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第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
01 神慮
〔1431〕
02 恋淵
〔1432〕
03 仇花
〔1433〕
04 盗歌
〔1434〕
05 鷹魅
〔1435〕
第2篇 宿縁妄執
06 高圧
〔1436〕
07 高鳴
〔1437〕
08 愛米
〔1438〕
09 我執
〔1439〕
第3篇 月照荒野
10 十字
〔1440〕
11 惚泥
〔1441〕
12 照門颪
〔1442〕
13 不動滝
〔1443〕
14 方岩
〔1444〕
第4篇 三五開道
15 猫背
〔1445〕
16 不臣
〔1446〕
17 強請
〔1447〕
18 寛恕
〔1448〕
19 痴漢
〔1449〕
20 犬嘘
〔1450〕
余白歌
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第四章
盗歌
(
とうか
)
〔一四三四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第1篇 自愛之柵
よみ(新仮名遣い):
じあいのしがらみ
章:
第4章 盗歌
よみ(新仮名遣い):
とうか
通し章番号:
1434
口述日:
1923(大正12)年03月14日(旧01月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
白と赤の八衢の守衛たちは生死簿を調べ、ヘル、シャル、ケリナ姫もまだ現界に数十年の寿命が残っていると告げ、東に向かって進むようにと命じた。三人は言われるままに向かって行くと、一人の男と鉢合わせた。
男はケリナ姫の貧しい身なりを見るとからかいだして三人に絡んだ。その男・六造とシャルは掛け合いをやっている。すると蓑笠をかぶった五十あまりの婆がとぼとぼとやってきた。四人はその姿がどこともなく変わっているのに不審を抱き、道端の草むらに身を隠した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-10 18:41:38
OBC :
rm5604
愛善世界社版:
42頁
八幡書店版:
第10輯 161頁
修補版:
校定版:
44頁
普及版:
19頁
初版:
ページ備考:
001
高天原
(
たかあまはら
)
と
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
を
002
中断
(
ちうだん
)
したる
中有界
(
ちううかい
)
003
百
(
もも
)
のエンゼル
下
(
くだ
)
り
来
(
き
)
て
004
伊吹戸主
(
いぶきどぬし
)
の
御
(
お
)
館
(
やかた
)
に
005
集
(
あつ
)
まりたまひ
愛善
(
あいぜん
)
の
006
徳
(
とく
)
をば
教
(
をし
)
へ
信真
(
しんしん
)
の
007
光
(
ひかり
)
を
照
(
てら
)
して
精霊
(
せいれい
)
を
008
皆
(
みな
)
悉
(
ことごと
)
く
天界
(
てんかい
)
に
009
救
(
すく
)
はむものと
大神
(
おほかみ
)
の
010
大御心
(
おほみこころ
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
011
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
し
気
(
き
)
を
配
(
くば
)
り
012
諭
(
さと
)
したまへど
現世
(
うつしよ
)
に
013
ありたる
時
(
とき
)
に
諸々
(
もろもろ
)
の
014
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
との
罪悪
(
ざいあく
)
に
015
御魂
(
みたま
)
を
汚
(
けが
)
し
破
(
やぶ
)
りたる
016
精霊
(
みたま
)
は
清
(
きよ
)
きエンゼルの
017
宣
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
に
堪
(
た
)
へきれず
018
頭
(
かしら
)
は
痛
(
いた
)
み
胸
(
むね
)
はやけ
019
耳
(
みみ
)
には
針
(
はり
)
をさす
如
(
ごと
)
く
020
いと
苦
(
くる
)
しげに
自
(
おのづか
)
ら
021
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
022
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へと
駆
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く
023
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
024
宇宙
(
うちう
)
の
主宰
(
しゆさい
)
と
現
(
あ
)
れませる
025
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
026
人
(
ひと
)
の
精霊
(
みたま
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
027
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
に
至
(
いた
)
るまで
028
霊
(
れい
)
あるものは
悉
(
ことごと
)
く
029
皆
(
みな
)
天国
(
てんごく
)
へ
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げ
030
各団体
(
かくだんたい
)
の
円満
(
ゑんまん
)
を
031
はからせ
給
(
たま
)
へど
如何
(
いか
)
にせむ
032
悪
(
あく
)
に
慣
(
な
)
れたる
精霊
(
せいれい
)
は
033
善
(
ぜん
)
と
真
(
しん
)
とを
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
ひ
034
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
との
悪魔道
(
あくまだう
)
へ
035
自
(
みづか
)
ら
勇
(
いさ
)
んで
降
(
くだ
)
りゆく
036
醜
(
しこ
)
の
御魂
(
みたま
)
ぞあはれなり
037
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
は
此
(
この
)
様
(
さま
)
を
038
憐
(
あはれ
)
みたまひ
現世
(
うつしよ
)
に
039
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
や
瑞御魂
(
みづみたま
)
040
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしのエンゼルを
041
下
(
くだ
)
したまひて
霊界
(
れいかい
)
の
042
奇
(
くし
)
き
有様
(
ありさま
)
悉
(
ことごと
)
く
043
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
044
示
(
しめ
)
させたまへど
現世
(
うつしよ
)
の
045
自愛
(
じあい
)
の
欲
(
よく
)
に
囚
(
とら
)
はれて
046
眼
(
まなこ
)
をふさぎ
耳
(
みみ
)
を
閉
(
と
)
ぢ
047
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
背
(
せな
)
にして
048
皆
(
みな
)
散
(
ち
)
り
散
(
ぢ
)
りに
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
049
醜
(
しこ
)
の
御魂
(
みたま
)
ぞ
憐
(
あは
)
れなり
050
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
051
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
との
報
(
むく
)
ひをば
052
いと
審
(
つばらか
)
に
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
053
罪
(
つみ
)
をば
宥
(
ゆる
)
し
救
(
たす
)
けむと
054
心
(
こころ
)
を
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
きつつ
055
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
く
思
(
おも
)
ひの
杜鵑
(
ほととぎす
)
056
八千八
(
はつせんや
)
度
(
たび
)
の
声
(
こゑ
)
枯
(
か
)
れて
057
竜宮館
(
りうぐうやかた
)
の
渡船場
(
わたしば
)
に
058
立
(
た
)
たせたまふぞ
畏
(
かしこ
)
けれ
059
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
060
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ。
061
白赤
(
しろあか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は、
062
ヘル、
063
シャル、
064
ケリナ
姫
(
ひめ
)
の
生死簿
(
せいしぼ
)
を
調
(
しら
)
べ、
065
未
(
ま
)
だ
何
(
いづ
)
れも
数十
(
すうじふ
)
年
(
ねん
)
現界
(
げんかい
)
に
寿命
(
じゆみやう
)
の
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
ることを
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
宣
(
の
)
り
聞
(
き
)
かせ、
066
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
り
東
(
ひがし
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
めよと
命
(
めい
)
じた。
067
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か、
068
現界
(
げんかい
)
か、
069
幽界
(
いうかい
)
か、
070
少
(
すこ
)
しも
合点
(
がてん
)
ゆかず
暗中
(
あんちう
)
摸索
(
もさく
)
の
体
(
てい
)
にて、
071
守衛
(
しゆゑい
)
が
云
(
い
)
ふままに
踵
(
きびす
)
をかへし、
072
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
してトボトボと
進
(
すす
)
み
行
(
い
)
く。
073
ケリナ『
細
(
ほそ
)
き
煙
(
けぶり
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えの
074
光
(
ひかり
)
の
影
(
かげ
)
を
後
(
あと
)
にして
075
恋
(
こひ
)
しき
夫
(
つま
)
を
尋
(
たづ
)
ねむと
076
草
(
くさ
)
の
枢
(
とぼそ
)
を
引
(
ひ
)
き
立
(
た
)
てて
077
エルシナ
河
(
がは
)
の
辺
(
ほとり
)
まで
078
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
れる
折
(
をり
)
もあれ
079
傾
(
かたむ
)
く
峰
(
みね
)
の
月影
(
つきかげ
)
は
080
妾
(
わらは
)
が
姿
(
すがた
)
を
見下
(
みおろ
)
して
081
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
と
慄
(
ふる
)
ひ
居
(
を
)
る
082
ああ
懐
(
なつか
)
しや
懐
(
なつか
)
しや
083
恋
(
こひ
)
しき
人
(
ひと
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
ふて
084
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
085
露
(
つゆ
)
に
体
(
からだ
)
を
霑
(
うるほ
)
して
086
涙
(
なみだ
)
を
絞
(
しぼ
)
る
悲
(
かな
)
しさよ
087
濡
(
ぬ
)
るるも
花
(
はな
)
の
下影
(
したかげ
)
に
088
宿
(
やど
)
らむものと
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
れば
089
傾
(
かたむ
)
く
月
(
つき
)
は
夜
(
よ
)
を
残
(
のこ
)
し
090
仰
(
あふ
)
げば
高
(
たか
)
し
天
(
あま
)
の
河
(
かは
)
091
空
(
そら
)
には
雁
(
かり
)
の
声
(
こゑ
)
すれど
092
尋
(
たづ
)
ぬる
人
(
ひと
)
の
便
(
たよ
)
りをば
093
聞知
(
ききし
)
るよしもないぢやくり
094
ああ
如何
(
いか
)
にせむ
千秋
(
せんしう
)
の
095
恨
(
うらみ
)
を
呑
(
の
)
んで
遠近
(
をちこち
)
と
096
彷徨
(
さまよ
)
ひ
来
(
きた
)
りエルシナの
097
谷川
(
たにがは
)
目蒐
(
めが
)
けて
身
(
み
)
を
投
(
とう
)
じ
098
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
となりしよと
099
思
(
おも
)
ふまもなくヘル、シヤール
100
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
助
(
たす
)
けられ
101
又
(
また
)
も
浮世
(
うきよ
)
の
荒風
(
あらかぜ
)
に
102
当
(
あた
)
りて
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
く
折
(
をり
)
103
泥坊頭
(
どろばうがしら
)
のベルさまが
104
無体
(
むたい
)
の
恋慕
(
れんぼ
)
を
吹
(
ふ
)
きかける
105
ヘルとシヤールの
両人
(
りやうにん
)
を
106
向
(
むか
)
ふにまはしケリナをば
107
互
(
たがひ
)
に
妻
(
つま
)
に
娶
(
めと
)
らむと
108
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
る
果敢
(
はか
)
なさよ
109
妾
(
わらは
)
は
驚
(
おどろ
)
き
森林
(
しんりん
)
の
110
パインの
梢
(
こずゑ
)
にかけ
登
(
のぼ
)
り
111
難
(
なん
)
を
避
(
さ
)
け
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
もあれ
112
闇
(
やみ
)
をつらぬく
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
113
忽
(
たちま
)
ち
三人
(
みたり
)
の
黒影
(
くろかげ
)
は
114
エルシナ
河
(
がは
)
の
深淵
(
しんえん
)
に
115
落
(
お
)
ちたるものか
憐
(
あは
)
れやと
116
窺
(
うかが
)
ふ
途端
(
とたん
)
に
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
し
117
ケリナも
共
(
とも
)
に
深淵
(
しんえん
)
に
118
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
みたりと
思
(
おも
)
ひきや
119
いつの
間
(
ま
)
にかは
知
(
し
)
らねども
120
草花
(
くさばな
)
茂
(
しげ
)
る
田圃道
(
たんぼみち
)
121
彷徨
(
さまよ
)
ひ
来
(
きた
)
りし
訝
(
いぶか
)
しさ
122
思
(
おも
)
ふに
此地
(
ここ
)
は
霊界
(
れいかい
)
か
123
探
(
たづ
)
ねあぐみし
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
の
124
鎌彦
(
かまひこ
)
さまに
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
125
過
(
すぎ
)
し
昔
(
むかし
)
の
物語
(
ものがたり
)
126
聞
(
き
)
いて
驚
(
おどろ
)
く
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
127
恋
(
こひ
)
しき
人
(
ひと
)
は
兄
(
あに
)
の
仇
(
あだ
)
128
如何
(
いか
)
なる
因果
(
いんぐわ
)
の
廻
(
めぐ
)
り
来
(
き
)
て
129
斯
(
かく
)
も
不思議
(
ふしぎ
)
な
運命
(
うんめい
)
の
130
綱
(
つな
)
に
繋
(
つな
)
がれ
居
(
ゐ
)
たりしぞ
131
これも
現世
(
げんせ
)
の
宿業
(
しゆくごふ
)
が
132
廻
(
めぐ
)
り
廻
(
めぐ
)
りて
吾
(
われ
)
の
身
(
み
)
に
133
来
(
きた
)
りしものか
情
(
なさ
)
けなや
134
兄
(
あに
)
のベルジーを
殺
(
ころ
)
したる
135
夫
(
つま
)
と
恃
(
たの
)
みし
鎌彦
(
かまひこ
)
は
136
又
(
また
)
もやベルに
殺
(
ころ
)
されて
137
ライオン
河
(
がは
)
の
泡
(
あわ
)
となり
138
消
(
き
)
えて
後
(
あと
)
なく
霊界
(
れいかい
)
の
139
巷
(
ちまた
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
憐
(
あはれ
)
さよ
140
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
141
御魂
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
賜
(
たまは
)
りて
142
中有界
(
ちううかい
)
に
迷
(
まよ
)
ひたる
143
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
御魂
(
みたま
)
を
速
(
すみやか
)
に
144
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
へ
救
(
すく
)
へかし
145
朝日
(
あさひ
)
も
照
(
て
)
らず
月
(
つき
)
もなく
146
星
(
ほし
)
さへ
見
(
み
)
えぬこの
道
(
みち
)
に
147
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
りたる
百
(
もも
)
の
花
(
はな
)
148
香
(
かを
)
りはあまりなけれども
149
艶
(
えん
)
を
競
(
きそ
)
ふて
並
(
なら
)
び
居
(
ゐ
)
る
150
草木
(
くさき
)
の
花
(
はな
)
に
至
(
いた
)
るまで
151
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
楽
(
たの
)
しみて
152
歓
(
ゑら
)
ぎ
遊
(
あそ
)
べる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
153
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
は
何
(
なん
)
として
154
花
(
はな
)
も
実
(
み
)
もなき
霊界
(
れいかい
)
の
155
心
(
こころ
)
淋
(
さび
)
しき
此
(
この
)
旅路
(
たびぢ
)
156
憐
(
あはれ
)
みたまへ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
157
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
八百万
(
やほよろづ
)
158
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
159
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
160
謹
(
つつし
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる』
161
と
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
162
一人
(
ひとり
)
の
泥酔
(
よひどれ
)
男
(
をとこ
)
頬被
(
ほほかぶ
)
りを
深
(
ふか
)
く
被
(
かぶ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
163
淋
(
さび
)
しさうな
筒袖
(
つつそで
)
で、
164
労働姿
(
らうどうすがた
)
の
儘
(
まま
)
やつて
来
(
き
)
た。
165
三人
(
みたり
)
は
道
(
みち
)
の
傍
(
かたへ
)
の
木影
(
こかげ
)
に
立
(
た
)
ち
留
(
どま
)
り
其
(
その
)
男
(
をとこ
)
を
目送
(
もくそう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
166
余
(
あま
)
り
広
(
ひろ
)
からぬ
道
(
みち
)
を、
167
右
(
みぎ
)
によろよろ
左
(
ひだり
)
によろよろと
足許
(
あしもと
)
危
(
あやふ
)
く、
168
男
(
をとこ
)
(六造)
『
晴
(
は
)
れを
待
(
ま
)
つ
宵
(
よひ
)
、
169
曇
(
くも
)
るも
憎
(
にく
)
や
170
曇
(
くも
)
りまつよに、
171
晴
(
は
)
れる
月
(
つき
)
172
恋
(
こひ
)
は
誰
(
た
)
が(
五位
(
ごゐ
)
、
173
鷹
(
たか
)
)
174
教
(
をし
)
(
鴛鴦
(
をし
)
)へ
つる
かも
仮
(
かり
)
初
(
そめ
)
に(
鶴
(
つる
)
、
175
鴨
(
かも
)
、
176
雁
(
かり
)
)
177
ほのみし
影
(
かげ
)
の
身
(
み
)
にしみて
憂
(
う
)
き(
家鶏
(
かけ
)
、
178
鵜
(
う
)
)
179
やつこらしよ、
180
やつこらしよ……ぢや』
181
と
唄
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
にドンと
突
(
つ
)
き
当
(
あた
)
り、
182
男
(
をとこ
)
(六造)
『ドド
誰奴
(
どやつ
)
だい、
183
往来
(
わうらい
)
の
妨
(
さまた
)
げをしやがつて
些
(
ちつと
)
済
(
す
)
まぬぢやないか。
184
見
(
み
)
れば
男
(
をとこ
)
が
二人
(
ふたり
)
に
女
(
をんな
)
が
一匹
(
いつぴき
)
、
185
ヘン
馬鹿
(
ばか
)
にしてけつかるわい。
186
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
では
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
だが、
187
その
衣類
(
きもの
)
は
何
(
なん
)
だい。
188
まるきり
古家
(
ふるいへ
)
の
障子
(
しやうじ
)
見
(
み
)
たやうに
窓
(
まど
)
が
明
(
あ
)
きさらして
肌
(
はだ
)
が
見
(
み
)
えて
居
(
を
)
るぢやないか。
189
えらい、
190
虱
(
しらみ
)
だ。
191
何
(
なん
)
だ
美人
(
びじん
)
かと
思
(
おも
)
へば
虱
(
しらみ
)
太夫
(
だいう
)
さまか、
192
ペツペツペツ、
193
ああ
汚
(
きたな
)
い、
194
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い』
195
と
鼻
(
はな
)
を
撮
(
つま
)
む。
196
ヘル『こりや、
197
どこの
誰奴
(
どやつ
)
か
知
(
し
)
らないが、
198
俺
(
おれ
)
の
奥
(
おく
)
さまを
捉
(
つかま
)
へて
何
(
なん
)
といふ
暴言
(
ばうげん
)
を
吐
(
は
)
くのだ、
199
もう
承知
(
しようち
)
はしないぞ』
200
男
(
をとこ
)
(六造)
『アハハハハ。
201
乞食
(
こじき
)
女
(
をんな
)
を
奥
(
おく
)
さまだなんて
好
(
い
)
いデレ
助
(
すけ
)
だなア、
202
ハハー、
203
こんな
虱
(
しらみ
)
太夫
(
だいう
)
でも
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
つて
来
(
く
)
る
男
(
をとこ
)
が
〆
(
しめ
)
て
二人
(
ふたり
)
もあるかと
思
(
おも
)
へば
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
のものだなア。
204
オイ
阿魔女
(
あまつちよ
)
お
前
(
まへ
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
205
虱
(
しらみ
)
のお
宿
(
やど
)
さま、
206
名
(
な
)
を
云
(
い
)
ふのが
恥
(
はづ
)
かしいのか、
207
ペツペツペツ』
208
ヘル『こりや、
209
何所
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
か
知
(
し
)
らぬが
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
て、
210
貴様
(
きさま
)
は
一体
(
いつたい
)
此処
(
ここ
)
を
何処
(
どこ
)
と
心得
(
こころえ
)
て
居
(
ゐ
)
るか』
211
男
(
をとこ
)
(六造)
『ヘン、
212
何処
(
どこ
)
も
彼所
(
かしこ
)
もあるものかい、
213
此処
(
ここ
)
はフサの
国
(
くに
)
テルモン
山
(
ざん
)
の
麓
(
ふもと
)
の
高野
(
たかの
)
ケ
原
(
はら
)
だ。
214
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
がこの
先
(
さき
)
の
村
(
むら
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ。
215
これから
帰
(
かへ
)
るのだよ。
216
夫
(
それ
)
は
夫
(
それ
)
は
別嬪
(
べつぴん
)
だぞ』
217
ヘル『これや、
218
惚
(
のろ
)
けやがるない、
219
貴様
(
きさま
)
は
此処
(
ここ
)
を
高野
(
たかの
)
ケ
原
(
はら
)
と
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るか
知
(
し
)
らぬが
此処
(
ここ
)
は
冥土
(
めいど
)
の
八衢
(
やちまた
)
だ。
220
些
(
ちつと
)
確
(
しつか
)
りせぬかい、
221
そして
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれた
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
は
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
とは
佯
(
いつは
)
り、
222
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
三十三
(
さんじふさん
)
相
(
さう
)
に
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ
遊
(
あそ
)
ばす
観自在天
(
くわんじざいてん
)
様
(
さま
)
だぞ』
223
男
(
をとこ
)
(六造)
『ハハハハハ、
224
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
しやがるのだい。
225
観
(
くわん
)
自在天
(
じざいてん
)
とはよく
洒落
(
しやれ
)
たものだ。
226
このナイスの
体
(
からだ
)
には、
227
胡麻
(
ごま
)
を
撒
(
ふ
)
りかけた
如
(
ごと
)
く
観音
(
くわんのん
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
出現
(
しゆつげん
)
だからな、
228
ウフフフフ
229
噛
(
か
)
みつかば
許
(
ゆる
)
しはするなよただ
捻
(
ひね
)
れ
230
布子
(
ぬのこ
)
の
裏
(
うら
)
にわたがみはなし
231
梅桜
(
うめさくら
)
摺縫箔
(
すりぬひはく
)
の
古小袖
(
ふるこそで
)
232
花見
(
はなみ
)
虱
(
しらみ
)
の
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
りにけり
233
汗水
(
あせみづ
)
になりて
世渡
(
よわた
)
る
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
234
夏
(
なつ
)
の
虱
(
しらみ
)
は
浮
(
うき
)
つ
沈
(
しづ
)
みつ
235
か、
236
ウントコシヨ、
237
ウントコシヨ、
238
か。
239
引
(
ひ
)
きかつぎ
帷布
(
かたびら
)
ごしに
空
(
そら
)
見
(
み
)
れば
240
雲井
(
くもゐ
)
を
走
(
はし
)
る
月
(
つき
)
の
夜虱
(
よじらみ
)
241
冬籠
(
ふゆごもり
)
布子
(
ぬのこ
)
の
綿
(
わた
)
に
住
(
す
)
む
虱
(
しらみ
)
242
雪
(
ゆき
)
の
如
(
ごと
)
くに
白
(
しら
)
けてぞ
臥
(
ふ
)
す』
243
ヘル『アハハハハ。
244
こりや
虱
(
しらみ
)
太夫
(
たいう
)
、
245
ソロリソロリと
新左衛門
(
しんざゑもん
)
坊主
(
ばうず
)
の
云
(
い
)
ふやうな
事
(
こと
)
を
吐
(
こ
)
くぢやないか、
246
貴様
(
きさま
)
は
余
(
よ
)
つ
程
(
ほど
)
虱
(
しらみ
)
博士
(
はかせ
)
と
見
(
み
)
えるな』
247
男
(
をとこ
)
(六造)
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ。
248
俺
(
おれ
)
こそ
虱
(
しらみ
)
のお
庄屋
(
しやうや
)
さまだ。
249
これ
見
(
み
)
ろ、
250
こんな
浅黄
(
あさぎ
)
の
筒袖
(
つつそで
)
を
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るから
貴様
(
きさま
)
の
目
(
め
)
には
分
(
わか
)
るまいが、
251
俺
(
おれ
)
の
着物
(
きもの
)
は
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
だ。
252
沢山
(
たくさん
)
の
虱
(
しらみ
)
がウヨウヨと
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
活動
(
くわつどう
)
して
居
(
ゐ
)
るのぢや。
253
俺
(
おれ
)
の
名
(
な
)
も
六造
(
ろくざう
)
なり
合
(
あ
)
ふたり
叶
(
かな
)
ふたりだ。
254
一層
(
いつそ
)
の
事
(
こと
)
その
虱
(
しらみ
)
ナイスと
此処
(
ここ
)
で
一
(
ひと
)
つ
観音較
(
くわんのんくら
)
べをして
夫婦
(
ふうふ
)
になる
訳
(
わけ
)
にはゆくまいかなア』
255
ヘル『こりや、
256
貴様
(
きさま
)
は
今
(
いま
)
この
先
(
さき
)
に
美
(
うつく
)
しい
女房
(
にようばう
)
が
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
言
(
い
)
つたぢやないか、
257
夫
(
それ
)
にも
関
(
かかは
)
らず、
258
このナイスと
結婚
(
けつこん
)
すれば
重婚
(
ぢうこん
)
の
罪
(
つみ
)
で
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
で
厳罰
(
げんばつ
)
に
処
(
しよ
)
せられるのを
知
(
し
)
らぬのか。
259
貴様
(
きさま
)
は
気
(
き
)
の
多
(
おほ
)
い、
260
箸豆
(
はしまめ
)
人足
(
にんそく
)
と
見
(
み
)
えるわい』
261
六造
(
ろくざう
)
『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はまだ
女房
(
にようばう
)
が
無
(
な
)
いのだ。
262
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
から
女房
(
にようばう
)
と
定
(
き
)
めて
居
(
ゐ
)
るだけで、
263
先方
(
せんぱう
)
の
意志
(
いし
)
はテンと
分
(
わか
)
らぬのだ。
264
今日
(
けふ
)
で
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
計
(
ばか
)
り
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
に
通
(
かよ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだが、
265
まだ
一口
(
ひとくち
)
も
心
(
こころ
)
の
思
(
おも
)
ひを
先方
(
せんぱう
)
に
響
(
ひび
)
かした
事
(
こと
)
はないのだ。
266
つまり
予定
(
よてい
)
の
女房
(
にようばう
)
だからなア』
267
ヘル『アハハハハ。
268
大方
(
おほかた
)
其
(
その
)
辺
(
へん
)
のことだと
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
たのだ。
269
貴様
(
きさま
)
のスタイルで
猫
(
ねこ
)
だつて
女房
(
にようばう
)
になる
奴
(
やつ
)
があるかい、
270
虱
(
しらみ
)
に
体
(
からだ
)
を
舐
(
ねぶ
)
らして
置
(
お
)
く
位
(
くらゐ
)
が
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
つて
居
(
ゐ
)
るわい。
271
も
少
(
すこ
)
し
先
(
さき
)
に
行
(
ゆ
)
くと
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
だから、
272
虱
(
しらみ
)
でも
提出
(
ていしゆつ
)
して
地獄行
(
ぢごくゆき
)
の
冥罰
(
めいばつ
)
を
助
(
たす
)
かつたらよからう、
273
虱
(
しらみ
)
は
観世音
(
くわんぜおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
だからのう』
274
六
(
ろく
)
『
碌
(
ろく
)
でもない
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふない。
275
八衢
(
やちまた
)
だとか
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
だとか、
276
何
(
なに
)
を
呆
(
とぼけ
)
て
居
(
ゐ
)
るのだ。
277
此処
(
ここ
)
は
現界
(
げんかい
)
だ。
278
貴様
(
きさま
)
は
大方
(
おほかた
)
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るのだらう。
279
虱
(
しらみ
)
のやうなものは
俺
(
おれ
)
も
実
(
じつ
)
は
好
(
す
)
かないのだけれど、
280
何分
(
なにぶん
)
洗濯
(
せんたく
)
して
呉
(
く
)
れる
女房
(
にようばう
)
もなし、
281
噛
(
か
)
んだり
捻
(
ひね
)
つたり
縁側
(
えんがは
)
に
拡
(
ひろ
)
げて
徳利
(
とくり
)
を
転
(
ころ
)
がしたりして
征伐
(
せいばつ
)
しても
仲々
(
なかなか
)
絶
(
た
)
え
切
(
き
)
らぬものだ。
282
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
と
云
(
い
)
へば
地獄
(
ぢごく
)
、
283
餓鬼
(
がき
)
、
284
畜生
(
ちくしやう
)
、
285
修羅
(
しゆら
)
、
286
人間
(
にんげん
)
、
287
天上
(
てんじやう
)
、
288
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが
夫
(
そ
)
れについて
面白
(
おもしろ
)
い
虱
(
しらみ
)
の
歌
(
うた
)
がある、
289
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
かしてやらうか』
290
ヘル『ウン、
291
承
(
うけたま
)
はらう、
292
どうで
碌
(
ろく
)
な
歌
(
うた
)
ぢやあるまいが、
293
併
(
しか
)
し
乞食
(
こじき
)
の
門付
(
かどつ
)
けを
聞
(
き
)
くと
思
(
おも
)
つてお
耳
(
みみ
)
を
借
(
か
)
してやらう、
294
古汚
(
ふるきたな
)
い
虱
(
しらみ
)
のわくやうな
歌
(
うた
)
なら
御免
(
ごめん
)
だぞ』
295
六
(
ろく
)
『どうせ
虱
(
しらみ
)
のわく
着物
(
きもの
)
は
古
(
ふる
)
いに
定
(
きま
)
つて
居
(
ゐ
)
るわ、
296
黴
(
かび
)
の
生
(
は
)
へた
頭
(
あたま
)
から
捻
(
ひね
)
り
出
(
だ
)
した
歌
(
うた
)
でなくては
虱
(
しらみ
)
に
対
(
たい
)
する
名歌
(
めいか
)
が
出来
(
でき
)
るものでない、
297
野暮
(
やぼ
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふな。
298
サアこれから
地獄
(
ぢごく
)
の
虱
(
しらみ
)
だ。
299
地獄
(
ぢごく
)
300
捻
(
ひね
)
る
楽
(
らく
)
潰
(
つぶ
)
す
極楽
(
ごくらく
)
火
(
ひ
)
は
浄土
(
じやうど
)
301
水
(
みづ
)
に
入
(
い
)
るこそ
地獄
(
ぢごく
)
なりけり
302
餓鬼
(
がき
)
303
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てて
竿
(
さを
)
にかけたる
古布子
(
ふるぬのこ
)
304
餓鬼
(
がき
)
の
如
(
ごと
)
くに
痩虱
(
やせじらみ
)
かな
305
畜生
(
ちくしやう
)
306
人
(
ひと
)
を
喰
(
く
)
ふ
事
(
こと
)
より
外
(
ほか
)
はいざ
虱
(
しらみ
)
307
生畜生
(
いきちくしやう
)
の
果
(
はて
)
と
云
(
い
)
ふべき
308
修羅
(
しゆら
)
309
血交
(
ちまじ
)
りに
殺
(
ころ
)
し
捨
(
す
)
てたる
虱
(
しらみ
)
こそ
310
さながら
修羅
(
しゆら
)
の
衢
(
ちまた
)
なりけり
311
人間
(
にんげん
)
312
帷布
(
かたびら
)
の
縫目
(
ぬひめ
)
に
宿
(
やど
)
る
虱
(
しらみ
)
こそ
313
人
(
ひと
)
と
同
(
おな
)
じく
立
(
た
)
ちてゆくなり
314
天上
(
てんじやう
)
315
五月雨
(
さみだれ
)
や
竜
(
たつ
)
の
鱗
(
うろこ
)
にわく
虱
(
しらみ
)
316
つれてもろ
共
(
とも
)
天
(
てん
)
に
登
(
のぼ
)
れり
317
かくれ
住
(
す
)
む
肌
(
はだ
)
の
守
(
まもり
)
の
虱
(
しらみ
)
こそ
318
生
(
い
)
きた
観音
(
くわんのん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
なりけり』
[
※
虱に関する一連の狂歌についてはオニペディアの「虱の歌」参照
]
319
シャル『アハハハハ。
320
十八
(
じふはち
)
世紀
(
せいき
)
のお
茶坊主
(
ちやばうず
)
が
吐
(
ほざ
)
いた
歌
(
うた
)
ぢやないか、
321
貴様
(
きさま
)
の
作
(
つく
)
つたのぢやあるまい』
322
六造
(
ろくざう
)
『
誰
(
たれ
)
が
作
(
つく
)
つても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
ぢや、
323
現在
(
げんざい
)
俺
(
おれ
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
たのぢやないか、
324
他人
(
ひと
)
のものなら
他人
(
ひと
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
る、
325
俺
(
おれ
)
の
作
(
つく
)
つた
証拠
(
しようこ
)
には
俺
(
おれ
)
の
声
(
こゑ
)
をもつて
俺
(
おれ
)
の
口
(
くち
)
から
貴様
(
きさま
)
に
伝
(
つた
)
へてやつたぢやないか、
326
ゴテゴテ
云
(
い
)
ふない』
327
シャル『
他人
(
ひと
)
の
歌
(
うた
)
を
盗
(
ぬす
)
む
奴
(
やつ
)
は、
328
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
で
調
(
しら
)
べられたら
矢張
(
やつぱり
)
咎
(
とがめ
)
られて
咎人
(
とがにん
)
になるぞよ、
329
歌
(
うた
)
を
盗
(
ぬす
)
む
奴
(
やつ
)
を
盗歌人
(
とがにん
)
といふのだぞ、
330
ウフフフフ』
331
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
蓑笠
(
みのかさ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
五十余
(
ごじふあまり
)
の
一人
(
ひとり
)
の
婆
(
ばば
)
アが、
332
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
をつき、
333
何
(
なに
)
か
小声
(
こごゑ
)
に
歌
(
うた
)
ひながら、
334
トボトボと
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る。
335
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
の
何処
(
どこ
)
ともなく
変
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
るのに
不審
(
ふしん
)
を
抱
(
いだ
)
き、
336
つくづくと
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
337
婆
(
ばば
)
は
何
(
なに
)
か
急用
(
きふよう
)
でもあるやうに
頻
(
しき
)
りに
足許
(
あしもと
)
を
急
(
いそ
)
いで
居
(
ゐ
)
る。
338
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
ふたか
道端
(
みちばた
)
の
背丈
(
せたけ
)
の
延
(
の
)
びた
雑草
(
ざつさう
)
の
中
(
なか
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
した。
339
(
大正一二・三・一四
旧一・二七
於竜宮館二階
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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第六歌集『霧の海』
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【04 盗歌|第56巻(未の巻)|霊界物語/rm5604】
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