉体(にくたい)(いち)(にち)(はたら)いて(よる)になつたら、209(すべ)てを(わす)れて、210安々(やすやす)(ねむ)りにつく(ごと)く、211(やす)(とき)(また)団体(だんたい)一同(いちどう)(こころ)よく(やす)むのです。212(わたし)天人(てんにん)団体(だんたい)より(えら)まれて、213団体長(だんたいちやう)(つと)めて()りますが、214(わたし)(こころ)団体(だんたい)一同(いちどう)(こころ)215団体(だんたい)一同(いちどう)(こころ)(わたし)(こころ)(ござ)いますから……』
216治国(はるくに)成程(なるほど)217現界(げんかい)(この)(とほ)りになれば、218地上(ちじやう)天国(てんごく)(きづ)かれるといふものですなア。219仮令(たとへ)(いち)(にち)なりとも、220こんな生涯(しやうがい)(おく)りたいものです。221天国(てんごく)団体(だんたい)和合(わがふ)する想念(さうねん)生涯(しやうがい)(おく)りたいもので(ござ)います』
222珍彦『あなたは(すで)天国(てんごく)団体(だんたい)にお()でになつた以上(いじやう)は、223(わたし)(こころ)はあなたの(こころ)224あなたの智性(ちせい)(わたし)智性(ちせい)225融合(ゆうがふ)統一(とういつ)して()ればこそ、226かうして相対坐(あひたいざ)してお(はなし)をすることが出来(でき)るのですよ。227只今(ただいま)(こころ)何時(いつ)(まで)もお(わす)れにならなかつたならば、228所謂(いはゆる)あなたは、229仮令(たとへ)地上(ちじやう)(くだ)られても天国(てんごく)住民(ぢゆうみん)ですよ。230(しか)しながら、231あなたは大神(おほかみ)(さま)より現界(げんかい)宣伝使(せんでんし)(えら)まれ、232死後(しご)霊国(れいごく)(のぼ)つて宣伝使(せんでんし)となり、233天国(てんごく)布教(ふけう)(にん)(あた)らるべき(かた)ですから、234到底(たうてい)(その)(とき)は、235吾々(われわれ)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)はあなたのお(そば)()()(こと)出来(でき)ない(やう)になりますよ。236あなたが霊国(れいごく)宣伝使(せんでんし)にお()りなさつた(とき)は、237(わが)団体(だんたい)へも時々(ときどき)()出張(しゆつちやう)(ねが)(こと)出来(でき)るでせう』
238治国別成程(なるほど)239さう(うけたま)はればさうに間違(まちが)ひは(ござ)いませぬ』
240竜公先生(せんせい)241慢心(まんしん)しちや()けませぬよ』
242治国別『イヤ、243(けつ)して慢心(まんしん)でない、244珍彦(うづひこ)(さま)(こころ)治国別(はるくにわけ)(こころ)和合(わがふ)し、245治国別(はるくにわけ)(こころ)珍彦(うづひこ)(さま)和合(わがふ)し、246珍彦(うづひこ)(さま)大神(おほかみ)(さま)内流(ないりう)()け、247大神(おほかみ)(さま)和合(わがふ)して(ござ)るのだから、248(すこ)しも(うたが)余地(よち)はない。249言葉(ことば)(しん)ずればいいのだ。250高天原(たかあまはら)には愛善(あいぜん)信真(しんしん)とより(ほか)には()いのだ。251(うたがひ)(いだ)くのは中有界(ちううかい)以下(いか)精霊(せいれい)所為(しよゐ)だ』
252竜公『さうすると、253あなたは(すで)天人(てんにん)気取(きど)りになつてゐるのですか、254まだ精霊(せいれい)ぢやありませぬか』
255治国別(すで)天人(てんにん)となつてゐるのだ。256珍彦(うづひこ)(さま)同様(どうやう)だ』
257竜公『ヘーン、258さうですか、259そら結構(けつこう)です、260目出度(めでた)う、261そして(この)竜公(たつこう)()うですか、262ヤツパリ天人(てんにん)でせうなア』
263治国別無論(むろん)天人(てんにん)(さま)だ。264大神(おほかみ)(さま)()内流(ないりう)()けた(たふと)天人(てんにん)(さま)だよ』
265竜公(なん)だか()せられてゐる(やう)()(いた)しますワ。266モシ、267先生(せんせい)268からかつちや()けませぬよ』
269珍彦(うづひこ)『アハヽヽヽ』
270治国(はるくに)『ウツフヽヽヽ』
271竜公(たつこう)『オホヽヽヽ』
272治国別『コレ竜公(たつこう)273オホヽヽヽなんて、274おチヨボ(ぐち)をして(をんな)(こゑ)()しちや、275みつともよくないぢやないか』
276竜公木花姫(このはなひめ)(さま)()神格(しんかく)内流(ないりう)によりまして、277(ぜん)(しん)との相応(さうおう)()り、278(たちま)神格化(しんかくくわ)し、279竜公(たつこう)(なに)()らねども、280内分(ないぶん)神音(しんおん)外分(ぐわいぶん)顕現(けんげん)したまでですよ。281オツホヽヽヽ』
282 (さん)(にん)(わら)(ごゑ)(ひき)つけられて、283勝手元(かつてもと)()つた珍姫(うづひめ)(この)()(あら)はれ(きた)り、284(さん)(にん)(まへ)()(つか)へ、
285珍姫遠来(ゑんらい)のお客様(きやくさま)286よくもゐらせられました。287(わたし)珍彦(うづひこ)(つま)珍姫(うづひめ)(まを)します』
288治国(はるくに)(なん)()挨拶(あいさつ)(まを)してよいやら、289天国(てんごく)様子(やうす)一向(いつかう)不案内(ふあんない)290(しか)しながら(いま)珍彦(うづひこ)(さま)(うけたま)はれば、291同気(どうき)相求(あひもと)むるを(もつ)て、292かく和合(わがふ)境遇(きやうぐう)にありとのこと、293さすればあなたの(こころ)(わたし)(こころ)294(わたし)(こころ)貴女(あなた)(こころ)295他人(たにん)行儀(ぎやうぎ)挨拶(あいさつ)出来(でき)ず、296(また)自分(じぶん)同様(どうやう)とすれば、297自分(じぶん)(たい)しての挨拶(あいさつ)(わか)らず、298(じつ)(こま)つてをります』
299珍姫『ハイ(わたくし)(その)(とほ)りで(ござ)います。300現界(げんかい)(てき)虚礼虚式(きよれいきよしき)()めまして、301(まん)(ねん)知己(ちき)302(いな)同心(どうしん)同体(どうたい)となつて、303打解(うちと)()うて、304(めづ)らしき(はなし)()かして(いただ)きませう』
305治国別『どうも現界(げんかい)(はなし)罪悪(ざいあく)虚偽(きよぎ)汚穢(をわい)にみち、306かかる清浄(せいじやう)なる天国(てんごく)(まゐ)りましては、307(くち)にするも(いや)になつて(まゐ)りました。308それよりも天国(てんごく)のお(はなし)(うけたま)はりたいもので(ござ)います』
309珍姫『ハイ、310惟神(かむながら)(ゆる)しを()ましたならば、311あなたが何程(なにほど)(やかま)しいと仰有(おつしや)つても、312如何(いか)なることを申上(まをしあ)げるか(わか)りませぬ。313弓弦(ゆづる)をはなれた()のやうに、314(あた)(まと)(あた)らねばやまないでせう、315ホツホヽヽヽ』
316竜公(たつこう)『モシ珍姫(うづひめ)さま、317あなたは珍彦(うづひこ)さまと服装(ふくさう)(ちが)(だけ)で、318(かほ)はソツクリぢやありませぬか。319ヨモヤ現界(げんかい)(おい)双児(ふたご)にお(うま)れになつたのぢやありますまいかなア』
320治国別『コレ竜公(たつこう)321(なん)といふ失礼(しつれい)なことを仰有(おつしや)る。322チツトたしなみなさい』
323竜公『それでも(わたし)(こころ)(うか)んだのですよ。324(おも)(ところ)()ひ、325(こころざ)(ところ)をなすのが天国(てんごく)ぢやありませぬか。326そんな体裁(ていさい)(つく)つて、327現界流(げんかいりう)虚偽(きよぎ)(かざ)るやうなことは天国(てんごく)には(もち)ひられますまい。328天国(てんごく)(しん)(しん)(もつ)(ひかり)とするのですからなア』
329治国別『ヤ、330(おそ)()りました、331アハヽヽヽ、332天国(てんごく)()()ると、333治国別(はるくにわけ)失敗(しつぱい)だらけだ。334かうなると純朴(じゆんぼく)無垢(むく)竜公(たつこう)さまは(じつ)(たふと)いものだな』
335竜公『ソリヤ(その)(とほ)りです、336本当(ほんたう)(きよ)らかなものでせう。337ホツホヽヽヽ』
338治国別(また)木花姫(このはなひめ)()神格(しんかく)内流(ないりう)かな』
339竜公『これは竜公(たつこう)副守(ふくしゆ)外流(ぐわいりう)ですよ。340モシ珍彦(うづひこ)さま、341どうぞ(わたし)(いま)言葉(ことば)天国(てんごく)(けが)(やう)なことが(ござ)いますれば(ただち)()(なほ)します』
342珍彦滑稽(こつけい)として(うけたま)はれば、343仮令(たとへ)悪言(あくげん)暴語(ばうご)でも(その)(わら)ひに()つて(たちま)善言(ぜんげん)美詞(びし)変化(へんくわ)(いた)しますから、344()心配(しんぱい)なさいますな。345天国(てんごく)だつて滑稽(こつけい)諧謔(かいぎやく)()へないといふことがありますか、346滑稽(こつけい)諧謔(かいぎやく)歓声(くわんせい)天国(てんごく)(はな)ですよ』
347竜公『ヤア有難(ありがた)い、348先生(せんせい)349これで(わたし)(すこ)(いき)出来(でき)ますワイ』
350治国別『ウン、351さうだなア、352(なん)だか(わし)()がしまる(やう)にあつて、353()うしてもお(まへ)(やう)洒脱(しやだつ)気分(きぶん)になれないワ』
354竜公『ソラさうでせう、355娑婆(しやば)執着(しふちやく)がまだ(のこ)つて()りますからな。356あなたは(ふたた)肉体(にくたい)(かへ)らうといふ(よく)があるでせう。357(わたし)第三(だいさん)天国(てんごく)でいつたでせう、358最早(もはや)娑婆(しやば)へは(かへ)りたくないから、359此処(ここ)()りたいと()つたことを(おぼ)えてゐらつしやいませう。360(わたし)仮令(たとへ)(ふたた)現界(げんかい)(かへ)るものとしても、361刹那心(せつなしん)ですからなア。362過去(くわこ)(うれ)へず未来(みらい)(のぞ)まず、363(いま)といふ(この)瞬間(しゆんかん)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)分水嶺(ぶんすゐれい)といふ三五教(あななひけう)真理(しんり)体得(たいとく)してますからなア』
364治国別大変(たいへん)掘出物(ほりだしもの)を、365治国別(はるくにわけ)(とら)まへたものだなア』
366竜公本当(ほんたう)掘出物(ほりだしもの)でせう。367先生(せんせい)もこれだけ竜公(たつこう)証覚(しようかく)(ひら)けてるとは(おも)はなかつたでせう。368それだから(ひと)()かけによらぬものだと現界(げんかい)でも()つてませう』
369治国別『ハイ有難(ありがた)う、370何分(なにぶん)(よろ)しう(ねが)ひます』
371竜公口先(くちさき)ばかりでは駄目(だめ)ですよ。372(こころ)(そこ)から有難(ありがた)(おも)つてゐますか、373まだ(すこ)しあなたの(こころ)(そこ)には、374竜公(たつこう)(たい)(やや)軽侮(けいぶ)(ねん)(ひらめ)いてゐるでせう』
375治国別『ヤ(おそ)()りました、376あなたは大神(おほかみ)(さま)(ござ)いませう』
377竜公大神(おほかみ)(さま)ぢや(ござ)いませぬ。378(わが)精霊(せいれい)大神(おほかみ)(さま)神格(しんかく)()ち、379竜公(たつこう)(くち)(とほ)して、380治国別(はるくにわけ)にお(さと)しになつてゐるのですよ。381(とき)珍彦(うづひこ)さま、382(おく)さまとあなたと双児(ふたご)(やう)()()()面相(めんさう)383(その)理由(りいう)(ひと)説明(せつめい)して(いただ)きたいものですなア』
384珍彦夫婦(ふうふ)(あい)(しん)との和合(わがふ)()つて成立(せいりつ)するものです。385所謂(いはゆる)(をつと)智性(ちせい)(つま)意思中(いしちう)()り、386(つま)意思(いし)(をつと)智性中(ちせいちう)(ふか)()()み、387(ここ)(はじ)めて天国(てんごく)結婚(けつこん)(おこな)はれるのです。388()はば夫婦(ふうふ)同心(どうしん)同体(どうたい)ですから、389面貌(めんばう)相似(さうじ)するは相応(さうおう)道理(だうり)()つて()くべからざる情態(じやうたい)です。390現界人(げんかいじん)結婚(けつこん)は、391地位(ちゐ)だとか名望(めいばう)だとか、392世間(せけん)面目(めんぼく)だとか、393財産(ざいさん)多寡(たくわ)によつて婚姻(こんいん)(むす)ぶのですから、394()はば虚偽(きよぎ)婚姻(こんいん)です。395天国(てんごく)婚姻(こんいん)(すべ)霊的(れいてき)婚姻(こんいん)ですから、396夫婦(ふうふ)密着(みつちやく)不離(ふり)情態(じやうたい)にあるのです。397(ゆゑ)天国(てんごく)(おい)ては夫婦(ふうふ)二人(ふたり)とせず一人(ひとり)として(かぞ)へることになつてゐます。398現界(げんかい)(やう)に、399人口(じんこう)名簿(めいぼ)男子(だんし)何名(なんめい)女子(ぢよし)何名(なんめい)などの面倒(めんだう)はありませぬ。400(ただ)一人(ひとり)二人(ふたり)()へば、401それで一夫婦(ひとふうふ)二夫婦(ふたふうふ)といふことが(わか)るのです。402それで天国(てんごく)(おい)(ひやく)(にん)といへば(あたま)二百(にひやく)あります。403これが現界(げんかい)相違(さうゐ)(てん)ですよ。404君民(くんみん)一致(いつち)405夫婦(ふうふ)一体(いつたい)406上下(しやうか)和合(わがふ)真相(しんさう)到底(たうてい)天国(てんごく)でなくては実見(じつけん)することは出来(でき)ますまい。407治国別(はるくにわけ)(さま)竜公(たつこう)(さま)現界(げんかい)へお(くだ)りになつたら、408どうか地上(ちじやう)世界(せかい)をして、409幾部分(いくぶぶん)なりとも、410天国(てんごく)気分(きぶん)(つく)つて(もら)ひたいものですなア』
411治国(はるくに)『ハイ微力(びりよく)(およ)(かぎ)り……否々(いないな)(かみ)(さま)()神格(しんかく)()つて(わが)()使(つか)つて(いただ)きませう。412あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
413 かく(はな)(ところ)へ、414玄関口(げんくわんぐち)より一人(ひとり)(をとこ)(あら)はれ(きた)り、
415珍彦(うづひこ)(さま)416祭典(さいてん)用意(ようい)出来(でき)ました、417サアどうぞ(みな)()つて()ります。418(みや)まで()出張(しゆつちやう)(くだ)さいませ』
419珍彦『あゝ()苦労(くらう)でした。420直様(すぐさま)(まゐ)りませう。421二人(ふたり)さま、422どうです、423(これ)から天国(てんごく)祭典(さいてん)(くは)はり拝礼(はいれい)をなさつたら……』
424治国別『お(とも)(いた)しませう』
425竜公天国(てんごく)祭典(さいてん)(さだ)めて立派(りつぱ)でせう。426竜公(たつこう)もお(とも)(かな)ひますかなア』
427珍彦『ハイ、428さうなされませ』
429治国(はるくに)『もし(かな)はなかつたら、430木花姫(このはなひめ)神格(しんかく)内流(ないりう)によつて、431参拝(さんぱい)すれば()いぢやないか、432アハヽヽヽ』
433竜公(たつこう)『ウーオーアー』
434珍彦(うづひこ)竜公(たつこう)さま、435どうぞお(とも)をして(くだ)さい』
436竜公(たつこう)『ハイ有難(ありがた)う』
437大正一二・一・一〇 旧一一・一一・二四 松村真澄録)
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